Reader Store
脇役艦長の異世界航海記 ~エンヴィランの海賊騎士~1
脇役艦長の異世界航海記 ~エンヴィランの海賊騎士~1
漂月、えっか/アース・スター エンターテイメント
作品詳細ページへ戻る

総合評価

1件)
5.0
1
0
0
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     大航海時代程度の文明度の異世界に迷い込んで、空飛ぶ戦艦で世界を股に掛けることになった主人公のヒロイックサーガ第一弾である。  過大な力を得て戸惑いながら、その場その場で英雄的な強い意志を見せる人々を助ける「脇役艦長」を演じる主人公の物語であり、本筋は故郷たる日本へ帰ろうと彼と戦艦の右往左往である。  心理分析テストによるとSP群C型、通称”サメ殴りキャプテン”であるところの主人公は、ある種の誘導を受けながら人が簡単に死んでいく世界でバッタバッタと敵をなぎ倒しながら進んでいく。  最後に収録されている、かつて私掠船に乗って活躍した海賊と対峙する「最後の海賊」の章などは実にハードボイルド。物語に良い余韻を残す結びとなっている。  なお、この作品は同じくアーススターノベルから「人狼への転生、魔王の副官」を刊行している漂月さんの新シリーズであり、こちらもまたネット連載をまとめた内容となっている。  内容面では当然同じ筋立てで物語が進むが、この方はブラッシュアップや加筆に優れていて、この作品内でも目を惹く加筆が多い。  書き下ろしの「ポッペンの帰省、あるいは氷海の大決戦」なども楽しい読み物だった。ソラビトペンギン音頭の創作なども、世界を広げる類の小ネタだろう。  総じて優れた書籍化作品である。一冊の本として読んでも楽しく、ネット小説の方のファンとしてもお金を払う価値のある作品だ。  ナンバリングされていないのが心配されるところだが、これからに期待する意味も込めて星五つで評価したい。

    0
    投稿日: 2018.09.07