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グリフィンとお茶を ~ファンタジーに見る動物たち~
グリフィンとお茶を ~ファンタジーに見る動物たち~
荻原規子、中川千尋/徳間書店
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総合評価

33件)
3.9
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    ファンタジー作家の荻原規子さんのエッセイで、結構面白かったな。ファンタジーに出てくるいろいろな動物について、荻原さんの考えや感じたこと、小さい頃の思い出などが書かれていて、非常に示唆に富んでいるものだ。私は、どうしてもこの本からユングの思想が思い浮かばれて仕方がないのだが、荻原さん自身もユングについて触れている。要するに、人間には合理的なものだけでないものが潜んでいるし、なんかそれは重要としかいいようがないのである。動物がしゃべるのも、非人間的なものがなんか大切なんだよな。科学やキリスト教などの論理にひっかからないもの。 中島敦の「山月記」もこの本ではファンタジーの部類に入っているが、確かにそうなんだろうな。なかなか合理的には割り切れないことかな。著者の高校時代の現国の先生の借り物の意見が少しでも混じった小論文は不合格にするという話は、非常に興味深かった。 著者が最も愛するというルイスの「ナルニア物語」は私も読んだが、著者ほどの思い入れや読み込みは持てなかったな。どうしてかな。それにしても、私はこの年になってライトノベルに嵌まってしまっているが、この本でも述べられているようにファンタジーが中世の世界を基盤としているのと同じように、ライトノベルも中世の世界を基盤としていることが多い。同じことなのか。中沢新一が「中世が近代産業社会を準備しながらも、まだそれがはらんでいる矛盾に、全面的に入り込んでいないからである。中世はファンタジー文学にとっての理想状態であると同時に、現代世界が直面する問題のすべてを萌芽のかたちで内蔵するという意味では、現代に直結している巨大データバンクをなしている」と述べているのに著者は同意をしているが、私は幾分か同意しながらも、ちょっと違うような気がしている。現代社会だけじゃないんだよなあ。いつの時代にも共通する人の心に関することなんだよ。

    44
    投稿日: 2025.11.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この前読み終えた本に続いてローレンツ博士の話が出てきたことはびっくりした。ファンタジー作品に明るくないので、自分にとってはかなり参考になるブックガイドでした。

    0
    投稿日: 2025.06.11
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    荻原さんの勾玉三部作にはまって以来、彼女のおすすめを道しるべに児童文学ファンタジーを読みあさってきました。 ほぼ外れなく面白く読めました。豊かな読書体験をされてきたんだなぁと羨ましく思います。

    3
    投稿日: 2023.10.28
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    こちらも以前読んだ気がするが、ほとんど忘れていて楽しく読んだ。 ウォーターシップダウンのウサギたちと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのグリフィン一家のホームドラマが気になる。

    1
    投稿日: 2022.05.16
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    ファンタジーや神話民話に登場する有名無名の動物たちを、章段ごとに作者の思い出を絡めながら語る一冊。 私は未だに、自分が幼少〜中高生時代にファンタジー含む日本・世界名作にあんまり触れてこなかった(専ら漫画と星新一)のがちょっとコンプレックスなのだが、 それでも「本に登場する動物」という存在には心ときめくものがある。 『大造じいさんとガン』の残雪とか名前ひっくるめてかっこよすぎる。 この本はその辺をいい感じにくすぐってくる良書であった。 椋鳩十は取り挙げられてないし、鳥で出てくるのは白鳥くらいだけど。 以下、特に響いた箇所を引用。 「私の一番の財産は、結局これしかないと思うのだ。子ども時代に、子どもの感性で児童文学を読んだこと。そして今でもおぼえていること。」 (p.108) 「デフォルメした動物キャラクターを動かすことは、動物をよく観察して忠実に写すこととは別の範疇にある。観察するべきは、私たちの内面、私たちの神話のありかなのだろう。動物が語る言葉は、動物の持つ言葉ではなく、人間から抽出された、人間が持つよりもピュアな何かなのだろう。 そんなふうに人間から外部に抽出されてしまったものは、ほとんど『神』とも呼べるものではないだろうか。」 (p.155) 「私は、J・R・R・トールキンやC・S・ルイス以後に文学ジャンルとなったファンタジーとは、この系統であり、太古の語り物の末裔なので、近代からの意味で言われる「小説(ノヴェル)」と同列ではないと思う。 子どもだましと見下げるのはまちがいだが、小説と同じ手法の文学論で論じるのもまちがいだ。同じものさしで測るから、小説仕立ての奥に持つ真価にうまく手が届かず、ファンタジーの優劣に的を射た批評が生まれないのだ。」 (p.213)

