
総合評価
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Audibleにて。 これも一つのタワマン文学と言えるのだろうか? 生活保護受給家庭で母親と妹の世話に忙殺され将来に希望を持てない女の子。 熾烈な中学受験を突破し、難関私立中学に入学したものの、ついていけずに転校した男の子。 まったく環境の異なる二人が、ぶつかり合いながらもお互いの悩みを理解し、尊重しあっていく様が心に沁みる。
0投稿日: 2025.09.23
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難関中学についていけずに退学した和真は、生活保護をもらっている樹希と人種差別を受け学力にも問題があるアベルと出会う。 和真はアベルに勉強を教えることになるが、アベルから先生と感謝されることによって、自分の存在価値を認められるようになる。樹希の生活保護に関しても、調べていくと、進学の道もあることがわかってくる。 冷たい目で見る大人たちが多い中、中学生が、このような状態に立ち向かって、可能性を見出す姿が、彼らの明るい未来を予感させてよかった。 生活保護の制度の詳細を知らないと何もできないで可能性をつぶしてしまうが、何かできないか他人の助けも借りながら、動いていくと道はないわけではないことがわかる。
0投稿日: 2025.08.23
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いい本だった。学生さんにたくさん読まれてほしい。 医療系の仕事をしたいと思う人すごい。自分を助けてくれたから恩返しをしたいと思う心がある人すごい。教育関係の仕事の人も! マスターいい人だ。 正論言い返してももうどうなってもいい人が相手だったら殺されかねない。じゃあ黙ってるしかないのかって嫌になるけど私にはその方法しかないね。ずっと黙って虐げられてるしかないね。 生活保護とかひとり親とか人種差別とか受験とか色んな問題があったけど希望がある終わり方で本当によかった。子どもは楽しい毎日を過ごしてほしい。
0投稿日: 2025.07.22
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登場人物皆それぞれ思い出したくないような過去を持っていてそれが自分以外に当てはまってしまってたから敵対視していたため、なかなかお互い理解し合えなくてもどかしかった。だけど、居場所が共通してたおかげでだんだんと互いのことを知ろうとしていた様子は今までの勘違いや偏見を見直すきっかけになっていたのでお互いのためになったなと思った。人それぞれ悩みがあってそれを当の本人ではない他者が理解するのは難しい。だけど問題を理解しようとする姿勢が一番大切なんだなと考えさせられる作品だった。読みやすさも込んで素晴らしい小説だと思った。
0投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログフォロワーさんの感想を読んで、読みたいと思った本。読んでいくうち、この話、知ってる!となったので、調べてみたら何のことはない、ドラマで見てた ! ヤングケアラー、生活保護受給家庭、受験の親ハラ?、外国人‥。一冊に社会問題を詰め込んでいる。が、二人の目線で書いているため、わかりやすかった。
15投稿日: 2025.07.03
powered by ブクログ子供向けの本ってなってるけど、だからこそ子供の心に刺さるような言葉で書かれてて響くものがある。様々な社会問題だったり、学校でのイジメとかも描かれてるから道徳の本とかに掲載したらいいと思う。
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ子ども向けやからこそわかりやすく書かれてて、子供のときに読みたかったな〜と。 山ノ内くんがどうなるのかきになる
0投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ第59回日本児童文学者協会賞 貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞 厳しい貧困生活の中にも希望が感じられる作品だった。 生活保護に限らず、複雑でわかりにくい制度は多すぎる。 知識がないことで損をするのが当たり前なことには納得がいかない。 ヤングケアラーや学べる環境がなく学力が低い人にはより不利なのに、頼りになるはずのケースワーカーは不勉強で多忙で真摯な対応をしてくれない。 憤りを感じる話だったけど、樹希が生活保護や支援を「施しではなく、社会からの投資」と知るところがとてもよかった。 また、中学生の和真が「生活保護は権利なんだ」と樹希に言ってあげたのにも胸が熱くなった。 和真の母親が生活保護について興味をもつ息子を肯定したところは泣けたけど、自分の息子が貧困の家庭の子と付き合うことは受け入れられないところがリアルで複雑な気持ちになった。 胸に刺さる、人にもお勧めしたい作品。 星4.5
29投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログオーディブルで聴読 同じ「生活保護」を題材とする小説であれば、中山七里の「護れなかった者たちへ」がダントツである。 この本は、子どもの目線から生活保護を見た作品で興味深かった。 虐待の連鎖、貧困の連鎖... 親から子へ連鎖されると言われるものは多くある。 「貧困」は誰のせいか? 親のせいである。 その責任を未来ある子どもたちが背負うべきではない。 義務教育の中でも、もっともっと社会福祉について早くから勉強させるべきだし、救いを求める人たちの窓口は日本は多いかもしれないが、必要な人に必要な情報は行き渡っているだろうか? その制度からこぼれ落ちる人がいる。もしそれが子どもならば、学校教育が間違っていると思う。 いじめや差別について学ぶ道徳も大切だし、LGBTについて理解を深めるのも大切だろう。 しかし、生きていく上で基本となる、日本の法律(自分のために、誰かのために)をなぜ知らない子どもがいるのか? 税金は何のためにあって、どのように使われ、どう社会を回し、自分を含める国民を支えていてくれるか。 これを知らないから、本書の中に出るような生活保護世帯を「ズルい」と揶揄する者がでる。 気付かされた本だった。 子どもたちの課題図書に、こういう本を挙げるべきだと強く思う。
