
総合評価
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powered by ブクログこの本を読んで3.11のことは深く知らなかった自分を恥ずべき気がした。又、今、コロナ禍にあってこの本を読む意味が深まったような気がする。 「光の山」はどのように受け取るかは人それぞれだと思うが、深くて一番印象的だった。
1投稿日: 2021.02.20
powered by ブクログ玄侑宗久『光の山』新潮文庫。 福島県三春町在住の僧侶作家による東日本大震災後の苦難に満ちた人びとの日常を描いた短編集。三春町の小さな本屋のご当地作家コーナーで目にし、手に取った。珠玉の7編を収録。 『あなたの影をひきづりながら』。僅か5ページの掌編ながら、震災後の人びとの苦難を凝縮した作品。震災が引き裂いた若い男女……作中に描かれた「なんにもなぐなっちまった」という登場人物のお爺の言葉は震災直後に気仙沼の鹿折地区を見て、思わず自分が口に出した言葉と同じであった。 『蟋蟀』。震災で生き残った者の心の傷。老いた者も、若者も同様に心の傷を引きずる。蟋蟀たちの鳴き声は思い半ばにして亡くなった者たちの哀しみの声か…… 『小太郎の義憤』。震災の津波で行方不明になった主人を捜すためにDNA提供に警察署を訪れた妻子。何ともやるせない。しかし、そういう哀しみも含めて人生なのだということを理解しているかのように幼い関口小太郎はまた少し成長する。 『アメンボ』。原発事故で放射能という見えない恐怖に怯えながら暮らす日々。見えない恐怖は家族をも引き裂く。普通であれば倒産しているはずの東京電力が大量の税金を吸い上げ生き長らえている一方で、放射能被害により故郷を離れざるを得ない人びとが大勢いるという矛盾。 『拝み虫』。癌で余命幾ばくも無い山口は仮設住宅のプランターにカマキリを見付け、その拝むような姿に津波で失った妻の聖子を重ね合わせる。何時しか訪れる自分の死期と低線量被爆の中に未来を見出だそうとする若者…… 『東天紅』。津波が迫り、原発事故が起きても訳あって避難出来ない夫婦の元に久し振りの珍客が訪れる。二人の元に東天紅という鶏はどこから迷い込んで来たのか…… 『光の山』。表題作。東日本大震災、東京大震災後を描いた筒井康隆のSFのような問題。ユーモラスな雰囲気の中に怒りを感じる。未だに続く除染作業とそれに伴う汚染物質の置場探し。 東日本大震災と福島第一原発事故から9年が過ぎて日本の国土を放射能により汚染させた東京電力も、東京電力の恩恵に預かっていた関東の住民も放射能汚染など無かったことにしようとしている雰囲気を感じる。新型コロナウイルス感染拡大を受け、東日本大震災の追悼式は中止しても、東京オリンピックを開催しようとする政府の矛盾。日本はとても良い国になったものだ。 本体価格460円 ★★★★★
23投稿日: 2020.03.10
powered by ブクログ東日本大震災に見舞われた福島でのフィクション7編。震災後も苦難の体験の中、諦念でなく、生に対して一条の光を感じて生活する登場人物たちに共感する。2019.5.18
0投稿日: 2019.05.18
powered by ブクログいずれも東日本大震災を想起させる短編集。 深刻に受け止められるエピソードもあるが、 絶望だけではなく、なんだか前向きに思えるものがある。
0投稿日: 2016.04.29
