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異類婚姻譚
異類婚姻譚
本谷有希子/講談社
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総合評価

83件)
3.3
5
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39
11
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    本谷有希子さんの『異類婚姻譚』読了。怪談のような、寓話のような、不思議な作品が4編も。特にタイトルの異類婚姻譚は寄生する感じとか、関係性がぐらつく感じとか、ヒヤッとするものがありました。捨てて終えば美しくみえるけど、それ以上の感情は湧かない、むしろ気持ち悪ささえ感じるところにヒヤッとしつつも面白いなと感じた私は性格が悪いのでしょうか。笑どれもクライマックスに怪談みを感じて面白かったです。

    0
    投稿日: 2026.01.10
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    いやあ、すごいな おもしろかった。 「異類婚姻譚」 最後はえーーなんだけれど、 夫婦というのを例えに近しい二者間の話。 まあ、ところどころドキッというかわからなくもないというところもあり、個人的にはアライさんが気になる。 どんなに近しくても、やっぱりお互いの輪郭はくっきりしていたいし、境界は保っていたい 世にも奇妙な物語みたいでおもしろかった。 初読み作家さん ここからネタバレあります… ご注意を… 最終盤 「自分だけ、俺に…」のところ いや、ホラーー なんというか、共依存にお互い気づく感じというか、気づいたら共依存になっていたというか、それは夫婦に限らず、親子とかでもありうると思うので、ゾワッとした。 でも本当に近しい人であっても、いや逆に近すぎるからこそ、その人が求めていることは、全くわかっていなかったっていう… あるあるだなあと思った。 ハコネちゃんの「もう少し別の人間でいたい」もわかる 結婚しても、ちゃんとずっと、別の人間でいたいし、いるべきと思う。 どうしても周りの人間の言動、仕草に影響を少なからず受けるという内容は「コンビニ人間」的要素もあった。 なんでもかんでも受けいれちゃあ、いけないな 何かを挟むか、断るか、手放すか…そもそも近づきすぎないか… 解説読んで、さらになるほどなと、本当に家族というものの末路とは…おそろしや おもしろかった。さすが、芥川賞

    20
    投稿日: 2025.10.04
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     じつは読まず苦手だった本谷有希子。(読まず、でもないか。ダヴィンチの連載1話目が気持ち悪くて、それで。)本作を手に取ったのはおぎやのラジオで『異類婚姻譚』に出てくる夫は小木のイメージで書いたんだってと小木が言ってたから単純な興味で。本谷有希子と仲良しなんだよね、小木。  スタイルは、現代の寓話系! 松田青子系だ、嫌いじゃないと思いました。夫婦関係にフォーカスしているのが感情移入しやすかったけど好きな話は犬のやつかな。井戸に落ちたわんこが「合格だな」と言うとこ、主人公が猟銃向けたあとでごめん戻ってきてという終盤、不気味でよかった。どの話も後味が不気味なのは共通している。感情移入の程度でいえば『藁の夫』怖かった。うちの夫もモラ傾向あるからたまにめちゃ楽器吐く。

    2
    投稿日: 2025.08.31
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    うーん…。 うーん…。 うーん…。 よくある感想のように、 「芥川賞作品は自分には合わないみたいだ。」 …とブクログには書いておこう(^^ゞ

    9
    投稿日: 2025.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「異類婚姻譚」は、夫婦の合せ鏡のお話。 主人公が一方的に搾取されてるような気で読んでたけど、確かに主人公も夫を食べてた。 働かずに極楽に生きてて、夫の金で弟カップルに高いビュッフェ奢ったりしてたしなー。 妻になりたい夫の言葉にぞくっとした。 最後は衝撃。あんな夫がなりたいものは綺麗な花だったなんて…。 あのあと主人公は一人で生きていってるのだろうか…。 「藁の夫」は前提がわからなすぎたけど夫がムカつく。 全部燃やしてしまえばいいのに。

    0
    投稿日: 2025.06.11
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    子供もおらず、ただぬくぬくと専業主婦生活を少しの罪悪感と共に過ごす主人公。だがある日、徐々に自分の顔が旦那の顔に似てきていることに気がつく。 唐突にこの世界が途中で消されてしまうクイズ番組だと理解した主人公。 隠遁生活の中で不思議な犬たちと出会う主人公。 町の人たちがいう「犬に気をつけろ」という不思議な言葉。 周りの反対を押し切り、藁の旦那と結婚した主人公。 どのお話も寓話的で、久しぶりに言葉をそのまま飲み込むのではなく、噛み砕かないといけない話を読んだ。 家庭の中の問題の多くは、本人たちが良ければそれでいいもので、周りから見れば些末な問題だったりする。 けれど、そこが幸せじゃないと根本的に自分が幸せになることはない気がする。目をつぶることは簡単で、できないことではない。でもそれは本当に幸せか?と突きつけられているような気がしてしまった。

    7
    投稿日: 2025.06.01
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    2匹の蛇が互いに食い合うように、夫婦も少しずつお互いを食って、お互いに似ていって、お互いではないものになっていく。 「あの夫婦って見た目も似てるよね」という、多くの人が見聞きしたことある言葉の中には、実はこんな奇譚があるのかもしれない。 人間社会はクイズ番組なのだと思った(気が付いた?)主婦、山奥の小屋で不思議な犬たちに囲まれて生活する男、「藁の夫」との結婚は何も間違っていないと感じる妻。 どの物語も、ベースにあるありふれた生活風景が見事に奇譚・寓話として仕上がっているので、気味が悪いと思いながらも、「もしかして」という気持ちになるから面白い。

    0
    投稿日: 2025.05.07
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    2015年芥川賞受賞作(下期) 女性目線で人間関係を描く4部作 ①異類婚姻譚(夫婦) ②トモ子のバウムクーヘン(子供) ③犬たち(社会) ④藁の夫(夫婦) それぞれの人間模様をストレートに描くと、グロく、凡庸になるところを、妖怪じみたテイストにすることで、一種のホラーに仕立ている。 動物や植物がそれぞれのアクセント。 世界観についてけないのは、僕のポテンシャルが低いのか?異性だからか…

    0
    投稿日: 2025.04.28
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    日常をふと疑い始めると、どんどん人間が人間の形でなくなるほどに元に戻らない気持ちに陥ることを知る 【フレーズメモ帳】 蛇ボールの話、知ってます?二匹の蛇がね、相手のしっぽをお互い、共食いしていくんです。どんどんどんどん、同じだけ食べていって、最後、頭と頭だけのボールみたいになって、そのあと、どっちも食べられてきれいにいなくなるんです。分かります?なんか結婚って、私の中でああいうイメージなのかもしれない。今の自分も、相手も、気づいた時にはいなくなってるっていうか。

    0
    投稿日: 2025.04.09
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    再読。現代の怪談のような小説。どれも面白くてすいすい読めた。〈犬たち〉の裏テーマのようなものがよくわからず、他の人の感想や考察を聞いてみたくなった。この短編のタイトルだけ〈〉で閉じられているのも不思議。

    0
    投稿日: 2025.03.01
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    カップルは顔が似るというあるあるをよくここまで広げられたなと。猫のおしっこってそんな臭いんだ、知らなかった。

    0
    投稿日: 2025.02.06
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    ともかく独特! 初めて本谷さんの本を読んだんだけど、この本から入ったのは正解⁉︎ 夫婦が似てくるまではよかったが...異類婚姻譚 人が消えていく街の白い犬...犬たち 愛猫がナニカに⁉︎...トモ子のバウムクーヘン 藁と結婚⁉︎...藁の夫 変でしょ!すっごい変っ! めちゃくちゃだけどSFファンタジーって思えばおもしろい!