2投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ超難関校で挫折した中学生の男の子と、ヤングケアラーの女の子の話。 昨年NHKでドラマ化し、そのドラマが最近とある賞を受賞したそうで、読んでみた。 とても、とてもよかった。静かで強い勇気をもらえた気がする。
6投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログうつ病の母と幼い妹と生活保護にてやりくりする中学生女子 有名中学に入学するも成績不振で公立に編入し勉強づけの中学生男子 正しい制度とはいつどこで得れる情報なのだろう と考えさせられた
2投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログむこう岸と言うタイトルと中身を読んで、「橋のない川」を思い出してしまった。あちらは部落差別のお話だが、あちら岸こちら岸は、深くて大きな川に阻まれていて、渡れる橋もない状態が、主人公たちの苦しすぎる生活を物語ってる気がする。 普通なら混じることもなさそうな、私立中学校からの転校生和真と、生活保護世帯で育つ樹希が、むこう岸とこちら岸の川を越えようとする、胸の熱くなるお話。もがいて、手足をばたつかせ、なんとか岸に辿り着こうとする、切ないお話。 生活保護法 第一章第二条 全ての国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。 主人公の一人、和真が、美しいと感じた法律の条項だ。 「制度というものは、知らなければ確実に損をするってことだね」これも和真の言葉だ。
0投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログ生きる力をもらえる本だと思う。 私も行政の仕事をしていたので、制度を利用するのは難しいし、知らないと損するというのは本当にそうだとわかる。 助けが必要な人にどう届けるか、どうやったら適切に助けを求めることができるのか、いろいろと考えさせられるのに、読みやすく続きが気になるとてもよい本だと思う。
1投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ2024/08/21 むこうぎしが何をさすのか。 読んでみて、想像したこともない人たちの立場の人が実際にいる、ってこと。 中学受験して私立に行った人には学習がわからず、教えてもらえもしない、学びたいのに学べない人のきもちはわからない。その逆も。 しかし、話すことで関わることでその人の立場も知るようになる。知ることで考えるようになる。知りもしない世界ではなくなる。 知ることの大切さを感じたように思う。
0投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログ今生活保護世帯にいる子供たちに読んでほしい。 その子たちが、早くまともな大人に触れられますようにと願う。 図書館で本がタダで借りられるということすら、知らなければ子供たちには届かない。 樹希の目標「今日のご飯を、国からお金をもらわなくても食べられる人になること」 自分の場合は「自分のお金で1日3食食べること」が目標だった。樹希ほどにはタフではなかったけれど、今はどうにかなってる。 どうかこの物語のように希望の持てる子供が増えますように。
3投稿日: 2024.05.20
powered by ブクログ初めて安田作品に触れた きっかけはNHKのドラマ 誰にでもむこう岸はあるような気がする ドラマも素晴らしかったが、小説も素晴らしかった
0投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ生活保護制度に対する現状や課題を問題提起してくれた本 二人の中学生男女(山之内和真と佐野端希)が軸となって、親からの学歴に対する過度な期待とプレッシャー、ヤングケアラー問題、家庭内暴力、外国人に対する日本人の偏見、社会的弱者への周囲の対応等とても考えさせられる内容でした。 感情移入したわけではありませんが、読んでいて自然と涙が出ました。 文中にもありましたが、様々な制度というものは非常に分かりにくく、それを必要としている人達が理解困難なものが多い。しかし損をしたくなかったら、ちゃんと理解して利用しないといけないという話は妙に腑に落ちました。 扱っている内容は少し重いものですが、非常に読みやすく一気読みさせられたのは、ひとえに筆者の表現力の高さがなせる技だと思います。 大満足の一冊でした。
1投稿日: 2024.05.14
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経済的には裕福な家庭ではあるが勉強を親から強要され家庭不和寸前の和真と、父親が不慮の事故で亡くなり母親も精神的な病気のため生活保護を受けながら幼い妹を抱えヤングケアラーと言う状況に追い込まれ未来に希望を持てなくなっている樹希。中学3年生の2人の邂逅が織りなす希望の物語。国や市が制定したものを知っている人がどれだけいるのか、実際自分が本当にその状況にならないとそういう制定された物があると言うこと自体知らないことが多いのではないか。多分にそういう実態を突きつけられたような物語でした。
1投稿日: 2024.05.11
powered by ブクログ久々の一気読み。ドラマ化されたと聞き面白そうだなとおもって図書館ですぐに借りた。 うまくいかない事だらけのなかに幸せがポツポツとひかりだす。幸せって、生きてるってなんだ?
