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フィッツジェラルド10 傑作選
フィッツジェラルド10 傑作選
スコット・フィッツジェラルド、村上春樹/中央公論新社
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総合評価

8件)
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    本書はグレートギャツビーを読んだ後に読んだ。 フィッツジェラルドの大量に書いたとされるハッピーエンドストーリは読んだことがないけれど、どんなハッピーエンドなストーリーを書くのか興味深く感じるほど、ハッピーエンドでなく、読んだとの余韻(フィニッシュ)が奥深い。 男と女、恋、そして結婚・夫婦への時の流れと心情の描写がとても心をを打つ。 リッチ・ボーイ、バビロンに帰る、冬の夢、メイデー、クレイジーサンデーは没入して読めたがほかの短編は没入しきれなかった。

    0
    投稿日: 2025.05.05
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    素晴らしくよかった。 私のお気に入りは、圧倒的に「残り火」。 植物人間状態になった夫を献身的に世話し続けるロクサンヌ。「一日の殆んどの時間を夫の傍で過ごした。薬を与え、枕をなおし、あるいは話しかけたりした。人が見れば、頭の良い犬に話しかけているのかと錯覚したかもしれない。返答を求めるでも、理解を期待しているわけでもない。そこにあるものは、燃え尽きた残り火の中に微かな暖を求める、祈りにも似た想いだった」 この最後の一文が素晴らしすぎる。 なんで美しく、かつ的確な表現なんだろう。 このほかにも、「氷の宮殿」は、南部と北部ってこんなふうに違うんだなあと感じられてすごく面白かった。 「冬の夢」は、こんな風にほとばしる魅力で好きな人を虜にできる女の子いいな、私も最愛の人だけでいいからそうなればいいのに、と思いながら読んだ。 この外見と内面がリンクしたすさまじい美しさってどんなんなのだろうね。 「リッチ・ボーイ」はいかにもフィッツジェラルドっぽい(グレート・ギャッツビーみたいなこういう主人公は、私は全く好きではない。せめてもう少しうらぶれていないと共感できない)。 フィッツジェラルドの作品はどれもぱっと見は明るく楽しいなのに、根底には切なさや哀しみがある。孤独がある。 読んでいた時期、私はちょうど切なくて哀しい思いをしていたから余計に沁みた。 アメリカは好きじゃないし行ったこともないけど、アメリカの小説はたくさんよんでいるから、特に戦間期のアメリカの雰囲気にはとても馴染みを感じるようになっている気がする。 いつかはいかないとな。

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    投稿日: 2024.12.27
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    学生時代、村上春樹さんの世界に少しでも触れたくて、繰り返し読んだフィッツジェラルド。世界大恐慌の前後のアメリカに合わせて、当時の「酒と薔薇の日々」のような、主人公たちの繁栄と衰退を描く。

    4
    投稿日: 2024.09.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「バビロンに帰る」のみ読んだ。亡き妻も娘も愛しているのに一緒にいられないもどかしさ、切なさ。でも冒頭のバーで義姉の住所教えてるから自業自得だろ、とも思う。

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    投稿日: 2024.09.14
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    大学生の時には全く良さが分からなかったフィツジェラルドにあらためて出合うことにしました。 村上春樹が選ぶ10の短編と、エッセイが3編収録されています。 基本的にどの話もお金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃんのやり取りで、感情の振り幅も行動の振り幅も「えっ?」て言うようなもので、あまり感情移入しきれない。 しかし、「冬の夢」でも「バビロンに帰る」でも出てくる喪失には共感して「あー…」ってなる。 そうして読み終わった後に、少し重い気だるさと諦念が残る。 フィツジェラルドはどこかで「人生は失っていく過程だ」みたいなことを書いているらしいけれど、そうだったら、この一編一編は一つ失って、人生を一つ進む、成熟の物語かもしれないなあ。

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    投稿日: 2024.07.14
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    多作であったフィッツジェラルドの短編とエッセイを10つ集めた一冊です。 分かっていたことではありますが、どの作品も薄暗い現実を描いています。もちろん、ハッピーエンドなんでありません。基本的に、かつての幸せや豊かさがもうそこにない人々の話です。かつての若さや美しさが失われてしまった人々の話です。 中には、それでよかったんだよね、と声をかけたくなるような主人公もいます。「氷の宮殿」や「風の中の家族」などがそうでしょう。

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    投稿日: 2024.06.29
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    もちろん、村上春樹翻訳だから買った。しかし、ほとんど昔買った文庫の中に入っている。30年ほど前に一度は読んでいるはず。でも全く覚えていない。きっと今とは感じ方も違っていただろう。それぞれの読後感。 「残り火」情景描写が美しい。 「氷の宮殿」二人の私がいる。ものぐさでけだるい私とエネルギッシュな私。 「リッチボーイ」僕っていったい誰なんだ。 「カットグラスの鉢」その鉢の意味が最後になってやっとわかった。最後までわからなかった。 「バビロンに帰る」前に読んでから僕も子育てをし、いろいろな人生を歩んできた。だからこそわかることがある。なんともいたたまれない結末である。 「冬の夢」結婚して、子どもを産んで、見るも無惨なということなんだろうか。百恵ちゃんだって・・・「戦争と平和」のナターシャだって・・・ 「メイデー」禁酒法という時代背景を知っておく必要がある。あなた、お酒飲んでるの? どうしてお酒なんて飲んでるの? という言葉の意味合いがずいぶんと違ってくる。他の作品と比べて、短い期間の話で場面が展開し、登場人物も多い。どこでどう交差するのか気になりながら読んだ。全般的には酔っ払いの乱痴気騒ぎが続くが、僕も学生時代には似たようなことをしたものだ。そして、拳銃はスポーツ店で買えるわけだ。 「クレイジー・サンデー」 もう少し先まで読んでみたい。とりあえず、お酒に負けてしまっている。 「風の中の家族」ハリケーンが来る前と来た後、およそ1:2。前半の話だけでも十分おもしろそうな物語なのだが、突然やってくる嵐。今のように速報が流れてきたりもしないだろうから、やはり突然命を奪われたという印象なのだろうなあ。そんな中で拒んでいた手術に臨む。結果がどうだったのかが僕ははっきりと読み取れていない。  3つのエッセイは結局どれも僕の心には残らなかった。

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    投稿日: 2024.01.11
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    二十代の輝き、哀切の晩年。一冊で見渡すフィッツジェラルドの作品世界。思い入れ深く訳してきた短篇小説とエッセイから村上春樹がベスト十作を厳選。

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    投稿日: 2023.11.13