
総合評価
(1件)| 1 | ||
| 0 | ||
| 0 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログ大江作品が凄いのは勿論だが、全小説(「夜よゆるやかに歩め」は未収録だけど)を網羅・総覧できる、素晴らしい一冊本。 しかも必要にして十分なあらすじと、時代の説明、同時代のリアクションから、2020年の今だからこその評まで。 巨大な山脈の、微細なミニチュア模型。 目次 ◆はじめに ■第01章 よろしい、僕は地獄に行こう! 奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川 おもい櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代 ──初期作品群その1 ■第02章 惨憺たる青年たち ここより他の場所/共同生活/上機嫌/勇敢な兵士の弟/報復する青年/後退青年研究所/孤独な青年の休暇/遅れてきた青年/下降生活者 ──初期作品群その2 ■第03章 封印は解かれ、ここから新たに始まる セヴンティーン/政治少年死す──セヴンティーン第二部/幸福な若いギリアク人/不満足/ヴィリリテ/善き人間/叫び声/スパルタ教育/性的人間/大人向き/敬老週間/アトミック・エイジの守護神/ブラジル風のポルトガル語/犬の世界 ──初期作品群その3 ■第04章 復元された父の肖像 走れ、走りつづけよ/生け贄男は必要か/狩猟で暮らしたわれらの先祖/核時代の森の隠遁者/父よ、あなたはどこへ行くのか?/われらの狂気を生き延びる道を教えよ/みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/水死 ──父と天皇制 ■第05章 神話としての「個人的な体験」 空の怪物アグイー/個人的な体験/ピンチランナー調書/新しい人よ眼ざめよ(無垢の歌、経験の歌/怒りの大気に冷たい嬰児が立ち上がって/落ちる、落ちる、叫びながら……/蚤の幽霊/魂が星のように降って、跗骨のところへ/鎖につながれたる魂をして/新しい人よ眼ざめよ) ──共生 ■第06章 知と懐かしさの容れ物として 身がわり山羊の反撃/「芽むしり仔撃ち」裁判/揚げソーセージの食べ方/グル―ト島のレントゲン画法/見せるだけの拷問/メヒコの大抜け穴/もうひとり和泉式部が生まれた日/その山羊を野に/「罪のゆるし」のあお草/いかに木を殺すか/ベラックヮの十年/夢の師匠/宇宙大の「雨の木(レイン・ツリー)」/火をめぐらす鳥/「涙を流す人」の楡/僕が本当に若かった頃/マルゴ公妃のかくしつきスカート/茱萸(ぐみ)の木の教え・序 ──中期傑作短・中編 ■第07章 ノーベル賞はいかにしてもたらされたか 万延元年のフットボール/洪水はわが魂に及び ──ノーベル賞受賞をもたらした作品ほか ■第08章 果てしなく多義的な偽史をめざす M/Tと森のフシギの物語/同時代ゲーム ──森の神話 ■第09章 アメリカの影が差す女性たち 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち(頭のいい「雨の木」/「雨の木」を聴く女たち/「雨の木」の首吊り男/さかさまに立つ「雨の木」/泳ぐ男――水の中の「雨の木」)/人生の親戚/静かな生活(静かな生活/この惑星の捨て子/案内人(ストーカー)/自動人形の悪夢/小説の悲しみ/家としての日記)/(美しいアナベル・リイ)臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ ──女性的なるものの力 ■第10章 予戒としての近未来SF 治療塔/治療塔惑星/二百年の子供 ──時空を超えたSF的試み ■第11章 青年の夢想と酷たらしさ 河馬に噛まれる(河馬に嚙まれる/「河馬の勇士」と愛らしいラベオ/「浅間山荘」のトリックスター /河馬の昇天/四万年前のタチアオイ/死に先だつ苦痛について/サンタクルスの「広島週間」/生の連鎖に働く河馬)/懐かしい年への手紙/キルプの軍団 ──理想郷の建設・学生運動 ■第12章 世紀末に集中した「魂のこと」 燃えあがる緑の木(第一部 「救い主」が殴られるまで/第二部 揺れ動く〈ヴァシレーション〉/第三部 大いなる日に) ──魂の救済 ■第13章 再びの「カラマーゾフ万歳!」 宙返り ──神なき祈り ■第14章 永遠のモラリスト、伊丹十三 日常生活の冒険/取り替え子(チェンジリング)/憂い顔の童子 ──親しい友人の死 ■第15章 「晩年のスタイル」こそ苛烈に さようなら、私の本よ!/晩年様式集(イン・レイト・スタイル) ──カタストロフ 3.11 ◆大江健三郎年譜 ◆『大江健三郎全小説』収録作リスト ◆文献一覧 ◆索引 (以下コピペ) 新聞記者として長年大江健三郎を取材してきた著者による、わかりやすい大江健三郎入門書。 『大江健三郎全小説』(全15巻)を通して書かれた解説を一冊にまとめる。 大江健三郎全小説のあらすじから説き起こしつつ、個々の作品発表当時の文芸批評家による主要評論に言及、その作品がどのように受容されてきたかを論じる。 またときに作家へのインタビューを引用しながら作品の意義を明らかにする。 大江文学がどのように生まれ、どのように読まれ、さらにこれからどのような研究課題がありえるのかを総合的・俯瞰的に論じた大江評論の決定版。
8投稿日: 2023.05.28
