
総合評価
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powered by ブクログ表題作「ビニール傘」と「背中の月」の連作2話。大阪に出て自活する地方の若い男女の姿を切り取り描いている。全体的に暗くなりそうなモチーフそのままで、取り立てて感銘する作品ではありませんでした。
0投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログなんとなく、ただなんとなく、タイトルに惹かれて読んでみた。 ……これがまた少し難しい。 でも、きっと、大阪のどこかにこういう人たちがいて、生きてて、でも死んだような生活で…… 今この人たちはどうしてるんだろう…… そんなことを、読み終えた時に思った。 私の地元は大阪に近く、小説の中に出てくる地名もなんとなくそこの雰囲気がわかる。 大阪ってキラキラしてる部分もあるし、澱んで暗い灰色の世界もある。 その中で、今日も生きてる人たちがいる。 …………この本を読んで、何か得たのかと言われると、難しい。でも、“何か”を感じたような気はする。 そんな不思議な本だった。
0投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログ貧しさと若さと共存と孤独と。 雨空の、ねずみいろの、大阪の寂れた風景。 そんな世界をイメージしながら。 感覚で大阪を味わった気分だ。 ストーリーはともかく、 余韻は残るな。
0投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ使い捨てること代替えすることが可能なビニール傘。みたいに街に散らばっているわたしたちとあなたたちの物語。と思ったしおもしろかったのだが、それ以上を突き抜ける何かを感じとることは僕にはできなかった。
0投稿日: 2024.11.28
powered by ブクログ社会学者が書いた小説っていうのが気になった。 自分の気分の浮き沈みが激しい時に読んだ。 ずっと悲しさ切なさが付き纏ってる。 小さなものが積もり積もってふとしたきっかけで一瞬で終わりになるのがリアルに描かれてた。
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログ「ビニール傘」 侘しさ、人恋しさ、明日をも知れぬ不安感 大阪の片隅で暮らす、若く貧しい"俺"と"私" 「背中の月」 誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる 巨大な喪失を抱えた男の痛切な心象風景 絶望と向き合い、それでも生きようとする人に静かに寄り添う、二つの物語 だ、そうですがよくわからない、、、 話自体は特に面白くはな( ゚∀゚)・∵. グハッ!! あぶない!あぶない! 「い」までは言いませんw 初読み作家さんなので一冊で判断してはダメですよね〜 特に面白くはないけど、空気感はなんだか心地良いですよ〜(*´ω`*) ってか、面白くはないって言っちゃってるやないかーい( ゚∀゚)・∵. グハッ!! とりあえず、心地良いから何冊か読んでみようか!
36投稿日: 2024.08.26
powered by ブクログこの現実感のないリアルさは何なのだろう。ここではないどこかだとか、細部だけ具体的な夢の様な。どこにでもある、ありふれた世界。私が見ているものは本当にあるのだろうか?
9投稿日: 2024.07.23
powered by ブクログついに岸先生の小説にまで手を出しました。Podcast→「にがにが日記」→「ビニール傘」。 なんかずっと曇りで雨がしとしと降っていて、それを古いアパートから眺めている感じの小説だった。風景の湿度が高いというのか淀川が出てきたからそう思うのかもしれない。川の流れの音が聞こえているみたいだった 岸先生、大学のお仕事を始めるまで日雇いのお仕事をしていらっしゃったそうなのでそういう生活圏で生活史ている人たちの描き方がすごいリアリティがあって、その閉塞感に読んでて胸が苦しくなる 二作目の「背中の月」は生活の苦しさというよりも当たり前にいてくれた者(物)がいなくなってしまうことと、いつまで経ってもそれが自分に馴染まないことへの息苦しさや自分の内側に閉じこもってしまう感じがヒリヒリするぐらい痛切だった。でも1作目も2作目も閉塞感のなかに安全ピンの先端でちょっと穴を開けたような、かすかな風通しのよさもあって、読了後の余韻がよかった
2投稿日: 2024.03.27
