
総合評価
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powered by ブクログホッパーの絵には物語がある。 映写技師ヒーロー/ランズデール:ゆすり屋を人知れず始末。一推し。 音楽室/キング:クロゼットから不審な物音。 夜鷹/コナリー:探偵と監視対象の女
10投稿日: 2025.11.16
powered by ブクログおもしろいが、6/17殺人、4/17近親相姦なのは過剰にセンセーショナルでは。ミステリ作家多いからか。
0投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログ恥ずかしながら私自身は本書を読むまで作品と名前が一致していなかったのだけれど、米国では誰もが知る巨匠エドワード・ホッパー。 様々な作家の作品からなる『短編回廊』とは違って、一冊丸ごとエドワード・ホッパーの絵画から紡がれた物語はどこか懐かしく、登場人物とはこれまでもドラマや映画、小説などで出会っていたような不思議な既視感と絵そのものから漂う危うい気配にゾクゾクした。おもしろかった!
3投稿日: 2023.05.10
powered by ブクログ編集者ローレンス・ブロックが選んだエドワード・ホッパーの絵について、旧知の作家に短編を依頼。作品はどれも2016年に書かれている。 「夜鷹ナイトホークス」マイクル・コナリー シカゴ美術館にある「NIGHTHAWKS」(1942作)という絵についての「夜鷹ナイトホークス」という短編。ボッシュが出てくる。ここに出てくるボッシュは1人で少女を見張って、雰囲気がフィリップ・マーロウみたいだった。なかなかよかった。 シカゴ美術館にある「NIGHTHAWKS」の絵の前でしきりにメモをとる少女をボッシュは見張っている。絵の前にある長椅子の端に少女は座り、一方の端にボッシュが座ると、その間に引率された日本人高校生3人がすわる、などという場面がある。 少女に気づかれ、あなたはこの絵の中の誰? と問われ、一人奥を向いてる男かな、と答える。 シカゴの寒さに慣れていないボッシュ、少女、そして依頼人は少女の父であることなどが明かされる。 後半でボッシュの現在の立場が明かされ、私立探偵になってまだ日が浅く、ロス市警をやめてから1年にもなっていなかった、とある。 フランク・モーガンが「ララバイ」を演奏しているのを聴くと仕事がはかどる、というか所もあり、「ヒーローの作り方」で明かされた、マイクル・コナリーの言葉を思い出し、ああ、出て来たとうなずいた。 コナリーはボッシュ・シリーズ第1作を書いている途中で、この「ナイトホークス」の絵を知り、作品の最後にこの絵を登場させた、とある。 表紙は「HOTEL LOBY」1942 「その出来事の真実」リー・チャイルドが書く。 「ROOM IN NEW YORK]1932作 では スティーブン・キングが「THE MUSIC ROOM」を書く。 これはキングらしい、残酷ホラー。 部屋の一室で男は新聞を読み、女はピアノに手をあてている。奥には別な部屋に通じるドアがみえる絵。このドアの奥からドスンという音が聞こえてくるのだ。 2019.6.17第1刷 図書館
3投稿日: 2022.01.25
powered by ブクログエドワード・ホッパーの絵をテーマにしたアンソロジー。著者によって作風が全く異なるが、ミステリ多めの17篇。 〝キャロラインの話〟、〝海辺の部屋〟、〝夜のオフィスで〟が好み。 ボッシュシリーズのマイクル・コナリー、ジェフリー・ディーヴァーやスティーブン・キングの短篇を読めたのもミステリ好きとしては嬉しい。
6投稿日: 2022.01.06
powered by ブクログエドワード・ホッパーという一人の画家が残した17の作品に対して別々の作家が絵から着想を得た話を展開する。作家による作風というのが現れるのがなかなか面白い。映写技師ヒーローが話としては面白かった。
0投稿日: 2021.12.22
powered by ブクログ1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。 アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー、スティーブン・キングなどの有名な作家が短編を寄せている。 エドワード・ホッパーという画家は知らなかったが、とても独特なタッチの絵を描く作家だ。アメリカでは名の知れた画家なのだろう。 また、絵を題材に物語をつくるという試みは成功している。思いもよらない物語を寄せている作家も多い。
