
総合評価
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powered by ブクログ我々は愛を語りながら、あるいは「愛について何も分かっていないのだ」とさも分かった顔で語りながら、その手で誰かの愛にベタベタと指紋をつけ、その足で誰かの愛を足蹴にしている。愛とは、愛とは、愛とは……と手探りを続ける人々の、醜く愚かで愛おしい姿を躊躇わず描いた人間讃歌的な短編集。
0投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ4に近い星3つ。 物語ではなく、文章にハマって笑う事が何度か。 東山さんの作品2冊目にして、ハマったなと思う。 東山作品もっと読もう。
0投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ愛や恋をテーマにした「自由でボーダレス」な4編からなる短編集。 どの短編も陰鬱な展開ではあるが、人間の醜さや地方社会の閉塞感などを克明に描き出していて、著者の筆力を感じた。ただ、自分にはちょっと合わなかったかも。名門男子校である駒場東邦中学校の国語の授業で性差別等を考える素材として取り上げられたことが話題となっていて、自分が本作を読むきっかけともなった「猿を焼く」がやはり印象的だった。また、「イッツ・プリティ・ニューヨーク」における10代男子の性衝動の描写がかなり迫真的で、我が身にも思い起こさせるものがあった。
0投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集。 淡い恋心を抱いていた少女が、水商売をしていると聞き、現場を見に行った主人公。その後、少女は殺されてしまう。加害者は少女の母親(やはり水商売)の客だった。(『猿を焼く』) これは恐ろしかった。客の飼っている猿でしょ?猿に対しては何の恨みもないのに、互いに試し合うかのように猿を焼く主人公とその友人。 でも、目には目を~的な理論で行くと理に適ってる。客は、直接的には恨みのない(はずの)女子を殺したんだから。 少年たちの行き場のない怒りみたいなものを感じてゾッとした。 『イッツ・プリティ・ニューヨーク』は同級生の姉に転がされている思春期の性欲の塊である少年が可愛らしかった。同級生の姉をアバズレと蔑みながらも、性的にどうしても惹かれてしまう素直な気持ちが新鮮。 自分を平凡な大人になったと思いたくないが、非凡な才能に触れるとそう思わざるを得なくなる日がやってくる。だからと言って、急にシフトチェンジして才能を表すことは難しい。人生、一度きりなんだなと深く実感。
1投稿日: 2024.04.09
powered by ブクログなんだこれは。 なんとも言えない気持ち悪さ。 まさにタイトル通り。 サクッと読める頁数なのに めちゃくちゃ疲れた
3投稿日: 2024.03.27
powered by ブクログ「猿を焼く」 “久闊を叙した”が出てきたら『山月記』を思い出した。 “人間はひとりぼっちで誰にも顧みられないより、誰かといっしょに腐乱していくほうがうんと安らぐ” 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 “偽善こそはこの世界を回している重要な歯車のひとつなのだ。だって、それは協調性のもうひとつの呼び名なのだから。” これらは純文学なのか??きっとこれは純文学なんだ、、、と思いつつ読了。半世紀後、もしくはそれ以降に著作権がきれて万人に読まれるようになるころ、今この時代を顕す時代背景を持っていると想った。なんて芥川龍之介みたいなことを考えた。 「恋は鳩のように」 3人の人物の視点も心の内もタイムラグなしにラフに切り替わる神の視点での語り口。 (ラフに、雑なという意味ではなく垣根がないというニュアンスで使いました) これ1番好きです。物語の広がりと深みの可能性をどしどし感じる。これはなんだ?なんの分類の小品だ??おそらくこれはなんども読み返すべく傑作。 「無垢と無情」
2投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ4編どれも尖っている。文学だーとなぜか実感する。 「恋は鳩のように」 最初は違和感ありが、なかなか素敵な恋愛小説に変貌していく。 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 破天荒な姉と弟のこんな人生、プリティ!
