
総合評価
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powered by ブクログいい話だったなぁ。 内容としては胸糞悪くなるような話なんだけども。 最後こっちまで泣いちゃったよ。 今昔百鬼拾遺の中では一番印象に残る作品だった。
0投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
登場人物の名前が似てて覚え辛かった。 しかし、時期に合いますなぁ。教訓や道徳を声高に叫ぶ作品はあまり好まないので、そういう意味では鼻につくような部分もあったが、徹頭徹尾、美由紀と美弥子の言い分には同意した。 「壊れたら捨てればいいし古くなったら改めればいいのです。お約束を護らず使えなくなった仕組みを、上面だけなぞって都合良く作り替え、伝統やどと云い張って温存するなどと云う行為は到底許せるものではありません」 まさにその通り。
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログいまのこの、なんちゃらファーストだとか、なんちゃらが優遇されてるだとか、女は子供産んでこそとかのような馬鹿みたいな差別がまかり通ってる国政選挙のタイミングで現実の流れてくる優勢候補にげんなりしたりもしてるけど、今このタイミングでこれ読了できて多少なり胸のすく思い。
0投稿日: 2025.07.15
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★4。 うーん、ラストのせいか読みなれたせいか熱かったなぁ。ストーリー展開が女性差別と同性愛が主軸で、現代的なテーマでもあったからより一層入りやすかったのかもしれない。ミヤコ嬢いいなぁ。気風がいいね。好き。 しかし百鬼夜行シリーズってこんなに現代的というか、正論の殴り合いみたいな要素強かったっけか?他の京極作品には割とあるけど、百鬼夜行はそんなイメージ少なかったから、ある意味意外だったなぁ。でもあれだね、読んでると心にザクザクくるね(笑)なんか神妙な気持ちになるよ。恥ずかしくない生き方したいなぁ。やーしかし、三冊も百鬼夜行の新刊読めててのしかったー!
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ(1)高尾山行方不明の女たち衣服とボディ数が合わない(2)篠村美弥子登場。今後もどこかで出演してほしいキャラ/例によって対話メイン。美弥子と美由紀、美由紀と敦子/集約すると天狗とは何かということになるが、真の天狗ではなく贋天狗のお話/事件としては同じ日に行方不明となった女性が複数おり、衣服がややこしく取り替えられているようでもある/このシリーズらしく最後に美由紀の啖呵が炸裂する。(3)わりと救いがなく、情けなくなる気分。時代は変われど今もまだ多くの贋天狗はいるなあとも思わされる。特に国の上の方には。 《人生に無駄なんかない。どんな経験でも何らかの糧にはなる訳で、楽しかろうが腹立たしかろうが徒労と云うものはないのだと》(天狗p.17) 美弥子《わたくし、境遇としてはお嬢様なのかもしれませんけれど、お嬢様そのものではなくってよ。》(天狗p.31) 同じものを見て同じように感じる人など、只の一人もいないのだ。(天狗p.45) 《想いと云うものは、強い弱いに拘らず、理を覆ってしまうものである。》(天狗p.84) 美弥子「わたくしは天狗が嫌いなのです、きっとそう」(天狗p.186) 天狗とは・・・本来の偉大な何かではなく、偽物の天狗とは・・・驕っている人。威張る人。遜る人。ものごとを勝ち負けで判断する人。人との関係を上下関係として捉える人。自分を不遇だと嘆く人。(天狗p.186前後) 《山は、全体で生きている。》(天狗p.197) 美弥子《山は共棲のばですもの。山の中にいるのなら、自分は山の構成要素だと思うべきです。》(天狗p.198) 美弥子《山のような偉大なものに立ち向かおうなどと考えること自体がもう身の程知らずてす。山の中では虫も一緒。いいえ、山でなくたって、人も虫も、そんなに変わりはなくってよ》(天狗p.199)
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログいやぁ面白かった! 百鬼夜行シリーズとして完璧だった 京極堂のポジションが3人の「女性」に分割されてるからこその読後感を得られた ジェンダーマイノリティが主題になりつつ、戦争や男尊女卑の話題なんかもいつものやり方で覆していくのが最高だった! 余談だけど、途中の「家が男の自我の肥大したものになっている」って考え方が、ボクの考えにも通ずるところがあって勝手に喜んでた(笑)
0投稿日: 2025.01.02
powered by ブクログ京極夏彦を読んだのは高校生以来だけど、中盤(序盤?)穴の中で2人で会話してるシーンが動きがなくてちょっとしんどかった。終盤の謎解き部分は面白かった!(真相には全く気づけてなかったので超驚いた。笑) 魍魎の匣と姑獲鳥の夏も細かいところしか覚えてないから読み直そうかな。
0投稿日: 2024.11.15
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仕事が忙しく途中中断していたが基本一気読みの面白さ。 戦後まだなお残る家父長制度的女性蔑視が時代遅れであること、ジェンダー論、多様性にも踏み込んだ今っぽい論調の話が続く。天狗とは何かとか天狗の歴史なんかはさらっとしてる感じ。詳しく知ってると端々のセリフが面白いと思う。
0投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ会話がほとんどだったから比較的読みやすかった。高尾山は意外と身近な存在だし天狗も絡めて話しが進んでいくのも面白かった。 結末は結構苦しい。 間違えて天狗から読んでしまったけど、絡新婦理の理は知ってたからあまり問題なかった。
0投稿日: 2024.06.21
powered by ブクログ「今昔~月」に収録されている3作がそれぞれ文庫化されてあり携帯にも良いのでこちらの3冊にしました。装丁も良かった。中禅寺の妹、敦子と「絡新婦」に登場した呉美由紀が主となるスピンオフ。これまでの事件に関わった人物も登場。兄の方より民俗や宗教に関する問答が少なかったぶん読みやすかったかと。「天狗」がより印象に残る作品でした。
0投稿日: 2024.02.08
powered by ブクログついに手を出してしまった…京極夏彦… 面白かった!もっと古めかしくて読みづらいかと思ったけど、ゲ謎を通ったのでありがたく読めた。 天狗はあくまで天狗として扱われていて、ドロドロの妖怪ものかと思ってたから拍子抜け。いやミステリだよ。 さらさらっと読めたな。どうもシリーズ的には3作目?ぽい?最初だと思ったから読み始めてすぐ過去の話されて「アレレェ」ってなった。 美弥子さん好き。
0投稿日: 2024.01.04
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「蒸気が出てる」「常軌を逸してる、と云うことですか?」 通勤電車で爆笑しそうになった。言葉選び最高ですか。 今昔百鬼拾遺シリーズでは最終巻になるからなのか、カラー写真も挟まってて贅沢な文庫本。 天狗を猿山の勘違いお大将と見るか、山伏といった身分も見識もある僧のようなものと見るか。同じ天狗でも見方が変われば、考え方も変わる。 今回の犯人は猿山の大将だったわけで!美由紀がスカッとあれこれ言い放ってくれたから、美弥子のようにぶん殴りたくなる気持ちが落ち着いた。 これ、令和元年に発行された本だから、昭和29年ではまた価値観や世相が全く違ったやろうし、さらに今から70年経てばまた価値観が変わることも想像に苦しくない。 天狗はまた見識ある僧侶として見られるのか。やっぱりお山の猿大将なのか。 本書はエンタメとしても面白かったし、次の未来へ向けた思想を感じた。
