
総合評価
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powered by ブクログこちらのシリーズも読み始めました。これまたグイグイ惹き込まれて途中からは一気読み。新潟が舞台、というのも味わい深いし、祖父・父・主人公と3代に渡って刑事という設定も効いている。了と喜美恵とのやり取りも妙に色気があって良かったなぁ。終わりは切ない。そして続きをぜひ読みたい!
0投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログよく知られている作品ということではあるが、これまで未読だった。そこで手にしてみたのだが、長く未読であったことは間違いだったと気付いた。夢中になって、頁を繰る手が停められなくなった。 警察の捜査員が活躍する物語を綴るということで、作者がその地位を確立した作品ということになるであろう。この『雪虫』を嚆矢として「鳴沢了」が活躍するシリーズが展開するのだ。更に作者は幾つものシリーズを手掛けることになって行く。 2025年現在、「50年程前」とでも言えば1970年代であろう。昭和40年代というような感じだ。対して、本作にも「50年程前」という話題が在るのだが、それが昭和20年代というような感じになっている。1950年代という感じだ。多少、首を傾げたくなったのだったが、本作は2001年頃に初めて登場している。2001年頃から視ると、「50年程前」は昭和20年代、または1950年代ということになる。こういうような辺りに少し以前の作品という事実が滲むのだが、作品は概ね四半世紀を経ても全く色褪せていないと思う。 美しい情景描写の中、熱いモノを秘めた青年刑事が事件の謎と隠された事実に向き合うという感じである。 冒頭、もう直ぐ雪の季節というような頃、日本海岸をバイクで疾走しているという様子から幕が開く。鳴沢了の趣味が愛車のSRでのツーリングなのだ。そういうことをしていれば携帯電話に連絡が入る。呼び出しである。鳴沢了はそれに応じて引揚げ、仕事に取り掛かる。 鳴沢了は新潟県警の捜査一課に在る刑事だ。捜査本部を設けるような事件で捜査一課の捜査員達が活動することになったので、非番で愉しんでいたツーリングを切り上げたのだ。そして先輩刑事と共に湯沢へ向かった。 湯沢で発生していたのは、78歳で独り暮らしの老女が他殺と見受けられる遺体で発見されたという事件であった。毎朝のように姿を見掛ける老女を見掛けないと気になった隣人が様子を見に家に近付いた。施錠されていない戸が少し開いているという不審な状況だったので思い切って開けて中を見た。うつ伏せで老女が玄関に倒れていた。何かの病気で倒れたのだと思った隣人が「大丈夫か?」と老女の身体に手を掛けた時、腹の側に血溜まりが在ることと、既に死亡しているらしいことに気付いた。大変に驚き、警察に通報した。そして警察が本格的に捜査を始めることになったのだ。 この事件の捜査本部は、湯沢を管轄している魚沼署に設けられた。通常、事件発生地を管轄する所轄署に本部が設けられると、その所轄署の署長が本部長ということになり、関係者の顔合わせという意味合いも在る最初の捜査本部の会議には署長が顔を出す。今般の本部の本部長を務めるのは鳴沢署長であった。捜査本部に参加することになった鳴沢了の父である。 鳴沢了の家は、祖父も父も刑事だ。祖母も母も他界していて、鳴沢は男が3人の家庭で育った。刑事として現役であった父とは接点が少な目で、一線を退いた後であった祖父の傍で育ったような感じだ。何時の間にか鳴沢了は「刑事になる」というように考えていた。更に、「刑事に産れた」とまで思ってもいた。東京の大学を卒業した後、新潟県警に奉職して刑事になり、捜査一課で勤めることになった29歳である。 こんな鳴沢が、魚沼署の若い刑事、大西と組むことを基本にして、事件の捜査に加わる。その顛末、そして鳴沢了個人の色々なことという物語だ。 自宅で襲われて死亡した老女は、家族や縁者が居ないような孤独な暮らし振りであった。時々、祈祷のようなことをしていたという。やがて50年程前に2千人とも3千人とも言われた会員を擁した団体の代表を務めた経過が在ったことが判る。或る種の新興宗教のような感の団体で、彼女は言わば教祖だったのだ。そういう次元の古い経過と、現在の時点で進行する事件とが交差する中で、鳴沢達が真相を解き明かすことに挑むのだ。 その最中で、鳴沢の父や祖父との色々なことや、偶然に出くわした中学校の同級生だった女性との関り等、色々と織り込まれている。詩情溢れるような、それと同時にクールな雰囲気の物語が、雪が降り積もり始める予兆が感じられる寒い新潟で展開する。 非常に夢中になった。シリーズ各作品も読みたくなる。御薦めだ。