1投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ児童文学ではあるが、生活保護やヤングケアラー、人種差別、毒親問題などをうまくまとめている。読後感は爽やか。 中高生に薦めたい本。
3投稿日: 2023.07.01
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一気に読んだ。ひりつくような現実に子供の頃からさらされて育った樹希には金持ちで私立中から転校してきた和真の甘ちゃんさが鼻につく。和真も、生活保護を受けている家庭の子という樹希に対して恐れや苦手意識があり、避けていた。しかし、お互いの事を少しづつ知るようになって、相手の事を理解しようとし始める。 生活保護というキーワードだけで中学生にはハードルが高い。大人だって知らない事だらけだ。 知ることで身を守ることが出来る。それが知れるだけでこの本のメッセージの半分は伝わっていると思う。生きるために必要な事をやるだけなんだよね。
6投稿日: 2023.06.25
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オビにある通りイッキ読み だいぶ心を動かされた 自分が登場人物のどの立ち位置にもなり得る ような読み方ができる 誰にとっても なくせない優越感とか優位性とか 人間社会で生きていく限りゼロにはできないような感情 社会のいろんな人の立場から見た風景 主人公が中学生であるところで まだ、希望を持ててよかった 法律の美しさを見る山之内がすばらしい 彼は法律家になるだろうと思いました (知らんけど)
1投稿日: 2023.06.22
powered by ブクログ『むこう岸』というタイトルに惹かれて手に取った本。 難関私立中で落ちこぼれ公立中に転向してきた和真と、生活保護を受けながら母と妹の三人で暮らす樹希が、出会うことからこの物語は始まる。 広くて深い川の向こう側とこちら側。 「貧しい生活レベルの人」「恵まれた家で育ってきたくせに」と反発する二人がどうなっていくのかとハラハラしながらページをめくった。 二人を繋げる「カフェ・居場所」があって良かったと思う。世話焼きなマスターがいて、先生と呼んでくれるアベルくんにも出会えた。樹希にとっても唯一安らげる居場所がここ。穏やかに時間が流れる空間にいると、人は落ち着いた気持ちになり心を開いていくように思う。 「生活保護家庭の子は、大学に行っちゃいけないの!」不条理な制度に納得がいかず自分で調べ始めた和真を応援したくなった。 「生活保護制度には例外や裏技がある、理解しづらい制度も知らなければ損をする、生活保護法は無差別平等」だと和真から教えて貰い、樹希は家族と将来の自分のために動き始める。 生活保護だけでなく、ヤングケアラー、いじめ、人種差別、格差などの問題を抱える本作だが、児童書なのでわかりやすい。光が見える終わり方にも好感が持てた。 「生活保護法 第一章 第二条『すべての国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる』」これを読んだとき、ぼくは人間を信じてもいい気がしたんだ。 和真の言葉が心に響いた。
9投稿日: 2023.04.07
powered by ブクログ生活保護、貧困、ヤングケアラー、現代の色々な問題を詰め込んだ児童文学。 生活保護を受けている側がなぜ、そういう状況になったのかもしっかりと描写されていて分かりやすい。 貧困のループって身近にいないと分からないし考えないですよね。 そういう人を見下してはいけない、いつも娘に言い聞かせています。 弱き人を助ける、主人公のかずまくんは立派です。 勉強が出来ることは素晴らしい、でも弱き人に手を差し伸べられるそんな人はもっと素晴らしいです。
0投稿日: 2023.03.08
powered by ブクログ生活保護を受けて暮らす樹希の家庭環境・苦悩を知り、生活保護についての見方が変わった。 こどもの力だけでは貧困生活から抜け出すことも大学に行く事も夢を抱くことも容易ではない。そんな不自由な生活の状況下でも、クラスメイトからは、「生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?みんなに養ってもらってるんだから、それくらいしないと不公平じゃん」と心無い言葉を浴びせられたりする。 生活レベル・学歴・容姿・出身地など似た者同士に対しては仲間意識を持ち、相反する者には敵対意識を持つ。そういう線引きを無意識に誰もがした事があると思う。心当たりのある人は、樹希と和真の言葉が心に刺ささったり、胸を締め付けたりすると思う。 特に印象に残った言葉は、 ・哀れんでいるものは、自分の放つ匂いに気づかない。哀れまれているのもだけが、その匂いに気づくのだ。 ・みんな、高い月謝の受験塾に通わせてもらって、夜の弁当なんか作ってもらって、塾が終わると車で迎えに来てもらって、合格してバンザイバンザイと喜ばれて、また私立中学の高い月謝を払ってもらえるんだろ?ーー中略ーーおもしろくないんだ。ものすごくお腹がすいている横で、美味しそうなパンをまずそうに食べてるようなやつらが。 当たり前と思っている事がそうではない事を改めて痛感させられた。全体を通してとても考えさせられる一冊だった。
10投稿日: 2022.12.02
