
総合評価
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powered by ブクログ闘病中闘病記 夫婦間、親との関係まで開示 私には辞書なしでは読めない難しい漢字使えてるのが、高次脳機能障害なんだろな。
0投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログ熱量が高すぎ&脱線が多くところどころ置いてけぼりにされたが、高次脳機能障害の症状について事細かに綴られていて、苦しむ人たちの心のうちが少し理解できたように思う。最後の方であった、当人にたいして周りは助けが必要かどうか訊ねるのではなく、ただ無言で手を差し伸べてほしい、という著者の願いは、忘れないようにしたい。
0投稿日: 2025.05.23
powered by ブクログ「最貧困女子」を代表作とするルポライターの著者が、40を過ぎた頃に脳梗塞になり、リハビリを通じて、自身の症状が自分が取材対象としてきた若者たちと似ていたことから、様々な仮説を立てつつ、リハビリをしながら自分を見つめ直す闘病記となっている。 発達障害と脳機能障害の類似点を当事者として体感しているのは、医学的な根拠は示していないものの、肌感で正しいと思う。以前読んだ「ケーキの切れない非行少年たち」も、それを示唆していたような気がする。 発達障害を持つ子どもへの教育という観点からしても、この気付きは興味深い。 奥様も発達障害ということだが、愛に溢れており、微笑ましい(苦労も多いので軽々しくは言えないのかもしれないが)。 自分の周囲にも高次脳機能障害者がいて、支援している。 何かあったときの人間関係の構築について著者は言及しているが、まさにそのとおりだと思う。
13投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高次脳機能障害とはどうゆうものなのか。 記者ならではの説明で、こうゆう感じのものというニュアンスの伝わり、想像がつきやすい。 著者作品は最貧困女子を先に読んだのだが、日頃そうゆう界隈を題材に仕事しているだけあって、今回の障害に関しても医者に診断・治療してもらう機会に巡り会えなかった、あるいは一生治らないものとして生きている生きずらい発達障害系の人達について、思いを巡らせると苦しくなった。 また、助けになった妻に関する話がプチ衝撃的で、根っからの、そうゆう人達に惹かれるたちなのだろうかと。しかし、2人の信頼関係を見ると羨ましくもある。 それでも、障害者枠での採用でなければ発達障害のない人間と同じ待遇での採用なので、作業が遅いが故に差が出ても同じ待遇という現実に苛立ちを感じてしまう。(遅い分こなせなかった仕事が回されるから)
18投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログ言われてみると確かに困っている半ぐれの何パーセントかにリハビリは効きそう。年寄りのリハビリよりもいいかどうかはさておいて。こういうのが書ける言語化能力はともかく素晴らしい。色々と腑に落ちるところが在ったのがそっちかいとは言われそうだけど。
0投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログ脳梗塞になった身内がおり、理解のため読書しました。 医療用語、感覚を用いず脳梗塞と症状をありのまま書いてくれていたので、スルスルと読めました。 脳梗塞になった前中後の心境、ストレス、、、当事者の執筆だからこそリアリティがありスッと理解できました。 私自身、脳梗塞や精神的な疾患の診断はついておりませんが、生きづらさを感じております。 目に見えないレベルで大なり小なりの損傷があって生きづらさになってるのかなと自分自身も顧みて読ませていただきました。 脳梗塞の家族、知人がいる方にぜひ読んで欲しいと思いました
0投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「されど愛しきお妻様」他最近著作を続けて読む機会があり興味を持ち手に取り。 様々な困難のために社会の中で生き難い人たちを取材し本にしてきた著者が、まさに当事者となって体験したことで新たに得た視点が出色。 「そういうことだったのか」を苦心して言語化して何とか周囲に、読者に理解してもらおうとする姿勢に頭が下がります。 はっとさせられることばも散見されました。 「病名をつけなければ身動きがとれない。ゆえに最も見過ごされがちなボーダーラインの障害者には一層支援の手が届きそうにない(趣旨の要約です)」 「大きすぎる感情は言語化できない」「頼れる相手や頼るべき相手と頼りたい相手とは別物」 「一番身近な人が一番頼りたい相手かというとそうでもない」 「してほしいことある?と聞かずに一方的にやってくれることが、ようやく助けての声を絞り出すためのプロセスになる」 言われてみれば確かにと思うことだらけでした。そういうことを言いたかったけどどう表現し誰に伝えていいのかということに迷って結局誰にも何も言えなかったということがあったなと昔を思い出しました。 自分にも障害者の身内がいますが、もしかすると言葉に出来ない様々な思いによって大きく屈託してしまったために行動がうまく出来なくなって一般社会で生き難くなってしまったのかもしれないと思い当たる出来事も多々ありました。 当時はただ「面倒かけやがって」的な怒りしかなかったけれども(自分も若かったし自分の人生だけで精一杯と言い訳かもですが)、辛かったり苦しかったりの経験をし人生をある程度生きてきた今から観ると「あの人は自分の想像を超えた言語化できない程の辛さや苦しさをあの時持っていたのかもしれない」と思い至ることが出来るようになりました。遅きに失しているかもしれませんが、本書は今から寄り添えることはないか考えるきっかけになりました。よくぞ言語化してくれました。 著者にしてみると色々と必死だった(生活を立て直したり、収入を得なくてはということも含め)ということなのかもしれませんが。 それにしても著者のお妻様への愛がハンパない。お妻様も夫様を大切に思っているのがきちんと伝わります。 言葉は荒々しい?時もあるけど気持ちは伝わるんだなぁと、至らないからこそ愛おしいということもあるのかなぁなどと思いました。割れ鍋に綴じ蓋、という言葉を思い浮かべながらお二人のやりとりのパートは読みましたが、お互いがお互いの割れ鍋に綴じ蓋になってるカップルだと思いました。(最高に褒めてます)
3投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログ脳梗塞後の高次脳障害、当事者が言語化し類する脳機能の障害、特性がある人の状態を代弁してくれた。完全な理解は難しいが、想像力を働かせてその人がして欲しいことを探りたい。
