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天災ものがたり
天災ものがたり
門井慶喜/講談社
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総合評価

20件)
3.7
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    「一国の国主」信玄堤、そのうち見に行こう。 「除灰作業員」富士山の噴火で火山灰に埋もれた須走、ブラタモリで見たなー。今でもあるだろう。被災地間の被災状況の違いによる勝ち組負け組。 復興の速度や援助の不平等による嫉妬や奢り、恨み。 「小学校教師」新潟から東京へ向かう列車で豪雪に遭う。三八豪雪。 社会がストップすることで、裏日本から表日本への輸送が止まる。逆も。社会が大きくなれば災害はその場だけで終わらず影響が全体に広がる。 てか雪すごいな。新潟来て、今年雪国初体験なんだけど大丈夫かな(;・∀・) 長靴買わなきゃな。買いだめもしなきゃな…。

    0
    投稿日: 2025.11.12
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    一国の国主 信玄と弟の信繁の甲府盆地の治水の話。「無名の虎」も良かったが、本作も良い。「人と人のへだてを無にする最良の装置は、現場なのである。」

    1
    投稿日: 2024.10.14
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    日本は本当に天災の多い国なのがよくわかる 何となく知っているもの、全く知らなかったもの、どちらも気になったので調べながら読む 実際に起きた事、その時生きていた人たちの奮闘や葛藤が感じられる物語ばかり(どれも短編なので少し物足りないが…) 平気そうに見えてもサバイバーズギルトを感じて苦しんでいるのが伝わってきてつらくもある 三八豪雪の話、被害のことを考えると良かったとは言えないものの、教師の成長を感じられる終わりで少しほっこりした

    1
    投稿日: 2024.10.08
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    日本史に残る天災―洪水、地震・津波、大飢饉、富士山噴火、江戸大火、豪雪―を描く短編集。フィクションではありながら、文献に残る数字も出てくるのでリアリティもあり、また災害を乗り越えていこうとする人間のたくましさも感じられる。『そこに人がいるから災害になるのである』には、なるほど!と思いました。

    1
    投稿日: 2024.10.07
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    大昔から近代まで、大きな災害とそこに直面した市井の人々の逸話の短編集。ツラい内容が続くので、耐えきれず途中で一度読むのをやめてしまいましたが、日を置いて読み直しました。最後の短編には少し希望がありましたが、やはり苦しかった。だからこそ、こういう小説が必要とは思いました。

    1
    投稿日: 2024.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図書館の返却棚から見つけた良本。 ジャケ買いならぬ表紙借り。鮮やかな絵表紙のこのタイトルに目を奪われ、すっと手が伸びた。 内容は実際に日本で起こった天災をモチーフに実際のデータに基づいて時代小説さながらに人情あふれる物語に仕上がっている。若干”()”が多用され過ぎて、心の声なんだろうけど、それ”()”にしなくてもってクドさにやられたけれど天災は何もないところでは単なる自然現象であり、そこに人がいるから天災となる、また人の文明が開けるからこそ引き金となる二次被害に目を向けているところに唸らされた。見事! さらっと読み終わりながらもちょっと心に残る最近まれにみる短編集でした。

    1
    投稿日: 2024.03.13
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    「一国の国主」天文の乱十一年(1541)甲府洪水 晴信と名乗る若かりし武田信玄が奮闘した「信玄堤」のとっかかり事業 『家康、江戸を建てる』に繋がっていくような締め方でジンときた 「漁師」明治二十九年(1896)三陸沖地震 津波、、、どんなホラーよりもミステリーよりも怖かった、、、 “金と言うものはタダでもらうなら単なる数字だが、労働の対価として受け取れば人間の肯定そのものなのである。”この作者はこういう金言になりそうな良い事を散りばめてくる。 「人身売買商」寛喜二年(1230)大飢饉 鎌倉幕府第三代執権北条泰時の時代 寛喜の飢饉 鎌倉幕府の六波羅探題 「除灰作業員」宝永四年(1707)富士山噴火 第五代将軍徳川家綱治世の末期 大地震の四十九日後の富士山噴火 儒学者 新井白石『折たく柴の記』“昼にもかかわらず空が暗く、蝋燭をともして講義をした。”と記す。 須走村と大御神村 現在の宝永山 宝永火口はたった300年前にできたのか、、、 現在の須走は300年前の火山灰の上にできてる 「囚人」明暦三年(1657)江戸大火 江戸幕府第四代将軍徳川家綱の治世 群馬のからっ風、明暦の大火と隠れキリシタン キリスト教伝来 天文十八年(1549)イエズス会フランシスコ・ザビエル 徳川家康 慶長十七年(1612)キリスト教禁止令 1637天草四郎 島原・天草一揆 徳川家光治世 老中 松平伊豆守信綱 天草一揆を治めた、乱後もキリシタンの取り締まり、明暦の大火の復興をした、山田右衛門作を自邸に住まわせた、等々 山田右衛門作(えもさく)キリシタン、天草一揆の生き残り、南蛮絵師 今(2024)から約100年前の関東大震災で起きた火災のことも脳裏にチラつきながら読みました 「小学校教師」昭和三十八年(1963)裏日本豪雪 三八豪雪 大雪と大火 裏と表 時代が変わって現代 “裏が表を変えている” いろんな時代の天災、天災と人災、、 胸が押し潰されそうになりつつ、とても勉強になりました