powered by ブクログ単行本にしては(物理的に)妙に軽い気がして、語り手の空虚さ心許なさがうつっているように思えてくる。余白の多い装丁も。
0投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログ孤独と絶望のすぐ近くで暮らしている人たちの、でも実は自分もすぐ近くにいると感じさせる、独特なようで当たり前の、実は見慣れた毎日の風景。 この人の文章は、どうしてこんなに燻んでいて、希望が見出せないのに、引きつけられるんだろう。
1投稿日: 2023.11.14
powered by ブクログ大阪というと賑やかで華やかで雑多なイメージですけど、これは、その裏にある陰の大阪だと思いました それなりに生きられているのに、頼りない、流されている感じが頭から消えない、 一見すると出口のないような閉塞感が漂っているようですが、市井の人たちが、誰かや誰かと過ごした思い出と寄り添いながら、静かに暮らしている、両編ともじんわりと体温を感じるような話でした 視点が変わってちょっとわからなくなるようなところもあったけど、それも誰それの物語と区切らない、全部誰かの物語の続きというふうに捉えてみました
0投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ日々すれ違う他人には、自分と同じように人生のストーリーがあるんだということを忘れてしまうと、 他人に対して乾いた対応をしてしまうことがある。 他人の人生を覗き見る感覚で読み始めたが、 なぜか古き良き温もりと、人と重なる温度の幸福感が沸々と蘇えり、ああ、コロナやらなんやらで、 とても大切なものをなくしてるんじゃないかと怖くなりました。 読み終わった後、なんともいえない味わいを 噛み締める時間が暫く必要でした。 何回も読み返したい本です。
4投稿日: 2023.09.23
powered by ブクログ描写が細かくて人の人生を覗き見しちゃった感。 ちょー良い。途中まですっごい共感してたのに最後ちょっとよく分かんなくて掴めない感じ。 良い。 あと写真がなんかエモくて良い
1投稿日: 2023.07.13
powered by ブクログ作者が岸政彦さんの初小説という事で読んでみた。 何かしら短編映画のワンシーンを文字に表した感じの内容だった。始終、諦念感が漂う話でした。
0投稿日: 2023.07.01
powered by ブクログ7年前の大坂が舞台。時間が移動しながら物語が進む。二つ目の作品は、少し悲しくて、主人公が生きる気力を取り戻してくれるのかしら。人が大事にされない、不安定な世の中を映している。 息子の残して行った本。息子を思いながら読み終えた
0投稿日: 2023.01.07
powered by ブクログ「ビニール傘」 大阪の片隅に暮らすどうしようもない若者たち。語り手が次々にかわり、話と話が繋がっているような繋がっていないような、よく掴めない。そういうものとして読めてくる。 「背中の月」 喪失と向き合う男性の心情。隣の席の看護師が話してた、どうでもいい会話を繰り返す思い出すのもリアル。
1投稿日: 2022.07.08
powered by ブクログビニール傘の役割をどう理解するかによって、解釈の違いで出てくる作品だと思った。 ・いくらでも替えが効く関係性 ・世界と2人を隔てる薄い膜、境界線 正反対の性質だけど、どっちにもとれる。
1投稿日: 2022.06.12
powered by ブクログ大阪の海沿い、大正あたりで生きる人々の、どうしようもない日々の記憶。 こういう人たちの生活が「分かる」かどうか、見えるかどうかって、読む人自身の生い立ちに深く関わってくる気がする。 うら寂しい読後感。滔々と流れる淀川を見に行きたくなる。
5投稿日: 2022.02.19
powered by ブクログ第156回芥川賞候補作 よく聞くラジオ番組で何度か岸政彦さんがゲストだったり、Eテレの「100分で名著」にも講師として出演されていたので、社会学者であるということは知っていた。 そして、大阪愛はもちろん、「人」というものに対する興味や愛情が本当に深い方なんだなぁ、とその熱量の高いトークから感じていたのだが、小説はまた違った趣きだった。 読み始めてすぐ、なぜか柳美里さんの「JR上野公園口」が思い浮かんだ。 私自身は、大阪という街をあまり知らないので、この小説の舞台が大阪のどんな所なのかは、読んで受けたイメージしかない。 ゴミの吹き溜まりの少しすえた匂いのするような、寂れかけた一角に暮らす、明日が見えない若者たちの物語。 