
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても興味深い内容でした。 また、孤児として大叔母二人に引き取られ、育てて貰ったという経緯を持つヒロインが自分の人生をふいにしてまで大叔母たちの面倒を見ようとするーというヒロインの人柄もとても好ましく感じられました。 結婚を決断する際、これから年老いてゆく親の存在はどうするのか? 少子高齢化が進む現代においても、切実な社会的テーマが盛り込まれており、それがこの作品を更に身近なものに感じさせてくれるようです。 ロマンス小説ではありますが、その点からも家族小説という要素もあるのではないかと思います。 地味な図書館司書アメリアが新車を買う資金のために、夜のバイトを始めたことから、物語は始まります。 冴えないOLとは別人のような、妖艶な美女アンバーとして働くアメリアは同じ町に住む農場経営者のタイラーと出逢うのです。 タイラーは「アンバー」にひとめ惚れしてしまい、猛烈アタックを開始、しかし、あるとき、地味な司書であるはずのアメリアが実は彼の恋い焦がれる女神「アンバー」と同一人物であると気づきます。 一方、アメリアはタイラーに強く惹かれつつも、二重生活をしていることを引け目に思い、彼の恋情に応えきれないでいます。 また、過去の恋人が大叔母たちの存在を知るや、逃げていったこともトラウマとなり、タイラーもやはり、逃げてゆくのではいなかと不安を感じているのです。 タイラーの方は早い段階で「アンバー」の正体を知っているのに対し、アメリアは最後まで彼に正体を明かそうとしては躊躇い、明かせずにいます。 その辺りのもどかしさ、滑稽? ー面白さ? もこの作品のポイントです。 アメリアが「アンバー」として酒場に勤務していた時、彼女を何くれとなく助けてくれた同僚のレイリーン。 商売柄、身持ちの悪い女性として偏見を持たれている彼女にも、アメリアは色眼鏡で見ることなく接します。こういうアメリアの公正というか誠実で優しい性格は、個人的にとても素敵だなと思いました。 タイラーはアメリアの美しい容姿だけでなく、このような性格の良さにも惹かれたのだと思います。 ヒロインが昼と夜で別の顔を持つという、興味深い設定であり、とても素敵な恋物語ながら、途中から話がかなり平坦になってしまい、読んでいていささか退屈になってしまったのも事実です。 タイラーがアメリアの正体を知るのは、もう少し後半になってからの方が読者の物語を読みたいという気持ちや興味を持続させられたのではと、感じました。 最後に。 とても表紙が素敵です。 実はヒロインが二つの顔を持つという設定もさることながら、私はこの素敵な表紙に惹かれて購入しました。 また、ヒーローとヒロインの主役カップルだけでなく、アメリアを厳しくも温かく見守る二人の老嬢ーウィルヘルミーナとローズマリー、更にお節介な隣人のエフィ、アメリアが夜のバイト先で知り合ったレイリーンなど、他の登場人物たちもそれぞれが個性的な魅力があります。 とても好感の持てるお話でした。
0投稿日: 2020.08.10