    0
    投稿日: 2025.01.25
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    「夫婦というのは不思議なものである」 言わずもがな、なんて身も蓋もないかな。 当然といえば当然なのだから。きっと家族になる過程で何かがあるのだろう。もしかしたら目に見えないだけで、夫婦ってこういうこともあるのかなあ、なんて、それもまた然り、なのかもしれない。異変や変化に気付くこと、気付けそうで気付かないこと、気付いているのに気付かないふりをすること…いろいろあるけれど、見てみぬふりのほうが、結局のところ、わかりやすくて良いのかもしれない。 きっと物語は、夫さんにもあるのだろうし、むしろ無いわけがないだろう。きっと彼も、あれやこれや折り合いを付けて、折り合いを付けて…付けて、付けて、付けて付けて、たどり着いた姿が山芍薬だったのだ。僕は、彼の平穏を願わずにはいられない。

    3
    投稿日: 2024.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    芥川賞受賞作品という事もあり、とても期待して読んだわりには、、、????? みたいな所が沢山ありました。 一作目はなかなか面白かったけど、、、4作目の藁??? 私には理解不能でした

    1
    投稿日: 2024.02.26
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    なんとも言えない不気味な終わり方… 昔から夫婦は似てくると言われているけど、なんだか不気味な話だなと本作を読み終えた時に感じました 芯のない者同士が支え合おうとすると、いつしか同化していってしまう感じ カタチを変えてしまう感じ それが長年連れ添った夫婦にあらわれる「顔が似てきた」 ブラックユーモアと言うか、心がザワザワした作品でした

    6
    投稿日: 2024.02.17
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    「人の形」 慣れ親しんだ生活の中に異物が一点混ざり込み、それが当たり前として読者の中に溶け込んだタイミングでその異物が“異物らしさ”を表象する。 読み手は強制的に第三者の立場から読むことになるため、この世界に恐ろしさを感じつつも現在の世界とそう大して変わらない世界に違和感を懐く。 怖さとユーモアが混ざった文章は、この筆者ならではだなあ。

    3
    投稿日: 2024.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・異類婚姻譚 感想がまとまらない あとで考える。保留 ・トモ子のバウムクーヘン この世界が途中で消されてしまうクイズ番組だということを理解した。 ってどんな感じ? ・〈犬たち〉 白い犬と雪深い白い世界が美しい。 街に誰もいなくなった描写は、本当に自分以外が街からいなくなったのか、それとも自分が異世界に連れて行かれたのか分からなくて、でも不思議と恐怖がない。一番好きな話。 ・藁の夫 藁の夫むかつく けど、車を傷つけたのは奥さんも悪いしな…とも思ったり。 全体的によくある夫婦の話だけど、少しのファンタジー要素が混じって不思議な読み心地と、家庭・夫婦の問題以外に伝えたいことがあるんだろうなと思わせる本谷有希子さんの作風がおもしろい

    2
    投稿日: 2024.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    旦那の横柄さとか、家で気が抜けて顔が崩れる感じ、ちょっと自分を顧みてヒヤッとする。描き方が上手だな、と。 最後、同一化した挙げ句に花になるのはなんだったのだ、、、?結局旦那捨てただけ、、? それにしてはなんかほのぼのした読後感で不思議。

    0
    投稿日: 2024.01.21
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    表題作の冒頭一文は、タイトルとの相乗効果で衝撃。以降は、期待感程ではなかった。寓話と言うには粘度が強すぎる。

