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死の家の記録(新潮文庫)
死の家の記録(新潮文庫)
ドストエフスキー、工藤精一郎/新潮社
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総合評価

41件)
4.4
22
7
6
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読むのにとても時間がかかった。内容は非常に面白いが、時系列がバラバラで、実質短編集のような内容である。 登場人物一人一人に魅力的な個性がある。 これが事実をベースとした話だということは驚きである。囚人の入れ替わりとか、お酒の密輸とか、現代だと考えられないようなことが行われていたと知った。 監獄の中でどのようなことが行われていたのかを知るのは、歴史的な意味でも楽しかった。 監獄周辺地域との交流が盛んだというのは面白い。 監獄の内にも外にも心優しい人がいて、微笑ましかった。もちろんイヤミな人もいたけど、このような人達の助け合いは心の支えになったんだと思う。 ドストエフスキーもそうだが、他のロシア人作家の小説には「ロシア的」という文面が頻出する。これはどういうものなのだろうか。他の外国人作家で「〇〇的」というのはあまり、みたことがない。なぜ、ロシア人作家はそれをよく使うのか? アキム・アキムーイチ愛らしい。現代にも通じることだが、外の世界で労働するより、刑務所の中で作業をしたほうがマシな生活ってあると思う。彼がその代表例ではないか。

    4
    投稿日: 2025.10.01
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    2024年12月11日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。 「ドストエフスキー 様 【死の家の記録】 ドストエフスキー様が 関わってきた囚人たちを 事細かに記しております 良い意味でも、わかりやすく その囚人の容姿や性格を、 辛辣に 正確に認めており、 とても想像しやすく思います 古のロシアの監獄とは 今とは全く異なった 環境と様子が まざまざと 描かれております」

    1
    投稿日: 2024.12.11
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    この作品は心理探究の怪物であるドストエフスキーが、シベリアの監獄という極限状況の中、常人ならざる囚人たちと共に生活し、間近で彼らを観察した手記なのですから面白くないわけがありません。あのトルストイやツルゲーネフが絶賛するように、今作の情景描写はまるで映画を見ているかのようにリアルに、そして臨場感たっぷりで描かれています。 この小説はドストエフスキー作品の中で『罪と罰』と並んでその入り口としておすすめな作品です。

    2
    投稿日: 2024.08.13
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    ロシア+監獄+死の家というタイトルからして、陰気で鬱々した内容かと思ったら違った。舞台は刑務所なのに何故か上品で、ほのぼの日常物と言えるような小説。

    1
    投稿日: 2024.01.07
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    ロシア文学のイメージは、なんだか暗そうで苦しそうと自分勝手に思っていた。そして、その勝手なイメージから、ロシア文学を避けていたのだが、この本を読んで全く違っていたことがわかった。 ここではドストエフスキーが4年間シベリア流刑での体験をもとに、監獄での暮らしや人々の様子などが描かれている。 日々の様子をつづったものや人物に焦点を当てたもの、イベント的に起きたことなどについて正確に緻密に描かれている。監獄という特殊性から興味が湧く部分もあるが、多くは普通の人物がどのように生活しているかを見るのと変わらないのかもしれない。 表現が非常にリアリスティックで、それでいて愛情に満ちた文だった。人間観察が緻密であり、その様子から考えられる心情や、監獄であったできごとを描いているが、決してドラマチックではない。また、貴族と民衆の溶け合わないことを実に実感をもって、そしてそれを胸苦しい思いで描いてもいる。 作家が人間に対して愛情をもち、生き生きとした人物を描く作家として確立するにはこのような人間観察をできるかどうかにかかっているのかもしれない。

    6
    投稿日: 2023.10.18
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    「死の家の記録」名前がかっこよすぎて、本屋さんで目に付いた瞬間、(あっ、これは買いだな、、、)ってなりました。 ロシア文学かつ、ドストエフスキーのシベリア行き時代の本。とんでもなく暗い話を想像していたけど、実際は施設や環境が暗いなだけで、中の人間たちは元気。なんなら少し楽しそうに見えるほどだった。3日位だけなら行ってみたい。 最初の方は目新しかったけど、ストーリー性がなく、中盤からは正直飽きて、読み進めると眠くなった。 囚人は、自分を対等に扱ってくれる上官達に行為を持つっていうのが親近感を覚えた。上から目線で優しくされても、ただのマウンティングオナニーにしか思えないんだよね。 あとペット話が好き。犬が頑張って生きて囚人たちと仲良くしようとしてるのに、蹴られたり最終的には皮を剥ぎ取られたりしてるのが面白い。最終的に可愛がってた犬が殺されたのに、ペトローヴィチがそこまで悲しんで無いのも、当時の監獄の雰囲気が伝わってくる。