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衝撃がもうね。 「生活保護受けてるやつは、生活保護って書いたTシャツ着ればいいんじゃね?」 それに「そうだね」と返し、自分の体操服に油性ペンで「生活保護」、背中側に「ありがとう」と書きなぐり着用する樹希。 フィクションだとわかってても心が抉られます。 樹希ほどインパクトのあるリアクションができる子はなかなかいないでしょうが、こういう言葉を簡単に吐いている性根腐れ少年少女はザラにいる。そしてそういう子たちはそれなりのオヤに育てられている。 斎藤くんの母親の感じもすごくリアルで。樹希をあんな目に合わせた元凶ではある。普通は、拾ったカード持つ意味や誰のものかなんて子どもには言わない。でも、アベルをかばう正義感も持っている。100%のクズってほんとはなかなかいないんですよね。 そんなオヤも子も樹希にとっては「むこう岸」。 そして脳内実写化のび太くんこと山之内くんだって「むこう岸」。 貧富の差がある以上、両者を隔てる川は流れているわけで、生活保護という制度があろうがなかろうが、やはり彼らは「むこう」と「こっち」なんでしょう。 ただ、この物語の何が刺さるって、やっぱり「生活保護」っていう制度の「概念」について。 本来はエマちゃん叔父さんの言っていることが軸であり、そういう性質の制度なんですよ。 条文を知って、山之内くんが感じた美しさを持つ制度。 なのに叔父さんの解説を読んだときに少なからずハッとした私も、生活保護受給者を「ナマポ」と呼ぶ匿名ネット民たちの概念に染まっていたんだろうなと引き攣りました。「施し」のにおいがするものだと思っていたんでしょうね。 ただ、これは「生活保護」に限らずあらゆることに言えちゃうことなんでしょうが、同等以上の罪が、その枠に入りながら不正をはたらく者たちにも多分にあるのではないかなと。 やはり人の目はそこに注視されるもので。 制度を利用しているはずなのに高級車に乗り、毎日パチンコに通っている人。 制度を利用できず、ギリギリの暮らしをしている家庭の子どもに、どう見ても不正受給をしている家庭の子どもが「おまえ服も頭もいつも汚くて臭いぞ!近寄るな!菌がうつる!」とイジメる。 受給者のイメージを彼らが背負っちゃってるところもあるんですよね。 かといってケースワーカーさんたちの過酷さはもう周知のとおりで、無理に不正受給を減らそうとすることが、本当に必要な人弾いてしまったりもする。 この制度の実態が100%その性質通りになることなんて多分なくて。 それでもやっぱり支える側も支えられる側もその美しさを持つ努力はしていかなきゃだよなあと考えさせられた1冊でした。
1投稿日: 2022.10.24
powered by ブクログYAコーナーで見つけた一冊。 とても読み易くて、2人の中学生の気持ちが溢れてそのまま文章になっている。 穢れなき2人の思いは、ひしひしと伝わってきて思いのほか感動し、涙する。 私立中学へ入学したものの、そこから落ちこぼれて中学3年で公立中学へ転校した山之内和真。 父を亡くし、鬱病で働けない母と3歳の妹の世話をして生活保護を受けている佐野樹希。 2人が唯一、共有できる「カフェ・居場所」 そこで得られるのは自由な時間だけではなくて、お互いのことや自分のことを見つめ直すとても大切なものだった。 生活保護法について必要にならなければわからないことも知ることができた。 だが、みんなが知っているわけではなく深く追究しないと知らずに苦労している人もいるだろうと思った。 中学生から読めるので、ぜひ多くの人に読んでほしい本である。
32投稿日: 2022.08.19
powered by ブクログ児童書とは思えない濃い内容だった。無知や分断って、とてもこわい。子は親を選べないし、逆もまた然り。気がつかないだけで、「むこう岸」は自分の周りにもたくさんあるのかもしれない。
0投稿日: 2022.07.10
powered by ブクログ生活保護過程でお先真っ暗な樹希と難関中学で落ちこぼれた和真.同級生として出会った二人の化学反応,中学生のたくさんの悩みが散りばめられ,大人はこんなふうに関わったらいいのかというヒントもある. そして喫茶店の居場所という名前もマスターも素敵だ.
0投稿日: 2022.05.28
powered by ブクログいろんな環境でいろんな悩みを抱えながら、人は成長するんだなあと感じます。と、こんな高みからのコメントをする立場に自分はいるのか?恵まれていることに感謝です。
0投稿日: 2022.01.17
powered by ブクログ中学生なのに偉いなあ…という感想をもつ自分が情けない。率直に、もっとしっかり生きていかなければと思った。知らないことがいけないのであって、知っていれば何とかできることができる世の中にはたくさんある。
1投稿日: 2022.01.03
powered by ブクログ置かれる立場が違っても、お互いを知りたいと思い、助けになりたいと思いやることができれば、きっと社会はよくなっていくんじゃないかと思った。 和真の心が強くしなやかに成長していく様は、見事だった。悩んでもがいて、自分の答えを見つけ出す姿に引き込まれた。
0投稿日: 2021.08.11
powered by ブクログ和真の成長がいい。 いい成長の仕方。 親との関係も中3として、親離れ、親に対する見方もしっかりしてきて、ああ、こんな風に育ったらなあと思わせられる。 樹希の強さ、弱さ、よく伝わってくる。 居場所の大切さとか、いい話だ。
0投稿日: 2021.07.09
powered by ブクログ母が「良いぞ良いぞ」と絶賛しながら、私に手渡してきた作品。 成績不調から公立中学へ転校することになった「山之内和真」という少年と、金銭的な貧しさから生活保護を受けている「佐野樹希」という少女。彼ら2人の視点で、それぞれが抱える問題にどう立ち向かっていくかが描かれている。 他人が見れば大したことないと感じてしまえるような悩みで、ひどく心を痛めている山之内君の様子を読み、不覚にも私はドキリとさせられた。
1投稿日: 2021.04.26
powered by ブクログ猛勉強をして超難関中学に入学したが落ちこぼれてしまい、公立中学に転校してきた和真。 小5のときに父を事故で亡くし、心を病む母と小さな妹と生活保護で暮らす樹希。 和真が誤って歩道橋から飛び降りようとしたところを助けたところから関わっていく。 全く違う家庭環境で生きる二人が徐々にお互いを理解し合い、心を通わせつつ成長していきそうな展開がいい。 エリートコースを問題なく進んでいく人間には到底係ることにない環境に樹希。 また、樹希にとったら和真の悩みは理解できない贅沢。 生活保護については大人まで含めて複雑な様相を呈してくる。 二人がそれぞれの未来に希望を見つけ、それに向かって進んでいこうとする展開が清々しい読後感に。 それに比べ、周りの大人たちが情けない。 自分の状況から一歩も脱出そうとしないのが情けない。 YA世代にも、そして大人にも読んでほしい作品だ。 「生活保護事典」も気になった。
