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経路積分 -例題と演習-
経路積分 -例題と演習-
柏太郎/裳華房
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総合評価

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    量子力学における経路積分について,丁寧な式展開を通して理解する教科書。積分の地力は必要だが,計算力さえあれば量子力学を履修してすぐに取り組むことも可能。

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    投稿日: 2024.02.29
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     物理を学び始めると聞こえてくる、何となくカッコいい言葉、「経路積分」。友人が以前少しレクチャーしてくれたので、この機に勉強してみた。12月から読み始めて、5-1節まで。  猪木・川合の以下の説明が、経路積分とは何かを分かりやすく述べていると思う。 “古典力学では最も基本的なものは最小作用の原理であり、(略)量子力学においても作用関数はきわめて根源的な意味をもっており、(略)作用関数を前面に出して量子力学を定式化する方法は経路積分と呼ばれている。(猪木・川合『量子力学2』p.595)”  古典力学では、始点と終点を与えると、運動方程式を解くことによってその間の粒子の運動は一意的に決まってしまう。しかし、量子力学では不確定性のために経路を一意的に定められず、それどころか、無限個のあり得る経路のすべてを重ね合わせたような形で、粒子は始点から終点まで運動する。これが、経路積分の直観的な理解である。  同じシリーズの『場の量子論』(坂本眞人)もそうだったが、とにかく説明・式展開が丁寧。副題に「例題と演習」とあるように、読者が手を動かして内容を確かめる場面が設けられているのと同時に、本文が冗長になり過ぎないよう途中計算の一部を章末問題に回すなどの配慮もされている(まぁ僕自身は解答をざっと目で追うぐらいで、あんまり解けてないけど…)。専門書の常で誤植は多いが、前後を見ればすぐ気づけるのでそこまで混乱はしない。  5-1節の分配関数の摂動論は、量子統計の松原グリーン関数を使った摂動論と同じものなのか? ファインマンルールは概ね一緒に見えるけど、後者ではフェルミ系でもグラスマン数とか登場しなかった気がするし、よく考えないと分からない。また、汎関数積分をこの本では一度離散化したものの極限として定義しているが、数学的にはどれくらい正当化されているのだろう? 1 入り口 電子の干渉/位置完全性・位置演算子/並進と運動量演算子/状態の時間変化 2 経路積分表示 ファインマン核の経路積分表示/もう1つの経路積分表示/フェルミ粒子の経路積分表示 3 統計力学と経路積分のユークリッド表示 統計力学の復習/統計力学と経路積分 4 経路積分計算の基礎 調和振動子の経路積分/調和振動子の分配関数/ボース系の分配関数/フェルミ系の分配関数/連続表示での経路積分 5 経路積分計算の方法 摂動論/WKB近似/補助場の方法 付録 A 解析力学の復習 B グリーン関数と演算子のT(時間)積 C デルタ関数とシータ関数 D ガウス積分公式 E 分配関数で必要な無限和を含む公式 F ±1のN乗根に関する公式 G 参考文献 練習問題解答 事項索引 欧文索引

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    投稿日: 2023.01.14
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    使われている数学テクニックは高度だが、式展開、説明が丁寧なので、ほぼつまずくことはないだろう。付録も充実している。今後、計算でわからなくなったら、戻ってこれる貴重な本だ。 前提として、量子統計力学を学んでおくと、分配関数などの意味が分かって良いだろう。 ただ経路積分が、実際の物理としてどのように応用されるのかは、実例がなかったので、その威力はよく分からないまま。今後の勉強のお楽しみかな。 明らかな誤植が多数あるのと、索引が充実していないのが残念。

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    投稿日: 2017.08.28