登場人物の一人一人がはっきりせず、どこか重なり、どこか繋がっているような…いくらでも代わりがある仕事をしている人々。 いくらでも代わりがあったとしても、その人はその人しかいない。 でもその当人が、そのことを理解することもなく、ただただ無常な時に流されていく。 これがバブルの時ならば、「横道世之介」みたいな根拠のない前向きな空気感が漂うのだろうが、平成世代は、生まれた時から不景気と格差社会の中にある。 ささやかな幸せを見つけても、簡単にその場から剥がされる。 そういったことを怒りではなく、諦めの姿勢で受け入れてしまう彼らの姿が哀しい。 読む世代によって感じ方は変わるだろう。 私の世代は、こうなる前にもう少しできることがあったのではないか、と感じるのではないだろうか。 2022.2.13
20投稿日: 2022.02.13
powered by ブクログ群像劇のような構成でさまざまな人の日常が断片的に描写された小説。きちんとした傘ではなくビニール傘しか持っていないような、またはビニール傘を使うことをなんとも思わないような、物を使い捨てするような投げやりな日々を送る人たち。どんな人の日々にもそんなには何も起きない、でも一人ひとりの日々はそんなにはありふれていない。岸政彦はほんとうにすごい人だ。
3投稿日: 2021.12.29
powered by ブクログ大阪市に住んでいる、住んでいた人にはすぐ入ってきやすいと思う。地名や駅名がたくさん出てきて、あー、あのあたりなら、ありえるな〜と。 他の地域の人が読むとまた違うかも? 全体的に暗い。貧困がテーマかな? ありえそうな、転がってそうな話で、短いのですぐに読める。最初、誰が語り手なのか分からないが2章で回収されている。
2投稿日: 2021.11.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大阪の最下層で暮らす男と女。安い、ゴミにようなものに囲まれ、食べ物すらゴミを食べているかのように感じられる生活。 詳細に描写される汚い部屋や無為な生活に感覚が麻痺しつつ、嫌悪感に満ちる男の眼差し。 ああ、この人はもっと上から落ちて来たんだろうと思った。最初から安い暮らしで育ったならばここまで皮肉に思わないのじゃないか。 あとで著者が博士を取る前に4、5年日雇生活を送り、その時の体験をもとに書いたと知る。なるほど納得。 底辺のパワーや生命力がなく、静かに日々を消化する。そして密かにちょっとずつ傷ついていく。そんな気がした。 話の筋はわかりにくい。男が複数いるようにも思え、女がどの女だかわからなくなり、確認のため再読仕掛けて止めた。作者はデジャヴかループを意図してると思ったから。 面白いとは言えないが、汚い大阪を描いているわりに静かで上品な読み心地の作品。
2投稿日: 2021.11.19
powered by ブクログ先日聞いたラジオの人生相談コーナーで、「向上心もなく仕事をし、請われるままに人と付き合い、いつも流され、自分がないのが悩み」という相談者さんにパーソナリティが、「若いうちにそんな風に何にも打ち込まず怠け者でいて、40代になったときにしっぺ返しがこないといいけどね」と言った。 でも、流されるままにどうにか生きている人はいくらでもいるし、そういう生き方をしているからといってそんな呪いをかけられて良い訳がない、と、表題作の『ビニール傘』を読みながら何度も何度も思った。
4投稿日: 2021.10.15
powered by ブクログ(いま感想文用のノートに手書きで書いているのだけど、「傘」っていう漢字が全然上手に書けなくて悲しみ。) 「断片的なものの社会学」以来、それまで全然知らなかった岸政彦さんという社会学者/作家の方にすこぶる興味を持って、著作をあれこれ読み漁っている。 この小説は、おそらくカップルと思われる男女のそれぞれの視点から、彼らの出会いや日常生活が淡々と語られる。前半が男性側、後半が女性側。決して裕福ではなく、ほとんど定職にもついていないような二人。汚い部屋。塞ぎ込む彼女。日雇いの肉体労働。付き合ってすぐの頃の思い出、明るかった彼女。波打ち際。だらだらと始まってだらだらと終わる関係。自分と無関係なようで全然そんなことはない、見ず知らずの人の生活。大学生の頃に読んでいたらどんなふうに思ったかなあ。「ビニール傘」の二人と同じように、霧の中を彷徨うような生活をしていたあの頃に読んでいたら。あのときわたしは「あーこれわたしにはムリ」って思ったんだった。自分で気付いてかなり強引なやり方で一気に方向転換したんだった。その選択は間違ってなかった。間違ってなかった・・・本当に?
