
総合評価
(22件)| 4 | ||
| 5 | ||
| 11 | ||
| 1 | ||
| 0 |
powered by ブクログ「死とは生きている人間に何を与えるのか?」ということが、自分の中での、この作品を読んでみての大きなテーマだった。「死」という事実にどんなストーリーを持たせるか、求めるのかは、個々人の生き方に依るところが大きいのだと思う。 その意味で、主人公、矢口と小日向はとても対照的で、だからこそ惹かれ合うのだろうと感じた。 本自体としては、誤字脱字が多く、読みづらいけれども、そこを脳内で補完できるのであれば、自分を映す鏡にできるだけの価値はあると感じる。 読んでみて自分が残念だったことは、推理の要素のアテが外れたことだ。 そこかしこに、ヒントは散りばめられていたが、それを丁寧に汲み取れるには、まだまだ読み込みが足りなかった。
0投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログちょっと重めのミステリ。 榎田ユウリ先生の文章が好きなのもあるけど、この暮さんの描いた表紙絵がどストライク過ぎて購入した一冊。 もう文庫にもなっているけど、文庫の表紙が桜の写真に変更されているのは少し残念。 表紙の装丁的には断然!単行本がオススメなんだけど、文庫の桜表紙にもちゃんと意味があるのでご注意を。 ストーリーは、主人公の矢口が中学時代を過ごした雨森町に引っ越してくるところから始まる。 偶然再会した同級生たちと話すうちに、恩師の担任が亡くなっていたことを知る矢口。突然亡くなった恩師は、事故死だったのか自殺だったのか。恩師の死の真相を追ううちに、いくつもの死が絡み合ってくる。 テーマは自死に残された人達だろうか…。 榎田先生らしいポップな会話の中にいくつもの死が絡み合っていて、重苦しいけれど読みやすいのが救い。 どんどん話が進むので、ミステリが苦手な方にもオススメ。
15投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログ話が流れてくるまでの前置きが長かったー。流れ始めたらすんなり読めた。 あまり本読まない人でもサラッと読めそう。キャラもしっかりしてたし楽しく読めた。
0投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ最初はうーんって感じで読み進めてたらだんだん面白くて、あの時の伏線がここに!!ってなってきて、流れもよく、遅すぎず、早過ぎずで、面白かったです。 大した伏線ではないけど、小さな伏線がたくさん散りばめられていて、見つけるのが楽しいです。
0投稿日: 2024.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
生活感のない部屋に憧れる。物が少なくてすっきりとしていて家具とかラグの色が統一されているような、そんないい感じのシンプルな部屋。 でもたぶんそれは無理だと思う。なぜならごちゃつかせている色んなものが自分の生活であり、人生だから。 『矢口弼は38歳、元税理士。離婚を経験して仕事にも疲れた矢口は、中学時代を過ごした南森町にひとりきりで戻る。新しい住まいは、かつての同級生・小日向の営む喫茶店「レインフォレスト」の上階。外見は変わっても中身は子どものままに騒々しい小日向に矢口は面食らいながらも、少しずつ雨森町になじんでいく。 