
総合評価
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- yoshichiha"powered by"
人間が物語、ストーリーの枠組みで世界を解釈しがちである、ということ自体はわかっていたつもりであったが、具体的にどのように、ということについて解像度が上がった気がする。 特に、公正世界の誤謬(中村文則作品で結構出てくる気がする)というフレームワークはまさにそうだな、と。自分が良いことをすれば、良いこととして自分に返ってくるはずである、悪いことをすれば悪いこととして返ってくる。そういう基本的な因果認識。 それがあるから逆に、悪いことが起こった時に、「自分が何か悪いことをしたのが原因なのだ」というストーリーの捏造をしてしまい、自分を苦しめる。 また逆に、一生懸命努力した自分には良い未来がくるはず、という物語予測に合わない現実に苦しむ。 そういうストーリー認識のフレームワークに気付き、手を離すことの価値を教えてくれる本。 また、夜と霧の「自分が人生に何を期待するかではなく、人生が(生きることが)自分に何を期待しているかである」という視点の転換が、ストーリー理解という視点で見ると味わいがまた出てきて興味深い。 誰しもストーリーから完全に自由になることはできないけれど、そんな自分をまずは認識するところから、なのだなあ。
0投稿日: 2025.05.30 - みつば"powered by"
私たちは、「世界」をストーリーの形で認識している。雨が降った、遠足の前に熱が出た、など思い通りにいかないことだらけの人生。それは、自分には他者や環境を変える力があるという幻想による苦しみかもしれない。コントロール可能なのは、できごとに対する自分の態度ただひとつ。感情にまかせて衝動的に動いてしまうことが多い私だが、この本を読んで感情の赴くままに行動することは実は「自由」とは程遠いものだと知った。その時選択肢はなく感情の奴隷になっているからだ。支配的な物語から脱出し自分のストーリーを描いていきたい。
0投稿日: 2025.05.04 - Chanrisa"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
個人的には読みにくく、内容もタイトルで期待したほどではなかったけど、第4章で書かれていた内容についてはSNS社会の中で思うところが日常的にあり共感した。 人はそれぞれに違う人生のストーリーを持って生きており、それが歪んでしまっている人もいる。他人に自分のストーリーを押し付けたり、攻撃したり。 社会の中で生きて行くことは大変だし、人間関係も面倒なことは多い。自分にとってうまいことばかりではない世の中だけれど、自分の選択だけは、自分で下すことができる。 自分はどうありたいか、どんなストーリーを描いていきたいか。考え直すきっかけにもなった。
1投稿日: 2024.07.31 - ざどだぞ"powered by"
webちくま「人生につける薬 人間は物語る動物である」18回連載を加筆修正して5章に 各個人が考えたり感じたりする判断となるその前提ができる精神作用や言葉の仕組み等を、たくさんの読書を経てまとめている
0投稿日: 2024.02.05 - 千"powered by"
理解した、と思う時、人はじつは決めつけている 「ベキ論」によって人は、世界や他者を操作できると思い込んでしまう。(コントロール幻想) 感情に突き動かされて行動することは選択肢をまずから手放すことであり、「自由」からもっとも遠い 世界でひとつだけ選択可能なものは、できどことに対する自分の態度である。p.178
1投稿日: 2023.10.01 - まーろう"powered by"
近頃の僕が漠然と考えていた疑問に答えてくれる内容で、付箋貼りまくりでした。 なかなか簡単にまとめられないのですが、人間には出来事を「物語」として把握する能力があり、独立した前後の出来事を因果関係で結びつけてしまうと。 むしろ「物語」として把握するために個人的な出来事にも理由や意味を求める(「なぜ」このような悲劇的な出来事が「私」の身に起きたのか)。 嘘でもいいから説明が欲しい(因果応報)。 そして何らかの決着をつけて新しい平衡状態に辿り着きたい。 現実世界の理解もフィクションも物語化の構造は同じ。 著者が引用、言及する分野が幅広くて、その圧倒的な読書量に感銘を受けました。
