
総合評価
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powered by ブクログ日本の歴代総理の中で最年少かつ最も人気のある田中角栄が、幼少期から国のトップに登り詰め、日中国交正常化、日米繊維交渉、日本改造論から、超大型予算によるインフレ常態化、それによる支持率低下、最終的にロッキード事件において収賄罪として起訴されて不遇の最後を迎えるまで、本人の人柄と合わせて巧みに描かれている。事件が起きて支持率が低下しても、新潟では圧倒的な人気を誇り、学歴もなくどもりを抱えながらも成し上がっていったその姿は昭和のロマンを一身に背負っていたようである。戦後日本を語る上でも欠かせない田中角栄を評価する上では有益な一冊である。
0投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログ田中角栄の一生を前半期を中心に書いたもの。 客観的でありつつも、番記者だったからか同情的な視線が根底に感じられる。 首相までの上り坂とその後の凋落がコントラストとなっているが、戦後の総理で最も人間的魅力を感じさせるのは角栄だろう。 彼のバックボーンにある新潟県民の恨み、羨望を救済しようとしたからこそ、戦後日本社会の安定はあるのではないか。
0投稿日: 2022.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
角栄の子ども時代に始まり、政界に入ってから総理大臣を経て、ロッキード事件に追われる最期までを記した本。新潟に生まれた角栄は、太平洋側ばかりが工業化して太平洋側と日本海側の格差が開くのを憂い、地方に利益誘導することで多くの地方票を得てきた。この本で印象に残ったのはエリートの話。大平や福田、中曽根はいわゆるエリート街道を進んできたのに対し、田中は小学校卒。エリートが抽象論に陥ってしまいやすい一方で、角栄は足を動かし具体から学んだ。一般の人々は難しいことを言うエリートよりも、平民出身の角栄に親近感を覚えたのだろう。
0投稿日: 2022.08.30
powered by ブクログ野中広務に続き、次は田中角栄。新書大賞2位ってことで前から手もとにはあったんだけど、なんせ普通の新書2冊分くらいの分量だから尻込みしてしまい、なかなか読む気にならんかった。自民党史上、最大級大物の評伝。出版形態は違うけど、件の野中文庫とほぼ同様の体裁。薄汚い献金事件と、最後までそれを認めなかったことで、圧倒的に晩節を汚しているとしか思えんけど、ここだけを見ると、まるで最近長期政権を担った誰かさんのよう。そっちは結局、事件にもならず逃げ切る気ぽいけど。当時と違い、党として団結して隠蔽に走っているところが、その凋落ぶりを物語っている。そう考えると、この当時はまだ、党内であっても不正は糺す、という気概を持つ政治家が多かったんですね。遠い目。
0投稿日: 2021.12.09
powered by ブクログ昔総理大臣やってた人だよね?ぐらいの認識しかなかったのですが、戦後の日本にはなくてはならない人だったんだと思う。 賛否両論ありそうな半生だけど、現実的に日本を発展させるには、この人しかいなかったのではないかと思わせる。 話しぶりも庶民にわかりやすい内容で、日本を、世界を動かしていった。 政治にカネはつきもの。カネは使える人が使えばいい。現在の世論では、税金の無駄遣いには異常なほど敏感に反応するけど、自分の家計の無駄遣いには無頓着な印象を受ける。 この辺りは今度まとめて記述したい。 以下引用 世論とは何か。主権在民だ。国論は国民の投票の結果でしか決まる道はない。新聞が世論ではない。一億玉砕と言っていたラジオが世論か。帰りの燃料もなく死地に行かせたのではないか。新聞やラジオではありません。声なき声を政治に実現するのが総選挙。
1投稿日: 2020.04.13
powered by ブクログ「できることはやる。できないことはやらない。全ての責任はこの田中角栄が負う」 金権政治の元祖。田中角栄以後は、それ以前と桁の違うカネが動いた。三木政権による徹底的な汚職追及。やっていないと言い張れるの何故か?認めたら終わり?小沢はカタチだけ真似してるんだな、多分。
0投稿日: 2018.11.04