0投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ突然の脳梗塞。命は取り留めたが、外からは見えない障害。当事者が語る。 高次脳機能障害とは、脳卒中などで脳の一部を損傷し、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態をいう。著者は、発話や行為に一部不自由が生じたようだが、これが周りからは分かりにくい。例えば、半側空間無視なんて知らなかったが、どちらか左右の空間を認知出来ず、極端に言えば左半分もしくは右半分の空間がなくなってしまっている状態。著者は、片側に何か嫌なものがいる感覚と語る。 脳梗塞後には、感情のコントロールができなくなる「感情失禁」になる事も。穏やかだった人が急に怒り出すなど。著者もこの状態に時々陥る。 大変な事だが、本職ライター。面白おかしく、読みやすく。何よりほのぼのとした気持ちになるのは文面からも伝わる夫婦仲、奥様愛。発達障害で日常生活も一見無茶苦茶に見える奥さん。でも、そこをお互いのできる事で補い合う魅力的な夫婦。 脳梗塞後のリアルとそれを抱えながらの仲睦まじき?夫婦生活。本著の魅力は大きくこの二点。他人事ではないです。どちらも。
50投稿日: 2024.04.07
powered by ブクログ養老チョイスから。文筆家が脳障害の当事者になる。性状や程度によっては、復帰困難のレベルまでダメージを受けた可能性もあろうけど、著者はそれは回避できた。もちろんリハビリの成果も多々あろうけど、運の要素もかなり大きい。さておき、内容は何といっても、当事者がどうやって能力を回復させていくのか、その詳細が分かりやすく書かれていること。あと本筋からは外れるけど、本書の最後らへんでチラッと登場する父親が、かのネトウヨ新書で語り直された訳ですね。なるほど。
1投稿日: 2023.07.24
powered by ブクログ高次脳機能障害の当事者研究でここまで詳細な記録ははじめて読みました。 専門職なら必読書としていいのではないかと思えるほどに示唆に富んだ内容でした。
2投稿日: 2023.05.26
powered by ブクログ脳出血で後遺症が残り、見た目は普通なのだが内面的にはいろいろな障害が残った状態になった作者の、発症・回復・リハビリの過程と現在の困っていることなどを書いたセルフドキュメンタリー。脳の機能不全という観点では、脳で何か病気があった人ばかりではなく、もともと脳の個性として不全を抱えているような人の行動を理解するための示唆に富んでいる。みんながみんな、自分のように感じられたりするわけではないし、行動できるわけでもない。とても実感を持ってそのことが感じられる。
1投稿日: 2022.12.15
powered by ブクログ倒れた後のこととか、心身の不具合など、本当に細やかに噛み砕いて書いてくださってて、とても参考になりました。 これまで取材であった人たちのうまくいかなさも、比べて書いてある内容も、当事者ならではの視点で、新しく、すごくよかったです。
1投稿日: 2022.11.01
powered by ブクログ読了。脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害を負ったことを「僥倖」と捉えられる著者の精神力に驚いた。もしも自分だったら、そんな風には到底思えない。 YouTubeの「障害とパートナーシップ会議」をたまたま見て、なぜそんなにも大介さんが自身の「加害」とか「モラハラ」について繰り返し言及するのかと疑問だった。だって、発達障害の当事者として見ても、大介さんのおかげでお妻様は生き延びてこられたんじゃないかと感じたから。 けれど、本書を読み進めるうちに、大介さんの異常なほどのマイルール狂なところや、ワーカホリック、過度の節約が、自身が「性格習慣病」と名付けたように、病気を引き寄せてしまうほど度を超えたものであり、生活を共にする者から見たら「モラハラ」と非難されても仕方ない域なのかもしれないと理解できた。 病前の、お互いがお互いの欠点を引き出してしまっている関係。というか、本来強みである部分も、使い過ぎたり全く発揮できないと短所になるという、ポジティブ心理学のVIA診断の「性格の強み」にも通ずるお話だと思った。 病気になるほどのストレスとか、無理の積み重ね…。そのおかけで分かり合えたけれど、2人とも死んでてもおかしくなかったわけで。そんな怒涛の展開はできれば避けたい。日々のたゆまぬチューニングで、良好な関係を作っていけないだろうか。 私自身、不得意なことが多くて生活の中で夫に色々と背負わせ過ぎてる気がする。夫に大介さんのような過度なストレスを与えたくない。一方で、自分の役割をどんどん手離してここまできて、無力感に苛まれることがよくある。夫に病気になってほしくない。私も、度重なる希死念慮とさよならしたい。どうしたら良いんだろう。とても考えさせられた一冊。読んで良かった。
0投稿日: 2022.10.01
powered by ブクログ脳梗塞の後遺症である高次脳機能障害についてここまでうまく言語化しているのはすごい。 医者が読んでも勉強になるんじゃないかってくらい。 認知症や発達障害も脳の機能が一部壊れるので似ているところがある。 認知症について勉強したくて読んだ1冊。
0投稿日: 2022.02.05
powered by ブクログ★★★ 今月7冊目 ルポライターが41歳で脳梗塞に。 かなり回復するも見た目ではわからない高次脳機能障害に悩む。 が、優しくなれて7割は病気になって良かったと、、
0投稿日: 2021.10.30
powered by ブクログ最近、職場で高次脳機能障害になった人と知り合ったから読んでみた。 体験をこんな風に書けるのすごいなぁ。
1投稿日: 2021.07.17
powered by ブクログ請求記号:WL355-SUZ https://opac.iuhw.ac.jp/Akasaka/opac/Holding_list?rgtn=2M020273 <小野寺敦志先生コメント> ノンフィクションライターの著者が、脳梗塞により高次脳機能障害となったその闘病手記。読みやすく、当事者の辛さや思いを感じ取れる一冊です。続編「脳は回復する」(新潮新書)あり。なお、著者はマンガ「ギャングース」の原作者です。 <BOOKデータ> 41歳の時、突然の脳梗塞に襲われたルポライター。一命は取り留め、見た目は「普通」の人と同じにまで回復した。けれども外からは見えない障害の上に、次々怪現象に見舞われる。トイレの個室に老紳士が出現。会話相手の目が見られない。感情が爆発して何を見ても号泣。一体、脳で何が起きているのか? 持ち前の探求心で、自身の身体を取材して見えてきた意外な事実とは? 前代未聞、深刻なのに笑える感動の闘病記。
0投稿日: 2021.03.09
powered by ブクログ脳梗塞から高次脳機能障害になったライターの話。 病気の話なので当然ながら重苦しい描写が続くが、ライターだけあって文章がうまく、読みやすかった。
0投稿日: 2021.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
