
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・後期の建武政権は初期の室町幕府の体制と酷似。後醍醐=尊氏の恩賞充行(創造)、雑訴決断所=直義の所領安堵・庶務沙汰(保全)。 ・1335年:中先代の乱。最後の執権北条高時の遺児時行が建武政権に対して信濃で挙兵。 ・1336年:後醍醐天皇が吉野に亡命。南北朝時代の始まり。 ・高氏は鎌倉幕府でいう内管領(譜代の家人(御内人)のトップ(内管領))のような存在。 ・1347年:直義に男児・如意王が誕生。これが観応の擾乱の大きな原因とする説も。 ・1349年:高師直による直義に対するクーデター。夢窓疎石による仲介。 直冬が西国に下向。直義は直冬を介して西国での自派の勢力拡大を図った。 ・1350年:直義が京都を出奔。これを観応の擾乱の始まりとみなす。 義詮が三条殿に就任。幕府統括者としての直義の権限を吸収。 ・1351年:直義が高氏を誅殺。 ・1352年:直義死去。幕府は東国を尊氏、西国を義詮が分割統治する体制に。メインは義詮の政権であり、尊氏は軍事的下向。創造-保全の役割分担の終焉。 ・観応の擾乱の原因は尊氏-師直の恩賞充行や守護職補任に漏れた武士が直義に接近しつつあったところ、直冬の処遇問題が複雑に絡んだところに求められる。 ・1356年、尊氏の恩賞充行権が義詮に移り、義詮が全権を掌握。
0投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログ「逃げ上手の若君」を読み、中先代の乱の後の時代を知りたいと思い手に取った新書。 予想以上のカオス。1日ごとに敵味方が入れ替わり何が何だか……という状況なのだが筆者の筆が確かに状況を把握させてくれる。 足利尊氏とその執事高師直一派と、尊氏の弟足利直義の一派に分かれて起こった室町時代初期の内乱である。本当に昨日の敵は今日の味方、今日の敵は明日の味方と状況が目まぐるしく変わる。 師直派が優勢になり直義が隠居したと思ったら直義の元に武将が集まって内乱が混沌としていく。 本文にあった通り「こんなにも優劣が変わる内乱はなかなかない」のだ。1年間のうちにあっという間に誰が優勢で誰が劣勢なのかが入れ替わる。巻末の年表がありがたかった。 何故この乱が起こるのかの理由は丁寧に解説されている通りわかる。忠義だけではなく恩賞と領地の安堵の話であると。よく理解できる。 わからないのは何故この乱を防げなかったのか。なんかどこかでこの同族での争いを防げるきっかけがあったように思えるんだけれども、実際どこにもないから短期間であらゆる情勢がめちゃめちゃになる内乱が起きたんだな。 最後が「この乱が起きたことで室町幕府は長期政権を保つことができた」「それだけ統治機構をまるっと変える内乱であった」という結びに少し救いを見た。 足利家関連、南北朝関連の文献を他にも読みたい。
3投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログ「観応の擾乱」とは南北朝時代にあった足利尊氏・直義の兄弟間にあった権力争いである。本書ではこれを多彩な一次資料を引用しながら簡潔にまとめられていて、とても読みやすかった。著者はこれまでにあった「足利尊氏は朝敵」という歴史観に異を唱えており、そこにも共感ができた。
0投稿日: 2024.02.02
powered by ブクログ権力をめぐる骨肉の争いのストーリーとして、「ゴッドファーザー」や「ゲームオブスローンズ」、「吾妻鏡」なんかと似てる。違うのは勝者が敗者を排除し権力を奪うことなく、敵味方主従問わず勝つ→許して復権→裏切るの繰り返しなところ。煮えきらないところがもどかしい。 個人的に三十年前の大河ドラマの印象が強く、陣内孝則や高嶋政伸、柄本明の顔を思い出しながら読んだ。
3投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ室町時代の初め、いわゆる南北朝時代に起こった、足利高氏とその弟足利直義による争いが観応の擾乱。一緒に腐った鎌倉幕府を倒して、新しい世の中を作る…はずが、なんで殺し合うような兄弟・家族喧嘩になってるの!?という中世日本史の謎の一つ。そんな観応の擾乱について詳しく解説した新書だ。 個人的に、「太平記」を見た後だったので、割りとすんなり入り込めたが、応仁の乱と並び、非常に複雑な話だと思うし、中公新書は専門性が高く、易しくはない。 もっと勉強して理解を深めたいと思いました。