powered by ブクログ昭和時代をイメージさせる人物として田中角栄さんはランキングの上位にいると思います。そんな人物ですから、関連図書も多く、どれを読んだらいいのか?って迷ってしまいます。 本書は、田中角栄さんのそばで記者をしてた著者が、その生い立ち、民間会社時代、政治家時代、ロッキード事件、そして人生の終焉までをまとめた決定版的な本です。 角栄本は沢山あるけど、まずはこの一冊という軽いノリで読まれてはいかがでしょうか。
0投稿日: 2018.08.04
powered by ブクログ自民党政権復活というタイミングで、ふと田中角栄さんを振り返りたくなり、手にとった一冊。 朝日新聞の番記者(早野さん)による、どちらかというと主観的要素があまりなく、生涯を綴られています。 コンピュータ付きブルドーザーという異名の通りの即断即決ぶりや、義理人情をモノやカネという財に替えて人を惹きつけるリアリスト。 ただ残念なのが二点。 第一は、リアリスト故に大局観に欠けていた点。日中国交回復やオイルショック後の資源外交の対応でのアメリカへの配慮。 第二は、逮捕後からの闇将軍としての院政。 しかしながら、理想だけでは物事は進まないということと、人への機敏さがなければなにも成し遂げられないということは、教訓として自分の記憶に残りました。
0投稿日: 2017.05.07
powered by ブクログ田中角栄の政治家としての人生を描いた書籍。これまで知っているようでいて、よく知っていなかった角栄をとある視点から知る良書。若手のころは、ブルドーザーばりに法案を作り、道路を作り、と活躍していたが、手法としてはカネが重要な役割を担っており、それが後年の失脚につながっている。田中派議員が結局はカネ問題に引っ掛かっていったのも、角栄を批判しながらも、自らが角栄を越えることができずに同じ手法に陥っていたからだろう。そういった意味でも、先見の明を持った政治家であったことは間違いない。戦後日本の変曲点に頻繁に顔を出す一方で、アメリカとの関係には悩まされたということだろう。
0投稿日: 2017.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者は元朝日新聞の記者 総理番になった時の総理が角栄 その後、八ヶ月で田中内閣終了するが キャップからの指示で閣僚だけ声かけすればよいと言われるも 角栄が牛耳っているので角栄攻略に乗り出す 角栄が新潟に帰るときは同じ車両の近くに座り、イベントに顔出しし覚えられ 目白に呼ばれる ロッキード事件で実刑判決を受けた後も当選させる新潟三区、理由知りたさに志願して新潟支局へ赴任 なんという角栄マニア! 内容も独自の取材も有り、流用も多々あるが 出典の明記がされており、ちょっとした 角栄年表もついている 出版の依頼は二年前からあったようだが 現在は桜美林大学で教えており、筆を取るつもりはなかったようだが 3・11以降、書いてみる気になったようだ やはり、朝日フィルター、思想はある ちょいちょい出てくるが引用したところはその場、その場で記載されているので、あとでその本を読むもよし その朝日思考さえ、脳内で取り払えれば角栄を大体知るのに便利な本である この部分が興味深かった 「政治は力」「政治は数」に加え「政治はカネ」と言った話を聞くが著者はそんな話は聞いたことがないとのこと 「政治はカネ」と開き直るほど品格なき人物ではなかったと書かれてあった この本の中には角栄を批判する部分は少ないが、それでも著者の思想のせいか、時々イヤな書き方をする そんな人が上記のように言うのだから、それだけは著者にとって本当のことなんだろう さすがというか東大法学部卒のエリート朝日記者出身 上から目線でこう記す —田中派は地を這う「土蜘蛛族」のようなもの 「まつろわぬ妖怪」のたぐいなのに、なまじ民主主義になって政権を取ろうとするから金権の汚辱に塗れた— そんなことよりロッキード事件って 物的証拠もなく、司法取引しまくって証言だけで逮捕したことを初めて知った 桧山の角栄が「よっしゃ、よっしゃ」発言に疑問 これって角栄なら「わかった」って言いそう いまでこそ、よっしゃーは共通語っぽいけど 普段、よっしゃよっしゃなんて聞かない 浪速のお父さん世代なら言いそうだけど、新潟の角栄が そんな言葉遣いするかな この人は目に浮かぶようって言っているけど 私は浮かばない、よっしゃは大阪界隈の言葉ですよ