    2
    投稿日: 2024.01.06
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    あなたは、『自分の顔が旦那の顔とそっくりになった』らどうするでしょうか? 夫婦は似た者同士が良いのか?そうでない方が上手くいくのか?このあたりは世の中意見は千差万別でしょう。同じものが好きだからといって一緒になった夫婦が最後まで添い遂げられるかといったらそんなことはありません。嗜好は正反対という夫婦が瞬殺で離婚してしまうかというとそんなこともありません。規則性、法則性がないから夫婦の形も数多あり、考え方も数多あるのだと思います。 とは言え、それは性格の話です。顔となってくると話は全く異なります。そもそも血縁関係にない男と女の顔がそっくりということ自体普通にはないと思います。もし偶然にもそっくりな顔をした異性と出会ったとしてもそれが結婚というゴールに繋がるとも思えません。 一方で、結婚した後、嗜好が似てくるということはあるかもしれません。これは可能性としてありうるようにも思います。しかし、顔が似てくる、これはないように思います。そんなことがあったとしたら結婚することに躊躇もしてしまいます? さてここに、結婚してもうすぐ四年という夫婦を描いた物語があります。ある日、妻が『自分の顔が旦那の顔とそっくりになった』と気が付いたことから始まるこの作品。そんな作品の他に雰囲気感を共通とする三つの短編が収録されたこの作品。そしてそれは、”あとでじわじわ効いてくる毒が、ここにはたっぷり盛られている”という本谷有希子さんの芥川賞受賞作な物語です。 『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』とふと思ったのは主人公の『私』。『結婚していなかった五年前と、ここ最近の写真を見比べて』、『見れば見るほどに旦那が私に、私が旦那に近付いているようで、なんだか薄気味悪』いと感じる『私』。そんな『私』がそのことを弟に話すと、『うーん、二人が?俺は別に思ったことないけどなあ』、『あれじゃない?いつも二人でいるうちに、表情がお互い似てきたとか』と言われてしまいます。場面は変わり、『旦那に頼まれた小包を郵便局に出しに行った帰り』、マンションに設けられた『住人専用ドッグラン』のベンチにキタヱが座っているのを見かけた『私』は、そんなキタヱに手招きされます。『毎日昼過ぎに愛猫のサンショを』『日なたぼっこさせにやって』きているという『私とは三十歳近く離れている』キタヱはサンフランシスコから夫婦で日本に戻ってきました。そんなキタヱに『旦那と、顔が一緒になってきました』と話すと、『「やだ。」と予想外の食いつきを示し』ます。『結婚して何年だっけ?』と訊かれ『もうすぐ四年です』と答える『私』に、『サンちゃんみたいな、なんでもかんでも受け入れちゃうような子は、あっという間に…かれちゃうんだから』と返すキタヱ。よその住人の犬が吠えたせいで、『私』は『…』のところを聞き逃してしまいます。そして、キタヱは『私の知り合いの夫婦にさあ』とこんな話を始めます。『家族ぐるみで親しくしていた』『古くからの友人夫婦』と10年ぶりに『再開する機会に恵まれた』というキタヱは、イギリスに移り住んだ彼らとロンドンで食事をするために『待ち合わせのレストラン』へと訪れました。『「久しぶり。」と椅子から立ち上がった二人を見た瞬間、目を疑』うキタヱ。そこには、『双子みたいに、そっくりになって』いた夫婦の姿がありました。『一瞬、整形でもしたのかと思っ』たものの、『目、鼻、口を一つ一つ見ていくと、二人はやはりきちんと別人』という二人。『吸い寄せ合ってる感じっていうの?お互いがお互いを真似ちゃってるっていうかねえ』とその似具合を説明するキタヱ。そんなキタヱは、『さらに十年後に』夫婦と再開した話を続けます。『同じロンドンのレストランで待ち合わせをしたキタヱは、鏡のようにそっくりになっていた二人のことを思い出し、少しどきどきし』ますが、そこに待っていたのは『元の、似ても似つかぬ他人に戻っ』た二人でした。そんなキタヱが十年前のもやもやした思いを妻に打ち明けると、『二人の家に誘われ』ます。酔い潰れた夫を部屋にのこし、庭に出た二人。そんな中、『どうしてあたしが元に戻ったのか、教えてあげる』と『妻は笑いを堪えているような口調で』語ります。『あたしがどうして戻れたのか。知りたいでしょう』と言う妻は、『それよ、それ』とあるものを指さします。そんなまさかの説明に『酔いが一気に吹き飛んだ』というキタヱ。そんなキタヱが旦那と似ていくということのまさかの理由とまさかの結末が描かれていきます…という中編〈異類婚姻譚〉。スルスルと読みやすい物語が意味不明な結末へと読者を誘う好編でした。 “子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…”と、どこか危うい夫婦関係を匂わす内容紹介が妙に気になるこの作品。2015年に第154回芥川賞を受賞した本谷有希子さんの代表作です。そんな作品の表紙は一見古風な嫁入りを描写したイラストが描かれていますが、よく見ると花嫁を含め婿以外は猫が描かれているという怪しさ満点な体裁をとっています。そもそもが「異類婚姻譚」というなんだか今にも化け物が飛び出してきそうな書名もあって読む前から雰囲気感はバッチリだと思います。とは言え、この作品は化け猫が登場するようなおどろおどろしい物語ではありません。そこに描かれるのは〈解説〉の斎藤美奈子さんがこんな風に表現されるものです。 “慣れ親しんだ生活のなかで、ふと垣間見てしまった異世界。家族が他人に見える瞬間の恐怖”。 芥川賞を受賞した表題作はその傾向が特に顕著です。そんなこの作品は表題作が全体の分量の三分の二を占める中編、残りの三編がサクッと読める短編という異形な構成になっています。いずれも斎藤さんが評されるどこか不穏な雰囲気を纏っています。そんな中でも表題作の中に登場する『蛇ボールの話』は深く脳裏に刻まれました。想像するとあまりに不気味でこの作品の内容を忘れても一生私の記憶から消せない…そんな強烈なインパクトを受けました。このレビューを読んでくださっているあなたにはせっかくなので共有させていただきますね。あなたの記憶からも一生消えないと思います。 『蛇ボールの話、知ってます?』と訊く弟の彼女ハネコは、こんな風に続けます。『二匹の蛇がね、相手のしっぽをお互い、共食いしていくんです。どんどんどんどん、同じだけ食べていって、最後、頭と頭だけのボールみたいになって、そのあと、どっちも食べられてきれいにいなくなるんです』。そんなハネコは、『分かります?なんか結婚って、私の中でああいうイメージなのかもしれない。今の自分も、相手も、気付いた時にはいなくなってるっていうか』。そんな話を聞いて『うろこでびっしり覆われたまっ白な球を思い浮かべ』る主人公の『私』。 どうでしょうか?私はこの世で蛇が最も嫌いです。こんな風にタイプするだけで意識が飛びそうなくらい大嫌い。そんな蛇が登場する『蛇ボール』。怖いです。気持ち悪いです。やめて欲しいです。しかし、この表題作で取り上げられるのは上記でも触れた通り『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』という起点から夫婦の関係性に思いを馳せていく主人公の『私』の物語です。そんな『私』は、どうして旦那と自分が似てきたのかを考え続けます。そんな中に象徴的な登場する『蛇ボール』の話は、『私』にこんな思いを抱かせもします。 『恐らく私は男たちに自分を食わせ続けてきたのだ。今の私は何匹もの蛇に食われ続けてきた蛇の亡霊のようなもので、旦那に吞み込まれる前から、本来の自分などとっくに失っていたのだろう』。 そして、基本的にのんびりとした『私』の日常を描く物語は一気に不穏な雰囲気を増していきます。 『朝起きて鏡を見ると、顔がついに私を忘れ始めていた』。 まさかの表現で描写される『私』の物語は読者を振り落とそうとでもするように理解不能な表現世界へと突入していきます。これには驚きました。そして、ほぼ振り落とされてしまった私。〈解説〉の斎藤さんの丁寧な説明を読んでそんな物語を振り返りましたが、流石の芥川賞受賞作、なんとも言い難い世界を見る中に予想だにできない結末を見ることになりました。これは、ハマる方にはとてもハマる表現世界だと思います。 一方で、この作品の魅力は、そんな表題作に続いて上記した通り三つの短編が収録されているところです。決しておまけではなくこれら三作が続くことによって作品としての不穏な雰囲気が強化されていきます。続いてそんな三つの短編をご紹介しておきたいと思いますが、それぞれの短編は一見意味不明な宣言のもとに始まります。合わせてご紹介しましょう。 ・〈トモ子のバウムクーヘン〉: 『コンロの火を弱火にしていたトモ子は、この世界が途中で消されてしまうクイズ番組だということを理解した』。主人公のトモ子は『普段は甘いものをあまり食べさせない』子供たちに『バウムクーヘンを焼いてあげ』ます。そんなトモ子は『お兄ちゃんの頭の匂いを思いきり吸い込んだ時と、下の子の指をお守りのように握りしめた時だけ』『本当の意味で落ち着く』と感じています。そして、キッチンに立つトモ子は、ふと『リビングが自分を誘惑し、恐ろしい罠に嵌めようとしている』という思いに苛まれていきます…。 ・〈犬たち〉: 『その山小屋にはたくさんの犬たちがいた。私は犬たちを愛し、犬たちも私を愛した。犬たちは何十匹もいた。そしてどの犬たちもみんな、降ったばかりの雪のように真っ白だった』。『誰にも会わず、暖かく暮らしていた』という主人公の『私』は、山小屋で犬と暮らす中に『彼らが糞や尿をするのを見ること』がないこと、『餌もほしがらな』いことに気づきます。たまたま麓の町で『犬にはくれぐれも用心して下さい』と言われた『私』は、ある日、『山の奥に向かう犬たちをこっそりつけてみることにし』ました。そして、そこに見たものは…。 ・〈藁の夫〉: 『結婚して半年、自分達の前には、幸せへの道が用意されているという確信は強まるばかりだった』という主人公のトモ子は、自分の夫をこんな風に思います。『トモ子の夫は藁でできている。稲や小麦の茎の部分だけを乾燥させたあの藁 ー 家畜の飼料や、その寝具に使われる植物が、人間のように束ねられ、巻き上げられてできているのだった』。そんなトモ子はある日、夫が『買い替えてまだ一ヵ月も経っていない、真新しいBMV』に乗り込んだ時に『シートベルト』を窓枠にぶつけてしまいます。『ーがっくし』と溜め息を吐く夫との間に沈黙が訪れます…。 三つの短編の概要を簡単に抜き出してみましたが、なんだか意味がよく分からない…という声が聞こえてきそうです。でも…、 安心してください!私もよく分かっていませんよ(笑) いずれにしても、上記した通り、これら三つの短編も表題作同様に不穏な雰囲気を纏っています。二人の子供の母親であるトモ子が、突然に奇妙な感覚に囚われていく様を描く〈とも子のバウムクーヘン〉はそんなトモ子がどんな感覚に陥っていくのか、ここが物語の筋の部分です。続く〈犬たち〉では、主人公の『私』が共に暮らす犬がいつどこで何を食べ、排泄しているかを知らないというところに不穏さが顔を出します。そして、最後の〈藁の夫〉は、そもそも『トモ子の夫は藁でできている』と意味不明なことを断定する記述の先に、新車を傷つけられた夫が示す反応が物語を薄暗く支配していきます。そんな不穏な雰囲気を味わえるのがこの作品を読む何よりもの醍醐味です。如何にも芥川賞作家さんの物語というその感覚が一つの作品世界を作り上げていきます。なかなかに深入りしそうにもなる四つの物語は、本谷有希子さんという作家さんの個性を強く感じさせる異形のものたちの存在をそこかしこに見せてくれるものでもありました。 『ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた』。 そんな言葉の先に旦那との関係性をさまざまに考えていく主人公の『私』が辿るまさかの結末を見る表題作など四つの中短編が収録されたこの作品。そこには不穏な雰囲気の中に見え隠れする異形なものたちの姿を感じる世界が描かれていました。とても読みやすい文体が故にイメージがスルスルと頭に入ってくるこの作品。そうであるが故に、物語が発するホラーっぽさとシュールさがダイレクトに伝わってくるこの作品。 なんだか癖になりそうな独特な味わいを感じさせる物語の中に、本谷有希子さんの上手さを見た、そんな作品でした。

    203
    投稿日: 2023.12.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ⚫︎受け取ったメッセージ 「夫婦は似てくる」というのは良いことなのか? 表面的には似てきても、本質的には思いもしない相手の姿があるかもしれない。 ⚫︎あらすじ (異類婚姻譚) 専業主婦の私は、夫に顔が似てきていることに気づく。最後決別に至る。夫は可憐な花になる… (犬たち) 別荘に女一人こもっている。犬がたくさんくる。村人は山を降りないと居ない。なぜか? 村人がいなくなる。犬は見つけたら捕まえられないといけないルールがある。 女の背中に白い毛が生えてくる。 (藁の夫) 夫の小言がどろどろの楽器になって、藁の間から漏れ出す… ⚫︎感想 「夫婦は似てくる」というフレーズを、マイナスの意味で受け取ったことがなかった気がするので、新しい見方を与えてもらった。他人の本音はわからないし、自分の本音すら見て見ぬ振りをしながら生きている… 犬たち、笑の夫も非常におもしろく、本谷有希子さんの他の著作も読みたいと思う。

    3
    投稿日: 2023.10.15
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    女の人が主人公の、4つの短編集。 家族や夫婦がテーマになっているが、寓話を読み慣れていないせいか、理解が難しかった。 異類婚姻譚と藁の夫に関してはこんな夫婦にならないよう気をつけようとは思った。 バウムクーヘンの話は、今自分がリアルと思っている世界は、作り物じゃないかという空想は恐ろしくもあるが案外楽な考え方かなと思った。 作り物の世界ならば、自分で判断したり責任を負わなくて済むから。

