
総合評価
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powered by ブクログ裏表紙の説明書きにある通り、「歴史上の有名人の身近にいた無名の人々が、通説とはまったく違った視点から語る英雄・偉人たちの裏側」に関する短篇集。全12話。 中でも、「キリストの弟」が一番意外性に富んでいて面白かった。母親(マリア)に厳しいイエスに対して、弟が「母ちゃんにもっと優しくしろ」と文句を言う話。 次いで、「大王の奴隷の話」。アレキサンダー大王の魅力を簡潔に伝える小品。「ギリシア人の物語」の最終巻と重なるところが多いか。
36投稿日: 2025.07.23
powered by ブクログタイトル買いした本。 西洋の有名な話に出てくる人物の、本人ではなく関係者からの視点の物語。 サロメの乳母、ダンテの妻、キリストの弟目線など変わった書き方で面白かった。 ただ、これある程度知識がないと楽しめないかもしれない。 私も半分くらい知らない人物の話だったので少しハテナを感じながら読んだ。 こういう時に楽しめるように、知識や教養って大事なんだなぁと改めて感じたな。 最後の解説で史実に基づいてるのかとか、どういう背景なのかとかあったら良かったけど解説自体がなくてちょっと残念。 それぞれの人が語っていく形式は面白かった。
5投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ物語や歴史上の有名な人物について、その周りにいた人間が、実はこうだった、自分にはこう見えたと語る形式の短い諸編を集めたもの。 対象人物と語り手は、オデュセウスの妻ペネロペ、サロメの乳母、ダンテの妻ジェンマ・ドナーティ、聖フランチェスコの母、ユダの母について、ユダを教えた祭司、カリグラ帝の馬、アレクサンダー大王の奴隷、カエサルを暗殺したブルータスの師、キリストの弟、ネロ皇帝の双子の兄。 いずれもあるところまでは史実や物語の筋に則っているので歴史の勉強にもなるし、他人から見るとそう見えるのもさもありなんと思われるところもあり、軽い読み物として面白く読める。 ラストの「饗宴・地獄篇」は、地獄で楽しく暮らす世間的には悪女と呼ばれた女性たち、クレオパトラやマリー・アントワネット、ソクラテスの妻クサンチッペなどの宴でのやり取りが描かれる。本書が書かれた時代柄、中国からは江青女史が参加。では日本では彼女たちに匹敵する女性は誰?、持統天皇?北条政子?淀君?最後のオチもご愛嬌か。
8投稿日: 2024.01.03
powered by ブクログ神話や歴史の逸話の人物たちの周りの人が、その時の話をする形で、それぞれの語る人ごとに話が形成されていく。 完全にタイトル買いをした作品だったが、地獄会議以外はかなり面白く感じた。特に神話逸話の中で待たされることの多い妻や、タイトル作品である乳母など、主人公に近いが主人公ではない人間が語るその世界は、もとの世界の解像度をあげ、より人間的なものにするものだなと思う。
1投稿日: 2022.08.22
powered by ブクログイエスやユダ、アッシジのフランチェスコ、サロメ、ネロ帝など、有名な歴史上の人物の伝聞を「ほんとうはこうだったんじゃないか?」といろんな視点で語る物語です。 真面目な話もあり、思わず笑っちゃうような展開もあり… ユダの母親の話が一番面白かったです。
0投稿日: 2020.08.22
powered by ブクログ「饗宴・地獄篇」は第一夜、第二夜共おもしろかった が、いくら読んでも他の作品が全く印象に残らない もう少し大人になればおもしろさがわかるのか、、??