14投稿日: 2021.09.24
powered by ブクログ読まないと絵との関連がわからない「アダムズ牧師とクジラ」(クレイグ・ファーガソン)がよかった。あと「夜鷹」(マイクル・コナリー)は流石にこなれている…
1投稿日: 2021.08.19
powered by ブクログ本書はエドワード・ホッパーの 絵画から着想を得た物語を集めた短編集です。 ローレンス・ブロック氏の呼びかけで、 本人を含め17人の作家が原稿を寄せています。 観るものに物語を感じさせるホッパーの絵は、 この企画にぴったりですね。 というか、 ホッパーが数々の作品を残したからこそ、 この企画が生まれたといっていいのではないでしょうか。 エドワード・ホッパーは、 20世紀のアメリカを代表する画家です。 アメリカの日常風景を独自の視点で切り取った絵は、 まるで映画のワンシーンのようです。 都会の街角やガソリンスタンドや劇場、 下町の裏窓や人影のない岬、田舎家などが、 単純化された構図で描かれています。 ホッパーは、 工業化が進んだ都市に出現した 孤独のリアリズムを追求したといわれていますが、 孤立感や喪失感、疎外感が、 独特の筆遣いと色彩、大胆な明暗で表現されています。 ノスタルジックな雰囲気と共に、 なんとなくハードボイルドな感じがして、 物語を紡ぎだすのに インスピレーションを得やすい画風だといえます。 それにしても17人の作家によって生み出された物語は、 内容も多彩で、読みごたえがありました。 それぞれの作家の着眼点にも興味を惹かれました。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
1投稿日: 2021.07.08
powered by ブクログそれぞれの作家の個性が存分に発揮されているので、読者側がホッパーの絵をどう見るかによって、意表をつかれたり、違和感があったり、またぴったりとハマったり感想が分かれるだろう。 個人的にはホッパー研究者の作品が(これは半ばノンフィクションかもしれないが)最も印象に残った。
0投稿日: 2021.05.29
powered by ブクログ20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。 そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。 18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ、コンゲーム、ラブロマンスと幅広いジャンルの作品が揃う。 翻訳陣もニクイ。スティーブン・キングには白石朗、マイケル・コナリーには古沢嘉道と、過去に夫々の作家の翻訳を手掛けた人を起用している。 贅沢な一冊。 個人的にはロス市警を退職し私立探偵となったハリー・ボッシュが登場するマイケル・コナリーの『夜鷹 ナイトホークス』が一押し。
3投稿日: 2021.03.07
powered by ブクログアメリカのホッパーの17枚の絵画にインスパイアされた物語を17人の作家が其々紡ぐと言うアンソロジー。一編が短いので、どこからでもすぐ読めるし、絵を見ながらどのように物語を膨らませるか、どんなストーリーになるか想像するのもワクワクする。一石三鳥くらいに楽しめた。
2投稿日: 2020.11.12
powered by ブクログ17枚の絵を題材に、そこからインスピレーションを得た物語が、やはり17人の作家たちによって生み出される…。何とも洒落たコンセプト。テーマとなる絵はすべて、エドワード・ホッパーの手によるもの。20世紀前半に活躍したアメリカの画家で、人物を都市や風景に溶け込ませる、といったタイプの作品が多い。それぞれの短編の冒頭、まずその「モトネタ」とも言うべき絵が提示される。「ここから、どんな物語が生まれるのだろう?」と、そのワクワクした心地を楽しめる。読み終わってからまた眺めると、初めに見たときとは違った感触でとらえることができ、これがまた楽しい。同時に、これまでこのホッパーという画家を知らなかったのだが、なんとも魅力的な絵の数々、これからシンプルに彼の作品に接してもみたい、なんて欲求も生まれた。 特にお勧めはランズデールという作家による『映写技師ヒーロー』。映画館で映写技師を務める若者をめぐる話で、映画館とその脇に立つ案内係を描いた絵から、よくこれほど物語をふくらませられたなと感服、話の内容も爽快で良かった。他にも有名どころのスティーヴン・キングの短編もあったりで、いろいろなテイストの話を楽しめる。それぞれの冒頭の絵を眺めて、気に入ったものの短編から読んでもいいかもしれない。 絵から生まれる「想像力」。人が持つこの豊かな力を感じずにはいられない、そんな作品集だ。