5投稿日: 2023.12.01
powered by ブクログ「それもこれも、捻曲がった武士道みたいなろくでもないものを崇めて、家だの血筋だの云うどうでもいいものを護ろうとばかりする、頭が苔生した連中の思い込みに過ぎなくってよ。連中はいいだけ威張る癖に強い者には媚びるし、そうでなければ喧嘩を売って潰しにかかる。勝てば絶対的に偉くなって、負ければお終いだと考えているのです。そんなだから――戦争なんかをするんですわ」 2020/7/2読了 鬼は『怖い』、河童は『下品』、天狗は『傲慢』と各章を似た言葉で始める所、京極風です。それにしても、このシリーズは女の子がべらぼうに『強い』。
2投稿日: 2023.09.18
powered by ブクログ京極堂シリーズ、途中までガマンしてガマンしてガマンして、そのご褒美にラストに一気に事件解明の爽快感! 前回の河童はちょっと難しかったけど、これはその流れで読めた。
0投稿日: 2023.05.14
powered by ブクログトリックはもとより、プロットも短編もの。それで分量なのがさすが。ホントにさすがなのは、そんなことをやっているにもかかわらず、薄まったような感じが全くないところ。おなじみの登場人物たちがわちゃわちゃしてるだけで、物語は全く進まないうちに、五十頁くらいが飛んでいく冒頭とか読むと、もう何も言えない。 今回のテーマは頑迷固陋な、家父長制の信奉者に対する批判と言ったところ。歪んだ伝統主義を振りかざして、女性蔑視、同性愛嫌悪を正当化する、父親たちの愚劣をお嬢様・実弥子と、漁師の娘の美由紀が、それぞれの立場から罵倒しまくる瞬間だけは気が紛れるか。2022年現在においてさえ、同性婚どころか夫婦別姓さえ「家族制度を危うくする」式で、成立してないんだからねえ。勘弁して欲しいよ。
0投稿日: 2022.08.13
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こう啖呵を切れるところには少し憧れも抱いたが、そんなシチュエーションが無いのが一番。3部の中で最も腹立たしく、そして最も長い作品。何が起きたか推理している前半が特に。
0投稿日: 2022.08.11
powered by ブクログ最後に美由紀ちゃんが犯人に語ったことが全て。 何やってんですか本当に。 人を蔑視するというのは、こういうことだとよくわかった。それが動機なのが悲しすぎる。
0投稿日: 2022.06.14
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中禅寺敦子、呉美由紀と釜鳴事件で登場した篠村美弥子が山で立て続けに起こった行方不明事件に挑む。 消えた人間、発見された死体と交換された衣服、山に掘られた落とし穴など、事件そのものの謎解きも興味深いけど、事件の背景、真相がとても深いというか濃いというか。 LGBT差別が事件の根底にあって、戦後なら今よりもっと酷く差別されてたのだろう。 ある被害者の祖父の男尊女卑、LGBT差別思想が凄まじく、読んでいて胸糞悪くなる持論を振り翳してくるわけだが、それに対抗する3人の理論が現代であっても違和感ない、それどころかすごく納得できる内容だった。
0投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログ卒論で天狗を取り扱ったので、その記憶が蘇った。民俗学的な所を掘り進めながらの進行なので個人的にとても楽しかった。
1投稿日: 2022.03.05
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今昔百鬼拾遺シリーズももっとシリーズ化して欲しい 京極堂、関口先生等の主要メンバーはでないけど、敦子や益口等脇を固めるメンバー達が個性的でいい仕事をするので楽しめる。 最初、1作目の鬼を読んだ時はやっぱ物足りなさを感じたけども、圧倒的に読みやすい 女子高生の呉美由紀の感情を爆発させて犯人に捲し立てていくのが好き。まだ15歳ながらも差別や偏見を正面から見て、考えて向き合う姿が好き。 敦子も今回久しぶりに見た美弥子もだが、地に足つけて自分の足でしっかり立っている女性のなんと輝かしいことか。対して家柄だ男だということに縋らないと立てられない武士もどきのなんと哀れなことか 昭和の頃のLGBTに対する偏見の強さ、男尊女卑の日本の古い考え方。令和の今もまだ問題残っているので、考え続けていかねば
0投稿日: 2022.02.07
powered by ブクログ良かった。 読みやすかった。 物語は昭和29年のこと。 美由紀は15歳高校1年生。 というと昭和14年生まれか。 すると私の母と同じ年。 母は中卒。そのとき働いていた。 母はその年で、啖呵を切れるかなと考えた。 人は平等、偉いも糞もない。 京極夏彦さんは昭和38年生まれ。 私は昭和43年生まれ。 そうか5歳差なんですか。 なぜ昔小説なのだろう。 妖怪の話を書くため昔小説のスタイル? 京極夏彦の現代物ってあるの? まだまだ京極夏彦を読まなくては。 次も頼みますよ。
0投稿日: 2021.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
京極作品リハビリ中(笑) 相変わらずの長広舌に伏線を迷彩色にして潜ませ 最後に「ホラね」では反則というより「お約束」 だから許さないといけない(何様作者w) 饒舌も薀蓄とドラマチックな人生を生きた登場人 物は大好物だったが京極作品は手に余る 天狗のネタが少ないのが残念(´・ω・`)
0投稿日: 2021.08.21
powered by ブクログ呉「美由紀ちゃんの啖呵」、敦子の理解説、篠村美弥子(百器徒然袋 雨の鳴釜)のお嬢口調詰め寄りが、一度も登場しない京極堂の代わり的だった 。美弥子は森博嗣Vシリーズ瀬在丸紅子を思い出した。 絡新婦の理の織作といい、頭が良くて勇敢だなあと印象に残った女性たちは、後の作品でもしばしば登場するなあ。 鳴釜登場の「この熊っぽいシルエットが、そのおかまの金ちゃん」(熊沢金次)と美弥子が親友だというのが嬉しかった。鳴釜で弾けた後仲良くなったんだーっと思って。 武家作法の残滓・老害が痛々しい。 これで百鬼夜行シリーズすべて終わってしまった。
0投稿日: 2021.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3部作の中で一番腹が立つ人が出てましたね。腹が立ちますね。こういう古臭い考えで、なおかつそれがこの世の理みたいに押しつける人いるよな、苦手だな〜と思いました。 人の考えは十人十色で私も完全に意見が一致してわかりあうなんてことは無いのではないかと思っています。だから他人の考えや思いを尊重することが大事なんじゃないかなとお思います。これも押し付けなのかな。とか。 自分の考えとも向き合う素敵な時間になりました。
0投稿日: 2021.04.12
powered by ブクログ高尾山で行方不明となった女性の衣服を纏った女性の遺体が発見されたことを端に発した、女性達を巡る殺人は、傲慢さ故のものだった。 呉美由紀、中善寺敦子、そして代議士の令嬢である篠村美弥子が事件の真相へと迫っていく。
0投稿日: 2021.04.07
