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恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで
恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで
スティーブ・ブルサッテ、黒川耕大、土屋健/みすず書房
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総合評価

8件)
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    「恐竜本」と言ったらビジュアル重視でいろんな種類の恐竜を紹介するような内容が思い浮かぶのだけど、この本の場合、写真はたまに載る程度で後はほぼほぼ活字で構成されている。なので恐竜に興味が無い人にとってはややとっつきにくい……なんてことは無く、著者の強い恐竜愛ととびきりのユーモアがたっぷりつまった文章によってグイグイ恐竜の世界へと連れて行ってくれる良書だった。 大まかな内容は、恐竜がどのようにして現れ、いかにして繁栄し、何が原因で絶滅したかを追うというもの。著者は1984年生まれの古生物学者で、旺盛な好奇心と恐竜愛を持って最新の恐竜世界を提示する。その「元気さ」は間違いなく本書の魅力の一部となっていて、教えるのがめちゃくちゃ上手で人柄も素敵な先生の楽しい授業を聞いている気分で読み進められた。 例えばTレックスは単独ではなく、群れで狩りに出ていたのでは無いか?というのは本書を読むまで知らなかった仮説だったし、恐竜の重さや大きさを正確に計るためわざわざアニメーションを作成して、そこから体重を推量していくというやり方なんかは面白いな、と思う。脳の容量から算出するにチンパンジーと同じくらいの賢さであることは従来のイメージと違っていて良い意味で発見だった(つまりイヌやネコよりも賢く、イルカには劣る程度)。生まれたばかりのTレックスのサイズは子ネコ大くらいらしいのだが、そこから一日で2キロずつ体重が増していくというのは驚愕。成長期とかいうレベルじゃない。ポケモンの進化並の変化じゃんそれ。 その他、どのようにして全体が巨大化していったのか。あるいは羽毛と翼を発達させて鳥へと変わっていったのか。恐竜が滅んだ理由と、鳥をはじめ哺乳類やその他の生物が生き残ったのは何故なのか。そういった「恐竜の世界史」を楽しく、新たな研究成果とともに語ってくれる。 また、恐竜のこと以外にも、著者の研究仲間や、恐竜にまつわる思い出が邪魔にならない程度に挿まれており、読み物として楽しい。 著者の目的としては、「恐竜の楽しさを伝える」ということ以外に、「従来の恐竜像を一新する」というのがあるようにも見受けられ、その熱量(および著者の人柄)に惹きつけられた。 そして、恐竜本や動物本をちょろちょろ読むことが増えてきたので、もっと詳しくなりたいなあと思う今日この頃。

    6
    投稿日: 2024.09.26
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    図書館本。一目で惹きつけられた。 中々のボリュームで読むのが大変だったがとても面白かった。それまでの下りで恐竜に感情移入していたので、最後の小惑星墜落の下りではとても切なくなってしまった。 タイトルに「負け犬」とあり、疑問に思ったが、なるほど最初から我が物顔ではなかったのだなと。中生代の白亜紀とジュラ紀は有名だと思うが、三畳紀は聞いた記憶がなかった。つまり、恐竜が繁栄していなかったからだろう。その時代は偽鰐類が繁栄しており、しのぎを削っていたとは知らなかった。 少しでも恐竜に興味があれば読むべき良書。

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    投稿日: 2020.10.04
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    幼き頃より恐竜を愛し、親に頼んで様々な恐竜博物館を訪れ、有名な学者にはファンレターを送り続けた。成人し、世界を代表する恐竜専門博士となり、訪れる博物館と親しい恐竜学者を増やした。そんな恐竜一筋の著者が記す恐竜興亡史。 かつての恐竜のイメージは「大きくてウロコに覆われた頭の悪い野蛮な生き物」だった。 ノシノシと歩き、時を過ごし、滅びるべくして滅びた、という恐竜への固定観念は最近では崩れ去っている。次々と新種の恐竜が発見され、研究が進んだ結果、恐竜はめざましい進化を収めた成功者だとみなされている。なんせ人類を遥かにしのぐ1億6000万年もの間繁栄したのだから。 そして、絶滅した理由もはっきりしている。直径10kmの隕石が地球に落下、原爆10億個分のエネルギーにより、たまたまそのときに巨大な体を持っていた恐竜たちが一番の犠牲になったのだ。白亜紀より後の地層から全く恐竜の化石が発見されなくなることから、恐竜の絶滅が唐突に起きたことは間違いないとされている。 この隕石さえなければ、恐竜はその先、何億年も進化を続け、人類の登場を妨げたかもしれない。

