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琴子は着物の夢を見る
琴子は着物の夢を見る
ほしおさなえ/角川春樹事務所
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総合評価

24件)
3.6
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9
10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「このままいくとすぐに八十や九十になってしまいそうだ。そして死ぬ。だけどまだまだ読んでいないものがたくさんありますからね。死ぬまでにどれだけ読めるか」 たくさん読むものがあると思うと私もワクワクします。積読の言い訳にもなると思いました。 戦争がもたらした少女時代の悲劇。戦時中にはこのような話が数えきれないほどあったのでしょうが、小説中に描かれると非常に生々しく、改めて戦争の残酷さを感じました。

    1
    投稿日: 2025.11.06
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    かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品 着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。 琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。 日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。 昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。 今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた 〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だから持ち主の見たものをそのまま染み込ませ、包み、守ろうとする。人に着られなくなっても。〟 綺麗なものを身に纏っていても抱えた想いが着た数の分だけ宿ってる。 とても素敵なストーリー設定でした。

    8
    投稿日: 2025.10.28
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    八王子の老舗呉服店養女として育てられた琴子。弟の様に一緒に育った柿彦が始めた着物のリユース店を手伝っている。 琴子には夢の中で着物の記憶を再現してしまう特殊な能力がある。 持ち主たつ子の戦時中の悲しい気持ちが、浄化される様に薄れてゆく。 着物の知識がなくても、丁寧な描写で手触りや柄が浮かぶ。伝統美を感じつつ不思議な世界に入って行くことができた。  今後、柿彦との関係も楽しみだ。

    2
    投稿日: 2025.09.27
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    着物の記憶を見ることが出来る琴子。着物が語るのは、時代に翻弄された少女達の儚い青春。静謐で美しい作品でした。銘仙の着物や「少女の友」など当時の文化に触れられるのも素敵。 着物に向き合う時の琴子の危うさが気になるので、続編も読んでみます。

    4
    投稿日: 2025.08.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    着物の記憶が見える琴子の物語。 戦争や空襲の記憶、そして後悔。苦く苦しい想いと記憶にふたを閉め、しまいこんでいた着物は、持ち主の死後、遺族によって見つけられる。たぶん着物も想いを秘めている。だからこそしまい込まれて、訴える相手長い間いなかった着物は、再度しまわれる前に琴子を夢へ誘ったのだと思う。 さみしさとあたたかさの混ざる物語。

    1
    投稿日: 2025.08.10
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    雑誌と共に片されてた。 最期を聞いてしまったからこそ夢を追う事を辞め、好きだったものから距離を置いたのだろうな。 大切な友人だったからこそ、物語の中でぐらい楽しく生きて欲しかったのかもしれないな。

    0
    投稿日: 2025.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほしおさなえさんらしい物語。着物に宿る思いを感じ取る事ができる琴子。琴子の(複雑だけど)従兄弟の柿彦と共に、着物のリユースの仕事をしている。今回は戦争が絡むので特に重たく、琴子も夢に引き込まれ帰ってこれなくなりそうに。夢を見ると琴子も疲弊し、白髪も増えるというので、これ面白いシリーズだけど、琴子の身体が心配じゃん。と思ってしまった。

    3
    投稿日: 2025.07.09
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    リユース着物の店で働く琴子 着物に残る記憶がほんのり視える彼女は、 気になる記憶があるとついつい深入りしてしまう 椿の柄の銘仙に残る記憶は…… 家の箪笥にしまったままの着物には 何の記憶も無いんだろうなぁ きっと ほとんど着てなくて ごめんね

    4
    投稿日: 2025.07.01
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    着物の記憶が視える琴子の話。その着物の持ち主の謎を追う!とかじゃなくて着物の記憶に寄り添ってくれるのが温かく感じる。着物の抱える記憶に戦争は誰も彼もを傷付けたのを感じ辛くなる。着物に心を砕く琴子が儚く感じ、柿彦や店の人や周りと関わってほしい。

    5
    投稿日: 2025.05.15
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    着物の記憶が読める主人公の話。 琴子の存在が儚すぎて、読んでるこっちも柿彦の気持ちと同化してしまいます。 シリーズ化するようですが、話が進んでいったら白髪もどんどん増えちゃうし、毎回柿彦がハラハラしちゃうのでほんとほどほどに。 戦争は何もかも奪い、雲の上だけがいい思いをするだけ。どんな理由があっても戦争だけは繰り返してはいけないですね。