4投稿日: 2021.09.02
powered by ブクログ過去と現在と空想が入り混じって、今がいつで誰と話してるのか分からなくなる本。 でも登場人物の耐えがたい空洞はしっかり伝わってきて、読んでいるのがつらかった。 少ない選択肢の中から選ばされて、選んだんだからお前の責任だというプレッシャーに耐えながら生きてるんだな。 閉塞した生活に物語的な奇跡なんて起きない、この程度が現実だよという感じ。はぁ〜。
3投稿日: 2021.08.08
powered by ブクログ賑やかで暖かい場所にいると、後でひとりになったときの寒さが際立つ。 舞台が大阪であることで哀愁が増す。 妻を亡くした男性が主人公の「背中の月」での独白、 「また行きたいね、あの店なんだっけと言いながら俺たちは結局、あの街にも、あの店にも、あの海にも、二度と行くことはなかった。」 に、永田和宏の 「そのうちに行こうといつも言いながら海津のさくら余呉の雪海」 という歌を思い出した。 脳内でずっと自分に、亡き妻に話しかけているような文が頭に染み込んでいくように感じた。 読み終わって自分がいる場所を確かめる。 ここでないどこかに行きたいと思う気持ち、 でもここだって一度離れればもう二度と戻れない場所になるかもしれないのだ。 そしてそのきっかけは、ドアポストに鍵を入れるというだけで引き金を引けてしまう。 波打ち際の鍵は昔誰かが落とした鍵なのか。 さまざまな人の記憶が重なり混ざり合う。 「二度とない」ことへの焦燥や恐れはいつまでも人間の共通の認識なのだろう。 誰もが、失うことはないかのように生きている。 でもそれは人間が生きている限り必ず訪れる。 喪失を喪失としてそのまま取り出して見せてくれたような物語だった。 ときどき取り出して眺めたい。 悲しみに慣れておくため。優しい自分であるため。
0投稿日: 2021.08.07
powered by ブクログ岸政彦さんの作品の空気感がすごく好き。 カギカッコもなしにつらつらと 関西弁訛りの会話が良くて。 特に特別という訳でもなく、 あの時確かにそこにあって、 なんのとりとめのない時間だったけど、 今思えば、今ここのどこにもない、 かけがえのない時間を過ごしていたんだなって気づく、そんな場所から眺めているような。 淀川が見たいなって思う。眺めていたいなって。 できれば本当は大切だった人と、二人で。 ビニール傘をさして、とりとめのない話をぽつりぽつりと、雨に並んで話しながら。 なぁ「傘」って漢字あるやろ? あれって傘になんで人が4人も入ってるん? 4人もようはいらんやろ? あれ人ちゃうやろ。 多分傘の骨組みのとこやで。 え、そうなん?……それやったらなんかつまらん。 つまらんもなんも。4人も入られへんゆうてたやん。 せやけど、そんぐらい包んであげようおもてるよって心持ちがええやん。 ようわからん。2人でも入りきらんと濡れとるし。 そう言って肩を包むように傘の軸がこっちに傾く。 みたいな。 あぁ思わず妄想が暴走して止まらない。 もう1作『背中の月』もすごく良かった。 侘しいというか、切ないというか。 悲しみが張り付いているようなページたち。 妻の不在がよく表れていて。 妻が居てて、ちゃんといてて、今はもういない。 それが明らかに表現されている、穴。 暗い穴は時にバックスクリーンになって、 そこに映像が映し出さられて。 本当になんのとりとめのないようなシーンがぼわ〜っと浮かんできて、 あぁあの時、なんて言ったのかも思い出せないけれど、 その記憶はふとした瞬間に、穴のスクリーンに映し出されて、くり返されていく。無声映画みたいに。 〝忘れられない〟って、そういうことなんじゃないかなって。そんな風に思った。 どちらの作品もすごく好きです。
6投稿日: 2021.07.21
powered by ブクログ繋がりが難しいが、所々既出のフレーズでリンクしている部分が面白かった。 不思議と読んでいられた 嬉しいときよりも、不幸な時の方がどうしようもなく2人に感じる、みたいな部分が、真理かもしれないと思った
0投稿日: 2021.06.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
突然の雨に見舞われ、コンビニで安物のビニール傘を買う。 傘の見た目や機能性なんてどうでもいい。どうせその場しのぎの傘なんだから。 また別のビニール傘を買ったっていいんだから。 他人との関わり方が、そんなビニール傘に似ている。 なんとなく誰かと話がしたい。相手は別に誰でもいい。でも自分の話をするのは億劫だから、相手の話を聞くだけがいい。 大阪を舞台にした、寂寥感たっぷりの物語。 毎日をただ淡々と機械的に過ごす若者たちがとてもリアル。 雨が降るとすぐに水浸しになるという湿地帯の大阪。でも大阪住みの若者たちの人間関係はドライなんやな。 途方もない切なさ、寂しさがひたひたと伝わってきて、何度も胸が締め付けられた。 岸さんはこれが3作品目。男女の会話が相変わらずいい。カギカッコがない会話の方が読み手の気持ちに無断でズカズカ入ってくるのかも。勝手に入り込んでずっとそのまま心の中に居座る感じがクセになる。 寂しさ漂う余韻に暫し包まれる。 もう一作の『背中の月』 こちらは妻を病で亡くした男の話。 喪失感がすごく伝わってきて痛々しい。 この人、いつかは立ち直れるんだろうか。
25投稿日: 2021.04.25
