
総合評価
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powered by ブクログそれは高校2年の春。私のクラスに転入生がきた。きれいに櫛の通った長い黒髪を持つ彼女は、膝丈のスカートと首元までボタンがきちんと留められたブラウスという規則通りの制服姿で、担任の隣に立ち、教壇から私たちを見下ろしていた。 第1印象は、地方都市の郊外にある退屈な高校にぴったりの地味な子というだけだったけれど……。 天才的な頭脳と特異体質を持つ探偵トランジと、助手として彼女を支えるピエタの破天荒な生涯を描くサスペンスロマン。 ◇ 高校2年生の春に、私の人生ははじまったと言える。それ以前の私のことなど書くに価しないものでしかない。トランジと過ごした人生はそれほど強烈だった。 私が初めてトランジを見たのは、私の通う高校に彼女が転校してきた日だった。 そのときは私もまだ彼女に関心がなく、ただ退屈なこの土地にぴったりの地味な子だなと思ったぐらいだった。でも、翌日からその印象は一変してしまう。 その朝、私が学校をサボって当時つきあっていた10歳上の彼氏の家に行く途中で、同じく学校をサボってふらふらしていたトランジに偶然会ったのがきっかけだった。 転校して早々にサボりかよと思って話してみると、彼女は私がそれまで知っている子とぜんぜん違う。気になった私は彼氏の家にトランジを連れて行くことにした。彼氏も面白がるだろうと思ったからだ。 ところが、彼氏の家に着きチャイムを押しても応答がない。自分が来るのはわかっているはずなのに、と不思議に思って試しにドアを引くと鍵が開いている。不穏さを感じつつ中に入って見たら、彼氏が死んでいて……。 (第1章「メロンソーダ殺人事件)※全5章。 * * * * * 第1章冒頭で起きた事件。 恋人の無残な姿を見て取り乱すピエタとは対照的に、トランジは冷静でした。 死体の様子や部屋のあちらこちらの状態をすばやく調べてまわったトランジは、これが殺人事件であり、犯人は誰なのか、なぜ殺したのかを推理します。 さらに、動揺して現場を踏み荒らしたり指紋を付けたりしてしまったピエタに適切なアドバイスを行い、警察に通報するなど、テキパキと事後処理を行います。 やがて、警察の捜査で事件が解決してみれば、判明した事実はトランジが推理したとおりでした。そんなトランジに魅せられたピエタは、トランジとの仲を深めていくことになるのです。 ここまで読めば、てっきり女子高生バディによる探偵もの連作短編ミステリーだと思います (私もそう信じて疑いませんでした) が、まったく違いました。 確かに各章で中心となる殺人事件はトランジによってすべて解明されるのですが、状況やわずかな証拠を分析して推理していくという、ミステリーとして欠かせない過程の描写がありません。 しかも、犯人が殺人に至る動機が、第1章では十分に理解できるものだったのに、章が進むに従って理解に苦しむものへと変わっていくのです。(『異邦人』のムルソーが犯す殺人の動機よりも理解困難なように思います ) だから、寓話か何かを読んでいる感じがしました。 かと言って、決してつまらないわけではありません。 物語がかなりのスピード感で進んでいきますし、殺人事件や死体を前にしても動じないトランジや第1章以外は動じなくなったピエタに、頼もしささえ感じるからです。 もう少しだけ、作品の魅力について触れておきます。 主人公の2人。名探偵トランジと、助手にして事件記録執筆者のピエタ。作者の藤野可織さんによると、ホームズとワトソンへのオマージュでもあるようです。 ですから例えば、ホームズにマイクロフトという兄がいるように、トランジには「舞(マイ)」という姉がいたり、ワトソンが医師であるように、ピエタも医師免許を持っていたりします。 また、ホームズにはモリアーティという宿敵がいますが、トランジにも森(モリ) ちゃんという難敵がいるのです。 この設定だけでも、なにかワクワクしてきます。 さて、このトランジも天才的頭脳で数々の事件を解決する名探偵であるのですが、ホームズとは決定的な違いがありました。 それは、「殺人事件を誘発する体質」を、トランジが持っていたことです。 トランジの周囲で次々と人が死んでいく。もちろんトランジが直接手を下して回っているわけではなく、殺人犯は別にいて、しかもトランジとは何の関わりもない人間だったりします。 