2投稿日: 2023.01.15 - ittan110"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
タイトルから、小説について何らかのことが書いてある本かな、と手にとった 想像していた内容とは違って、最初は戸惑ったが、どんどん面白くなった 例えば。昨今の宗教被害の問題など、なぜ人はそういう世界にはまってしまうのか、 今一つピンとこなかったのだが、「物語」をキーワードに説かれていて、 非常に参考になった 物語のいいところも悪いところも知ることができました
1投稿日: 2022.10.12 - ikezawa"powered by"
物語の成り立ちについて勉強したくて読んだのですが、人間が物事を認識する上で因果関係を求め、物語として捉える。また思い込みなど「何故自分だけ」という理想の物語を描き苦しむ習性やストレスへの対処なども簡潔に説明している良い本でした。 わかりやすく説明してくれているため章ことにスラスラ読んでしまうのだけれど、印象に残った部分以外ポロポロ抜け落ちてそうなので気になったところを再読してメモを取っておこうと思う。 内容とは関係ないけど、ちくまプリマー新書の紙質…好き。
30投稿日: 2022.01.15 - ちゃちゃまる"powered by"
文学論が展開されているのかと思いきや、認知科学や社会学など様々な観点から「物語る」ということについて説明がなされていて、かえってそれが良かった。 物語の役割を文学の中だけで語ろうとすると、どうしても文学に興味のない人にとっては理想論のようなふんわりした話に聞こえがちだけど、様々な観点から語られることでより多くの人に受け入れられやすいものになっているのではないかと思う。 知らず知らずのうちに物語を内在化させてアイデンティティーの在りようとかコミュニティでの振る舞いに悩む中高生は少なくないと思うので、そういった生徒に読んでほしいな。 でも、カミュや川端康成、小川洋子から仏教説話、黒子のバスケ事件の犯人の手記など多岐にわたる引用が論に広がりを持たせる一方、かえって中高生には敬遠されてしまうかもしれないと感じた。
0投稿日: 2021.11.13 - 緋香璃"powered by"
ひとが物語を求めるのは、「感動や共感がほしいから」といったあまーいことが書かれた本とおもっていたら、実際は正反対のシビアな科学的な内容でした。 脳に関する本と併読していたのですが、ようするに脳が情報を処理しやすくするために、いちいちコトとコトをつなげて、わかりやすいよう物語していたのですね。本来コトとコトには因果関係はなにもないのに。コトとコトをわけてとらえるには、イマコノトキと向き合うことが肝心と強く感じました。逆に会社で説明するときは、物語化してあげるといいんだなとも勉強になりました。
1投稿日: 2021.05.25 - のっぴ"powered by"
人とストーリーの関係を解き明かす図書。ストーリーが人を救ったり、逆に苦しめたりするのは、なぜなのか示している。 はじめは人はなぜ読書するのか、とか物語を作るのか、といった内容かなと思っていたけど、物語の効果によって、人間の理解を促進したり、認知をゆがめたりする、人生についての内容だった。 人は起こる物事に理由を求める。しかし理由はないにも関わらず、自分の信念や社会の一般論、道徳などで、人や物事を誤って理解しようとする。 物語の存在に気づき、そこから自由になる可能性を最後に示す、面白い図書だった。
0投稿日: 2021.04.12 - カイリ"powered by"
語られていること自体は、いわゆる月並みな、何度も耳にしてきたフレーズであるが、それらに著者の視点から理由付けをしている点が面白く感じた。中でも人は世界をストーリーとして捉える、という見方は自分にとって斬新でハッとさせられるものだった。
0投稿日: 2021.04.03 - 雪"powered by"
絶賛人生なぜなぜ期(勝手につけた)なので、今まさに読みたかった本、どストライク!という感じだった。 物事や人生を、ストーリーとして解釈すること。 私は国語の次に日本史が好きだったけど、今になって思えば、歴史をストーリーとして解釈していたんだな、と思う。就活のガクチカや志望動機に抵抗があったのも、自分の人生を会社や仕事にストーリーとして組み込むことに反発していたのかも。 私たちは物語によって救われたり、苦しめられたりする。 引用された、ニーチェ『道徳の系譜学』の言葉がストンと胸に落ちてきた。 〈人間の問題は…苦悩そのものにあったわけではない。「何のために苦悩するのか?」という叫びに、答えがないことが問題だったのだ〉 苦しいことに意味が意味出せないことが苦しいと気づくことができて一歩踏み出せたかな。目的や意味がかりそめのものだとしても、それにもがくのってすごく、人間だ。