powered by ブクログ作中でも登場人物に語らせている通り杜撰な計画 ラストの為にヨボヨボのジジィ設定にしたんだろうけど辻褄が合わなくなっちゃったなぁという感じ ジェンダー論的なものはありきたりでどうでもいいとしか感じないし、今の価値観を語らせるという設定も気持ち悪い
0投稿日: 2021.03.12
powered by ブクログ中禅寺敦子が活躍するシリーズ。 今までの百鬼夜行シリーズに比べると不足感があります。 百鬼夜行シリーズの外伝版ととらえるべきか。 百鬼夜行シリーズの新作を強く熱望します。
3投稿日: 2020.12.29
powered by ブクログ本シリーズ三作の中で一番文章が長めで詰まっていたような。前に作との違いはやっぱり出版社・編集者によるもの?美弥子さん・金ちゃんとの再会が嬉しい。美弥子は一生懸命弁をふるうけど、お嬢様部分が抜けきらない、自身の置かれた場所で見える範囲で精いっぱい頑張っている感じ。事件は殺人の理由があまりにも悲しくてばかばかしくてやりきれないものだった。美由紀の弁が今までで一番揮っていた。女学院での事件の傷もかなり癒えて、敦子や美弥子との出会いでしっかりと歩き出しそう。
0投稿日: 2020.11.18
powered by ブクログ2019(令和元)年発行新潮社の新潮文庫。途中までなかなか話が進んでいないな、と思っていたのですが、最後に来て一気に解決編へ。日数でいけば数日しかたっていないはず。読みやすくすっと入っていく。くどいといえばくどいんだろうが、さほどしつこくは感じなかったかな。
0投稿日: 2020.11.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
敦子、美由紀に加えて、美弥子も一緒になったチームは心強い。人間消失の問題で三作の中で一番ミステリっぽかった。ジェンダーの問題は森博嗣さんの『数奇にして模型』のオカマキャラ大御坊を思い出した。なんだろうこの人って奇異の目で見ていたけれどそれって本書にもあるように偏見なのだろうと今更ながらに思う。美由紀や美弥子が出てきた『絡新婦の理』『百器徒然袋―雨』はすっかり忘れているので、それらも含めてもう一度「百鬼夜行シリーズ」を最初から読み直したい。
0投稿日: 2020.11.03
powered by ブクログ3部作で最後に読んだがこの作品が一番読み易かった。 小難しい題材の説明が長々しくなかったのも要因か。 兎に角時間経過が遅い(笑)。 ずっと会話が続くからかもしれないが文章自体が非常に洗練されているから全く読んでて飽きない。 結末も予想し易いがそんなことなんてどうでも良い位文章に惹きこまれる。 気軽に読める京極作品。
0投稿日: 2020.10.21
powered by ブクログミステリの要素が強くかなり面白かったです。もうちょっと読みやすければ★四つでした。姑獲鳥の夏を読んだ時の、とっつきにくいがそれを超えた先にある真相解明体験の悦び、を思い出しました。本シリーズは短めなので読みやすいですね。
0投稿日: 2020.08.14
powered by ブクログお兄さん譲りの理性的な感じがたっぷりでした。 この時代だからこそのミステリーでした。 どの時代でも前時代的な人がいるものですね。
0投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログ京極夏彦先生は意外にも読むのは初だった。きっかけは、やはり最近のマイブーム、水木しげる先生の影響。 水木先生と親しくしていた方の一人。妖怪、怪奇モノと言えばこの方。 調べるとこちらは妖怪探偵シリーズ。記者の敦子と女学生の美由紀が何らかの妖怪の伝説にまつわる怪事件を解決していく推理モノ。 今回は高尾山が舞台となっていて、作中で天狗の伝説が語られる。 女性同士で愛し合う二人。そこから生まれてしまう悲劇が悲しかった…。 水木先生の漫画のように、様々な妖怪が出てくるのだろうか?小説でどうやって妖怪を表現するんだろう? と先入観なく読み始めたら、イメージと違い、どうやらファンタジー要素はないようだった。 ちょっと古い言葉使いや難しい言い回しに最初抵抗があったけど、途中から慣れてくる。 しかし、こちらはシリーズの最新と言うことを知った。。順番間違えたなぁ。 鬼と河童も読んでみよう。
0投稿日: 2020.07.07
powered by ブクログ久々の百鬼夜行シリーズ。 今昔百鬼拾遺 鬼、河童、天狗の3作が、 3ヵ月連続でそれぞれ異なる出版社で発売されました。 いずれも中禅寺敦子と「絡新婦の理」に登場する呉美由紀がペアで解決する物語となってます。 1作1話の長編ですが、百鬼夜行本体と比べると短く、内容もポップ? なので、気軽に読めます。 一応、鬼・河童・天狗の順で読んだ方がいいでしょう。
0投稿日: 2020.06.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まあ、ーーなのだが。 いや、ーーーなのだけど。 というような独白がちと多すぎて気になる。 読み進むのに時間がかかってしまった。 青木くんたちおなじみメンバーが出るのが嬉しい。最後の数ページのおじいさんは私があの場にいたら足払いしてた。
0投稿日: 2020.06.14
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今昔百鬼拾遺の三部作の第三部である。このシリーズは京極堂の妹、中善寺敦子と呉美由紀が主役だ。前作の『河童』は、京極作品らしい河童への蘊蓄が多く語られていたが、『天狗』ではいわゆる妖怪変化としての天狗そのものへの言及は少ない。 むしろ、武家社会に根差す男尊女卑社会への女性の側からの反論やLGBTに関する議論までの言及が語られる。時折、天狗も顔を出すが、特に型破りなお嬢様の篠村美弥子と青春真っ盛りな呉美由紀の議論は、その論が戦わされた場所の異色さも相俟って、暑苦しいほどである。敦子も含め、少しばかり理屈っぽい彼女らの語りが、事件解決への伏線ともなっている。 昭和、戦後まもなくという時代背景。これもまた、物語のバックグラウンドとして重要なのではないだろうか。平成、令和の世では、事件捜査も科学的な手法になっていて、本作の世界観で事件を解決に導くことはできまい。そもそも現代では、この犯罪を起こすことも事実上不可能であるように思える。 だが、本作品で扱われるテーマ――武家、男尊女卑、家父長制、「家」、LGBTは、時代とともにその濃淡は変化しているであろうが、決して消滅してはいない。その意味で、本作は、妖怪ミステリーのつもりで読み始めたものが、実は社会派ミステリーであった、というような印象がある。 戦後まもない時代に、うら若き女性がこのようなテーマで議論するのは、大変だったに違いない。現代と比べれば、「多様性」などというものは社会的地位などほとんど与えられていなかった時代だ。いわゆる「アブノーマル」に分類されてしまい、あるものは社会的落伍者の烙印を捺され、あるものは狂人扱いをされ、いずれにせよまともな「人」としては扱ってもらえぬ時代だったであろう。したがって、戦後という時代背景の中でこのテーマに挑んだ作者を喝采したい。 おそらく『河童』を評価する者は本作の評価を下げるように思えるし、逆もまた然りである。それは京極作品に「何を」期待するのかによって変化するのだろう。そして、私は本作品がとても好きである。
4投稿日: 2020.05.07
powered by ブクログ安定の京極ミステリー 安心して読めます。 想像力なんですよね…詰まるところ。 自分が誰かに愛されたり愛しいと思う人がいるならば、自分でない誰かにも愛する人やその人を愛しいと思う人がいると気がつくだけで…否…それこそ綺麗事か。 そんな冷静さや理性を欠いた感情の先、自分可愛さに盲目となった行く末にあるもの。 それは誰かの愛する人や、自分の愛する人もを傷付けてしまうこともあるということ。 美由紀や美弥子が命がけで探った謎も真相も、ご本人登場で呆気なく幕を閉じてしまった…。 なんと^^; 今年の13冊目 2020.5.1