powered by ブクログ薄い本で1時間半足らずで読み終えた。 心に寂しさがありながらも薄い膜で多いながら過ごしている、どこにでもありそうな日常が文学的に綴られ細かい描写も多く没入した。
0投稿日: 2021.01.25
powered by ブクログ背中の月の彼が部屋を出て、ビニール傘の彼になるのか。 大阪愛がちりばめながら、生きづらさを孤独をつながりを感じる。 著者は社会学者。 私は音楽家から知ったので、そちら関連も読んでみたい。
1投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ読書芸人で又吉が推薦してた本。 薄い本なので図書館で借りてそのまま行きつけのカフェで1時間半位で読み終えた。 流石に又吉が好きそうな内容だなと思う。 又吉が書く小説は好きではないが、この本はなかなか良かった。 大阪の北出身の僕だが、学生の頃新今宮のあいりん地区の職安で日雇いのバイトをしてたこともあり、町の雰囲気や細かな情景はよくわかる。 内容は自分自身の生活とは程遠く共感できる部分は少ないが、本当にこんな人生を送る人がいるのだろうか。 村上春樹や吉本ばななのような幸薄い感じの内容に少し引き込まれた。
1投稿日: 2020.10.22
powered by ブクログ大阪が好きだ。 暮らしたのは累計で10年足らずだし、孤独と苦悩の思い出しかないのに、それでも好きだ。 たぶん、大阪という街が、自由であり、終末であるからだと思う。
0投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログどんな人物にも背景があり、とりまく状況は自分の意思に反して、又は沿って、変わっていくものなんだなぁ。 他者と自分との境界が曖昧な文体。冷たいようで優しい眼差しを感じました。
1投稿日: 2019.11.18
powered by ブクログ大阪の話が、2話。 どれも、地理的には、よくわかるのだが、、、タクシーに乗車した女性のスマホしか見ていないのに、運転手が問いかける・・・コンビニ、、、大阪港の堤防、、、マクド、、、ワンルーム、、、岸和田の現場、、、和歌山、、、、 場所も、人も、次から次へを代わっていく。 誰が主人公でも無い話。 パッチワークのように、柄も違う者同士が、合わさって作品になっているのだろうが、、、、頭の中で、バラバラの思いが、散らばる。 2話の「背中の月」も、何故か侘しい環境である。 サクサクと、読めたが、私の頭は、ジクソーパズルのような感覚で、ぴったりと、当てはまらないピースが、いくつも出来ていた。 そして、簡単に、自殺をしてしまう事、ちょこっとの思い付きで、辞職願を提出してしまう事、自分の家に戻らないために、鍵を捨てる事、、、、其の後は、どうするのだ!! 若者達が、未来に向かって突き進む信念や希望を、、、と、この作者である社会学者の 岸政彦氏に描いて欲しいと、思った。
0投稿日: 2019.11.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「背中の月」の方が好きでしたね。 でも「ビニール傘」の世界を読んだから、そちらの方が好きと感じたのかも。 …いかにも芥川賞候補という作品でした。 作中に何度も出てくるカップ麺のゴミが二つの話を繋げ、静かなやりきれなさどうにもならなさ、虚しさを顕在化させているかのよう。 (引用)「妙な話だが、幸せなとき、楽しいとき、遊びにいっているときよりも、急な葬式が入ったとき、人間関係でめんどくさいことがあったとき、仕事上のトラブルに巻き込まれたとき、ああ俺たちはふたりなんだなと思う。」というセンテンスに泣きそうになりましたね。 その時二人だった、今はどうしょうもなく一人だということの孤絶感。 「不在」というのは「今ない」、というだけでなくて、あり得たかもしれない希望に侵食する空虚なんだとつくづく感じさせられます。
2投稿日: 2019.10.23
powered by ブクログ安いガールズバー、日雇いの仕事など、社会の中でも下層を表すワードを使っており、社会の暗い部分をあらわしているように思った。
0投稿日: 2019.09.22
powered by ブクログ生きている。 たいした出来事が無くても、カップラーメンなんかを食べて、毎日生きている。 楽しい事もある。 でもいつも、寂しさや虚しさみたいなものが隣にいる。 こんな小説に出会えるなら、まだまだ本を読んでみようと思う。
2投稿日: 2019.08.06
powered by ブクログこれは大阪が舞台でなくてはならない作品。ここまで描けるのかと思う程の丁寧な人物描写。筆者は社会学者として多くの市井の方々と接して来られた経験があるからこそ描けるのでしょうか。。。
0投稿日: 2019.08.02
powered by ブクログ彼女と話すこともなくなって駅まで送ってバイバイ言うて分れて一人になった時の時間が好きだ,というような文書を書けるのが著者の岸政彦という人なんやな. 新潮社の季刊誌考える人が休刊になっても続いているウェブマガジンというかポータルサイトで連載している著者のエッセイが好きでいたけども著書を読むのはこれが初めてなのでしたが,最好. 通勤の片道で一息で読み終え,余韻に浸りながら駅のマクドでホットのSをすすりながらこれを書いている. さあ今日もがんばろか.