一方、被害者はと言うと、最初のうちはトランジと同じ空間にいる人間、例えば学校内の生徒や職員でした。 トランジが卒業するまでの2年間で高校の生徒数は半減していたので、学校閉鎖になるインフルエンザなみの猛威です。 ところが、年齢を重ねるにつれトランジの殺人誘発力は勢力を広げていき、最終的に世界中を席巻するに至るというのが大筋です。 その大筋は、中盤で動かせないものとして読めてしまうのですが、怖いもの見たさとどんでん返しへの淡い期待とで、先を読まずにはいられなくなるのです。 芥川賞作家による探偵小説。味わったことのないテイストで、なかなか新鮮に感じました。
15投稿日: 2026.01.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おもしろかった〜 ピエタとトランジ、女子高生バディが次々起こる殺人事件を解決していくけど、トリックは一切出てこない。ので、たぶんミステリーじゃない。シスターフッド小説で、ノワール小説で、ジュブナイル小説で、アポカリプス小説。物語の展開と二人の関係性を楽しむ本です。トランジは優秀な探偵であるとともに殺人誘発体質でしかもそれが感染するので、彼らの周囲ではどんどん人がいなくなっていく。最終的には人類が滅ぶ寸前までいくんだけど、いつまで経っても二人はずっと変わらない相棒なんだよね。良心が薄めのピエタ視点なので、トランジのせいで人類が滅亡してなお話が暗くならなくて良い。 case12.のラストシーン、トランジをピエタが抱えてピエタ像みたいに見えるのかもなぁと思ったりした。 ●あらすじ 私たちの冒険は続く――「死」が二人を分かつまで。 親友の名前はトランジで、私はピエタ。 彼女に出会ったその日から、最高にクレイジーな人生がはじまった! 芥川賞作家が放つ、極上のロマンシス・エンターテインメント! 頭脳明晰な探偵のトランジと、彼女に惚れ込む助手のピエタ。トランジは殺人事件を誘発する体質の持ち主で、二人の周囲では次々に人が死んでいく! 事件を解決しつつ各地を転々とする二人だったが、トランジには人類を脅かすさらなる秘密があった――。芥川賞作家が放つ傑作ロマンシス・エンターテインメント! (角川HPより引用)
1投稿日: 2025.12.28
powered by ブクログある意味最強バディ物の話だと思った! コナン君体質のトランジと、そのトランジに高校の時に出会ってから親友となったピエタの2人のハチャメチャな物語。 個人的にはこう言う話の終わりが大好きで、読者の想像力を、掻き立てるいくらでも結末が広がる終わり方最高! 特にこの本の内容的にはよりそう思った。
6投稿日: 2025.11.26
powered by ブクログロマンシスターフッドとでも言っておくかな。 とんでもないものを読んでしまったぞ! 痛快で強烈でクレイジーな作品。 人が死んでいくことに暗さがないからこそ、 『死ねよ』が かなり可愛い。 そんな相手に出会いたいとまで思ってしまう 女同士って難しいんだわ。 なにより本名気になっちゃいますね。
1投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログ人類滅亡間近の世界を救おうとすることもなく、絶望や悲観に暮れることもなく、楽しげに当たり前に一緒に歳を重ねていくピエタとトランジがすごく好きだった。 最後、アイスを食べるピエタとその膝に頭を乗せたトランジの会話が高校時代の二人と変わらないのがめちゃくちゃえもい。 たとえ通りすぎた道には死体の山しか残らなかったとしても、ずっと青春の延長線上で二人でいれば無敵!な関係性が何より価値がある気がしてうらやましいなあ。
1投稿日: 2025.10.22
