
教養派知識人の運命 ──阿部次郎とその時代
竹内洋/筑摩書房
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総合評価
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powered by ブクログ倉田百三の『愛と認識との出発』とならんで、「大正教養主義」の代表的著作としてあげられる『三太郎の日記』の著者、阿部次郎の生涯とその時代を論じた評伝です。 阿部次郎と和辻哲郎との確執についてもかなり立ち入って論じられています。和辻門下の吉沢伝三郎に『和辻哲郎の面目』(平凡社ライブラリー)という名著がありますが、本書の終章は「次郎の面目」というタイトルになっており、阿部の三女である大平千枝子の著述を紹介しながら、阿部の立場から事件を見るとともに、『三太郎の日記』以降忘れ去られたかにも見える阿部の人物像にせまっています。 著者はこれまでも「教養」について社会学的な観点から考察をおこなった著作を多く刊行していますが、本書では阿部次郎という一人の人物の生涯をたどることで、「教養」の誕生とその変遷がヴィヴィッドにえがきだされているように思います。
0投稿日: 2019.01.20
