
総合評価
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powered by ブクログ刀城言耶シリーズ8作目。相変わらず迷ってばかりいる推理でありながら、内容自体は非常に好きでした。ラストのシーンも面白く、ホラーミステリーが見事に融合した一冊でした。昭和の辺境の村の妖怪やしきたりなどの民俗学的な要素を題材にした素敵なシリーズものでした。次の作品にまた期待。
0投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今回は未解明な部分も多く残る結末。それでも許されるのがこのシリーズの特徴である。 八百屋のお七的なサイコパス動機は衝撃的だったが、村人への聴取から尼耳家が村八分であることがバレる恐れはなかったのか。また、遠隔操作殺人というのが現実的じゃなくていまいちしっくりこなかった。約束どおり市糸郎が滝の側で望遠鏡を使う可能性、その望遠鏡が滝壺に落ちる可能性はいかほどか。仕掛けが別の場所で作動したら…望遠鏡が滝壺に落ちず現場に残ってしまったら…李千子も充分容疑者になり得ただろう。 また、李千子の怪異体験は結局何だったのか。なぜ怪異は「生名子」と忌名のほうを呼ぶのか。忌名の儀式にも謎は残る。 謎が残ることに不満があるわけではない(冒頭で触れたようにそれこそがこのシリーズの特徴だからだ)が、今回は言耶の推理が最後まで想像の範疇を出ず、何ら根拠がないものだったため、どこにも足をつけられないまま物語が終わってしまって消化不良だった。
3投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログこんな言い方は良くないけれど、冗長な説明箇所が多くて、いい加減に少しうんざりしてきます。 三津田さんのホラーともミステリーとも偏らない作風は好きで、これまでの書籍は欠かさずに買ってきているのですが……なんというかこう、民俗学的なテーマが入る話になると、それの説明やうんちくに裂くページが多すぎて辟易する機会が多くなってきました。 地の文でも言耶さんがうんちくを語りつづけているような感覚です。 物語の合間に必要モチーフとして出てくる範囲を超えていて、 むしろこのテーマについて調べたことを記載したいことが主になって、そこに物語が合間にくっついてくるように感じてしまいます。 読者としては、随所に民俗学的ワードの説明が入りつづけるので、物語に集中できない。 少なくとも、私は民俗学の本は好きな筈なのに、それを求めて三津田さんの本を読んでいるわけではないので、どうしてもイライラしてきてしまいます。 専門的な知識が知りたかったら、そういった専門書を読めばいいのだし。 家シリーズくらいの物語と知識のバランスが私にはちょうどいいようです。
0投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
刀城言耶シリーズ第11弾。? 忌名の儀礼で殺人事件。 その犯人探しが目的の推理小説であるが、このシリーズの特長であるホラーとの融合で、魔物の仕業であるかのような雰囲気があり 人間の仕業か魔物の仕業化という楽しさがあるが、最後は人間の仕業である処に落ち着くが、今回は最後にホラー感を残して終わる場面が良かった。 犯人探しも、皆の前で犯人当てをやり確定したのだが、後日 大どんでん返しがあり、凄い結末へ。 面白かったのだが、最後のどんでん返し犯人以外は状況あ分かりにくく、この評価になった。
0投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログ戦後間もない関西地方の村で起きた奇妙な殺人事件をテーマにした物語だが、特殊な読み方の語句が頻出する.尼耳(あまがみ)家、銀鏡(しろみ)家、虫絰(むしくびり)村、河皎(かわしろ)家等々.この村では7歳、14歳、21歳の子供に忌名(いな)の儀礼を執り行う風習があり、尼耳季千子(いちこ)が14歳の儀礼中に仮死状態になったことが話の発端となる.作家の刀城言耶がその事件の真相を探るべく村に出向くが、季千子と結婚を考えている発条福太も同行する.言耶が当所の警察と情報交換して真相を探る場面が楽しめた.さらに季千子の父 太市の隠し子 市糸郎が儀礼中に殺害され問題が複雑になっていく.19名の関係者が尼耳家の座敷に集って真相を議論する第15章が圧巻だ.犯人は意外な人物だったが、次々に新しい事実が出てくる展開は把握するのが大変だった.
0投稿日: 2024.06.05
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今回も子どもに対して容赦ない地方の奇っ怪な儀礼、「忌名の儀礼」の李千子の体験に第一章から震える。人生の災厄を忌避するための儀礼でありながら、こっちの方が危険極まりないじゃないかw ヒヤリが半端ないホラーとミステリーの組み立てを存分に堪能した後は、いつにも増して残された事件の謎が大きく、推理が推理のままで終わっちゃったなと油断していたら終章でドカンと真相の爆弾が投下されてやられた~!怖くてしょうがなかった第三章の終わりの伏線がここにきて炸裂しようとは…。 「マジかぁ…」と何度も呟いてしまう読後だった。
0投稿日: 2024.02.20
powered by ブクログ一見、シリーズ中では地味な謎。しかし、最終盤に怒涛のどんでん返し。ホラー要素も満点で、楽しめた。 ホラー要素を残しすぎるとミステリーとして成り立たなく、シリーズの中でもそういう作品はあるが、本作はその辺りのバランスが絶妙。 地方特有の悲しい業を事件の背景に感じる。
0投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログ刀城言耶シリーズ第8長編。こわいこわい。こわい話だった…。 いつもながら、怪異とロジックをうまく組み合わせているなと思う。話の展開がえらく遅いな、犯行動機にえらくこだわるな、今回は緻密なロジックはあまり語られないのかな、最後はいつもの二転三転する推理に突入するのだろうなと思いながら読んでいたら…。これはこわいよ。そしてそこに行くまでの道のりがこれまでのどの長編とも違う感じだった。ついでに偲ちゃんの扱いも違ってたな。
0投稿日: 2023.11.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全てを作者の手のひらで踊らされ続けた。自分の推理力で真相に迫るのもミステリーの醍醐味だが、このしてやられた感を存分に味わえるのもミステリーの醍醐味だ。正直今回の話、あんまり盛り上がらないなと思っていた。事件自体もそこそこありふれている。不可思議な現象も言うほど起きていない。現代のミステリー過ぎて何をどう考えるのが正解かわからない。そんな状態がずーーーっと続いていた。推理章になってもどの推理もやや平凡、最後の結末も筋は通っているが、確かめようがなさすぎて尻切れトンボ感が凄かった。あんまり入り込めないのは僕が寝不足であんまり頭が回っていないからかと思っていたがそんなわけはなかった。最後の最後にとんでもないメガトン級のストレートパンチが僕の顔面に直撃した。それと同時にすべての描写が意味のあるものになってきて、「ああ、してやられた」と僕は悟る。刀城言耶が事件に絡むきっかけにしては何故かそこそこ出番の多い発条香月子。いきなり明かされるが特に発展しない雨乞いの話。河しろ家の理由のわからん村八分。描写に一切の無駄なんかなかった。全ては計算のうちだった。僕はただただ三津田信三の手のひらで阿波おどりを踊っていた。 犯人は尼耳李千子。家柄を重んじる香月子に自分の家が由緒ある家と認めてもらうためには村八分であることがばれてはいけない。そのため殺人をし、葬式を行うことで相互扶助を発生させ、村八分であることを誤魔化した。ここ最近で一番の犯行動機だと思う。こんだけ動機で震えたのは「時計館の殺人」以来かもしれない。それだけの破壊力のある殺人動機だった。最高だ。
0投稿日: 2023.09.25