    1
    投稿日: 2021.05.19
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    荻原さんがどんなふうに育ち、何を考えてきたのか、その一部が垣間見えるエッセイ。 ここから勾玉三部作や現代ファンタジー作品ができあがっていったんだなあ。

    0
    投稿日: 2021.01.24
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    勾玉三部作で有名な荻原規子さんの、動物をテーマにしたエッセイ集。架空の動物だけでなく実在の動物、さらには動物の形をした人形も出てくる。ファンタジー、特に児童文学の紹介も多く、よみたい本をストックできた。 大人になった今でもファンタジーは大好きだが、子どもであった頃とは違う見方しかできなくなってしまっただろうと思う。勿体ないことだが、世界の広がりを知ることで得られる楽しみにもある。見えなくなっても、そこにいるだろうと思えることも、きっと楽しい。

    1
    投稿日: 2019.04.20
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    古典や神話において、重要な役割を担う空想上の生き物や言葉を話す動物たち。動物物語を通して、ファンタジーとは何かを考察しながら、読書案内としても楽しめるエッセイ。 著者は子供のころの自分は、想像力が豊かだったとは言えないと書いているが、私も意外と冷めていたように思う。実際物心ついたころから、テレビに映るアニメやヒーローが実際にいるとは思ったことが無いし、芸能人さえテレビの中の存在で実在しないと思っていたぐらいだし。でも想像力はないくせに空想するのは大好きだったので、よく本を読んではその世界に浸るのが好きだった。残念ながら読んでいたはずなのに、子供のころ好きだった本としての記憶はないけど。 考察としてファンタジーが古典や神話と結び付いているというのはよくわかる。その辺りから題材を取りやすいし、土壌がしっかりしていてすんなりと受け入れやすいからだろう。でも優れたファンタジーはそういうもので、シャボン玉じみた空想話との差がそこだというのは引っかかりを感じた。本は優劣じゃなく面白いかどうかだ。それも個人の好みによるところが大きいだろうし。 余談だけど、『ネズミ』の項で著者が上げたのが『アルジャーノン』だった。私は『ガンバ』だけど、何より『アルジャーノンに花束を』はSFだったのか!そう思って読んでなかったのでびっくり。

    0
    投稿日: 2015.09.10
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    ファンタジーに見る動物たち、といいつつ、児童文学作品の書評のような感じ。『ナルニア国物語』『ウォータシップ・ダウンのうさぎたち』など、荻原さんが感銘を受けた作品について書かれているのだが、その内容にかなり詳しく言及しているので、未読で内容を知りたくない人はご注意を。 『空色勾玉』『RDG』などを生み出した荻原さんの好きな作品やその作品に対する思いが熱く綴られていて、荻原作品ファンには嬉しい一冊。

    0
    投稿日: 2015.08.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もの言う動物が活躍する物語は大好きなので、そこにスポットを当てて書かれているのが良かった。さまざまなファンタジー作品に対する荻原さんならではの見解が繰り広げられていて、こういうのが下地になって物語を書かれておられるのかな……とも推察できて興味深い。 個人的に、大好きな本である『ダークホルムの闇の君』が紹介されてるのが嬉しかった。

    0
    投稿日: 2015.02.20
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    山月記の話など荻原さんの実体験が作品に生かされていておもしろかった。こういう実体験のお話をもっと書いて欲しかった。 そしてダイアナ・ウィン・ジョーンズさん亡くなってしまっていたのか…。ショック。 「最後のユニコーン」「アルジャーノンに花束を」「ウサギどんキツネどん」が面白そう。私も児童文学サークル入れば良かったな、後悔。

