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迷宮遊覧飛行
迷宮遊覧飛行
山尾悠子/国書刊行会
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総合評価

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    これはよかった。何度か挫折してきた山尾悠子さんの読書遍歴を辿れる一冊。何がよかったかというと、天上人が降りてきた感があるところ。 私はイマジネーション力が無い読者なので、言葉だけで仮想世界をつくりだす山尾さんの世界には何度か挫折していて、頭の中はどうなっているのかと思う作家さんの一人。 そういう方がこちらに語りかけるようにこれまでの読者歴を綴ってくれるので、少し身近に感じられる存在になった。 『第四回ジュンク堂文芸担当者が選ぶこの作家を応援しますフェアへのご挨拶』がいい。 冒頭での自己紹介で、知る人ぞ知るマイナー作家、ジャンルが曖昧、寡作、極端に読み手を選ぶ、と自虐されていて、私なんかからすると申し訳ないけれどそのとおりと思ってしまう。 ハードルを下げていただいたところで過去作の紹介があり、また読んでみたいと思った。また挫折するかもしれないけれど。 博識で品のある濃いオタクの書くものは面白い。

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    投稿日: 2025.07.27
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    山尾さんのエッセイ集。 復帰後から始まって、好きなものを手繰るようにデビューされた頃の話へとつながっていく。 色々なところへ寄稿されたものもあるので、内容に重複しているものもある。それが、ああこの話はと同じ一冊であるのになんだか以前読んだ著書を読んだような懐かしさを感じてしまう。 好きなものを好きなように書く、正にオタクなのだと思いつつ、読み手がいる事をわかって届きやすいように書かれている。これが小説家なのだと感じた。

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    投稿日: 2024.07.02
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    20代のころから近年までのエッセイや書評、編者として関わった本の解題など、小説以外の文章をまとめた散文集。 山尾先生と本の趣味が合いすぎる。ミルハウザーのモルフェウスのやつ訳してほしいですよね。漫画の話はしてないけど山田章博ぜったい好きだと思う。解題でも自作解説でも、〈批評なんていくらでもできるけど好き嫌いの話だけをしていたい〉という声が聞こえてくるような可愛らしく開き直ったスタンス。 小説以外と言いながら真ん中のあたりにちょっと小洒落た大人の童話みたいな文章がまとめられていて、倉橋由美子と金井美恵子の影響にどっぷり浸かっていたのが如実にわかる。昔の作品でも『作品集成』に収録されているようなものからは二人の影を感じたことがなかったので結構驚いた。"女性"作家であること、女性視点の一人称で書くことへの葛藤が書かれているのも印象に残る。 「美しい犬」などの散歩や旅を綴った文章は昔のも最近のも力が抜けていてよい。「月蝕」の京都夜行を思いだすような、どこかふわふわした街歩きのようすをずっと読んでいたくなる。それからやはり澁澤龍彦のはなし。編集者・礒崎純一を介して繋がる澁澤へのリスペクトはこの本全体を覆っている。本人が存命のころから澁澤を王子と仰いでる人たちのガチ感には敵わない。

    2
    投稿日: 2024.05.04
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    山尾悠子氏の本や作家との関わりあってきた人生を垣間見るような一冊。 アーサーラッカムの載った表紙から装丁も素敵です。

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    投稿日: 2023.04.16
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    なんと!まさかの!エッセイ集! 今まで幻の作家というか、生きてるか亡くなってるかも謎だったのがいきなり生身の人間として現れた感。 寡作の理由やら今の居住地やら明かしていいの? 鏡花は少ししか読んでないので中盤の鏡花パートは少しつらいっす。 ニール・ゲイマンは読んでみたい。 澁澤氏大好きなのはよくわかった。

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    投稿日: 2023.03.29
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    読解自体困難を伴う小説を書く作家の、自註自解。 ゼロから読む快楽(黒い靄のなか手探り)と、 本書を読んで読み深めていく快楽(松明、耳元で囁いてくれる声、以前通った道のり)と、 両方が成立する世界に、なった。 嬉しい限り。 @ 目次 読書遍歴のこと 序文に代えて     〈Ⅰ〉 月光・擦過傷・火傷  綺羅の海峡 赤江瀑 教育実習の頃  東京ステーションホテル、鎌倉山ノ内澁澤龍彦邸  ボルヘスをめぐるアンケート  人形国家の起源 笙野頼子『硝子生命論』 歪み真珠の話  『夢の遠近法』自作解説  架空の土地を裸足で旅する快楽 間宮緑『塔の中の女』 美しい犬  デルヴォーの絵の中の物語  私が選ぶ国書刊行会の三冊  仮面の下にあるものは 長野まゆみ『45』 「第四回ジュンク堂書店文芸担当者が選ぶ「この作家を応援します!!」フェアへのご挨拶  『マルセル・シュオッブ全集』 シュオッブ、コレット、その他  マルセル・シュオッブ全集のこと  荒野より 〈新編日本幻想文学集成〉編者の言葉 変貌する観念的世界 あるいは両性具有者の憂鬱 倉橋由美子 同志社大学クラーク記念館に纏わる個人的覚え書き 高柳誠 同志社クラーク記念館の昔 泉鏡花 倉敷・蟲文庫への通い始め  マイリンク『ワルプルギスの夜』  世界の果て、世界の終わり C・S・ルイス『ナルニア国物語』 秘密の庭その他  飛ぶ孔雀、その後  鏡花の初期短篇  ブッツァーティ『現代の地獄への旅』  ジェフリー・フォード『言葉人形』  壊れやすく愛おしいもの ニール・ゲイマン『壊れやすいもの』 地誌とゴム紐 時里二郎 『龍蜂集』 〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクションⅠ〉 『銀燭集』 〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクションⅡ〉 『新柳集』 〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクションⅢ〉 『雨談集』 〈澁澤龍彦 泉鏡花セレクションⅣ〉 個人的な、ひどく個人的な 文學界書店 綺羅の海峡と青の本 赤江瀑 川野芽生『Lilith』  年譜に付け足す幾つかのこと  幻想絵画六点についてのこと  編者の言葉 『須永朝彦小説選』 去年の薔薇 須永朝彦 偏愛の一首  〈Ⅱ〉 虎のイメージ  夢と卵  チキン嬢の家  人形の棲処  二十五時発、塔の頂上行  無重力エレべーター 宇宙食夜会への招待  都市の狼少年あるいはコレクター少女の秘密  懐かしい送電塔の記憶が凶々しい悪夢として甦る  悪夢のコレクション  月の種族の容貌に関する雄羊座的考察  美女・月を迎えるためのセレモニー  幻獣コレクションⅠ 幻獣コレクションⅡ  幻獣コレクションⅢ  幻獣コレクションⅣ  幻獣コレクションⅤ  幻獣コレクションⅥ  頌春館の話  「薬草取」まで  〈Ⅲ〉 アンドロギュヌスの夢 ル・グィン 円盤上の虫  満開の桜のある光景  〈歴史劇〉のことなど  『流れる女』 小松左京 セピアの記憶 過去のつぶやき 長崎西洋館・異人館物語 「蔵書」のこと  『花曝れ首』 赤江瀑 祖谷渓の月  作るか造るか創るか 処女作「夢の棲む街」について 思い出の一曲  シュオブに関する断片  十年目の薔薇 中井英夫 ピラネージとわれわれの……脳髄   煌けるコトバの城 稲垣足穂 幻想小説としての 澁澤龍彦 ラヴクラフトとその偽作集団  死と真珠 澁澤龍彦 時間の庭 澁澤龍彦 後記

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    投稿日: 2023.02.19