powered by ブクログかなり好き!女同士のバディもの。シスターフッドとも言えるけど、“バディ”の方がしっくりくる。 ピエタとトランジ以外の登場人物は入れ代わり立ち代わり出てきてどんどん死んでいくけれど、2人が楽しそうならもうそれでいいねと思えるぶっ飛んだ本。倫理観なんてない。でもこれでいい。これがいい。だって2人が最高だから。 女子高生のままお話が進むのかと思いきやだんだん2人も歳をとっていく。 歳をとっても高校生の頃の変わらない温度感のやり取りをする2人が最高!一時的に離れることはあっても結局二人でいることを選ぶ。選んでくれる。 本当に仲のいい女同士の会話ってこういう感じだよな……としみじみ思う。 こんなに愛に溢れた「死ねよ」「おまえが死ねよ」がありますか? ピエタがトランジのことを気に入っていることはもちろん、トランジだってピエタのことをいたく大切にしていることが伝わってくるのがとても良い。二人の間にあるのがあくまで友情であり、相棒であるという感覚なのも最高。 全編通してかなり血みどろだし、存在するだけで周辺に死を振りまいてしまうだなんてわけが分からない設定だし(しかも感染もする) でもそんな世界でも2人のやり取りはずっと変わらないこざっぱりさ。かっこいい。 (トランジがかっこいいのは言うまでもないけれど、ピエタも相当かっこいい。) 読み終わるのが惜しいエンターテインメント小説だった。同じような事件が繰り返し起きたっていいから、2人のやり取りをもっとずっと見ていたかった。
9投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ最高!最高! 最初は女子高生青春バディもの!二次創作待ったなし!とか思っていたけれど、想像してたよりずっと先まで描いてくれていて、ずっと一緒にいてくれて、とてもとても嬉しかった。そして描かれる事件がどれも意味を持っていて、女性として筆者のことをとても信頼できると感じた。 でもなによりピエタが魅力的だ。ピエタになりたい。こんな風に自分の大切なもののために生きたい。
1投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ死を願う言葉が この二人にとっては こんなに愛のある言葉になるなんて、ほんとうにすごい友情の話だなと思う なんだか不思議な世界観がわたしはとても好き
1投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログ792 352P 藤野可織 1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で第149回芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞を受賞。他の著作に『ファイナルガール』『ドレス』『私は幽霊を見ない』『来世の記憶』などがある。 わたしがこの世で一番好きな小説は「ピエタとトランジ」です 2人の女子高生がやがて死を呼ぶババア探偵バディになって世界を滅ぼす話…… ピエタとトランジ (講談社文庫) by 藤野可織 臨時休校中で、私たちは真っ昼間からずっと四人用のボックス席に居座っていた。ランチに彩り野菜のドリア(トランジはうどん)を食べ、夕飯にとろ~り卵の濃厚カルボナーラ(トランジはそば)を食べたほかは、ドリンクバーでむりやり間を持たせ続け、私はひたすらメロンソーダばかり飲みながらトランジの指定した問題集を解き、トランジはひたすらジャスミンティーばかり飲みながら読書をしていた。 いっぽうの私とトランジは、ほとんど会話を交わさなかった。トランジが問題集をめくり、「ん」と設問を指差してこっちへ押しやる。私は解く。解いているあいだ、トランジは読書。解けたら、あるいは解けなくて降参したら、「ん」とノートをあっちへ押しやる。するとトランジは別の問題集の中から私が次に解くべき設問をすでに見出しており、「ん」とそれを押しやる。私はもう一冊のノートでそれを解きにかかり、トランジは採点をやる。出来ていない箇所には、解答と解き方を走り書きする。さっさとそれを終わらせてしまうと、トランジは読書に戻る。 その点、私はちがう。私は髪を茶色に染めてふわふわのパーマをかけたり巻いてみたりうしろを刈り上げてみたり、やりたいことは片端から試しているし、化粧品が大好きだからアイラインもアイシャドウも口紅もハイライトやコンシーラーも新作が出たら勇んで買いに行き、高い美容液を片端から試して肌の張りや潤いを楽しんでいる。四十代の私はぜんぜん悪くない。むしろ、三十代の終わりからまぶたがたるんで、奥二重だったのがはっきりとした二重になってちょっとラッキーだ。それに、若いころ大きらいで心底呪っていた頰のむにゅっとした丸みが加齢とともに削げ落ちて、頰骨が荒涼とした崖のようにあらわになってきたところも好みに合っている。セルフイメージと自身の姿が近づいてきた気がする。 「あー」と私は言った。「シオシオだ」何十年も口にしていないあだ名がするっと出た。