僥倖/ぎょうこう/偶然に得るしあわせ 両親が高齢になり、十分な手助けができないと感じている時に読んだので、人の縁が重要だという件は、確かにそうだよなぁ~と思いました。自分は、人を当てにしたり当てにされたりするのは、苦手かもしれません^^; 著者の鈴木大介さんは、ここ十年来、虐待や貧困といった環境的理由でドロップアウトし、犯罪行為に手を染めてしまった若者など、社会的に発言の機会が与えられない弱者を取材してきた記者だ。そんな鈴木さんが脳梗塞に襲われたのは、2015年の初夏、41歳の時であった…鈴木さんは、脳梗塞によって失われたものに対峙する最中で、自分の症状が「多大な不安とストレス中で神経的疲労を蓄積させ、認知判断力や集中力が極端に落ちた弱者の状態」と合致することに気づき、プロの取材記者として、自分の体験を文書として客観的に記録するのであった… 脳梗塞や心筋梗塞など、生活習慣病とストレスなどによって引き起こされる症状は、命を取り留めても障害が残ることが少なくありません。鈴木大介さんは、自分自身が脳梗塞になることによって、妻の苦しみ、取材してきた弱者の苦しみに、真に寄り添う機会が与えられました。体験したものでしか分からないもどかしさが綴られています。 この本の中には、鈴木大介さんの奥様の闘病記も登場するのですが、グレード4の膠芽腫…ほぼ球形で直系62ミリ…5年生存率8%と診断され、摘出、放射線治療、科学療法に耐え、手術から4年後に、突然、ご主人の看病という精神的にも肉体的にもつらい状況に追い込まれた奥様も相当に大変だっただろうと推察します。 私たちは、運動能力に個人差があることを当然のことのように受け止めていますが脳力については、本人の努力によってある程度は克服出来ると考えているのではないでしょうか?しかし、この本を読むと、脳梗塞にならないまでも、私たちの認知判断力や集中力には、実は大きな差があり、中には社会からの要求に上手く応えられない人もいることを配慮する必要がありそうです。 繰り返し何度も登場する「僥倖/ぎょうこう/偶然に得るしあわせ」という言葉に違和感を感じながらも、自分が置かれた状況を(後からの解釈かもしれませんが)僥倖と認識しようというところに鈴木大介さんのメンタルの強さというか、しぶとさというか、与えられた生をしゃぶりつくそうとする貪欲さを感じました。確かに私の人生にも降りかかってきた不幸な出来事がありましたが、その経験から得たものは決してマイナスばかりではありませんでした。
1投稿日: 2020.05.03
powered by ブクログ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21429451
0投稿日: 2020.01.07
powered by ブクログ脳のバグはいろんな理由で起こり得る。 発達障害、高次脳機能障害、認知症...。分かりにくくやっかいで、自分と周りへのダメージが大きい。リハビリ人材を子供や現役世代ではなく高齢者に浪費している矛盾については完全に同意。
0投稿日: 2019.11.20
powered by ブクログ★回復記に感じる「面倒な人」との共通点★漫画「ギャングース」を連載中に読んでいるとき、そういえば原作者が脳梗塞で、というのを見た気がした。40代で脳梗塞を発症し、その後の変化を体験記として記す。自分を対象としたルポで、あえて病気の深刻さを和らげようとしているのだろうが、筆致が柔らかく読みやすい。 何よりも本書がただの回復記とは違うのは、筆者の専門が貧困で、そのときに出会ったやりとりができない人々の様子に自分を重ねることだろう。著者は赤ん坊に戻ったように感情の抑制が効かなくなる。取材相手のことをコミュ障の面倒くさい人だと思っていたが、自分が同じ状況に陥ってみて、そこには脳の問題もあったのではないかと分析する。発達障害は先天的なものかもしれないが、貧困のなかで育つと発達の凸凹をより悪化させるということなのか。もちろん脳梗塞は場所によって差は大きいだろうが。
1投稿日: 2019.10.06
powered by ブクログ鈴木大介のことは本書を読む前に「普通は入れない場所から、普通は思いつかない切り口で、普通は到達できない深さまで掘り下げて書く人」という印象があった。そういう著者が脳梗塞をサバイブして書いた作品ということで、とてつもなく高い期待を持って読みはじめ、とてつもなく高い満足度で読み終えた。 鈴木大介、ただものではない。 著者の持つ偏執的なこだわりと働きすぎが過去の作品と人物を作り上げ、奥さんを救い、奥さんを苦しめ、本人の脳を破壊し、リハビリをやり抜き、本人の脳を修復し、新たな境地に達した。 いやはや。 しかも、治療の過程で何度も「今までの考え方感じ方は浅かった、分かったようなことを言っていたけど分かっていなかった」ような境地に至るのだ。何度も。鈴木は決して同情をよせられるような社会的な弱者ではない。平坦ではない道のりを本人の才覚と努力でくぐり抜けてきたような、ある種の勝者強者である。 「なぜ罪も咎もない彼が苦しまなければならないのか」というロマンチックな同情の余地はない。それだけに一層、苦しみの独白が読んでいる私の胸をえぐる。 脳は脆い。人は強い。性格は変えられない。人は変われる。 これからの鈴木には、認知症の世界を描いて欲しいなぁ。NHKドキュメンタリー的な描き方ではなく、「あちら側」を見てきた鈴木にしか書けない世界があるような気がする。
0投稿日: 2019.05.30
powered by ブクログ脳梗塞の後遺症としての高次脳機能障害の苦しみを、その当事者が実体験、しかも進行形の体験として書くというとんでもない一冊。 私は鬱なので、頭痛腹痛肋間神経痛から様々な症状が出ているもんで、何かと自分の身体が心配になるんだけど、この本を読んでますます心配になった。 自分が同じような状態になったら誰に頼るのか?頼れるのか?頼っていいのか? 妻ではないな。ただでさえ育児に奔走してくれている妻にさらなる負担はかけられない。それは身をもって知っている。 実の親もないな。高齢だし、父に至ってはすでに軽度の脳梗塞を起こして療養中だ(元気だけど)。そのうえ、著者とは違うが、親に頼るのはそもそも苦手だ。 うわぁ、こりゃ苦しいぞ。 これ、感想じゃないな…
0投稿日: 2019.04.22
powered by ブクログ介護の仕事をしていると、“半側空間無視”というフレーズに接することが多々ある。実際にそういった障害を持っている方がたに接するのだけれど、顕著に障害が出ている場面に出くわすことはなかった。 著者は、脳梗塞を発症し、それに伴う後遺症が残ったのだけれど、ルポライターという職業柄、自分自身を取材し、“高次脳機能障害とはこういうことだよ”をわかりやすく読ませてくれる。 今まで接してきた方々は、言葉で発信することはなかったけれど、こんな風に見えたり、感じたりしてきたのだろう。 自分自身を取材するにあたって、リハビリへの熱意が尋常ではなかったようで、その甲斐あって(?)壊れた脳の機能を他の部分で補完できたのだろう。仕事にも復帰し、良い本を書いてくれた。 介護・看護・リハビリに関わる方にはオススメの一冊。
2投稿日: 2019.04.09
powered by ブクログ脳に障害がある状態の時、どう感じてるのか、どうしてほしいのか、たいがいの場合、本人は、伝えられないし、障害のない人は、理解出来ない 鈴木さんのおかげでやっとわかった
0投稿日: 2019.03.09
powered by ブクログ脳に障害が生じ、そのことで生じる変化が、克明に、かつユーモアを交えて記録されている。 認知症の方、脳梗塞後遺症の方、さらには発達障害の方と関わる方には、かなりオススメできる本だ。
0投稿日: 2019.02.26
