
総合評価
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powered by ブクログ著者自身がDV被害者で、自分の記録を書きつつ、他の被害者たちにも取材しまとめたもの。 著者もなかなか苦労しているが、取材したほかの被害者たちの経験があまりにも壮絶で、苦しんだであろう著者が「私はそうでもない」と言ってしまうくらい。 被害経験のある人はフラッシュバックを起こす可能性があるので、読まない方がいいかもしれない。 DVという言葉もずいぶんと社会的認知がされてきて、以前ほど、被害を打ち明けても相手にさえしてもらえないなんてことは少なくなってきていると思うが、それでもまだまだ理解は乏しく、支援者の立場にいてさえ、きちんと勉強していなければ間違った対応をしてしまいかねない。家庭内のことだけに表面化しにくく、ましてや子どもが被害者の場合、実際に暴力を受けていなければその重症度も適切に理解されないのだ。子どもの面前でのDVが子どもの脳を萎縮させるという、より深刻な影響を及ぼすことが科学的に証明されているというのに、だ。そしてDV被害者自身も、自分が被害者であることに気づきにくい。そこに、この問題の深刻さがある。 日本はかなり遅れているが、アメリカはDV支援の体制がとても進んでいて、たとえ警察官であろうと弁護士であろうと、DV支援のためには必ずDVについて学ばなければならないシステムがあるそうだ。また著者が取材するなかで、アメリカの裁判官が「被害者は支離滅裂で嘘も多くて変な人。加害者は理路整然としていていい人に見えるが、これがDVの本質。ずっと支配されて夫の顔色をうかがっているうちに妻は病み、支配しているほうは病まない。」と言っていた、という話を聞いたそう。まさにその通りで、私も今まで、そんなパターンをいくつも見てきた。その事実を知らない人にはDV支援はできないだろう。 そしてDVの渦中にあるときには、辛い感情を抑圧し、毎日を生き延びることだけに全集中するしかないが、加害者と離れ、抑圧する必要がなくなるとそれまで抑え続けてきたものが爆発して、いろいろな症状が出てきてしまう。加害者が悪いのに、被害を受けた方は命がけで逃げ、何とか逃げおおせても今度はそれまでの苦痛がもたらした後遺症に悩まされ、苦しみ続けなければならないなんてあまりにも理不尽ではないか。 夫を逮捕して終わり、逃げて終わりではなく、その先の妻の人生の立て直しにこそ、手厚く切れ目のない支援が必要だろう。 そして忘れてはいけないのは、社会も、正しくDV被害について理解しなければならないということ。 DVがまかり通っている家庭では、外からは想像もつかないような悲惨な事態が巻き起こっている。
6投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログDV被害者の生活が書かれていてとても参考になった。 私も当事者であるので、読んでて辛くなる場面もあった。
0投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
DVという言葉が一般的になってきた昨今。 著者の林先生自身が当事者ということもあり、ご自身が本にまとめるのにもかなり心身を削る作業だったのではと思いを馳せずにはいられない。 友田先生が仰るとおり目撃するだけで脳機能に大きな影響を与えることが、エピソードからも良く分かる。 備忘録 ・NPO法人 レジリエンス ・NPO法人 女性ネットSaya-Saya
1投稿日: 2022.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第1章 父の暴言・暴力におびえる母娘 第2章 離婚後に壊れていった母 第3章 男性が怖い―暴力のダメージで男性恐怖症に 第4章 親子関係がきしむ―母子にあらわれる心身の変調 第5章 二重のトラウマ―子ども時代の虐待と夫からの暴力 第6章 元夫の支配から抜け出せない―コントロールで判断力を奪われる 第7章 子どもを苦しめつづける面前暴力―怒鳴り声でフラッシュバックする 第8章 被害者支援から見えてくるDV問題の実態 第9章 DV後遺症―脳・心・体も影響を受ける
0投稿日: 2022.05.31