    0
    投稿日: 2023.09.10
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    自分が男性なので、本谷さんの書く男性像にはドキッとする。 自分はこうじゃないと思ってるし、こうなりたくないなぁって感じの男。 でもそのダメさに主人公の女性などが慣れてたり諦めてたり、なんなら居心地良く感じたりしてるように思うので読んでて非常にむずむずする。居心地が悪い。 自分にはこういうあり方は無関係だ。 でもこういうあり方はきっと存在するし、それってすんごいイヤだなぁっていう。 あーやだやだ。

    0
    投稿日: 2023.05.05
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    夫婦は妥協と諦めで互いに似てしまう。 不満を持ちながらも、どこか身を任せたほうが楽だと思った結果であり、自身も不満を持たれていることがある事実に目を背けた結果でもある。 そんな誰にも起こりうる問題をファンタジーに落とし込んだ秀作。 最後の藁の夫のモラハラDV具合が怖かった。

    1
    投稿日: 2023.04.12
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    「本谷有希子」の短篇集『異類婚姻譚』を読みました。 「本谷有希子」の作品は初めてですね、、、 「大江健三郎」賞、「三島由紀夫」賞受賞作家の2年半ぶり、待望の最新作で、タイトル作は「芥川龍之介」賞受賞作との触れ込みが気になって買っちゃったんですよね。 -----story------------- 子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。 「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。 「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作が第154回「芥川」賞受賞! 他に『藁の夫』など短編3篇を収録。 自由奔放な想像力で日常を異化する傑作短編集。 ----------------------- 奇妙で無気味な以下の4篇が収録されています。  ■大きな異類婚姻譚  ■トモ子のバウムクーヘン  ■〈犬たち〉  ■藁の夫  ■解説 齋藤美奈子 読みやすい文体で、気軽に気味悪さを堪能できる作品でしたね、、、 「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦「サンちゃん」を主人公に、他人同士がひとつつになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描いた『異類婚姻譚』、 バウムクーヘンを焼くのが得意な主婦「トモ子」はこの世界が途中で消されてしまうクイズ番組だということを突然理解し、飼い猫がだれかに操作されてしまっており、家族は「トモ子」を監視しているという不条理を描いた『トモ子のバウムクーヘン』、 他人には見えない何十匹もの犬たち… 湖に潜っては魚を取って自立して暮らしている犬たちと、人里離れた山小屋で暮らす女性が犬たちと同化する動物的な快楽を描いた『〈犬たち〉』、 「トモ子」の夫は、藁で出来ており、二人は仲良く暮らしていたのだが、愛車BMWの傷を巡って夫と言い合いになり、夫の藁の体から、つぎつぎと小さい楽器がこぼれ落ちていく… そんな夫(藁)に火をつけたらどんなに綺麗に燃えるだろう、という凶暴な殺意を描いた『藁の夫』、 そこそこ愉しめましたが… 「芥川龍之介」賞受賞作として期待が大きかっただけに、ちょっと物足りなかったなぁ。

    0
    投稿日: 2023.03.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ……ホラー⁉️と思った。 日常の話と思って読んでいたら、急に世にも奇妙な物語みたいな……まあ読み終わって考えてみるとなるほどと思ったりもする。 表題作の異類婚姻譚については、自分も長く付き合った男と話し方が似てきていたり「顔が似ている」と言われたりしたことがあるので、わかるなあと思った。まあ一緒にいる相手と似てくるというのは本当にある話なんだろう。しかし終盤の怒涛の"世にも"感たるや……。夫がどんどん妻に近づいていき、不穏な空気を纏っていくのが恐ろしかった。ラスト、あれは……下ネタか?と思ったのは私だけだろうか。まあそういうことではないと思う。夫が花になるって、そんな馬鹿なと思うけど、自分が単にこういう突拍子もない話が苦手なだけだと思う。 犬の話については、まあなんだか謎が多かったけどパストラミを助けたことで犬たちの仲間として認められ、結果犬との同一化が進んだみたいなことなのかなあ。なぜ町の人が消えたのかはよくわからなかった。犬が認める人間は1人だけだから?あの町に住む犬には何か特別な力があるとか?まあ深く理解しなくても良いものかなと気持ちを落ち着けた。 藁の夫の話は……わからなさすぎた。 周囲の反対を押し切り藁と結婚した←どんな世界線やねん。「がっくし。」がなんだか可愛いが藁の中身が楽器というのもわからない。し、妻が燃やしたいと感じているのも恐ろしい。みんなどんな気持ちで読んだんだ。どんな気持ちで読むものだったんだ。まあ正解なんてないけど、終始「ええ……」と思っていた。 実は宇宙人だとされてる芸能人の検証動画とかあるじゃない?エラ?があったり、まばたきが変なやつ。あれは合成かもしれないけど、なんかあれを思い出した。結婚生活は、自分と違う"異種"たる相手と線を引いてもいいし、融け合ってもいい、その選択ができるのはいいことだよな。自分は……難しい。もうだいぶ融けてしまっていると感じる。今鏡を見たら、顔のパーツがいそいそと動き出すかも。

    0
    投稿日: 2023.03.22
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    何と表現したら良いか、不思議な雰囲気と若干の不穏な空気感の中、話が進み、川上弘美さん、今村夏子さん、高瀬隼子さんなどを読んでいる時に感じられる不安定で、すっきりしない、もやもやを抱えた日常が綴られる。最初、夫婦がどんどん似てきて そっくりになっていくという件から心を掴まれてただけに失速した感あり、残念だ。

    8
    投稿日: 2023.02.05
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    表題作を含む4編。いずれも夫婦や家庭に対する違和や不安をテーマにした奇譚。感覚に鋭いリアリティを感じる分、奇譚であることについていけない人もいそう。 表題作含め登場人物たちは基本的に「演じている」「演じさせられている」という感覚が課題の根本にあるように感じたが、劇作家の著者としてあえてそのような視点を狙って書いているのか、著者自身の人や社会の見方が基本的にそうであるからなのかは判断ができなかった。いずれ他の作品も読んで考えてみたい。

    0
    投稿日: 2022.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    芥川賞受賞作品という帯が目に止まり購入。夫婦という関係性やそのなかなか言葉だけで言い表せないことが寓話のような形で顔が似てくる、花になる、藁だったりと予想外の内容にびっくりした。深読みしないと理解できなくて、読み終えてからじわじわくるけれど私の好みではなかったかな。

    0
    投稿日: 2022.11.15
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    夫婦は似る、とはよく聞く。同じものを食べ、同じ家で生活していれば、血のつながった者同士のように、似ていくのだろう、きっとそれが、家族になる、ということなのかもしれない。しかしそれは、少し怖いことかも。

    0
    投稿日: 2022.11.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うーーん、というのが素直な感想です笑はっきりと断言することの出来ない薄気味悪さが夫婦の日常の中にあります。 最初は顔が似てくることでマンネリ化してる生活を暗喩しているのかと思いましたが、そうでは無いようですし…。難しい! ただどの話にも猫や犬が出てきたのでそれらの動物が物語の重要な鍵なのかとも思いましたが、私にはわかりませんでした

    0
    投稿日: 2022.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結婚や家庭に関する寓話4作。根底には人と関わりたくない思いがある気がした。 結婚すると互いに似てくるとはよく言うけれど、それを溶解していく妖怪のように描いたのは風刺がきいてて面白い。粗相をするからという理由で山に捨てられる猫のサンショと、主人公のサンちゃんは名前が似ているし、夫婦は互いに尻尾から食べ合って頭だけが残る蛇ボールだという話を聞く時サンちゃんは鰻の食べ比べ弁当に山椒を振って食べている。最後に山芍薬になった夫を、サンショを捨てた山に植えに行く。隣に咲くよく似た竜胆はサンショであってサンちゃんなのだと思う。 キタヱさん夫婦や弟カップルの様に似ない夫婦もいて、それは間に「何かを挟んでいる」ということなのだろうが、意識的にそうしない限り飲み込まれていくのが結婚なのかもしれないし、そうして似た者同士になった2人だけで人間であることをやめて山でひっそり生きるのもいいなと私は思う。人間社会で夫婦として生きていくのはストレスフルなのかもしれない。 「藁の夫」は解説を読んで、たしかに口うるさいだけの夫をどろどろに溶けた楽器ばかり吐き出して後には家畜の飼料のような藁しか残らない人間に見立てているとしたら相当面白いなと思った。