シオシオ。いた、そういう子、たしかに。クラスはいっしょになったことはない。でもたぶん一度、チア部で趣味は料理なシオシオのもう一つの趣味がアクション映画鑑賞で、それを彼氏の影響だと勘違いしていもしなかった彼氏が誰かを探りまくってた別のクラスの男子が、思い余ってシオシオに直接尋問するのになぜかカッターナイフを片手に持ってたところを私がジャン=クロード・ヴァン・ダムばりの華麗な足さばきでキックして助けたんだった。そのあと、シオシオは誰も殺さず誰にも殺されず、ふつうに高校を卒業したんだっけ? 私は彼氏から、異常な記憶力を持つ知的障害者の話を聞いたことがあるのを思い出した。そういう映画があるんだって。すっごく泣けるからお前も見ろって、泣きそうな顔で長いこと話してくれた。トランジはふつうの女の子に見えたけど、どこかに障害を抱えているのかもしれない。そういう人にはやさしくしなきゃいけない、彼らのすばらしい能力はみんなで大切にしなきゃいけないんだって彼氏が言ってた。 私はあらためてトランジの全身をよく見た。真っ黒で地味な髪はきれいにとかしてあり、耳にピアスの穴は開いていない。シャツのボタンは上まできっちり留めている。袖口のボタンまで留まっている。スカートは校則どおり膝丈で、紺色のハイソックスを穿いた脚はけっこう細い。私より細いかも。胸はあんまりないみたいだった。私のほうが大きい。顔は化粧はしてなくて、眉だけそれなりに整えてある。化粧してないわりには、自前の 睫毛 が長くてまあまあかわいいかもしれない。つまり、連れて歩くのに恥ずかしくないレベルはクリアしている。それに加えて、彼氏は茶髪でばっちりメイクの子がタイプだから、彼氏を盗られる心配がないっていうのも重要なポイントだった。 トランジはまだ十七歳なのに、たくさんの死体を見たことがあった。殺人、事故、自殺、なんでも見ていた。きれいな死体も、腐乱死体も、バラバラの死体も。液状化したやつも見たことがあるらしい。人間って死んでから長いこと放っておかれると、床の染みになっちゃうんだって。私は、この前の元カレのと、小学生のときに死んだおじいちゃんの死体くらいしか見たことがない。おじいちゃんは病気で死んだ。私が病院に着くとおじいちゃんはものすごく黄色くなっていて、お葬式の日にはもっと黄色くなっていた。 「うわ!」私は手をたたいて笑った。もともと斉藤は好きじゃなかった。私のことを見た目で判断して、勉強ができないって思い込んでたけど、私はわりと数学が得意なんだ。私がテストでいい点を取ると、カンニングしたんじゃないかって遠回しに嫌みを言った。古文の橘だっていやな奴だ。ひょろっとして眼鏡をかけてて、一部の女子には草食系だとかなんだとか言われて人気があるのはたしかだけど、まるで全女子生徒に好かれているみたいな自信たっぷりの態度をとる。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ女子高生探偵と助手のバディものだと思い読み出したが、主人公のあまりの頭脳明晰さ故から事件を解決しない事に驚きました。 事件を引きつけてしまい周りの人がたくさん死んでしまう性質を持つトランジと、そんなトランジと共にいるがその影響を受けないピエタ。 突飛な設定と、現実も妄想を行き来するようなストーリー展開で、正直ついていけまけんでした…
0投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表紙や目次の装丁に一目惚れして購入 関わる人皆が死んだり殺人を犯したりするようになってしまうトランジと その影響を最後まで受けなかったピエタ ピエタからドランジに向ける愛は真っすぐで、彼女がいない人生に意味がないと思っている トランジもそっけない様で、唯一いなくならないピエタのことを想っていて 2人を百合と表現している所もあったけれど、親友、戦友、の方が私はしっくりくるかな ピエタには本名なんて必要ないから、ピエタ以外の名で呼ばれるときは黒く潰されている表現が好き 本当に彼女の頭にもそう聞こえていたんだろうなぁって思える
2投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログトンデモ設定を活かしきれてて見事。 女子高生2人の日常から始まったはずだったのに、気づけばすごい場所へ連れてかれてました!