powered by ブクログ若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していたことに気づく。老人だけではなく若い人にも作業療法士による脳のケアを、こんなこと当事者にしかなかなか気づけない。 「音楽で泣ける感受性を失ったらどうしよう?」と心配していた著者だが、レディガガのBorn This Wayを聞いただけでボロボロと涙が出るようになり、妻との関係も自分の性格も前とは変り、「脳梗塞になって良かったと思えるほどの(以前の自分の考え方の)欠落に気付いた」とまで言う。 「高次脳障害者には助けが必要か聞かずに助けてほしい。”大丈夫?”と聞けば彼らは“大丈夫”と答えてしまう。」著者の友人夫妻は心配して敢えてアポイントなしで自宅に来てくれ、本当に助けになったという。
0投稿日: 2019.01.27
powered by ブクログ私の周囲でも脳梗塞という話がちらほら聞こえてくるようになり、さすがに少し気になって手にした一冊。 現役バリバリのルポライターが41歳の時に脳梗塞で倒れ、本書はそのセルフルポだ。 脳が障害を起こすと何が起こるか。とても想像などできないのだが、そこはルポライター。この説明しづらい状況を何とか文字にしようと躍起になる。自分の左側が見られない症状を「全裸の義母」(=見たくないもの、見てはいけないものが自分の左側にある、の意)で表現するあたりは、まさに真骨頂。 などと書くと、単なる明るい闘病記と聞こえるかもしれないが、さにあらず。著者は、高次機能障害で人の顔を正面から見ることができなくなり、感情が暴走し、注意力が散漫になるのだが、これに強い既視感を覚える。それは、これまで自身が取材してきた中で出会った情緒障害者たち、貧困に陥った女子たちがとった行動と同じではないかと。そこで著者は、自分のこれまでの取材の浅さに気づき、同時に脳梗塞を発症するに至った要因は、自身の性格や思想、それに基づく行動にあったと結論する。ここに至って、本書は闘病記の域を超え、人生の再生物語へと昇華した。 そう考えると、第8章以降のかなり個人的な話の記述、特に著者の妻に関するくだりが大きな意味を持ってくる。かなりユニークな人物であることは、この本の前半部分でも垣間見れるが、その理由が同章で明らかになる。彼女は若年期に精神障害を患った経験があるうえ、結婚後に脳腫瘍の摘出手術を経験しているのだ。言ってみれば、彼が取材対象としていて、既視感を覚えた人物たちの先人であり、かつ、脳の病の先人でもあったのだ。脳梗塞で倒れ、リハビリを続ける著者にとって、これほど強いサポーターがいるだろうか。再生物語は始まったばかりだ。
1投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログ脳が壊れると今まで当たり前のようにできていたことが、できなくなるというのは言葉ではわかるものの身体的にはなかなか理解できない。体験者としてジャーナリストの使命感で言語化した、ということなのだが、表現が少し若向きでジェネレーションギャップを感じてしまうのが残念。発達障害気味の奥さんの後書きが味があってよい。 脳梗塞とは性格習慣病というのはよい言葉だと思った。
0投稿日: 2018.10.29
powered by ブクログ脳梗塞を起こしたジャーナリストによる、高次脳による後遺症をはじめとする体験を文字にしたもの。後遺症がいかに苦しいか、どのように感じているか、当事者の感覚を上手く言語化している。後遺症の症状が、以前に取材をした相手の発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害と似ており、それら当事者の感覚を代弁しているといえる。参考になった。 「原因が脳梗塞だろうと何(精神障害など)だろうと、結果として「脳が壊れた」状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通性や類似性があるようなのです」p9 「鈴木君さあ、リハビリってのはさあ、あの、なんつうか、そうそう、駄菓子屋のくじ引きなんだよね。駄菓子屋にあるだろ、壁に引っかかってるくじの束が。あれ、これかな?これじゃねーだろ、こっちかな?ってかんじで、あちこち手当たり次第に力を入れてみて、指動かそうとしてるのに足が動いたり顔が引きつったりするでしょ。そんで駄目でも片っ端から試してみて、それでも全部はずれくじで、その挙げ句に「ようやく動いたあー」っていうのが、アタリくじ。で、いっぺん当たったら、そのアタリくじを何度も引いて、場所をおぼえちゃって、一発でアタリ引けるようになるっつうのが、リハビリなわけ。分かる?」p54 「本当に、所詮人間なんて、電気信号で動く高精度の機械に他ならない。手を開こうとすると、おしっこが出そうになるなんていうのは、断線や短絡箇所のある自動車のハーネスに通電テストをしているような感覚だ。ヘッドライトの配線に通電しようとしたら、やだもーブレーキランプが光っちゃった、のような」p56 「ボールもまともに投げられないくせに生意気な発言をする子供は、あっという間にイジメの対象になってしまう」p78 「(貧困者)役所に提出する所得証明などの書類の説明や、書き込みが必要な申請物などの説明を始めると、高確率で気絶するような勢いで寝るのだ。公的な書類などを用意しても、5行読めればいい方で、音読してあげてもさっぱり頭に入っていかないようなのだ(著者も後遺症で同じ体験をしている)」p79 「ふらつく足で病院内の売店に向かい、レジで小銭を出そうとすれば、目のピントが合わずに小銭は二重に見え、指は思うように動かずで、遅遅として狙った数の小銭を出せない。小銭を手に持ち続けるための集中力すら維持できず、一枚二枚と硬貨が手から零れ落ちる。それだけならまだしも、数枚の小銭を数えると、何枚まで数えたのか分からなくなってしまう。そんな僕をイライラした顔で見ているレジのおばちゃんの気配に、心の中は苛立ちとパニックの暴風雨が吹き荒れる」p80 「(青年の貧困者)彼ら彼女らに必要なのは、いち早く生産の現場に戻そうとする就業支援ではなく、医療的なケアなのではないか。それも精神科領域ではなく、僕の受けているようなリハビリテーション医療なのではないか」p82 「これほどに優れた人材(リハビリ)が医師の指示下でなければ動けず、退院してもすでに生産に寄与しない高齢者のためにそのスキルが浪費されているのは、いかがなものか。これは若者や子供の貧困が広まる中、高齢者ばかりが優遇される老尊若卑な現代日本の縮図ではないでしょうか」p84 「1時間も歩くと、ポケットの中も小学生男子になった。夜のうちに敷地の街灯に飛来したであろうノコギリクワガタの死体。ちょっとつぶれたコクワガタの死体。分厚いガラスの破片。ビー玉大。ビー玉小には見事なビードロ模様。盛夏の早朝、こんな収穫物をブロック塀の上に並べる僕を、出勤してきた病院職員たちは奇異の目で見ていく。ふふふ、大人め、この楽しさ、この好奇心にあふれた視野、貴様らの健常な脳みそではわかるまいよ。ビバ、選ばれし小学生脳。なるほど楽しい」p96 「(妻の言葉)入院生活に入った夫を見て率直な感想は「人間は脳が壊れるとこんなにも退化するのか」です」p224
0投稿日: 2018.10.23
powered by ブクログ突然の脳梗塞の後遺症として高次脳機能障害となった取材記者だった筆者。 想像を絶する(不思議さという点で)不自由さを実体験だからこそ、また取材記者だからこそ、しっかりと伝えてくれる。またその脳の損傷による不自然な言動が、不良や貧困をテーマで取材した人たちの不愉快な(理解できない)言動と一致していたという驚きの発見もある。 軽妙な語り口だけれど、内容は重要,深刻で、知らないこと、驚くことの連続だった。一読すべき本です!
