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AIは短歌をどう詠むか
AIは短歌をどう詠むか
浦川通/講談社
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総合評価

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    俵万智や永田和宏の歌を学習したAIの作歌例をみていると、50首に1首くらい良い出来のものが出てくるかな〜という感じ。wikiを食べさせていた時より語彙力や表現が増えたという指摘はそうかもしれないけど、作者の歌の二番煎じ感が強くて気になった。上の句と下の句の組み合わせは斬新でも、下の句に既視感があれば全体の新しさは失われてしまう。気が遠くなるほど大量の歌を学習させればマシになるかもしれない。あと良くも悪くも俵万智自身の作風も濃いというか、選ぶ言葉がまとまっている方だから、木下龍也AIの方が目新しさは生み出せているのかも。 絵師の間で勝手にAI学習させてトラブルになるみたいなことが頻発している(と認識している)けど、短歌AIはまだ界隈も小さく、作者の許可を得た場合のみ学習に使われているからか、学習対象となった本人の分身という印象が強かった。だからこそ複数の歌人を混ぜたらどうなるのかが気になるし、一方でそこで初めてAI短歌が脅威を持つのではないかとちう恐ろしさもある。 今のところ、アマチュアにしろプロにしろ自分の作品を食べさせて、作歌するとき助っ人みたいに使うやり方ならAI短歌は有用なのではないかと思う。本書でも指摘されていたように、短歌を作りたいと思う衝動は人間にしか拾えないし、見つけたフックから表現に落としこむことこそ苦しくて楽しい営みである以上、AIに短歌を詠んでもらおうとする人は少ないだろう。その点、絵が言葉とは一線を画し、人間から倫理観を奪っている事実が興味深い。 ・鏡、あるいは壁打ちとしてAI短歌を使う ・AIは人が持っているような冷たさを持っていない ・創作はこれまでにない新たな表現をつくる行為 ↔︎これまでの歴史の中でいいとされている作品をAIに学習させ、それを基に作品をつくらせること

    1
    投稿日: 2025.11.28
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    「情景を思い浮かべて創作する」人とは異なり、AIは膨大なテキストデータをもとに、次に現れやすい単語を統計的に予測しながら短歌を詠む。 よって「あたりまえ短歌」になりがちなところ、歌人の協力のもと作品を多く学ばせたり、施行を重ねることでふと趣のある作品が生まれたとのこと。 「AIと人間」という話題になると、対決!といった構図が生まれやすいものだけれど、そればかりではないはず。 奇跡の一首を楽しむ、壁打ちに付き合ってもらう、やり取りの中で自分自身の発想が豊かになる…などなど。 うまく付き合っていくのがAI時代のコツかなと思わせる結びでした。

    0
    投稿日: 2025.11.25
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    AIと人間の発想の違いが具体的に感じられた。また、いい短歌や詩に感じられる共通点の「ちょうどよい飛躍」について視点が得られた。

    0
    投稿日: 2025.11.02
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    ・人間が短歌をどう作っていくのかというプロセスをAIに教えるために細かく言語化された感じがあり面白かった。 ・短歌の面白さを日常的に使われる言葉とのズレから生じるとして、そのズレ(=「飛躍」)をどう自然な言語を話す生成AIで実装するかという話が面白かった。 ・「飛躍」の強弱を調整しながら短歌を作り上げていくプロセスの結果、自分がいいと思える短歌ができるというのは見ていて不思議だった。 ・AIは入力となる上の句(最初の5文字、12文字などでもよい)がないと短歌が生成ができないのは確かになあと思ったが、人間も無から短歌を生み出しているわけではないから構造は同じだと思った。 ・"AIは人が持っているような冷たさを持っていない"というフレーズが逆説的で好き。 ・特に好きだったのは下の2首。 揺れている構造物があるとする場合に限り地震の揺れは 街角の影がくっきりふりかかる太陽からの冷たさに耐え

    0
    投稿日: 2025.10.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    俵万智さんの『生きる言葉』の「万智さんAI」の詳細が気になり、読んだ。AIの本は何冊か読んだが、言葉がテーマになっており、異なるアプローチで興味深かった。AIの言語モデルの仕組みを解説した上で、AIの作る短歌の制作過程を見ると、人間とAIの違いがわかる。読む前はAIは人間らしい短歌を作り出せると楽観的な考えだったが、一筋縄ではいかないことがわかった。また、どうすればAIを活かせるのかを考えるようになった。著作権などの問題なども含め、上手く付き合っていく方法を考えていきたい。