8投稿日: 2020.05.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スピンオフの三発目。 これまでの2作品と同じく、テーマの妖怪の知名度に比べ、事件の規模や謎が控えめ。 読みながら、何となく正解にたどり着いてしまったことも、読後の感動を薄れさせてしまった。 犯人の動機とトリックが稚拙で、物足りない。それでも良いのか?その辺も天狗なのだろう。
0投稿日: 2020.04.27
powered by ブクログ2020年、13冊目は、連続刊行の『百鬼夜行』シリーズの3冊目。 代議士の娘、篠村美弥子と、女学生、呉美由紀は、高尾山のおとし穴の中にいた。二人は、美弥子の友人で失踪中の是枝美智栄の独自捜索中に、そのおとし穴に落ちてしまったのだ。後に分かることだが、そのおとし穴は、首吊り自殺の現場の真下にあった。失踪中の美智栄の衣服を纏って、群馬県の山中で発見された別の遺体。更なる失踪者。二人を救い出した中禅寺敦子、美由紀、美弥子は二つの遺体、二人の失踪の謎を追う。 この『百鬼夜行』シリーズのフォーマットは、中禅寺敦子と呉美由紀の凸凹バディー物。といってもそんなに軽い感じはない。本家、京極堂シリーズを未読の自分でも(映画化作品、コミック化作品は幾つか知ってるが)、それなりに楽しめた。 細かいトコは置いておいて、今回は当たらずしも遠からずな予測のトコに着地した感あり(犯人と一部のトリックは想定通り)。 京極堂シリーズのファンの方々がどぅ思うかは別にして、『百鬼夜行』シリーズ三冊読んで、この位の分量のモノが自分には合ってるのかな(?)という印象。 ★★★★☆評価、『百鬼夜行』シリーズ、三冊、個人的な好みは、『河童』>『天狗』>『鬼』の順かな?『河童』と『天狗』は微妙に入れ代わる可能性を含んで……。
0投稿日: 2020.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今回も美由紀が事件に巻き込まれる話でした。 今回登場した美弥子さんがとても素敵です。 事件は暗く腹立たしいものですが、敦子を含め3人の女性たちが解決していくストーリーは面白かったです。
0投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログ久しぶりの京極さん。 今昔百鬼拾遺シリーズ「鬼」「河童」「天狗」の3部作のうち、いきなり3作目から読んだわけですが。 久しぶりのせいか、他のシリーズより読みやすくサクサク進んだ印象。 過去作品の中禅寺敦子、呉美由紀のペアで事件の謎に迫る。 京極さんの描く登場人物たちはキャラが際立っていて面白いなぁ。 事件解決がメインながらも、このお話の題材にもなっているLGBTについての解釈や、人の厭な面を余すことなく正論を以てぶちまける登場人物達の長台詞。 そうそう、と頷きつつも、我が身をちゃんと振り返りたくなる、そんなリアルな台詞がいい。 敦子のラストの畳みかけ、かっこいよかったなー。
0投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
例によって、ミステリー小説の形を取った京極夏彦氏の評論、という印象が強い。 この冗長さこそが京極作品だ、と言えば、まあそうなのだが、長年読んでいると時に苦痛に感じられることもある。 いや、京極堂シリーズのように妖怪を中心とするカテゴリーに的を絞った、まさに衒学と称すべき知識の披瀝に関しては充分興味を持って喰いつけるのだから、苦痛を感じるのは長年読み続けて飽いてきたのでが原因ではなく、その中身が著者の主観の言語化であるからか。 そして、LGBTというここ数年で認知度が高まったテーマを戦後間もない時代設定の舞台に載せてくるというのは、もちろん著者自身も重々それと認識した上でのチャレンジではあると思うが、バッチリ奏功しているとはとても感じられない。 登場人物たちの語りには、どこまでいってもズレや違和のようなものが付きまとい、また今で言うところの「マウント」を「乗っかる」と換言して多用しているあたりには思わず苦笑も。 ミステリーとしてはもちろん成立はしているが、骨子はエドガー・アラン・ポーの時代から変わらぬ古典の踏襲であり、この半分の紙幅、短編作品に近いヴォリュームでも充分面白みは表現できただろう。
0投稿日: 2020.02.21
powered by ブクログ鬼、河童と続く今回は天狗。女性たちの失踪と死にどんな結末がつけられるのか読んでいる途中では気付けなかった。こういう結果になったのは非常に残念としか言えないけれど美由紀ちゃんの啖呵で何かはきっと救われたと思う。しかしこうやって美由紀ちゃんの視点で見ると敦子さんはだいぶ兄に似ているなぁ。今作はそれを特に感じた。
0投稿日: 2020.02.08
powered by ブクログ悲しい悲しい悲しい話だった。男女という分け隔て、LGBT(?)という分け隔て・・・この世界はちょっと前だけど、今も何も変わっていない。女というだけで医科大受験でバイアスがかけられ、同性が好きってドラマが話題になる・・何も変わっていないのだ。でも、変わらないからって何もしなくていいことにはならない。流れに呑まれていればいいことにはならない。作者の意気込みが登場人物によって語られていた。それにしても理不尽極まりない話だった。娘を大切に想うなら、殺された娘を大切に想う相手がいるということに想像が及ばない。想像力が欠けているのだ。美由紀の最後の啖呵が素晴らしい。いつでも真っ直ぐ前を向いている。今回は美弥子さんのもの言いも好きだった。
0投稿日: 2020.01.27
powered by ブクログ美祢子の友人の敏子が高尾山に登ったきり失踪。後日、美祢子の登山服を着た女性の遺体が別の山で見つかる不可解な事件を敦子と美由紀が挑む。敏子は高尾山の天狗に拐われたのか?しかし、敏子と思われる首吊り死体が高尾山で見つかる。更にもう一人高尾山に登った女性の捜索願が出され、この女性の被服が見つかる。この辺りで服と不明者の数の不符合に訳がわからなくなる。事件の真相はそれ程複雑なものではなかったが、最後の数十ページの美由紀の啖呵に鬼気迫るものを感じスッキリした。男尊女卑と家名を重んじる悲しい時代背景が浮き彫り。
0投稿日: 2020.01.20
powered by ブクログこのシリーズに飽きてるのかな? 登場人物が地味。 ミステリーと呼べないほど奇抜な仕掛け。 やっぱり京極堂シリーズには敵わないな。
0投稿日: 2020.01.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
美由紀&敦子に美弥子様も加わったので嬉々として読んでたら「女を憎む男たち」的な胸糞ミソジニストと犯行のえげつなさにげんなりしたが、恒例の美由紀の啖呵で回復した。 消える人、入れ替わる衣服の謎、なんかは面白かったんだけどなあ…… 敦子と美弥子の違いとそれを分析する美由紀。
4投稿日: 2020.01.14
powered by ブクログ「鬼」や「河童」に比べて「天狗」の蘊蓄が少ないような気が…妖怪好きには少し寂しい(-.-)でも美由紀ちゃんの啖呵は三作中、一番好き(スッキリ?)!\(^o^)/金ちゃんが登場しているのも嬉しい♪
0投稿日: 2020.01.05
powered by ブクログたった一つの「不思議な事」に、五重にも六重にも重ね着をして、更に「これでもか」とラッピングまで.......。が、これこそが「京極ワールド」なのだ、と。
