大人たちの都合で「いらない子」扱いをされてきた世梨。もう家族のことは諦めているのかな。と思ったけれど、愛されたいという気持ちが垣間見える時があって悲しくなる。そんな世梨が紫水と出会えたのは本当に良かった。家族から離れるのは世梨にとっていいことだと思うから。紫水たちと過ごすようになり、少しずつ楽しい時間が増えてきた世梨。能力が原因で危ない目にも遭うけれど、それでも大切にしてくれる人たちと一緒の方が幸せそうで嬉しくなった。世梨が自分がしたいことを口に出せるようになったのも嬉しい。

○本のタイトル『あやかし嫁取り婚～龍神の契約妻になりました～』 ○著者名　椿蛍(つばきほたる) ○出版社　アルファポリス ○Illustration 榊空也 ○Design Work 西村弘美 ○ライトノベル・和風シンデレラストーリー ○図書館にて ◯この本はどんな本? 特異な力を持つ孤独な少女が、龍神と契約婚を結び、和風の美しい世界で運命を切り開いていく感動的なシンデレラストーリー。 魅力的なキャラクターたちと芸術的な要素が絶妙に絡み合った作品です！ ――――――――――――― (あらすじ) 特異な力を持つ主人公・世梨(せり)は、名家で孤独に育っていた。 ある日、龍神である千後瀧紫水(ちごたきしすい)が現れ、彼女に契約婚を提案する。 和風の美しい世界で、世梨は自身の運命を切り開いていく和風シンデレラストーリー。 ――――――――――――― (主な登場人物の魅力と特徴) ・主人公　本宮世梨(もとみやせり・東京の祖父母に養女として育てられ、祖父母が他界してからは、郷戸の実家に戻るが、女中扱いされる) ・千後瀧紫水(ちごたきしすい・龍神・有名な水墨画家・本業は蒐集家・財政界に顔が利く名家の当主) ・郷戸玲花(ごうどれいか・世梨の妹・16歳・目鼻立ちがくっきりしていて西洋人形のように可愛い・両親、兄に愛され東京の女学校に通っている・気性が激しい・失せ物捜し、人の秘密を暴くなどの特別な力をもつ) ・千秋(せんしゅう・天才着物作家だった世梨の祖父の雅号・本名は本宮千資(もとみやせんすけ)・気難しく偏屈・信念を曲げない・心から素晴らしいと思うものしか褒めない) ・葉背陽文(はぜひふみ・明るく人懐っこく社交的・西洋の王子様みたいに美しい・神狐) ―――――――――――――― (舞台や世界観) 日本の伝説や伝統を背景にした和風の美しい世界。 主人公の世梨は、特別な力を持ち、名家に生まれながらも愛されず、孤独に悩む彼女の元に龍神の紫水が現れる。 彼は世梨とある条件から契約婚を提案するが… 着物や水墨画の美しい芸術が織りなすこの世界で、世梨がどのように自分の運命を切り開いていくのか、その過程が魅力的に描かれている。 ―――――――――――――― (ページをめくりたくなる展開) 育ててくれた祖父母が他界し、郷戸の実家に戻った世梨は、愛されない存在として女中扱いされ孤独だった。 そんな時、彼女の元に謎の訪ね人が現れる。 しかし、鴉が異様に騒ぐ中で、この訪ね人が善人なのか悪人なのか、読者はその展開にドキドキするだろう。 実は世梨には、あやかしの当主たちが嫁にしたいと思う特別な能力がある。 この力がどんなものなのか、そしてあやかしに狙われた彼女が無事に幸せになれるのか、物語はハラハラドキドキの瞬間でいっぱいだ。 さらに、着物や水墨画といった芸術的な要素も盛り込まれていて、そうした世界に憧れる読者にとっても魅力的な内容になっているだろう。 世梨の運命を追いかけるストーリー展開が楽しめる物語だ。 ――――――――――――― (ひとこと) 表紙のイラストに惹かれて思わず手に取りました。 着物や水墨画といった芸術がテーマに絡んでいて、私にはピッタリでとてもワクワクしました。 特別な能力を持つ主人公世梨は、多くのあやかしの中でも当主に嫁ぐために狙われていて、圧倒的な力を持つあやかしが彼女の強い味方となっていて、心強かったです。 物語はまだ続くのかな? 世梨の妹に関するストーリーや、紫水の婚約者が絡む出来事が起こりそうな予感が… 続編を心待ちにしています。