0投稿日: 2016.07.05
powered by ブクログ友人との雑談で、スティーブ・ジョブズって社会をより良くしようとしたけど、良い社会人ではなかったよね、って盛り上がり、そんな日本人いるかな、と言って出てきたのが、田中角栄の名前。その直後、出張の新幹線に乗る前、つい買っちゃったのがこの新書。仇敵、青嵐会の石原慎太郎の新作「天才」より、もっと冷静な評伝なのかな、と思って手にしたのです。朝日新聞の記者らしい距離感を保っているようにも感じますが、そもそも政治記者としての人生をこの傑出した才能に相対し続けて来た人の文章なので、相当に熱を放出している、と思いました。それは、時代の熱であったのかもしれません。人々が欲望に躊躇しなくなった時代の熱。日本中が東京になれる日を夢見ていた時代の熱。我が親がマイホーム計画を立て、狂乱物価で変更を余儀なくされた自分のファミリーヒストリーを久々に思い出しました。それに引き摺られて思い出しましたが、彼が総理大臣になった時が小学生で、少年ジャンプで「田中角栄物語」をマンガで読み、中学時代に背伸びして文藝春秋で立花隆の「田中角栄研究」を読み、高校でロッキード事件で国民大盛り上がり大会に遭遇なんて、ティーンの人格形成期にずっと田中角栄と並走してきたこと忘れてました。ある意味、ポップスター。そこらへんもジョブズ的?彼は確かに良い社会人ではなかったけど、社会を変えたこと(良いか悪いは別にして…)は確かだったと改めて思います。
1投稿日: 2016.05.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
20160309~0325 実はだいぶ前に買って積読状態。最近旦那に先に貸してから、読み始め。首相に上り詰める前の、一議員としての活動の方が印象に残った。角栄は議員立法を積極的に提出していた。そのためには下準備が必要だが、そういう作業を行うことで、法整備のやり方なども学んでいったのではないか。
0投稿日: 2016.03.10
powered by ブクログ田中番の記者による角栄本 角栄晩年の担当の為か時として突き放した様な表現もあるが、角栄への溢れる興味が随所に見られる 小沢一郎氏は角栄イズムを継承しようとしたのだろうが、角栄にあった情が無いのだろう
0投稿日: 2016.01.05
powered by ブクログ良くも悪くも戦後日本の形を作った人物ということがよくわかる秀作。小泉氏が、構造改革とは、田中角栄が作った政治構造だと看過し、郵政民営化に邁進したことも理解できる。柏崎刈羽原発、長野新幹線など田中角栄が数多くを残したことも理解できた。文章も読みやすく、一気読みとなった。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログ時代を感じさせる 手段を問わず強引でも自山達のために尽くしてくれる政治家としては頂点に君臨するのだろう 新書にしては分厚いけれど、時代とともに角栄のポジションの移り変わりをわかりやすく解説してくれる本である。 角栄に対峙する検察官が正義の体現として評価されたのはよくわかる気がした。 ただ、こういう圧倒的な現実の前に、法律で何ができるかというのは難しいなと思う。
1投稿日: 2015.03.16
powered by ブクログんー。 面白いっていうのとも違うから、☆4つにするべきなのかよく分からないけど、田中角栄っていう人と、その周りを取り巻く環境が、本当に興味深いなぁと思ったので☆4つ。 今更だけど、田中角栄って、思ってた以上に、最近の人なんだな、ってまずちょっと驚いた。 今でも政界のドンとして活躍しているような人々の名前が普通に出てきていて、なんか、脈々とつながる何かを感じたり。 お金の流れにひたすらびっくりしたり。 政治にお金が使われるのはあり得るとして、一体どうしてそんなお金が…と謎だけど。 日本かくあるべし、ということを真剣に考えるのはロマンだとか思ったり。 結局は、地元にリターンがあることが、政治家の強みなのかなぁなんて思ったり。
0投稿日: 2015.02.05