2投稿日: 2023.11.04
powered by ブクログ短編集『おはなしして子ちゃん』に収録されていた「ピエタとトランジ」のその後を描いた作品。 主人公の2人のヒロインのキャラクターが立っているので、いくつかちょっとした事件を並べておけば、場面設定を大きく変えずに連作短編として十分一冊の本にまとまったと思うんだけど、あえてそれを行わずに2人に年を重ねさせ、世界を巻き込んだディストピアに発展していく形にしたのはとても良かったと思う。 探偵を主人公にしたミステリー小説だと、なぜかその周囲で必ず事件が起きるというある種の「お約束」があるんだけど、本作はミステリーの体裁をとっていないにもかかわらずその設定を踏襲しているのが、何とも皮肉めいていて面白かった。 個人的には意図的に表題作をラストに持っいく必要は無かったような気がするのと、途中ちょっとダレた印象もあり、本作が藤野さんの代表作かといえばちょっと違うと思うけど、それでも十分楽しく読めた。
1投稿日: 2023.10.03
powered by ブクログ探偵モノで起承転結のある短い話ばかりだから読みやすそう、という印象だったのにまったく逆で、最後まで読んでれば犯人もトリックもわかってめでたしで終わるような生易しい小説ではなかった 始まったと思ったら終わるし 書かれている裏に三倍くらい他の情報があって何が起こってたの?と読み返したりしてすごい時間かかった ほんとに書かれてることが起こったことなのか、どこからどこまでが妄想なのか全部読み終わってもわからない…個人的に後半はほとんど妄想かもと思う 読んでて主人公はあんまり好きじゃないままだったのにふと思い出して考え込んでしまうようなフレーズばかりだった
1投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログ読後のこのなんとも形容しがたい気持ち。 最近読んだ中では抜きん出たインパクトだった。 想像していたこしらえとは全然違ってたなー。 おもしろかった。
1投稿日: 2023.08.20
powered by ブクログ世界は地獄みたいに殺人やら事件やらが起きてどんどん人がいなくなっていくけど、 そんな世界でも、悪態をつきながらお互いを信頼(?)してずっと一緒にいる二人が最後までとても素敵で、 世界が終わるまでこのままずっと二人は一緒にいてほしいなって思った。 森ちゃんの執念がすごすぎて怖い。
0投稿日: 2023.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最高の二人だった……。誰もこの二人の仲を割くことはできないのだよ、と思うと泣ける。この感じなら、死後もずっと一緒にいるんじゃないかな。 ピエタとトランジ、この二人のキャラクターが凄く光っていて、二人の関係性が最大の魅力。特殊な体質を持って生まれたトランジに、それに影響されない唯一の人ピエタ。二人とも一緒にいるのが楽しくて離れたくないけれど、決して恋愛対象ではないというのがポイントで、でも運命の人であることには変わりない。この体質について何か根拠があるのかと思ったが、最後までそれは分からないまま、名探偵でも解けない謎だった。他の全ては分かるのに、自分のことが分からない探偵というのも可愛い。 まさか世界が終末に向かう展開になるとは思わなかったが、"「このままふたりで学校を全滅させちゃおうか」" をずっと続けてきただけなのだなぁと感慨深い。二人でいれば最強なんだなと思った。