    2
    投稿日: 2022.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一番初めの夫婦が顔が似てくる、と言う話が興味深かった。溶けて混ざり合って、一緒になることを拒否することもできるし同化を望むこともできると言うのは単なる比喩表現ではないと感じた。でも、猫を山に〜のところは理解できなかった。

    0
    投稿日: 2022.09.29
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    本谷有希子4冊目くらい 古本で購入 短編集「異類婚姻譚」「トモ子のバームクーヘン」「犬たち」「藁の夫」 文体がとても読みやすい、以前読んだ短編集の猫殺しと殺人ハウスが怖すぎてもう読まない!と思ったけどやはりちょっと気になってしまう棘が、この本はそこまで恐怖でないまでも存在している〜 解説の通り家庭に閉じ込められそうな女性は「主婦」一括りではなくその中の恐怖安寧驚きの機微を映し出しているところが愛おしいなと思った。まだ描かれていない感情を全部描く。

    0
    投稿日: 2022.09.09
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    文藝春秋で読む。旦那と混ざり合う、私サンちゃん。夫婦が似てくるとはよく言うが、蛇ボールのように、食わせ合う図はゾッとする。夫婦とは、そこまで密な関係になることなのだろうか。自分がなくなり、相手を取り込むこと。 なんとか人のカタチを維持しようとする旦那。あなたは一体、、、摩訶不思議な話ではあるが、おとぎ話じゃなくて、もっと現実味を帯びた、、、ここまではいかずとも、似た現象は起きているのではないかと思ったりする。結婚してないけど。笑

    0
    投稿日: 2022.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    言い知れぬ不気味さと不快さがあった。 唾や揚げ物の表現はねっとりと絡み付く感じで読んでいて気持ちの良いものではなく、でもそれは夫婦間や男女感の例えなのかな。 好んで選んだビュッフェをたくさん残す、猫を飼い始めたときは考えもしなかったが山に捨てにいく。 依存し合う関係を見直し新しい道を選ぶ作品だと思った。

    0
    投稿日: 2022.05.01
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    異類婚姻譚は、結婚のリアル?を描いているのかなと思った。 他の三篇は私には難しくあまり理解できなかった。藁人間とは、本当に藁人間が存在する世界線なのか、それとも人間の夫が藁人間のように見えてしまう妻の目線なのか謎が多い、、、

    0
    投稿日: 2022.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【あらすじ】 専業主婦のサンちゃんは、ある日自分の顔が夫とそっくりになっていることに気づく。二匹の蛇が、互いの尻尾に食いつき、やがて頭だけの蛇ボールになるように、夫婦の境界がなくなっていく。夫と同化することに恐怖を覚えたサンちゃんは、夫に「好きな形になりなさい」と告げ、夫は山芍薬になる。 ほか、短編3篇。 【感想】 自分の夫婦関係になぞらえて、興味深く読んだが、他の短編も含めて、ホラーのようで少し怖かった。若干情景の表現が薄いような気がした。

    0
    投稿日: 2022.03.06
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    結婚であり家庭であり。書かれている中身は大人びている。 でも読んだあとは何故か懐かしい、子供の頃に読んだ日本昔ばなしを思い出させる。

    2
    投稿日: 2022.02.25
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    結婚すると夫婦は似る、と言う。 面倒くさがりな夫の顔が気を抜くと適当な配置になっているのを見て「私はいつ人間じゃないひとと結婚したんだろう」と思う。 それを寓話的に描いている本作。愛猫の粗相に悩むキタヱさんの話と相俟って、まさに異類婚姻譚と姥捨て山を現代風に語り直したような、不思議だけど示唆的な話だった。 他3編も面白い。

    0
    投稿日: 2022.01.14
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    専業主婦の私は自分の顔が夫とそっくりになっていることに気付く。 第154回芥川賞受賞した表題作ほか、短編4篇。 怪異とまではいかないけど奇妙な感覚の残る話。 そっくりの夫婦、飼い主と犬はいるよね。なぜか。 あの不快感を抱かせる夫が綺麗なものになるのは、ちょっと納得いかないけど

    0
    投稿日: 2021.11.28
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    異類婚姻譚 忌む対象が自分の鏡写しだったことに気づいたときの嫌悪感。 犬たち 人外への憧れなのか、それとも現世から脱出したかったのか どちらか分からないけれど刺さる。

    0
    投稿日: 2021.11.02
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    読書開始日:2021年9月3日 読書終了日:2021年9月6日 所感 【異類婚姻譚】 夫婦は顔も似てくるとはよく言われる。 今まで自分が聞いて聞いてきたケースは微笑ましさまじりだったが、本作はその真逆の恐怖めいたケース。 というよりも自分があまりにも若造で、その夫婦の背景、その言葉の裏側や、発言する人の心境を正しく受け取れていなかったと思う。 サンちゃんと夫には嫌悪感を抱く。 自分の弱さをひけらかし受け入れられた途端に開き直り、全ての責任や厄介事を押し付けてくるその態度が、本当に気にくわない。 こういった人物は実生活でもしばしば出会うが、それが結婚のパートナーであるとなおさら酷だ。 しかしながらサンちゃんも、夫との生活を逃したくないという潜在意識から、夫のすべてを自分の責任とするかの如く許し続ける。 夫はそれを見越していて、さんちゃんの最後の抵抗すらもいなし、蛇ボールでいう「食べさせていたつもりが食べさせられていた」ことをさんちゃんに実感させる。 そうして夫は最終的に、同化を成功させる。 キタエもサンちゃんの弱さにつけ込み「猫を捨てる行為のすべての責任」を押し付ける。 キタエの罪の意識からの逃避にもかなりの嫌悪感を抱く。 恐らく最終的には夫は体調が戻らず死に、同化したサンちゃんは、夫の潜在的な願いを知る。 綺麗な一輪の花となり、現実の喧騒からは無縁な世界で、皆から手放しで「綺麗」とほめてもらいたかったのだ。 なんとも身勝手な野郎だと思う。 自分はこれから結婚をしていく予定ではあるのだが、もし念願叶った場合は、微笑ましい意味での似通った夫婦になりたい。 ただ間違いなく、表裏一体で、いつ恐怖の意味での似通った夫婦になるかもわからない。 責任は別個だ。 【犬たち】 井戸に落ちた瞬間に主人公の女性は死んでしまったのか。 白い犬たちはサンタクロースだったのであろうか。 恐らく後者で山小屋についた瞬間からプレゼントの準備は始まっていて、彼女が望んだ世界は死だったのだと思う。 【トモ子のバームクーヘン+藁の夫】 ランニングの時にて将来の夫婦像を夫と話していた段階から嫌な予感が漂っていた。 どうしてこのような夫が存在するのか。 まさにすかすかの藁だ。 トモ子は本書通りまさに荒野クイズの参加者だ。 「ほんの少しの弾みで自分の重苦しい層が外側に吹き出してしまいそう」という一文にも合点がいく。 そのうち夫を燃やす。 このような自分の思想とは遠く離れているような危険oを必要以上に意識することは、同意できる。 異類婚姻譚 いつのまに私は人間以外のものと結婚してしまったのだろう 蛇ボール 声は出なくとも目の奥が笑っている 犬たち トモコのバームクーヘン この世界が途中で消されてしまうクイズ番組 ほんの少しの弾みで自分の重苦しい層が外側に吹き出してしまいそう 藁の夫

    1
    投稿日: 2021.09.07
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    一昨年読んだのを急に思い出してまた読みたくなって、異類婚姻譚だけ読んだ。 一読しただけでは内容がうまく飲み込めなかったため、解説を読んだ。そしたらとても単純なことに気づいた。姥捨山と離婚の話し。

    0
    投稿日: 2021.06.06
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    あんまり読まないジャンルだったが割と楽しめた。 現代の寓話というか、ブラック御伽噺のような作品。 主婦の家庭への仄暗い先のなさへの絶望とそれに対する希望みたいなものが小説じゃないと出せない部分で描かれている。 夫婦はそこまで自己の深層を共有しなくてもいいんじゃないかとはこの本で思った。

