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あらゆる薔薇のために
あらゆる薔薇のために
潮谷験/講談社
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総合評価

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    難病、「オスロ昏睡病」が快復した患者の身体には、後遺症として薔薇の形の腫瘍ができる。 治療方法を確立した医師の殺害を皮切りに、元患者、通称「薔薇持ち」たちが次々と殺害めぐるされる事件が発生。自身も「薔薇持ち」である京都府警の八嶋は、病とその治療方法の闇に切り込んでゆく。 メフィスト賞作家塩谷験さんによる、架空の病気をめぐる特殊設定ミステリです。 どちらかと言えば主題は犯人やその動機よりも、病気やその治療法の真実、そして自己とは、意識とは何なのかという哲学的な問いに感じます。 白昼夢や身体に薔薇の浮かぶ病など、小説ながら視覚的な美しさに幻惑されるような描写が多く、夢見るような気分になりました。 ミステリというよりはファンタジーやSFに近い気がしますが、壮大かつロマンチックで面白かったです。 *** これが刺さった人はきっとこの本も好きじゃないかな。 『失われた過去と未来の犯罪 』小林泰三(角川文庫)

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    投稿日: 2024.06.26
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    病気の特性が犯人を特定するキーになったりもするのだけれど、さすがにこれを特殊設定ミステリと呼ぶのは無理があるだろう。お話の軸になるのは犯人当てではなく、謎の病気の正体を巡る探求だし。最後にはそこからあれれと言うような大風呂敷を広げる。この世界観はやっぱりSFと呼ぶべき。SFの読者に歓迎されるかというと微妙な気もしますが、逆にこのロマンチシズムが本来のSFという気もします。

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    投稿日: 2024.02.02