そんなふたりにもたらされる恩師の死をめぐる謎。 先生の死は事故なのか?あるいは、生徒からのいじめを苦にした自殺?23年前の真実を求めて、矢口と小日向は元クラスメイトを訪ねるが―。失くしたものも、ふたりでなら見つけられる。 喪失を抱えた者たちの人生を全力で肯定する物語。』 筑摩書房 この春、とうに死んでるあなたを探して 紹介ページ 榎田ユウリ先生の本はBLの榎田尤利名義でいくつか作品を読んだことがあった。 でも一般文芸は初めてでどんな感じの本なんだろうと気になって図書館で借りてみた。 矢口と小日向は38歳のアラフォーで立派な大人なのだけど、中学生のころの担任について調べるためにかつてのクラスメイトの元を訪れて話を聞く。 それによって思春期特有の友達とのじめっとした距離感とか、内にこもった鬱屈した感情が見えてくる。 それでもそれがあまり嫌な味つけに感じないのは、あくまでも主人公や登場人物がすっかり大人になった地点からそれを語っているからだと思う。 全体を通して情景の描写も含みつつも文章のリズム感がよくて引き込まれた。 こういう文章が書けるようになりたい~!文章が上手い~! 矢口の家へ訪れたときにあまりにも家具や日用品が少ないことに対して小日向と矢口のやりとりが特に好き。 『「時代は断捨離なんだよ。ものが少ないほうが、生活がスッキリしていていい」 「スッキリさせんな。人生はもっとゴタツとしてるもんだ」 「人生じゃなくて生活の話だろ」 「生活が続いたもんが人生だろうが」』 そう、ごちゃごちゃしている生活が続いているのが人生なんだよなあ。 自分がわりと理屈をつけて色んな事物をすっきりとカテゴライズしたがるタイプ、どちらかというと白黒思考ではっきりさせたがりの部分があるので、このやり取りは刺さった。 小日向みたいな性格に憧れる。私は圧倒的に矢口タイプなのだ。 ごちゃごちゃさせたままにするということは、ちゃんとそのごちゃごちゃに向き合うことを考えてないとできない。 向き合うことを怖がって切り捨ててしまえば楽だから。 いまちょうど自分の部屋を見回してみて、たしかにスッキリしているとは言えない。 整理整頓苦手だし! PCまわりもペンやらメモやら本やらがあるし、好きなキャラの小さいアクリルスタンドまで置いてある。 本棚も色んな種類が並んでいてコミックスもある。 でもこのごちゃごちゃ感がとても好きだしリラックスできる。 自分の部屋だなあと思う。 だから多少の部屋のごちゃごちゃはいいかなーなんて、ね。
2投稿日: 2022.11.06
powered by ブクログ表紙と榎田ユウリさんでBL要素強めかな…と思っていたらそこまでじゃなかった。 話が動き出すまではノロノロ読んでたけど、途中からは一気読み。 この読みやすくてテンポが良い軽めの文章の中に、心の奥の方に隠してある他人には見せたくない生傷的なものが感じられて、良く考えたら結構痛い。 はぁー。ユキが魅力的。流石榎田さん。 こういう、一見子供っぽいけど本能的に人の本質見抜けて優しく出来る人って実はめちゃくちゃ大人だと思うわ。 ただ、誤字脱字が多すぎて気になってしまった。 赤入れたい。←偉そう
1投稿日: 2021.12.07
powered by ブクログ三十路のおじさんたちのお話なのにわちゃわちゃ楽しかった。 相変わらず登場する女性陣たちはたくましい。 これからどんな生活が始まるのか、番外編とか読んでみたい。 榎田さんの作品はやっぱり読みやすくてステキだー!