    0
    投稿日: 2025.09.05
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    俵万智さんが『生きる言葉』でお勧めされていたので読みました。 人間はAIに「何を任せるか」という視点 P101 人は短歌を詠みたい「きっかけ」や「気持ち」、またひょっとすると「予感」のようなものまでが自然と湧き上がってくる。あるいは能動的に掴むことができる生き物です。 これは、短歌を簡単に生成できるAIを前にしたとき、際立ってくる性質のように感じます。 (中略) AIによる生成では、歌をつくりたい。誰かに伝えたい、といった動機の部分が存在していません。 第3章「詠む」前に「語る」 疑似短歌を学習したAIの生成を見てみる。 P110 入力 はたらけどはたらけど猶 生成 活躍の道は限られるというわけで (わが生活(くらし)楽にならざりぢつと手を見る) 石川啄木より 入力 春過ぎて 生成 人見知りを克服して友人も多し同性から (夏来るらし白たへの衣干したり天の香久山) 万葉集より 第4章言葉を飛ばすより P169 これらの生成をなぞっていくと、「ああ、なんでそんなに素直なのだろう」と言いたくなってしまうようなものばかりです。もっと言えば、「短歌にできそうなのに、なりそうなのに、絶対にそうはさせない」ようなつまらなさへの「固執」すら感じます。この結果は、私たちが歌をつくるときには「普段の日常生活で使っている言葉から一度離れる必要があるという当たり前のことを教えてくれているのかもしれません。 この章から学ぶ『短歌入門』 P182 ●書きかけの短歌を用意する ●以下三つの方法で<書きかけの短歌>の続きをつくる。 ①何も考えず思いつくままに言葉をつないで、続きをつくる。 ②一語一語とにかく飛躍させながら、続きをつくる ③自分が心地いいと感じる飛躍の具合で、続きを作る。 ●それぞれの短歌について評を書く。 どういう目的で作られた本なのかなと思いました。 これから歌壇がAIにのっとられるという話ではなさそうでした。 AIの作る短歌は面白かったです。 俵万智さんの歌で学習したAI、永田和宏さんの歌を学習したAIもでてきて、笑える短歌ばかりではなく、もしかしたら名作かもと思ってしまう歌もありました。

    142
    投稿日: 2025.08.02
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    AIにはまだ、文字から実際の感覚や情景を結びつけるのが難しいようだ。 たとえば「気持ちのいい雨」と聞いても、雨に濡れた地面の匂いや、光にきらめく雨粒などを思い浮かべることはできない。 一方で、強みもある。短時間で大量に生成でき、ダメ出しややり直しにも疲れない。こだわりや思い込みがないからこそ、人が思いつかないような言葉を選ぶこともある。 またAIには、一度学習した内容が、異なる種類のデータによって上書きされ、以前の知識を忘れてしまう現象があるそうだ。 記憶は機械の得意分野だと思い込んでいたので意外だった。 人間は、良くも悪くも、どうしても忘れられない記憶を持ち、それらが積み重なることで「自分らしさ」を形づくっている。そうした記憶のあり方こそ、人間らしさの一つなのかもしれない。 短歌を作るとき、言葉を選ぶ背景には、自分の経験や記憶がある。そのきっかけが、AIであってもいい。 囲碁やチェスのように対人間の勝敗が注目されるAIだが、短歌のような創作の場では、競争にとどまらない関係性が築けるのではないか。 本書からは、そんなAIとの新しい向き合い方へのメッセージを感じた。

    23
    投稿日: 2025.05.23
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    朝日新聞社の研究者による、AIで短歌を詠む研究紹介という趣。短歌という言語の中では最もクリエイティブ側に寄せたテーマを選ぶことにより、AIの可能性や人の関わり方にうまく光を当てていると思う。 途中で引用される歌人の永田和宏さんの言葉。 「歌をつくる前はこう思っていたけど、歌をつくるプロセスでこうも思ったんだという自分の発見があって。…そうした言葉をAIが見つけてくれようと自分で見つけようと、本質は変わらないのかもしれない」 読みながら感じていたのは、結局は人はその費やした時間やプロセスより形成されるのではないかということ。AIにより短時間でのアウトプット量を劇的に増やすことはできるが、それは自分のものにはならない。AIを大いに使ったとしても、AIを対話相手としながら自分の頭と感性を働かせ、そうして紡ぎ出したものは自分のものになる。これは短歌といったクリエイティブに関わることに限らず、実務でもそうではないかと思う。DeepResearchを使うのも、文章や提案書、スライドを作らせるのも、同じ。いくら見かけのアウトプットを増やしたところで、自分は変わらない。自分を変えられるのは、費やした時間、プロセスだけだ。そのように思えた。そしてそれは、今の自分にとって大切な気づきだったと思う。 生成AIによる自然言語処理という実務的な関心から本書を手に取ったが、むしろ上記のような発見の方が大きかった。