0投稿日: 2020.07.01
powered by ブクログ作家17人による「画家エドワード・ホッパーの作品を主題にした短編」アンソロジーなので、さまざまな文体・内容の作品がおさめられているのだが、全体として強烈に【アメリカ】を感じた。 行ったことのない国だが、長く暮らして骨を埋めるのはつらいかもしれないな・・ それぞれに印象的でしたが、なかでも『海辺の部屋』『夜のオフィスで』が好きです。どちらも本質として慈愛をかんじる美しい話でした。 好き、とは違うのですが『音楽室』はぎゅっとつまって短く、きりりと怖く、よかった。
2投稿日: 2020.02.28
powered by ブクログエドワード・ホッパーの絵画から生まれた十七の短編。 それぞれ全て異なる作家の手によって物語が編み出されており、短編好きも、絵画好きも、うまく取り込まれてしまう。 正直なところ、絵画を眺めているだけでも楽しい。 絵画は、18枚修められている。一枚は、読者が自分で話を作ってみてね、という序文の心憎さよ。 翻訳物なので、独特のクセがある。 決して変な日本語ではないし、つまらないわけでもない。 翻訳者も12人(贅沢!)いるので、この翻訳者だと合わない、といったことがあるわけでもないのだが、やはり「ニュアンス」「空気」という見えないものを取り入れることは、難しいのだろうか。 「キャロラインの話」はある老婦人の物語だ。 視点が変わっていくところ、また、老婦人の秘密がポイントだ。 老婦人の心の中にあったしこりは解消されただろうか。また新たなしこりを生んだだろうか。 願わくば、ハッピーエンドに、と思うが。 家族の問題は近しいだけに問題も起こりやすいことも、必ずしも皆が幸せにはならないだろうという、ざらついた余韻の残る物語であった。 「映写技師ヒーロー」 映写室にいる、少し引っ込み思案な男性の物語。 いかにもアメリカらしい展開だ。 小さな映画館にみかじめ料を求めてやってきた男たちから映画館と、経営者と、受付嬢を守るため、映写技師は立ち上がる。 でも、その「誰かのため」は表に出ることなく、消える。 そしてまた日常に戻る。 アメリカらしい解決方法だが、アメリカンヒーローらしからぬヒーロー。 いや、スーパーマンも普段は冴えない、んじゃなかったっけ。 だとすれば古典的なヒーローがここにいる、のかもしれない。
2投稿日: 2020.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一枚の絵画から、著名な作家たちが物語(短編)を作っていく手法。 時間がなくて、スティーブンキングのしか読めなかった。 でも、キングはやっぱり長編が好きかも。 時間がある時にじっくり読みたい本。
0投稿日: 2020.02.13
powered by ブクログアメリカの書評で話題だったので気になっていましたが、和訳が出たので早速読みました。これを手に取るのはやっぱりみんなホッパー付きの人だと思うのだけれど、私もその一人で、で、読んでいる中で、お、と思うタイミングでホーッパー作品が出てくるので読んでて心地よかったです。いろんな作家さんの短編小説が入っていて、初めて知る人もいて、それも良いです。ただちょっとこじつけじゃないの?と思ってしまう組み合わせもありましたが、それもまあ楽しみかと。なによりこういう本を企画し実行した編集さんがすごい。
0投稿日: 2020.02.03
powered by ブクログエドワードエドワード・ホッパーの絵を題材にした短編集。 絵と物語を楽しめる。 「オートマットの秋」「牧師のコレクション」「音楽室」が面白かった。
3投稿日: 2020.01.26
powered by ブクログエドワード・ホッパーの絵をもとに 17人の作家の17つの短編。 序文でローレンス・ブロックも言っているけど、本当にバラエティ豊かだ。 色白で、表情が虚ろにも見える人びと。 (そのせいなのかちょっと死体と犯罪が多い) スウェーデンの映画監督、ロイ・アンダーソンの作品にでてくる人みたい。
0投稿日: 2020.01.18
powered by ブクログローレンス・ブロック、粋な企画カマすなぁ!いずれも面白かったけど、ジョー・R・ランズデールが久々に楽しめたのが嬉しかった!
