
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
若松英輔さんの詩集を初めて読んだ。 とても良かった。心の奥をじわっと掴まれるような詩集だった。 中でも「孤独1」という詩がとても好きだ。 「本当に大切なことは言葉になどならないことが分かってくる。」 この一文に大きく共感した。 私もよくそう思うからだ。 大切に思えば思うほど、言葉にならない。 言葉というテリトリーの中では狭すぎて、 本当に伝えたいことを全部は入れられない気がする。 私は少しだけ詩を書くことがあるけれど、 書いているときによく「この言葉じゃない」という感情が生まれる。 その違和感の正体は、きっとこの詩で言われているように、 “言葉にならないもの”を無理に形にしようとしているからなんだと思った。 もう一つ好きだったのは「評論家」という詩。 簡単に内容を説明すると、 “あなただけに書いた詩を、自分が一番理解しているかのように語り、 勝手に評価してくる人への想い”を描いた詩だ。 私は誰かに自分の詩を評価されたことはないけれど、 「この人だけに届けばいい」と思って詩を書くことはある。 だからもし、自分の想いが詩ではなく“評価の対象”にされてしまったら、 きっとすごく悲しい。 英輔さんもきっと、そんな気持ちを抱えていたのかもしれない。 この本を読んで、改めて「詩を書きたい」と思った。 読んでよかったと心から思える一冊。 静かに、でも確かに心を揺らすような詩集だった。 私のお気に入りです。
0投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログ好きだと思ったのは「孤独1」と「見えないものを探すために ぼくらは生まれた」だ。 そしてあとがきの言葉にこころを打たれる。
0投稿日: 2025.04.28
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全体的に好き 適宜読み返したい 「若かった あの男は 三十年後の今も 涙のちからによって 生きている」
0投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ若松英輔さんの第八詩集。 以下に心を撃たれた詩を三篇載せます。 おそらく若松さんは奥様のことを想って書かれたのだと思いますが、私は認知症を患う母を想いながら拝読しました。 先日、主治医の先生に「最後は娘さんのことが誰かわからなくなりますから」と言われました。 ーーーーーー 桜葉 いっしょに 散歩をしているときは 満開の 花にしか 気が付けなかった でも 今は 緋色や黄や 茶色になった さくらの葉に 見惚れています 二人で過ごした ひとつ ひとつの時を ゆっくりと 想い出しながら 誰も 気が付かないうちに 色を変え 風に身をあずけ いつとも知れず 散ってゆく 一枚 一枚の葉を 愛しくさえ 感じています 空気 1 行きたい場所に 旅もしたし 欲しいものだって 買った でも こころに 橙の灯が ともらない さまざまな場所に いろんなものに 幸せへの扉を探したけど 見つからない でも あなたと いっしょにいたときは 幸せになりたいなんて 考えたこともなかった 未来は見えなかったけど 今だけは ちゃんと 感じられていた 本当のしあわせは 大切な人と時を 分かち合うところに生まれる 空気であることも あなたがいなくなるまで 気がつけなかった それが 私だった 自己探求 ずっと探しているのは わたし あなたと いっしょにいたときは 私よりも ずっと近くにいた わたし あなたが あの日から 見えなくしたのも わたし あなたと生きているときだけ 咲いていた 目には 見えない 一輪の花
118投稿日: 2025.01.17