0投稿日: 2021.03.11 - Mok"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
私たちはとにかく「なぜ」か知りたい(正しさは二の次で)生き物だから、世界をとらえるために物語の形を取らざるを得ない。でも、そのストーリーを作るための一般論が歪んだものなら、出来上がるストーリーも歪んだものになって自分を苦しめる。特に黒子のバスケ作者を脅迫した事件の犯人が犯行理由を自分の中にある少ない一般論にしか当てはめられず、うまく供述できていなかったという話が面白かった。
0投稿日: 2021.01.26 - daisuket"powered by"
「共感」について考える中で派生的テーマとして「物語」について関心を持っているときに見かけて購入した本。 ストーリーとしての「物語」が持つ構造的な類型や構造がストーリー受容の仕方にどのように影響し得るか、という辺りを考えたかったのだが、結論としてはその辺りの考えはあまり深められなかった。 物語の構造論としては (平衡状態→)非常事態→あらたな平衡状態 というごくベーシックなものについての解説がなされているぐらい。 後半は、「物語」が私たちの認知スタイルに大きな影響を持っていることや、それがときにマイナスの影響を持ってしまうことに話の中心が移っていく。移っていく、というか元々著者はそうしたライブストーリーとしての物語のあり方について述べることが主題だったのかと思いますが。 物語論について述べる本だからなのか、本書全体の論理構造やリサーチクエスチョンの在り処をあまり明示せずに進んでいくため(元がWebメディアでの連載記事のようなのでそもそも全体を貫く筋がないことが主たる原因かもしれませんが)、著者の主張を掴むのがなかなか難しく感じる本だが、一貫性が無いように感じるのはむしろ個人的には良かったようにも感じる。 各章では、物語論自体について、文学論や各種の小説、認知心理学、社会心理学、発達心理学、神経科学、道徳や宗教など多様なテーマに触れられており、関連する書籍からの引用も豊富であるため、著者の主張の行き来にあまり引っ張られずに(特段違和感のある主張がなされている訳でもないが)、あれこれと思考を飛ばしたり、自身の関心に近そうなテーマを知る機会になった。 文末の読書案内を含めて考えがいのあるテーマのリストとして読むには良い本だと感じる。 特に、個人的にはライフストーリーの受容や編集というテーマについては、対人支援やキャリア論との関連で考えを深めたいことではあったのでとっかかりを得られたのは良かった。 元々は「共感」や「物語」に関心を持ったのはマーケティングやファンドレイジングに関わるテーマとしてだったが、自分自身の世界観構築や日常生活やその中でのコミュニケーション、それらにおける認知のあり方まで「物語」というテーマで考えることのできる範囲が広いことを改めて感じた。
1投稿日: 2020.12.06 - sshige"powered by"
物語とは何か?なぜ人はそれを必要とするのか?なぜ作ってしまうのか?その効用と弊害についての一冊。物語の効能よりも弊害について語っている部分が多いかもしれない。昨今の世に蔓延る陰謀論や正義ふりかざし問題も念頭に書かれたのだろう。 聞きなれないインテリ用語がちょくちょく出てくるし、引用されている文もインテリ臭がする。哲学や倫理学に近いかもしれない。しかし、じっくり読めばなんとなく言っていることは理解できる。納得する部分も多い。ものすごく雑に言うと、物語とは因果関係を言葉で表現するものだと理解した。物語が世界を理解するためのものだとすると、哲学はどうなんだろうか。宗教も哲学もこの世の理を解き明かそうとしている。しかし哲学が物語だとは思えない。 個人的に、自分は物語を作る力が弱いのではないか?と思った。その弱さが生き辛さになっているかもしれない。しかしそれもまた、物語かもしれない。物語を作っても、それを確信するかどうか?という問題はある。何を、どんな物語を信じてしまうか、ほとんどの人は選べないのではないか。
0投稿日: 2020.11.19 - しし座"powered by"