1投稿日: 2020.11.10
powered by ブクログもがくようなエネルギーに溢れた、まっすぐで力強い作品。 自分とは違う、相容れない、そんな風に思い込んでいた"むこう岸"の存在が互いに作用し合い、それぞれを取り巻く世界に小さいようでいて、とてつもなく大きな風穴を開けていく。 終盤の樹希の言葉によって山之内くんの心がはっと目覚める瞬間、彼のこの先の未来が一気にひらけた瞬間がほんとうに素晴らしくて、胸を打たれた。
0投稿日: 2020.08.27
powered by ブクログ【第59回日本児童文学者協会賞受賞作品】 有名進学校の授業についていけず、公立中学に転校した少年。生活保護の家庭に生まれた少女。少年は「生活レベルが低い人」と少女に苦手意識を持ち、少女は「恵まれた家で育ってきたくせに」と少年の甘えを許せない。 貧乏は自己責任なのか、努力が足りないのか。相反する二人がそれぞれの現状をどう打破していくのか。 とても考えさせられる内容だった。
1投稿日: 2020.07.30
powered by ブクログ仕事で地域に出るようになったのを機に、社会福祉制度のことももっと知らなくちゃと思って。小説なのでさくさく読める。マンガ「健康で文化的な最低限度の生活」にも通じる。 知識は大事だな、というのがやはり一番。どうにかしたい気持ちとそれを実現する知識と、どちらもないと結果に結びつかない。 全く別の話になるが、面白いし大事な内容を書いてあるけどちょっと読み足りないなという感覚があって、途中でああこれは児童書だからかと気付いた。世界の余白を形作る描写が少なく、テーマを直截的に描いているのだ。 自分も成長とともに余白をキャッチする心のひだができてきたのかなと思ったし、そういう成長の余裕を子供たち皆が持てる社会に近づけばいいと思う。(最後だけテーマに寄せた)
0投稿日: 2020.07.14
powered by ブクログ中高生が読むのに適当な作品。貧困問題への導入にちょうど良いのではないか。物語色が強いので、大人には少し物足りないと思うが、社会的弱者理解に役立つと思う。 社会人になってこの作品を読んだ人には、義務教育期間を振り返ってもらい、クラスメイトに樹希のような子どもたちがいなかったか、思いを馳せて欲しい。 「困った子」は「困っている子」だ。
1投稿日: 2020.07.04
powered by ブクログ素晴らしい作品。子どもたちにぜひ読んでほしいと思う。立場の違う者同士の苦しみを描いた作品。明日への希望が持てる。 表紙イラストがもっと明るければ良かった。手に取りづらい。
4投稿日: 2020.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
超難関中学に苦労して入学するも、勉強についていけず公立中学校に転入した 山之内和馬 父のバイク事故死がきっかけで母が心の病気になり、小さい妹と3人「生活保護」を受けて生活をする 佐野樹希 この二人の視点が交互に入れ替わりながら、物語は進んでいく。 医者である、和馬の父はエリート志向が強いため、息子にトップ校を受験するよう強いている。和馬は落ちこぼれてしまった気持ちが強く、今の中学校もまた家も”居場所“とは思えない。 樹希の方は、学校では「生活保護」のことでからかわれ、家では病気の母の代わりに妹の世話や家事をしなくてはならず、同じく学校も家も自分の”居場所”ではないと思っていた。 家庭環境が違う二人は、お互い違う世界の人間だと思っていたが(”むこう岸“の人間)、あることがきっかけとなり、「カフェ・居場所」で集うこととなる。 もう一人加わるのは、がっしりとした大きな体に黒人のような中1のアベル。 アベルは全くしゃべらない、とてもシャイな少年。 和馬は、そのアベルに勉強を教えるように樹希に強要され、しぶしぶ「カフェ・居場所」に通うようになる。 様々な差別や偏見、日本の現実が描かれていた。 知らなくてはいけないし、自分自身の心に刻まなくてはいけないと思った。 樹希やアベルのような子たちは、今この日々をどのように過ごしているのだろうと、心が痛む。 「哀れんでいるものは、自分の放つ匂いに気づかない。哀れまれているものだけが、その匂いに気づくのだ」とても重い言葉。 読んだ後、石井光太さんの『ぼくたちは なぜ、学校へ行くのか。』を思い出した。 勉強をする事は、生きるためにとても大事なこと。 「制度というものは、知らなければ確実に損をする」 知るためにも理解するためにも、そして貧困から抜け出すためにも、勉強は必要。でも、アベルのような子たちは取り残されてしまう。 無料塾や子ども食堂などの取り組みは、素晴らしい。 そういう情報が届くといいな。 和馬、樹希、アベルが相互作用により少しずつ変わっていく姿を見て、”自分を受け入れてくれる居場所”は大きいと思った。和馬のがんばり!に勇気をもらう。 たくさんの子たちにぜひ読んでほしい一冊。
2投稿日: 2020.04.18
powered by ブクログ二人の登場人物の視点で物語が書かれているので、飽きなかったし、短く感じた。私の生活とは全く違う生活をしている人たちが登場人物で、面白かった。
0投稿日: 2020.04.07