0投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ教科書の説明からすれば、一行程度の出来事。 しかし、そのなかではめまぐるしく勢力が変わる二年間の大混乱。 やる気スイッチが入るのが遅い尊氏。 燃え尽き症候群と微妙なやる気、保守的な弟・直義。 逆にやる気に満ちた一部の周囲。優勢劣勢で流動化の限りを尽くす各将。 所領や官位を目当てにがんばったのに、それを保証してくれるハズの男は微妙なやる気と現状維持の塊。 そんな不穏な休戦期間に立ち上がるあっちの人やこっちの勢力。 常時殺意と殺気に満ちた南朝。 九州で暴れまわる嫌われっ子(理由不明)・直冬。 突然やる気スイッチの入る尊氏。 叔父とも父親とも仲良くできない義詮。 あまりに当たり前のことだが、歴史は人間によって作られる。 そして、現代社会の「退職理由」第一位は「人間関係」である。 今も昔も人間はあんまり変わらない。 室町時代だろうと、バサラ大名だろうと将軍だろうとそのあたりの面倒臭い人間関係、利害対立は存在していたし、そしてそれが命取りにもなる。 政治的な側面も当然あるが、この面倒過ぎる人々の動きというのもなかなかに面白い。…当人たちは大変だろうが。 あとひとつ面白かったのは、敵方に居た人でもわりと簡単に帰参できていることだろうか。 これが戦国時代なら首を跳ねられて終わり、お家も消し飛びそうだが…やり直しがきくというのは逆に新鮮。 地元にゆかりのある武将も、その許された一人だった。 道理で戦国時代の頭まで続いているわけだ、と思いながらも、地元での紹介では「足利氏に忠誠を尽くし、重んじられた」云々と書かれている。 まあ、直義も足利氏だけどさ…。「忠臣」「幕府の有力者」という印象を与える地元史跡の看板を思い出す。 「尊氏派には反抗したことあるのにね、さらに負けたし…」 となんともいえぬ気持ちになった。 しかし、よく生き抜いた、おらが町の守護大名。
0投稿日: 2023.10.16
powered by ブクログ日本史は詳しくないし、漢字も覚えづらいから読むのが大変だった。同じく中公新書の「応仁の乱」は泥沼すぎて途中から訳がわからなくなったが、こちらはなんとか流れを追うことができた。戦争の歴史は読んでいて面白いから、それなりに楽しめることができたと、思う。
0投稿日: 2022.09.24
powered by ブクログ室町初期に起きた観応の擾乱の解説する書籍。観応の擾乱は足利尊氏、直義、直冬、高師直らの対立によるものだが、対立軸が明確でなく、配下の武将もくっついたり離れたりでなかなか複雑でわかりにくい。観応の擾乱が何だったのか一言でいうことはできないが、訴訟、恩賞の制度を革新しつつ将軍に権限が集約する過程とのことで、なるほどと思った。
0投稿日: 2021.10.25
powered by ブクログ<目次> 第1章 初期室町幕府の体制 第2章 観応の擾乱への道 第3章 観応の擾乱第一幕 第4章 束の間の平和 第5章 観応の擾乱第二幕 第6章 新体制の胎動 終章 観応の擾乱とは何だったのか? <内容> 史料にもとづいた事実を淡々と並べ、そこに自分の解釈を挟み込む、従来型の歴史学者の本である。これを読むともともとわかりにくい「観応の擾乱」がわかりやすくなるわけではない。混沌はそのままだ。その理由は、足利尊氏にあるだろう。関わる武士たち(高師直にせよ、足利直冬にせよ)は、自分の領地獲得や名誉に固執するが、尊氏に振り回されていることは確かだ。そのことが確認できた。
0投稿日: 2021.09.01
powered by ブクログ足利尊氏・直義・直冬の兄弟父子の争いを、関わった人物たちの動機や行動の細かな解釈と室町幕府の統治機構の確立の沿革の叙述とを絡めて総合的に記述。寺社や家格の高い武士に依拠する直義と新興勢力を基盤とする高師直の対立という従来の視点を相対化し、プレーヤーたちの動機・動向をより複雑に、より立体的に描き出す一方で、終章では擾乱の原因を「尊氏―師直が行使する恩賞充行や守護職補任から漏れ、不満を抱いた武士たちが三条殿直義に接近しつつあるところに、足利直冬の処遇問題が複雑にからんで勃発したこと」(227頁)に求めている点で、従来の擾乱像を乗り越える新たな像を打ち出すことに成功している。また多くの一次史料から、尊氏や直義や師直の人柄をあらわすエピソードを適度に配置し、彼らの志向を浮き彫りにし、あわせて従来の人物評価を覆そうとしている伝記的側面と、訴訟の簡略化に代表される幕府の統治機構の整備という制度史的側面がうまく組み合わさっている点も好印象。
0投稿日: 2021.03.25
powered by ブクログ室町時代が分かりづらい時代と言われる所以が分かった気がします。 テーマは難解ですが、事件の顛末や、背景、定説と筆者の考えが詳細に記載されており面白かったです。
0投稿日: 2021.01.11
powered by ブクログ室町時代が混沌を極めていたのはなぜなのか。一つの考え方ができるような本であったと思う。 足利直義と執事・高師直との対立から尊氏と直義の対立へと変わる様。南朝を取り巻く様子など、高校で日本史を専攻したが、あまり室町時代の動乱期に興味をもてなかった私が、面白いと感じながら読むことができた。 ただ、様々な人が登場してくるので混乱してしまうと思われる。