    0
    投稿日: 2014.08.31
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    古典文学や現代文学で登場するクマ、馬、ニシキヘビ、ユニコーンなど、物語の重要な名脇役である動物・怪物たちに焦点を当て、その魅力に迫った本作。 児童ファンタジー作家として有名な著者が、物語を違った角度で楽しませてくれます。

    0
    投稿日: 2014.08.28
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    友人から私と読書傾向が似ているはず!とオススメされ、お借りして読了。自分の予想以上に重なる部分が多くてびっくり!読んだ本もそうだし、感想の部分でも通じるものがあってすごく不思議な気持ちになった。なので、彼女がオススメしていてまだ読んだことのない本を読みたくて、いろいろ購入してしまった…。 動物とファンタジー、児童文学をテーマにしたエッセイ。動物とはいっても架空の生き物やカエルの指人形なんかも取り上げられる。ナイーブな感性ではあるけど、ナイーブすぎず、芯の強さと冷静な理知が潜む。なかなか良質なエッセイでした。 彼女のファンタジー小説(RDGや勾玉三部作は読了)は題材は好きだし、それなりにおもしろくて楽しめたんだけど、やはりちょっと物足りなさがあった。それって十代向けの作品だからかと思ってたんだけど、実はよく考えると、このエッセイで紹介されているような作品(つまりいわゆる児童文学)を読んでも深く感動したり、考えさせられることはあるわけなので、原因はそこじゃないのかも…と思ったり。このエッセイのように、小説の方ももう少し「手ごたえ」があるといいのになぁ。

    0
    投稿日: 2014.04.14
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    一章ごとに一つの動物を取り上げ、それぞれの動物にまつわるファンタジーについて語られている。 ファンタジーの手引書としても軽い評論としても読める、まさに読む価値のある本である。 クマやライオンなどの現実にある動物から始まり、「ライラの冒険」シリーズのダイモンで終わる心憎い構成。 特に、佐藤さとるの「コロボックル」シリーズのマメイヌやダイアナ・ウィン・ジョーンズの『ダークホルムの闇の君』のグリフィンが出てくるところなど感涙ものであった。

    0
    投稿日: 2013.12.27
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    荻原規子ファンにはたまらないと思います。彼女に影響をあたえた本、出来事がかかれています。 エッセイですが、小説のような語り口で、たのしめました。

    0
    投稿日: 2013.09.09
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    徳間書店のWebサイトで連載されていたエッセイが元の本です。 連載中から、1冊の本になるのを楽しみにしていて、やっと読みました。 テーマが動物で、そこから連想される本の紹介みたいな感じでお話が進んでいきます。 「ジャングル・ブック」とか、読みたくなります。

    0
    投稿日: 2013.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童書の中だけではなく、古典や神話においても重要な役割をになっているさまざまな動物たち(幻獣も含む)について綴っているエッセイ。

    0
    投稿日: 2013.07.25
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    まじめなレポートのような1冊。 固い感じがしたが、それもまた一興。 彼女とファンタジーの出会いのいきさつなどもわかってよかった。

    0
    投稿日: 2013.06.10
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    荻原さんのファンタジーに見る動物や幻獣物語。可愛らしい装丁の中で綴られる文章は想像よりも本格的で、けれども動物たちへの想いが優しく何とも愛おしいエッセイ。ぽつぽつと語られる荻原さんの幼少時代のお話に惹き込まれ、その頃に出会った本や登場する動物たちが素晴らしい作品世界を創り上げたのだなぁと思うと感慨深くなります。ファンタジー読みでない私なのだけど、紹介される作品に生き続ける動物たちに会いたくなりました。あ、コロボックルは子供の頃大好きで本好きの私を作ってくれたであろうシリーズの一つ。ユニコーンが印象的。(2012年3月読了)

    1
    投稿日: 2013.05.07
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    おもしろい章とそうでもない章の差が激しかった。未読ファンタジーのネタバレが嫌な方は要注意。児童文学研究会に入っていればよかったかなと頭をよぎることもあるけれど、論評や研究の対象とせず物語を物語として楽しみたいからと自分で選んだ結果なのだ。