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    投稿日: 2020.09.25
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    どこにも出かけられない夏休みシーズンを気分だけでも盛り上げようと読んでみた。狙いどおり楽しめた。 恐竜みたいな昔の生物を研究する古生物学は、とにかく化石を掘り出して形を比べたり、地層との関係を見るしかない。その過程でコンピューターを使ったりはするものの、昔からの博物学的な気風が残っているようだ。この本でも著者自身や他の古生物学者が発掘をする様子がおおく描かれている。素人目にもなんだかロマンを感じるし、著者の書きぶりからは当人たちも楽しんでいる様子が伺える。 ワタクシが子供のころからすると恐竜に関する知識はけっこう書き換えられてきており、ある程度は聞いて知っていたが、あらためて良い整理になった。 また、恐竜を研究するということは、遠い昔の地球環境の激変を研究することでもある。生命や進化への畏敬の念を呼び起こされる。

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    投稿日: 2020.08.01
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    中生代と呼ばれる2億5200万年前から6600万年前に存在した恐竜についての歴史をまとめた好著だ.この時代は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けられているが、プレートテクトニクスの理論で三畳紀には地球の陸地は一塊で初期の恐竜はどこにでも移動できた由.ジュラ紀後期になると、今の大陸への分解が始まり、白亜紀後期にはほぼ今の陸地の形ができたようだ.知らなかった.有名なティラノサウルスが活躍したのは白亜紀でしかも北米西部だけらしい.多数の恐竜研究者が化石を発掘して古い時代の様子を明確にしている過程が詳述されているが、今なお新しい事実が判明している.6600万年前に小惑星が地球に衝突して恐竜はほぼ全滅したが、一部は鳥類として存続しており、恐竜時代には日陰の存在だった哺乳類も生き延びて、我々人類がいることは歴史の偶然とも言える.

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    投稿日: 2020.04.12
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    恐竜大好き少年が、そのまま古生物学者になり、自身の体験、経験を織り交ぜて、1億6千万年の恐竜の歴史を描き切った本。T・レックスのスカベンジャー説もあっさり否定し、想像力豊に、恐竜のサバイバルをわかりやすく述べてます。 時折り入る雑談というか小ネタも、テンポ良いので、ボリュームありましたが、恐竜に興味がある人や男の子のお子さんを持っている親御さんにはよいのではないでしょうか。

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    投稿日: 2020.02.10
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    最新の恐竜学の知見や、気鋭の古生物学者の生態はみっちりと書かれていて、非常に濃厚な本になっています。恐竜好きには必読の一冊と思います。ただし、世界史である以上、恐竜の世界を過去からたどっていく、追体験!ともいえる経験をしたかったのですが、古生物学者の発見までのストーリーが重視されているようで、歴史に感情移入していく感じを味わうことが今ひとつできませんでした。

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    投稿日: 2020.01.16
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     ここ数年、子どもから大人までが大きな興味を持つようになった恐竜、その恐竜がたどった世界を時系列の展開をもとに、少しエッセイ的な味付けもまじえなが綴った一冊である。  非常におもしろい。  特に、これもまた老若男女を問わずに人気があるT・レックス(ティラノサウルス・レックス)の生態についての解説は、細部にわたって具体的であり、非常に質感のある説明に仕上がっている。子どもたちも大いに興味を膨らませるものだろう。  また、これは自分自身が非常に関心を強くしているところなのだが、恐竜から鳥がどのように生まれたのか、鳥が恐竜の生き残りであることがとてもよくわかるものになっている。  今、この瞬間に窓の外に恐竜が見える。

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    投稿日: 2019.09.22