    1
    投稿日: 2025.04.10
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    2025/03/22 読了。 図書館から。 ほしおさんの新シリーズ。 自分が今まで読んだ作品の中だと、年齢高めの主人公で 落ち着いた作品かと。 着物も全く分からないんですが、学びながら読めるので シリーズ続くといいな。 柿彦との関係性も良き。

    0
    投稿日: 2025.04.01
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    今後シリーズ化しますから、よろしくねという 名刺がわりの一冊かな。 タイトルは比喩かと思いきや、 本当にがっつり夢見てたのでちょっと驚き。

    4
    投稿日: 2025.01.30
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    着物に宿る記憶を見ることが出来る主人公と1着の銘仙を巡るお話です。 人はいずれ居なくなるが、物は残る事もある。けれど残った物には、かつてそれを使っていた人がいるのだ。 当たり前の事かもしれませんが、それを改めて認識する事が出来た作品です。 付喪神的な発想ではないですけど、物に記憶や想いが宿っているというのは、スッと納得出来るというか、あっても全然おかしくないですものね。自分は主人公と違ってそんな能力ないけれど、今なら博物館とか行ったら、当時の人に存分に思いを馳せてしまいそう。 言葉の園のお菓子番シリーズ以外の初ほしおさなえさん作品でしたが、こちらも面白かったです。 戦争にまつわるエピソードのお話でしたが、ほしおさんの作品は感情が乱されず、良い意味で落ち着いて読めるので、日曜の夜でも安心して読めます。 出てくるメインの登場人物たちの精神が皆安定しているからなのか?とりあえず今回も素敵な作品でした。

    0
    投稿日: 2024.12.22
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    八王子で着物のリユース鑑定をして暮らす琴子は着物の思いを見ることができる。雪代の祖母の銘仙の着物を預かる。雪代の祖母の過去に触れて「椿となでしこ」の交流と戦争によって引き裂かれた二人の思い。作中で語られる柿彦の先の大戦の日本に対して、戦争というものに対しての考えにハッとさせられた。琴子の両親は何者でなぜ善一夫婦に預けられ養子になったのか明かされていないのでシリーズ化するのかな。

    1
    投稿日: 2024.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    着物に宿る記憶を通して、琴子は戦時中の少女たちの思いを知る。同時に、戦争体験を語る口が重かった養母の思いを推し量る。 当時恵まれていた少女たちの甘さが問題なのではない。彼女たちが抱いた志を広められず、守れない時代を造った人間たちが問題だ。

    3
    投稿日: 2024.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リユースの着物を扱うお店で査定をしている琴子は着物に宿る記憶が視える。そしてある銘仙の椿の着物と出会いその世界に引き込まれて夢を見る。戦前の少女の友の乙女の世界と戦争のもたらす悲劇、物にはいろいろな気持ちが詰まっている。

    0
    投稿日: 2024.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    着物の持つ記憶が視える琴子。 両親を失い、養父母のもとで育ち、叔母、甥の関係である柿彦だけが琴子の力を知っている。 しかし、琴子は着物の記憶を探ることで疲弊し、その世界から戻れないかもしれない危うさも持つ。 琴子の生きづらさ、柿彦以外本来の自分を見せられず、世間から少し距離を置く姿は静かだが、 少し寂しく感じる。 色々な着物の遍歴を辿る話と思ったが、たつ子の銘仙の着物だけに向き合う話だった。 銘仙の着物を持っていたので、その歴史がわかって興味深かったが、たつ子の着物が持つ記憶は、時代的に想像のつくものだったので、もう少し掘り下げても良かったかも。 しかし、戦争のもつ残酷さが着物にも記憶として持ち続けていることに、悲しみも感じる。 文章はほしおさんらしい。

    0
    投稿日: 2024.12.01
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    着物に宿る記憶が視える。 このことに固執した物語だなと思った。 次から次へ着物の記憶を紐解きその物語を味わうという感じではなく、特異な体質を持ったことで生まれる生きにくさや持ったからこそ得られるものが琴子をどう動かすか、そういったことに重点が置かれている。 着物が好きでそれにまつわる物語を読みたいという人には少し退屈かもしれない。