0投稿日: 2019.07.22
powered by ブクログ大阪で暮らしている若者の実態を描いた短編が2つ.大阪に限ったものではないと思うが、街全体が下降線に乗り上げた感じで、寂しくなっていく状況をうまく描写していると感じた.
0投稿日: 2019.05.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
社会学者が書いた小説。青春時代の詫しさ、人恋しさ、そして不安感が共感も持って描かれている。 鍵をかけたか不安で確かめに戻ってくることが多くなった。この本を読むと、それは不安からではなく、家から離れたくないからだと書いてある。さすが社会学者らしい分析だ。
0投稿日: 2019.01.05
powered by ブクログ大阪の中心街から少し離れると感じる物悲しさとか、淀川を見るたびに感じる、悲しみをすべて包み込んでいる感じとかを思い出した。
1投稿日: 2018.12.19
powered by ブクログ“誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる。”(p.92) “妙な話だが、幸せなとき、楽しいとき、遊びにいっているときよりも、急な葬式が入ったとき、人間関係でめんどくさいことがあったとき、仕事上のトラブルに巻き込まれたとき、ああ俺たちはふたりなんだなと思う。”(p.98)
0投稿日: 2018.11.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この先生の講義を受けて面白くて『断片的なものの社会学』が読みたくなったんだけど、図書館にこっちしかなくて読んだ。 生活史調査で得たであろう、本物の誰かの断片が繋ぎ合わされている感じで、どうでもいい描写に、やけにリアリティを感じる。それが、物語に深みを与えてるんだよね。 個人的には結構好き。こうゆうストーリーストーリーしてる訳じゃなくて、緩やかに繋がる様な繋がらないような日常の描写が淡々と続く感じ。
0投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログ「ビニール傘」と「背中の月」の2編を収載。本業・社会学者の著者による小説で「ビニール傘」は芥川賞の候補になったらしい。何というか、さすが芥川賞候補だけあってよくわからないお話だった。まだ「背中の月」のほうが自分好みだな。 いずれにしても、どちらも大阪を舞台に浮遊感というか、淀みのなかにいる人の姿が描かれている。これが東京だとどうだろうなと思いながら読んだ。自分にとって未知の街・大阪だから物語の舞台として受け入れられるけど、東京でこの物語だったら鼻白んだろう。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ社会学者が書いた短編2つ~「ビニール傘」和歌山の専門を出てミナミの美容室に入って最初に仕事を教えてくれた男の子と同棲を始め、先生の彼氏に誘われて食事に行った辺りから店に居づらくなり、キタ新地のガールズバーでバイトしていたが、仲良くなった同僚が「今から死ぬよ」とメッセージを残して本当に死んでしまった。和歌山に帰ろう。「背中の月」デザイン事務所に勤める妻・美希から昼頃「頭が痛い」とメッセージが入っていて帰宅していたら脳梗塞で死んでいた。環状線から見える廃屋で空想を広げ、1時間も前に着いてしまった職場で辞表を作って社長の机に置き、家に帰ってジャージに着替え、築40年のマンションに鍵を掛けてその鍵を郵便受けから中に落とし、大阪港に行く~テーマは…何もない田舎から大阪に出て馴染めず田舎に戻る女、と大阪の片隅で妻と肩寄せ合って暮らしていた男が急病で妻をなくし、ていうもので、目新しくないが、書き方が新しい? いろんな人の視線で書いておいて、後で種明かし・という?