0投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ本の感想(http://www.books-officehiguchi.com/?p=19183) 「鎌倉幕府を倒した足利尊氏は後醍醐天皇と対立し、後にこの対立は約半世紀近く続いた南北朝の動乱となった。 なぜ半世紀近く南北朝の動乱が続いたのか。最初は後醍醐天皇との対立、次は兄弟間の対立(足利尊氏と足利直義)、足利尊氏と家臣高師直との対立、楠木正成との対立など複雑な関係が背景にあるのかもしれない。 尊氏の死後、3代目の足利義満の代で南北朝の動乱を鎮め、磐石な室町幕府になった。 4代から7代将軍まで安定していたが、8代将軍足利義政の代になると、応仁の乱で再度室町幕府は衰退する。」 メディア掲載レビューほか 『応仁の乱』に続く歴史学のヒットは、30〜40代の若手研究者が支えている 〈観応(かんのう)の擾乱(じょうらん)〉とは、足利尊氏とその執事の高師直(こうのもろなお)、尊氏の弟で幕政を主導していた足利直義(ただよし)の対立によって起こった室町幕府の内部分裂のこと。いささかマイナーな歴史的トピックだが、著者はこれこそが初期室町幕府の制度・政策が確立されるにあたってもっとも重要な戦乱だったと述べる。最新の知見を駆使し、通説に丁寧な批判を加える内容は重厚。にもかかわらず、刊行から瞬く間にベストセラー入りを果たした。 「同じ中公新書の『応仁の乱』にヒットの下地を作ってもらえていた部分はやはりありますね。著者に企画を持ちかけたのは2015年の末頃でしたから、柳の下のどじょう扱いされると傷つきますが(笑)」(担当編集者の上林達也さん) 本書の著者や『応仁の乱』の呉座勇一さんもそうだが、今、30代・40代の歴史学の研究者は粒ぞろい。若い研究者はネットとの親和性も高く、優れた研究成果を精力的に共有、発信する。アカデミズムの盛り上がりが歴史好きのネット住民にも伝播し、出版業界も注目している状況だ。 「もともと歴史は読書好きのあいだで常に一定の需要のあるジャンルでしたが、今はヒット作の主戦場になりつつある感触ですね。とはいえ、きちんとした本を出そうと思えば、いきなり企画が増やせるものでもありません。これからも編集部としては、コツコツと良い企画をみなで探して行くつもりです」(上林さん) 評者:前田 久 (週刊文春 2017.09.14号掲載) 努力が報われる 観応の擾乱とは、室町時代の初期、幕府の内部で起きた武力抗争である。将軍足利尊氏とその弟である直義がぶつかった。 山川出版社の高校教科書『詳説日本史』では、次のように説明している。 「鎌倉幕府以来の法秩序を重んじる直義を支持する勢力と、尊氏の執事高師直を中心とする、武力による所領拡大を願う新興勢力との対立がやがて激しくなり、ここに相続問題もからんで、ついに1350(観応元)年に両派は武力対決に突入した」 尊氏派と直義派、さらに南朝勢力も加わり、まさに三つ巴の争いが1年半にわたって続いた。 亀田俊和著『観応の擾乱』はこの抗争についての本なのだが、なにゆえベストセラーに? だって、あまりにもマニアックな題材だもの。 書店の平台を見て納得した。同じく中公新書の『応仁の乱』(呉座勇一)と並べて売られている。『応仁の乱』は「地味すぎる大乱」などの自虐的コピーも効いて異例の大ヒットとなった。 2匹目のドジョウならぬ観応の擾乱は、知名度こそ応仁の乱に及ばないけれども、内乱の中身は面白い。というか、わかりやすい。 擾乱は第1幕と第2幕に分かれる。第1幕は直義派の圧勝。そこで尊氏は敗因を正確に分析したと著者は推測する。恩賞が十分でなかったから武士たちは直義派に寝返ったのだ、と。部下はちゃんと分け前をくれるボスについていく。この反省の元に戦った尊氏は第2幕に勝利。これを教訓に、室町幕府は「努力が報われる政権」を目指す。民進党の前原さんにオススメしたい。 評者:永江朗 (週刊朝日 掲載) 内容(「BOOK」データベースより) 観応の擾乱は、征夷大将軍・足利尊氏と、幕政を主導していた弟の直義との対立から起きた全国規模の内乱である。本書は、戦乱前夜の動きも踏まえて一三五〇年から五二年にかけての内乱を読み解く。一族、執事をも巻き込んだ争いは、日本の中世に何をもたらしたのか。その全貌を描き出す。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 亀田俊和 1973年、秋田県生まれ。97年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。2003年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程歴史文化学専攻(日本史学)研究指導認定退学。2006年、京都大学博士(文学)。現在、京都大学文学部非常勤講師。17年8月より国立台湾大学日本語文学系助理教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 目次 第1章 初期室町幕府の体制 第2章 観応の擾乱への道 第3章 観応の擾乱第一幕 第4章 束の間の平和 第5章 観応の擾乱第二幕 第6章 新体制の胎動 終章 観応の擾乱とは何だったのか?