    1
    投稿日: 2024.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    着物に宿る記憶を視ることができる琴子。 琴子が働くリユース着物店「本庄の蔵」の店長、柿彦。 ほしおさなえさんが今まで書かれてきた主人公たちより少し上の世代のふたりが今作の中心。 ふたりは姉弟のように育ったが、その実、関係性は叔母と甥である。 琴子は本庄呉服店2代目店主の養女、柿彦は3代目店主の次男。 一見複雑なようで、当人たちは全くそんなことはなく。お互い以外の家族との関係の方がよほど複雑で厄介だ。 着物に宿る記憶は、幸せな記憶もあれば暗く重い記憶もある。 戻ってこれないかもしれないと感じながらも視ずにはいられない琴子が危うく感じる。

    0
    投稿日: 2024.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    着物に触れたり、広げた下で眠ることで着物の遍歴を知ることが出来る琴子。親は無く子もなく伴侶もいないが、姉弟のように育った柿彦と共にリユース着物の販売に関わっている。ひょんなことからとある銘仙の持つ記憶を探ることになって… 琴子は年齢が近しい事もあり、若白髪に悩まされたと言う悩み(もはや年相応だが)もあり親近感がとめどない。本当は辞めたほうが良いのに着物の記憶を辿る事に惹かれすぎていて危なかっしいが、柿彦がちゃんと引き止めていて微笑ましい。 通常見る事は出来ないが、人の手を経て受け継がれるモノには必ず来歴がある。それはモノを使っていた人の生活。心楽しいばかりでなく、重い歴史を背負う事もある。 椿となでしこのシスターフッドは戦争の為に破壊された。大人に作られた少女像でも、かけがえのないものだったのに。 「いつか、きっとまた会いましょうね」に幾重にも込められた思いは哀しくて重いけれど、ちゃんと昇華してもらった。人間の哀しさを受け止めてくれるほしお作品が私は心から好きだ。 表紙絵も作風にピッタリだと思う。 銘仙の仕組みに目から鱗。裏返して2倍使えるとは… 絹の道は大いに興味がある。富岡製糸場もとても面白かったけれど、絹を産み出し運んだ土地土地を巡るのもきっと面白い。 『少女の友』の歴史的意義も知ることができる。昔の雑誌って本当に細部に至るまで本気しかない。展示された戦前の物を見るたびにそう思う。 最近は秩父寄りに縁があるらしく、飯能、小川町へ行く機会がある。今年の締め旅行はちちぶ銘仙館へ行くことにした。銘仙作りをしっかり体験したい。 着付けも出来るようになりたいなぁ。

    4
    投稿日: 2024.10.18
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    着物の記憶を見ることができる琴子さん。 ずっしりと重い記憶をたどる夢だった。 事実を変えることは出来ないけど 寄り添って前に進むことはできる 着物から聞こえる声に耳を傾けた 不思議な思いの詰まったお話でした

    1
    投稿日: 2024.10.09
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    着物に宿る記憶を読み取ることができる琴子。強い想いのある着物にはつい惹かれてしまう。 リユース着物の査定を行う中で出会った着物にはひときわ強い想いが隠されていた。着物を着てた人物の過去をたどっていく中で見ていくのは重く辛い記憶。琴子は着物の記憶と同化していくうちに詳しい過去が明らかになっていく。 着物の記憶を受け継ぐ、儚くも力強い物語だった。

    0
    投稿日: 2024.09.07
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    ほしおさなえさんの作品は、物語もさることながら知的好奇心を掻き立てられるので、読んでいてとても楽しい。今回は着物。銘仙についてとても興味を持った。

    0
    投稿日: 2024.08.26
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    タイトルや装丁から、ほわっとした内容なのかと思っていたが、意外にもなかなか読みでのある本だった。 今回は銘仙の着物の話し。 銘仙の着物を母に見せてもらったことがある。 正絹の着物と違い、大胆な色柄だったことは覚えているので、椿の着物をなんとなく想像することはできた。 秩父の銘仙館等から、銘仙について詳しく知ることができ、懐かしい着物を思い出すこともできよかったと思う。 琴子の考えは、少し難しい部分もあったが、もう少し琴子のことを知りたくなった。 続編を待ってみようと思う。 2024/08/20 21:31

    2
    投稿日: 2024.08.21