    0
    投稿日: 2021.05.23
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    夫婦や家族に対してのどこか共感できる感覚を、奇妙な設定、展開に落とし込み描いた、芥川賞受賞作を含む中短編4編を収録した作品集。 専業主婦の私が、夫と顔が似てきていることに気づくところから始まる表題作「異類婚姻譚」。これは私の夫に対する態度や感覚がリアル。 夫が道に痰を吐いたことを注意され、謝罪しながら痰をふき取る私。すると注意した相手は「やくやるね、あんたの痰でもないのに」とぽつっとつぶやく。 この場面が印象的だった。夫の不始末をわがことのように謝り倒す妻。当の本人の夫は知らん顔を決め込む。どこかにこんな夫妻がいそうに思われる。 私の夫というのは話全体を見てても頼りなく、それでいていろいろなことを妻に任せっきりにするダメ夫のように描かれます。 こうした夫に対する妻の苛立ちや、あるいはあきらめの表現が独特で面白い。だらしなくバラエティー番組を見ている夫の顔がどんどん歪んで見えてくる、といった表現は、鋭さとともに、怖さも感じる。自分もだらしなくしているときって、そんなふうに見えてしまっているのではないか、と。 一方で終盤の夫から私への切り返しが痛烈で、これも怖かった。ずっと頼りなく怠惰だった夫。常に理は妻である私にあるように思われたのだけど、切り返しの場面に至ると、その理も妻の夫への違和も怠惰も何もかもが、溶け合ってしまうような不気味な感覚に陥ります。夫妻の顔が似てくる、というのをこう表現するのか、と怖さとともに思わず感心もしました。 他3編も設定は突飛なのだけど、不思議と共感できる部分も多い。「トモ子のバウムクーヘン」の日常生活すべてが誰かに作られたものではないか、とふと妄想してしまう感覚もそう。 そして「藁の夫」もなかなかぶっ飛んだ設定。藁の夫とは、たとえでなく本当に藁でできた夫なのです。藁の夫との口喧嘩から、空想の世界はさらに広がっていき、女性心理がこの世界ならではの表現で切り取られる。 収録作品いずれも、どこか共感・理解できる部分があるのですが、その表現方法が今までにないものばかりでした。現実的な話がある瞬間、空想的なイメージにとって代わられるだけど、その空想の意味、表現の意味を考えると、今の社会のどこかに転がっていそうな、夫婦や家族の違和がそこに映し出されているように思える。 多分表面的にこの『異類婚姻譚』の収録作を読んでいくと、戸惑いしか残らないと思う。その物語の世界観や表現に何が託されているのか、ふと考えると、面白みがより増す作品集だったと思います。 第154回芥川賞「異類婚姻譚」

    3
    投稿日: 2021.05.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々に読書 幸せハッピーイケメン妖怪と結婚♡を想像して読んだので落差で辛くなったが、自分の核を持っていない人間が結婚したら相手に同化することもあるのかもしれないと思えた 特に外との関わりが希薄で相手に縋って生きるのはやはり怖い

    0
    投稿日: 2021.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    よくわからない話だった。 夫婦になると顔が似てくる。目や口、鼻の配置がだんだんと一緒になるという話。同じマンションに住むおばあさんからそんな話を聞いたあと、主人公は夫の顔のパーツが動いていることに気づく。夫はどんどん変わっていく。はじめは顔のパーツがうごくだけだったのが、最後は植物になる。ちょうどおばあさんが猫を山に捨てに行ったように、主人公も植物となってしまった夫を捨てに行くという話。 よくわからない。最後までわからなかった。でも、文章にすごく引き込まれた。夢中になって読めた。 夫婦とか家族とかの距離感についてかいてるのかなあと思った。 藁の夫がシュールで好きだった。

    1
    投稿日: 2021.02.18
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    本谷さんが書く小説が好きです。 その中でも今回の本は間延びもなくテンポも自分好みで一気に読み切ってしまいました。 そして…ラストの余韻が最高でした。 本谷さんの毒ぽい台詞も良かったです。 「人でなしと思わないでね。 ごめん。嘘。人でなしと思ってくれたほうがいいや。」とか。ちょこちょこした会話も、 なんかツボりました。 本谷さんが書く小説の登場人物たちが、 自分の人生に関わってきたら絶対やだな。関わりたくないなーって笑。思うのですが、本当にみんな滑稽でどうしようもなく好きで。本谷さんの本を読むとストレス解消になります。

    2
    投稿日: 2021.01.17
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    人間が妖怪みたいな話。 よく分からない。家族の奇妙さってことなんだと思う。家族であることは、心地良いけれど、そこに何か歪みが生じる。その違和感にかき乱される人間を妖怪っぽく捉えたのかなぁ。

    0
    投稿日: 2020.12.17
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    全く前情報なしで本屋さんでぽいっと購入。 この本はどのジャンルの話なんだろう日常ほんのり不思議寓話的なものなのかなと読み進めてしばらく。山でも駄目です。どこでも駄目です。私的にそれは絶対駄目ですというエピソードが出てきてしまって読み進めるのがキツくなった。地雷なんだろうな…。 共感を覚えにくいなんだかふわふわした人たちの話だった。 女性性を掘り下げるというか掘り起こすというか、こういう系は苦手です。

    0
    投稿日: 2020.11.20
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    これまで当たり前だと思ってきた周囲の人、もの。 それがあるきっかけで、異物のような相貌を見せる。 そんな「体験」を、女性の立場から描いて見せた作品のような気がする。 たとえば漱石の「それから」の末尾。 世界が真っ赤になって、ぐるぐる回るというのも、代助の内面に従ってき世界が見慣れないものになってしまうのだと理解する。 精神の危機が描かれた場面と言うことだろう。 男性を主人公とするそういう描写は珍しくない。 本作の場合、〈犬たち〉を除けば、夫のいる比較的若い女性を主人公にしているところに特色がある。 夫婦、家族の関係に追い込まれていく女性。 「異類婚姻譚」では、楽をすることに執着し、共依存の状態に妻を追いやる、しかしどこか憎めない夫。 妻のサンちゃんが、旦那を振り捨てるまでの過程に引き込まれる。 しかし、このシュールな結末。 私は嫌いではないが、好き嫌いは分かれるところだろう。

    0
    投稿日: 2020.09.02
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    異類婚姻譚/トモ子のバウムクーヘン/〈犬たち〉/藁の夫 の4作を収録 正直なところよく分からなかった。(こじつけて理解する必要もないのだろうけど…) 言い表すならば「奇譚」だろうか。日常の中にいつのまにか異質なものが紛れ込んでいて、ある日突然それに気づいてしまった時のゾッとした感じ。一方で異質さは日常に溶け込んでいて、正常との境が分からなくなる。 少なくとも〈犬たち〉以外の3編は、生活の中に潜む違和感だったり不幸せだったり、歯車のずれているような部分に実体を与えた奇譚っぽいと感じた。 〈犬たち〉は本当に分からない。分からないけど白い犬が可愛かったので割と好きだった。

    0
    投稿日: 2020.04.11
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    奇妙な雰囲気が印象的な短編集。 怖い、、んだけどそこまで怖くないというか、 じわじわ後から怖くなるような不思議な本。

    0
    投稿日: 2020.03.24
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    どの短編もじんわりと何かスッキリしないような後味がある。不快な感じはしないけど、読んで良かった!みたいな爽快感や充実感はない。ただ、女性の感情の描写はリアルに描かれていたと思う。好き嫌いが分かれる作者さんかなと思った。

    0
    投稿日: 2020.03.08
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    余韻で胸焼け中。こじらせた女と崩れまくる男。どこまでも融け合って一つになるなんて想像しただけで吐き気がするけど、「家庭」という器の中で“個”を手放した瞬間、ずるずると溶解は始まるのです‬。

    1
    投稿日: 2020.03.07
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    夫婦って元々は他人だったわけで、その2人が死ぬまで一緒に生活するシステムっていうのは実はかなりいびつでホラーなのかもしれない。 表題作はその夫の得体の知れなさを描きながら、でも夫は怪物ではないところに足場が安定しない感じがあって面白かった。 『トモ子のバウムクーヘン』みたいに日常が突然別物に見えるようになったらかなり怖いと思うな