0投稿日: 2018.06.01
powered by ブクログ2018/4/1 なんなん、誰なん。あの人なん?わたしなん? ビニール傘みたいな人間、わたし? 読む人とタイミングを選ぶ本だと思う。
0投稿日: 2018.04.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あぁこれはなんと物悲しくて、でも心に残る美しい小説だろう。 『ビニール傘』円環小説。ぐるぐると同じような境遇のひとが入れ替わる感じは面白かった。こんな書きかたあるんやなぁと思う。大阪の写真がいっぱいあって、この場所は近くて遠い。大阪に住んでいても知らない場所ばっかりだ、と思う。通りすがりの人の人生は儚くて、夢の中みたいだ。でも、リアルな感じもある。 『背中の月』はじまりは男がひとりで、妻の美希が出ていったのかと思ったら、亡くなっていることが分かる。主人公の名前はなくて、美希の亡くなったあとも同じマンションにひとりで住んでいる。過去の記憶のなかに戻ることが多い毎日を過ごしている。美希がいなくなったことでひとつも幸福は無くなったのが哀しい。哀しいに決まっている。通勤の環状線の中から見える廃屋についての考察。ここに書かれているとおり、人の住まなくなった家は廃虚になっていく。主人公の住むマンションも台所を使わなくなり、水分がなくなっていく感じがすごく分かる。人はひとりで生きていくこともできると思う。でも、最初から選んだわけではない主人公の哀しみがとても心にすんすんした。最後に大阪から出ていくのか、人生から出ていくのかこの主人公はどこへいくんやろう。 良い本だなぁ。図書館で借りたけど欲しいなと思う。
0投稿日: 2018.03.14
powered by ブクログ大阪で生きる若者の姿を描いた作品。 何かでっかいことをやり遂げるわけでもなく、だからといって感動的な何かがあるわけではない。 そんな暮らしを描いた作品だったように思う。 人生とはなんぞやと考えさせられる作品だった。
1投稿日: 2018.01.08
powered by ブクログ【ビニール傘】 『俺以外の全員がタバコを吸い、スポーツ新聞を広げ、コンビニおにぎりを食っている。みんなゴミを吸い、ゴミを読み、ゴミを食っている。』 『怖くなってもういちど横を振り向くと、彼女もこっちを見上げて、どうしたん? と聞いた。おれはますますポケットのなかの手をぎゅっと握りしめた。痛いやん。彼女は笑いながら、自分もありったけの力で握り返してきた。おお、意外に握力強いやんか。笑いながらもういちど握り返すと、彼女は大きな声でいたたたた、ごめんごめん、とゲラゲラ笑いながら手をポケットから出し、つないだまま大きく前後に振りながら歩いた。』 『俺たちが暮らしているのはコンビニとドンキとパチンコと一皿二貫で九十円の格安の回転寿司でできた世界で、そういうところで俺たちは百円二百円の金をちびちびと使う。』 『誰かが携帯の画面を親指でなぞるたびに、どうでもいいことがどうでもいいひとたちに流れていく。』 『もっといろいろな人と付き合ったら、そのうち幸せになれたんだろうか。でも、誰かと一緒にいるあいだは、ほかの誰かと一緒にいることができないから、ある人と付き合っているあいだに、時間ばっかり経っちゃって、そうしてるうちに私を幸せにしてくれる人は、とっとと誰かと付き合っちゃうんだろう。』 【背中の月】 『誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる。』 『妙な話だが、幸せなとき、楽しいとき、遊びにいっているときよりも、急な葬式が入ったとき、人間関係でめんどくさいことがあったとき、仕事上のトラブルに巻き込まれたとき、ああ俺たちはふたりなんだなと思う。』 『隣のベッドの、美希がかつて寝ていたところに置いた手の甲に、月の光が当たっている。また行きたいね、あの店なんだっけと言いながら俺たちは結局、あの街にも、あの店にも、あの海にも、二度と行くことはなかった。俺はベッドから起き上がり、窓をしめてから、また横になった。大阪にまた、夏がやってきた。毎年のことだが、大阪の夏は今年もまた、耐え難いほど蒸し暑い。交通事故、交通事故、定休日。キャメルのコート、廃屋、環状線。夜の海の、白い魚。』
0投稿日: 2018.01.01
powered by ブクログ「ビニール傘」と「背中の月」2編。 とても読みやすい。写真もあって。 大阪が舞台だし、なんだろう2編ともとてもリアル。 若い子が田舎から出てきて、寂れた街で人間関係に悩みながら1人暮らしていく。 突然伴侶を失い、妻の存在を思いながら毎日淡々と暮らし・・・ ちょうどいい厚みでサクッと読めるけど、結構心にずっしりくるかも。
3投稿日: 2017.12.11
powered by ブクログたぶん、登場人物は実際に生きている人たちの多くの人生の断片を写し取って描かれていて、だから少ない登場人物であるにもかかわらず、読んでいてある種の混乱を巻き起こすんだと思う。この人の文体は優しい、そしていつも寂しい。それがクセになる。
0投稿日: 2017.10.15