    0
    投稿日: 2013.04.12
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    あまり書籍内で紹介される書籍に興味を持たないのだが、読んでいなかった書籍や物語を読みたくなるほど、素敵な心からの熱意が伝わってくる。 自身も動物物語が好きであったことも影響しているのか、すんなりと頭に入ってくる。図書館で借りたが、今後の児童文学の案内書として購入したい。

    0
    投稿日: 2013.01.21
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    心に残ったエピソードは三つ。古事記に現れる馬の皮。カエル漫画を描きつづけた理由が読者の存在だという話。何故ファンタジーが中世欧州風世界で展開されるか。 馬の皮は何か養蚕と結びつくようなのだが、何を意味するのかが現代では明らかでないというところでエッセイは終わる。この分からなさが妙に心に残った。 カエルの漫画は弟が読者として存在したことが続けられた理由だとしたもの。作者と読者の関係について色々考えていたのでタイミング的にはまった。 最後のファンタジーの舞台については(いま本が手元にないのでうろ覚えだけど)「中世には現代と同じ問題が全てある」からだという中沢新一氏の説が紹介されていた(ような気がする)。 いわれてみると確かに現代とは異なる環境で貧富の差、家族問題、戦争、都市と辺境、各種産業、知識欲や名誉欲などを描くことができ、魔法やエルフやゴブリンが現れても許容されるのは中世欧州風世界だよなぁと思う。 本自体は一章ごとにファンタジーに登場する動物のタイトルを振り、タイトルの動物をキーに自分の思い出や動物が登場する作品について語ったウェブ連載をまとめたもの。そういえばダイアナ・ウィン・ジョーンズにはまったのは荻原さんのエッセイの影響も大きかったよな、と改めて思ったり、中沢新一氏の著作を改めて読んでみたいなと思ったり。