0投稿日: 2020.10.17
powered by ブクログ目まぐるしく変化する情勢、登場人物の感情の揺れ……、ダイナミックな歴史の動きを感じながら読みました。院の先輩だからというわけではないですが、本当に面白かったです。
0投稿日: 2020.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
#兄弟喧嘩 に違いないが意味不明な戦いが #観応の擾乱 読書感想というか忘れないための備忘録 1.尊氏引籠りで直義が実権掌握 2.直義、師直を憎み暗殺試みる 3.逆襲を受け直義出家、南朝へ 4.直冬追討の合間に直義が逆襲 5.惨敗尊氏、謎の将軍大権保持 6.直義求心力失い、義詮の復讐 7.俺はまだ本気じゃない(尊氏) 8.スゲエよ将軍(南朝を味方に) 直義は本領安堵・恩賞を軽く見たのか、初期の武将たちは常に不満あるようで、初期のほゞ将軍Ⅱ直義は吝く、武将たちに利益をもたらさなかった。 直義監修の太平記だけ師直の微笑ましい悪行があるらしい=つまりほゞ善人執事だが、直義は攻撃し、反撃の師直は御所巻(尊氏邸取り巻き)で要求を通す。 落ち目の直義・直冬の義親子だったが、禁断の南朝勢力を使い尊氏に師直(滅亡)は敗北する。 尊氏「師直が負けた、俺は将軍、だから恩賞は俺が決める、師直殺した上杉死ね、政治は義詮がやる、直義補佐ね」認める直義 ※なぜだろう、読解力が無いのかな、キ〇ガイの言い分 子を亡くしやる気なし直義は、南朝に寝返った導誉・円心を討伐に行く尊氏親子の出陣を、自分抹殺と思い脱出。仇敵だった南朝から追討宣旨を執る導誉=尊氏 【恩賞の彼方へ】 義詮は所領安堵認定システムを簡素化した (´・ω・`)
0投稿日: 2020.02.21
powered by ブクログ日本史上最大の兄弟喧嘩といえば、室町幕府創始者の足利尊氏と弟、直義の対立だ。2人の争いは、北朝と南朝、尊氏の側近と2人の息子を巻き込み、3年間もの内戦「観応の擾乱」に発展する。 この内戦、敵味方が目まぐるしく移り変わり、とにかくややこしい。尊氏と直義がそれぞれ南朝に降伏したり、京都を占拠したり。尊氏の実子で直義の養子、足利直冬が反尊氏で挙兵したり。 なんで、こんなに複雑なことになってしまったのか。それは、主人公である足利尊氏の決められない性格にある。後醍醐天皇や直義、南朝と対立はするものの、心の底から憎めない。誰に対してもいい顔をして、みんなと仲良くしたい。 そんなリーダーとしての素質に欠ける尊氏に愛想を尽かしたのが、弟直義であり、腹心の高師直であり、息子の直冬や義詮だった。そして、ズルズルと内戦が拡大、長期化していく。 ズバリ観応の擾乱前に尊氏が直義を殺ってしまえば、人材不足の南朝もすぐに降伏しただろうし、息子義詮への権力譲渡もスムーズだっただろう。その一方、観応の擾乱を経験したからこそ、尊氏は40代にして、将軍として成長したことも事実。その結果、周囲は幕府に忠誠を誓い、後の3代目義満の時代に全盛期を迎える。 本書はなじみの薄い南北朝時代の武将が多く登場し、読んでいて混乱する。しかし、足利尊氏が「漢」となるための成長記として読んでみると、意外とすんなりと理解できる。
0投稿日: 2019.12.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
南北朝時代から室町時代初期までは、大半の人達に敬遠される時代なのだが、一番の理由はやはり、足利尊氏、直義兄弟という、それまで極めて仲が良かった二人が文字通りの「骨肉の争い」を起こしていまった観応の擾乱にある。 南北朝時代というが、実質的に南朝は観応の擾乱が起きるまでは楠木正成は無論のこと、新田義貞、北畠顕家ら名将達が次々と戦死して弱体化していた。 ところが、観応の擾乱という大乱のおかげで存続し、日本史屈指の混沌の時代が始まるわけだが、詳しくは本著を。 何故こうなってしまったのかが分かります。
1投稿日: 2019.06.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