0投稿日: 2019.12.02
powered by ブクログ米国を代表する名画家、エドワード・ホッパー(1882‐1967)。作家ローレンス・ブロックは、ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っていること」を強く示唆していると語り、ホッパーの絵から物語を紡ぐこの短編集を考えついた。(e-honより)
0投稿日: 2019.11.05
powered by ブクログ米国の画家エドワード・ホッパーの絵にインスパイアされた掌編集。様々な作家が感じたホッパーの絵。どれも古き良き(?)米国という感じ。
0投稿日: 2019.10.11
powered by ブクログエドワード・ホッパーという画家の絵から、17人の作家たちがそれぞれの物語を紡いでいく、いっぷう変わった趣向の短編集。 文章に合わせた絵ではなく、一場面を切り取った絵から背景にある物語を想像するというのは、なかなか興味深い。皆それぞれ個性的で、そこまで想像の世界を広げていくのかと驚く。 知っているのはキングとキャロルオーツくらいだったが、大御所キングの作品は絵そのままという感じでいちばん凡庸だった。 自分ならこの絵からどんな物語を作るだろうと、読む前に考えるのも楽しかった。
0投稿日: 2019.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
エドワード・ホッパーの絵画を基に、17人の作家が想像を膨らませたアンソロジー。編者はローレンス・ブロック。海外小説通の方ならご存知なのかもしれないが、ぼくはスティーヴン・キングとローレンス・ブロックしか知らなかった。好きな作品も、どうだろうと思う作品もあったが、嫌いな作品はなかった。アンソロジーでは稀有なことだと思う。そして一緒に収録された絵画も素晴らしかったが、これを観て1本の小説を書き上げてしまう作家たちの才能に、ただただ敬服した。
0投稿日: 2019.08.11
powered by ブクログエドワード・ホッパーという画家がいる。現代アメリカの具象絵画を代表する作家で、いかにもアメリカらしい大都会の一室や田舎の建物を明度差のある色彩で描きあげた作品群には、昼間の明るい陽光の中にあってさえ、深い孤独が感じられる。アメリカに行ったことがないので、本物を目にしたことはないが、アンドリュー・ワイエスと同じくらい好きなので、ミュージアム・ショップでカレンダーを買って部屋の壁にかけている。 深夜のダイナーでカウンターに座るまばらな客を描いた「ナイトホークス」に限らず、ホッパーの画には、その背後に何らかの物語を感じさせられるものが多い。作家のローレンス・ブロックもそう考えた一人だ。彼は、これはと思う何人かの作家に自分のアイデアを持ちかけた。それに呼応した作家の顔ぶれがすごい。好き嫌いは別として、御大スティーヴン・キングをはじめとする総勢十七人。その中にはジョイス・キャロル・オーツまでいる豪華さ。 ブロックも序文で書いているように「テーマ型アンソロジーというのはどうしても似通った物語の集合体になる。だから、一気に読まずに一編ずつ時間を空けて読むことが勧められる」ものだが、驚いたことに、ここには様々なジャンルの物語が収められている。だから、一篇終わるたびに、また別の本を手にしているような新鮮な感動が待っているのだ。もっとも、すぐ読み終わってしまうのが惜しくて、結局は時間をおいて読んだのだが。 ひとつの物語につき一枚のホッパーの画が最初のページを飾る趣向。以外に女性のヌードを描いた画が多いのに驚いた。いわゆる名画のヌードとはちがって、ホッパーの画の中の女性は、神話的な存在でもニンフでもない。都会の孤独を一身に背負ったリアルな女性像である。