0投稿日: 2019.12.31
powered by ブクログ百鬼夜行シリーズスピンオフのシリーズ第三弾。三部作のラスト。だんだん呉美由紀さんが好きになってきました。砕けすぎず堅苦しくなりすぎないという京極作品では案外稀有な存在かもしれない。 今作は、筋金入りのお嬢様である篠村美弥子さんのキャラクターがなかなかに破天荒なものがありちょっと楽しく読めました。これまでの2作は少し辛気臭くもあったようにかんじてしまったもので、彼女の存在がなかなかに話を明るく彩ってくれてるように思えて。 しかしその反面、お話自体・・というか真相は暗め。胸糞悪めといってもいいかもしれない。まあこの時代にLGBT的な理解はさすがに難しいのはあるかもしれませんけどね。そこまでは求めないにしても、無関係に殺されてって話はどうもね・・・最終的にそれなりに報いは受けてはいるんですが、もっとこう爽快感のある勧善懲悪でも・・・難しいか。
2投稿日: 2019.12.24
powered by ブクログ京極堂シリーズ 中禅寺敦子スピンオフ第三弾 前二作と同様、相変わらず拝み屋も名探偵も出てこない。そして前二作同様、女子高生の呉美由紀から敦子が相談を持ち掛けられて関わっていく。 しかし、前二作よりも少しだけ京極堂シリーズ本編に近い印象を受けた。それは、本編ほどではないにしろ、前二作よりも事件が複雑に絡み合っているため。 お嬢様の篠村美弥子の友人が失踪、どうやら高尾山に乗っぼったらしいが、その後の消息が不明。別の山で別人の腐乱死体が発見される。篠村美弥子が言う「この人が来ている服は私が友人にあげたもの」。 また、同性愛者の女性が高尾山中で首つり自殺をしているところが発見され、そのパートナーも失踪している。これらの別々と考えられる事件が複雑に絡み合う。関係性があるのかないのか、、、まぁあるのだが。 そして前二作に比較して、違う点がもう一つ。敦子の探偵力。前二作にもまして敦子らしく理論的に、そして誠実に推理を進めるが、クライマックスは「やっぱり京極堂の妹君だ」と思い出させられる語り口。 京極堂シリーズが好きで敦子も好きな私にとっては満足の一冊。
3投稿日: 2019.11.29
powered by ブクログ今更知ったんだけど、表紙が三作とも今田美桜なんだってね 全部仮面しててわかんねぇよ(笑) 今昔百鬼拾遺シリーズ3作目 そして一区切り? ってか、榎木津のやつみたいに中編3作で一冊でもよかったんじゃね? まぁ、そうしたら講談社から出てたんだろうから意味ないか 今回は天狗 傲慢な人の例えで使われるのと、人さらいという特性から それはそれとして、再登場キャラが再び 美弥子さんと金ちゃん 榎木津のあれは面白かったなぁ 果心居士と偽って京極堂が出てきて、金ちゃんも含めてのてんやわんやをやって最後は美弥子さんが締めるというね あと、あの話で榎木津が赤ちゃんを「愛ごいなぁ」と乱暴にあやすシーンは未だにツボ で、今回のお話 美弥子さんとか敦子さんの考えって、現代だからこそある程度受け入れられているけど、昔はどうだったんだろうね? 確かに正論だし、今はそんな流れができてはいるかな でも、本気で自分の孫を殺そうとする人とかいたんだろうか? まぁ、現代でも受け入れられない親はいるけどね~ そしてやはり謎を解くのは敦子さんで、キレて収める美由紀カッコイイ 今回の事件「守りなさいよ」というセリフに全てが集約されているなぁ 何から守るかは色々だけどね
2投稿日: 2019.11.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「普通」の生き方とは何か。 傲慢な人間に鉄槌を下す強さと、古い価値観との決別。 女性陣は一貫して毅然とした態度を貫いていて、テーマ性の強い作品だったなぁと思う。 登場人物の口を借りて溜まった鬱憤を晴らすようにも感じた。 敦子の正しさ、私は好きです。
2投稿日: 2019.11.07
powered by ブクログ今昔シリーズで一番哀しい話、と感じた。 最近とみに女性差別問題(女性蔑視問題?女性搾取問題?)を気にしているので、余計に哀しく感じてしまったのかも。 「絡新婦の理」でも思ったけれど、女性問題をここまで丁寧に書ける男性作家は他にいないんじゃないだろうか‥。 京極夏彦はリベラルよなあ‥。 そういう講演とかやって欲しいなあ‥。 今回は美弥子さんが出てきてくれて、嬉し楽しでした。 そして美由紀が野次馬になっている(笑)
0投稿日: 2019.11.03
powered by ブクログ久しぶりの京極堂。 デビューしてしばらくは新刊の発行が待ちきれなかった。最近は決して良い読者とは言えない。それでも、京極堂らしさは本書でも伺えたが、やっぱり、榎木津、京極堂本人の登場が無いと少し寂しい。 相変わらず個性的なキャラは登場してはいるのだが。謎解きそのものは結構切れ味もあったが、動機になる部分がうーむという感じ。
6投稿日: 2019.10.20
powered by ブクログしごくまっとうな美由紀のセリフが、現代にも通用してしまうところに暗澹たる気分になる。とはいえ、美由紀と美弥子の生き様はすがすがしく、好もしい。
0投稿日: 2019.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「普通なんてない」っていう美由紀のつぶやき?がとても、心に刺さった。 と思ったら「普通が知りたい」とか「普通です」とか言ってて、まあでも最後まで読むとそれがテーマだった。誰かにとっての普通がすべての人にとっても普通とは限らない。 途中から天狗がどこかへ行ってしまって、ただただ酷い、という感想しか浮かばなくなってしまった。 美由紀の言葉も今回ばかりは空を切ったかんじだけれど、きっとそういう話なのだろう。平行線を辿るしかない話。読んでる方は歯痒いし、読後感は全くよくないけど…
1投稿日: 2019.10.17
powered by ブクログ今昔百鬼拾遺シリーズの3部作、読了いたしました。 そして僕が読んだ京極夏彦先生の作品としても3作目。 このシリーズの中ではこの『天狗』が一番好きですね。 本作品の主人公も記者の中善寺敦子と女学生の呉美由紀のコンビ。そこにプラスしてスーパーお嬢様の篠村美弥子が絡みます。 でも、今回は美由紀の活躍が多かったかな。特に本作品では、美由紀のセリフにいろいろと感じるところがありました。 今回の事件は複数の若い女性の失踪事件。 そしてこの失踪にはLGBTに対するが差別がテーマになっています。 京極先生はこの終戦直後を舞台としているこの時代小説の中で『LGBT』問題を痛烈に批判しています。 この現代になって『LGBT』に対する偏見もだいぶ減ってきていると思いますが、本作品で描かれる時代は終戦直後。同性愛者等に対する偏見はかなりひどいものがあったということは予想できます。 本作品に登場するスーパーお嬢様・篠村美弥子さんは女性蔑視や同性愛者蔑視が当たり前だった時代の中で『LGBT』や女性の社会進出に超肯定的な考え方の持ち主です。 当時、こんなに革新的な考えを持っている女性はなかなかいなかったのではないかと思うのですが(今だったらごく普通の考えです)、本作品の中で彼女は、現代の女性を代表したかのような意見を繰り広げてくれます。 結構過激なお嬢様の意見に対して、それを聞いている呉美由紀の受け答えが非常に大人で、その美由紀の答えに対して素直に納得する美弥子さんの対応に非常に感心しました。この二人の言動は僕も見習いたいと思いましたね。 そんな二人のやりとりを少し引用します。 ○美由紀 『聞いている分には間違っていないようですけど ―と、云うより、うなずけるところばっかりではあるんですけど、まあ反対意見もあるでしょうし、立場に依っては違う考え方も出来るんでしょうから、私のような世間の狭い勉強不足の小娘には即座に判断できません』 ○美弥子 『わたしは、今のところ自分の考えが間違っているとは思っていません。思っていないからこそこうやって口にしています。でも何処かしら間違っているかもしれないし、全部間違っているかもしれません。指摘されて納得出来たなら、即座に考えを改めますわ。ですから、わたくしのお喋りをお聞きになって、一時的に納得したからと云って、妄信してしまうような態度はいけませんし、解らないから否定すると云うのもいけません。一家言持っていないなら、美由紀さんのように答えることが正解なのだと思いますわ』 美由紀のように「分からない」ことは「分からない」とはっきりと主張する。そして、その答えに対して素直に納得する美弥子。うん。素晴らしい。 実際、僕らの会話ってこういう風に素直にやりとりをできることって少ないと思います。 大人になればなるほど「分からないこと」があっても知ったかぶりをしたり、よく分からないのに同調したり、逆に否定したりすることも多いですし、また「分からない」という答えに対して、理不尽に怒り出したり、相手を見下したりすることも多々あると思います。 今、僕たちが直面している「紛争」とか「争い」って、元をただすと、いずれもこういう対応ができていないから起こるのではないでしょうか。 例えば「言った、言わない」だとか「嘘をついた」だとか「あいつも俺に賛同していたはずだ」とか、こういうたぐいの話って結構、後で大事になって大もめになったりしますよね。 よくよく考えてみると、こういう紛争の原因って、やっぱり、相手に自分のことを素直に伝えていないところから始まっていると思います。 この美由紀のように、まあ、彼女は15歳の女学生ですから、素直に「知らない」と言うことが出来るのかもしれないですが、大人だって知らないことは多々あるはずなのです。 それなのに大人になると、プライドが邪魔するのか、恥ずかしいという気持ちからなのか、「知らない」と言いづらくなってくるのは確かだと思います。 ただ、そこは逆に大人の対応として美由紀のように「勉強不足で分かりかねますので、即座に判断できません」と勇気を持って言うことも大事なのではないでしょか。 確かに、こういうセリフって年齢が上がるにつれ、あるいは立場が上がるにつれ口に出すのが難しいセリフではあります。 しかしながら、知ったかぶりをして判断を誤ったり、変に同調して後々大変なことになるリスクを考えれば、拙速な判断をしないということが大事だったりします。 かなり脱線してしまいましたが、本書は内容的にも、会話のセンス的にも非常に考えさせられることの多い一冊でした。 本当に、ここに出てくる時代錯誤のクズ野郎には頭にきましたが、いつものように美由紀の最後の啖呵を聞いて少し溜飲を下げることができました。 京極先生のシリーズを初めて読みましたが、得るところが数多くありました。今後も京極先生の本をチェックしていきたいと思います。
24投稿日: 2019.10.07
powered by ブクログ失踪ものが読みたくてこちら手にとりました。 京極先生の御本を読むのはこれが初めてでしたが、読みやすい文章で読み終わるのもあっという間。 美由紀、最後の啖呵を切るところ以外目立たなくてこのキャラあまりいらない気が、、あと80ページ近くも穴での会話文はちと読んでて辛い。場面転換などの変化が欲しかったです。お嬢様の蘊蓄と意見を延々と聞いてるだけなので面白みがない。 偉そうにすみません。
0投稿日: 2019.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まー結局、このシリーズって、散々敦子に思考実験させた挙げ句、最後の最後に小娘がしゃしゃって来てブチキレる、ってのがお約束なのね。面白かったけど、もういいです。京極堂シリーズをヨロシク。
0投稿日: 2019.10.05
powered by ブクログこのシリーズは、戦後10年も経たない東京が舞台なのですが、扱っているのはLGBTやジェンダーなど、現代的なテーマです。 当時はまだまだ、男尊女卑や封建的な風潮が強かったでしょうし、そういった意味では登場人物の言動に少なからず違和感はありますが、娯楽小説なのですからそういったことは抜きにして、事件を解決するのが女性たちという点では痛快です。 中禅寺敦子ではなく兄の秋彦であれば、もっと天狗伝説に因んだ複雑怪奇なお話になったんでしょうが、そこンところがちょっと残念かも。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
1投稿日: 2019.09.25
powered by ブクログ昭和と言って居るけれども、扱っているテーマや考え方は根底にあるのは今この世の中で正に直面して、考えさせられる内容だった。敦子の考え方は個人的には凄く共感できるし、頷けるものだったけど、実際昭和の時代にあってどうだったかと思うと、今以上に難しいんだろうな。
1投稿日: 2019.09.18
powered by ブクログなんだか涙が出てきてしまった。のは、やはり私が女だからでしょうか。 性差別を中心に差別がテーマとなっている作品です。 舞台となっている時代から言っても先進的な女性たちが主人公で、とても痛快ではあります。 シリーズの他の作品も含め、恐ろしいのは紛れもなくヒトですね。 とてもステキなコンビ、今回はトリオでしたが、シリーズが続いてくれることを期待します。
3投稿日: 2019.09.01
powered by ブクログ昭和29年8月、是枝美智栄は天狗伝説の残る高尾山中で消息を絶った。約2か月後、遠く離れた群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服を身にまとっていた。この謎に、旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い――。科学雑誌『稀譚月報』記者・中禅寺敦子、代議士の娘にして筋金入りのお嬢様=篠村美弥子、そして、これまで幾つかの事件に関わってきた女学生・呉美由紀が、女性たちの失踪と死の謎に挑む。
0投稿日: 2019.09.01
powered by ブクログこの本もあっという間に読み終わったけれど実に楽しむこと ができた。天狗談義はちょっと弱い気もするけれど、今回の 中心は妖怪ではなく、いつの時代も男は愚かで女の掌の上で 踊らされている、いや、踊らされている「べき」存在だと いうことか。少なくとも私は惚れた女に逆らおうなんて 思ったことありません。そんな恐ろしいこと(笑)。 あと蛇足だけれど、呉美由紀・中禅寺敦子・篠村美弥子の 三人組、何となくスタートレックの三人のようだな、と。 ま、単純に三人組でキャラが立っているというだけが共通 しているのかも知れないが。
1投稿日: 2019.08.29
powered by ブクログ「今昔百鬼拾遺」第三作目。 今回はジェンダー論など、多様性について考えさせられるテーマでした。 天津家の前時代的な頑固ジジイとクズ親父にはムカつきましたが、美弥子さんやお約束・美由紀の啖呵でコテンパンにされていたので、溜飲が下がりました。 個人的に“青木推し”なので、青木さんが登場してくれて嬉しかったです。
3投稿日: 2019.08.24