powered by ブクログ番記者経験者による田中角栄の伝記。 本書を読んで、田名角栄は、金権という意味ではやはり真っ黒であるし、現在の日本社会に負の遺産を残したという面は否定できないが、非常に魅力ある優れた政治家であったということを再確認した。 小泉元首相が、構造改革でいう構造とは何かと問われて、「田中角栄が作った政治構造だ」と答えたというエピソードが紹介されていたが、国土開発、道路特定財源、郵政、電源3法、福祉など、戦後の政治・社会構造を作りあげたのが、まさに田中角栄であったと感じた。現代においては、綻びが出てきているのは間違いないが、当時においては、時代に即した政策であったのだと思う。 33本の議員立法、官僚掌握術など、政治家としての田中角栄の手腕も感じた。 ひたすら「具体」、政治家は「実行」が大事という田中角栄の考え方は、「具体的」なものとしてカネに走ってしまったという側面はあるものの、政治家の姿勢としてひとつのあるべき姿であると感じた。
1投稿日: 2014.09.11
powered by ブクログ世代的にちょっと馴染みがない田中角栄が、どのように上り詰めていったのか興味があった。行動力、人物像、発想が極力中立的に書かれている良書。功罪はさておき、経験主義者で人生訓的という表現は旨いと思った。
0投稿日: 2014.09.03
powered by ブクログ田中角栄の人生と昭和後半の日本政治の話がメインだったと思う。ただの小僧から始まり、起業家を経て、政治家へ。その密度の濃い人生は凄まじいものだったと感じた。 特に印象に残った文章。 「そんなこと、おれに聞くなよ。君らは大学をでたのだろ。大学を出たやつが考えろ。」 日中国交正常化時の言葉である。
0投稿日: 2014.08.12
powered by ブクログ朝日新聞政治部の番記者による田中角栄伝。良くも悪しくも戦後日本を語る上で欠かせない田中の評伝としては良くまとまっているし、政治部記者らしく他の政治家との関係や比較、またさまざまなエピソード(あえて不確実な情報も入れて当時の雰囲気を伝えている)も豊富で臨場感ある叙述になっているように思う。 個人的には田中の前の池田政権時の高度成長政策と田中の再配分政策の比較、福田蔵相になってからの緊縮路線(列島改造論の放棄)、にもかかわらず、その後継続していく田中型利益誘導政治のメカニズムなど、経済政策面での変遷の整理がもう少し欲しかったが、まぁ、それは無い物ねだりなのだろう。 当時の政治状況の基本を押さえておく上で大いに参考になると思う。
0投稿日: 2014.07.06
powered by ブクログ大学院ゼミで輪読。昨年の今時分から読み始め,一年かけてようやく読了。時代はそれを体現する英雄をつくりだすのか,それとも人が時代を仮託する人間をつくり出すのか,いろいろと考えさせられました。
0投稿日: 2014.07.04
powered by ブクログ朝日新聞社で田中角栄の番記者を担当していた早野透が綴った田中角栄の記録。これだけ振り幅の大きい人生の光と闇を経験した人物も稀有だと思います。歴史の教科書や公民の教科書を始め報道番組では政治家田中角栄、列島改造論や特にロッキード事件に代表される闇の部分が多く取り扱われるのですが、本書では人間としての田中角栄が描かれていると思いました。そういった意味でも非常に興味深かったです。文章からは、この本の作者自体が田中角栄氏に強く惹かれていたのが分かります。それが良いことなのか、悪いことなのかは分かりませんが。
0投稿日: 2014.04.30
powered by ブクログ現代史は疎いので、勉強がてら読みました。田中角榮、ロッキード事件、列島改造計画、日中国交等々、今までキーワードとして知っていたことが繋がって、ためになりました。
0投稿日: 2014.02.08
powered by ブクログ小学校卒業で首相にまでのぼりつめ、 日本に高速道路や鉄道を張り巡らし、 田舎に団地などをぼんぼん作った人。 そんなイメージで手に取りました。 松下幸之助のように、 成功するためのキーワードが、 星の数ほどちりばめられているだろう……。 と期待して読み始めましたが、 すぐに裏切られることに。 それほど、この方は偉人すぎました。 高校や大学を卒業した人でも、 そうそう、この方のように生きられるものではありません。 といっても、まるで参考にならないかというと、 なんだかポジティブになります。 「思ったら即、行動しないと!」 といった、わくわく感も湧きます。 