実際に漫画キャラを描いている人間の実体験からの解説なので、下手な美術書より人体を描く上でのコツが把握しやすい。 難しくなりがちな手の描き方・優雅な髪の描き方・パースのつけ方なども非常に簡単で無理の無い理論で解説してくれている。 特に良かったのが、やってしまいがちな間違った作例と正しい作例が多数掲載されていることで、 今まで自分が絵を描いているときに疑問に思っていたことの答え合わせをしているような感覚だった。 パースのついた絵での肩の正しい配置方法や、 フカンで胴体に頭がそのままくっついた感じにならない首の配置方法など、 自分の誤りに気づかされるような参考になる作例が非常に多い。 作例の絵は顔も体もごく淡泊で筋っぽい絵柄だが、これは筋肉・骨格の形やパースを捉えやすくするための便宜上のものと思われる。 基本はこの本で習得できるが、今流行りの魅力ある顔を描く方法などについてはまた別の書物を参考にされたい。 評価は5に近い4で、人体の描き方の基本を抑えるための本としてかなりの良著だと思う。 解剖学の本など本格的な美術書を読む前にぜひ抑えておきたい。