    0
    投稿日: 2012.12.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    以前から何度かお話しているように、荻原規子さんという作家さんと KiKi の相性は決してよいとは言えません。  とは言うものの、同世代の女性として彼女の活躍にはそこそこ興味はあるし、このブログに彼女のブログのリンクも貼ってあるしということで、この本のことは以前から知っていました。  この本は彼女の物語作品というよりはエッセイということなので、物語作品との相性はさほどよくなくても結構通じるものがあるかもしれない・・・・という淡い期待を胸に今回借り出してみました。 結論から言うと、どうやら彼女とは物語作品のみならず、エッセイであってもあんまり相性はよくないみたいです・・・・・(苦笑)  但し、やはり同世代に育った共通項というものはそこかしこにあるもんですねぇ。  彼女が幼少時代にご実家で揃えられていたという「少年少女世界の名作文学」というシリーズのお話なんかは KiKi にとっても実に懐かしい、身に覚えのある社会現象(?)のお話でした。 そうそう、あの頃は「岩波文庫」こそ既に存在していたものの「新書」なんていうのは世の中に存在していなくて、今ほど本の数や種類も多くなくて、その代わりと言っては何だけど「○○文学全集」というヤツが結構流行って(?)いてねぇ・・・・。  革装丁とまではいかないけれど、昨今のハードカバーの表紙よりはずっと厚紙の表紙、背表紙の金文字が豪華なハードカバーでサックに入っている配本形式の全集ものを1冊ずつ揃えていき2年ぐらいすると全集が自宅の本棚にド~ン!と居並ぶというパターンで購入する家庭がそこそこありました。 よくよく考えてみるとあれも敗戦で全てを失った人々が少しずつ文化的な生活を取り戻していく過渡期特有の現象だったんでしょうね。  KiKi の実家には荻原さんちの「小学館 少年少女世界の名作文学」はなかったけれど、従姉妹からのおさがりの「河出書房新社 少年少女世界の文学全集」とか、出版社は忘れちゃったけれど「少年少女 ノンフィクション全集」といった全集物がドドド~ンと本棚に鎮座していました。 出版社とシリーズ冊数こそ違うものの、収録されている物語にはさほど大差はなかったようで、彼女がこのエッセイで取り上げている作品の多くは KiKi も又、恐らく彼女と同じ時期(年代)に同じような遊びをしながら読み進めていった物語とほぼ同じだったことがよくわかります。  もっとも、どれもこれも「絶対読んだ!」という確信はあるのですけど、そのうちの何冊かは「はて?  どんなお話だったっけ??」と思わないでもなかったりはしたのですけどね(苦笑) 彼女が大学時代の「児童文学研究会」の合宿で好きな本3冊をあげている中で、KiKi がAmazon Market Place で購入して到着を待ちわびている「妖女サイベルの呼び声 P.A.マキリップ」があることにちょっとビックリしました。  彼女は KiKi よりほんのちょっとだけ年長のはずだから、大学時代は何気にかぶっているはずなんだけど、その時代には彼女はもうマキリップを楽しんでいたんですねぇ・・・・・  これは到着が更に更に楽しみ♪です。 さて、彼女のこのエッセイの切り口はファンタジー作品に数多く出てくる「モノ言うケモノ」を題材にして、それ以外にも自身の子供時代に接点のあった動物に関する考察(?)を述べるというスタイルをとっているんだけど、一つ一つの語りはどちらかというと「優等生的な語り」が多くて、あんまり共感することはできませんでした。  ただ、辿ってきた道のりが似通っている、「同じ時代を生きてきた同志」みたいな感覚だけはヒシヒシと感じられるもので、そういう意味ではそれなりに楽しめるものでした。 彼女やル=グウィン(ゲド戦記の作者)が追及している「ファンタジーとは何か?」というテーマは実は KiKi 自身も追及しているテーマの1つなんだけど、これって「ある世代特有の拘り」のような気がします。  恐らくは、TVゲームが当たり前のように存在している時代に育った人たちは「ファンタジーとは何か?」な~んていうことを敢えて突き詰めて考えようとは思わないんじゃないのかなぁ・・・・・。 荻原さんや KiKi の子供時代っていうのは、戦争の傷跡こそ身の回りに残っていないものの、まだまだ戦争体験を引きずっている人たちが健在で、同時に高度経済成長の波に乗っている真っ只中。  価値観の大転換が行われ、古臭いものは悉く否定してかかるような風潮がありました。  その環境を端的に言語化されていると感じるのは、内山節さんの「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」で、「キツネにだまされた」という話が日本人の中から消え始めた時期とその原因を6項目挙げて論じられている年代と合致しています。 そこには人間が自然を征服し、経済的存在になり、科学万能を信奉し、マスメディアにより与えられた情報を鵜呑みにし、合理主義に支配され、人の自然観・死生観が変わった年代と書かれていました。  そんな真っ只中で教育を受けてきた世代だからこそ、「ファンタジー」というものに強烈に惹かれる人間が誕生し、その「こんなに魅力溢れるファンタジーとは何なんだろう??  子供向けの荒唐無稽の物語であるはずがない!」と考えずにはいられない・・・・・・。  そういう世代なのではないかなぁと KiKi は思うんですよね~。 ル=グウィンさんは4~50歳ほど年長だけど、あの方は「先進国 アメリカ」の方ですから・・・・・。  KiKi たちよりは4~50年ほど社会文化的には先進的な環境で成熟されたと思うんですよね。   つまりね、結論付けるにはまだまだ尚早だとは思うんだけど、極論すれば「自然を征服すべきものとは考えず」、「経済的な拘りを思考から除外し」、「現在の科学では捉えることができない世界を掴もうとし」、「合理的な考え方で結論を急がず」、「自然の中で生かされているちっぽけな存在が人間である」というスタンスにたった物語こそがファンタジーなのではないのかなぁ・・・・・とKiKi は思うんです。 今現在、KiKi 自身、「ファンタジーとは何か?」を定義できないまま多くの物語を手当たり次第に読んでいるわけだけど、今のところ「人間優位の目線には立たずに『人間というこのしょ~もない生き物は何ぞや??  どうしてこの世に生を受け、死んでいくのか?』という現代科学でも解明できていない『なぜ? どうして? どのように?』を仮定する物語がファンタジー」なのではないかなぁ・・・・・と考えています。  だからこそ「人間ではないモノ言うケモノ」が人間を語ってみたり、舞台を中世に移した物語が多いのではないかしら。 そういう意味では彼女の最後の結論、 科学的論理性しか認めないことで近代化した私たちの先代は、適合しないものを蔑むことで排除にととめたが、100%捨て去ることもできず、子供向けの娯楽として保ち続けてきた。 ファンタジーの水脈はそういうものの中にあるから、近代以降の学校教育となじまない。  言ってみれば教師の必要はない。  誰かが訓育など施さなくても魅力の存在は伝わるからだ。  そこで娯楽と同源だと強調されてしまう。 ファンタジーの出発点が、神話や昔話までさかのぼる古いものにあるということを、そして現代の私たちは、原始の人間とそれほど変わっていないということを、どこかで認めないとだめなのだろう。 には共感できました。  でも、そういうファンタジー論を展開したいなら、このエッセイは何気に中途半端な感じがします。  荻原規子さんの読書体験を披露したエッセイという読み方をすれば、彼女のファンは元より、同世代を生きてきた特に女性には楽しく読んでもらえる1冊だと感じました。 