ときに、日本人には受け入れられず、 かのジョン・F・ケネディに、 「あなたの率直な態度はアメリカでは評価されている。 預言者、郷に入れられずのたとえ通りかもしれない」 とまで、言わせているらしい。 それほど、先を行くひとだったのだろう。 そして、かなりの勉強家! 大学を出ていなくても、 大学の講義録で独学するなど、 やはり、大きくなる人は違います! そしてこの本、 歴史として、大変勉強になります。 「池田勇人の『所得倍増』は、一言で言えば、 都市化の発展だった。 角栄はそれに加えて田舎の底上げを主張した」 一貫して、都市への人口流動を憂いていたことがわかります。 それが、結果、「列島改造論」につながるのだろう。 まだ、そこまで読んでいないけれど。 さらにさらに、 角栄さんの演説は、とってもわかりやすかった模様。 田舎のおじいちゃん、おばあちゃんも、 政治を良く知らない若者たちも。 「この人なら日本を変えてくれる」 と信じたのもうなずけます。 田中角栄のように生きるには、 フットワークが新幹線並みに必要だけど、 少しは「行動を起こしてみよう!」 と思える、いい本です♪ 。
1投稿日: 2014.01.23
powered by ブクログ田中角栄は自分の時代感覚からすると教科書の中の人物となっていたので、世の中のことが分かる頃には超克すべき悪き構造となっていたが、その批判がそう時間の立たない中で発せられていたことが分かり、今の政治がどのような時を経た結果なのかがより厚みを以って感じることが出来た。竹下登のしたことなどが高村薫の新リア王とも重なった。ロッキード事件の真相についてや立花隆の仕事なども興味深いし、小沢一郎とは何者かもまた違った角度で捉えることも出来た。政治とは何か、もう少し考えてみたい。
0投稿日: 2013.09.17
powered by ブクログ田中角栄の良い面と悪い面の両方を知ることができた。 両方の面を含め、確固とした価値観を持っていて、地に足の着いた現実的な考えを持ち得た人だと思った。
0投稿日: 2013.09.10
powered by ブクログ【99冊目】非常に興味深い本でした。非常によくまとまった田中角栄入門書でした。 角栄のこと、全然知らなかったので、初期の上京から議員になるまでの立身出世の物語、議員初期の議員立法への尽力期、即断即決と巧みな利益誘導、そして自身の経験からくる人心把握術を存分に発揮した中堅議員期から初入閣の郵政大臣、権力の絶頂を極めた幹事長時代から、角福戦争を経て首相へ。2つの論文により、カネと女の両面から責めたてられ、首相の座は手放すも、目白の闇将軍として隠然たる力を発揮した引退期・・・ その経路は確かに戦後日本の自画像である。一昔前の政治や社会のイメージを代表している、それが角栄という印象。 面白いと思ったのは、東京タワーを建てるのに角栄の一言があったこと。驚いたのは、目白の闇将軍というあだ名は、単なる揶揄ではなく、本当にそういった力=角栄派という数の力をもって、政局を動かしていたということ。まさか、あの中曽根首相の誕生の陰にまで角栄がいたとは・・・。
0投稿日: 2013.07.07
powered by ブクログ今、この時代になぜ、田中角栄か? いや、戦後のこの国の政治を語るには、この男から始めなければならない。今、参議院選挙まっただ中だが、この国の政治の構図を形作ったのは田中角栄です。 戦後間もなくの吉田学校からスタートし池田、佐藤と政権に存在し、「日本列島改造論」を手に、政治をすすめ歪めた・・・。 戦後から昭和の時代の我々日本国民の、イデオロギーを見直させる一冊です。 安倍総理にも角栄さんの心理を読んでほしいです。
0投稿日: 2013.07.05
powered by ブクログ角栄の人物、政治家としての軌跡のみならず、戦後史のお勉強にもなりました。 実は、一度だけご本人にお目にかかり(目白台の御殿の中)、一言だけ、声をかけて(ヨッシャ、ヨッシャ)もらったことがある。その頃は闇将軍と言われてた頃ですが、思っていたより気さくで、いかにも土建屋の親父という印象がしたのを覚えています。 あの時代の人達は、カネにこだわった人も沢山いると思うが、今みたいに、カネに汚い、あるいは、カネがすべてという人は少なかったような気がする。 角栄も、結局はカネで失敗したが、何故か許せる感じかするのは、富の配分を、自己の権力保持の為かもしれないが意識してたからかもしれない。 あと、作者もあまりつっこんでないが、ロッキードはアメリカの陰謀の側面もあるかもしれない。 何十年か後、新資料が出てきて、歴史が変わるかもしれない。