powered by ブクログ貧困というものがこれからさらに広く薄く広がって行こうとしています。高度経済成長で努力すれば報われるし、徒手空拳でもがむしゃらに働けば豊かになる事が出来た時代。そんな時代は遠く過ぎ去りました。 誰もが豊かさを知ってしまったので、相対的な貧困が心を蝕んでいきます。親が働けないが故の生活保護。最低限生きていけるし飢えることは無い。皆からの税金からお金をもらって生活しているという後ろめたさや、楽して生きていると言われる悔しさ。そしてお金が無い家に生まれた事によって諦めなければならない夢・・・。 いい学校に入らなければいけないと言われ続け、親の期待に応えられない事で次第に心が悲鳴を上げ始める少年。 父親の死と母親のうつ病によって、子供らしい生活をあきらめなければならない少女。 黒人を父に持ち、肌の色が違う事でクラスに溶け込めず勉強が遅れに遅れた少年。 そして彼らを受け入れる小さな喫茶店。 皆、お互いの違いを受け入れて少しづつ歩み始めた彼らが、長い人生の最初のステップをどうやって踏み切るのか、読んでいてとても勇気をもらったし、沢山の人々に読んで欲しいと思いました。 大人にも子供にも是非読んでもらって、もう一度貧困というものが子供にもたらす痛みと、それを笑うような子供を育ててしまった家庭の浅ましさをもう一度考えて欲しい。 色々な差別の受け方があるが、それを笑う、優越感を持つ、あまつさえ暴力行為を行うなどは、確実に周りの大人の影響があると思います。どこかでそういう言動をしていないでしょうか。
1投稿日: 2020.03.16
powered by ブクログむこう岸。 安田夏菜さん。 カフェ。居場所。 いて心地よい場所。 僕は注意深く自分の心の中をのぞいてみる。 きみは施しを受けているんじゃない。社会から 、投資をされているんだよ。 素晴らしい本でした。 言葉が良い。 胸に効く。 涙なみだ。 大人にも、子供にも、読んで欲しい本でした。
0投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログ2020/2/17 913.6||ヤス (3階日本の小説類) 有名進学校で落ちこぼれ、中三で公立中学に転校した和真。父を亡くし、母と妹と三人、生活保護を受けて暮らす樹希。異なる境遇で生きる二人。 「貧しさゆえに機会を奪われる」ことの不条理に、できることを模索していく。 貧しさは、あきらめる理由になんてならない。 今年の灘中入試で出題されました。 物語に出てくる進学校は灘中がモデルになっていると噂されています。
0投稿日: 2020.02.17
powered by ブクログ中学受験で最難関校に入学するも勉強についていけず公立中学へ転校することになった少年と その公立中学で出会った生活保護家庭の少女 自分の理解の範囲外の相手との出会いにより、新たな世界が開ける。
0投稿日: 2020.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
十二歳の山之内和真は、必死に勉強して蒼洋中学に合格した。中高一貫の超難関男子校だ。しかし、進学した先は思っていたようなバラ色の日々ではなかった。とんでもなく頭がいい生徒ばかりの学校は、授業もハイスピードで、基礎などすっ飛ばして高校の授業をやっている。ようやく合格できた和真は、置いてきぼりにされ、先生から転校を薦められた。もとの学区の中学にだけには転校したくなかった。それは、蒼洋中学からクビになったと知られたくないからだった。十二歳の佐野樹希は、生活保護を受けていることをからかわれてキレていた。母親はよくなるどころか今度はウツを併発して家の用事も妹の世話もできない。すべて樹希の肩にかかってきている。この二人が出会い、それぞれの置かれた環境がだんだんと分かってくる。生活保護のリアルが分かる内容だ。
0投稿日: 2019.12.20
powered by ブクログ医者の父を持ち、超難関の中高一貫校に通っていたが、そこで落ちこぼれて自主退学し、中学3年から学区外の公立高校に通うことになった和真。 小学5年のときに父親が借金を残して事故死し、その直後に妹が生まれ、心の病気を抱える母を支えながら生活保護を受けている樹希。 それぞれ人に知られたくない現実を胸に秘めた中学3年生が、自分の居場所と将来への希望を求めてあがく物語。 和真と樹希、それぞれの視点から語られる。 生まれる環境を選べない子どもたちが、それを不公平に感じながらも前を向いて進んでいこうとする過程を描く。 経済格差が生む教育格差、生活保護制度の問題点について描くために書かれたような一冊。 *******ここからはネタバレ******* 生活保護受給者であることを暴かれた樹希が、自ら自分の体操服の前後に「生活保護」「ありがとう」と書いたエピソードでは、彼女の強さに驚く。この「ありがとう」はイカしているではないか。 和真の閉塞感に共感はするが、お酒を誤飲して自殺未遂を疑われるとか、小学生の勉強もろくにできないアベルに、忍耐強く上手に教えることができるとか、生活保護手帳を読みながらショッピングモールを歩くとか、放火事件に巻き込まれた彼を家族が放っておいたとかの場面では、ストーリーに無理矢理感を持った。 和真の母の言動がいい味を出している。 自分自身が養われていることを夫に指摘されたり、姑に前職(トリマー)を蔑まれたりして、劣等感を抱いてはいるものの、生活保護受給者家族との接触は避けたいという。無意識に、劣等感の中に優越感を求める心理がわかりやすい。 物語としては弱い点もあるが、子どもの貧困問題についてしっかりと描かれているので、オススメします。
21投稿日: 2019.12.06
powered by ブクログ希望を抱きたくなる読み終わりだった。 自分自身は主人公の男の子のような気持ちを抱いてたような気がする。 何か自分もできる存在となりたいと思わせるそんな本だった。 また、自分が学んだ社会学に改めて希望を見いだせたように思う。
0投稿日: 2019.11.13
powered by ブクログ生活保護家庭の樹希と裕福な家庭の和真。 出会わなければ、お互い知り得ることのなかった異なる境遇と悩み。 知らなかった世界を知ることは、自分の世界を振り返ってみることになる。 和真が父親に言い返した場面は、やっと言えたねの母親の気持ちと重なる。けれど次の母親の言葉はリアルで悲しい。 登場する大人たちの中に、少しづつ自分の姿をみては心が抉られる。 「人間って捨てたもんじゃないかも」か… 子どもたちがそう思える大人でありたい。
5投稿日: 2019.11.06
powered by ブクログ速報!日本の児童書が国際推薦 ドイツで行われたブックフェアで、 国際推薦児童図書目録『ホワイト・レイブンズ』に加えられることが発表!