powered by ブクログ昭和29年8月。 女学院の女子学生、呉美由紀15歳が探偵社で出会い友人となった代議士の一人娘でお嬢様の篠村美弥子20歳。 美弥子の友人の是枝美智栄が剣岳で2カ月前に行方不明になったという。美知恵は裏表のない天真爛漫な性格だったという。 地元では天狗による神隠しがささやかれていたが、美由紀と記者の中禅寺敦子、美弥子らは何らかの理由で、誘拐されたのではないかと推理を始める。 そして、山での失踪者は一人、二人、と増え合計四人の若い女性が失踪した。 そのうち天津敏子22歳は自殺をしており、父親が遺体の身元確認をしている。 又、天津敏子と同性の恋人関係にあった葛城コウは2か月後に迦葉山で白骨死体となって発見。 小学校教師の22歳の秋葉登代も2カ月前から行方不明になっている。 二つの死体と、二人の行方不明者。果たして行方不明者は天狗にさらわれたのか。 美由紀らのやりきれない怒りを生んだ、事件の真相とは。 このお話は勘の良い方なら話の中程でおおよその謎は解けたと思います。 美由紀のこのシリーズ定番となった、最後の啖呵にわずかな救いがありました。
18投稿日: 2019.08.17
powered by ブクログ勧善懲悪、一刀両断、後味スッキリ。恒例となった美由紀の最後の啖呵が気持ちいい。まぁ、物語としては本当に考えさせられる内容。差別は今の世もはびこっているし、敦子の言うように心の中まではわからない。でも彼女達のようにフラットな目で物事を判断しながら生きていきたいと思う。
2投稿日: 2019.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今回の三社横断刊行の中では一番面白かった。 一番胸糞悪くなる話でもあったけど。 美弥子と美由紀のコンビがなんだかいい感じ。 多様性についてが深く関わってたけど、昭和の時代にここまで考えがしっかりしてた人たちっていたのかな…。 ここ何年かでそういう面はやっと少しずつ改善されてきてるという感じがするので、昔はそれこそあの男たちのように考えている人が多かったのかもしれないし、今でも結構いると思う。 それでもこうやっていろんなところで多様性について考える場面が増えれば少しずつでも良くなっていけるのかもなぁと考えながら読んでた。 ミステリとしてももちろん面白かった。 あとは青木、鳥口、益田の出番もあったし軍隊時代の話も少し書かれてたので個人的には嬉しかった。
2投稿日: 2019.07.31
powered by ブクログ百鬼夜行シリーズのスピンオフ第3弾。 過去の登場人物が出ているようだが、どこの誰かがわからなかった。それはさておき、いつもながらの理屈っぽい登場人物が台詞の中で理屈を並べる展開。 結末は、スピンオフ3作の中では一番読めなかったので、意外な展開だったのかも。ただ、救いのないオチとも言える。
0投稿日: 2019.07.28
powered by ブクログ呉美由紀さんの真っすぐで真っ当な言動に、スカッとします。篠村美弥子の理屈っぽさは、京極堂の代わりか。そして中善寺敦子の事実を積み上げようとする態度。 この3人が一緒になると、強力だなぁ。 この本では、多様性の受容、尊重を繰り返し、手を替え品を替え話している。この話の時代は戦後であるが、そのテーマは現代に通じ、SNSなどにより同調圧力が強い現代を、強く警告しているように感じた。
1投稿日: 2019.07.28
powered by ブクログ久しぶりに京極堂読んだけど、めちゃくちゃ面白かった。ジェンダー論の教科書にした方がいい。 世の中に対するぼんやりした違和感を、こんな風に誰にでもわかる言葉で的確に説明できる人になりたい。 もし説明できなくても、「何かおかしい」という違和感を感じられる感性を大事にしたい。 「縦んば正しかったとしても 、正しければそれでいいなんてこともないですわ 。それを振り翳すことで傷付く人がいるのなら振り翳し方は考慮すべきです 。いいえ 、もう一度ことの正否を考え直してみるべきですわ 。思い込みや妄信盲従は 、あらゆる意味で公平さを欠く 、愚劣な態度でしかありませんもの 」 ともすれば弁護士は「法的には正しい」けれど、「何かおかしい」回答をしてしまう。 技能実習生問題のセシルマクビーしかり、パタハラのカネカしかり。 だからこそ、自分の中の「何かおかしい」というアラームを大事にしないといけない。 きっとその違和感の源泉は、人権感覚とかそういうところなんだろう。 本当は、その違和感を言語化して、人権問題であることを会社の人にもわかりやすい言葉できっちり伝えて説得しないといけない。そういうことができるようになりたい。
4投稿日: 2019.07.24
powered by ブクログこのシリーズの最終作を読み終えてしまいました。これでまた、いつ発行されるかわからない新作を何の当てもないまま待つ日々が続くのです。当てのない希望というのは、なんとも切ないものなのです。 閑話休題 この度の犯罪は、私にとっては、あまり得意ではないというか、読後感が良くない苦手な部類のものです。その分、終末の美由紀さんの演説に心打たれるというか、かなりスッキリしました。悲しかったけれども。 敦子さんは、姑獲鳥のころからこんなに理知的な感じだったかなぁ?とふと思いました。読者の立場としては姑獲鳥からずいぶん年月が経っているのですが、書物の中ではそうでもないのではないかと思い、しかし、まあ、あの人たちに囲まれていれば、それ相応に理論家にもなっていくのだろうな、と思った次第です。そうならなければ生きていけない環境を生きているのだろうな、と。 今回も2人の女性、そして新しく参加した一人の女性の魅力に「参ったなあ」と思いながら、「まあ、何もしなくても兄貴は怒りますからね」という敦子さんのセリフに「おぉ、怖い!」と思いながら、読み終えた次第です。 もっともっと読みたいのです。
3投稿日: 2019.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
時代設定は昭和29年だが、内容は全く今風。 15歳の女子学生の啖呵で3部作の最後が見事に決まった。 以前にも京極堂シリーズで、信じられないほど愚かな人々が登場する話があったなぁと思い出し笑いをしてしまった。容赦のなさがものすごい…
1投稿日: 2019.07.21
powered by ブクログ日本推理作家協会新会長 京極夏彦さん「百鬼夜行」 スピンオフ敦子&美由紀シリーズ3社横断3カ月連続刊行。第3弾は新潮社より天狗高尾山で行方不明になったご令嬢のお友達は天狗攫いにあったのか謎に迫ります。 鬼→河童→天狗なんとか読了できました。
2投稿日: 2019.07.19
powered by ブクログ前時代的な男。前に向かって行く女。という単純な対比ではないのだけれど、つい言いたくなる。謎解きは複雑だけれど、美由紀の啖呵は気持ちがよくてすっとする。そうだそうだと、私の口も動いている (^^♪
6投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログ百鬼夜行シリーズ最新作、3社横断3ヶ月連続刊行の最終巻。これは一番遣り切れない話ながら、美弥子、美由紀と敦子の語りで胸がスゥっとする。ともかく、今回の犯人がクズすぎて、そのクズっぷりが余すところなく描かれていて、さらに女子高生に完膚なきまでにペシャンコにされるところが素晴らしい。ただ、こういうクズは昭和どころか令和になった今でもそれなりに生息しているところが、憤怒がリアルに共感できる。非常におもしろかった。
3投稿日: 2019.07.16
powered by ブクログ今昔百鬼拾遺第3弾の天狗読み終わりました。 例によって最初は何が何だかわからない話から始まるのですが、今回はその何が何だかがずいぶん長かった。 一人の女性が行方不明になった。でも実は二人だった。しかし実は三人だったんだけど、ほんとは四人だった。 え?何?どうなってるの? しかし毎回美由紀ちゃんの啖呵は見事なもんです。 面白かった!