4投稿日: 2025.04.24
powered by ブクログ堂場瞬一さんの作品を初めて読んだ。警察ものは大好きだが作家それぞれの色はあるのか、これまで経験のない作風だった。 新潟県が舞台ということも興味をそそられた。 主人公はどうにも不完全で、まだ人間もできておらず(個人の感想ですが)一冊の中で殻を破ることもなく、多分、堂場瞬一さんの意図どおりにシリーズが気になって仕方ない。
0投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ堂場瞬一を読み始めたキッカケは、好きな大沢在昌の作品をほとんど読み切った時期があり、他の作家の作品をいろいろと読んでいた。何冊かおもしろい作品があっても読み続けられる作家は多くない。でも、堂場瞬一は読み続けられる数少ない作家と感じた。主人公の刑事・鳴沢了はストイックで頑固で一直線な刑事だ。最終的に事件解決につながるが、その過程で職場や家庭の摩擦が多く起きる。それが良くも悪くも刑事・鳴沢了の特徴となっている。刑事・鳴沢了シリーズの1作目。堂場瞬一史上売上No.1の警察小説。そして、堂場瞬一を語るには重要な1冊だ。
0投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
知り合いにすすめられた本 犯人の付近にいる彼女の喜美恵 結局 破局 ちょっと強引な展開 被害者(本間あさ)と祖父が写っていた写真が出てくる 最後 すっきりしない展開 結局隠ぺいしてしんでしまった祖父 身を固めれば、物の見方も変わる 人間は誰でも、どんな時でも、情をを無視しては生きていけない
0投稿日: 2024.02.12警察の感じ悪い所はすごい上手いんじゃないですかね
主人公が腹立たしい 遺体を見て吐くのは失礼ってバカっぽいというかなにその根性論 嘔吐感は感情の問題ではなく生理現象だろ!読み始めから非常に不愉快 50代かと思ったがなんと29歳でさらに驚いた 作者がそのくらいなんだろうか?きっと身近な29歳がいないんだろう 最後まで読んでみたが結局、人の話を聞かない頭の固いオッサン的な主人公のままだったなぁ 自分が優秀な刑事だと豪語して偉そうで、自分の正義が絶対に正しいと思ってる最悪 シリーズだから成長ものなのか?これからまともに育っていく系?
0投稿日: 2024.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
鳴沢了 祖父と父は刑事 継いで刑事となり、天啓会の教祖殺害事件を追う 50年も前の事件に起因しており真相まで長いが、事件だけでなく彼の考え方の元になった祖父とのやりとりも随所に散りばめられており、展開に説得力があり面白かった 鳴沢了が真っ直ぐ過ぎる性格故の結末だった 彼が悩み選んだ正義は、祖父と父も選びたかった正義だと思う
1投稿日: 2023.07.30
powered by ブクログ久しぶりに堂場瞬一作品を読みました。過去に何冊か読んでいると思い込んでいたのですが、「雪虫」が2作品目でした。どうやら相場英雄さんの作品と記憶が混同していたようです。歳のせいかな。共通しているのは名前の「場」一文字だけなのに...。それこそ「場違い」でした。 「雪虫」はそんなに大事件が起こるわけでも大人物が登場するわけでもなく、全体のスケール感としても大きくはないのですが、ストーリーでグっと引き込まれてしまいます。また、まっすぐすぎる主人公、相棒の成長、初恋の相手との心の動き、父や祖父との関係性等々が絶妙なスパイスになっていて読み手を飽きさせません。 本著が「鳴沢了シリーズ」のスタートとなるわけですが名作と思います。シリーズ全10作とのことで早く2作目の「破弾」を読んでみたいですが、読みたい本がありすぎていつになるのやら。 中山七里さんの「岬洋介シリーズ」もまだ最初の「さよならドビュッシー」を読み終えただけで、中々次の作品まで手がまわりません。定年退職になったら読書の時間は増えるのかな?
