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日本の気配 増補版
日本の気配 増補版
武田砂鉄/筑摩書房
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総合評価

12件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    空気読んで立ち振る舞うのが得意ではない自分からすると、何だろうな、背中を押すというか元気付けられるというか、間違ってないけど、でもそんな陳腐な表現じゃない。そうじゃない気がする。 生きづらいのは変わらないんだけど、読んで良かった本。そう思えた。 以下、本文より印象に残った箇所。 日本の気配 武田砂鉄 ジェンダー潜在意識の欠落した CM が定期的に問題視されるが、 結局作った方にも問題があるけどわざわざ指摘する方も さすがに不寛容だよね、という冷静な言い分が浮上してくる。 それではいけない。消費者が判断を繰り返す しかない。企業を監視する。緊張感を保つのは重要。 自分の発言が炎上すると、炎上したという事実に酔いしれながら世の中を刺激した自分の存在を高めようとする。 わかってくれる人は分かってくれる、わかってくれないやつはバカだという区分けをはっきりさせながら議論の中心に居座る。 トイレの張り紙「いつも綺麗にお使いいただきありがとうございます」こうやって言いたいことを言わずにぐっと耐えて自分たちの事情を察知してもらおうとする。それってどこか 傲慢だと思うのだが。 学校で「先生が怒っているかわかる?」 会社は「何で俺が起こったか分かっているのか」と怒鳴ってくる上司。 怒らせてしまった行為に対しては謝るが怒らせてしまった自分の気持ちを察知せよ、ケアせよ、というのはこちらがこなすべきタスクなのだろうかと思う。 日本では忖度に代表される空気の読み合いがコミュニケーションの能力として当たり前に求められてきた。 コミュニケーションを正解の積み重ねによって能力で語ろうとする動きは強まる一方。でも コミュニケーションって常に失敗しているのであって そしてそこから飛躍していくのであって、 失敗や飛躍を放置しておく方が対する個々の振る舞いに対して寛容でいられると思う。 目の前にある物事を整理し私とあなたのコミュニケーションという状態で測りすぎなのではないか。 コミュニケーションはタイマンではない。 私とあなたの間にはいくつもの要素が入り込んでいる。そのことを知ると人は動きやすくなるはずなのにどうしてだか コミュニケーションに能力を付着させて拘束されたがるのである。 どんな人とでも難なく会話を重ねることができるかという問いかけに対しては、「そんなのどんな人かによるっしょ」という答えだけが正しいに決まっている。

    0
    投稿日: 2024.07.30
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    星五つは著者が嫌がるかも知れない。 忖度するのにうんざりしている昨今。あぁ自分は自分のままでいよう。と、勇気付けられる。 コミュニケーション能力が有ると自分では思って来たが、どうも最近のコミュ力と呼ばれるモノは自分が思うコミュニケーションの力のことでは無いらしいと気づく。 最近の書店に積まれている本のタイトルを見る。 話すのが上手いヒト。ロンリ的に話すヒトが優秀らしい。話すのが苦手な人は無能だと思われるらしい。 批判的に事物を眺め、変なことを変だと言える事の大切さを感じる一冊でした。

    0
    投稿日: 2023.12.18
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    100分で名著で解説をしていた武田さん。面白い人だなあと思い、著作を購読。言葉(発言)って、その人の本質的な部分から出てくるものなので、どんなに取り繕っても正体が見えるものだと実感。だとすると、政治家や上司など権力者だけでなく、身近な人の発言にも、もっと敏感になるべきなんだろうと思い直しました。言葉って大事なんだなあ。

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    投稿日: 2023.03.12
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    しばらく武田砂鉄さんの本はもういいかな、と思うぐらい堪能笑 あらゆる事象を鵜呑みにせず、まず疑い、考え、発信するパワーがすごい。 個人的には、稲田朋美の章が爆笑。

    0
    投稿日: 2023.02.12
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    作者は事あるごとに憤っている。 ちゃんと憤れ!反発しろ!それをしなければ気配に飲み込まれる。いまただよっている、もしくは誰かによってただよわされた気配のまま進んでいくぞ、と言う。 無関心、無気力に私たちの世代あたりはおかされているんじゃないかな、と思う。少なくとも私は、政治とか社会への関心はかなり低い。そして、個々の趣味とか、小さいコミュニティの中で過ごすことに情熱を注いで満足しているんじゃないかな。 憤ることはしんどい。楽しく穏やかに過ごしたい。 きっと身近に危機を感じるときしか、政治への反発は起きない。 それじゃだめんなんだと作者は警鐘を鳴らしている。

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    投稿日: 2022.02.27
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    ムカつくものにムカつくと言うのを忘れたくない。 個人が物申せば社会の輪郭はボヤけない。 個人が帳尻を合わせようとすれば、 力のある人たちに社会を握られる。 今、力のある人たちに、自由気ままに社会を握らせすぎだと思う。