    1
    投稿日: 2025.05.17
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    「AI短歌」の構造、人間とAIの差異を著者の取り組みをベースに語られている。 AIを壁打ち相手とするや批評の実例とするなど、短歌に限らないAIとの付き合い方を提言される。 そもそも短歌に疎いので、そちらから攻めていこうと思う。

    5
    投稿日: 2025.01.21
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    浦川通(1988年~)氏は、早大大学院基幹理工学部研究科数学応用数理専攻修了、大学在学中からプログラマーとしてモバイル・アプリケーション制作等に携わり、メディアアート・広告制作等を行った後、2019年より朝日新聞社で自然言語処理の研究開発に従事。 本書は、著者が自然言語処理の研究開発の中で心血を注いできた「短歌AI」について、その仕組みを解説しながら、より根本的な「コンピューターが言語を処理するとはどういうことなのか?」から、「AIが短歌をつくる際にはどんなことをしているのか?」を明らかにしたものである。 また、著者が短歌AIの試作を始めた頃、朝日新聞社の朝日歌壇を担当する文化部が、テクノロジーを使った新たな企画を欲しており、俵万智や朝日歌壇選者の歌人・永田和宏らの協力を得たられたことが、同研究および本書の内容に格段の厚みをつけている。 私は、コロナ禍の頃から某新聞歌壇に投稿を始め、ときどき掲載されるようにもなったのだが、まさに「AIが短歌を詠むとはどういうことなのか? それは自らの短歌作りの参考になるのか?」と思い、本書を手に取った。 一通り読んでみて、AIが短歌を作る仕組みについてはよくわかったが、AIを短歌作りにどう活かすかといった部分については賛同しかねるところもあった。 まず、仕組みに関しては、ChatGPTが一般に解放された頃、生成AIの言語モデルの核心は、「膨大な言語データの中から、次に来る可能性のある言葉を予測し、それを繋いで文章を作る」ことだと知り、驚いた覚えがあるのだが、短歌AIの仕組みも、当然ながら全く同様である。ただ、(生成AI全般において)単純に最も高い確率の言葉を繋ぐだけでは、自然な文字列にはならないため、「ビームサーチ」や「サンプリング」等の様々な手法が試みられている。そして、本書では、短歌AIに、学習データをウィキペディア日本語版にした場合と、俵万智の作った短歌にした場合に分けて、様々な条件を付けて短歌を作らせ、比較をしているのだが、モデルの仕組みから考えて当然ながら、俵万智の短歌で学習した場合の方がはるかに短歌らしいものができる。これらについては、(おそらく)短歌に限らない、文章を生成するAI全般に当てはまる仕組み・特徴でもあり(「五七五七七」のリズムにする点は短歌に特有のものだが、それは本書で語られていることの本質ではない)、それについてはよくわかった。 そして、最後段には、そうした短歌AIとの「付き合い方」として、「壁打ち相手になってくれたら」、「私をうつす鏡になったら」、「似ている歌を教えてくれたら」等のアイデアが紹介されているが、私としては、データベースとして使うことの有効性は理解するものの、それ以外については賛同することは難しい。それは、短歌AIが、過去のデータに基づいて確率的に言葉を並べているだけである以上、人が見、聞き、感じたことを言葉にする短歌とは、本質的に異なるものだからだ。(そんなことは、著者も百も承知のはずではあるが) 「短歌AI」を通して、生成AI・言語モデルの仕組みと限界を知ることができると同時に、人が短歌を詠むことの意味を再認識させてくれる一冊と言えるだろうか。 (2024年12月了)

