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日本語の外へ
日本語の外へ
片岡義男/筑摩書房
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総合評価

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    圧倒的に読むのに時間がかかってしまった。638ページ。読み切った自分を褒めたい。この本を最初から最後まで読んだ人はそう多くないだろうと確信する。評論というには主観的で、エッセイというには客観的だが、バイリンガルならではの独特のリズムの日本語で、「日本語」と「日本人」を斬る。が、あまりに痛烈すぎて少し読み進めるのが嫌だというレビューさえありました…。 人がいわゆる社会人としてまといつけざるを得ない日常の現実味のようなものを、出来るだけそぎ落とした状態で自分を人に提示したいとき、人は自分のことを「私」と呼ぶ。自分がどんな人だか出来るだけわからなくするときの言葉が、「私」という呼び方だ。 人間は言葉だ。人間は言葉によって生きていく。 といったあたりが印象的でした。前者は「なるほど!」という意味で。後者は言い切り方の潔さ、という点で。

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    投稿日: 2025.07.09
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    日本語や日本人の思考についての悪口多し。 日本人のことを彼らと言ってみたり、自身はまるで日本人じゃないかのような書き方に少し不快感を持った。 とはいえ、あたっている部分も大いにあるのだろう。 確かに日本人の考え方には問題点は多くあると思う。 日本語は主観的であることも、英語がそうではないことも納得している。 それにしてもマイナス点ばかりが羅列され続けて、読んでいて少し辛かった。 日本語という言語について語っているので難しいのかもしれないが、その日本語を使い、思考している人々に対する提言があってもよかったと思う。日本語のマイナス点をよく理解し、そのうえでどのようにしたらいいのかということに言及してほしかった。読んでいる方としては、ダメ出しだけされて終わった感じがして、おじさんの愚痴を聞かされた感が強く残った。 それから何度も同じことが繰り返されていて、それも辟易した理由の一つだ。

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    投稿日: 2025.06.08
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    意地悪く言えば、もちろん片岡義男なりに多彩なソース(ニュース報道や読書や実人生など)を参照してはいるものの、確固たるエビデンスではなく片岡自身の皮膚感覚を頼って論を進めている印象がある。だが、だとすればそのフィーリング優位で主観的な片岡の著述がなぜこのぼくの心理に直に訴えかける説得力を持つのか、それこそ問い直すべきだとあらためて唸る。つまり片岡がバイリンガルとして日本語と英語の双方を横断し、その過程で実に緻密に自らの感覚を言語化して鍛え上げた賜物としてこの本が結実したと言えるのでは。手堅い論述に圧倒される

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    投稿日: 2025.02.09
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    戦争とメディア - 現実の複雑性: 戦争の映像は多様で、意図的・偶然的に撮影されたものが混在し、本当の現実が歪められる。 - 市民の受動性: TVで流れる映像は、視聴者が自らの判断で情報を探ることが難しく、受け身にならざるを得ない状況を生む。 - 愛国心の表現: 戦争に関する映像は少ない一方で、愛国心を強調するシーンが豊富に報道され、国旗の色(赤・白・青・黄)などが象徴的に使われる。 アメリカの愛国心と戦争 - 一般市民の感情: 戦争の報道において、アメリカ人は自国の兵士の無事を強く願う感情が見られ、ベトナム戦争の経験から教訓を得ている。 - 湾岸戦争時の状況: 平和や兵士の安全を祈るリボンが町を彩るなど、愛国心が盛り上がる一方で、戦争への反発も存在する。 - 市民の自由と政府の影響: アメリカでは市民の自由度が高いが、それでも政府や軍の情報コントロールが行われている。 アメリカの自由の再考 - フリーダムの再定義: アメリカは自由の概念を見直し、公共性を重視した新しいシステムを構築する必要がある。 - 教育における多様性: 歴史教育において、単一の視点ではなく、多様な移民の視点からアメリカ史を再評価する必要がある。 経済と安全保障 - 経済と安全保障の連携: アメリカの経済政策は安全保障と密接に結びついており、国際経済の中でアメリカの役割を再考する必要がある。 社会的変化と労働市場 - 製造業の衰退: 1980年代からの工場閉鎖により、多くの町が経済的な打撃を受け、労働者が失業する現象が続いている。 - 新たな労働環境: 低賃金の仕事の増加や、レイオフが進む中で、アメリカの労働者は深刻な状況に直面している。 言語と文化 - 言語の重要性: 日本語は日本人のアイデンティティを形成する重要な要素であり、言語による認識が文化を作り上げる。 - 日本文化の再評価: 日本人としての共通性や価値観を理解するために、言語の役割を再考する必要がある。

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    投稿日: 2025.01.29
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    片岡義男とその作品はわたしにとってはそれほど親しいものではなかったが(親世代よりちょっと上で、今風に言えば「世代じゃない」)、十年ぐらい前に新聞の夕刊に連載された「豆大福と珈琲」をはじめて読んで、ちょっと独特の文体にハマり、そのあとバイリンガル作家だと知ってから、いろいろと追うようにしている。 手にしてみたら存外分厚い評論で、読む前からちょっと怯んでいるけど⋯ 単行本は1997年に筑摩書房から刊行され、2003年に角川文庫に入り、このたび「名著復刊」というふれこみで古巣の文庫に収まったらしい。

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    投稿日: 2024.12.13