0投稿日: 2019.10.30
powered by ブクログ装丁がキツイので敬遠していたのだが、読む本がなくて借りた。結果ストライク。うっかり教室で泣くところだった。受験戦争、生活保護、外国人…「タイトル」で人を区切らないこと。そしてきっとどこかに救いがあること。
0投稿日: 2019.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いろいろと、細かいところはあるけれど、読み通させる力がある。和真くんと樹希の形が類型的ではあるがしっかりしているから。アベルくんがもうちょっと良く見えるといいのだが。
0投稿日: 2019.09.16
powered by ブクログ先日読んだ「八月のひかり」と同じく、 児童文学の棚だけに置いていると大人に届きにくくないかと心配。 子どもに、大人に対して気を使わせたりしていいのか なにより辛い思いをさせていいのかと 自問しなくちゃ。
0投稿日: 2019.08.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『むこう岸』安田夏菜/講談社 ・ エリート中学に入ったものの、ドロップアウトして挫折を味わった男の子と、精神疾患を抱える親と妹の面倒を見ている生活保護世帯の女の子と。中学生2人の視点を切り替えながら、物語が進んでいく。 ・ 小学校高学年ぐらいから読める。施策を作る側、こどもの支援をする人、ケースワーカーなどにぜひ読んでほしい。 ・ 経験と想いのあるケースワーカーから、若く未熟な担当者に変わって使える制度を知らされない経緯があるが、制度が複雑なのと現場の人手不足もあって現実にありそうな話だった。 ・ 樹希というこの少女のように、タフなこどもはほとんどいない。途中、悪い大人にナンパされ、3万円を差し出される場面がある。たまたま樹希は踏みとどまれたが、流されても仕方ないと思える生活描写が続く。 ・ 特に、メンタルが不安定でこどもにすがりつく母親の描写は、私たちが本当に理解しようとしてしきれていない「家の中」とヤングケアラーの心理を少しのぞかせてくれる。 ・ もう一人の主人公、裕福な家の和真は、進学校から公立中に移り、親の期待に答えられなかった劣等感から「居場所のなさ」を感じている。これは、元進学塾講師としてよくわかる。ブランドバックのように有名校だけを受験させたがる親がいた。中学受験は向いている子と、いない子がいる。適性がないのに親が受験にハマると、こどもはしんどい。 ・ 彼らは少年野球のコーチだったマスターが経営する「カフェ・居場所」(ストレート過ぎるネーミングだが)を拠り所にする。和真は家でのプレッシャーや転校先になじめない所在なさから逃れ、そこにやってくる外国籍の少年の勉強を見ることで「持ち場」を得る。 ・ 樹希にとって「カフェ・居場所」は「あたしが子どもでいていい場所」と意味づけられている。 ・ 予防的支援としての居場所と相談拠点を提示したら「効果について数値的な根拠が示せない」と言われた。民間の力でこども食堂や学習支援は増え続けているが、行政として戦略的にどのエリアにもできるように誘導することも、公設置することもできないままなので、空白がたくさんある。 ・ 「生活保護を受けているから」と、これ以上の支援を受けることを遠慮しようとする樹希に、応援する立場の大人がかける言葉を、国や自治体の金庫番にも大きな声で伝えたい。 ・ 「きみは施しを受けているんじゃない、社会から投資をされているんだよ」 ・ イギリスでは社会的養護の児童生徒への進学・就労支援が手厚い。その理由は「タックスペイヤー(納税者)にするための投資」。目先の数字ばかり見ていては、こどもの貧困の連鎖は断ち切れない。 ・ みんなで投資しようぜ!そして居場所を作ったり関わったりしようぜ!と大きな声で言いたくなる本。もちろん、言うだけでなくやります。 ※この感想はインスタに掲載したものの転載です。
0投稿日: 2019.08.13
powered by ブクログ親の言いなりに勉強し、進学校へと入学した主人公。しかし、授業についていくことができずに公立中学へドロップアウトすることになります。一家の恥であると責められながら、高校受験での巻き返しを父親から命じられ、居心地の悪い思いをしながらも塾通いを続ける主人公。 一方、彼が新しい中学で出会った少女は、生活保護を受けていました。事故で父親を失い、うつ病の母通さない妹を抱え、将来に希望を持てずに過ごす彼女から見ると、「苦労した」と主人公が訴えること自体が不愉快で、ついつい突っかかってしまいます。 自分たちは何者なのか、自分たちの居場所とはどこなのか、また何のために勉強するのか、といった点について、考えるきっかけにもなりますし、主人公たちの成長は応援したくなります。 彼等の前途は必ずしも「幸せ」で、バラ色の将来が約束されているわけではありませんが、投げやりになることなく、乗り越え、生き延びてほしいと心から思います。 課題図書にもピッタリだと思いました。
1投稿日: 2019.08.07
powered by ブクログ秀才の少年と、生活保護を受けている少女の出会い。その隔たりに圧倒されつつも、立ち向かう方法を探していく。
1投稿日: 2019.07.03