    0
    投稿日: 2023.05.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『死の家の記録』は、1860年から1862年にかけて発表された。 ペトラシェフスキー会のメンバーとして逮捕されたドストエフスキーは、オムスク監獄で囚人として4年間過ごした。「死の家の記録」は実質上、ドストエフスキー自身の獄中体験記録とも言える。 あらすじ 語り手アレクサンドル・ペトローヴィッチ・ゴリャンチコフは妻殺しの罪で10年間の追放と強制労働との判決を受ける。彼は貴族地主出身であったことから、他囚人たち(多くが、地主に搾取される農民出身)から悪意・憎しみを大いに買い、当初は監獄生活に苦しむ。しかし次第に収容所生活や受刑仲間に対する自身の嫌悪感を克服して、それまでの信念を再構築してゆく。(Wikipediaより) 感想: ドストファン必読書。なぜなら後年のドスト作品に登場するキャラクター達のモデルになった人々が本作に多数登場するから。獄中で仲良くなった天使のように可愛い青年アレイは『カラ兄』のアリョーシャだし、父親を殺し財産を持ち逃げした軍人はドミートリィのモデルだし、敬虔な正教徒のお爺さんはゾシマ長老のモデルに思える。また、妻殺しは本作以外だと『永遠の夫』のシナリオに重なる。ドストが獄中で培った犯罪心理学的考察は『罪と罰』、『虐げられた人々』などに反映されているのではと思えなくもない。 本作は一言で言えば獄中での人間観察記。主人公が見た、ロシア民衆達、たまにタタール人やインド方面の囚人もいる。言葉が通じないながらも心をかよわせたり、仲良くなっていく様子はちょっぴりホッコリする。が基本的には、貴族である主人公は周囲から敬遠され、いやむしろ疎まれ敵対され馬鹿にされる対象であった。ために主人公は当初獄中で、これ以上ないと言っていいほどの孤独を味わい、収監当初は獄舎に居着いている犬しか話し相手が居ないほどであった。これドストエフスキーもそうだったんかな?ドストも犬相手に話かけたりしてたのかと思うと、侘しいと同時に少しユーモラス笑 主人公が特に愛し、可愛がった美青年アレイ…これはカラマーゾフの兄弟のアリョーシャだよね!?いちいち描写が可愛いので少しキュンとなる。 一言で囚人といっても、性格から出自から何もかもが違い、個性的で、いろんな奴らがいる。陽気であったり陰気であったり。 一般に監獄生活といえば、苦しく辛く単調なものてあるように思われがちだが、本作における囚人達はそれぞれ手に職があったり、内職をして小銭を稼ぎ、稼いだ金で肉を買ったり酒を飲んだり(許可はされていないがどこかしらから持ち込んでいるのである)クリスマスには一張羅を着てご馳走を食らい、また囚人達一丸となって外部客を招き劇を演じるなど、それなりに監獄生活を謳歌しているので、 『死の家の記録』と題されるタイトルに似つかわしくないある意味楽しげな(楽しいのかわからないが)生活ぶりが描かれる。これは帝政ロシアの時代までなのか?ソ連時代はどうだったか知らないが、当時は割とおおらかだったのかなと思わないでも無かった。それでも懲罰はかなり苛烈で、笞刑(ムチ打ち刑)の描写には戦慄してしまう。死んでしまう者もいたらしく、当時の法律や刑罰の方法、施行され方に対する非難めいた記述も所々に見られ、非人道的な体制へのドストエフスキーの強い憤りが垣間見られることもあり、とても興味深かった。