    3
    投稿日: 2024.03.13
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    『銀河鉄道の父』の著者による、戦国時代から昭和に至るまで日本を襲った災害にまつわる人間ドラマ集。〈小説現代〉に2020〜22年に発表された。 『一国の国主』天文十一年(1542)甲府洪水(「信玄堤」構築物語)、 『漁師』明治二十九年(1896)三陸沖地震(ある漁村の高台への移転の試み)、 『人身売買業』寛喜二年(1230)大飢饉  京の都で「問丸」=都住人に物資を輸入する商社〈柿鍋〉を営んでいた滝郎は、寛喜元年からの異常気象に「これは不作になる」と見て米の先物を「値段に構わず買い付けろ」買い集め同二年の収穫期には平年並の地方からの米供給で巨利を得た。彼に関係する流通業者から請われて飢饉で食い詰めた男女を引き取り、京の富裕者に屋敷の雑事をこなす人員として斡旋することで「人助け」をしたが、翌年、袖の下をはずんでいた甲斐もなく「人身売買で荒稼ぎした」との咎でひっとえられ、(人身売買は御法度の一罰百戒のモデルケースにされたか?)顔に焼印を捺され追放された。 『除灰作業員』宝永四年富士山噴火(1707) 噴火は時代劇などでは悪役だが現在では再評価されている田沼意次の失脚の一因にもなった。(須走村の焼け太り)、  現在では、天災は“為政者の人徳・福徳とは無関係”と一応は認識されているが。2011年に民主党政権シンパが、石原都知事の「震災は天罰」との発言に、過剰に否定したのは、戦後初めて“靖国の英霊”に政府関係者の参拝がなかったことで祭神地神天照大神に申し訳無いとの日本民族の情動が動くのを恐れたためだっただろうか? 『囚人』明暦三年(1657)江戸大火(解き放たれたキリシタン囚人の物語)、 『小学校教師』昭和三十八年(1963)裏日本豪雪(帰省した教諭とその代理教諭の物語)。

    4
    投稿日: 2024.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いろんな時代の天災を描いた短編集。 「一国の国主」天文十一年甲府洪水 「漁師」明治二十九年三陸沖地震 「人身売買商」寛喜二年大飢饉 「徐灰作業員」宝永四年富士山噴火 「囚人」明暦三年江戸大火 「小学校教師」昭和三十八年裏日本豪雪 6編収録。 時代が変われど天災は起こる、時代が変わると天災も変わる。 天災に対して人力は如何に無力であるか、天災に対して人は如何に強かであるか。 天災をテーマにしながらも直接天災を描くのではなく、それに翻弄された人を描くことで、天災に対する人としての心構えに共感しました。

    0
    投稿日: 2023.12.29
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    日本史上に起こった大災害を6編から描く。 「一国の国主」 暴れ川の治水工事を行なった武田晴信(後の信玄)。 人間味あふれる一面が知れておもしろい。 人は、津波・大火など天災の前では無力。 P288 〈人のいるところに天災がある。逃れるすべはなく、 あるのは逃れかたの上手下手だけ。または運だけ〉 「除灰作業員」でも書かれている。 富士山の噴火により降灰で村が覆われた。 幕府により、一方の村は見捨てられ、もう一方の村は『焼け太り』。 たった一里の差が村の運命を変えた。 大飢饉による飢えから、村人が次々と流れてくる 「人身売買商」も辛い。 どの話も人々の悲痛な思いが胸に迫りくる。

