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ガラス張りの誘拐
ガラス張りの誘拐
歌野晶午/講談社
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総合評価

14件)
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    誘拐を扱ったミステリは数多くありますが、その中でも異質さを感じる作品だと思います。 時系列を入れ替えた構成、衆人環視の中での身代金受け渡しなど、興味を惹く部分はいくつかありますが、最も印象的なのは動機ではないでしょうか。 腑に落ちないところがありながらも、着眼点と発想は面白く、作者の才能の片鱗が窺えるようでした。

    0
    投稿日: 2025.09.07
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    先日読んだ誘拐ミステリ「さらわれたい女」も面白かったのだが、この「ガラス張りの誘拐」もやはり面白かった。やる気のない中年刑事の佐原。妻は数年前に通り魔殺人にあい他界している。親子関係がぎくしゃくしていた娘の深雪が誘拐された⁉犯人からの要求は「現金で一億円用意してください」と。しかしその犯人は、身代金をバレバレの状態で運べというではないか。そしていざ身代金を用意して次の指示を待つが、なかなかその後の指示がない。そして娘、深雪の視点でも展開は語られる。養護教諭、占い師…絡まった糸が解ける瞬間が気持ち良い。

    4
    投稿日: 2023.10.15
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    さて歌野氏がシリーズ物を排して望んだノンシリーズ第1弾がこの『ガラス張りの誘拐』だ。本書の特徴はまず最初に第二の事件があって、第三の事件、そして最後に第一の事件が語られるという構成の妙にある。時系列に敢えて沿わずに進行する物語はそれ自体トリッキーであり、私は当時観た映画タランティーノの『パルプ・フィクション』を思い浮かべたものだ。 また語られる誘拐事件も犯人が警察を呼べとか、マスコミに知らせろなどと通常タブーとしていることを逆に被害者に強いるところがなかなかトリッキー。読者はその裏に隠された企みを推理しながら読み進めるがなかなか先が読めない。私もその一人だった。 一見何の関係もなさそうな事件が最後になって関連性を持って一つの事件になるというのは現在、連作短編集でよく使われている手法だが、あの手の作品にはちょっとこじつけというか強引さが目立つし、仕掛けが細かすぎて単に作者の自己満足に終っているきらいがないでもない。しかし本作では長編なのにそれぞれの章が独立している短編集のようだという全く逆の味わいがあり、私はこっちの方を好む。読了後私はすぐさま島田荘司氏の『網走発遥かなり』を思い浮かべた。というよりも一読、これはこの作品へのオマージュに違いないと確信した。 逆に云えば、先にそちらを読んでいただけに本作における歌野氏の企みというか試みが二番煎じに感じてしまったのが非常に残念だ。『網走発~』と比べると、どうしても消化不良感が否めなかった。第ニ、第三の事件がもやもやとした形で括られることもあるし、なんだかやはりアイデアを支える技量が不足していると思った。 今までの感想にあったように私もどちらかといえば歌野氏を完成されていない作家として見ており、その成長を見守っているスタンスであるので、どうしても上から目線で批評してしまう姿勢が拭えなかった(これは今ではどうなのか解らない)。そのためもあり、彼の諸作については先達の作品の影がちらついて作品そのものへの正当なる評価が出来ていないように感じることがある。これは反省すべき点だと私も感じている。 さて私が歌野作品から遠ざかって早や20年が経ってしまった。そろそろ彼の作品に触れるべきかも知れない。あの頃と違って私もミステリを数こなし、作品ごとに作者の意図すること、行間に込めたメッセージ、テーマ性、そして当時の社会的背景などを考慮して論じることが、未成熟なりにも出来てきた。次の作品から一読者と一ミステリ作家として対等に取り組んで見ようと思う(すごい偉そうな態度ですな、しかし)。