    1
    投稿日: 2022.04.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1973年「Записки из Мёртвого дома」 (発表 1860年~1862年) NOTE記録 https://note.com/nabechoo/n/n545fa162c0c3 その後のドスト作品に大きく影響してくる作品らしいが、確かに、ここでの経験があの深い人間描写に繋がるのかと納得した。本物の「民衆」の姿を、ここで強烈に印象付けたのか。 本書はたぶん、当時メモってたものから書かれていたかと思うが、「深く鋭い観察と正確な描写」によって、この「死の家の情景」がありありと描かれている。 メインはやはり、「ロシアのそれぞれの地域の代表が集まっているかのような、あらゆる種類の人間」と言われる、囚人たちのこと。この監獄には、250人ほどいたらしい。とりあえず、いろんな「民衆」がいた模様。 そんな囚人たちとの監獄での生活について。強制労働、刑仕・刑罰、病院、イベント、動物のことなどが語られていく。そして4年間の服役を経て、出獄の時を迎え、話は終わる。

    0
    投稿日: 2021.12.19
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    ドフトエフスキー後期の傑作群の源泉であり、彼個人の人生における最も重要なターニングポイント。 一般の人々が当然経験しえない異常な状況下にこそ、彼の文学の素材があり、それこそ啓示とも言える監獄での強烈な出会いと閃きが、カラマーゾフや罪と罰などの大作を作り上げた。 そういうの考えるだけでも泣けてしまう。 文章も読みやすくユーモアも点在してて相変わらずリスペクト。

    0
    投稿日: 2021.08.29
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    期待よりもずっと面白かった。女房殺しの男の手記で始まりながら、途中で構成が変わっているのもいい。他を削り取って監獄生活に絞り込んだ写実的な描写は最後まで飽きさせず、巨匠の作品の中ではもっとも読み易いと思う。 読んでいて連想したのは漱石の『坑夫』だが、漱石の転機がその作品であったように、この作品がドストエフスキーの転機なんだなと感じた。創作から一歩離れて、人間を描き記述していくことで見えてくるものもあるのかなと思う。 読書や創作、社会生活と隔離された流刑地での4年半がドストエフスキーにとって無駄ではなかったどころか、深い内省、稀有な経験、特異な出会いと人間観察が後の世界的文豪を創ったのだと認識できた。 過酷な環境の中でも芝居のエピソードはとても楽しく、動物たちとの触れ合い(特にヤギ)も印象に残る。

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    前半面白くスイスイ読み進めたが後半でペースダウン。同じ牢屋に入ったとて、元貴族は他の囚人の仲間入りはできない。階級意識はどこにでもある。

    0
    投稿日: 2021.01.03
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    ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。 シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。 やはり人間観察がうまい。 自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。 笞の過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。 小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品よりすんなり読めたようにおもう。

    0
    投稿日: 2020.12.28
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    ドストエフスキーが四年に渡る獄中生活を元に書いたルポタージュ。架空の人物による手記の体裁だが恐らく作者の体験した事と思われる。あらゆる囚人との出会いが文豪の糧になったのは間違いなく登場してくる囚人達のリアリティは凄い。個人的には妻殺しのエピソードと犬や山羊の話が印象的。少佐の末路などは時代を超えた教訓とも言える。 傑作。

    0
    投稿日: 2020.12.13
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    読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に同じことが指摘してあってがっかりした。

    1
    投稿日: 2019.09.08
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    トルストイも絶賛した本書。 だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。 他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。 シベリアに流刑されたドストエフスキーの獄中実体験を基に書かれている。 罪をおかし、足枷をつけられ何年も狭い世界で耐えること。 そこには耐えるために、目的を持ち、喜びを見つけ、足枷を外せる日を待つ。 最後のシーンは感動する。 また読み返したくなる作品だ。

    0
    投稿日: 2017.09.05
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    囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取って出獄するラストシーンは最高、卒業感ある。辛い生活の中でも希望を捨てない著者の過去を追体験した。

    0
    投稿日: 2017.02.17
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    ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。 動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。 一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。 貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。 随所に織り込まれる、犯罪や刑罰に関する哲学的考察にも唸らされる。