足利尊氏と直義との争い、観応の擾乱を詳しく紹介している。 直義も尊氏も、兄弟で直接対峙しなければならないときは、積極的にイニシアティブを取らないので、権力の空白が生じ、流れを掴みきれない様子である。それが大量の追随者を生みながら、大量の裏切り者を生み出す結果となったように思う。 高師直の専門家でもある筆者の研究により、歌舞伎の師直像の淵源が見えたような気がする。太平記を読む良いステップになった。
0投稿日: 2019.02.19
powered by ブクログ戦には長けていたが政治に興味がなかった尊氏と、戦に弱く政治運営も今一つに見える弟・直義。そこに高師直が政治に加わることで対立が深まっていった感がある。擾乱自体は約2年だけの内乱だが、南北朝というややこしい時代背景に、生え抜きの家臣、寝返る家臣など、その時代を生き抜くには標準的であろう保身が、また読むものを混乱させる。尊氏も直義も、本気で相手を討ち取ろうとしていないように見え、それが擾乱という混乱をもたらした大きな要因に思えた。
0投稿日: 2019.02.11
powered by ブクログ歴史モノは文庫、新書ともに戦国時代以降の近世、近代しか読んでないに等しいから、中世以前はまことに暗い。よって観応などという元号は知る由もないが、「室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い」なるサブタイトルが気になった。戦は「役」「変」「乱」と表されるものの、「擾乱」とは何ぞや。地元史で騒擾事件ってのがあり、「擾」とはゴタゴタのお騒がせってな意味である。尊氏と直義の兄弟喧嘩、内輪もめってことか?読んでまさにその通り。尊氏、直冬の親子喧嘩もあって、南朝と北朝の分裂ドタバタ劇まで絡め、地味でせこい戦の割りにおもしろい。高師直(こうのもろなお)、すぐ忘れるんだろうが、執事にして不思議な実力者であった。
0投稿日: 2018.11.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
そもそも、「観応の擾乱」なんてこの書籍の宣伝で初めて知った単語だったのですが、こんなぐだぐだなところから権力が確立されていったのかという驚きというか、呆れと言うか。 そして、足利尊氏、本気を出すまでに時間かかりすぎ!! はっきり言って一度読んだくらいでは全然理解し切れていないので、また読み返さねば。 更に言うと、読了が登録されてなかった。こっちまでぐだぐだじゃねえか! (なので、コメントはアマゾンへの投稿をコピー)
0投稿日: 2018.10.14
powered by ブクログ実は応仁の乱関係と思い込んで読み始めた。気軽に読んでいたら思った以上に難解であまり理解できなかったのだが、良い人だと思い込んでいた後醍醐天皇の評価が変わってしまったのが一番の成果、かな。
0投稿日: 2018.09.23
powered by ブクログ擾乱という用語も特別な響きを感じさせる不思議な争いである。足利氏の内訌で正にシーソーゲームで、尊氏を裏切って直義に付く武将が続出。そしてまたその裏返し。後に発生する応仁の乱とも似ているようで、ドラスティックに展開していくところがオセロゲームのよう。幕府を実質的に動かしていた直義は北条氏の政治を模範として三条殿と呼ばれ、別に副将軍という役職でもなんでもない。分裂に乗じた南朝側の動きも何ともセコイ。最終的に尊氏が勝ち、直義が敗れる。二人とも実は兄弟で戦いたくなかったが、直義は実子を亡くし、尊氏は嫡子の義詮に譲りたかったその差は正に二人の気概にあった!直義の消極性が恩賞論功に出たため、直義に失望した武将が多かったとは、建武政府の過ちを繰り返しただけでは‼ 尊氏と義詮の対立もあった!この擾乱を通して尊氏が将軍としての役割リーダーシップを初めて発揮し、権力構造が確立していったという。室町時代を理解する上で興味深い1コマ。
0投稿日: 2018.07.31
powered by ブクログ室町幕府自体が歴史の授業の中でも影がうすいこともあり「観応の擾乱」自体知りませんでした。 室町幕府と言えばあまり成熟していないイメージでした。 がこの戦いの中で自己改革をしていたんだと初めて知ることができました。
0投稿日: 2018.06.11
powered by ブクログ足利尊氏と直義兄弟、尊氏の子・直冬や執事の高師直、そして南朝勢力までもを巻き込んだ激しい争いは、何をもたらしたのか?