    1
    投稿日: 2016.11.11
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    連続婦女殺人魔の犯人は誰?犯行声明文を出したのは誰?  中年刑事・佐原の娘を誘拐したのは誰?身代金の受け渡しに要求してきた犯人の目的とは?  謎だらけでどうなるのか楽しみでどんどん読み進む。と急にストップがかかる。戸惑いながら読んでいき新たな真実にぶつかる。 ただの殺人事件で終わらないところがやっぱり歌野晶午だなと勝手に思って感心してしまった。

    1
    投稿日: 2014.09.30
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    3つの事件の短編集。かと思いきや、3つの事件は繋がっていた。2つ目の短編のあと、なんだなんだ、と思うけど、最後には種明かしもされ、スッキリしました。

    1
    投稿日: 2013.07.11
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    全三部作の連作中編。 しかし時系列的に一番最初の話を最後に持ってきて、最後まで読むと真相が分かるといった構成。 ただ、そこまでの驚きはないし、ご都合主義な展開が結構あるのが気になった。 読みやすいので一気には読める。

    1
    投稿日: 2013.01.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こう言う作風が後々葉桜…に繋がるのかぁと思いながら読み進めた。 プロローグとも言える第一の事件をエピローグの前に持ってくるあたりが面白い。 ここで、オヤッ?となるので少々ネタバレ感はあるけれど…

    1
    投稿日: 2012.04.29
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    読み終わって、「さ、レビューでも書くか~」と、他の人のレビュー拾い読みしたら、「話の順番が・・・」とか「最後の話が・・・」とか書いてあって、なんとなく読み返してしまった。 いつもそうだけどプロローグとか目次とか、中盤終わるころにはすっかり忘れてるんだよね。 メメントには難しすぎる要求でしょう(怒) で、わざわざ読み返したんですが、期待してたほどの感動なし。 やっぱり同じ本2回読むのはつらいわ~。 話のきっかけは誘拐。しかも被害者は女子高生。事件のきっかけは、やる気無し刑事の娘が消えて脅迫状が来たから。まー普通に被害者・犯人両方を探す調査をするんですが刑事は娘の通う高校の養護教諭に事態の相談をする。理由はだた娘が保健室通い組みだったから。 この単なる相談役として出てくる先生がネックになってくるんですね~! 一番最初(に書かれてる)事件は名探偵として、2番目の事件では犯人として、最後の事件は動機付けのエピソード、主人公として。 で、この最後の事件、時候的には一番最初なんです。 だから読み手としては「あんなに頼りになって頭も切れる綺麗な先生が何で!?」って思ったところでネタばれ~という流れに行き着くわけですが・・・そう思わなかった人はどうなんでしょう(自分含む)? だって先生、自分で言ってたじゃん、「家出は一度引き戻されても二度、三度と繰り返す」「再犯をとめるためには多少荒治療でも親と子の絆がしっかり結ばれるべきである。」みたいなこと。 だから最後の話は印象に残らなかったんだな~。 同じような内容を、もうちょっとドラマチックにしただけで、しかも語り口調ががらっと変わって読みにくかったし。 もう一つ嫌なことを上げるなら家出しちゃう女子高生のことなめすぎ。 別に女子高生ではないが、奴らが家出する理由なんて絶対に分からんでしょ。本人ですら分かってるか怪しいのに。 だから「親子の絆」だの「お互いの存在の大切さ」などアピールしても本当に家出が直るのかね? 理想論に執着しすぎてリアリティーに欠けた感がありました。 ガラス張りの誘拐ってどういう意味でつけられたんでしょうね?ショーウィンドーに飾られた、理想的な結末が待つ誘拐とか?

