
総合評価
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powered by ブクログゴシックについてたんまり語る本。ゴシックとは何か、何を好んで何を嫌うのか。実際に作品を取り上げながら、詳しく説明してくれる。中には首肯しがたい、というか認めたくないような部分もあったが、全体的には自分の心にしまっていたものと通ずるようなところがあるように感じた。 特に面白いと感じたのは6-8章の身体や美醜に関する部分。肉体と意識の関係から生まれる肉体の呪縛、呪縛からの解放としてのサイボーグ化、そこに美醜が絡み整形をサイボーグ化として捉える考え方に妙に納得してしまった。外見の美醜と内面の美醜の関係も興味深かった。 文学、芸術に限らず著者の作品を解釈する力がものすごいなと感じた。
0投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ著者は言う、これからゴシックな意識を語ろうと。それではゴシックな意識とは何か?それは「形」に依存して示される精神であって、初めから抽象的に語ることはできないと言う。具体的には、次のようなものだ。かなり長くなるが、イメージが良く掴めるので引用したい。 「色ならば黒。時間なら夜か夕暮れ。場所は文字どおりゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さを持つ廃墟や古い建築物のあるところ。現代より過去。ヨーロッパの中世。古めかしい装い。温かみより冷たさ。怪物・異形・異端・悪・苦痛・死の表現。損なわれたものや損なわれた身体。身体の改変・変容。物語として描かれる場合には暴力と惨劇。怪奇と恐怖。猟奇的なもの。頽廃的なもの。あるいは一転して無垢なものへの憧憬。その表現としての人形。少女趣味。様式美の尊重。両性具有、天使、悪魔など、西洋由来の神秘的イメージ。驚異。崇高さへの傾倒。終末観。装飾的・儀式的・呪術的なしぐさや振る舞い。夢と幻想への耽溺。別世界の夢想。アンチ・キリスト。アンチ・ヒューマン。」(12‐13頁) このようなゴシック的なものがどのように表われているか、以下、文学・絵画・写真・映画・漫画などの具体的な作品を通して説明されていく。作品の内容が詳しく紹介された上で論じられるので、たとえ読んでいない、見ていない作品であっても、興味を持って読み進めることができる。 本書エピローグでは、ゴシックの意識を持った「その人」と呼ぶある女性の思い出が語られる。『八本脚の蝶』を残した二階堂奥歯さん、いろいろな人の記憶に残る方だったのだなあ。
3投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ゴシックには惹かれるけれど、うまく言い表せずにぼんやりと認識していた好きなものについて、そのすべてを言語化してくれる本だった。 紹介されている作品について、知っているもののほうが少なかった。本当にぼんやりとした認識しかなかったのだと改めて思ったのと同時に、そういった知識が少ないのにも関わらずゴシックハートがここにあるという不思議を思った。 歴史を含め流れをすべて把握するのは難しいかもしれないけれど、文学・芸術方面で沢山の作品を知れたのは良かった。 エピローグで、相反する心を持ち葛藤していた女性の話を読んで、二階堂奥歯さんじゃないかと思ったらやはりそうだった。こういう交流があったのですね。
0投稿日: 2023.11.09
powered by ブクログ立東舎文庫版も持ってるのに、ちくま文庫版も買ってしまった。凄く好きな本。あらゆるテーマから「ゴシック」について語られている。改めて自分の中にも「ゴシックハート」はあるな…と再確認。
0投稿日: 2022.12.31
powered by ブクログ読了して自分自身の今までを振り返れば、物心ついたときから惹かれてきた色々なものが、著者の言うところのゴシックハートを内包していたのだなぁと気付かされる(もちろん、振り返らずとも分かりやすくゴスに分類されるものも多いけどね) そういう在り方しかできない、すべての人に。
1投稿日: 2022.12.07
powered by ブクログやっぱりこの本に戻ってきます。他のゴスカルチャー書も読むようにはなってきましたが、やはり本書ほど私の意志に即した「ゴシック」を唱える本はありません。本書(と、やはり高原さんの『少女領域』)から呑み込まれるようにして、私には縁のないとばかり思っていた読書を始めましたし、そのようにして蒐められた私の本棚の半分以上の本もまた、本書に感化されて揃えたものです。つまり、他の感想にも書きましたが、『ゴシックハート』こそまさしく私にとっての聖書なのですね。「誇張し過ぎ」と思われるかもしれませんが、初読の折はものすごく衝撃を受けたし、世界への向き合い方、ほんとに変わりましたし、私の思考の中枢には、確実に本書があります。あの時この本を読んでいて良かったなぁって、今でも思います。 とまぁ、勝手な自語りで恐縮ですが、そしてこんなことを捲し立てる私はゴシックハート歴約二年の未熟者ですが、新版を手に取った瞬間に込み上げてきたものがあったので、拙い感想(?)を残すことをご寛恕くだされ… ゴシック…。それは自己の必然にもとづいた命懸けの好み。私は、ゴシックでなければ生きられない。
2投稿日: 2022.10.15