powered by ブクログ最近は所謂「子どもの貧困」(って言葉にいまひとつ納得していない。親の貧困でしょ。子どもは稼げないんだから。)を描いたYA向け小説がいくつか出てきているが、(『マルの背中』『十五歳、ぬけがら』など)その中でもかなりいいものだと思う。 理由としては、 1.貧困家庭の子どもがどうやったら抜け出せるかが、具体的に書いてあること。 2.「生活保護」とはどんなものか知らずに攻撃してくる人間が多い中で(特にネットの中で罵詈雑言を浴びせる輩の多いこと。それにネット好きな若者が影響されなわけがない。)、生活保護がどのようなものであるか。メリット、デメリット、制度の問題点などがわかりやすく書かれていること。 3.それとは反対の立場である、裕福な家庭の少年(私立中学の勉強についていけず公立中に転校した)との交流も描くことで、「格差」はあっても理解も(同情や憐れみではなく)友情の成立も可能だということを示したこと。 4.そして、これが一番大事なことなのだが、小説としてよくできていること。面白いこと。 貧困家庭の母親がメンタルを病んで、生活の向上は見込めそうにない様子はとことんリアル。 「私がこんなだから、迷惑ばっかりかけて。」と言いながら「お母さん、叫びだしたくなるけど我慢してる。『死にたい』なんて、あなたたちには、聞かせちゃいけない言葉だものね。病気だけど、迷惑かけてるけど、こうやって耐えていることはほめてほしい。」という母親に、 はぁ?と、あたしは思う。聞かせてんじゃん。死にたいって今、言ったじゃん。そんでもってほめろと?バカか。あんた、バカなのか? 叫びだしたくなるのを、奥歯をかみしめてこらえる。前におなじこと言われて、こっちがキレたらさらにウツになり睡眠薬をいっぺんに飲んで三日くらいフラフラになって、厄介なことになったのを思いだしたからだ。 (p76) 公立に転校した少年が、進学校の同級生と偶然再会した時の様子も、ほんと、あるある。 両親ともエリートで、帰国子女で英語はペラペラ、勉強もできて音楽やスポーツも得意、いつもまっすぐで堂々としているって子どもが、私立のトップ進学校にはホントにいます。(こういう子どもは一生「貧困」の人と直接かかわることはない。政治家や官僚や会社のトップになる。) 先日読んだ『彼女は頭が悪いから』に出てくる東大生がまさにこんな感じだったな。自意識ツルツル。 また、無理に中学受験させた少年の父親が名門高卒の医師で、母親は元トリマーの専業主婦、母親は引け目を感じつつバカにされないよう必死で子育てしてるが、子どもは思うように育たないってとこもリアル。これもあるある。 しかし、少年はこの母に救われてもいる。そんな共感してもらえる母でも、生活保護の家庭の子どもと関わっているのは許容範囲を超えているというのもね、ホント、よくある。 でも、こんなあるあるをちゃんと書いていながら、希望の持てる終わり方ができているのも素晴らしい。 中学生になれば一般書も読めるし、ラノベなんか漫画並みに面白いと感じるだろうけど、この本はそういう子ども達にも十分訴える力のある作品だと思う。
10投稿日: 2019.05.19
powered by ブクログ息子の塾の国語テキストに出ていて面白いと思い購入。問題文の部分だけ読むにはもったいないくらいいい本でした。有名私立中高一貫校に進学したものの勉強についていけず公立校に転校した山ノ内くんと、父が事故死しうつ病の母と小さい妹の3人で生活保護を受けて暮らす佐野さん、父親の身体的虐待からしゃべれなくなってしまったアベルくん、3人の物語。家庭環境に恵まれなかった子供も、将来はきっと自分の手で変えられる。 「きみは施しを受けているんじゃない。社会から、投資をされているんだよ」 それなら・・・あたしと社会は、五分五分じゃないか? 息子にもぜひ読んでもらいたいです。
0投稿日: 2019.03.17
powered by ブクログすごく骨太で迫力のある物語。 貧困と「生活保護」を真正面からとりあげているけど、裕福で「恵まれた」家庭の山之内くんがけっして幸せではないこともしっかり描いているのがとてもいい。 そして物語を動かすのも山之内くん。くそまじめで不器用だけど、おちこぼれのアベルにいっしょうけんめい勉強をおしえ、樹希の負い目の原因である生活保護のとてつもないわかりにくさに真正面からかじりついて、理解しようとつとめる。 そうやってカフェ「居場所」にひんぱんに出入りしていたことが、ある事件をきっかけにしてばれてしまい、山之内家の両親は激怒するんだけど、そこで一歩もひかずにいいかえす山之内くん。骨太。表面的に波風が立たないようにみんなが暮らしている家で、ドボーン!とでっかい岩を池に投げこむのって、ほんと勇気がいると思うんだけど。 樹希にしても山之内くんにしても、とにかく児童書の家庭問題は、親を選べないことと、ひとりでは生きていけないことに起因している。でもそれがまたうっすらとした希望にもなりうる。現状に負けず、タフに成長していけば、親のもとから離れられるのだから。ふたりにとって、その道筋が垣間見えたのがうれしかった。
4投稿日: 2019.03.14
powered by ブクログ進学校についていけず、公立中学に編入した山之内和真は、劣等感と父親の高圧的な態度に疲弊していた。佐野樹希は、父親が出て行ったあと精神を病んでしまった母親と小さな妹を一人で支えていたが、生活保護を受給していることに負い目を感じ、誰ともかかわらないようにしていた。そんな二人がひょんなことから知り合い、影響しあい、自分の力で未来を切り開こうと歩き始める。
0投稿日: 2019.03.06
powered by ブクログシビアな内容。でも始めから清々しさを感じたのは山之内君があの状況なのに屈折してない子だったからかな。親を選べない子どもたち。人生変えられないと思ってる子に読んでほしい。逆に大人も。
0投稿日: 2019.02.09