3投稿日: 2023.07.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おはなしして子ちゃんに収録されてるのを読んだのでそれら全般に対して! ・私の不在さえも、私たちの部品となって機能している(うろ覚え)みたいなのグッと来た お見舞いに来たクラスメイトをひとまとまりの生き物と見ていたのも ・「アイデンティティ」よかったー不思議すぎる、唯一無二すぎる 意味分からないのに、初めて人魚ですとだけ言えて助六を喜ばせられたシーン泣きそうだった。意味分からないのに。 そしてこの話から言えそうな教訓みたいなのを敢えて最後に本人に語らせてることでありきたりな「正解」をなぞって読んでいただけだと突きつけられる 何者かに語られて、言語化されて初めてアイデンティティなんて存在するよなー
0投稿日: 2023.05.30
powered by ブクログ感想 アンチ探偵小説。なぜ名探偵は事件を引き寄せるか。どう犯人を見つけるか。過去の作家が苦労した部分をあっさり無視する。ある種冒涜的。
0投稿日: 2023.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校2年生の時、ピエタの学校にトランジが転校してきた。地味だけど愛想のいいトランジは天才で、そうして殺人を引き起こす特殊な性質を持っていて、ピエタの彼氏の殺人現場を見ただけで犯人を推理してしまうし、ファミレスで勉強しているだけで周りが血の海となる。 このファミレスの話から始まるのだけれど、高校生がファミレスで勉強するという比較的ありふれたシチュエーションなのに、クリームソーダが憧憬の象徴だよねという同意を取りやすい長閑さの話なのに、机に突っ伏していたピエタが全く突然、誰かに頭を持ち上げられて首にナイフを刺されそうになるというとんでも展開となる。なんかだらだらはじまったな〜面白いのかな〜なんて読んでたら。二度読みしてしまった。 以降も、ピエタとトランジが歳を重ねていくなかで必ず何かしらが起こるし、さまざまな人が現れては消えていく。物理的にも。でもトリックは語られず、動機を語る。わりとあっさり。 探偵が出るけど推理小説ではなくて、特異体質持ちのトランジだけどそのトランジと単純に友人としてつるむピエタをみているのが、最高に楽しかった。
1投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「死ねよ」「お前が死ねよ」という会話にこんなにぐっとくることある? お互い以外がどんどんいなくなる、究極の「セカイ」系かも。
0投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ「……私の近くにいるとみんなろくな目に遭わないから」頭脳明晰な探偵トランジと親友で助手のピエタ。トランジは周りに殺人事件を誘発してしまう体質の持ち主(本人は望んでおらず手を出してもいない)であるゆえ、2人の行く先々で人が死んでいく。時を超え、国境を超え、デストピアを駆け抜けていく壮大な物語。『おはなしして子ちゃん』に収録されていた同名短編が独立して長編になったのが文庫化されたというので読んでみました。凄く面白かった。バタバタと人が死んでいく…という設定は本来私は好みでは無いのですが、ピエタとトランジの二人の関係性の魅力が輝いていてそちらの楽しさが勝っていました。いわゆる百合なんでしょうけど二人の間には性的関係が一切無いのがまた良いですね。 私に絵を描く才能があれば二人のファンアートを描いてみたいところです。表紙の絵は帯を取ると髑髏になるのがすごいですね。
2投稿日: 2023.01.18
powered by ブクログそこにいるだけで、がん細胞の様に、周囲に死を招く。がんが広がる様に、死が広がる。そんな人は、周囲の人とつながりを持つことができない。どんなに生きづらいだろう。なんてひどい設定だ。 そんな人の側にずっといるピエタは、そんな状況を楽しんでいる。どんな状況でも楽しめる人は、強いねぇ。 主人公にも、誰にも感情移入できない考えさせられる物語だった。
0投稿日: 2022.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