    0
    投稿日: 2012.10.28
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    作家の萩原規子さんが、ファンタジーの本の中に登場する動物たちのことを書いたエッセイのような児童書でした。 犬やクマ、猫、ライオン、イノシシ、ネズミなど、身近な動物の話に混じって、ドラゴンやユニコーン、グリフィンといった、ファンタジーでおなじみの架空の動物も登場する本の紹介をされています。 動物好きの私は、なんだかここに紹介されている本を全部読んでみたくなりました。もちろん、神話や伝説の話からもとっているので、知っている本もありましたが、知らない話もたくさんありましたので。 知っているのでは、まず、「ライオン」の章の『ナルニア国物語』の解説。映画のワンシーンが鮮やかによみがえってきます。ここではライオンのアスランが重要な人物なのでした。 それから、「ニシキヘビ」の章の『ジャングルブック』。懐かしい話です。オオカミに育てられたモウグリ少年がニシキヘビのカーにジャングルの掟をいろいろ教ります。モウグリがジャングルで生き延びていくうえでカーの存在はとても大きかった。そして、私もニシキヘビをここまで中心人物として書いた小説は読んだことがないなと思いました。 最後に「グリフィン」。この動物の印象は私は薄いのですが、『ハウルの動く城』にも登場していたそうです。私は未読ですので、この本で初めてしりました。その形態は、頭から胸がワシ、胴の後がライオンということで、ヨーロッパ王家の紋章をイメージするということで、なんだか興味深い動物です。 小説の物語は人間が主役となりますが、こんなに活躍している動物たちがいたのですね。彼らがいるからこそ、これらの話が、味わい深いものになっていたのでしょう。 ユニークで親しみ深い動物たちの活躍する話が、最初から最後までぎっしりとつまっているこの本は、その文章からも、子供の頃に読んだ本への懐かしさや動物たちの可愛らしさが感じられます。 暑くて眠れない夜には、この本で童心に返って、ファンタジーの動物に会いに行くのもいいと思いました。

    0
    投稿日: 2012.08.06
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    荻原規子さんの主に動物物語に関する読書体験を綴ったエッセイ。 豊かな物語作家はやはり豊かな読書体験を持っているのだなあと思った。 児童文学全集が家にあるって羨ましい。 幼少期の読書体験はその後の読書傾向に大きく影響すると思うけど、それらがどれだけ心に響いて、どれだけ記憶に留めるかは本人次第。大切な記憶として自分のものにして、それらと自分の経験と想像力を昇華したのが荻原さんの描く物語なんだろうと思う。 タイトルだけは知っているけど読んだことがない本についても結構触れられていたので、読んでみたいと思う。

    0
    投稿日: 2012.06.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    荻原規子さんが徳間の「本とも」に連載していたもの。 サブタイトルに~ファンタジーに見る動物たち~とあるけれど、もっと広くファンタジー論&荻原さんの読書体験や子どものころのエピソード。 ファンタジーの王道、ナルニア国物語はもちろん、古事記・枕草子・ソロモンの指輪と守備範囲が広い。 読んでいて、再読しなくてはと思った本・多数でした。

    0
    投稿日: 2012.04.26
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    うーん、私ってぇ、荻原さんほど頭がよくないのでぇ、なんとなく僻んでしまうみたい。ファンなんですけれども。