4投稿日: 2013.06.22
powered by ブクログ田中角栄といえば、ロッキード事件。元首相が有罪判決となり、日本政治が金に左右されることが明らかになった。 ロッキード事件の印象があまりに強く、政治家田中角栄について語られることは少ない。しかし、地方の貧しい無教育な青年が政治家となり、首相にまで成り上がっていったことについては、格差社会である現在において、もうちょっと評価されてもいいのかなって気がする。 とにかくテレビ局には放送免許、地方には高速道路建設と利益誘導のために、官僚を使いまくって議員立法を成立させるパワーは今の政治家にはない。
0投稿日: 2013.06.10
powered by ブクログ田中角栄の伝記。 文体もわかりやすく、内容もスッキリしていて分量の割に読みやすい。 田中角栄という人物を通して戦中の雰囲気と 戦後から今につながる自民党政治を覗くことができた。 新潟の事情や派閥とは、カネとは何かが感じ取れ、 現在の政治の根底すら伺える良書。 大平正芳の伝記も合わせて読んでみたい。
0投稿日: 2013.04.04
powered by ブクログ田中角栄の一生をコンパクトにまとめた新書。昨年(2012年)に書かれたことで、これまでの膨大な角栄関係の著作や資料などにも言及しながら、より冷めた視点で角栄を記述することで、より真実の田中角栄像が捉えられていると思う。 個人的には、田中角栄という人は、非常に男気があり、懐深く、人の気持ちの分かる魅力的な人物という印象。 一方で、政治家としての評価は良くも悪くも極端。 ○は、抜群の実行力とリーダーシップ。山一証券倒産の時の金融危機の回避などは、政治家としての類稀なる能力を持った人。そして特質すべきは日中共同声明だろう。 ×は、政治思想や政策。これにカネを加える人もいるかと思うが、やっぱり、あの時代はカネが絡むのは致し方ない部分もあると思うのであえて除外。 そして政策は、高度成長時代をそのまま駆け抜ける様な政策であって、もはや彼が総理大臣になった頃には、時代遅れの政策となっていたし、国の継続的な発展を推進するのが、政治の第一であり、富の分配はその次と思うが、これが逆転してしまっている。新潟における自分の幼少時の原体験をそのまま政治で解決しようという政治信条は、総理大臣にしては、ちょっと稚拙すぎる。 時代時代にマッチしたやるべきことが政治にはあり、それに優先順位をつけて、確実に実現していくことが政治だと思うが、そもそものやるべきことがズレていては、逆に実行力のあることが仇になってしまう。 「名君は、暗君にはならないが、暴君にはなる。」 つまり実行力があるから、良いことも悪いことも、やりきってしまう。それが角栄という政治家だろう。
1投稿日: 2013.03.17
powered by ブクログ大作。素晴らしい。 昭和の怪物、波乱万丈。 田中角栄は、怒らない人だったのか。酷いめに会ってもただでは起きない。言うだけては無く、少しでも実行、前に進む。 昔の政治家は、金にものを言わせてた、酷い時代。今はましだろうけど、どうなんだろう? たいへん勉強になった。
0投稿日: 2013.03.17
powered by ブクログ偉大な政治家「田中角栄」。 その一生はよくわかっていませんでしたが、この一冊で理解できました! まさかの政権交代を経て、自民党は今後どうなるのでしょうか? そんなことを考えながら読みごたえのあった一冊でした。
0投稿日: 2013.02.26
powered by ブクログ田中角栄の人生を通して、戦後の日本の政治を概観できる一冊。 角栄の豪放磊落な人柄が随所に出てくる。 いろいろな政治家に関するエピソードも豊富で、一人の人間して政治家を捉える事が出来ておもしろい。 樋口毅宏の民宿雪国を思い出す。
0投稿日: 2013.02.19
powered by ブクログ一気に読んだ。既知の内容が多いが、改めて昭和の政治史を学ぶ。そして昭和生まれの自分としては何か懐かしい感じがする。他方、今起きている事象や環境とも一脈通じるものを感じた。豊富なエピソード、読みやすい文体、過不足のない説明。事実が淡々と積み上げられている。良書。