探偵のように頭が切れるが、関わった人間がみんな死ぬか殺人犯になるかする特異体質のトランジ。その親友のピエタ。二人は周囲に巻き起こる事件を解決したり、わざと犯人を逃がしたりして異常な日々を楽しく過ごしていたが、ピエタがもう一人の友人をトランジに紹介したことで、徐々に世界の均衡が崩れはじめる。青春ミステリーみたいなポストアポカリプスSF。 長く続く探偵シリーズものでよく言われる、「これって探偵自身が殺人事件を誘発する死神体質なんじゃないの」みたいなやつ。あれが実際一人の女の子に備わっていて、しかも他人に感染するという設定。だから高校時代に運命の出会いを果たした二人の青春ミステリーみたいに始まるんだけど、途中で感染爆発が起き、殺人が日常になったポストアポカリプスの終末世界をサバイブするババアたちの姿で終わる、少々アクロバティックなアンチミステリーである。 そして、この小説はさまざまな〈女の苦しみ〉を描いた小説でもある。読んでいてちょっと鼻白むくらい、女性特有の社会的な悩みがでてきては犯罪の動機になったり被害に遭う理由になったりする。ネットニュースとSNSの議論を見ているみたいな気持ちになるのは著者も折り込み済みなのだろう。一つずつの事件は短く、重たくなる前にピエタのギャル口調でサクサクと斬られていく。だからと言って重たい現実から目を背けろと言っているわけでもない。 トランジは一人の女の子であると同時に、既成の世界から拒絶された人間の象徴だ。「お前さえいなければ」「お前さえ黙っていれば」と抑え込まれ、それが当然と思われることに反抗する。ピエタはトランジと一緒に暮らす世界を諦めない。それはトランジを抑え込もうとするのと同じ力に、ピエタも反抗している一人だからだ。トランジを拒絶する世界を肯定することは、自分を偽って生きるということだからだ。 いくつもの事件を通して、二人は世界が自分たちに押し付けてくるさまざまな〈意味〉を剥ぎ取っていく。そうして自分を解放していく。その作業は本来ミステリーとは相性が悪いはずだ。わからないものに意味を付与していくのが謎解きなのだから。現に二人が本当の意味で世界に受け入れられるのは、人々が謎解きを求めなくなってからだ。ピエタはトランジの推理力を誇るが、それはもう「ちょっとした特技」以上の何かではない。既成の価値観が壊れ、ミステリーが解体されると、死をもたらすアンチ・キリストだったトランジもなぜかその隣に居続けることができたピエタも、特別な意味を失ったただの人になれる。『マッド・マックス』+『地球の長い午後』みたいなポストアポカリプス世界が、二人にとっては約束の地だったという結末の清々しさ。 なぜピエタだけがトランジの影響を受けず、トランジを看取ることができたんだろう。トランジに出会う前からピエタを名乗っていたからだろうか。答えはない。探偵がもし死神だったとしたら、その人を一人にしない助手ってものすごく大事な存在なのかもしれないと初めて思った。
6投稿日: 2022.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短篇集「おはなしして子ちゃん」に収録された「ピエタとトランジ」が帰ってきた! 単行本版の書名は「ピエタとトランジ〈完全版〉」だが、文庫化に際して「ピエタとトランジ」と改題。 「奇想の作家」として凄まじい短編ないし中編を続々発表してきた著者にとって、たぶん最長の作品ではないか。 テーマや核心に関しては、ネット上の著者のインタビューや、山内マリコの「家父長制を殺しに来た」という書評(すごいタイトル)に言い尽くされていると思う。 個人的には、読んでいる最中は気づかなかったが意外としっかりコナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」シリーズをふんわり下敷きにしていることに驚いた(しっかり、ふんわり、って矛盾しているようだが、この作品においては両立しているのだ)。 