0投稿日: 2018.09.24
powered by ブクログ感情を抑えられなくなると何が大変なのか リハビリは何を目的としているのか どんなことが出来なくなるのか 具体的に書かれていて とても分かりやすい 病気で見えてきた 人と自分との関係 そして人への感謝 脳が健康な間にしっかり読んでおいてよかったと 思える本でした
0投稿日: 2018.08.03
powered by ブクログ【文章】 とても読み易い 【ハマり】 ★★★★・ 【共感度】 ★★・・・ 【気付き】 ★★★★★
0投稿日: 2018.07.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
脳梗塞を患い、一命は取り留めたが高次脳機能障害が残ってしまった作者。しかし、自らが新たに抱えたこの障害が、発達障害のそれと酷似していることに気づき、自らに取材してその様子を書き記そうと決意する。 Web記事から気になって読んだこの本、笑いを交えてコミカルに描かれているが、とても大変な思いをされたのだろうなと切なくなった。奥様への気持ちの大きさが印象に残った。作者さんが自らを変えようとする姿を見習いたくなった。
0投稿日: 2018.07.07
powered by ブクログ警察庁が毎年発表している犯罪白書の中に、自殺者数の統計があります。 自殺を選ぶ原因、1位が病気、2位が経済・金銭です。 この本を読むと、今まで、できたことが、全くできなくなると人は、ヤバいことを考えるなと、 よくわかります。 貧困女子の取材から、著者の名前を知っていたので、 まさか、最近、脳の機能障害を発症していたとは、思いませんでした。 また、奥様が、かなりヘビーな人だったことも、この著作で知りました。 あらためて思うのは、生死や長い苦痛を伴う病気になると、人は、自殺を考えるが、 自殺を選ばない条件があるとするならば、周囲の人間のサポートと、それまでの人間関係なんだと思いました。 多くの人は、病気をしても、助けてくれる人は、少ないんじゃないでしょうか? また、助けを呼ぼうと、思わない人は、結構いると思います。 そういう意味は、著者は、凄く恵まれている人なんだと思います。 現代の日本は、ますます、生活が便利になっていますが、それと比例して、 人間関係は箕臼になっています。友人と呼べる人もいないし、家族関係も、あんまり、 やりがいある仕事を持っている人は少数で、いつクビを切られるか、わからない人もたくさんいます。 そういういった状況で、「病気」になるケースも多いと思います。 個人的には、そういう状況だったら、どうすればいいのかな?と考えます。 もちろんそうなる前に、「ライフライン」を構築するように動かなくてはいけませんが、 今の日本では、それができる人は、かなり優秀な人では、ないでしょうか?
0投稿日: 2018.06.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
病気の当事者が、発症から急性期、リハビリにかけての実体験を緻密に著すことができていることに一番驚きました。 罹った者でなければわからない症状や感覚を読み手にズバンと伝わるような比喩を交え緻密に綴り、時にクスリとするような一節も交えていたりして、リズムよく一気に読んでしまいました。 リハビリを若者の発達支援と積極的に結びつけられないかという問題提起は目から鱗。
0投稿日: 2018.06.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高次脳機能障害の当事者の方が、ご自身を振り返り解説された本。 『奇跡の脳』に近いものがあるけれど、日本人の本業ルポライターの方が書かれただけあって、こちらのほうが身近な例や生活の中で「あれか」と思いあたる点が多い。 具体的な症状のひとつひとつにはなんとなく分かるものもあれば、言語化されていてもどんな感覚なのか想像もつかないものもある。その理解の出来なさに、高次脳機能障害の難しさを感じる。 気づきの多い一冊だったけれど特にはっとしたのは第8章で個性的な配偶者の病的な家事のできなさを解説してから、脳梗塞の主因は自分自身だと言い切るくだり。「僕が彼女の家事を奪ってきただけだった」と、こう言えるのはすごいことだと思う。 あとがきに配偶者の方のコメントも有り、著者から見て意外なたくましさを発揮したようでいて、実は本人の中ではとっくに肚が決まっていたことが書かれていて、驚かされる。 あとは第10章の「人の縁」は資産だ、のくだり。 ほんとになあ…と思うのだけど、なかなか思うように築けない者としては身につまされる思いで読んだ。ほんとになあ…。
0投稿日: 2018.06.01
powered by ブクログ「最貧困女子」「家のない少女たち」のルポライター鈴木大介が脳梗塞になって、高次脳機能障害状態になったという。高次脳機能障害とは、外から見てわかる麻痺や障害ではなく、感情が抑えられなくなったり、注意力散漫になったりといった方面で問題が発生すること。外からは当人の性格や個性の問題のように見えるので、障害として理解されにくく、それがさらに当人には辛い。 著者はルポライターなので、外から見えにくい高次脳機能障害を自らの経験として言語化しようと試みる。それが本書だ。 見えているのに左側だけ無視してしまう半側空間無視とは、主観的にはどういう感じなんだろう。感情が抑えられないというのは、当人には自覚があるんだろうか? 不思議だ。知的好奇心といえば聞こえはいいが、ぼくがそういうことを知りたい理由は、つまるところ不思議だからだ。障害に苦しんでいる人に興味本位で聞いたりはできないので、こういう本はありがたい。 ただ、だいぶ食い足りない。 鈴木大介は(自分でも本書でそう書いているが)対象に感情的にのめり込むタイプのルポライターだ。だからこそ「最貧困女子」「家のない少女たち」は迫力があって考えさせられたのだが、本書は主役が著者本人で、ぼくは鈴木大介個人には別段興味がない。奥さんや、義母との関係や、生活信条を細かく書かれても、それ脳の話と違うよね。その分薄まった感じだ。 リハビリを助けてくれる理学療法士たちに感謝し、リスペクトする一方、医師には反感を持っているようだ。それは個人の勝手ではあるけれど、そのせいか著者の脳の状態に関する医学的な情報や所見があまりない。どの程度のダメージだったのかもよくわからない。体験談(それはそれでもちろん貴重だけれど)にとどまってしまい、もう少し客観的な情報がほしかった。ぼくの経験では、今の医師はわかっていることについては詳しすぎるくらい説明してくれる。自分の状態について書く分にはプライバシーの問題も起きないし、はしょっちゃったのか、それとも本当に説明してくれなかったのか(だとしたら、患者としてだけでなくプロのルポライターとしてちゃんと説明を求めなくちゃダメだと思うが)はよくわからない。