14投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログ「猿を焼く」 猿への暴力がエスカレートしていく場面、「流」の定規で膝を刺すシーンを思い出した。 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 亀山家メンバーのイカれ具合。笑 「恋は鳩のように」 台湾では同性婚が合法だって初めて知った。 地下室はなんでこんなにモテるんだろう。 「無垢と無情」 愛とななにかとかどーでもいい。
2投稿日: 2023.11.13
powered by ブクログ3.5 愛に関する短編集。この作者の描く躍動感が好き。大胆だけど、繊細。絶望を描きながら希望を残す。明日も頑張らなくてもいいから生きようと思う。
2投稿日: 2022.01.22
powered by ブクログうん、小説だ。ラノベとは全く違うという意味で。短編集。ありがちな知識や言い回しを鋭く書き切る心地良さがある。各短編の世界設定は見事なまでに良い意味でバラバラ。 個人的な相性として、同作家の別作品を読むかと言えば、多分選ばないだろう。
1投稿日: 2021.07.16
powered by ブクログ『ブラックライダー』『罪の終わり』という大傑作をものした東山彰良の愛をめぐる四つの純文学短篇集。それぞれ面白い。そして何より文章がすばらしい。東山作品は「ぼく」という一人称で少年時代を回想したものが、好きな作家だが、ゾンビ小説の「無垢と無常」の語り口も良かった。
2投稿日: 2021.07.06
powered by ブクログ東山彰良の本は初めて読んだ。 良かったし聞かれれば面白かったから読むといいと答えるだろうが、どの話も作りに既視感が大きかった。自分の年齢のせいだろうか? これも有体といえばそれまでながら、詩人の詩のそれぞれの解釈と領土宣言が好きだった。 この人の他も読んでみようと思った。
1投稿日: 2021.06.17
powered by ブクログ四篇からなる短編集。ジャケットがとても素敵で買ってしまった。 「猿を焼く」がこの中では圧倒的に好きだった。脱サラして都会から田舎へ移住しオシャレ農業を始めた一家の息子がその地元の不良たちと出会い、いわゆる"アバズレ"に恋をする話なのだけど、この田舎の閉塞感に身に覚えがありすぎて息が苦しくなった。田舎にいながらにしてできる刺激的なことは喧嘩かセックスかしかなくて、独特のヒエラルキーがあって、その中で起こる出来事は全て地元じゅうで筒抜けで、ここで順応するのは本当に大変だ。そうした環境に問われて溺れそうになりながらも何とか保っていた自我が崩壊していくラスト、救いがあるようで無くて、かなり重たい読後感。 「恋は鳩のように」も面白かった。LGBTQへの理解が進む世界にあって、同性愛者であるということ、それをカムアウトできないということが本人のアイデンティティや恋人同士の結びつきを強くしていたかもしれない、という視点はLGBTQを取り上げる作品の中では珍しいのではないか。新鮮だった。 「猿を焼く」★★ 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 「恋は鳩のように」★ 「無垢と無情」
1投稿日: 2021.06.13
powered by ブクログ3中編と1短編 共感できないのに気になる作家さん 「猿を焼く」 初出2020年「群像」 脱サラでおしゃれな農業始める親に連れられて九州の温泉町に引っ越した平山圭一は、転校した中学になじめず同じクラスのユナを好きになるが、そのまま鹿児島の全寮制高校に進学する。ユナが裸のコンパニオンになったという話を聞いてやるせなくなり、殺されたと知らされて同級生の追悼の会に行き、ユナと付き合っていたという不良と一緒に殺した男の家に行き、飼っていた猿を殺して焼く。 面白いとは思わないが、やるせなさで記憶に残ってしまう。 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 初出2020年「小説トリッパー」 同じ団地の同級生でいじめられても気にしない亀山亀は、工場に勤めてから、AV女優の姉を殴って骨折させた上司を大鍋のスープに突き落として少年院に送られた。