0投稿日: 2021.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
先生は事故で死んだのか、それとも自殺だったのか。その謎を追いかけるうちに自分自身と向き合わざるをえなくなる。 こういう話によくある謎を暴いていいのか、みたいな葛藤はなく、むしろ逃げてはダメだとか目をそらすなとか「別れた妻」に言われているのが新鮮。でも、結局それも自分との対話というのが切ない。 小日向が「自殺はぜったいダメ!」っていうのと、矢口の「そんなこと言っても誰も止められない」というのと。 「ひとがひとり死ぬと、周りの人間もすこしずつ死ぬ。」って何かの本で誰かが言っていたし、本当にそのとおりだと思う。 それが自殺となると、なんで、どうして、どうすれば、でも追求してもほんとうのことはわからない。だから、「ぜったいダメ!」ってシンプルに言ってしまいたいけど、なかなか言えない。だから、それを言えてしまう小日向が矢口には必要なのだ。こういうひとには、かなわない。ズルいしぜんぜん理にかなってないんだけど、もうそういう存在だから仕方ない。矢口も、それを求めてこの町に戻ってきたのだろう。
0投稿日: 2019.09.17
powered by ブクログ転校することの多かった矢口は、30代になり中学時代を過ごした大田区へ戻ってきた。そこで出会った昔の仲間たちと当時担任だった文月先生の交通事故死の真相を探る事になる。 中学時代仲の良かった男子4人の個性がうまく書きわけられ、おじさんになった今の4人と繋がっている。謎解きの設定など、レアなケースが重なりすぎな気もするが、終わり方は良かったし良い感じの脇役がいろいろいたのも良かった。 カバーの裏のショートストーリーもいい。
0投稿日: 2019.07.14
powered by ブクログレイフォレストのコーヒーとトーストを食べてみたい。年齢不詳チャラ男のユキちゃんのひたすら話をきいてほしい。 踏切のシーンにしびれました。 シリーズ化希望。
0投稿日: 2019.04.07
powered by ブクログ離婚し仕事も辞め、中学時代を過ごした町に20数年ぶりに戻ってきた矢口は、再会したかつての同級生とともに、当時の担任の死の真相を探る。 自殺に教師への嫌がらせ、不倫疑惑と、暗い要素が多いのに、矢口と小日向の軽妙なやりとりが面白く、テンポよく読める。 小日向の周りを振り回す言動には多少苛立ちを覚えるけれど、馬鹿なようでいて人の本質をきちんと見ていて、どこか憎めない。2人のことを理解し、無口ながら要所要所で的確なツッコミを入れる邑もいい。 確かに恩師の死の真相を探るミステリーなんだけど、それよりも心に傷を抱えた者たちの再生の物語といった感じ。 小日向たちと再会し、過去を昇華し、真面目に人生に向き合う気になった矢口の姿に、読後感は爽やか。 ただ、誤字脱字が目立つ。何か意味があってわざとしているのかと深読みしてしまうくらいに。内容がいいだけに残念。
0投稿日: 2018.12.15
powered by ブクログ表紙の絵が好きな絵師さんだったので手に取りました。 てっきり表紙のどちらかが死んでてそれを探す話かと思ったけど違った。ユキのはちゃめちゃなキャラクターと軽快なやりとりで緩和されているけど、話自体は結構重い。読後感は爽やかでした。
0投稿日: 2018.12.09
powered by ブクログ軽妙なやり取り、会話中心の読みやすさでサクッと読める割に、喪失とか人生といった重めのテーマを扱った物語。 主人公の二人、38歳とは思えない小日向の言動と、矢口のウジウジ感はビミョーだったけど、脇をかためる一人おとなの邑がいいキャラだった。 先生の死の謎が解け、23年ぶりに矢口の手元に届いた先生からの手紙の結びの部分が載ったラストのページでジワっときたし、大事なものを失って人生を投げたような矢口が、小日向に引っ張られながら生活を始めるところに希望が見えてよかった。 BLのかおりを漂わせながらそっちにはいかず、先生の秘めた恋の方に「そうきたか!」 短歌で恋を伝えるっていいな~。
0投稿日: 2018.10.25
powered by ブクログ中学時代から23年後,住んでいた町に帰ってきた矢口.借りた部屋の下の喫茶店の大家はなんとかっての同級生ユキ.傍若無人なユキに振り回されながら,矢口の心は癒されていく.そして大好きだった文月先生の死因を探しながら,疎遠だった同級生と再会していくことで,時間の中で成熟していく友情というものの存在が現れている.自殺という言葉をキーワードにして,物語が広がり収束する.とても,面白かった.