0投稿日: 2018.05.30
powered by ブクログ頼朝像として有名なあの絵が実はこの人だという説がある足利直義。兄尊氏との兄弟喧嘩がこの「擾乱」。南北朝問題も含めてイメージしにくい室町幕府を知りたくて読んだ。
0投稿日: 2018.05.26
powered by ブクログ室町幕府の創成期に全国規模の内乱となった、 足利尊氏と直義の骨肉の争い。 観応の擾乱の全貌を描き出す。 足利一族の兄弟、親子、親族。執事である高師直の一族。 恩賞と領地が絡んで全国の諸将たちは離合集散し、 まさに昨日の友は今日の敵状態。 更に、北朝と南朝も巻き込む。 丁寧に分かり易い文章で書かれ、 適切に史料を提示していて、興味深く読めました。 特に関連年表、観応二年はすごいものです。 月並みな感想ですが、尊氏は運が良かったなぁと。 随分危ない場面も多く遭遇してます。 状況次第では、尊氏が死んでた可能性だってあるし、 室町時代自体無いとか、南朝が支配する世になるとか。 また、骨肉の争いとは言えど、攻め切れなかった直義と直冬。 一族の棟梁、嫡男という立場は、 親兄弟でも下克上な戦国時代とは 異なっていたのかなぁと思いました。 そして、あれほど激しく敵対してた 山名氏とか桃井氏とかが、滅亡していない。 敗者にも寛容だったのも、驚きでした。
0投稿日: 2018.05.23
powered by ブクログ再読、この明快さは名著の要件を備えている。 複雑な情勢をわかりやすく解説する良書。尊氏、直義、高師直など、従来の認識とは異なる人物像を納得感ある形で提供しています。鎌倉から室町時代は、結構血なまぐさい時代だったことを再認識しました。個人的には「応仁の乱」より面白かったです。おススメ。
0投稿日: 2018.03.30
powered by ブクログ観応の擾乱とは何だったのか。結果的には高師直と足利直義が失脚して、足利尊氏と義詮体制が確立されたわけだけど、そのプロセスは結構複雑である。武将たちが立場をコロコロと変えるので、正直名前をフォローしきれない。誰と誰がどの派閥で、誰が帰参して誰が裏切ったのか途中から分からなくなる。大河ドラマ向きではなさそう。
0投稿日: 2018.02.06
powered by ブクログ高校の日本史の教科書で名前だけは覚える「観応の擾乱」だが、これがこんなに短期間で形勢が極端に変動し、地滑り的な離合集散が続くダイナミックなものだとは知らなかった。また、観応の擾乱以降、「努力が報われる政治」が定着し、室町幕府の全盛期につながったという点で、観応の擾乱が初期室町幕府にとって重要な意義を有するものであるということを理解することができた。足利尊氏、足利直義、高師直などの人間像も興味深かった。
0投稿日: 2018.01.25
powered by ブクログ良書。 観応の擾乱というドマニアックな領域ながら、 非常に丁寧な説明でわかりやすい。 ただ、当然ながら人を選ぶ。 歴史系に興味のない方だと、おそらく最後まで読み切るのがかなり苦痛だと思われる。 ある程度歴史に興味・関心のある方ならかなりおすすめ。 個人的には初期室町幕府のありようと、 尊氏のあり方がかなり印象が変わったかな。 とても面白かった。
0投稿日: 2018.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった、のだが、知らない登場人物が多くて、今ひとつ入りこめない。しかし、今まで知らなかった尊氏、義詮、直義、師直を知ることができた。 次は義満を知りたい。
0投稿日: 2017.12.30
powered by ブクログ私にとってお城巡りの醍醐味は、その場所で時空を超えた感慨を味わうことです。650年以上前の時代、結果的には主流派となったタフな室町幕府初代将軍足利尊氏と二代義詮が反主流の尊氏の弟の直義、尊氏の庶子直冬の争いに、高師直や佐々木道誉などに南北の朝廷を交えた主導権争い。 この時代「あれ、あなたは尊氏派?」とか「今から南朝に参加ですか?」のオンパレードです。学生時代に私本太平記の文庫本を楽しく読んだ世代としては馴染みの世界です。特に兵庫県在住者として恥ずかしながら初めて登城した、尊氏が抜けなかった光明寺や、義詮が留まった石龕寺は要害の地にあり、当時を創造するのに絶好の地でした。また書写山や石清水八幡宮も今ではロープウェイやケーブルカーでお手軽ですが、籠城するには最適地であったと思いました。 それにしても京都を守護することは戦術的には愚作であることも改めて認識しました。 本書で充分に時空の旅を楽しめますが、一読では難しいところもありましたので、再読すべく太平記の横に並べて置きます。
0投稿日: 2017.12.02
powered by ブクログ大河ドラマ「太平記」を思い出しながら,読みました。 あまり知識のないところでしたが,非常にドラマティックな内容で,面白く読めました。 本当によく分からないのが,尊氏が実子の直冬を疎んじた理由です。 尊氏の直冬の扱いが酷いからといって,それを周囲の者が不満に思ったことが観応の擾乱の原因の一つというのも,いまいちピンときませんでした。 この点については,今後,研究が進んで,新たな知見が発表されることを期待したいです。