    1
    投稿日: 2011.05.16
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     "優しさ"と思春期の娘に手を焼く刑事の物語。  "優しさ"が邪魔をして取り調べができない刑事・佐原は、毎日のようにサウナで時間を潰す毎日を過ごしていた。そんな中連続婦女暴行殺人事件の被害者が逃げ出してきたことで事件の波に飲み込まれていく。  物語は第2の事件・連続婦女暴行殺人事件、第3の事件・身代金誘拐、そして第1の事件へと焦点を変えていくという、少し変わった章立てとなっている。  3つの事件の裏に横たわる、違和感。そのあたりの書き方はさすが歌野さん、と思う半面物足りなさがある。と、いうのも細かくはわからなくとも「あ、これは事件に絡んでいるな」とわかってしまったから。先が読めてしまうこと自体は悪くないんだけど、あれくらいわかりやすく書くなら、読者に先読みされてることを前提としてもっとひっくり返してほしかった。  しかし終わり方は清々しく好きだ。

    1
    投稿日: 2010.11.06
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    取調べが苦手で勤務中にサウナに逃げ込む刑事・佐原。 彼が担当する連続婦女殺人事件が一応の決着を見るもつかの間、 彼自身の娘が誘拐されてしまった。 身代金目当ての誘拐の成功率は極めて低い。 娘を信じ、犯人を信じた結果は… なかなか新しい発想だと思う。善意からくる悪。 でもなんだか腑に落ちなかった。 善意だけでここまで大掛かりなことをするかなぁ。

    1
    投稿日: 2010.09.05
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     なぜわたしは当時この作家を知らなかったのだろうか、と後悔する日が来るとは思わなかった。同じように名を連ねていた作家も目にしていたし、むしろ好んで手にした作家もいたというのに、17歳のわたしは本当にもったいないことをしたと思う。  冒頭の第2章は、主人公の刑事・佐原が任されたある女子高生の誘拐事件。ある犯行声明文を発端に、犯人は暴かれる。そしてなぜか第3章では、別の犯人によって佐原の娘が誘拐されるのだ。しかし、これがおかしい。第2章と第3章をつなぐ糸が、登場人物以外になにもないのだ。あまりに脈絡のなさすぎる展開に、いくつも疑問が浮かび上がる。それでいながら、次の展開を待ってページをめくる指先。最後の第1章にいたっては、佐原さえ登場しない! とにかく、読者は読み進めるしかできないのだ。  なぜこの3章が同じ作品の章として成り立つのか――? それはもちろん、第1章の読了後に解き明かされる。「第3章」としてもまったく問題のない最終章を「第1章」とつけた策略も鮮やか。読者であることの甘美を心ゆくまで堪能できる作品である。ああ、17歳のときにこの衝撃を受けておきたかった!

    1
    投稿日: 2009.11.23
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    「私は断じて愉快犯ではない」 ―世間を恐怖に陥れている連続婦女誘拐殺人事件。 少女惨殺の模様を克明に記した犯行声明が新聞社に届けられた。 ところが、家族や捜査陣の混乱をよそに、 殺されたはずのその少女は無事戻り、 犯人とされた男は自殺、事件は終結したかに思われた… う~ん… ちょっと強引ですなぁ…   犯人の気持・動機も?? 「驚愕の結末」でなかったのが残念です

    0
    投稿日: 2009.11.18
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    刑事に降り掛かった娘の誘拐事件。 その娘の学校の保険医が仕組む哀しくも歪んだ誘拐事件。 動機の部分にはやや疑問符も感じるも、 犯人の意外性と誘拐ものとしての面白さはグイグイ。 後半部の犯人のその人格形成に至るストーリーと 濃密度にやや差と温度差を感じてしまい終盤残念。

    1
    投稿日: 2009.03.30
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    妻を事件で亡くし,被害者への聴取ができなくなった刑事。 彼の相談に乗り,協力する娘の保健教諭の女性。 2人に関係する3つの事件を連作短編として描いている。 それぞれの短編の結末をやや意外だなと思って読み進めたが, 最後のどんでん返しが結局は最初の予想通りで拍子抜けした。 視点は面白いが,プロットも完成度も余り高いとは言えない。

    1
    投稿日: 2008.07.01