そこから、物語を紡ごうと考えた作家が多いのも理解できる。しかし、個人的な好みからいうと、少し違和感がある。それで、何篇かを紹介しようと思うが、作品の選択が個人的な好みに偏ることをお断りしておく。 「海辺の部屋」の冒頭を飾るのは、紺碧というよりは幾分暗さを帯びた海の見える掃き出し窓が開き、正面の壁に斜めに陽が指している無人の部屋を描いた絵だ。作家はニコラス・クリストファー。アメリカに移住してきたバスク人の血を引くカルメンは、母の死で祖母の屋敷を相続した。そこには、ソロモン・ファビウスという料理人が、母の代から邸の専属シェフとして住み込みで雇われていた。 祖母が書いた『海辺の部屋』のバスク語版と英語版の二冊を抱えてやってきたカルメンは、そこで不思議な経験をする。なんと、その家では部屋が増えていくのだ。初めは一年に一度の頻度で増えていたものが、次第にそれがひと月に一度、週に一度の割合になる。戸惑うカルメンとちがい、ファビウスは、家の奥にある自分の部屋に迷うことなくたどり着けるのも謎だ。バスク人はアトランティス文明の末裔であるという伝説を隠し味に利かした、アンソロジーの中では異色の海洋幻想譚に舌鼓を打った。 「夜鷹」(ナイトホークス)は、刑事ハリー・ボッシュ・シリーズで有名なマイクル・コナリーが選んだ。画から物語を作るのではなく、ハリー・ボッシュを探偵役とするミステリの中にホッパー描く「ナイトホークス」が登場する。シカゴの冬は寒い。監視対象者がその画の前で熱心にノートに何かを書いている。突然「あなたはだれ」と話しかけられる。観察眼の鋭い娘は作家志望だった。話を聞くうちにボッシュは考えを改める。短い中にもシリーズ物の探偵の人間性をきっちり生かしたストーリー展開はさすがだ。 正面入り口に低い角度で陽が指している、海岸段丘の上に建つ素朴な教会をわずかに見上げるような角度で描いた画は<South Truro Church>。「アダムズ牧師とクジラ」を書いたのはクレイグ・ファーガソン。八十歳をこえた長老派教会員牧師のジェファーソン・アダムズは末期癌だった。妻を亡くしてから頻繁に顔を出すようになった友人のビリーが仕入れてきた、ジャマイカ風にシガレット・ペーパーで巻いた細いマリファナ煙草をやるようになってしばらくたつ。もはやハイになることはないがそれは二人だけの儀式になっていた。 渚に打ち上げられて次第に腐敗してゆくタイセイヨウセミクジラの死骸を前に、実子ではなく養父母を喜ばせるために牧師職を継いだ、実は無神論者だというジェファーソンの死後を憂うビリー。彼はミイラのように痩せこけたジェファーソンを乗せ船をこぎ出す。そんな二人の前に巨大なクジラが現れる。クジラの眼に見つめられた二人は共にある決意を抱く。本当にアメリカ人は、プレスリーの双子の兄弟の話が好きなんだな、と実感される一篇。 開いた窓から見えるのは、肘掛椅子に腰を下ろし新聞を読む男と壁際に置かれたピアノを戯れに弾く女。その間には天井まで届く暑いドアがある。スティーヴン・キングは、これだけの材料からいかにもモダン・ホラーの巨匠らしい、淡々として怖いホラーを仕上げてみせる。ドアの向こうから「どすん」という音が聞こえてくる。それを嫌がる妻に対し、夫の方は新聞のマンガの話で気をそらせる。ディック・トレイシーだ。そのうち泣き声が混じる。夫は妻にピアノを弾くよう勧める。「音楽室」には何があるのだろう。 粒よりの佳作が目白押しのアンソロジー。人によって好みはちがうだろうが、誰でもお気に入りの作品が必ず入っている。エドワード・ホッパーを知らない読者は、きっとこれを機会にファンになるはずだ。「コッド岬の朝」という一枚の画には物語がついていない。高名な作家が書けなくて返してきたらしい。物語は「読者に書いてもらいましょう」と担当者は言う。あなたなら、どんな物語を書くだろう?