「生ける屍の結末」について触れてると聞いて読んでみた。 人は事柄と事柄の間にストーリーを求めてしまう。本当は因果関係がなくても時系列の前後を勝手に結びつけて自分の中にある図式に当てはめてストーリーにしてしまう。「わかる」は感情。 「自分」の構築にもストーリー化が起こっているし、生き延びるために役立った機能なんだろう。 ストーリーを求める機能は逆算しても使われて、酷い目にあったならなにか酷い目にあう理由があるはずだと考える素地にもなってしまう。(e.x.石川都知事の地震の時の話とか、痴漢にあった女性を責めるだとか) 「人生に期待するのではなく人生から何を期待されてるいるで〜」って言説は確かによく聞くけれども、個人的には空虚にしか聞こえなかったんですが、仏教的世界観と人がストーリーを求める話と一緒に語られると腑に落ちた。章が離れてるけど、これは自分で選択する、それまでの生き方を捨てて2度生まれるって話にもつながってくることなのかな。 自分の考え方を変えれば出力である結果cは変わる。 901
0投稿日: 2019.08.08 - Akiyoshi MIKI@BizFolio"powered by"
「様々な出来事をストーリーとして認識する」、設計図の無い進化の過程でこんな能力を獲得したのは、本当に驚きです。 ただし、マイナスの面も有ります。物語が見つからないと不安になり、何でも無理やり関連付けてストーリー化して納得しようとします。そのせいで、しなくても良い苦しみを味わう事が多いのも事実です。 そういう事を意識しておくと、より良い生き方に繋がるはずです。
1投稿日: 2019.07.13 - 言の葉 音の葉 数の葉"powered by"
「人間は物語る動物である」。 それは好むと好まざるとにかかわらず、人の思考の枠組みを築き上げ、しかもそこから簡単に逃れることはできない。 物語は人の信念=beliefとして深く内面化されるが故、「自分の感情の赴くままに行動すること」は(逆説的だが)「不自由」であることとなる。 物語の理論を知ることは、より良き生き方を知ること。
0投稿日: 2019.02.06 - arasanta"powered by"
明らかに相関がなくても理由がわからないのがストレスなので、人は理由づけをしてしまうという至極真っ当な話。 見た目以上にさらりと読めます。
0投稿日: 2018.12.22 - 読む摘むことば"powered by"
人が生きていることや、何かが起こることに原因はあっても、必ずしも意味や目的があるとは限らない。人はそこに意味や目的があると思いたい。この行為が物語化なのだ。 「前後即因果の誤謬」 「わかる」と思う気持ちは感情以外のなにものでもない。「わかった気になる」と「わかる」のあいだには本質的な線引きができない。 「出来事が君の欲するように起ることを望まぬがいい、むしろ出来事が起るように起ることを欲し給え、そうすれば君はゆとりを持つことになるだろう」ギリシア ストア派哲学者エピクテトス「提要」『人生談義』下巻、岩波文庫 物語、ストーリー、世界解釈。
1投稿日: 2018.04.09 - たけ坊"powered by"
人間は意味や因果関係を求め物語を作ってしまう。人によってはそれに捉われ苦しむこともある。自分自身もそうだな。
0投稿日: 2018.03.20 - homerprice"powered by"
物語論の入口として大変わかりやすかった。ストーリー、ナラティブ、ディスコースの区別が自分なりに整理できたのは収穫。
0投稿日: 2018.03.04 - chroju"powered by"
物語消費の話を想定していたが、そうではなくて人間の認知の話が主軸。認知、認識する上での因果関係の推定、それによるいわゆる「物語」の構築、依拠が発生するというような論旨。ソフトな文体で読みやすくありつつ、種々の文献を引いて印象論に終わっていないのが好感だが、認知という側面では物足りなさも感じるので、認知科学あたりの本を並行で読んでみると理解が深くなりそう。本書で引かれていた『生ける屍の結末』は読んでみたい。
2投稿日: 2018.02.17 - 三上 直樹"powered by"
物語つながりで続けてこの本を手にしましたが、物語を通じてものごとを伝える不思議さや難しさを語る内容。何となくはわかった気がしますが、それ自体が物語の陥穽に落ちている感があります。
0投稿日: 2018.02.11 - ほあん"powered by"
