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超進化論 藤井聡太 将棋AI時代の「最強」とは何か
超進化論 藤井聡太 将棋AI時代の「最強」とは何か
森内俊之/飛鳥新社
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総合評価

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     人間の知能を超えたシンギュラリティ時代に、ニンゲンはすることがなくなるなどという話がある。  将棋の世界では、2013年、人工知能AIと対戦する「電王戦」で現役のプロ棋士が初めて負けた。その時から、人工知能に勝つことは困難になり、将棋シンギュラリティ時代となった。将棋は、人間対人間の勝負として行われている。そこに目覚ましく登場したのが、藤井聡太だった。将棋ブームが巻き起こった。人工知能は、正解に限りなく近い答えを瞬時に示してくれる先生となった。将棋の有効局面数は、10の68乗から69乗とされている。人間はとても、覚え切れるものではない。  人工知能が浸透することで、対局中の形成判断もリアルタイムでわかるようになった。プロの棋士同士でも「今優勢なのか、劣勢なのか」の判断が容易につかない。将棋は人工知能と対決から共存になった。  ここに、シンギュラリティ時代の人工知能に対しての向き合い方がわかる。  この本の著者は、1971年うまれで、羽生善治と同年である。第80代名人、竜王、王座、棋王などのタイトルを獲得している。同年であるが故に羽生善治の天才ぶりをしっかりと見つめてきた。著者は、その羽生善治を破って登場した藤井聡太がなぜ強いかを分析する。  藤井聡太が14歳の時に、50歳の羽生善治に勝利している。14歳2ヶ月で、4段昇級しプロ入りを決めた。その後、2016年に、62歳年上の加藤一二三に勝ち、プロデビューを果たした。その時、公式戦初勝利の史上最年少記録を14歳5ヶ月で更新した。その後29連勝という偉業を成し遂げた。そして前人未到の八冠王になったのである。とにかく、若き将棋界のスーパースターとなった。眩いばかりの実績である。  藤井聡太の強みは、小さい時から詰将棋が好きだということにある。2015年3月の詰将棋選手権で史上最年少優勝を果たした。その後5連覇する。それが、終盤に強いと言われる要因である。AI将棋に出会ったのが、中学2年の時だった。藤井聡太は、AI将棋をうまく味方に使っている。  藤井聡太の通算勝率は8割を超えている。2023年7月で331勝66敗(8割3分3厘)。7割超えれば一流と言われる。羽生善治は、2218局で通算勝率6割9分4厘である。  著者は「本人の傑出した天賦の才と、ひたむきな日々の研鑽の賜物」という。将棋に必要なことは、深く正確な読みと判断、そして決断力であり、メンタルの強さと平常心を持っている。藤井聡太は常に最善手を追い求めている。さらに自分が指しやすい形に持っていく。最後まで諦めない勝負の姿勢がある。勝負の達人だった大山康晴15世名人は、「人間は間違えるので勝負がつく」という考え方である。将棋は好手で勝つゲームではなく、いかに悪手を指さないかで差がつくゲームである。  藤井聡太はいう「確信がモテない段階で勝敗をはっきりさせにくい手を選ぶのは、やはり危険なので、そういう賭けのような一直線の手は、迷う時には選択しないようにしている」  将棋には、美しい、筋がいい、際どい、味がいいという美学も存在する。  藤井聡太はいう「自分も常識にとらわれず将棋に向かっていく、革新的なところを大事にしていきたいと思っているんです」「指していく中で、自分の棋風のようなものが出せればいいなとは思うんですが、特徴は裏を返せば、弱みになってしまう可能性もある」「対局は決断の連続なので、対局の時だけは、自分を信じてあげることが必要かなと思っています。どういう状況であっても、自分を疑ってしまうよりは、自分を信じて指そうと」  藤井聡太は、将棋の本質へ迫る純粋な思いがある。  この本を読みながら、藤井聡太のひたむきな将棋の思いがよく伝わってきた。まさに、将棋に真正面から立ち向かっている。2002年7月生まれ。現在22歳。さて、この将棋の天才はどこまで上り詰めるのか?そして、藤井聡太を破るものは誰か?楽しみである。

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    投稿日: 2025.03.23
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    著者は棋士の森内九段、特に最初の章では藤井聡太の一手を専門的に解説、将棋に詳しい人には楽しいと思うが、私にはレベルが高すぎた。他の章では、藤井聡太の強さの源と、将棋とAIの関係など、興味深い話が多い。 この本の中で、藤井聡太の言葉が引用されている彼の著書「考えて、考えて、考える」も読んでみたい。著者には人間的にも魅力があり、将棋は真っすぐで素直、だから弱点がない、と評価されている。 かつては棋士の敵だったAIが、今では棋士の指南役になっている。そしてAIがリアルタイムで対局の優勢度合いを表示することで、将棋の観戦法も変わっている。これには賛否あるらしいが。

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    投稿日: 2024.02.10
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    元名人で永世名人の資格を持つ森内俊之が分析する藤井聡太論。 これまで様々な棋士が藤井聡太を分析したが、実際の棋譜を用いて分析していたので説得力があった。 また羽生九段との比較論も面白かった。

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    投稿日: 2023.12.05