
総合評価
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powered by ブクログ1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガル首都リスボンを襲った大地震がこの街を一瞬にして壊滅させた。この危機に素早く対応した大臣カルヴァ−リョ、被災者の救援、食糧配布、遺体の処理、治安維持に着手し、新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した歴史ノンフィクション。カトリック教徒世界、オランダのカルヴァン派の説教師たちは、この災厄は、腐敗堕落と罪を流し去って邪なる者たちに改悛の神の裁き。自らの改悟の念で食い尽くされる街は滅び去る運命とし、ファナティズムに火を付ける。
8投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログとても面白かった。日本人としては多大なシンパシーを禁じ得ない、大地震と後続する火災、津波という巨大災害。カトリック教会の影響力が強く合理的精神が根付いていなかった当時のポルトガルで、宰相がどのように復興を指導したのか。またそこに至るまでのポルトガル史や、大航海時代を経てグローバル化の進んだヨーロッパ情勢も含め、とてもわかりやすくまとめられていた。 災害後、呆然とした国王の「何をどうすればいいのか」という嘆きに、「死者を埋葬し、生者に食糧を配ることです」と宰相が答えたという逸話は、非常に印象的。仕事もこのような明快さ、的確さとリーダーシップで捌いていきたいものだ。
1投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログリスボン地震は18世紀の中頃に発生している。当然ながら、地震そのものはそれまでにも、そのあとにも起こるのだが、リスボン地震は当時のヨーロッパに与えた文明史的な意味において、大きな衝撃を与えている。 リスボンはポルトガルの首都であり、18世紀に繁栄していたわけだが、地震直前のリスボンにおいては崩壊の兆しがあったという。莫大な富はあるものの、王室が独占し民衆は貧困のなかにあった。そんななかでリスボン地震は起こる。 リスボン地震の前後のポルトガルを描きながら、当時の宗教観や哲学、地震学の兆し、復興にも触れる。リスボン地震を総括する本としては、とてもよくまとまっていると思う。
0投稿日: 2024.01.14