物語は世界を認識する方法の一つでしかないのですが、強力なのでそれに囚われてしまいがち。僕の周囲ですと、ドルオタと自称する人はその傾向が強いです。本書を読んで物語の呪縛から解き放たれると、少し幸せになれるかもしれません。
0投稿日: 2018.01.08 - 5552"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
久しぶりの新書。 もしかしたら養老孟司さんの『バカの壁』以来か。 一体何年前だよっヾ(--;) 『人はなぜ物語を求めるのか』 新聞の書評欄で紹介されていてこのタイトルが気になり、書店を数件巡ったが置いておらずネット書店で購入。 最近、「なんか世の中って‘物語’だらけじゃないか」と思い、息苦しさを感じていたのでジャストタイミングだった。 自分の頭の中まで‘物語’だらけだもの。 本書を読んで思い返したのは軽い認知症の祖母のこと。 「あれをしてくれないから私のことなどどうとも思ってない」と言ったり、不都合や不具合があると自分勝手に家族を責めたりする。 私の不幸=家族のせい という強固な‘物語’が頭の中に鎮座しているのかな。 それで自分を苦しめているのかなと思った。 これも私自身が勝手に解釈した‘物語’に違いないけど。 中身は私にはちょっと難しいところもあり、時折「は?」と二度三度文章を読み返したりしながら読んだ。 でも『自分のぼんやりした考えを、豊富な文献と読みやすい文章で形にしてくれた!グッジョブ!』と思ったり、考えが私には思いもかけぬ方向に着地したりして読み物として楽しかった。 まあ『わかった』と『分かった気になる』と区別がつかない そうなので自分がどこまで分かったのかわからない。 他のひとからみれば「あいつ、わかってないなー」なのかも(* ̄∇ ̄*) それに千野さんのハナシに納得したのも『彼の提示する物語』と『私の思う物語』が合致しただけかもしれない。
14投稿日: 2017.11.23 - おこめ"powered by"
かねてより人はとにかく「物語性」のあるものが大好きで、そこに物語がなければ自身で作り出すほどに物語が好きだよなぁと思っていたため、タイトルに魅かれ読了。
2投稿日: 2017.10.22 - quatorze"powered by"
私達が生きる意味や理由づけ。 なぜ生きるのか。どうしたら良く生きられるのか。タイトル『人はなぜ物語を求めるのか』から単純に得られる答えだけでなく、「物語る動物」である人間、私がどうして生きるうえで、色々と思考や感情が動くことを説明している。因果関係を作ってみたり、すっきりする決着を求めたり、目的や意味に振り回されたり、考えてみれば思い当たることばかり。物語に振り回されるのでなく、良く生きるために物語ろう。
1投稿日: 2017.09.21 - ウルトラ・オヤオヤ"powered by"
最初のころに新聞で、この本についての事を知ってから、ずっと気になりだした。 へたをすると、読まないうちから、題名だけで本の内容を想像してしまったところがある。 図書館で借りようかと調べてみると、貸し出し中ばかり。 先日、思い切って本屋さんで購入。 読みだしてみて、想像と違う部分も、あれば、新たな発見もある。 いろんな見かた、についても、考えさせる内容。 おもしろい。
1投稿日: 2017.08.15 - 野尻有希"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
印象的な箇所のまとめ ・世界にたいする何故とその回答が物語の物語らしさを生む。 ・人は生きる意味を求める。生きている原因より意味(目的)を知りたがる。 ・人生に期待すると失望する。期待しなければ希望がもてる ・人生に期待するのでなく誰かの人生の期待に責任を持ってこたえる自覚を持つ。 ・物語の前後の因果関係は運命だと言える。物語とは運命を認識する方法。 ・自分達が現実たと思っていることの多くは、自分達が無自覚なまま構成させられてしまった物語である。 ・無根拠で不適切な一般論から脱する。 ・べき論、コントロール願望を捨てる。 ・感情行為直結説(こう感じているからこう行動する)から行為選択可能説(行為は自由に選べる)へ。 ・人は知らないことを自分の解釈の格子で埋めていく。 ・自分が知らないということを知る。 ・正しい私は報われるべきだ、評価されるべきだという被害者意識の物語は極めて無責任。他責的ストーリー。 ・人間はストーリーを不可避に合成してしまう。
0投稿日: 2017.07.03 - manybook"powered by"
