
総合評価
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powered by ブクログ◼️ 安房直子「春の窓」 時に何も考えず、絵本のようなファンタジーに心を任せる。それもいいかなと思えます。 安房直子は児童文学で多くの賞を受けた方、1993年に鬼籍に入られた。帯の通り、懐かしい、ほんのりとしているが、厳しく現実的な向きもある。深い理屈はないが、心の奥に届くような気がする。動物が多く出てくる。 「あるジャム屋の話」「黄色いスカーフ」 「北風のわすれたハンカチ」「日暮れの海の物語」 「だれにも見えないベランダ」「小さな金の針」 「星のおはじき」「海からの電話」「天窓のある家」 「海からの贈りもの」「春の窓」「ゆきひらの話」 の12編。それぞれは長くなく、全部で250くらいの本。 表題作「春の窓」は売れなくて貧乏な絵描きのところにまだらの猫が来て、壁に窓を描いてみてください、という。絵描きが春の風景の窓を描き、言われるままにカーテンをかけると、猫は魔法をかけるー。 想像力を刺激されて、ちゃめっ気もありいい話。ほかは人が好いが貧乏な大工の物語「だれにも見えないベランダ」は未来への予感を現実化させることで何も考えずにファンタジックなエンドに浸れる気がして読後感がとてもいい。あと、孤独なお婆さんが主人公の「黄色いスカーフ」「小さな金の針」「ゆきひら」も哀しさの中に希望があって、可愛らしくていいですね。 サラサラと読み終わり。も少しないかなと思う本読み。書評で見かけたものをブックオフで発見、即購入。スマホも何も出て来ない、昭和の中にいて昔話を聞くようなシチュエーションも感じ取れる。素朴さに潤う。 冒頭作「あるジャム屋の話」で鹿ちゃんが「ほら、よく言うでしょ、鹿の知恵は神の知恵って」と言うのを、そういえば奈良では鹿は神の使いだな・・なんて不思議な説得力を覚えつつ、この本自体にすでに惹かれていたのでした。 ロシア紅茶とか、ジャムの種類とか、シルクのスカーフ、青い北風など、ポツポツと小粋なアイテムや色彩を潜ませてあるのもポイントかなと。楽しんで読めると思います。チルい!
1投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログファンタジー。雰囲気は明るく穏やかなのだが、想像すると少し気味が悪い。展開も意外とゾッとする。予想していたよりも私の口には合わなかった。グリム童話の日本発祥大人風味。
0投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ思ったよりずっとお子さん向けだったので物足りなさもあるけど動物や植物が話したりしてドリーミーで可愛らしかった。懐かしさと優しい世界観。#よむーく四季さんぽ
1投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ安房直子さんは絵本で読んだことあったけど、短編集はNaffyさん画のこの表紙に惹かれて初めて読む。 ノスタルジックで優しく少し不思議。読んで心が凪いでいき、大変良かった。 大好き。 もっと安房直子の世界に浸りたいと思ったので他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この本大好き!ファンタジーの魔法をかけてもらえるような素敵な本。 「急に、おばあさんは、楽しくなりました。めったにないようなすてきなことが、これから始まるような気がしてきました。」 これは本文中の一節なんだけど、おばあさんだけじゃなくて私も読んでいてほんとうにわくわくしてしまうのだ。大人向けの童話ということだけど、子供でも読めそうではある。 全編通して始まりにはしんみりした寂しさが漂っており、そこにやってくるファンタジーがぽっと明かりを灯してくれるようなお話が多い。動物たちとの素朴で楽しいやり取り、手のひらに収まる不思議な宝物。どれも好きだけど、「あるジャム屋の話」「星のおはじき」が特にお気に入り。 