    1
    投稿日: 2023.12.23
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    タイトルが示す通り天災~洪水、津波(地震)、冷夏(飢饉)、噴火、大火、豪雪~を舞台にした6つの短編。時代も鎌倉時代から昭和38年(豪雪)まで、場所も様々です。 門井さんはこれまで5作品読みましたが、短編は今回が初めてです。 長編では軽快な語り口でサクサク読める作家さんという印象が強かったのですが、この作品はやや重く、しっかり書き込んだ感じがあります。短編のせいでしょうか。 天災を乗り超えて行く話ですが、いずれもかなりの苦みを含み、味わい深く仕上がっています。 強いて言えば、「大火」は前振りをもう少し、例えばキリシタンの妻の想いなどを書き込めば良かったように思うし、「豪雪」の最後の天災の解説は無い方が余韻が残ったような気がします。

    1
    投稿日: 2023.12.06
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    川の氾濫,津波,飢饉,富士山の噴火,江戸の火事,新潟の大雪を題材にした短編集6編 災害とそれに立ち向かう人々の姿,運や巡り合わせも含めて,天災後の対処の仕方にも一捻りあって面白かった. 武田信玄の信玄堤は有名だが,この信玄の姿はとても素敵だ.

    1
    投稿日: 2023.11.18
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    2018年に「銀河鉄道の父」で直木賞を受賞した著者が過去に実際に発生した歴史的大災害をモチーフにした短編集。あくまでも大災害はモチーフで、実際に描かれてるのは人間。この方は人を描くのはうまい

    1
    投稿日: 2023.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    歴史の小説は確かに現代からの歴史だ。人買いの話とかとても強く感じる。明治には明治の、江戸には江戸の人買いの見え方があって、それがそれなりに記録されて伝わっていて読めるってすごいことだ。

    1
    投稿日: 2023.10.16
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    洪水、地震、噴火…6つの物語の主人公が突然の災害に翻弄され、苦渋する姿は最早他人事とは思えなかった。災害の爪痕は後世に範例を残す。日本が災害に強い国になるには、未だ遠く長い道程だと感じた。

    1
    投稿日: 2023.10.10
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    門井慶喜さん初読み。歴史的大災害の数々をモチーフにした短編集という、ありそうでない切り口が興味を引いたので。描かれるのは天文甲府洪水vs信玄、明治三陸大津波vs漁師、寛喜大飢饉vs京商人、富士山宝永噴火vs馬引き、明暦江戸大火vs囚人、昭和38年豪雪vs教師。災害そのものより人間心理に重きが置かれていた。いくら文明が発達しても、災害との向き合い方は根本的に今も昔も変わらない。「人のいるところに天災がある。逃れるすべはなく、あるのは逃れかたの上手下手だけ。または運だけ」である。

    9
    投稿日: 2023.09.17
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    久しぶりに三陸に。田老の巨大堤防は予想以上。田老もだが、三陸あちこちの立派な球場に違和感…メディアでは伝わらない復興の現実。高台移転の失敗にも歴史があるんだ。「要するに誰も彼も百年の計より目前の便宜を取ったってことだ」「人の暮らしってのは頭の中で考えるようには行かないもん」「お金というものはタダでもらうなら単なる数字だが、労働の対価として受け取れば人間の肯定そのものなのである」考えさせられた。

    0
    投稿日: 2023.09.11
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    様々な時代の様々な“天災”を題材に、硬軟取り混ぜた短編が6篇収められている。のちの信玄、頼りない武田晴信を変えた治水事業はコミカルでもあるし、冷害による飢饉から派生する人身売買に巻き込まれる商人など、様々な見方で天災というものの影響を考えさせられる。今年は関東大震災から100年ということもあるし、南海トラフ地震(前回のに関連した短編もあり)も身近に迫っている今だからこそ、読めてよかった。

    0
    投稿日: 2023.09.06
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    日本史上に幾多とあった天災。それらを題材に災害から立ち直ろうと奮闘する人々を描いた連作集。 信玄堤、三陸沖地震、飢饉、宝永の富士山噴火、明暦の大火、三八豪雪。 天災と人災の境目について考えさせられる一冊。 氏の作品には外れがない。

    0
    投稿日: 2023.09.03
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    武田信玄の治水の話を読みたくて図書館で借りました。本当に偉大な功績だったと思います。ただ、自分の中では晴信と板垣信方との関係は忠義に基づいたかけがえのないものだと言う思いがあるので、そこは別の物語だと思いながら読みました。テクノロジーの発達した現代でさえ災厄の被害は甚大なのに、昔はもっと壊滅的だったのでしょうね。

    1
    投稿日: 2023.09.02