ストーリーは人間の認知に組み込まれたひとつのフォーマット(認知形式) 状態と出来事=地と図 筋に逆らってまで隣接連合によって叙述の密度を高めるものを「リアリズム」的な要素と考える(ロマン・ヤコブソン) 世界に対する「なぜ」という問と、それへの回答(原因や理由)とが、ストーリーのストーリーらしい滑らかさを生むのです 因果関係が明示されると、なぜ物語としてなめらかな感じがするのか?それは、できごとが「わかる」気がするからです。どうやら僕たちは、できごとの因果関係を「わかりたい」らしいのです わけがわかると、ストーリーが滑らかに感じられ、「わかった」という感情が芽生える 人間は時間の中で前後関係にあるふたつのことがらを、因果関係で結びつけたがる習性を持っている(ヒューム「人間関係論」) 前後関係の誤謬をいわば体系的に濫用するのが「物語」(ロラン・バルト「物語の構造分析序説」) わかる、というのは秩序を生む心の働き。秩序が生まれると、心はわかった、という信号を出してくれる。つまり、わかったという感情。その信号が出ると、心に快感、落ち着きが生まれる。(「わかる」とはどういうことか 山鳥重) ストーリーは個別の問題(存在命題)ですが、それぞれの理由や「因果関係」が「わかった」気がするときは、その背後には実は一般論(普遍的な話題、全称命題)が存在している 一般論は「類」 説明付きのストーリー(プロット)は類の一例、「種」 一般論=人は、悲しみのあまりみずから死期を早めてしまうことがある ストーリー=あるとき、ある女王が悲しみのあまり死んだ 一般論とストーリーの関係は、「タイプ(人間一般に関すること」と「トークン(物語の登場人物である特定のこと)」の関係にある ことわざや格言は、「一般論」 読者が物語に求めるものは、ひとつはしかるべき論理一貫性、そしてもう一つは「なぜと問う」必要をなくしてくれる権威である 「自分が不愉快な状況にあるのは、☓☓だからだ」というストーリー的な説明が起こるのは、人間が「なぜ自分は不本意な状況にあるのか?」と問うて、その問に答えようとするから 人はAのあとにBが起こると、AのせいでBが起こったと思う傾向がある(前後即因果の誤謬) 前後関係だけでなく、因果関係が加わると、ストーリーが滑らかになる 人は個別の事例から一般論を帰納し、その一般論から演繹して新たな事例の原因・理由を説明したがる 不本意な状況に置かれると「なぜ私が?」という実在的な間が起こり、ストーリーがそれに無理やり答えようとする
0投稿日: 2017.06.28 - tomtomusc"powered by"
物語学(ナラトジー)の入門。世の中を理解するのに物語が必要であり、出来事を述べることには何かもっともらしい理由がないといけない。時系列で起こったことにはそれぞれに理由があるべきであると考え、無理やりにでもでっち上げる。べき論は概ね感情的なものであり、さらに、それが一般論と一致すると納得感が増す。自分のしたことでさえ、説明的な一般論で納得してしまう部分がある(実際は何の理由すらないかもしれない)。 期待という放物線の予測はありがちなものであり、これをなくすことで物語から自分が解放されうる。
2投稿日: 2017.06.03 - きょん"powered by"
「将来の夢は?」とか「弊社に入ったら何を(達成)したいですか」とか、そう聞かれて「特にありません」と答えると、つまらない・取るに足りない人だと思われる。その人が物語を持っているかどうかで判断されることは少なくない。それも、聞いた側が納得できる物語を持っているかどうか。 物語をそのまま生きていけるならいいけど、それができないと生きるのはとても苦しくなる。この本が登場するのはここ、その苦しさが現れた時。自分が苦しんでいるのは誰の、何のせいなのか。それは自分が作った物語のせいかも知れないよ、という視点をもたらしてくれる。 もしも、自分を苦しめているこの物語は自分が作ったのではない、周りが要求するものなのだと思っていたら、その時点でその物語を受け入れてしまっているのと同じこと。この本の内容に抵抗があると感じたら、自分の物語に“こだわり”を持って自ら苦しんでいる人かも知れない。 物語に巧妙な仕組みがあることを知れば、その枠組みの外側に立つこともできる。物語の便利なところはおいしく利用し、そうでないところはさっさと放棄して楽に生きよう。“自分らしく”生きることにムキになって苦しんでいた何年か前の自分のような、この本の言葉が届かない届きにくい人にこそ届いてほしい。淡々としてドライに思えるかも知れないけど、こんなに優しい本はないよ。