8投稿日: 2019.08.06
powered by ブクログコンセプトがいい、物語より本の装丁とかが好き。 ランズデールは良かった、読んだことある気もしたけど。
2投稿日: 2019.08.05
powered by ブクログ「短編画廊 絵から生まれた17の物語 (ハーパーコリンズ・フィクション)」 新ジャンルに遭遇。 エドワード・ホッパー(1882-1967)。 作家ローレンス・ブロックは、ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っていること」を強く示唆していると語り、ホッパーの絵から物語を紡ぐこの短編集を考えついた。 しかし、良く思いついたなぁ。それが率直な感想。ブロックの呼びかけに集まった面々の中にスティーヴン・キングが居るからと言う理由だけで読んだ私は、美術に全く詳しくない為、ホッパーが如何に偉大な画家だったなのか全く分からない。 各短編を読んでみて、よくここまで膨らませてストーリーを書けるなぁと思った。作家は0から話を考えることもあるから、ホッパーの絵が題材になる今回は多少は楽なのかも知れない。しかし、題材にするからには、ホッパーの絵の意図を汲み取ること、汲み取るまでにはいかなくとも、絵を見て感じなければ、きっと小説を書くことは出来ないし、きっと当て書きよりも難易度が高そうだ。更に、もしかしたら小説を読んだ熱狂的なホッパーファンが、やんや言ってくるかもしれないのだ。なんと面倒なことだろうか。 とは言え、「ガーリー・ショウ」を読むときっと熱狂的なホッパーファンも納得してくれるのではないか。序盤からすると暗めなストーリーと思いきや、最後のオチ。去り際には女性のキレを感じる。おぉ、ポーリーンよ!と思っちゃう。 「キャロラインの話」は、きっと良い話なんだろう、いや、違うのか?と思わせる。あれ?さくっとバレて意外な方向にいくと思いきや、もしかしたら違うかも?と思ってしまった。間違いなく良い終わりに行くはずなのになんでだろう。インパクト弱めだが、気になる短編。 「アダムズ牧師とクジラ」はユーモラスな締め。「音楽室」はキングらしいダークなストーリー。音楽は野蛮な野獣を抑えるって言う台詞がまあ何ともで、最後はローレンス・ブロックによる 「オートマットの秋」 。 どれもホッパーの絵からインスピレーションを受けて描かれていたとは思えない。ホッパーを知る人ならば、きっと楽しめるのだろう。知らない人でも、純粋な短編として楽しめる。
0投稿日: 2019.07.08
powered by ブクログ楽しめた! 知ってる作家も知らない作家も、1枚の絵から広げる想像力の半端なさをまざまざと見せつけられた思い。キング御大、ジョイス・キャロル・オーツ、ローレンス・ブロックなどはさすがの出来で、中でもジョー・R・ランズデールがダントツ。ウォーレン・ムーア、クリス・ネルスコットが発見だった。 しかしそれぞれヴァラエティに富みながらも、全体としてはダーク寄りの傾向なのは、そもそもエドワード・ホッパーの絵の中にある「孤独感」「空虚感」の為せる技だろう。 読む前、読みながら、読んだ後、何度もホッパーの絵を見返したことよ。
0投稿日: 2019.06.24