1投稿日: 2018.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人は資産の一つ、という言葉がとても響きました。 鈴木さんが仰るように、高次脳機能障害に限らず、何かに困っている人、しんどい思いをしている人に一番必要なのは、たくさんの人の手、「依存先、居場所を増やすこと」ではないかなあと思います。 ユーモラスな文章の随所に、鈴木さんの、奥さんやご家族、ご友人に対する温かな気持ちが感じられて、とてもほっこりしました。同時に、この想像を絶するような辛さを、面白おかしくかつわかりやすく言語化されていることに、感嘆のため息が止まりませんでした。「人に何かを伝える」ということの難しさについて、改めて考えさせられました。
0投稿日: 2018.03.06
powered by ブクログ噛み砕いたユーモラスな文章で、スラスラ飲み込むように読めた。 医者の論文などより、こういう表現を出来る人が書く書物の方が、医学にとって何倍も価値のあることだろうな。
0投稿日: 2018.02.15
powered by ブクログルポライターである著者が脳梗塞を発症してからの記録、が後半は夫婦のいい話になっていた 笑 高次脳機能障害という目に見えにくいからこそ理解されにくい状態は本人も家族も辛さの次元が 身体障害とは違うものがあるのだろうと思う 医療面で出来ることが終わってしまうとあとはリハビリで本人がやるしかない どれだけ大変だったんだろうが 妻の立場がなかなか面白い 「相手がやってほしいことをやる」「自分がしたいことと相手がしてほしいことは違う」は 夫婦で大事なことだと思う 病気で1番必要ことはやはり 頼れる人 (頼るべき人」「頼れる人」「頼りたい人」も違う
0投稿日: 2018.02.11
powered by ブクログ41歳で脳梗塞を患ったルポライター鈴木さんご自身の渾身の闘病歴。自らの高次機能障害についても冷静に分析していて、非常に分かりやすかった。一方で、自分のことを未だにうまく伝えられない私の父親(脳出血後に寝たきり)を思い涙しながら読んだ。
0投稿日: 2017.12.31
powered by ブクログ電車の中にいる、見ちゃイケない!って人の脳内が少しわかる本。とても面白 くて、重くなりがちな障害?について、声に出して笑えるほど面白い!そして、分かりやすい。いや、わからないけど。そんなことが脳内で起こってるの?!って、すごく不思議。一読の価値あり。
0投稿日: 2017.12.22
powered by ブクログ著者の貧困に関する記事は東洋経済オンラインで読んでいたが、同連載のほかの二人の執筆者にはない感触、なんというか、暖かい目線みたいなものをいつも感じていた。その記事の一つに、自身の脳梗塞からの帰還と後遺症と、貧困にある人々(取材対象)の昨日不全状態との関連性を書いたものがあり、今までにない視点にハッとさせられた。そこで買ったのがこの本。 大変に面白かった。自分自身を取材し、状況から心境まで細かく書きつけるのはさすがプロ、しかも奥さん(発達障害気味でいろいろ苦労した方)のチカさんが書いた手記も載っており、併せて読んで涙腺が緩んでしまった。 自分がなぜ脳梗塞になったのか、までしっかり考えているあたりが素晴らしい。 鈴木さんに残された後遺症は「高次機能障害」。脳神経外科に行くと、この一見障害には見えないけど深刻な障害である高次機能障害に関するお知らせなどが貼ってある。外から見たら普通だけど、生きてる本人には大変辛い。 ライターなので取材して書いていかないと生活に困るわけで、鈴木さんのリハビリに対する努力は大変なものである。手を使うこと、考えること、書くこと、感情失禁のコントロールなど、全てにおいて一生懸命である。またそれを支える奥さんもひたすら献身。愛を感じる。リハビリを通してお互いを認め合っていく夫婦の物語とも読める。 涙なしでは読めない本だが、自身の状態の説明などがユーモア交えて語られており、不謹慎ではあるが笑っちゃうことも多々あった。この絶妙なバランスはやはりライターとして腕だと思う。今までインタビューしてきた人々と同じような問題を抱えたことを「僥倖」と言い切り、とことん書き切る心構えはさすがとしか言いようがない。
1投稿日: 2017.11.12
powered by ブクログ社会問題を扱うルポライターの鈴木さんが、脳梗塞になったお話。 その状態になって初めて、これまで取材で出会った人の気持ちに近づけたと感じ、 自分の心がコントロールできなくなって、自分というものを内省して向き合っていく。 本の中で鈴木さんが大事にしていた言葉が、 「様々な距離感のところに自分の応援団を持とう」だった。 私は小さい頃から色々抱えていて、 正直社会とか人間関係とか自分というものとでさえ、 うまくやっていくのが得意じゃない。 それでも頼りたいと思える人は何人かいて、 その人はすごく近くにいるわけではないけど、 ダメな自分を少しさらけ出せる人。 ダメな自分でも仕方ないなぁって言いながら、 受け入れてくれる人は、とてもありがたいなぁと思う。 自分も誰かの応援団になれればいいなぁ。
0投稿日: 2017.10.15
powered by ブクログ最貧困女子に続いて読了しました。 著者が41歳で脳梗塞に倒れ、その後の闘病記となりますが、病気になって失くしたものもあるけど、得たもの、気づかされたことがたくさんある、ということが分かります。 著者と奥様の、自身の弱さを見つめ正面から向き合えることが、逆にその強さを感じました。 図書館で借りた本ですが、この本は買って手元に置いておこうと思います。
0投稿日: 2017.09.19