    0
    投稿日: 2016.10.01
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    【印象】 永く永いシベリアの獄中を綴った。 【類別】 小説。 記録風。 【脚本構成】 本作は獄中で10年を過ごした人物の手記を主体としていますので作中作の色を帯びています。 やや環状的構成。 【表現】 文体は平易。 翻訳について、キリスト教に関する語を仏教に関する語で訳している箇所が多いです。 好みな表現箇所は頁246、誰にも等しく訪れる大きな祝祭日に際した囚人の心情「だから、自分はまるきり世間から見すてられてしまった、亡びてしまった人間じゃない、切りはなされてしまったパンのかけらじゃない」です。

    0
    投稿日: 2016.07.08
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    人間の本質について一つの答えが書かれていたように受け取った。心理の書き込みはやはり非常に緻密で、この作品の場合は形而上学的というより写実的であるし、五大長編より少ないページ数なのに、読み込むのにはやはり相応の体力がいった。これがドストエフスキーの転機になった体験かと思うと、一文字余さず特別な文章のように思えて、読んでいるあいだ中ずっと襟を正す気持ちだった。 それから、罪と罰、白痴、悪霊、カラ兄の原形が垣間見える人物が出てくるとなんとなく嬉しい気持ちになった…

    0
    投稿日: 2015.12.15
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    ドストエフスキー作品の中では読みやすく、エンタメ度が高い。てか、一番おもしろい作品かも。  作者自身の経験(1850年頃の獄中生活)をもとに描かれた体験レポートである。獄中にいる様々な人物についての考察の繰り返しであり、それがなによりおもしろい。ドストエフスキーの観察眼、描写力がすばらしい。  大変おすすめの一冊であった。

    0
    投稿日: 2015.05.09
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    勤めは生業と割りきって、余暇で学問をしたまえ・・・遠山啓は著作集で説いた。その遠山が東大数学科を中退後、東北大学に再入学するまでに読み漁った西洋文学のなかで、特に印象深いと語ったのが"死の家の記録"。初読の時は何も響かなかったが、思えば生への自分の覚悟が足りなかった。アレから15年経つ。大勢が浴室に押しこめられ、洗い場に自分の場所を確保するにも金を必要とし、浴槽は垢だらけ。足枷をはめられたままなので服を脱ぐのも一苦労ながら、それでもクリスマスを前に、囚人達は入浴を喜ぶのである。自分を鼓舞するにジャスト。

    0
    投稿日: 2013.10.16
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    読みやすい作品ではなかったけど、この本好きだー!! 作品は力強いし、人物の描き方に奥行きがあって良い!色んな印象的シーンがあって泣ける! 作品がネガティブな状況だけで終わってないところも好き!ドストエフスキー・・・愛してる!

    1
    投稿日: 2013.04.02
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    「イワンデニーソヴィチの一日」と、この「死の家の記録」は、 私の中でベスト・オブ・シベリア流刑小説の地位を常に争っています。 いや、これらの他に読んだことないんですが。 こちらに関しては、貴族がいきなりシベリアに来て精神的にかなり参ってる感じにぐっときます。 お風呂の不潔さにうひゃー、とか囚人服がベトベトしててうげーとか。 特にお風呂(サウナ?)の描写は圧倒的に迫ってきます。 囚人の垢とか髪の毛とかが、自分の足にからみついてきてぬるぬるしてる気がします。 とにかくもう迫力があるんですよ。 他に好きな場面は囚人がクリスマスなどのイベント事に心からウキウキしてるところかな。 どんなにどん底に落ちても、素朴にイベントを楽しみにできるなんて、 なんて人間って愛しい生き物なんだ!と感激したものです。

    4
    投稿日: 2013.03.15
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    シベリア流刑囚として過ごした4年間の体験を元に執筆された本書には、ドストエフスキー諸作品の通定音が最も濃縮された形で表れている。共に暮らした囚人や兵士達に、時には犬畜生相手にまで向けられるその洞察力は、ふとした会話や行動から対象の内面に潜り込み、当人も自覚していないその愚かしい性質や特徴を暴き立てる。獄中に置いても貴族は仲間として扱わないその態度に嘆息しながら、それでも庶民の中に人間讃歌を見い出すことを決して諦めない。長編作品の登場人物のみならず『夜と霧』を始めとする多くの作品が、この家から生まれてきた。