1投稿日: 2017.10.28
powered by ブクログ室町幕府初代将軍の足利尊氏と、その弟直義。足利家の執事として最初期の政治を仕切っていた高師直。鎌倉幕府から建武親政を得て室町幕府に至る最後の動乱(観応の擾乱)について書かれています。この勢力が勝ったり負けたりと激しく争うのですが、なぜこれほどまでにややこしい状態になってしまったのかが、紐解くように理解できます。尊氏の政治への執着の低さといってまとめてしまえるのですが、それも含めて一人の人間も、その都度で変化激しいというところが、リアルに現代の自分でも理解できるところがありました。 理非糺明は訴訟の基本として当然というのが常識ですが、それが鎌倉幕府の弱体化に絡んでいて、室町幕府では訴訟の簡素化という目的に向かって一方的に裁可する形になります。そしてそれを多くの人が喜んだというところ。今の日本の政治や会社の組織からみて、学ぶところがあるのではないかと感じました。
0投稿日: 2017.10.24
powered by ブクログ20171020読了。室町時代は今ひとつピンとこなかったけど、この本は室町幕府初期の情勢を丹念に解きほぐしてくれている。
0投稿日: 2017.10.21
powered by ブクログ「室町時代」というのはどうにも派手な戦国時代に飲み込まれてしまって日本史でも影が薄いが、著者も指摘するとおり200年も続いた長期政権であり、その成立背景は大変興味深い。 征夷大将軍足利尊氏という名前だけは有名で、「とにかく何かした」みたいに扱われがちなところ、しかしその時代を拡大していけば生き生きと立ち回る武士や天皇がそこにいるのである。 大枠だけは有名で細部がよくわからないというのは歴史研究ではよくあることで、しかも有名な小説になっているとあるエピソードが史実なのか創作なのか、史実として伝わっている創作なのか、そこを一つ一つ明らかにしていかなければならないわけで、いうなれば出来上がっている模型をいったん全部ばらして、一つ一つのパーツを確かめて、偽物を除外し、時には新しいパーツを採用して組み上げる途方もない作業である。 本書で取り上げられた感応の擾乱は1350年から52年というわずか2年程度の出来事であるが、勢力も趨勢も目まぐるしく入れ替わる。今でこそ居ながらにして全国どころか世界のニュースも調べられるご時勢だが、当時の人々はどうやって情勢を知っていたのだろうか。敵だと思って戦っていたら、実は味方の味方になっていた相手だったなんてことはなかったのだろうか。 情報だけでなく、実際に登場人物たちも京から九州、そして北陸を経由し関東なんて風に全国を移動する。敵を大群で囲んでいたかと思えばいつの間にか瓦解し逆に追い込まれていたりする。そういった目まぐるしい情勢の変化が、押さえつつも生き生きとした筆致で描かれる。著者も楽しんで書いていることが伝わってきて非常に好ましい。 以前に読んだ「奪われた『三種の神器』」(渡邊大門著)においては南北朝期の皇室の混乱が描かれていたが、本書はそれを幕府側から見ているということになろうか。本書だけでもとても面白いものだが、歴史というのは(あるいは知識全般に言えることとして)多面的に見ることでより面白くなるように思う。
1投稿日: 2017.10.20
powered by ブクログ歴史の授業でも、建武の新政から義満にさらっと飛ばされる時期なので、よく知らなかった。 本著は、平易な言葉で書いているので、とても分かりやすい。 そもそも直義と師直の不仲の原因と、尊氏が直冬を嫌ったのか、が少し分からない。
0投稿日: 2017.10.15
powered by ブクログ南北朝時代の本を多数執筆している研究者による入門書。充実した内容ながら平易な言葉で書かれ読みやすい。フォーカスしたわずか4年での離合集散が激し過ぎで、この人いま何派?と確認しながらの読書になったけれど、主要人物については最期に寸評があるので、ページを戻さず一気に読めばよかった。尊氏、師直の戦上手ぶり、道誉、桃井直常と仁木兄弟の生き様、著者の訴訟にかける時間論が印象に残る。唯一腑に落ちなかったのはきっかけとなった足利直義と高師直の対立原因。新資料が出るのを待つ他なさそうだけど、何れにせよ根本は尊氏の二人への依頼心だと思う。
0投稿日: 2017.09.23
powered by ブクログ「応仁の乱」の二番煎じかと誰しも思うだろうが、なかなかどうしてこちらの方がより知らなかった分、余計に面白かった。
0投稿日: 2017.09.19
