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「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
マルクス・ガブリエル、姫田多佳子/講談社
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総合評価

11件)
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    平易な文章であるがゆえに,逆に分かりにくくなってる印象。全編にわたって神経中心主義を批判するのだが,論点が次々出てきて論旨が追いにくい。色々な学説(主義)に言及されるのだが,著者がそれに賛成なのか反対なのかすら,俄には読み取れない始末。神経中心主義が誤りであることが論証されているのか?なんだか議論をずらしているというか,噛み合っていないように思える。自分の読解力の問題か。 しかしガブリエルはドイツ哲学をベースにしながら,フランスはもちろん,英米にも造詣が深い。大陸系VS分析系という分類は乗り越えられつつあるように思った。

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    投稿日: 2025.11.02
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    いま最も有名な哲学者といっても過言ではないマルクス・ガブリエル氏の一般向け哲学書三部作の第2弾。1作目同様、内容はほぼ理解できなかったが、著者の深い造詣と考察に触れているだけで知的好奇心が刺激される。 昨今のニューロネットワークのAI花盛りの時代にあって、「AGIの登場がまもなく」というまさに今、著者は「神経(ニューロ)中心主義」に異議を唱え、「私」≠脳というテーゼを以って、我々の精神の深淵や本質に対する論理展開を図る。自由意志の存在は第三章や量子力学的パラレルワールドからすると制約条件の結果という気もするが、志向的意識と現象的意識という観点を経ると「現象的」は人間の精神の複雑さを示しているように思える。 著者がユニークなのは例示に映画やTV番組、時事の話題などをふんだんに盛り込んでいる点だろう。だからといって解りやすいわけではなく、デカルトやカントのような不変的哲学書の地位にはなりえない面は否めないが、哲学をより身近にしていることは間違いない。

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    投稿日: 2025.07.05
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    序論 本書では、精神哲学における反自然主義的視点の回復を論じ、自然科学的世界像と宗教的世界像の選択を捨てる必要性が強調されています。著者は、近代の民主主義社会が抱える世界像の論争について言及し、科学と宗教の関係が単純なものではないことを示しています。 主要な思想家 - サム・ハリス、リチャード・ドーキンス、ミシェル・オンフレ、ダニエル・デネットなどの現代の宗教批評家が「新無神論」として集結していることが紹介され、彼らは科学を真実とし、宗教を迷信と見なす考え方があることが指摘されています。 意識と自己認識 反自然主義的視点の重要性 著者は、意識を持つ生物としての自己認識を発展させることが、精神史における重要な伝統に結びつくと述べています。この伝統は、経済や技術のエリートによる近代的進歩の追求からは独立していると主張されています。 神経科学と意識 神経科学が自我の研究をリードする分野として注目され、アメリカ合衆国議会が「脳の10年」を宣言したことが詳細に説明されています。この期間には、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療法の開発が進められました。 意識の多様性 意識は多面的であり、芸術、宗教、科学においてより深い理解をもたらす一方で、幻想や自己欺瞞も生み出します。著者は、人間の精神は自己イメージに基づいて形成されるとし、自己意識の重要性を強調しています。 神経構築主義 神経構築主義は、意識が外界を直接知覚するのではなく、脳が個人的な感覚の印象を構築するという考え方です。この理論では、私たちの意識は脳内での神経化学的プロセスに基づいているとされます。 決定論と自由意志 自由意志の問題 自由意志の問題について、神経決定論や物理的決定論が取り上げられ、私たちの行動がどのように決定されるのかが問い直されています。著者は、自由意志が決定論と共存する可能性を考察し、さまざまな哲学者の意見を紹介します。 決定論の批判 自由意志のハード・プロブレムに関する議論が展開され、自由意志の概念が内在的な矛盾を抱えている可能性が指摘されています。著者は、自由意志が存在するかどうかについての哲学的な問いが重要であると結論づけています。 結論 本書は、意識、自己認識、自由意志に関する哲学的な問題を多角的に探求し、現代の科学と哲学の交差点における重要な論点を明らかにしています。著者は、意識の理解が私たちの存在の根本的な問いに対する答えを導く手助けとなることを示唆しています。