0投稿日: 2017.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
目次より ・貞女の言い分 ・サロメの乳母の話 ・ダンテの妻の嘆き ・聖フランチェスコの母 ・ユダの母親 ・カリグラ帝の馬 ・大王の奴隷の話 ・師から見たブルータス ・キリストの弟 ・ネロ皇帝の双子の兄 ・饗宴・地獄篇 第一夜 ・饗宴・地獄篇 第二夜 歴史上の有名人を、違った視点から掘り下げる。 なんとなく功績を知ってはいるけれど、詳しくは知らない。そんな人物の選定がすばらしい。 なかでも「サロメの乳母の話」が白眉。 素晴らしい踊りを披露したご褒美に、若く有名な預言者ヨハネの首を所望したサロメ。 それは、恋い慕う彼女の気持ちをヨハネが受けとめようとしなかったから…というのは、オスカー・ワイルドの戯曲の話。 多くの画家がサロメを題材にした絵を描いているけれど、衝撃的なそのシーンは実に冷静な政治的判断のものに行われたものであるというのが、塩野七生の解釈。 「善意に満ちていて、しかも行いの清らかな人が、過激な世改めを考え説くほど危険なことはないと思うけれど、乳母はどう思う?」 サロメの行動がいちいちクールでロックなの。格好いいわ。 「饗宴・地獄篇」は、地獄に落ちた女ども(クレオパトラ、ビザンチン帝国の皇后テオドラ、トロイのヘレン、ソクラテス夫人のクサンチッペ、マリー・アントワネット)が、繰り広げる女子会トーク。 第一夜は毛沢東婦人・江青をゲストに招いての夜会。 第二夜はゲストを日本から呼ぼうと思ったけれど、意外と悪女がいないのね…と結論付けようとした時、地上の方から推薦人の声が…! 地獄がまた楽しそうなのです。実際楽しいらしいです。 地獄の恐ろしげな描写は、天国サイドの陰謀らしいですよ。 “また、地獄に送られてきた顔ぶれが面白かった。だから、女たちにしてみれば、交き合う男たちにも恵まれていて、天国の住人のように、立派かもしれないが面白くもおかしくもない、まじめ人間の集団ではない。それに、天国は、住む人間だけが退屈なのではなく、一年中気候温暖でも四季の区別がないから、その点でも、一週間もいれば、頭がボケてしまいそうな思いになるのだった。” 天国、すごい言われようです。 地獄にはいい人たちもたくさんいます。 “女王に仕える奴隷たちの中には、天国に送られる資格充分な者が多かったが、天国と地獄を分けたのはキリスト教だから、それが普及する以前に現世で生を送った者は皆地獄行きなので、これら古代世界の善男善女たちも、地獄まで女王に従いてきたというわけである。だが、想像した以上に過ごしやすいので、誰一人、煉獄での試練を経た後に許される、天国行きを希望した者はいない。” 塩野さん、こんなに書いちゃっていいのでしょうか? 地獄に落とされちゃうんじゃないかしら? あ、望むところなのか。
0投稿日: 2016.12.02
powered by ブクログ歴史の人物をちょっと違った目線から読めて面白い短編集 特にユダの母親とキリストの弟が面白かったなあ ユダの話は太宰の駆け込み訴えをちょっと連想させる 永井路子も書いてたけど、悪妻悪妻のレベルが日本は小さくまとまっちゃってる! クレオパトラとかアグリッピナとかカテリーナスフォルツァレベルの女性陣は、日本の歴史上いないかも
0投稿日: 2016.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おもしろかった!英雄や偉人、になるわけではなく、その妻や召使はたは馬にもなり、その裏側の顔を描き出す。。。秀逸だったのは、題名にもなっているサロメの乳母の話。サロメと聞くと無邪気で残忍という勝手なイメージがあったんですが、この物語を読むとフィクションだとしても、あぁなるほどね!と思ってしまう。妄想が膨らむのはほんとに楽しい。。。 そして最後の饗宴・地獄篇。こと西洋の物語が大半の中で珍しく日本歴史が出てきて新鮮。そしてオチがね・・・。いや、最後まで楽しく読める1冊です。
0投稿日: 2015.10.22
powered by ブクログ歴史の「実はこうだった」的な話を脇役視点の話し言葉で綴ったもの。 非常に読みやすいし、本当に真相はこうだったのかもしれない。
0投稿日: 2015.09.15
powered by ブクログオデュッセウスの妻、サロメの乳母、聖フランチェスコの母…歴史上の英雄・偉人たちの周辺人物が語る舞台の裏側。 ワイルドの『サロメ』を最近読んだのをきっかけに表題作に惹かれて。どの章も20ページ程で、原作を読んだ後に本作を読むとイメージが付きやすいです。 オデュッセウス編では、妻のぼやきにも似た語り口調は軽快で、あくの強すぎる原作の主役を思い起こせばこんな想いも抱えるだろうと想像できます。狂気が注目されがちなサロメも、乳母の目から見ると賢い女性像が浮かびます。また、舞の描写は見事でした。最後の「饗宴・地獄篇」は、まぁ著者の悪ノリみたいなものでしょうか(笑) イメージが固まりがちな名主役たちも、塩野七生さんの想像力にかかれば知られざる新鮮な一面が見えてきます。原作のスピンオフ的に、気軽に楽しめる1冊。
