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樹下の想い
樹下の想い
藤田宜永/講談社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで  美しい題名の『樹下の想い』を読み終え、最初に心に浮かんだうた(百人一首)です。 そして、愛する・浮気はしないと、心に決めて貫いた、三浦友和さんを想った。 格好いい男性はいつの世もいらっしゃいます。 嬉しいことに!  華道家元の娘・絹子を愛する、花材職人の平賀誠吉の儚い恋。  あれから二十六年の月日を経ても、忍ぶ想いは、くすぶり続ける。 忍ぶには、あまりに一途で、甘く、苦く、誠吉にまとわり付く。  それは過去のこと、秘めたはずなのに・・・絹子の夫や誠吉の妻さえも苦しめる。  誠吉の娘・百合子と良介の若い恋とは、対照的に、『山桜が控え目に花を咲かせ』るころ、絹子と誠吉のそれは、終焉へと向かう。   しっとりと・・・そして、美しく、震えながら。  二十六年前の過去と現在が、小刻みに行き交う。回想として誠吉の心理を描いている。 その巧みさに、酔いしれる。 今どき(1997年刊当時でも)珍しい、一途な美しい美しい恋の物語。 華やかな花材の花々、懐かしいジャズのナンバーが、更に、彩りを。艶を。 『生け花が美しいのは、咲き誇る花のうちに死滅の予感が秘められているからだということを、誠吉は身をもって知ったのである。』  

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    投稿日: 2022.05.18
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    恋愛小説。普段は余り読まないのですがね。まあ、中年男女と言うことで。。。 物語は若い頃の二人と今の二人の話が交互に進められます。その間に娘の恋物語が挟まれたりするのですが。 身分違いの考え方や、家元制度など、古臭さを感じさせられる部分はありますが、全体としてはなかなか読ませてくれます。☆4つ。ただ、何か一つ足りないような。あと一つ何かの調味料が入れば、素晴らしい後味になるのにと思わせるところがあります。それが何なのかは判らないのですが。 ところで、著者の藤田宜永さん、元々は犯罪小説や冒険小説の人なのですね。まったくそんな雰囲気のない、純粋な恋愛小説でした。

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    投稿日: 2017.10.30
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    華道家元の娘と花材職人の26年間の恋を綴った作品。身分の違いから、家元に恋をしていても積極的になれなかった22歳の頃と、48歳の自分が交互に描かれ話が進んでいきます。何十年も想い続けられる人がいるというのは、現実的には非常に迷惑なことだと思いますが、小説で読む分にはありかなと。華道の勉強にもなる良い作品だと思います。

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    投稿日: 2007.09.13
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    家元と花材屋という表裏をなす二人の、青春時代から中年の長きに亘る純愛という切ない物語。本書を読んでからホテルのロビーなどにある見事に活けられた花を見ると、活ける人を支える花材屋の方の苦労まで想像するようになった。

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    投稿日: 2007.01.12