1投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログ『仏の鳴沢』と呼ばれた祖父、『捜一の鬼』と呼ばれた父を継いで新潟県警捜査一課の刑事となった鳴沢了。 湯沢で殺された老女は、元宗教団体の教祖だった… 宗教団体に所属していた幹部らに話を聞くうちに、何かを隠そうとしている違和感を感じる… 祖父や父からも50年前の殺人事件を調べることをやめるように言われる… 宗教団体で起こった50年前の殺人事件と今回の事件を関連付けて捜査を進めることとなるが、第二の殺人事件、さらには祖父も… 元宗教団体の幹部たちと祖父は何を隠しているのか? 犯人の目的は? 祖父の過去を知った了は… 正義にまっすぐに生きる了。 父はそれ故に了を刑事にはしたくなかった… 刑事が天職ではなく、刑事として生まれた、了。 続編が楽しみだ。
2投稿日: 2022.08.06
powered by ブクログ堂場瞬一さんのごく初期の作品。この鳴沢シリーズは読んだことがなかったので初めて手に取った。登場人物の葛藤、じわじわと続く緊張感が存分に味わえる。ただし、少し長いかもしれない。クライマックスは予想外に重かった。
1投稿日: 2022.06.24
powered by ブクログまあ、あるかなーっていう結末。 同著者のアナザーフェイスシリーズや、スポーツ小説も読んでいるので、長くても中だるみせず読めた。 読んでて楽しかったけど、ストーリーは重めな方かも。
0投稿日: 2022.05.07
powered by ブクログスィーツが大好きな私ですが、たまにはイカフライも食べたい…ということで、かなり文章も登場人物も男臭い本を読んでみることにしました。 かなり厚い本だったけど、予想以上に早いペースで読めて、自分でもびっくりしました。 24時間、事件のことを考えている主人公で、かなり重い雰囲気の本ですが、事件の目撃者として再会した中学の初恋の人との場面もあり、その進展を気にかけつつ、読み進めることができました。親子3代にわたって刑事、そしてとても尊敬する祖父が絡む50年以上前の冤罪事件…結局それを公表するのかどうかははっきりしなかったし、主人公鳴沢了がこれからどういう生き方をするのか わかりませんが、10作続いているそうなので、また機会があれば、続きを読んでみたいと思います。 作者はラグビーをしていて、新聞社勤務だったようで、 主人公がラグビー経験者だったり、出入りの新聞記者がちょっとユニークだったり、その辺は実経験からきてる文章なのかな〜と思いました。
8投稿日: 2021.12.10
powered by ブクログ3.4 まずまず面白かった。 ただ、すぐに次の作品を読みたいって程ではないですね。 主人公は身なりに神経質で、そんな刑事がいる事に違和感ありましたが、コンビを組んだ刑事が少しずつ成長していく様が面白かったです。
7投稿日: 2021.03.13
powered by ブクログ主人公が事件を追う中で悩み、葛藤しながら真相に迫っていく。一方、父と祖父それぞれが胸に色々な思いを抱えている…。 読み終えて、そういうことだったのか!と謎がとけました。伏線は張られているので、ある程度展開は予測できるのですが、過去何があったのか語られるので、なるほどなー…と。面白いです。 ただ、ボリュームがある本で、前半から中盤にかけて展開が緩やかで、なかなか読み進められず…。終盤はあっという間に読み終わったんですが。個人的には前半がもう少しコンパクトか、展開に起伏があるとより好みだなと思います。
1投稿日: 2021.03.06
powered by ブクログ祖父、父、自分と刑事が三代続く家系の鳴沢了が一人称で事件を描くシリーズの第1弾。 でもこれだけの紙面を使った長編にもかかわらず、内容は乏しい。冗長過ぎる。 はっきり言ってつまらん。一応二作目も読んでみるけど、同じような作風あれば、それで終わり。
0投稿日: 2020.12.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
警察小説No.1という帯も気になり厚さに気後れしながらも速いペースで読了。2時間ドラマになりそうで台詞描写も多いから厚さを気にせず読めることが分かった。新潟の土地が目に浮かびながら楽しめた。鳴沢了という刑事に魅了されるほどではなかったけれどじわじわと惹かれている自分に気づいてその後は気になる。シリーズ1作目で祖父との別れが切なくてグッとくるものがあった。
3投稿日: 2020.10.24