    4
    投稿日: 2013.01.25
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    シベリアでの実体験を元に書かれているだけに、笞刑などがリアルで犯罪者の心理描写が上手く描かれていたなと思いました。それにしてもドストエフスキーは難解で、途中でくじけそうになったけど読了できてよかった。

    2
    投稿日: 2012.11.23
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    法を犯して罪を背負った人々に、足枷をはめさせ労役を科し、鞭の浴びせて自由を奪う。 そんな死の家に押し込まれた囚人たちの生活模様を描いた物語。 壁の中での生活は、本当に人を更正させることができるのか。 考えさせられる小説です。 この作品は、ドストエフスキーの実体験をもとにリアリズムの手法によって書かれていて、19世紀ロシアの監獄のスケッチとしての価値もあり、また、優れた観察眼による緻密な人間描写は、文学としての完成度を最高のものにしています。 「カラマーゾフの兄弟」を始めとする、ドストエフスキーの後年の大作たちの原点とも言える、大変素晴らしい作品でした。

    1
    投稿日: 2012.02.03
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    ドストエフスキーの経歴を考えれば、この内容は生の体験から得た情報がたくさん入っているようでとても真剣に読んでしまいました・・・ もちろん、書いてある事の心情だったり、そういう描写もとても良かったのですが、シベリア流刑を受けていた囚人たちの生活、行動、そういう事が詳細に描写されていて想像しながら読むのがとても面白かったです。

    1
    投稿日: 2012.01.02
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    予想外に面白かった。死の家に閉じ込められた徒刑囚がこんなにも人間味に溢れているとは思わなかった(あくまで今作中の話だが)。特に動物に関わるエピソードは微笑ましい物が多い。 時間があったらもう一回読みたい。

    1
    投稿日: 2011.04.29
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    ドストエフスキーが投獄されていた時のことを参考にして書いたほぼノンフィクション。 かなり時間をかけて読んでしまったので名前が全く覚えられなかったですw反省。 彼は刑務所をプラスの面、マイナスの面両方から見てるんですね。抑圧されて荒れてしまったことから、風呂や病院の不潔さ、貴族に対する態度、これはマイナスの面、プラスの面は囚人たちの団結力とか、演劇の感性度とか。それからムショ内の商売、取引。 彼は病院に入院してこれを書いていたらしいですが、それにしてもすごいなって思います。立派な記憶力、観察力を持っていて、だからこそあんな長大な小説が書けたのでしょうね。

    1
    投稿日: 2011.03.27
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    ぺトラシェフスキー事件で逮捕され、死刑宣告を受けたのち、刑の執行直前に恩赦によってシベリア流刑を言い渡されたドストエフスキーの、獄中体験をもとにした記録。「死の家」とは監獄のことである。 ドストエフスキーは、それぞれに強烈な個性をもった数々の囚人や刑吏の言動を克明に記録し、その心理状態に透徹たる観察眼を向ける。人間が非人間的になる様を剔抉する描写は、流石だ。 囚人は、過酷な監獄生活の中で、粗暴であったり狡猾であったりと野獣的な存在に陥っている。然し、その描写は必ずしも常に陰鬱な調子を帯びているわけではなく、獄中に生きる者たちのしたたかな生活力、ときには明るさや人間味さえ感じさせるところがある。それは一重に、ドストエフスキーが彼ら≪不幸な人々≫に向ける人間的な愛情ゆえだろう。彼は、民衆たる囚人と知識層たる己との階層の懸隔に悩みながらも、民衆に対する愛惜を失わなかった。 他方、当時の非人道的な刑罰制度に対しては、筆鋒鋭く批判を向ける。 この作品には、或る意味で実に率直なヒューマニストとしてのドストエフスキーの姿を見ることができるように思う。 "何かの目的がなく、そしてその目的を目ざす意欲がなくては、人間は生きていられるものではない。目的と希望を失えば、人間はさびしさのあまりけだものと化してしまうことが珍しくない・・・・・・"

    1
    投稿日: 2011.03.27
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    こんな格好のいい題名の本はドストエフスキーしか認めません!! 読み応えありました。 お風呂のシーンがかなり衝撃的。また読み返そう。

