
総合評価
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powered by ブクログ気づひたら新刊が出ていた。 これまでの作品とは異なり、どちらかといふと、読み切り短編の詰め合はせといふ感じであつた。連載形態の都合といふものもあつたのだらう。 かうしてまた、遊馬の歩みを感じられるとは思はなかつた。先の事なんて誰にもわからない。けれどもあたかも確かなものとしてそれを決定しなければならない。どこかで「待つて」と言つてしまふ。 いつも彼女の作品を読んでゐると、過去も未来もどうにもならないけれど、今かうして在るこの自分を抱えて生きるより他ないことを感じる。だからこそ、まだ見ぬ未来に自分を委ねることができる。つらいこと苦しいこと、楽しいこともうれしいこともきつと起こるだらうが、それでもこの自分が自分であるといふことは生きてゐる以上変らない。 今までは時間や場所、立場の違ふひとがそれぞれにそれぞれの道を歩いてゐた。この一連の粗茶シリーズのやうに、同じ物語世界の中で描きつづけたといふことは、それだけ彼女にとつて茶道や武道、それらを通して出会つたひとびとが今もなお息づいてゐるからだらう。それに加えて、やはりどの人物をとつても変らぬ彼女の姿が今もちりばめられてゐる。 今後またこのシリーズで書くことがあるかは知らない。もしかしたら、遊馬の子ども世代の話とか出てくるかもわからない。もしかしたら、別の何かに影響を受けて別の違つた物語が生まれるかもしれない。だが、どのやうな形にしろ、きつと彼女の書くものに変りはないと思ふ。変りはないが、茶道や武道の形を見せてくれた様に、また別の新しい世界の形を見せてくれると信じてゐる。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログここにきて遊馬の急成長がとても心強く感じた。 東京スカイツリーの現場のこと、東北の震災の時のこと、次々続くご不幸のことなど、事実と物語のつながり具合が絶妙で、特に後半は一気に読了した。 またいつか成長した遊馬や行馬が率いる坂東巴流が見られたらいいと思う。 余談:東京スカイツリーの工事現場が毎日きちんと整えられているというくだりを読んだ日に、たまたまテレビで熊本城の復旧工事現場の映像を見た。きちんと整列された崩れた石垣の石と、遊馬が見たスカイツリーの現場が整理整頓されていることとは、見た目は違えど趣旨は同じで、それが毎日当然のようになされているのだろうと思い、とても気持ちがよかった。
1投稿日: 2022.01.31