0投稿日: 2018.10.16
powered by ブクログとても読後感が良い 筋そのものは、あまりにシンプルかつひねりもなく単調だから、一気読みが少し辛かったかも。でも1時間半ちょっとで読破。ひたすら、どうなってんの?を知りたかったから。 いくつかの伏線が回収されない非スッキリ感が残るものの、ラストで語られる先生から主人公への手紙や悪ガキとのやり取りは、誠にハートウォーミングだ。その路線での物語が次にでも出てきたらと期待してしまう。 先生を描いた物語だったんだな。こう思うとすべて腑に落ちるね。誰もが持っている子どもの頃の先生への思い出。甘くて霞んでいる大事な思い出。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ一般。 中学時代に住んでいた街に戻ってきた主人公が思いがけなく当時の同級生達と再会し、ずるずると当時の担任が亡くなった理由を謎解きしようとして自分も過去から浮上する話。 コメディ要素強し、という序盤からの担任が亡くなっていた事を知り引きずられるようにそれが事故でなく自殺ではないのか?を調べようとするところで、ミステリー?となり、しかし結構あっさり真相が分かってめでたしめでたしか?と なったらそこからもうひと事件あって主人公の抱えてるもの、ぐいぐい来るKYな元同級生の過去、などが明らかになって、終盤に突入。 読後感はそれなりに良かったので“面白い”部類には入ると思う。なにより文章が上手いし、飽きさせずに最後まで読ませる力はさすが榎田さんでした。 でも今ひとつインパクトに欠けるかなぁ。
0投稿日: 2018.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館より。 さらりと読了。38才か~自分と年が近くて、共感を覚える(笑)そして身近に自殺者が多いことに驚く。物語だからなのか。 これは決してBLじゃないし、BLにならないし、なってはいけない。でも、出てくる登場人物がささやかだけど幸せになりますように。
0投稿日: 2018.07.29
powered by ブクログ長い目次がおもしろい!その通りですが、とつっこみながら。 「スッキリさせんな。人生はもっとゴタっとしてるもんだ」そうか、そうなんだ。いろいろ理由や答えはいらなくてもいいのかも。
0投稿日: 2018.06.17
powered by ブクログすこーしミステリ入ってるけど、人間関係とか友情とか心の機微が榎田さんらしい話運びで良かったです。ただ「自殺」というツールが多かったかな。でも「マイナスとマイナスをかけるとプラスになる」って事で前向きな着地。
0投稿日: 2018.05.17
powered by ブクログタイトルに惹かれて購入。サブタイトルたちも良かった。ちょっと期待値高すぎたかも。ミステリに振れるには甘いし、純文学に振れるには文章がライト。わたしがもし10代だったならもっと楽しめたかも。あと初版ゆえか誤植が多い。
0投稿日: 2018.04.21
powered by ブクログ期待値が高すぎた… ミステリーとしても同性愛についてもなんだか色々腑に落ちないことが多くて作品自体はうーん。 テンポはいいので読みやすかった。 回収しきれてない伏線もあるので続編ありそう? 読解力の問題? けれど第三者から感じた当事者の感情なんて、結局は憶測でしかわからないのだから、これはこれでものすごくリアリティがあるのかもしれない。
0投稿日: 2018.04.08
powered by ブクログ榎田ユウリ新作、しかもタイトルから面白そうじゃないですか。ミステリー、表紙に男2人。榎田先生、相変わらずツボをついてきますね……!! タイトルから結構しんみり、シリアスな感じかな?と思いきや、語り部の主人公がなかなか軽妙な語り口で、表紙のもう一人(右)もまた軽いノリで、二人とも過去は重いはずなのに苦しくならず読めました。 伏線があちこちあって、「あれはいつ回収されるんだろう」と思いながら読むのが楽しい。 この作者だからだと思うが、小日向への矢口の感情はどういう「好き」なのか深読みしてしまう。 話は終わっているが、続編が出てもおかしくない、というか読みたいと思う作品だった。もちろん「23年前の出会いと別れ」がメインならこの1冊で終わるのが気持ちいいようにも思うけれど。 全くどうでもいいけれど38歳若作りは三宅健をイメージすればいいですかね……
0投稿日: 2018.04.04