    0
    投稿日: 2020.03.01
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    表題作と藁の夫がとても良かった。 解説はかなり作者ヨイショというか女性としての立場からかなり踏み込んだ解釈をしてた(解説でこんなに踏み込んだこと書いてるの見たことあんまない)けど、僕としてはDV夫という発想はなかった(ということは自分もDV夫になる可能性あり?笑)。 たしかに夫はヤバいんだけどめちゃくちゃ男と女、の男の論理と感情をうまーく描いているんだよね作者は。もちろん言わずもがな女もだろうけど。女も女で嫌なやつやなとは思ってしまう僕(男やからかな?) にしても寓話的で非常に珍しい読書体験をした。小説ってこういうジャンルもあるから面白いよね。

    0
    投稿日: 2020.01.07
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    「家庭」、「夫婦」という日常的な関係やストーリーが途端に異質なものに見えてくるような話。特にぞっとしたのが『異類婚姻譚』。本来誉め言葉である「似たもの夫婦」、本当に互いの容貌が変形し、役割や存在がどろどろと溶け合っていく不気味さ恐ろしさがこの話にはある。短編4つともそれぞれが独特で面白い、そして一貫して妙なリアリティーがある。

    0
    投稿日: 2019.11.11
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    普通の日常から、すっとスライドしてフィルターがかかって、内面世界を通した現実を見せていく。好き嫌いはあるかもしれないけれど、まぁ、よいのではないかな。

    0
    投稿日: 2019.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    偶然手に取った「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(図らずしも本谷さんのデビュー作)でその色彩鮮やかなストーリーに感動し、気になる作家さんとなった本谷有希子さん。本作は芥川賞受賞作品。期待を抱いて読み始めたこの異類婚姻譚を含む四つの作品の短編集は、いずれも結婚や家族をテーマとするもので、皆が見て見ぬ振りをするズレや抑え込む違和感を毒々しい鋭さを持って表現しています。 顔が似てくる夫婦を現代的な寓話に昇華し、夫婦という関係性の仮面で隠しつつも、その腹の内は、互いに甘え合い、軽蔑し合い、依存し合う、実利的な関係で成り立つ現代の結婚への皮肉を感じました。 トモ子のバームクーヘンや藁の夫からも、理想的な夫婦・家族とされる日常の薄いヴェールのすぐ裏に潜む残酷さに戦慄しながらも、また日常に何食わぬ顔で戻る女の強さや図太さを感じます。 純文学ながらここまでヒヤヒヤわくわくした小説は初めてかもしれません!本谷さんのほかの作品も読みたいなぁ。

    0
    投稿日: 2019.10.24
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    正直、難しいなぁ、と思いました。笑 でも、久しぶりに怪奇な物語を読んだ刺激はありました^_^ 「芥川賞」と帯に書いてあったので、期待して買ってしまった。本谷さんの作品を読んだことはないので、これが、初めてになります。 人間同士の結婚のはずが、人間らしいだけで、「他の何か」になっていく様は、まさに異類婚姻譚です。 ただ、ちょっと好みもあるのかなぁ。 ちょっと喩えが抽象的すぎてわからなかった。 でも、言わんとしている、「現代の専業主婦」の退屈だけど、幸せ、少しずつ夫に顔が似てきて、そのうち蛇のようにお互い丸呑みして、一つになっていく、ような発想はすごいと思いました。 骨のある、とこ手応えのある、と言いたいところだけど、どちらかと言うと、ふにゃふにゃした、くにゃんとした、はっきりしない、「正体不明」なまま終わっていく作品ばかりでした。 それが狙いなのかもしれませんが、読み終えて、スッキリはしませんでした。笑 それも狙いかもしれませんね。 奇妙な世界への入り口だと言えるでしょう。

    0
    投稿日: 2019.09.05
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    異類婚姻譚は、あまり合わなかった。 犬たちと、藁の夫の話が好みだった。 本谷有希子の本ははじめて読んだが、ファンタジー要素が強く、意外だった。現実とファンタジーが微妙に入り混じり、ぐらぐらとした不安定な物語だった。

    0
    投稿日: 2019.08.08
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    タイトルの「異類婚姻譚」の譚が、奇譚?と思ってたのと、表紙の昔話ちっくなテイストで、 不思議な物語なのかなという感覚はあったが、 まさにそうだった。 今まで読んだ本谷有希子のどの小説ともちょっと違った。 表題作を含めて4編全て 世にも奇妙な物語のような感じ。。 ・異類婚姻譚 同じマンションに住む、サンショという猫を飼っているおばあさんがとても良い味を出していたなあと思う。 おばあさんが何か話しをすると、三枚のお札みたい、とか それって「耳なし芳一」みたいなことですか、とか 昔話のタイトルが出てくる。 顔がそっくりになって石に身代わりをさせた友人の話や、主人公の弟の彼女の蛇ボールの話、ぞくっとする感じの小話が多かったから最後に旦那が山芍薬になったのは何故か少しほっとした。 全編通しても言えることだが、少し現代の夫婦のメタファーめいたものを感じた。 たぶん普通に表現したら、ただたんに夫婦が離婚しただけの物語になる気がする。 それをこんな奇譚にすることで一気に雰囲気は変わってしまうんだなと思った。 ・トモ子のバウムクーヘン はじめちょっとだけ幻聴や幻覚が見える主婦の話かと思ったけど、主婦の孤独のような、温かい家庭がありながら、自分は他の世界から断絶されていると感じるものかもしれない。 それはたぶん母が昔にこぼした、自分はこの家で誰とも血が繋がっていないからという言葉が原因だと思う。 私や兄たちは、間違いなく母から産まれて血が繋がっているはずなのに、そう呟いた母はとても大きな孤独を背負っていた。 ・<犬たち> 4編の中では個人的に一番好きな物語。 特に最後、主人公が犬と同じ白い毛が生え始めたというところは、何か幻想的な感覚だった。 犬に「合格」といわれてから、幼い頃「朝起きたら自分以外、誰もいなくなってればいい」とサンタクロースにお願いしたことが現実になる。 グリム童話みたいな、少しメルヘンちっくなところがとても良かった。 ・藁の夫 異類婚姻譚と同じ雰囲気の話。 藁でできた夫を完全に案山子で想像してたのだが、これも現代の夫婦のメタファーのような感じ。 ただ楽器が何を示してるのかは分からないけど(解説では小言となってた)、夫婦だけでなく誰も内には何かを秘めていてそれが何であれ爆発してしまうことはあるよなあと思った。

    0
    投稿日: 2019.07.12
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    普段は短編ってあまり読まないけれど、芥川賞ってことで読んでみた。(この作家さんの本は、そもそも全体的に短い話が多い気もするけども。) 感想は全体的にシュール。受賞作が一番面白かった。他の話はもはやよくわからない。よくわからないけれど、サクッと読み進められるのがいいところかもしれない。

    0
    投稿日: 2019.04.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ◯主婦が全面に出てくる作品4作(1作例外) 表題作に惹かれて購入した。昔話の異類婚姻譚が好きなので。 中身は完全な現代小説で、生々しい主婦の心情が、軽く読みやすい筆致で描かれている。 ただ、短編集で4作収録されているのに、ほぼ全て同じ、主婦の心情がテーマなのはどうかと思う。(「犬たち」は少し違うけれど。)文体が読みやすいだけに、一気にさらさら読めてしまい、最後にはまたこのパターンかあ、という気持ちになってしまった。 ◯現実と幻想のあわい 4作ともに見られる特徴は、現実と幻想の境目が曖昧なところで、気に入った点でもある。まさにあわい、という響きが似合うような描写が多い。 テーマがありふれた主婦の姿だけに、幻想の描き方に特徴が出ている。 ◯各作品について 「異類婚姻譚」夫が自分に似てきて、最後には花になる。男女の役割分担がなくなっている現代を表象している。ここでの花は、何もせず、そこに存在するだけでいいもの、許されるもの、としてあった。何もしたくない、の最終形。 変化、融合の恐怖と、惰性の恐怖を描く様は見事。 「(2作目、タイトル忘れた。トモ子のバウムクーヘンとかそんな感じ)」クイズ番組?これはよく分からなかった。日常に潜む姿の見えない、言語化できない不安を描いているのか?私がそもそもクイズ番組自体全く見ないから、表象の意味がとれないのだろうか? 「犬たち」 これもテーマは謎だが、意味不明という点で1番昔話に近いように思う。昔話は割とこんな感じで、理屈がないのがいいところだと思う。主人公は主婦ではないが、「閉じられた世界にいる女性」という設定は共通している。 「藁の夫」 スカスカで燃えやすい(軽薄で怒りやすい)から藁なのか?と思った。普段楽器が詰まっているわけだから、その楽器で妻や周囲の人を楽しませているのだろう。楽器はコミュニケーション能力或いは他人に気を使う能力、で、怒るとそれが抜け落ちる。そしてそれがなくなった夫には、スカスカの燃えやすい藁しか残らない、と。 この夫から、この妻はどんな風に見えているのか?気になった。 ◯他の作品 この作者の方の他の作品が読みたい…ほどではない。女性性を全面に出していないものがあれば気にはなるかも。 1番の売りなのはとてもよく分かるが、文体が読みやすいだけに他のものがあれば…と思ってしまう。