powered by ブクログ日本の中世で(ひょっとしたら通史でも)2大訳の分からん争い(もうひとつは当然、応仁の乱)とも言うべき、「観応の擾乱(“じょうらん”と読みます)」の解説書。 あ、でも、とりあえず足利尊氏、直義、義詮、直冬、高師直あたりを押さえとけばいいので、応仁の乱よりシンプルかも? ようするに上記武将が同盟したり敵対したりを繰り返しながらふたつの朝廷とくっついたり離れたりに終始した一連の戦いのこと(文字にすると余計に分からんなw)。 その他の武将は自己都合全開で、どれかに味方していたので、マニアでなければスルーしとけばOKです。 今も派閥争いに明け暮れている人たちがあちこちにいるけど、人類は600年前から進歩してないっすね(諦観)。
1投稿日: 2017.09.18
powered by ブクログ”応仁の乱”がヒットしたからか? と勘ぐりたくなるような本書だが かなり面白い内容だった。 本書で幕府の争いの方はそれなりに分かったつもりだが 朝廷側がまだ分からん! とりあえず”南北朝研究の最前線”読み返そう・・・。
0投稿日: 2017.09.04
powered by ブクログ呉座勇一の「応仁の乱」が流行ったところへ、本書が出てきた。柳の下の二匹目のドジョウを狙ったのかと思ったが、企画のタイミングからすると、そうでもないらしい。いずれにせよ、これまであまり注目されてこなかった室町時代についての本・情報が増えるのは良いことだと思う。
0投稿日: 2017.08.31
powered by ブクログここ数年、日本史のなかでもっともダイナミックで興味深いのが「観応の擾乱」だ。何せ勝者と敗者がころころ入れ代わる。裏切りというか変節が当たり前の時代で、群雄の離合集散っぷりは凄まじい。 足利家の内訌と天皇家のそれが相俟った結果なんだろうけど、この戦いを経ることで室町幕府は鎌倉体制から脱却できたのだろう。 足利直冬の実力を評価していたのは新鮮だったな。笑っちゃったのは尊氏が直冬を嫌った理由。生理的なものとしか言いようがないという。つまり分からない訳だ。
0投稿日: 2017.08.23
powered by ブクログ最近、ふらっと書店に行って、新書のコーナーで話題の『応仁の乱』(呉座雄一著、中公新書)を見ていたら、その近くに、同じ室町時代でも、初代将軍足利尊氏とその弟の直義の争いを描いたこの『観応の擾乱』が目に飛び込んできました。その昔、大河ドラマ『太平記』を見て感動し、現代語訳を読んだ記憶があり、気になった(特に、実力がありながら敗れた直義の有り様)ので、こちらの方を購入し読むことにしました。 読み終えての感想は、「濃密」。普通、新書だと学術的なものでも比較的読みやすいのですが、鎌倉幕府の統治制度の多くを引き継ぎ参考にした室町幕府の説明(「創造」と「保全」で尊氏と直義の権限の説明をしたのは成程と思った)を詳細に行い、情勢の目まぐるしい変転と離合集散を克明に描き、且つ最後に総括を行う。分厚いハードカバーの学術書を読んだような気分がしました。しかし、尊氏と直義双方がこの争いに当初から消極的(直義は最後まで)だったのは意外でした。確かに、筆者の言う通り最後は気概の差で尊氏が勝利したと思うのですが、私は、二人が基本的に「理想」に重きを置くような人物で、戦闘「欲」の強そうな義詮や領地の所有「欲」に執着する各地の武将に引きずられるように争いが推移し、最終的に尊氏が自らが弟直義とともに築いた幕府に対する執着という「欲」に気づいた尊氏が本気になって決着した、という『欲の勝利』がその心理的本質だったのではないか、と思いました(もしかしたら、それが戦争そのもののにおける本質なのでしょうか?)。 ただやはり、それでも、制度や争いの推移、あと各武将の関係性など複雑でわかりにくかったのは事実です。『日本史年表・地図』(吉川弘文館)があると理解の手助けになるか、と思います。今度は、改めて『応仁の乱』に挑戦します。
0投稿日: 2017.08.23
powered by ブクログ「応仁の乱」がベストセラーになるなかで、さらに地味なテーマを投入してきた。さすがは中公。日本史好きは泣いて喜ぶね。 人気や知名度はいまいちだけど、将軍と弟の対決、父と子の確執、裏切りを次々と繰り返す家臣団、第三勢力としての南朝、奥州から九州まで広範な舞台……と話題には事欠かない。ここまで要素を詰め込んでおいて、どうして人気がないのか。 読んでて思うのが、兵を動かすこと戦闘を行うことの感覚が、現代とは全く違うんだな、ということ。簡単に挙兵して、簡単に寝返る。寝返っても再び帰順すればすぐ許される。交渉のちょっとした駆け引きくらいの感覚っぽい。幕府といえども絶対的権力・軍事力を持っているわけでなく諸勢力との関係で成り立っていることの表れだろうし、すぐに沸騰して喧嘩っ早いという中世日本人のメンタリティもあるだろう。
1投稿日: 2017.07.29
powered by ブクログ「応仁の乱」と同じく、何となく知ってるけど実は顛末をよく理解していないけど興味ありますトピックが、じつによく分かった。実は尊氏がここまで追い詰められていた事も、さらに直義直冬が見る間に「逆転負け」して行った流れも納得。
0投稿日: 2017.07.25