    1
    投稿日: 2011.02.16
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    2010.8.26 ドストエフスキー4年も監獄にいたのか。。。 監獄の様子が鮮明にイメージできたわけじゃないけど、囚人の性格・行動の描写は興味深い。 虚栄心とか仲間意識とか、僕らも潜在的に抱えているものが、監獄という状況によってあぶりだされてる。人間とはどういう存在なのだろうと考える時に必要な視点。 クリスマスの演劇と馬をかわいがるエピソードは暖かいな。

    1
    投稿日: 2010.08.26
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    思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。 獄中体験記ということで、初めはグロテスクなシーンが多いのではと想像していたが、実際に読み始めてみると、囚人たちの人間味あふれる個性に強く惹かれ、あっという間に読み切ってしまった。 獄中の中にあって不自由な生活を強いられてはいても、「人間」を失うことのない囚人たちの生き様に、深い興味を覚えた。

    1
    投稿日: 2010.05.15
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    ドストエフスキーがシベリアに流刑になった時のお話です。 タイトルは非常に怖そうだけど、決してそんな事はなく シベリアの囚人達の話が淡々と述べられていました。 ロシア文学で辛い所の登場人物を覚えるって作業が そこまで要らない作品でした。 名前は複数個ないし、何回も出てこないから! 但し読書中に何回も寝れます! 盛り上がりとかは作品中に全然無いから。。。 でも囚人がかなり細かく描写されていて おもしろかったです。

    1
    投稿日: 2009.10.26
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    ドストエフスキー自身のシベリア流刑の体験を元にした作品(だと思う)。 刑務所内での人間関係、人間の性格など、今後の作品に活かされていると(訳者あとがきを読んで知ったが)あって、感慨深く思った。 途中退屈になりながらも、長い作品を読み進めていっての最後の言葉、その開放感には、胸を震わせるものがあった。 自由な現代に生きながらもどこかにある息苦しさに、響く一言だった。 読み終えてじわりと来た。

    1
    投稿日: 2009.06.04
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    この本は表面上は『妻を殺した貴族の監獄の記録』と言うことになっていて、小説の形を取っているのだが、実際はドストエフスキー自身の監獄の体験記と言う形のドキュメンタリーである。 ストーリーと言うものはほぼなく、監獄の情景や人間の、密度の濃い描写が延々となされるため、読み続けると疲れるかも知れない。しかし時々手にとって少しずつ読んでみることで、19世紀ロシアの『滅び去った民衆』、つまり『最底辺の人々』の暮らしぶりに自分を共鳴させることができる。 その意味で、『カラマーゾフの兄弟』よりも現代に流行ってもいいと思える一冊。格差社会の現在の日本の中で、我こそは最底辺だと自称する自虐的な人たちが最近増えているが、そう言う人に読んで欲しい。選りすぐりの最底辺の人たちが屈強に生きる様が、そこには描かれている。 しかし、分かりやすく『最底辺』と言う言葉を充ててみた訳だが、それはあまりに表現力不足で、囚人達に失礼と言うものかもしれない。 『地下室の手記』とともに後の五大小説の母胎となったと言うことはあまりにも有名。これはどちらにも言えることだけど、読んでひたすら暗くなる、と言うわけではなく、陰鬱な描写の中にも突拍子に明るい描写が混じっていたりして、思わず噴出してしまうシーンすらあったりする。ドストエフスキーの小説は多くはこのような特性を備えているので、意外と読後感は悪くないと思う。 罪を犯し監獄に入れられても、人生はまだまだ続くのだと言うことを学んだ。人間はつまるところそこで死刑にされるなり、あるいはこれはシャバでも獄内でも同じことであるが、病気やら自殺やらと言った要因で、要するに死ぬまで生き続けるのであり、その結果人生は続くのである。『滅び去った民衆』と言う表現が出てくるが、社会的に破滅したとしてもまだまだ人は生き続けるのだ。