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    投稿日: 2025.02.06
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    哲学系の勉強をしている友人が 神経科学を専攻している人にこの本はどう写るか気になる、と言われて読んでみた。 作者は神経科学の中でもすごく極端な立場の人をあげていないか?と思ってしまった。筆者の主張はもちろん分かるのだけど、批判の対象が神経科学なのが全然納得できない〜 最初の導入部分で自然主義と反自然主義の議論を、 精神と神経活動の議論にすり替えているように思えてしまって ずーっとひっかかってしまった。 筆者が批判すべきは方法論的自然主義なのでは。 別に脳の働きで人間の営みが全て説明できるだなんて思っていないし、 神経科学と精神哲学は排他的なものじゃない 本文で例に出されている友情とか、美や幸福とか、 現時点で科学の土台にのせられていないものはたくさんあるし 科学やその領域について議論していないよと思う 少なくとも神経科学を専攻した私も、 私を指導してくださった先生もそういう立場 あんまり冷静に読めなかったので 落ち着いたらもう一度読もうかな、でも少し心が挫けそう...

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    投稿日: 2021.12.23
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    タイトル見て興味持って読んでみた。 最後のほうは説教くさく、哲学なんだか神学なんだかかと思った。 ただ、硬い因果論と柔らかい「条件」の比較は面白い。 今の自分の存在(「私」)は、過去の因果かただの条件が揃ってしまったのでこうなっているだけなのか。

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    投稿日: 2021.08.23
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    なんとなくしか読めてないけど。 人間としての実態ってなに? 脳が死んだら死んだと言えるの? 種の保存の法則の延長線上に意志とか欲求とかあるの? 我々は自由であるって言い切れへんねんな。 奪いされないもの尊厳、経験、意志そんなんを持ってるって言い切れるよな。 それは、宇宙とか物理とかエネルギーとかそんな冷たい連中に関係あるかい!ってゆうてんねんな。

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    投稿日: 2020.11.03
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    様々な哲学者の思想を簡略に書いてあるので、非常にわかりやすい本である。脳と意識の関係がとても分かりやすく書かれている。

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    投稿日: 2020.03.14
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    論理的で、バランスの取れた著作。 様々な論者の思想を暴き、批判し、人間の生、そして、哲学をあるべきものにする取り組みだ。 特に最終章が素晴らしい。上への野蛮化が現代では神ではなく、テクノロジーに結びつき、下への野蛮化は進化論万能に結びつく。

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    投稿日: 2020.02.26
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    人間は、科学的に説明し得るのか。自然科学的探究を思考するときの「私」は、迫るシンギュラリティに備えようとし、それは説明可能性を受け入れている。一方で、答えのない未来を探究する思考に耽るときの「私」は、自然科学では構築しえないものであることを疑うことすらしない。だから、脳が単に神経回路で、内外の入出力を媒介するだけなら、「私」は脳ではない。生物的存在と社会的存在、そして、「私」にとっての世界によって、「私」が在る。ような気がする、所で一先ず。

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    投稿日: 2020.01.17
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    マルクス・ガブリエルの「一般向け」哲学書の3部作の2作目。 「新しい実在論」というのが流行っているらしいのだが、どこが新しいのかは実はわからない。社会構成主義や価値相対主義を批判していて、日常のいわゆる「現実」をしっかり「現実」として位置付けるということになっているみたいだけど、本当にそうなのかな? いろいろな「現実」を統合する「世界」は存在しないとしているので、いろいろな側面での「現実」が「実在」することになる。 これは、もしかすると、価値相対主義が嫌いな人には、さまざまな現実が、社会的に構成されるというほうが、まだよかったんじゃないとか、思ったりする。 さて、「「私」は脳ではない」というキャッチーな書名だが、脳から独立した精神的な私が実在して、死後も「私」は実在するというようなことを言っているわけでは全くない。 批判の対象は、神経・脳による「決定論」。それだけではなくて、あらゆる「決定論」への批判。 そして、最後には、人間の「自由」を宣言する。 構造主義、ポスト構造主義によって、終わったと思われていた「実存主義」が復興みたいな話もある。 一見、わかりやすそうに説明しているみたいだが、肝心なところで、ロジックの展開が早くて、結局のところ今ひとつ理解できない。 といっても、面白いといえば、面白いかな。

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    投稿日: 2019.09.28
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    『なぜ世界は存在しないのか』に続く第二弾。前作もそうだが、挑発的とも感じられるタイトルが与えるインパクトは強い。 それにしても、哲学者ってのは、いっつもこんなことを考えているのか……色々と凄いな(そして、その思考と、やたらと頻出する食べ物の例えのギャップがやけに面白い)。

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    投稿日: 2019.09.12