1投稿日: 2015.06.30
powered by ブクログ世界史は苦手だけど・・・ 歴史上の英雄を身近な人の立場から描くとこんなふうに見えるかも・・・というのがとても楽しい。 特に、女性の目線の作品は、いきいきとしていて、中でも表題作になってるサロメは、半分ぐらい塩野さんご自身なのかも・・・。
0投稿日: 2015.06.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語や歴史の主人公を少し違った視点から描いた短編小説。 例えばギリシャの英雄オデュッセウスを妻の視点から、サロメは乳母から、ダンテは妻、聖フランチェスコは母から…等。しかしこれ、完全にオリジナルの話を知っているという前提で描かれてます。そうでないと全然面白くないでしょうね。そういう意味で読み手を選ぶ小説ではあります。
0投稿日: 2013.11.16
powered by ブクログ有名な歴史的人物の周辺人物から見た歴史的な出来事についてのフィクションです。表題の作品が一番印象的で、サロメの王女としての矜持を感じました。 九州大学 ニックネーム:川島太一郎
0投稿日: 2013.11.12
powered by ブクログ古代史上、著名な10人を取り上げ、それらの身近にいた人が1人称の回想形式で語るという趣向。特に表題作「サロメの乳母の話」は、芥川の『地獄変』の語りの手法を思わせる。篇中では暖かい情愛にあふれた「聖フランチェスコの母」が一番好きだ。塩野七生さんといえば大長編というイメージだが、こんな風な短篇も実に鮮やか。モロー画の表紙もいい。
0投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
西洋史とキリスト教に関する基礎レベルの知識は前提として必要になる短編集。一つの短編が20ページ足らずのものばかりなので、さくさく読めます。 いわゆる歴史上・宗教上の有名人たちの「周辺にいる人」の視点から、「実はこの人はこんなことを考えていた」「実はこの史実・宗教的逸話の陰には、こんな話があった」という切り口で、刺激的なエピソードが語られていきます。小説ではあるけど、ウソ臭さをあまり感じさせないので、もしかしたら本当にそうだったんじゃないの?と思わせるような作品もあったりします。 個人的には、イスカリオテのユダの母親が息子の死をテーマに本を出版、引く手あまたの人気者になってテレビ出演まで果たした、なんてぶっ飛んだ話になってしまっているのが、かなりツボでした。 塩野七生さんの作品はこれが初めてだったんですが、他の作品も読んでみたくなりました。続きものが多いみたいだけど、ハンニバル戦記あたりに手を出してみるかなー。
0投稿日: 2012.07.02
powered by ブクログ歴史上の有名人について、その人をごく身近で見ていた人の視線、という設定でお話が進められる。 今まで持っていた歴史観や、歴史上の人物へのイメージがこんなにも簡単に塗り替えられるとは、自分の想像力のなさに驚きます。 楽しく読める一冊です。
0投稿日: 2012.05.17
powered by ブクログへー、こんなライトな小説も書くのか。息抜き感の漂う。イエスの弟の話は、私の前々から感じてたことを見事にお話にしてくれてました。
0投稿日: 2012.05.12
powered by ブクログ知人からすすめられて塩野さん初読(のはず)。おもしろいです!ジェンダー思想、ウーマンリブ世代バリバリ!!コレを読むと、歴史なんて男が都合よく語ってきたものから作られてるんじゃ?と思わずにはいられなかった。
0投稿日: 2011.09.01
powered by ブクログ200頁と少しの薄い文庫本に十二編収録。 おもしろかったのは表題作「サロメの乳母の話」(賢く冷徹な姫君としてのサロメ)、好きだったのは「聖フランチェスコの母」(鳥に説法したことで有名な聖人の愛すべき息子としての顔)、考えさせられたのは「キリストの弟」(家族からしてみたらイエスさまって確かに冷たい)。 他は全体的によくも悪くも軽すぎて、余韻が少ないものばかりだったという印象です。決してつまらなくはないのだけれど、塩野七生は歴史書と歴史小説のあいだにあるようないつもの作風の方が好き。 最後に十二編(うち二編は続きもの)の収録作品をメモしておきます。 「貞女の言い分」(オデュッセウスの妻ペネロペ) 「サロメの乳母の話」 「ダンテの妻の嘆き」 「聖フランチェスコの母」 「ユダの母親」(語り手はイスカリオテのユダの学校の先生) 「カリグラ帝の馬」 「大王の奴隷の話」(アレクサンドロス大王) 「師から見たブルータス」 「キリストの弟」 「ネロ皇帝の双子の兄」 「饗宴・地獄篇 第一夜」(クレオパトラ、ビザンツ帝国皇后テオドラ、スパルタ王妃ヘレナ、ソクラテスの妻クサンチッペ、マリー・アントワネット、江青) 「饗宴・地獄篇 第二夜」(江青以外上に同じ)