    3
    投稿日: 2024.12.04
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    読書会をきっかけに、以前から気になっていた本書を図書館で借りた。移動中に読了。 タイトルに私が抱いた印象は「AIは短歌をよめるのか?!」という驚きと疑問。人の心が宿る短歌を、心を持たないAIがよめるのだろうか。 結論は、「現時点ではAIによる学習と人間の工夫により、短歌らしい言語配列が可能となる」ということ。 AIに短歌を詠ませるために、膨大な既存のデータを覚えさせる。言わば、詠むために読む作業が必要なのだ。言い換えれば、AIが出力する短歌は、人間が過去に生み出した膨大な創作物の集積から生み出されたものであるといえる。 ひとにあって、AIにないもの。それは、短歌を詠む動機である。また、言語データとしてデータベース化できない個人の体験を含んだ短歌の創造も、ひとにしかできない。 逆に、AIにしかできないこと。それは短時間に数百の短歌を書くこと。 ひとはあたたかいとよく言われる。 「AIはあたたかい」この言葉の響きはどうだろうか。人は冷たくなることがあるが、AIにはそのようなことがない。そう思うとAIは確かに温かい。 AIと人のよむ短歌の違いから、人が短歌をよむ意義を再認識できる。 湯川秀樹さんは著作の中で『人間は具象以前の世界を内蔵している。そしてそこから何か具象化されたものを取り出そうとする。科学も芸術もそういう努力のあらわれである』と述べていることを思い出した。 AIとの付き合い方を考えるヒントになった。

    12
    投稿日: 2024.10.26
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    AIで短歌が創れるか? ここで紹介されるAIは上の句の入力を受けて、下の句を出力するというもので、お題に対して一句詠むというものではない。どちらかと言うと、次のフレーズを選択・抽出するものだ。それも予めセットされるある一定の言語モデルに準拠してだ。 なぜ、無限の言語モデルではないのだろう。そのあたりは今後さらに発展するのでしょうね。 現段階では、歌人の凄さが際立つね。AIが出力した句でも、歌人(本書では俵万智さん)が、単語1つ入れ替えるだけで見事な句になったりする。そっか、AIはまだ推敲はできないんだね。

    0
    投稿日: 2024.09.03
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    調整する前の短歌AIは説明的であり当然そうなるであろうことを出力し、それは面白くない。短歌の味わいが、ずらし、飛躍、ワンダーにあることをあらためて気付きました。短歌AI初夏の光とともにやってくる「午後の地下鉄ふくらんでゆく」→山手線がふくらんでゆくに添削。初夏の光、地上を走る山手線、目には鮮やかですが、外は夏の陽、地下鉄ホームのもわっとした空気ごと入線してくる車両のことかと思うと短歌AIにもシンパシーを感じますがこれが説明的になる要素かもしれません。

    0
    投稿日: 2024.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「この本の目的はAIを駆使した短歌のつくり方を解説することにはありません。むしろ、AIが短歌をつくる過程を通して人が短歌をつくること、ひいては私たちが毎日扱う言葉について、新しい視点から考えることを目指しています」 残念ながら、「むしろ~」の考察は平凡です。文量もほとんどありません。大部分は「AIが短歌をつくる過程」です。この本の内容はこちらになります。 序 章 コンピュータで言葉を扱う自然言語処理について説明 第1章 新聞社の取り組みである短歌AIの概要 第2章 型を扱うAIの仕組みや挙動から短歌の定型 第3章 学習データによる言語モデルの生成の違いから作品に触れることの重要性 第4章 言語モデルの生成手法から歌をつくるための語彙選択 第5章 AIとの付き合い方 以下、お気に入りの箇所。 「永田さんは「自分の時間だけには嘘をつかないで」歌をつくり続ける、ということをおっしゃっていました。これは、過去の出来事や未来に起こりうることを頭の中で展開して短歌をつくるのではなく、まさに自分が立っている「いま」から、いまの自分にしかつくれない歌をつくるということです。そしてそれが、人生という有限の時間の中で歌をつくる人間の特権である、ということではないでしょうか」

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    投稿日: 2024.07.29
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    丁度、AIが生成した短歌のクオリティの高さに驚き、これなら素人の私がわざわざ拙い歌をうんうん考えて詠む価値など無いのでは?と考え出した時に出会った本で、すぐに購入して読みました。 読んだ結果、己なりのAIとの上手い付き合い方をしていこう思え、趣味の短歌を続ける意味も見出せました。ありがとうございます。 分かりやすい文章でAIの仕組みについても知れて良かったです。

    0
    投稿日: 2024.06.28