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    投稿日: 2022.02.22
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    コロナ禍でも何となく「空気」で物事が決まっていっているような気がして、日本の「『空気』による意思決定」に関する著書を読みたくて読んだ。冒頭で筆者は『「気配」は「空気」と違う』という。そしてその気配を察知して空気を支配しようとしている時の宰相に不満を述べ始める。その後に続くのは各所で筆者が書いた随筆・コラムを集めたもの。何か系統建てて『空気』というものを解きほぐして解説しようと言うものではないらしい。あくまでもその散文から「自分で」つかみとれないといけない。ただ文章は、「そこまで決めつけて批判していいの?」というような一方的な内容で、あくまでも「印象論」のような話。分かったことは「筆者はとにかく今の与党が嫌いなんだなぁ」ということぐらい。あまり面白くなかった。 引用 p3 「空気」として周知される前段階を「気配」とするならば、その気配から探りを入れてくる。管理しようと試みる。差し出された提案に隷従する私たちは、「気配」から生み出される「空気」をそのまま受け流す。

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    投稿日: 2021.12.14
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    「気配」、いわゆる「空気」よりも曖昧で捉えどころのないもの。外国語には、同様の単語あるいは表現はあるのだろうか。英語の辞書で調べたら、”sign" "indication" "touch" とか出てきた。いま一つしっくりこないかな。ちなみに、この本でも取り上げられていますが、安倍元総理と違いホントに辞書引きましたから。  この本は、単に単行本を文庫化したものではなく、刊行時からの経過をふまえて増補している。コメント的増補なのだが、読んでて面白い。「察知すべき気持ちの悪さ」がこの本の通底するテーマとある。そう、何か気持ち悪いのだ。読んだ後、じゃあどうしたら良いのかは、読者の「自己責任」で判断すべし。それから、「あとがき」のほうが著者の本音が素直に出ているようで面白い。

    15
    投稿日: 2021.12.12
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    世の中のいろんなことを知っていくと左寄りになっていく(と思っている)ので、ものの見方的なものは参考になった ただ、やはり批判的な論調に必要なものはユーモアで、このひとの文章にはそれが欠けているので息苦しくなる ま、おれにはユーモアの欠片もないのだが

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    投稿日: 2021.11.17
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    そう言えば、安保法制について初めて耳にした時、こんなものが成立したらやばい、と怖さを感じたはずなのに、いつのまにかその感情を忘れ、「右から左へと受け流してしまった」。 武田さんはそういう無関心あるいは怠慢を許さず、とにかく怒る。 つい世の中の空気に沿って動いてしまうけど、力のある人達に人生をいいように支配されないためには、各自もっと自分の感情ファーストで、ムカつきをしっかり発信していかなければならないのかもしれない。 本書は、現代の問題を分かりやすくピックアップしているけど、自分はどう思うかをよく考えず、本の内容に引きずられてしまうことも危険だと思った。頭を使わなくては。 あと、この本を読んで改めて政治家の失言酷すぎと思った。 政治家自身が、自分も人間だから愚かな真似をすることも、わからないこともあるという意識を持つことが必要なのでは。 偉そうにせず、もう少し国民に意見を求めてくれたら、助け合えるかもしれないのに。

    7
    投稿日: 2021.11.09
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    終わってみれば、ほぼいつも通りの結果だった衆院選。いつも通りだいぶガッカリしながらも、せめて部分的に良かった結果を拾っては自分を慰めてみる。投票に行かなくても、とりあえず今の状況が大きく変わることは無いんだろうし、みたいなのも一種の気配なんかな。声が大きいだけで、実際には何も語っていないんだけど、何となくそれでよし、みたいな気配に、結局支配し続けられるしかないんかな。そんな中でも、武田さんの声が一人でも多くに届けば、少しずつでも変わっていくんじゃないか、って期待を持ちたくもなるんですけどね。

    2
    投稿日: 2021.11.01
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    今から振り返れば、今の事態はよくわかるはずなんだけど、今日は衆議院の総選挙、これを経て、政治が、日本がどう変わって行くのか。ゼロの選挙速報を見ていても、そういう意味で落選したのではないんだろうなあという、大物が映し出される。 で、結局は安倍さんとそんなに変わらないだろう自民党が過半数を超える見込みなのだという。 この武田さんがいうように、そこまで色々言わなくてもいいようにも思うのだが、でもやっぱり言わなきゃいけない。言えないならやらなきゃいけない。まだまだこの日本は色々な予測できない変化を、それも権力者にはやらせてはいけない変化を遂げて行くのかもしれない。

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    投稿日: 2021.10.31