0投稿日: 2011.08.06
powered by ブクログイタリアといえば、の塩野七生さん。 夏にイタリア旅行を計画していたため、ここはイタリアについて勉強せねば!と手にとりました。 英雄カエサルを殺したブルータス、イエスをユダヤ人に売った裏切り者ユダ、預言者ヨハネの首を所望した王女サロメ、など 世界史にはめっぽう弱い私でも知っている超有名人について、その周辺の人間が語る、という形の小説集。 さくっと読めて、初級編という感じ?他の塩野さんのどっしりとしたイタリア歴史本に入る前にちょうどよかったかも。 ちょっとゴシップっぽい視点も面白いし、世界史を勉強してる中高生にすすめたい。
0投稿日: 2011.07.16
powered by ブクログサロメの乳母が語るサロメの話。 なるほど、そういう見方をすれば、また違った人物像になるな・・と新たな発見。 カリグラ帝、ユダ、ブルータスなど十二編。
0投稿日: 2010.10.25
powered by ブクログ歴史上の有名人の身近にいた人たちから語られる人間像。 「ユダの母親」は文字通りイスカリオエテのユダの母が語るユダ像。こんな母親だったらユダも可哀想に・・と思ってしまいました。また「キリストの弟」も興味深い話。 これまでと違った視点で楽しめる短編集です。さすが塩野さん!! ぜひ一読下さい。
0投稿日: 2010.10.02
powered by ブクログ面白かった。 歴史上有名な人物を、その人物の身近かつ自身は有名じゃない人の目線から語る、という形式が好きだから、よりおもしろい。 最後の饗宴・地獄篇も凄く面白かった。こういうメタなのも面白い。 第二夜までしかなかったけど第三夜以降はないのかなぁ
0投稿日: 2010.05.15
powered by ブクログローマ人の物語の作者による、歴史人物考察・・・とでも言えばいいのでしょうか。能書きはともかく、面白い。誰もが知ってるサロメ、ではなく、その乳母がサロメを語る。あのイエス・キリスト、ではなくその弟がキリストを語る。なんて面白いんだ!世の中に知られている有名人の、知られざる一面が読める本です。
0投稿日: 2009.11.28
powered by ブクログ11月1日読了。古代ギリシアやローマ、キリストの時代のイスラエルなどに生きた伝説的人物たちについて、その妻や乳母、親などが語る手記といった体裁の短編小説集。描かれている女性たちの「現代的な」思考や、男たちの日常の単細胞ぶりには苦笑するが、いつの世も人間のすること・考えることはたいして変わらないものなのかもしれないな・・・。オデュッセウスの妻の、夫に対するさばさばとした態度などが面白い。
0投稿日: 2009.11.03
powered by ブクログなまなましい本だ。 やっぱ凄いよ塩野先生。仰々しい文章でもなんでもないのに、迫りくるあの高揚感。 うっかりサロメに共感しかけた自分に、ちょっとだけ危機感。
0投稿日: 2008.04.24
powered by ブクログ恋に狂うサロメとかの方が面白いけど、この小説の賢くてヘロデにはできないことをやったお姫様ていうのもいいね
0投稿日: 2008.03.12
powered by ブクログもしかすると真実はこうであったのかも…と思ってしまう。歴史小説と言われるようなものを読む時にはいくらか構えてしまうが、この本は大変読みやすかった。
0投稿日: 2007.12.30
powered by ブクログかなり遊んでますね。 神話や歴史をこういう風に料理するのも面白くて良いのではないでしょうか。 最後の自虐ネタはどうかと思うけど(笑)
0投稿日: 2007.08.11
powered by ブクログ歴史上の人物を、身近な人や馬(!)の視点で描いた短編集。へえへえ〜っと言いながら、面白く読みました。 塩野七生女史の著作を読むのは久しぶりでしたが、いつもと少し作風が違うような……? ラストの女傑たちによる饗宴は、 イタリア版、田辺聖子、あるいは永井路子 といった趣き(失礼?)。 それにしても、ホントに日本に悪女はいないのか?
0投稿日: 2006.06.30
powered by ブクログまたまたななみんぐ 西欧の歴史上の大人物を隣人の視点からややシニカルに描写。 ただ他の塩野作品で知ったエピソードが被っていて残念だった。
0投稿日: 2006.03.02
powered by ブクログ歴史は必ずしも事実とは限らず、後世の人がどのように受け取るかによって左右されるものだろう。学校で教えられる歴史は、歴史はただひととおりの道でしかないような印象を与えがちだが、史実をもとに、どのように考えるか、ということが歴史の本当の面白さなのだろうと思う。『サロメの乳母の話』は言うなれば、西洋史で誰もが知っている人物の意外な素顔をその人物に近しい人の口に語らせた外伝的な物語の数々だ。
0投稿日: 2005.09.28