ただほんわかした話には収まらないところもあって、「星のおはじき」「天窓のある家」「日暮れの海の物語」は盗人・裏切りの物語だ。後ろめたい気持ちを抱えた人間と、木や動物のお話。「星のおはじき」はクラスメイトのおはじきを盗んでしまった女の子を柳が優しく慰め、おはじきと「あなたの心」を預かってあげると提案してくる。あくまで「預かってあげる」のがミソなのだと思う。預かったものは、いつか返してもらわなくてはならない(そこまではお話の中では書かれていないが)。その重さに耐え、罪を自分の中にきちんと収めて持っていなくてはいけない。他二編を読んでも、そういったことが前提されているように思うのだ。 不思議な交友の温かい思い出も、後ろめたい思い出もその人の中にあり続けて、ふとした時どこかから顔をのぞかせ、その人の胸の内に光と影を作るのだろう。読書の思い出も、そういうところがある。この本も、私の心に植わっていてほしいと思うような素朴で豊かな物語だった。また読みたい。
3投稿日: 2023.08.24
powered by ブクログ安房直子さんの物語、大好きなんだけど多くは絵本・児童書で判型が大きく、あまり持っていない(棚に余裕がない)ので文庫の復刊はうれしい。 かわいい、ほんわかファンタジーの趣もありつつ、どこかに哀しみや厳しさがみえる作品が多い。結末も、必ずしも"元通り"や"ハッピー"ではない。子ども心には少しこわく、大人には切なく感じるように思う。 別世界へ旅立って終わる『だれにも見えないベランダ』。一度は手に入れた素敵な物を、ずっと持っていることはできない『小さい金の針』。難は逃れたが、よくしてくれた相手に恩を返さなかったという心のトゲが残る『日暮れの海の物語』『天窓のある家』。 このあと、どうなったんだろう――と、読み終えてしばし宙を見つめてしまったりする。
3投稿日: 2023.06.06
powered by ブクログ通勤中に読んでいた。 本の世界とはかけ離れた環境で読んでいた。 かえってその分安房直子さんのファンタジーにすいこまれていくようで、心地よかった。 また来年の春位、内容を忘れちゃった頃に再読しよう。
2投稿日: 2023.04.25
powered by ブクログ春の陽だまりにいるような心がポカポカとぬくぬくするお話が多かった。 子供向けというより大人の童話。 孤独を感じたり、人生に疲れたりした大人の心を温めてくれる。
4投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログどの話もあたたかく不幸になることのない世界観です。現実の中にほんの少し不思議なことが起きます。不思議なことを起こす動物やものが可愛いです。
1投稿日: 2022.11.03
powered by ブクログ十二篇のファンタジー短編集。 ひとつめの”黄色いスカーフ”から、もう虜になり、想像がつかない展開にワクワクしながら読みました。少し切ないストーリーもありますが、一話一話が美しくて、うっとり幸せな気持ちになる童話集です。 1番心に残ったのは”春の窓”。本を閉じた後も物語が続いているような余韻に浸っています。 自然や動物たちが、自分にも話しかけてくれないかしら…なんて想像するだけで楽しい。夢の世界に連れて行ってくれる一冊でした。
14投稿日: 2022.10.05
powered by ブクログ周りの動植物や物たちの心の声を具現化したかのようなやさしさが、望まずとも孤独を感じて生きていかねばならない人達に届けられる物語は、私のような、今でもひとりぼっちで暮らしている人間にとって、温かくも切ない思いに駆られます。 主人公たちの年代も、少女時代のささやかな思い出が蘇ってくる展開に、安房さんのやさしさを感じさせる、おばあさんが主役の話や、貧しい家庭に生まれながらも思いやりをもった、健気な女の子の話など、様々です。 特に、後者の「海からの贈りもの」での、お祭りに行く女の子に、病気のおかあさんが、「これですきなもの買っておいで」と、渡した五十円玉二枚を、自分のものを五十円分、おかあさんのものを五十円分、買いたいと思う女の子の気持ちを思うと、物語とはいえ、そのやさしさに込み上げてくるものを止められません。 