主人公が大人になって第一希望ではないものだらけの人生を方向転換して世界を放浪している途中、ニューヨークで「失敗作の輝きに満ちている」と評価される亀山亀の写真展に出会う。 短編ゆえの寓意的な物語が光る。 「恋は鳩のように」 初出2020年「三田文学」 2019年に台湾で同性婚が認められ、ゲイのカップルのアンディと地下室(ペンネーム)に転機が訪れる。アンディは浮気し、社会で認められない方向に生きてきた地下室は、自分はその自認性のためにゲイになったのではないかと思う。大学の教員宿舎の下の階に住むかつての教え子で、裸でベッドで待ち伏せして拒絶されたことのあるチイアンは、ふたたびアプローチする。 LGBTを超え、詩を読む人々が自分の恋に絡めて解釈するのがおかしい。 「無垢と無情」 初出2020年「群像」 ゾンビ小説。町中にゾンビがあふれ、家族もゾンビに感染したので殺して外に放り出した読魔(ハンドルネーム)は、パソコンのミーティングルームで、日本のあちこちで同様の絶望の中にいる人たちと語るうちに、リストカットした女性に怒りを爆発させる。 つまらない。
1投稿日: 2021.06.02
powered by ブクログやっぱり東山さんの作品は最高だ。日本文学で、こんなテイストかけるのはなかなかいないと思う。ここ最近、女性作家さんの作品ばかり読んでいたこともあって、より強くそう思うのかもしれないけれど笑 個人的には、「猿を焼く」が一番好き。(この作品に限らずの話だが)思いのほか作品自体のスコアが低いが、アクが強いのと、面白くないは違うと思う。
4投稿日: 2021.05.28
powered by ブクログどの篇も恋愛(というか愛欲か)を描いているが、どれも設定が一筋縄ではない。 短編になると作者の純文学的な面が強く出るように思う。
1投稿日: 2021.05.27
powered by ブクログ装丁の可愛さで購入。4編からなる短編集。難しいが読みやすく、後から色々と考える。2編目を読んでいる頃までは難解で自分の読解力のなさが情けなくなった。読了し、つまりはそのまま受け取ればいいのかなと思った。4編とも「特殊な愛」の形を描いているように感じるが、特殊な愛なんてそもそもなくて、どの愛も、どの人のどの考え方も生き方もそのままでよいというメッセージを感じた。 それから「生きづらさ」を抱えているだろうなと他人から思われていそうな立場の人たちも、その人の世界の中で生き辛くなく生きてる人ももちろん大勢いるということを考えた。大変そうだ感じたり、理解を寄せてみたり、それはエゴでしかないんだなと感じる。そして自分はその「思っている」側の人間であると自分自身で傲慢なカテゴライズをしていることに気付かされゾッとする。マイノリティやマジョリティなんて誰が決めたんだろう。そして自分はいつからマジョリティのつもりでいたのかと恐ろしくなる。全く同じ考えをもつ人間など誰一人いなくて、理解しているつもりになっていても、わからないのが真意ではないか。それに改めて気づけてよかったと思う。
1投稿日: 2021.05.24
powered by ブクログかなり特殊な“愛”にまつわる4篇(「猿を焼く」「イッツ・プリティ・ニューヨーク」「恋は鳩のように」「無垢と無情」)を収録した短篇集。「猿を焼く」がかなり刺激的かつ巧くて唸らされた。「ニューヨーク」も同様だが、同性愛を扱った「恋は〜」はあまり響かなかった。「無垢〜」はコロナ禍の現在を感じる作品。
1投稿日: 2021.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いきなり猿を焼く、で巻頭にもってくるには重すぎるんじゃないのと思ったけれど、どんより重いものが並んだなあ。巻末の無垢と無情は群像で読んでいたものだが、最重量級で、どうしたらいいのよって読了感。東山さん、大丈夫?
1投稿日: 2021.05.08
powered by ブクログのたうち回るような愛。もしくは愛のようなもの。 4つの短編集はテーマも世界観も全く違うストーリーだけれど、誰しも泥臭く必死で愛を模索しながら生きている。圧倒的ちから。そして刹那さ。 人間の人間たる愚かさとそれ故の魅力を存分に味わえる作品だった。「猿を焼く」と「無垢と無情」がすき。 タイトルもいいし、装丁も格好いい。
1投稿日: 2021.04.24