powered by ブクログ脳に障害を持つことがどういうことなのか非常によく分かる。きわめて巧みな筆致。筆者が言うように、いわゆる「発達障害」と通じるところがあるんだろうね。 さんざん「家族語り」を聞かされた後、最後に奥様の文章があるところなんざ泣かせる。(泣かせようとして書いていないのがいい)
0投稿日: 2017.09.17
powered by ブクログ脳梗塞を発症し、高次脳機能障害が残った著者による、患者の「当事者感覚」ルポ。 まず、著者の体験の一部を追体験できるほどに描写がリアル。それでいて、語り口がユーモラスなので、あまりネガティヴな気持ちにならずに読める。 また、脳神経細胞の可塑性に驚かされる。 リハビリがこれほどまでに劇的な効果を生みうるものとは知らなかった。
0投稿日: 2017.08.01
powered by ブクログ41歳で右脳に脳梗塞、高次脳機能障害の経験とリハビリを当事者として語る。脳機能とリハビリ、小学生脳や感情の暴走。真の原因が性格にあることに気付き、考え方を変えることにする。家族、生きていくうえでの応援団。 状況認識、表現上手。脳の育ち方に関する洞察。脳の成り立ちや仕組みが見えてくるような。そして、感動の家族ストーリー。
0投稿日: 2017.07.16
powered by ブクログノンフィクションのルポライターさんに降りかかった脳梗塞。 高次脳機能障害となりながらも、取材もとは自分であるからして、より詳しく状況を伝えているところが興味深い。 面白可笑しく書かれているのであっという間に読めてしまっった。(妻の存在が大きい。) 筆者がより深く様々な思いも募らせ、今までの生き方や、社会における弱者に対する視点にも寄り添い示しているところが、「一般的な脳梗塞でこうなりました」という本とは違います。さすが社会派?なのかしら?ルポライターですね。 脳梗塞の原因 背負い込み体質.妥協下手.マイルール狂.ワーカホリック. 善意の押し付け.オンオフがない そうなんだよなあ.....と納得。 「様々な距離感のところに自分の応援団を持とう」という言葉に赤線ひきました。
0投稿日: 2017.07.12
powered by ブクログノンフィクション作家が書いた自身の高次脳機能障害とのことで非常に興味があったんだけど、残り1/3は病気になる前の反省とか妻の話ばかりでちょっと期待外れでした。
0投稿日: 2017.06.24
powered by ブクログ脳卒中の後遺症について、具体的な症状を初めて知った。後遺症の感覚は実際になってみないと完全には分かり得ないが、ルポライターとしての取材力、表現力でその色々な症状が説明されていて、そのイメージを持つことができた。 著者の性格や奥さんの話には驚いたが、最後まで明るい気持ちで読めたのも良かった。
0投稿日: 2017.06.15
powered by ブクログ41歳で突然の脳梗塞に倒れたルポライター。 一命は取りとめ、身体への後遺症は軽かったものの、いくつかの高次脳機能障害が残ってしまう。 高次脳機能障害とは、記憶障害や注意障害などの神経心理学的障害のことで、身体の麻痺などのように一見してわかるものではないため、「見えづらい障害」とも言われているそうだ。 高次機能障害を負い、その障害の辛さを知るにつけ、著者の脳裏には、それまで取材対象としてきた、社会的に発言の機会を与えられてこなかった弱者たちの顔が浮かんだという。 彼らも、多くの場合発達障害や精神疾患を抱え、自分の辛さを言語化することが難しく、他者にその辛さを解ってもらえない状況に追い込まれている。その本当の辛さが身をもってわかったのだという。 障害と健常のボーダーラインにいる人こそ、支援や周囲の理解が届かない傾向があり、そこにもっと医療の手を差し伸べるべきとも言っている。 個人的には、病を得たことで、自分の生活を見直し、きちんと向き合えていなかった家族と向き合う著者の姿に素直に感動した。 深刻なのだけど、どこかユーモラスな著者とその周りの様子に時には笑わせられながらも考えさせられることが多かった。 もし自分が倒れたら、誰に頼れるだろう? もし自分が死んでしまったら、今私を支えてくれている周りの人々に対して悔いが残らないだろうか? もしもの時のことも念頭に置きながら、毎日を大切に生きていきたいと思わせられる1冊である。
0投稿日: 2017.04.24
powered by ブクログこの本は脳の障害に対した克明なレポートであり、夫婦や仲間の絆の話であり、社会へのルポルタージュでもある。 脳梗塞後の辛いリハビリを経て、感動の復帰みたいなありきたりの内容ではない。 脳梗塞後の障害を自己分析し、(たぶん)分かりやすく表現した当事者ならではの視点が特徴だろう。 それに著者らしく、脳の障害やリハビリを現在の社会問題と絡めて来るのもまた良い。 まっ、なんといっても最大は奥さんとの関係かな?ここら辺はちと感動ありでしたね。 何てったって最終的に脳梗塞になって障害も出たのに現在ではそれをプラスな出来事だと夫婦で言い切るのですから❗これには脱帽です。 「これからこの障害と共に頑張って生きていきます」的なことではなく 7:3で良かったとか言うんです。 自分もこの本を読んで7:3で良かったです。
0投稿日: 2017.04.21
powered by ブクログ著者は、社会的弱者の中でも、とくに自分から声をあげられない人々に接し、その声を自らの著書の中で届けてきた。 自分も脳梗塞による障害を持つ中で、さまざまな過信を反省しつつ、最後に支えとなるのは人のつながりであるという事実を改めて発見している。
0投稿日: 2017.03.26
powered by ブクログ脳梗塞で脳の一部が壊れた人のセルフレポート。壊れた箇所が運動野ではなく認知や感情を司る高次機能であることが興味深い。先天的な発達障害や、そこから復帰しない痴呆の状態の苦しみは、健常状態と比較して語られることが無かったが、もともと健常で、障害になり、復帰できた振り返りとして解説されている。余計な情報をフィルタリングして肝心なことに集中すること、優先順位をつけること、感情を出すことや抑制することなどにも、対応する脳のハードウェアが有り、それが壊れたらその機能が失われること、リハビリにより代替回路が構成され回復することが素晴らしい。 リハビリの有効性も再確認したが、現状の医療において、制度、器具の発展、本当に必要な人(リハビリすれば生産性が向上する人)への届け方などの課題も確認できた。