また、もう一つ印象的だったのが、表題作の「春の窓」で、ここでの猫があたたかいという話に、実はとても共感できるものがありました。 というのも、この話を読んだとき、以前、住んでいた家から通ってた公園で、歩道の縁石に座っていた私の膝の上で、丸まって眠ったノラを思い出したからなんですけど、その時の温かさは、本当にひとりじゃない気持ちが芽生えた喜びで胸がいっぱいになって、しかも、それが幻想でなく、ノラの存在をはっきり証明する重さを実感したときの嬉しさといったら! そうした体験を踏まえながらも、更に、その先の素敵な幻想世界を見せてくれる、安房さんの物語には、老若男女すべての人が持ちうる、ふとした時に感じるやり切れなさや孤独に、そっと寄り添って温めてくれる、ささやかな愛を感じられました。 しかし、その愛も、本書を読み終えた途端、現実に戻ってきたような感覚で消滅してしまい、行きどころのない壮絶なもの寂しさを感じた私は、思わず、庭の木々達に縋るような視線を向けていたのでした。
23投稿日: 2022.05.06
powered by ブクログ大人の寂しさを癒やす、と帯にあったけど、児童向けかと。やさしいお話ではあるので、小学校低学年からでも。
1投稿日: 2022.05.03
powered by ブクログ色々なストレスや辛い事がこの本を読むと癒しに変わり、読んだ後は心がほっこりします! 大人も子供も楽しめる作品です!
1投稿日: 2022.04.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ちょっぴり不思議で、夢の中にいるような世界を描いた短編集。 季節の変わり目にふと感じる寂しさも、ふんわり漂うそよ風や柔らかな陽射し、優しい木漏れ日に慰められる。 寒くて薄暗かった冬を越えようやく訪れた、待ち焦がれた春。 それは自分で部屋の窓を開けなければ気付くことのできない嬉しい瞬間。 森野屋の美味しいジャムもおばあさんの心を明るくする黄色いスカーフも、海から届くカワイイ電話もすてきな贈りものも、ゆきひら鍋で作った温かなりんごの甘煮も、全てが春の淡いまぼろし。 特に『黄色いスカーフ』『海からの電話』『ゆきひらの話』が好き。 寝る前に一話ずつ。夢の世界へと優しく誘ってくれる短編集だった。
27投稿日: 2022.04.14
powered by ブクログ安房直子さんの物語はファンタジーだけど、どこかピリリとシュールだったり、人間臭かったり、それでいて心に残る。題名の「春の窓」が好き。ジャム屋のお話も、気長な奇跡がいいね。
4投稿日: 2022.03.25
powered by ブクログ安房直子さんが大好きで、全集も、昔講談社文庫から出てたのも持ってるんだけど、また文庫で世に出たのが嬉しくて買ってしまった。 「ゆきひらの話」が好きです。
2投稿日: 2022.03.19
powered by ブクログ優しいお話しで溢れていた。小さい子に読み聞かせても良さそう。心に沁みてゆっくり栄養になるようなそんな一冊。
2投稿日: 2022.03.14
powered by ブクログ心がポッと温かくなった。 講談社さんありがとう。 安房直子さんの本が文庫本で読めるなんて嬉しい! 私のところにも春が来ました。
6投稿日: 2022.03.06
powered by ブクログ安房直子さんのファンタジー 、すごく好きです。 今日は一日、この本をゆっくり読んでいて、とても幸せでした。12編のお話は、どれも、どこか懐かしくて、優しい、切なくも美しい作品ばかり。 特に 『あるジャム屋の話』と、表題作の『春の窓』が、すごく良かった。読み終えると、心がぽかぽかになっていました! (*^_^*) 日常から、不思議な世界へといざなわれる、極上の時間を楽しませていただきました。 とてもあったかく、優しい気持ちになれます。 おすすめ! 2022年2月23日
86投稿日: 2022.02.23