powered by ブクログ帯の文に惹かれて購入。すごく不思議な小説だった。著者の本業が社会学者だというのも、関係あるのだろうか。 「パッチワークを作る時、普通は柄の違いに気を取られるが、岸さんは縫い代を見ている」という小川洋子さんによる帯の一文がとてもしっくり来る。 表題作には、名前のない男と女が複数登場する。1人でいたり、カップルでいたり。その人物(たち)がパッチワークを作る1枚の布だとしたら、たくさんの布によって構成されるパッチワークの、まさしく縫い代の部分を描いているように感じる。 人は濃かったり薄かったりする人間関係をたくさん持っていて、その中で予想外の人同士が繋がっていたりする。たくさんの組み合わせの布で作られるパッチワーク。現実の人間模様も、そのように構成されていると思う。 これは実際読んでみないと分からない感覚かも。毎度レビューは書いているけれど、言葉で説明するのがこれほど難しい小説と久々に出逢った。 ストーリーがどうとかで語れる類ではないのは確か。 表題作ともうひとつの「背中の月」にもよく読むと繋がっている部分があることに気づく。 短い2作のみの薄い小説だけど不思議な感触が印象に残った。
1投稿日: 2017.10.06
powered by ブクログ全体的に寂しさが漂う小説。あっという間に読めるページ数なのだけど、ところどころで状況がよくわからなくなります。脈絡なく変わる状況に私の頭はついていけない箇所も多々あった。あれ?これはさっきの人と違うの?全く違う話?繋がってる?でもちょっと違う?と混乱。 この本はきっと詳細を読み込むよりも、全体に流れる寂しさを感じとるもの、そんな風に思います。
1投稿日: 2017.10.05
powered by ブクログあまり読んだことがないタイプの小説。ぼーっと読んでいると今、誰の話をしている??となる。 日々の何気ない生活、何か虚しくなる感じ、読んで良かった
0投稿日: 2017.07.02
powered by ブクログ芥川賞候補作。 なんとなく好きそうな雰囲気かなと思って読んでみたけれど、いまいち掴み所が分からなかった。 大阪という賑やかで雑多な街の、とても断片的で寂しい風景ばかり。 表題作よりも、妻を亡くしてしまった男の「背中の月」の方が読んでいる実感があった。 社会学者である書き手は、この二編を通じて社会のどんな部分を描きたかったのだろう。
0投稿日: 2017.04.29
powered by ブクログ2つの短編の舞台は大阪。 なんか悲しい街として描かれています。 芥川賞候補だったこの表題作。断片的に変わる視点。みんな悲しいのだもの、正直混ざってよくわからなかった。
0投稿日: 2017.03.30
powered by ブクログ『断片的なものの社会学』に出てくる人々。それぞれ1人ずつが小説の登場人物のようだったが、本書では彼等が実際に動き出す。大阪の土地勘がほとんどないにもかかわらず、景色が眼に浮かび、会話が耳で聞こえてくるような‥リアルで不思議な読後感だった。 惜しくも芥川賞受賞を逃したことをネタにされる著者のお人柄も含め☆☆☆☆☆
0投稿日: 2017.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新地での日常の場面が、映画のように移り変わっていき、最後に1人の女性を追っていたんだとわかる。 途中でそうかな?とは思うがわかりにくく、最後の女性の一人称に変わってもなお確信が持てない感じ。場面場面がもう少し細い糸で繋がっているのが見えたら安心して読み進められたと思うけれど、同じ人??という疑問でページを行きつ戻りつしてしまったので気が散って入り込めなかった。
0投稿日: 2017.03.20
powered by ブクログ芥川賞候補作、(受賞したのは、山下澄人の『しんせかい』) 『ビニール傘』と『背中の月』の短編2作が、連作短編とまではいかないがほんの少し交差している。 只々、何気無い会社勤めの若者が大阪という地方で生きていくさまが描かれている。 読みモノとしてみれば考え抜かれた文章で、読み易く、面白い部類だと思うが、この120頁の中で何を描きたかったのかが伝わって来なかった。 今の時代の標準偏差的な生活を並べたうえでの絶望や悲惨さだったのか、はたまた希望だったのか。 その辺が『ビニール傘』から見る景色のようにボヤけていたように思う。
1投稿日: 2017.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編2編で、ビニール傘は俺と私の物語。様々な視点で若者たちのやるせなさが描かれる。背中の月は若い夫婦の話。妻を失った喪失感を抱えながら生活する。どちらも、にぎやかではない朽ちていく大阪が描かれ、物語の雰囲気を作っている。著書は社会学者で初の小説。先が楽しみだ。
0投稿日: 2017.02.04
powered by ブクログ収録されてる二編を読むと住んでいない町のことなのに、身近だ。それは僕らが生きている今はそれまで生きてきた過去の断片たちと共にあるから。未来は現在を引き連れて、現在は過去に背中を押されている。だから、知らない町の誰かと自分の何かが共鳴し、しない部分が鮮明になる。
0投稿日: 2017.01.30