powered by ブクログ今でこそ亜流の色々なシリーズが出ているが、これは正統派ど真ん中の捜査一課モノ。文句なしに面白い。タイトルと内容がリンクしないのこの頃からのはお約束なんだなと再認識。
4投稿日: 2020.10.20
powered by ブクログ親子三代続いた刑事の家系の三代目、鳴瀬了を主人公とした警察物ののシリーズ第一弾です。 伝説の刑事の祖父、現在警察署長として勤務する父、そして刑事になったのではなく、刑事に生まれついたと迷いなく言う了。 父と確執はあるも後ろ暗い事は何もない、正義の道を歩いて来たと信じる了の元に次第に集まる不穏な兆候たち。了に何かを隠そうとする父祖父に疑念が湧き始める・・・。 面白味が無い人柄をそのまま突き抜けさせると不思議な魅力とおかしみが浮き上がってくる。そんな融通の利かない了という存在が非常に魅力的。迷いなく刑事の道を突き進んでいながら、不意に訪れる恋に揺さぶられたりと、堂場さんって魅力的な熱血漢を書くのが本当に上手いです。 10冊も続編があるようなので、どんどん読んで行こうと思います。
4投稿日: 2020.09.29
powered by ブクログ堂場さんの本を初めて読んだ。 中古で買った本は手錠の絵でした。 三代とも刑事という前提が最後に意味を成す。 犯人の動機やそこに至る過程がもう少し丁寧だったら評価を4以上になったかもしれない。 鳴沢了のシリーズなので続きも読みたい。
5投稿日: 2020.09.02
powered by ブクログ仏の鳴沢と呼ばれた祖父と、捜一の鬼の異名を持つ父の後をついで刑事となった鳴沢。 湯沢で起きた殺人事件、殺された女は元宗教教団の教祖。 殺人事件を捜査していくと、五十年前に教団で起きた事件に行き着きます。 鳴沢は二つの事件の関連を確信しますが、捜査本部長の父は鳴沢を事件から遠ざけようとします。 新潟が舞台の警察小説です。 楽しめました。 このシリーズ読んでいきたいと思います。
4投稿日: 2020.09.02
powered by ブクログ鳴沢了シリーズの第1巻。 新潟での老女の死は、鳴沢三代刑事一家の根幹を揺さぶる事件となる。 新潟という地方都市の警察の在り方や季節の捉え方も都会とはまた違う。 このシリーズのスタートは寒々としている。
1投稿日: 2020.07.24
powered by ブクログ俺は刑事に生まれたんだ――鳴沢了は、湯沢での殺人と五十年前の事件の関連を確信するが、署長である父は彼を事件から遠ざける。〈解説〉宇田川拓也
0投稿日: 2020.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新潟の方言がとてもよい ほっこりしつつも、終盤にかけて徐々にしんどくなった。 真っ直ぐすぎるのは生きづらい 続きを読もうと思う
0投稿日: 2020.03.14
powered by ブクログ新潟を舞台にした親子三代捜査一課の刑事にまつわる物語。展開が早く途中で止めることができず、一日で読んでしまいました。 個人的には生まれ故郷の新潟が舞台で知っている地名と方言ばかりで懐かしかった。 シリーズものなので、次も読みたいと思いました。
4投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログ2020年12冊目 刑事鳴沢了シリーズの新装版。 舞台は新潟県。戦後の新興宗教を発端とした殺人事件。刑事三代。 何となく、東野圭吾の加賀恭一郎シリーズを思い出しましたが、父親も刑事という設定だけか。 本作の主人公の鳴沢は、刑事であることを誇りに思うが、円滑な人間関係を作るのが苦手なタイプに見えました。 相棒の大西は最初の頃は、いつから未成年をやとったんだと言われる程、情けない姿でしたが、次第に刑事らしく成長していく。最後まで海君と呼ばれるのはご愛敬ですが。 刑事として家族や恋人?にどう接するかという葛藤がなかなか印象的でした。
1投稿日: 2020.02.15
powered by ブクログ著者のシリーズもので、唯一未読の鳴沢了シリーズ。 リニューアル刊行を機に、取りかかろう。 「刑事になったんじゃない。刑事に生まれたんだ」と、祖父・父親に継いで刑事となった主人公。 老女殺害事件の捜査の過程で、肉親との桎梏が立ち塞がる。 事件の背景には、50年前の殺人事件が関連し、しかも祖父の関わりが。 『ミステリーで読む戦後史』で、著者の古橋信孝氏は、この小説の主題を「戦後を知らない世代が戦後を知るという」ことだと、述べている。 敗戦後の問題が解決されずに、現代まで続いていると指摘したシリーズだが、巻を追うごとにその問題意識は薄れていってしまうようだとも。
3投稿日: 2020.02.08
