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水棲生物  水の底のアフリカ
水棲生物  水の底のアフリカ
オズヴァルド・ルワット、大林薫/講談社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    読むのがしんどすぎて、読了まで2ヶ月くらいかかった。 日本人からすると、本当に未知の文化圏であるアフリカの小説ではあるけれど、そういった背景や、翻訳による読みづらさはなく、むしろ読みやすく、作者は初めから非アフリカ圏での読者層を意識していたのではないかと推測する。 読みづらさの理由は、この小説のテーマ、もとより批判の対象である「現状」の描写。 特にサミュエルが受ける扱いは身の毛もよだつ。 アフリカには(アフリカだけではないだろうが)、同性愛者であることで自由や命を奪われる法律がある国が実在するということをこの本を読むまで知らなかった。 本書の舞台である架空の国、ザンブエナでは、キリスト教(カトリック)が国教であるようだが、調べたところ、イスラーム教の国でも同様の態度であるところもあるようだ。 そのような個人よりも集団を重視する世界で、カトメは奮闘する。当然うまくいかない。カトメは、ほとんど夫や周りの言いなりになってしまうし、結局のところはサミュエルも守れなかった。何より異性愛者であるカトメに同性愛者のサミュエルの気持ちは真に理解できていなかったのではないか、と思わせる出来事が最後まで容赦なくカトメを責める。 最後の最後の描写でも、カトメのいく先が悪夢であることを示しているように思える。 このどこまでも救いようの無さが現状ということであれば、西洋化された世界観からは大変に"まちがっている"とか、"人権が守られていない"ように感じてしまう。 果たしてこの違和感をどのように捉えるか決めかねている。

    12
    投稿日: 2025.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んだのちょっと前だけど書いてみる。 私には難しかったのだろうと思う。 カトメはどうにか頑張ろうとしてたけど、どうやったって地位のある夫の付属品でしかないのだと思った。そういうものに付属してないと生きていけない世界の話。それはカトメだけでどうにかできる問題ではないのが現実なんだなってちょっと悲しくなった。 サミーはひたすらに可哀想だった。治安や態度その他諸々何かしらの良くないことを「スラムかよ」と表現する言い方があるけど、本物というか本当のスラムはおそらく平和に生きている人間としてカウントされる私の想像の範疇の外にあって、こんなことを出来る人間が普通に描かれていることに驚いた。 サミーの身に起きたことを読んでいる時非常に胸糞悪くなったし、知らない世界を目の当たりにしてごちゃ混ぜの気持ちになった。 存在しない国が舞台にされてるけどどこかの現実なんだろうなぁと思う。

    2
    投稿日: 2025.06.17