    0
    投稿日: 2012.04.23
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    ファンタジーに出てくる動物たちを、荻原規子の視点から回想した本。出てくる作品がみんな読みたくなる……。

    0
    投稿日: 2012.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    分類902 空色勾玉シリーズやRDGの作者の 動物物語(架空生物を含む)のエッセイ。ファンタジーや神話や古典文学の中に登場する動物たちの随想。 作者が好んだという本のラインナップを見て、私も好んで読んだものがあると嬉しいし、知らないものは読みたくなった。 ケロちゃんの家のくだりは なんだか作者の少女時代を思って、親しみを覚えた。 YAもしくは大人向け。先に作者の物語の本を読んでから、このエッセイを読んだようが楽しめるだろう。

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    投稿日: 2012.04.04
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    副題「ファンタジーに見る動物たち」とありますが、20の動物、幻獣を取り上げています。ただ、それらの生態を掘り下げたような内容ではなく、荻原さんの読書遍歴や子供のころのエピソードを踏まえお話となっていて、ファンの私は興味深く読むことができました^^ 作曲家の菅野よう子さんとの交流がある話があり、菅野さんが勾玉のイメージソングとか作ってくれら素敵な曲ができそう、勝手に妄想しまいました(笑) 巻末の方に、荻原さんのお母様は空想をあまり解さない人で、そのせいか空想より読書にのめりこんだということが書かれていて、私とちょっと似てるなぁと親近感がわきましたw

    0
    投稿日: 2012.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読みたいと思いつつ、やっと読了。 副題にあるように、ファンタジーに登場する動物(架空も含む)に注目してつづられたエッセイ。 ファンタジー評論ではなく、どの作品がいかに荻原規子さんの心をとらえたのか、それはなぜなのか、ということを、出会った状況をふまえながら、個々の問題として考えている。しかし、それによって、ファンタジーの本質を結果的に導いているように思われる。 ファンタジーの評価点が似ているところも多くて、紹介されている本を読みたくなって、図書館にさっそく予約をかけた。とくにそうだよな、と思ったのは、小人作品への評価。ずばり、私もそう思います!! 引用メモをしておこう・・・。 荻原さん本人を知りたい人、すなわちファンの人にも待ちわびていた本なのかもしれない。 ファンとしては、荻原さんと自分の干支が一緒でびっくり。めちゃめちゃ若いよなぁ。。。また、「ヒヨコ」の中に出てきた小屋を作ってくれたお父さんのお話もよかった。お母さんは何度も出てきたが、お父さんはここだけ。・・・そういえば、お亡くなりになったのが、ちょうど一年前だ、と思い出す。 私的な部分と作品への洞察がたっぷりつまったエッセイ。いうか、作品分析は私的なことを通してしか語れないのかもと思わせるものだった。

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    投稿日: 2012.03.07
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    ファンタジー作品に登場する動物をお題に書かれたエッセイ。 本の紹介としても熱があって面白かった。 実はとても私的な本なのかもしれない。 著者が作家という職業についたわけや、彼女の小説作法まで、ところどころに垣間見えるのが興味深かった。 エッセイというのは、ある意味「わたしを理解して」っていってるようなところがある文章だからね。 読書歴とか微妙に重なっているところがあるんだけど、感じ方が違う部分も多々あって、そこら辺がわたしが著者の本の愛読者になれない理由なんだろうなと思ったりもしました。 (タイトルで「黒龍とお茶を」というマカヴォイのファンタジーを思い出した。続編、読みたいなー。ディズニーあたりが3Dで映画にデモしてくれないかな……無理か)

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    投稿日: 2012.02.29
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    神話とか民俗的な話題とか。 自身の動物と本にまつわる体験を通して、その辺を熱く語る1冊。 荻原規子好きには、そういう面で最高に面白い本。 僕のような、「ファンタジーに馴染みが薄いけど、荻原規子は大好き」って人にとっては、古典・名作ファンタジーへの架け橋、読書のススメになります。 誤魔化しや茶化しを混ぜずに、物凄く冷静に真剣に語られてます。 参った。色々読みたくなった。

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    投稿日: 2012.02.27