また、青山剛昌「名探偵コナン」ばりの殺人事件呼び起こし体質→黒沢清「キュア」→伊藤計劃「虐殺器官」→コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」っぽく、章が切り替わるごとに年数が飛ぶごとに切り替わっていく疾走感が素敵だと感じた。 探偵こそが悪を誘発するって「コナン」でよくネットミーム的に言われているが、よく考えてみたら結構昔から、むしろ本格系の作家や評論家が言ってきたことと重なるように思う。 詳しくないのでふわっとした言い方しかできないが、小栗虫太郎「黒死館殺人事件」法水麟太郎や横溝正史の金田一耕助に関して、法月綸太郎あたりが言っていたような。 とすると本作は本格ミステリを望む向きには適さないが、探偵論を望むコアな読み手の一部には刺さるのではないかと思う。 てなことをくだくだしく書いてしまったが、素晴らしいバディもの。 老いに、喪失に、退廃に対して、悲哀も込みで呵呵大笑で笑い飛ばしてしまう、元気の源にもなる、小説だ。 全12章+エピローグ(?というか元の短編) 1.メロンソーダ殺人事件 2.女子寮連続殺人事件・前篇 3.女子寮連続殺人事件・後篇 4.男子大学生集団変死事件 5.海辺の寒村全滅事件 6.無差別大量死夢想事件 7.夫惨殺未遂事件 8.死を呼ぶババア探偵事件 9.疑似家族強盗殺人事件 10.傘寿記念殺人事件 11.高齢者間痴情のもつれ殺人事件 12.世界母子会襲来事件 0.ピエタとトランジ
11投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログ頭脳明晰なトランジは殺人事件を誘発する体質の持ち主で、周囲でどんどん人が死んでゆく。そんなトランジと、彼女の助手であり友人であるピエタのロマンシス小説。 『おはなしして子ちゃん』に収録されていた『ピエタとトランジ』の続編であり完全版です。 ずっと文庫化楽しみにしていたので、珍しく発売してすぐに読みました。 短編集に収録されていた話はピエタとトランジが高校生の時初めて出会った時の話で、こちらはその後の2人、高校を卒業してから大学、就職などのライフイベントを経て、老人になるまでの人生を描いています。 もちろんその間でも2人の周りでは人がどんどん死んでいき、高校の卒業時には全校生徒が半数以下になっていたり、大学の寮もほぼ全滅。2人の存在は世界の危機へと繋がっていきます。 見ようによっては、とても綺麗な滅亡の形かもしれない。滅ぶのは世界ではなく、人間だけだから。 そんな右を向いても左を向いても事件や事故が起こる世界の中、どこまでもどこまでも2人で駆け抜けてゆく、疾走感のあるロマンシス小説。 とんでもない世界観なんですが、2人の関係性、互いが互いにとってどうしても必要な存在であるという姿にぐっときます。時を経ても変わらない関係・気持ちと変わっていく世界の対比も美しい。 老人になった2人も出てきますが、それでも最強の「ガールズ小説」だと思います。 ピエタもトランジも、森ちゃんという新しく出てきたキャラクターもそれぞれとても魅力的なのですが、私は特にピエタがとても好きで、最初の短編でピエタは若く可愛く奔放で、若さゆえにトランジとトランジの引き寄せる破滅に惹かれるようなイメージで描写されているのかと思っていたのですが、年をとってもどんな経験を積んでも変わることなく、どこまでも美しく自由で奔放で、「今までの人生で今が一番輝いてる!」と自信を持って言えるピエタがとても素敵でした。 表紙がピンク色の背景のドクロの隠し絵というのも、甘さと不気味さがあって可愛いですよね! ちょっとラノベ感のあった単行本の表紙も良かったですけど、こちらの方がイメージに合ってる気がします。
22投稿日: 2022.10.20