    1
    投稿日: 2009.06.01
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    シベリアというと、重罪を犯した人の、極めつけの流刑地というイメージがある。 そのシベリアでの獄中記を、ドストエフスキーが書いているというのだから、それだけで興味が湧く。自分自身の手記であるとはまったく言っていないけれど、読んでみると、体験にもとづいてかなり詳細に描写されたノンフィクションであることがわかる。 書かれているテーマは、監獄の中での習慣や出来事、周りの囚人についての解説など、あらゆる場面にわたっていて、ほとんど自分が監獄の中にいるという疑似体験が出来るくらい細かくその様子が伝わってくる。特に、クリスマスの祭りの時や入浴の時など、日常のルーチンと異なる出来事があった時の監獄の様子というのはとても特殊で、その情景の描写はかなり面白い。 監獄の中では金など必要とされないし、あったとしてもほとんど使い道はないのに、それでもみんなが必死になって金を得ようと盗んだりだましたりを繰り返すというところなど、不思議だけれど、そういうものなんだろうなあという気がする。 人は大病、倒産、投獄の経験を経て一人前になるといわれるけれども、確かに、この作品を読むと、刑務所の中というのはこれ以上ない人間観察の舞台であるし、自分自身を深く知るためには最もふさわしい環境であるのだろうと思う。 おそろしい苦痛が、獄中生活の十年間にただの一度も、ただの一分も、一人でいることができないことにあろうとは、わたしはぜったい想像できなかったろう。作業に出ればいつも監視され、獄舎に戻れば二百人の仲間がいて、ぜったいに、一度も、一人きりになれない。しかも、わたしが慣れなければならなかったのは、この程度のことではなかった。(p.20) 実際、わが国にはいたるところに、その境遇や条件のいかんを問わず、常にある不思議な人々、温順で、間々ひどく勤勉だが、永久に貧しい下積みから浮かび上がれないように運命によって定められている人々がいるものだ。これからもおそらくあとを絶たないだろう。彼らはいつも素寒貧で、いつもきたない格好をして、いつも何かにうちのめされたようないじけた様子をして、年じゅうだれかにこきつかわれて、洗濯や使い走りなどをやらされている。およそ自分で何かを考えて、自分で何かをはじめるなどということは、彼らにとっては苦労であり、重荷なのである。彼らはどうやら、自分からは何もはじめないで、ただ他人につかえ、他人の意思で暮らし、他人の笛でおどることを条件として、この世に生まれてきたらしい。彼らの使命は、他人から言われたことをすることである。それに、どんな事情も、どんな改革も、彼らを富ませることはできない。彼らはいつの世も貧しい下積みである。わたしの観察では、こういう人間は民衆の中だけではなく、あらゆる社会、階層、党派、新聞雑誌社、会社などにもいるものである。(p.108) わたしが言いたいのは、どんなりっぱな人間でも習慣によって鈍化されると、野獣におとらぬまでに暴逆になれるものだということである。血と権力は人を酔わせる。粗暴と堕落は成長する。知と情は、ついには、甘美のもっとも異常な現象をも受け入れるようになる。このような権力は誘惑的である。約言すれば、他の人間に対する体刑の権利がある人間にあたえられるということは、社会悪の一つであり、社会がその内部にもつ文明のいっさいの萌芽と、いっさいのこころみを根絶するもっとも強力な手段の一つであり、社会を絶対に避けることのできぬ崩壊へみちびく完全な要因である。(p.366) 自由というものが監獄ではほんとうの自由よりも、つまり実際にある現実の自由よりも、何かもっと自由なもののように思われていた。囚人たちは現実の自由についての観念を誇張して考えていたし、そしてこれは囚人には特有のことで、すこしも不自然ではなかった。きたない服を着た名もない従卒が、監獄では、ただ頭を剃ることもなく、足枷もつけず、警護もつかずに歩きまわっているというだけで、囚人たちの身にひきくらべて、ほとんど王様か、自由な人間の典型のように考えられていたのである。(p.555)

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    投稿日: 2008.03.31
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    思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら、刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。

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    投稿日: 2007.05.24
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    人間観察の面では芸術といってもいいでしょう。ただし、活字好きでないと途中でくじけます。暗く・重く・卑屈な感じがどうしてもありますから。

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    投稿日: 2007.03.25
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    ドストエフスキーの入門編としては入りやすいと思う。もっともつらい拷問は何か?ある種ドキュメンタリでもある作品。

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    投稿日: 2006.06.25
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    学生の頃一度よんだきり。読み返して、これはとびっくりして死の家は「生の家」であり精神の故郷だったんだと遅れて気がつきました。

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    投稿日: 2006.03.25