    0
    投稿日: 2019.04.02
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    斉藤美奈子さんが解説で、こじらせ女子のお話と喝破していたが、こじらせ女子の思考回路ってこういうことなんですね・・ 分かるような分からない気がしますが、似た者夫婦のお話を、ここまで面白く読ませる筆力は大したもの。少しだけ「異類婚姻譚」の旦那に似ている私は結末が怖い。

    6
    投稿日: 2019.03.25
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     基本的な型のようなものがある人。結果、劇にしたい。でも、劇と小説は微妙に違う。読んでいる間、ずーっと感じ続ける違和感は、たぶん、そのあたりのこと、じつはよくわからないんだけれど、と関係があるような気がする。怖そう―なんだけれど、それって、怖いか?って、最後に言いたくなる。なんか、聞いたことのある感じがするよねって。岸田戯曲賞をとった「ありがとうマジで」を読みなおそうかと思っている次第。うーん、きらいじゃないんだ。とほほ。  正直、舞台が見たい。それが本音。小説として、こういう書き方を面白がれる感受性が、どうもないようだ、ぼくには。

    0
    投稿日: 2019.02.15
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    夫婦の日常の中に生まれる違和感を描いた短編・中編集。誰かの存在が日常になるということは、もしかしたら少し気味の悪いことなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2019.02.15
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    異類婚姻譚 トモ子のバウムクーヘン 犬たち 藁の夫 第154回芥川賞 著者:本谷有希子(1979-、石川県、劇作家)

    0
    投稿日: 2019.02.14
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    主人公の「サンちゃん」って正しい名前は何だろうと思いながら、読んだ。 山芍薬になりたいと思っていたのなら、仕事はしないだろうな。 他の三篇も不思議な物語。何か寓意があるのだろうか。

    0
    投稿日: 2019.02.11
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    気になっていた著者の本だったので、楽しみに読みました。4話ともあと味が不思議な昔話を読んだあとみたいな感じました。とくに一作目の異類婚姻譚は、結婚についてかかれていて、他人との境界線が無くなる感じなのか、、と思うと、結婚に対しての意識が少し変わった気がします笑

    0
    投稿日: 2019.01.30
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    他者との婚姻なら,決して完全に判り合える関係にはならない.人類同士であったとしても同類なる関係などなく,その異なる類間でどのように関係性を築くのか,理解しようとするのか,を主婦という視点から描く.結局のところ,判り合えず,その違和感を相手の顔という境界の崩れによって表現し,物体に近づけることによって違和感を拭い去ろうとする.主婦から見た家庭の夫とは斯くも悲哀に満ちた生き物なのだろうか.

    0
    投稿日: 2019.01.11
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    これはじわじわ染みる毒。気付きたくなくて自然に目を逸らしていた夫婦の歪みに、むりやり向き合わされたような不安と恐怖を覚えた。 展開はどこか幻想的でありながら、心情はリアル。生々しい現実というよりも、乾いた真実ともいうべきか。生々しく劇的、そんなものではなく「あぁこんな風になっちゃった」という諦めにも近い、さらさらとした心になる。 私も境遇や性別が主人公たちに近いからだろうか。

    1
    投稿日: 2019.01.09
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    タイトルに惹かれ文庫化待ちでした。 面白かった。物語がどこへ行くのかわからない。 ホラーとも思えるし、めでたしめでたしとも思える。 わたしもよく雰囲気似てる夫婦だねって言われます……。

    0
    投稿日: 2018.12.29
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    今年28冊目。 芥川賞受賞作。 日常の風景が歪んでいく様というか、 日常に潜む、嫌な隙間を突くような話。 千と千尋の神隠しのような世界観っぽくて、 概念が妖しく描かれていて、 恐ろしくもあった。

    1
    投稿日: 2018.12.27
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    不思議な世界、発想がすごいなぁ〜 異類婚でもハッピーならいいのになぁ〜 シェイプ・オブ・ウォーターを観た後だったので、なおさらです。

    0
    投稿日: 2018.12.01
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    あー……っていうか、うわー……っていうかw これ、結構コワかったりするよね?? しかし、まぁ、なんだなぁ〜、本谷さんには、不可思議な魅力があるのよねぇ〜……。

    0
    投稿日: 2018.11.27
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     猫を用いた可愛らしい表紙。単行本は気持ち悪い(?)感じだったけど、内容が一歩間違えば不快感を持ってしまう人もいそうな小説だけに、これはアリだなと思った。  旦那がクソ過ぎてクソ。クソだなぁと思って最後までクソだったなと思ったら、そのクソと結婚した相手にもまぁ何かはあったわけで・・・という、極めて近い人間関係が齎す発酵が描かれる。もちろん、別の夫婦の登場もあり「結婚はクソ」みたいな偏狭な方向には行っていない。  気味悪さと美しさが同居する昔話的な妖しさを持ちつつ、家庭という人間関係の明るい面も暗い面も描かれてる。どん詰まりに見えるストーリーがいつしか突破口を見出す感じも、閉塞的なだけで終わらず読後感が良い。まぁ、突破口というか破綻というか、ハッピーエンドと言い切れない部分もあるので、もやもやはするけれど。

    3
    投稿日: 2018.11.17
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    芥川賞作品なのに読んでいなかった。文庫本のカバーが石黒亜矢子さんで可愛すぎると購入。そして一気読み。異化の話は大好物です。日常が私たちの知る日常とは、違って少しずれた世界を生きている人たちの物語は大好物で、この中のいちばんは『トモ子のバウムクーヘン』最高でした!

    1
    投稿日: 2018.11.14
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    前から気になっていた作家の、芥川賞受賞作品の文庫化。なるほど、こういう作風なんだ。ここに収められたのは、不思議な味わいの中短編×4編。あとがきの言葉を借りるなら、”こじらせ女子”に纏わる物語たち。表題作は、異類ってどういうこと?って思いながら読んだけど、なるほど化け物のことだったんだね(ちょっと違うけど)。他もなかなかに味わい深くて、結構楽しめました。

    0
    投稿日: 2018.10.27
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    夫婦という法律で型の決められた関係性に落ち着き、その安寧と倦怠に浸りきっているなかで、何でもないふとした瞬間に、身内も身内と思っている配偶者の全く知らない別人のような一面を垣間見た時の不安とグロテスクさ。毎日顔を合わせて食住を共にしても、相手を完璧に分かりきるということなんてあり得ないのだ。 本作は寓話だけど、誰にでも当てはまる現実を寓話にしているに過ぎないと思う。そもそも結婚というのは、生物学的に人間同士だろうが何だろうが、本質的には「異類婚姻」と言っても過言ではないのかもしれないし、そう思っているくらいの方が楽なのかもしれない。 お互いを分かりあって一心同体で一つになる二人よりも、そもそも完璧には分かりあえないということを前提として折り合いをつける別個体同士としての二人、という方がしっくりくる。

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    投稿日: 2018.10.21
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    お酒を飲んだら足元が浮いた気持ちになって、 ふらつくみたいに。 どんどん沈んでいく。 ベッドの底。地面が抜ける。バンジージャンプ。 どれもそう。 私たちが落ちる高さは同じところ。 底の深さが違うだけ。 そこに気づけば男の人も怖くない。 解説はあまりよくなかった。

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    投稿日: 2018.10.19