0投稿日: 2013.02.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
早野透『田中角栄』中公新書、読了。毀誉褒貶の多い角栄の多面的な実像に迫る評伝。著者は元番記者。角栄を知ろうと新潟支局へ望んで赴任し越山会を取材した。 本書はその来歴と功罪を問う。角栄の生涯とは副題の通り「戦後日本の悲しき自画像」であり、戦後日本の私たち自身の姿である。 角栄への魅力と嫌悪--本書を読み終えると、良くも悪くも私たちは「大物」不在の現在を知ることになる。
0投稿日: 2013.01.19
powered by ブクログ田中角栄の番記者が書く、田中角栄のドキュメンタリー。 俺が産まれた時点でロッキード事件で疑惑にかけられた元首相であり、詳細は知らなかったので、非常に面白く読めた。 角栄の歴史は、昭和の日本を歴史の相似形なんじゃないかと思うくらい、現代の日本に多大な影響を与えた政治家。 高等小学校が最終学歴で、戦後日本の庶民の星であったんだろうなと思えた。 一方、利権にまみれており、上越新幹線は彼の選挙区である新潟3区を縦断したり、「政治のカネをひとケタ大きくしてしまった」という悪しき影響も多かった。
0投稿日: 2013.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
田中角栄の生涯を縦糸に、戦後日本の政治史を横糸に話は展開していく。角栄は現実路線の行動の人であった。しかし、あまりに現実的な解決の方法は、後に破綻を来たしていく。 彼は戦後の混迷期の英雄だったのかもしれない。歴史上の様々な英雄たちに共通するところは多くある。 この本は素晴らしい本だ。この本に出会えて良かった。
0投稿日: 2013.01.13
powered by ブクログ自由民主党の旧アイコン。氏を追った記者が記した本書は面白く、あっという間に読了。☆5。 本書とは関係ない話になってしまうけれども、大河ドラマばりに一年かけて「田中角栄」をやる!となったら見てみたい。総理大臣を境にして、階段を駆け上がっていった前半戦の光の部分、権力を握り続けたものの影がさしどこか物悲しい後半部分。角栄は、竹中直人とかがやるんだろうか…というか、レビューじゃないじゃんコレ。
0投稿日: 2013.01.11
powered by ブクログ田中角栄、という一人の政治家を通して戦後史を描き出した感がある一冊。評伝として、というよりは、角栄を取り巻いた自民党黄金期の党人たちの思想と人となり、そして現在に繋がる政策的論争の源流を知る、という点において意義ある作品だと思う。
0投稿日: 2013.01.03
powered by ブクログ書評などもいくつか出てたので、図書館ではふさがってると思っていたら、空いていたので借りてみた。新書ながら、400ページ超というボリューム。 朝日新聞で角栄の首相番だった著者は、ロッキード事件による逮捕から最期まで、至近距離で角栄を追い続け、話を聞いた。途中では新潟支局勤務を希望して、角栄の産まれ育った地、そして選挙区であった「新潟三区」を歩きまわった。 小学生のころ、テレビから聞こえるニュースで何度も聞いたのは「ロッキード」とか「コーチャンシ」「マルベニルート」「ゼンニックウルート」。年表を見ると、角栄が逮捕されたのは、私が小1のときである。その頃はまったく意味が分からなかったが、こうして通史のように角栄の足跡を読むと、そういうことなのかとようやく腑に落ちる思いがする。 角栄と中曽根が同年だというのも驚いた。同い年で、同じ戦後二回目の選挙で当選したという中曽根と角栄だが、いまも生きている中曽根、私が中学生から高校生の頃ずっと首相の座にあった(靖国参拝やロンヤスなどくっきり記憶にある)中曽根と、亡くなって20年経とうという角栄、私が小学校に入る前に首相だった(だから現役の首相という記憶がない)角栄とは、一世代くらい違う気さえしていた。 現役の議員とか首相としての記憶がほとんどなく、角栄といえばロッキード事件、選挙区への利益誘導や金による政治と、私は思っていた。