1投稿日: 2019.07.15
powered by ブクログ篠村美弥子再登場。(オカマの金ちゃんもちょっとだけ登場) 美弥子の友人、是枝美智栄が高尾山で行方不明になり、二ヶ月後に発見された別の女性の遺体が彼女の衣服をまとっていた。 ひょんなことから美由紀は美弥子とともに高尾山に行くことになり… 今の時代にも残る”偏見”について考えさせられる話。相変わらず美由紀ちゃんのラストの啖呵は気持ちよい。 美弥子さんは好きなキャラなので再登場したのは嬉しいし、キャラがかぶっているわけでもないのだが、この作品で敦子、美由紀、美弥子の三人は多すぎと感じた。
2投稿日: 2019.07.15
powered by ブクログたしかに天狗の話だわ。何だか胸につまされるのは、気をつけないとこんな天狗になりかねない歳になってるからやろなぁ
0投稿日: 2019.07.13
powered by ブクログでけえツラしやがって、いや、でけえのは鼻か、天狗の野郎め、天狗になりゃがって。 京極夏彦、どうもお嬢様の会話なんざ書くのが好きなようだな。それで全寮お嬢様校にお通い召されている呉美由紀を登場させる。美由紀は社長の娘とはいえ、家はもともとは漁師、父が水産加工業を興したので社長になっただけだが、そこに本当のお嬢様、代議士の娘の篠村美弥子を配して、お嬢様会話が延々続く。このふたり、薔薇十字探偵社で出会って意気投合して、軽く遭難しているので会話が続くのだ。美弥子は榎木津礼二郎主人公の短編集のほうで、結婚式を榎木津に粉砕されたお嬢様だ。榎木津も京極堂も登場しないのが(たぶん)このシリーズのお約束だから、榎木津は留守なのだが。 美弥子の友人が高尾山で失踪する。神隠し、ではなく、天狗攫いである。そして同じ日に同性愛関係にあった女性が高尾山で自殺し、その相手が、2カ月ばかりして、高尾山と並んで天狗ゆかりの山として知られる群馬の迦葉山で死体で発見される。しかもその女性は美弥子の友人の服を着ていたのだ。 この謎を探るべく美由紀と美弥子は高尾山に行って、そこで陥穽(かんせい、ではなく、おとしあな、と読む)に落ちてしまうのだ。それが軽く遭難の意。ふたりの対話にフラッシュバックして上述の謎が語られていく。当然、美由紀の相談を受けて、敦子が調査にはいってくる。そしてふたりの会話では世の中の天狗になっている人たちへの批判が続いていくのだが、それが本書の犯罪の重要なモティーフになっているのだ。 今回も敦子の理知的な推理と美由紀の情にあふれた粉砕が事件を解決する。
3投稿日: 2019.07.11
powered by ブクログ今回はなんかもう「えぇ……」みたいな感想。話の要素でなく犯罪にかかわる事柄が。まぁなんていうか盛ってるだけで現代も変わらないもんな、日本の他者受け入れなさは。 あともうほっとんど人物を忘れている。金ちゃん全然といってもいいくらい覚えてない。読んだの15年前くらいか?そんな経ってないのか。はあ〜〜シリーズ読み返したいな〜〜
0投稿日: 2019.07.10
powered by ブクログ面白かったなぁ。 あの時代、老人のような考えの人は多かったのだろう。 今の時代に生まれててよかった。 美由紀の思わずといった演説がとても良かった。
1投稿日: 2019.07.09
powered by ブクログ今回も敦子と美由紀を中心に、さらに本編?の登場人物(益田、青木、鳥口など)を増やして話は展開。何より『鳴り釜』の篠村美弥子さん登場に胸躍らせました。話の内容的には、この時代よりは多少はマシになったとはいえ、未だ残る”偏見”について考えさせられるもの。でも恒例となった美由紀の啖呵が後味を少しだけスッキリさせてくれます。 これで三か月連続刊行の最後。毎月の楽しみがなくなる…。
1投稿日: 2019.07.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3ヵ月連続刊行の『今昔百鬼拾遺』シリーズの第3弾。「鬼」「河童」に続いて、最後は「天狗」。これまた日本人にはお馴染みだが…。 序盤から、呉美由紀と篠村美弥子は、高尾山で穴の中に落ちていた。どうしてそんな状況に。当然、昭和29年に緊急連絡手段などないわけで。その割には妙に落ち着き、冷静にここまでの経緯を振り返っている2人。 美弥子の友人である是枝美智栄が、高尾山で消息を絶ったことが発端だった。2ヵ月後、群馬県の山中で、美智栄の衣服を身に着けた女性の遺体が発見される。美由紀には関係ない話だが、なぜか美弥子と知り合い…。何この引きの強さ。 シリーズ作品のジレンマだが、どうして毎度事件に巻き込まれるのか。呉美由紀というキャラクターは、実は京極堂シリーズのある作品に登場しており、かなりきつい目に遭っていた。その彼女を3作連続で血生臭い事件に関わらせるか、おい。 謎がどんどん増えていくが、終盤に至ると、本作にはデリケートな背景があったことがわかってくる。具体的には明かせないが、現代でさえ理解されにくいケースだろう。ましてや、戦後間もない旧弊な時代であり、旧弊な家なのだから。 中禅寺敦子が語った真相は、あまりにも呆れるものだった。その気持ちがあるなら、違う方法はなかったのか。この時代だからこそ、こんな計画が実行に移せたのだが、これではあまりに浮かばれまいよ…。浮かばれる殺され方なんてないけども。 前作「河童」は、比較的コミカルな要素が多かっただけに、今回は重かったが、3ヵ月連続で新刊を読めたのは嬉しかった。おそらく誰の内にもいる「天狗」。鼻をもたげることがないよう、普段から言動には気をつけたいものである。
2投稿日: 2019.07.04
powered by ブクログん〜〜、京極ファンであり百鬼夜行シリーズはもちろん完読、今昔百鬼夜行拾遺3部作も出版されるや読んできたが…、今作はいただけない。なんなんだ?この殺人は。いかなる時代のいかなる阿呆であれ、こんな呆れた殺人を企てるのはありえない。結末が物語るように、救われる者がいるものか。不要な殺人を犯さず、単に逃がせばよいのだ。天狗なんてウンチクは語られるものの、ストーリーとなんら関係なし。この時代にLGBTを論じたならって発想はいいけど、犯行が荒唐無稽に過ぎる。
1投稿日: 2019.07.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高尾山で友人が行方不明になった篠原美弥子は薔薇十字探偵社に、彼女を探す依頼をしに出かけたのだが。 探偵の榎木は居らず、かつて彼に助けてもらった美由紀と出会う。 そんな縁から美弥子の友人探しを手伝うことになるのだが、高尾山で美弥子の友人の衣服を着用した死体が見つかり、また同じ日に山に登ったと思われる自殺した女性も見つかり。 そうから、二人は友人探しを始めるのだが。 天狗のたとえが面白いです。 今も言える、人間性の問題がいいなと。 そして、冒頭のガールズトークが面白い!
3投稿日: 2019.07.01
powered by ブクログ分厚いほうの百鬼夜行シリーズでは書かれない、明解にして痛快な印象のシリーズ3作であった。殺人事件が起き、おおきな理不尽が存在したり憤懣やる方ない内容だったりではもちろんあるのだが、きちんとじぶんの両足で立っている美由紀が頼もしい。さらに、本作ではあの榎さんが大暴れした某作品の人物が再び! 気分が上がらないはずはないし、京極堂たちがどこどこにいるという描写も「そ、それって!」と引き続き浮き立った。勘のいいひとならすぐに真相を見抜けるかもしれないが、大切なのはそこではない。330ページの美弥子の台詞に泣いた。
3投稿日: 2019.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3冊連続刊行の、3冊目。 鬼→河童ときて、最後が天狗。個人的に3冊の中でどれを推すかと訊かれると、河童かなぁ……という感じなのだが、ミステリとして読み応えがあったのは本書かな、という気もする(但し犯行動機とかトリックとか、そういう部分は予想がつきやすいとは思う)。 そして本作で再登場したある登場人物には驚いた。まさか彼女が再登場するとは思わなかった。これ、予想出来た人、いるんだろうか? それにしても京極作品の登場人物は誰も彼も、演説が好きだなw
0投稿日: 2019.06.26
