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天風の彩王(下)藤原不比等
天風の彩王(下)藤原不比等
黒岩重吾/講談社
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総合評価

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    よくわかった 史実に、現代の人間模様を合致させ、人間ドラマとしてたのしめる。何より、歴史がよくわかる。

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    投稿日: 2024.09.06
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    (上巻から続く)不比等の運が開かれるきっかけは草壁皇太子の近臣に就けたことにある。彼の学識がものを言ったのだ。それはのちに権力を手中にすることになる鵜野讚良皇后(持統天皇)に接近できることを意味する。不比等のたくみな人心掌握術によって皇后の寵愛を受けることに成功すると、彼女のためにその卓越した能力を発揮していく。まず皇后の孫・軽皇子(文武天皇)を皇位に就ける政界工作に成功すると、軽皇子からも信頼を勝ち取り、皇子に娘を入内させることにも成功。文武帝が若くして崩御すると、文武の子・首皇子(聖武天皇)を成人後に即位させるために、文武の母・阿倍皇女(元明天皇)を擁立する。そして首皇子にも娘・光明子を入内させるのである。 まさに抜け目のない男・不比等。権力をほしいままにできる環境づくりに余念がない。もちろん単に権力の亡者としての側面だけではなく、律令国家の実現のために大宝律令の完成にも尽力していることも触れているし、これまでのこわもての印象を変えてくれる"人間・不比等"として描かれている。彼の出自について"ある噂"があることは古代史好きならご存知のはず。彼はそのことに悩みつつ、それを逆用して栄達の足がかりにしていくところが見所だ。古代の巨人のサクセス・ストーリーがここにあった。

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    投稿日: 2023.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不比等は持統女帝の寵愛を受け律令政治家として台頭する。娘・宮子を文武天皇に嫁がせ皇太子を得、もう一人の娘・光明子を皇太子妃とした。天皇家との婚姻により、藤原氏の権威と勢力を拡大させていく不比等の野望。権力の頂点に立った男の真実に迫り、華麗なる生涯の光と影を活写する長編古代史ロマン。

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    投稿日: 2012.03.22