その根本的な像は大きく変わらないものの、この本で、1918年、大正7年うまれの角栄が、どのように生い立ち、若い頃にどう飯を食ってきたか、どうして政治の世界へ出るに至ったかというところから読んで、角栄が何をしようとしたか、そして「戦後日本」がなぜ今のようになってきたかが、少し分かる気がした。 角栄が日本列島改造論にこめたものは、明治維新以来ずっと続く「都市への人口流動」を逆転させることだった。農村地域に第二次産業を配置し、雇用をうみだすという発想の源流は、大河内正敏の「農村工業」だという。 松下センセが体を張って反対した周防灘開発、その開発計画の立役者は角栄だった。1972年に出た角栄の『日本列島改造論』は、「都市と農村、表日本と裏日本の格差を必ずなくすことができる」と掲げていた。その「むすび」には、こう書かれているという。 ▼「私が日本列島改造に取組み、実現しようと願っているのは、失なわれ、破壊され、衰退しつつある日本人の「郷里」を全国的に再建し、私たちの社会に落ち着きとうるおいを取戻すためである」(p.258) 全国に新幹線と幹線道路を整備し、全国を一日で往来できる「一日交通圏」「一日生活圏」ができる、ダムを100カ所つくる…この"官僚が上から目線で描いた青写真"について、早野はこう書いている。 ▼…衰退する過疎地域は蘇生を夢見た。しかし、事情のわかる人は危惧も抱いた。何をするにせよ、土地買収が必要になる。すると地下が上がる。土地の騰貴対策が決定的に不足していた。水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病などの公害を見て、工業化を不安に思う人も少なくなかった。それに、これらの事業の前提となる経済成長、物価、財政などの見通しは大丈夫なのか。(p.258) 地価上昇にひきずられて、物価が軒並み上がった「狂乱物価」、さらには石油危機が襲い、高度成長は曲がり角にさしかかった。石油に頼りすぎては危ないと、火力発電以外の電源=原発を立地してくれる自治体に交付金を配る「電源三法」は、柏崎市長の小林治助の陳情に応えて角栄がつくった。 柏崎刈羽原発の青写真をつくった角栄と小林、その列島改造も、原発建設も、明るい進歩思想だったと早野は書く。だが、福島原発事故は「ふるさとの開発がふるさとの喪失になってしまう悲劇」(p.270)となった。 角栄が政界で出世しながらつくりあげていった利益誘導の仕組み、そういうものを壊そうとしたのが、小泉純一郎だった。小泉が唱えた構造改革、その構造とは?と問うと、「田中角栄がつくった政治構造のことだよ」(p.150)と小泉は答えた。 ▼「道路」そして「郵政」。角栄がつくったのは、官につながる事業をめぐるカネと票のコングロマリットだった。それが自民党長期政権を支えるエキスだった。 自民党の派閥体質、政官業の癒着体質、すべては角栄を淵源としている。それを一点突破しようというのが「郵政民営化」である。… …小泉はメディアをあやつって「郵政民営化」の是非を問う選挙に圧勝した。小泉によって「角栄の牙城」は壊された。(p.150) ただ、壊されたそのあとが、それ以前よりマシなのかというと、そうも言えない。一層悪いかもしれない。 1976年12月の衆院選、ロッキード事件下で自民党は過半数を割る大敗北を喫したが、角栄は圧勝。角栄に有罪判決が下った後の1983年12月の衆院選、やはり自民党は過半数を割る大敗北だったが、角栄は空前の得票(22万票)で大勝した。角栄に託された票の意味を、この本では本多勝一のルポを引いて書いている。 先日の衆院選で、得票率は政権交代した前回とほとんど変わらない自民が「圧勝」したこと、その票の意味を考えてしまう。とりわけ、新潟をはじめ、自民が全選挙区を取った県で自民へ投票した人たちの思考は、本多勝一がかつて書いたものと変わらないのか、あるいは違うのか。 1976年、角栄を圧勝させたものは「中央に対するイナカ、「表」に対する「裏」、都市的・秀才的・エリート的な「日の当たる世界」に対する「ふみつけにされつづけた側」の怒りと痛み」(p.332)と本多は書いた。 角栄的なものが戦後政治の象徴だとするなら、今、そしてこれからは、どういう政治になるのだろう。それは過ぎてからしか分からないことかもしれないが。 (12/25了)
0投稿日: 2012.12.26
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0投稿日: 2012.11.28