7投稿日: 2017.06.02 - mazucon"powered by"
ヒト (他人) はどうして考え方が凝り固まったりするのか,というのを検証していくうちに,自分の考え方もまた凝り固まってるから生きづらかったりするんだよ,っていう印象。
0投稿日: 2017.05.08 - hifumi1232001jp"powered by"
136頁「人はできごとの理由を自分の知っているパターンに無理やり落としこみたい」と思っているというくだりで、なんだか自分が信じられなくなってきました。だれかと会話をしていてもその中身はFAQになっているのではないかしらんと思うと。これでは、あまり新しいアイディアも解決策も生み出されないような気がしてきました。
0投稿日: 2017.05.02 - wwwtoshiakijp"powered by"
とても面白かったです。ビジネス書のように読んで即・回答が出るわけではないけど「物語る」という事について、とにかく色々な引用を交えて言及している。そのモチーフへの執着力たるや・・・。言い方は悪いけどヘタな人が頑張って描いた絵のような・・・。カオスだけど熱量は伝わってきて、肝心な問いについては、正直読めば読むほど、わからなくなる(笑)でもそこが好き(笑)
0投稿日: 2017.04.22 - ごまみそずい"powered by"
人間は「わからない」のが不安だから、情報の空白を埋めるように因果関係を作って、無自覚なままストーリー形式で世界を把握している。その心の癖の落とし穴や危うさを丁寧に読み解いてあり、考えさせられた。 認識の枠組みである物語に、自覚的でありたい。 「二度生まれの人」の話が印象に残った。人生それ自体にたいする「なぜ?」という深刻な問いに取りつかれ、煩悶し、もう一度生まれ直す必要があるタイプの人、のような意味合い。「崖から手を離す」とともに、念頭に置いておきたい。 あと、巻末の読書案内が参考になった。
3投稿日: 2017.04.16 - 人生≒読書"powered by"
タイトルは内容を正確に表していない。正確を期すならば「人はなぜ『物語』としてできごとを理解しがちなのか?そのしがらみから逃れるヒント」とでもなろうか。 色々な論者の言葉を数多く引用しつつも、筆者の主張はきわめて貧弱。私が示したタイトルに尽きてしまう。その上、思い込み、さらにはパラダイムから逃れる処方箋もほのめかす程度。ちくまプリマー新書とは言え、これを読む若者は気の毒だ。 しかし、末尾の読書案内の書籍、本文で引用されている原著に直接あたれば、実りある読書ができる点は救いだ。物語に過度の期待を抱かない世界観をきちんと創造したい。
4投稿日: 2017.04.10 - あんみつ"powered by"
人は物語る生き物だ。ある個人の人生について考えるとき、なにか事件が起きたとき、知らず知らずのうちに物語の形式でとらえようとする。 それは人に備わる便利な能力に違いないが、ときに自分や他人を傷つけ、苦しめ、危険をもたらすこともあると著者は指摘する。 たとえば災害を天罰だととらえること。自分が悪いことをしたから不幸に見舞われたと考えること。被害者に責任を負わせる論理。犯罪者はこんな人間だと決めつけること。親が子どもに勝手な理想を押しつけ、思い通りにいかないと嘆くこと。 なにごとにも原因があると思い込んでストーリーに落とし込み、自分にも他人にも当てはめようとすることは、その人を「わかった」気にさせ、安心させる効果があるが、逆に、人は知らぬ間にストーリーを作り上げてしまったために他人や自分を苦しめてしまうことも多い。 世の中には簡単にストーリーに当てはめられないことが多々あるし、公正な社会というのも虚構にすぎない。 不幸であるのは、だれのせいでもなく、ただ不幸であるだけなのだ、と思うのはたしかに難しいが、実際に「ただ不幸である」ことが存在するのは事実だ。 有名な古典作品や歴史上の出来事、「黒子のバスケ」事件やアイドル刺傷事件での加害者の供述、著名人の発言など、わかりやすい例を取り上げながら、人が物語ることとはどういうことなのかを解き明かし、あらゆる出来事のとらえ方について、新しい示唆を与えてくれる。 考えすぎて自分のせい、人のせいにしてしまうひと、周囲や親の描くストーリーに縛られて苦しんでいる人、単純に物語という人間の認識の枠組みに興味があるひとなどなど、さまざまな人にオススメできる本だ。
2投稿日: 2017.03.30