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邪行のビビウ
邪行のビビウ
東山彰良/中央公論新社
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総合評価

10件)
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    死者を歩かせる邪行師ビビウが格好良い。ポップなのにどこか『出禁のモグラ』みたいなじめっとした空気感ある。私がプリキュアで気合いを入れるように、地球のどこかで、魔法少女で身を奮い立たせる女の子がいることが嬉しい。でもその対象が戦争であることが悲しい。

    0
    投稿日: 2025.05.17
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    内戦の続くベラシア連邦では、邪行師という職業があった。不慮の死を迎えた死者を自らの足で歩かせ、家まで連れ帰る。人々から敬われ畏れられ、あるいは忌避されるその邪行師の才能を持った少女ビビウ。唯一の女性邪行師として自らの責務を果たす彼女だが、内戦に否応なしに巻き込まれていく。 死者を歩かせる、ということもだし、「邪行」という字面もおどろおどろしく感じられましたが。実際のところは「邪行」って、とても優しいことなのですね。「自分の足で家を出たら自分の足で家に帰る」という安息を守る行為であり、死者に対する敬意と思いやりが感じられます。しかしそのことで死を恐れなくなり士気が上がるというのはどうなんだろう……なんでも戦争に利用しようという心根は卑怯だなあ。 キャラクターたちも魅力的でぐいぐい読めるのですが、しかしとある計画のとばっちりでビビウたちに危機が迫る展開はなかなかにつらいものが。そして悪役的なあの人のキャラも、なんだか憎めないんだよなあ。

    0
    投稿日: 2025.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

     表紙を見て驚いたが、中身も死者を歩かせる邪行師なるファンタジー的なものだったので、読むのをやめようかと迷ったが、途中から独裁政治下の軍隊の不条理が描かれてきて、面白くなってくた。  ビビウの過去や生い立ちをここまで丁寧に書く必要があったかなとは思うけれど、東山さんの哀愁漂う文体に触れられたので、まあいいか。

    0
    投稿日: 2025.02.28
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    東山さん、ロシアのウクライナ侵攻を皮肉ってるんだろうな。“偽旗作戦”は明治維新だけでなく古今東西行われてきたし、「ルールづくりは勝者に与えられる特権」だから、また米で近いうちに見られるかも…。

    1
    投稿日: 2024.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

     著者の作風としては珍しい、ダークファンタジー。  日経新聞で取材記事を読んで興味を持った。 「新型コロナウイルス禍に続き、ロシアによるウクライナ軍事侵攻。現実が想像を超えたような状況に、僕自身、エンターテインメントに没頭できなかった。しかし、そんな時期だからこそ、いつか真正面から向き合いたいと思っていた戦争を取り上げ、ちゃんとしたエンタメ小説を書きたいと考えました」  邪行師という死者をよみがえらせる呪術を使う主人公の一族。  架空の国家ベラシア連邦と、その共和国のルガレとの間の独立戦争。どことなく、著者が言う、“現実が想像を超えた”とある事象を想起させる。  その点でも興味深く読むことができた。  独裁者の支配に抵抗を示す反乱軍、暗躍する殺戮集団、三つ巴とも言える複雑な対立構造の中に、ビビウたち邪行師たちも、否が応でも巻き込まれていく。  主人公ビビウと、ベラシアの軍人ケーリン・バイが戦場で出会い交わす会話に以下の言葉ある。 「正しい戦争なんてない」ビビウは言った。「でも間違っていることを正すためには、自分も同じくらい間違わなくては太刀打ちできないこともあると思います」 「人の業ってやつか。だとしたら、ベラシアが戦争に明け暮れてきたのも理解してもらえるはずだ。むかしの戦争に勝ったやつらが決めたルールに納得がいなかいなら、おれたちだって声をあげるしかない。さもなければ、世界はおれたちの頭を踏んずけている臭い足をどけてくれない」   前段のビビウの言葉は、中盤でも再度繰り返される。著者の思いの籠った一文のようだ。  一見、ロシア・ウクライナ戦争を題材にフィクションとして物語を構築してはいるが、根本のところで、現状の、このキナクサイ世の中を作っているのは、ケーリン・バイの言うところの、「むかしの戦争に勝ったやつらが決めたルール」の存在であり、それを作っているのは、80年近く前の戦争に勝利を収めた一部の列国による陰に日向にの支配に他ならない。  そんなことにも思いを馳せながら読むことができる。  それを、邪行術といった、死体を蘇らせて動かすチープなギミックと、日本のアニメ好きのビビウの伯父ワンダ・ニエのユーモラスな言動を交え、重くなり過ぎないように描く。  ライトノベルを書いていたこともあるという著者。その頃の経験も生きているのだろう。

    4
    投稿日: 2024.10.01
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    新聞のインタビューによると、著者は「死ぬことにすごく恐怖がある。だからこういう物語を書いて少しでも死を怖がらないようにしたかった」と。 著者の母のルーツである中国・湖南省の死者が歩く伝説から着想を得たらしい。 ファンタジーなんだろうけど、重厚で、なのに読後爽やかさが残る一冊。 表紙は最近よく見るwataboku。

    0
    投稿日: 2024.09.26
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    いろんな要素があり過ぎて、中盤、メインとなる出来事や状況がよくわからなくなった。 巻き込まれて犠牲になった感が強くてなんだかなぁと思ったが、それが戦争下というものなのだろう。 今まで読んできた著者の作品とは違っていた。

    8
    投稿日: 2024.09.13
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    独裁者が治めるベラシア連邦という架空の国を舞台にして、死者を歩かせる能力を持ついわゆるネクロマンサー的な邪行師のお話。 こういうサイエンスでないフィクション話はかなり好み・・と思って読み始めたんですが。んー・・・もちろん話の核には邪行師がいるんですけど、全体的な印象としてはベラシア連邦の反乱軍と政府軍の戦いみたいな感じが強くて。あくまでその内戦のお話に邪行師がエッセンス的な役割になってしまっているだけに感じてしまった。魅力的な題材なだけになんかちょっともったいないというか残念というか。 一番物語が大きく動くテロ行為について邪行師の能力が深くかかわっているとはいえその部分が代替できれば普通の戦記物でしかなくなっちゃう?

    0
    投稿日: 2024.09.11
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    呪術で死者を操る邪行少女ビビウ・ニエは政府軍と反乱軍が争う戦場で何をしたのか? 直木賞作家渾身の今年ベスト級エンタメ降臨!

    0
    投稿日: 2024.08.29
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    2024/8/26読了。 全体主義のたった一つのルールは、生を無視しろ、だ。変化は必要ない。必要なのは独裁者による永劫不変の支配のみ。 独裁者が治めるベラシア連邦のルガレ自治州で独立を求め反乱軍が決起した。この自治州では古くから死者を歩かせ呪術を使う邪行師(やこうし)の存在が知られていた。その呪術で死者を操る少女と彼女を取り巻く人々。戦禍に揺れる人々を描く。まあ架空の世界の印象だが、まさにロシアとウクライナ戦争を彷彿。秘密警察、密告、独裁政治下で生きる人々やるせなさが漂うがリアルに人間の業を感じさせてくれた。丹念に読ませてもらいました。

    0
    投稿日: 2024.08.25