0投稿日: 2017.03.18
powered by ブクログ脳梗塞になり、高次脳機能障害になった時、どんなことが起こるのか。本人から見て、どんな状況なのかが紹介されている一冊。 深刻な状況なのですが、思わずくすっと笑ってしまうようなエピソードも交えて書かれているので、読みやすかったです。 この症状を知っておくことで、大切な誰かの脳に異変が起こっているとき、あるいは脳梗塞後の様々な困難の場面で、力になれることが見つけられるのではないかと思います。
0投稿日: 2017.02.10
powered by ブクログ貧困を取り扱うライターが体を壊し脳溢血を起こした。 そして、高機能脳障害という、目に見えない障害が残った。 からだの不自由さは目に見える。しかし、脳の障害、こころの障害については目に見えない。 そして、著者は自身が実際に脳に障害を持ち、今まで対象としていた貧困に陥る彼、彼女らが同じように脳機能に障害を負っているのではないかと思いいたる。 著者の言う脳が壊れたことによりできないことも多くなる。 しかし、脳は壊れたままではなく、リハビリテーションによりある程度の機能は回復する。 問題は脳が壊れていることが目に見えてわからないということ。 治療のテーブルに乗れない人がたくさん居るということではなかろうか。
0投稿日: 2017.02.02私も脳が壊れかけた
私自身、脳梗塞で緊急入院を経験し、回復期リハビリ病棟の外泊が許された頃に、退屈な入院生活に何冊か本を買い込んだうちの一冊が、この本でした。 私は著者の鈴木さんよりはずいぶん症状が軽かったようですが、脳梗塞という病気を知ることに加え、周りの支えに対する感謝や、そもそも病気になった原因が自分にあったことなど、本書に出会わなければ気付かなかったことも多々あり、大変にためになりました。 読書しながら涙を流し、声を上げて笑いながら泣き、自分にも軽度ながら感情失禁の症状があることを確信することもできました。 著者鈴木さんと奥様に、感謝しております。
3投稿日: 2017.01.22
powered by ブクログ著者は僕よりも少し若いライター稼業の人。そんな人が脳梗塞に見舞われ、高次脳機能障害が残った。その体験談だ。 ライターというのはある種の他人事としてモノを書かないといけないと思うのだが、逆に著者はこの事実を僥倖と感じる。当事者感覚を残しつつ、感じ、考え、書く能力を喪失せずにすむ、というのは望んで得られるものではない、と。 著者がこれまで扱ってきた仕事の多くに、発達障害を抱えるが故に社会から排斥されてきた人たちがいる。先天的か後天的かという違いはあるが、当事者認識が符合するのではないかという。実際のところ、それはずいぶん違うのではと想像はするが、あくまで僕の想像でしか無い。現場で多くの人と触れ合ってきて、また本書のキーマンとも言える奥さんも注意欠陥があり、自身がそういう体験をして、となれば、想像で考えるのとは違う結果があろう。 どんな状況で発症したか、振り返って原因や兆候がどんなであったか。運ばれた直後の話から、リハビリのこと。感情表現が、対人の姿勢・雰囲気が思うように出来ないもどかしさ。でも奥さんが、こんな機会ないから楽しめ、という。 そんな具合で明るく楽しく書かれているが、やっぱり大変だ。もともと高いと思っていた交渉能力が極端に低下する。相手の言葉を遮って反論するようなことが出来なくなる。これは後期高齢者の、特に認知症患者のそれに似ているようで、そちら方面の体感までしてしまう。でもだんだん治っていく実感もあるようで、「妻にエロ本を発見された夫の開き直り謝罪を完全再現できる発声スキル」が当面のリハビリ到達目標、だそうだ。 強引に一言でまとめれば、「面倒くさい人」になってしまったわけだ。でも世の中には面倒くさい人がたくさんいる。そういう人が生きていける社会をどんな風につくるのか、というヒントやら答やらがあるなあ。僕も近頃体調が悪いので、そうなったときの応援団を作っておかないとな、とひしひし感じた。
0投稿日: 2017.01.09
powered by ブクログ高次機能障害、見た目は健常者というのが辛いな…。もちろん、それで救われる事も多いんだろうけど。 社会の理解が必要なんだろうけどなかなか進まないなぁ…
0投稿日: 2016.12.22
powered by ブクログ高次脳機能障害を発症したライターさんの手記。書くことが仕事のひとが、動けなくなり書けなくなり感情失禁におそわれる現実。となりにいてくれるひとの尊さ、当たり前の有難さに気付かされる一冊。
0投稿日: 2016.12.19
powered by ブクログ著者は41歳の若さで脳梗塞で倒れたフリーのルポライター。その著者が、リハビリによるその後の機能回復過程も含め、脳の障害を負った当事者がどのように感じるかを記録したのが本書。幸い著者の脳梗塞は軽度のもので済んだようで、タイトルの「壊れた」から想像するほどの分かりやすい障害が残った訳ではないのだが、逆に見た目には分かりにくい脳の微妙な障害(高次脳機能障害)が残ったようで、それがどのような状態なのかを著者は壊れた脳で懸命に言語化を試みている。そして、それはいわゆる発達障害だとかアスペルガー症候群だとか言われるような人々の症状と似ているということを著者は指摘しているし、その当事者の気持ちにはなってみないと理解しにくいようだ。今回、著者はそれを自身で体験して言語化しているわけで大変貴重な体験とその記録となっている。もちろんその記録も貴重であるとは思うが、個人的には「脳が壊れた」こと自体の記録よりも、著者自身がその原因を追求して自分自身のそれまでの人生と生活、家族との関係を振り返って脳梗塞となった理由を考察している後半部分の方をより興味深く感じた。自分自身にも当てはまる、身につまされる部分も多い様に思う。脳梗塞にならんように気を付けよう。
0投稿日: 2016.12.18
powered by ブクログ後天的に負った脳障害の症状と先天的に負った脳障害の症状が類似すること。⇒発達障害が脳障害であることの分かりやすい根拠。 hot-system/cool-systemの実例のような症状。⇒高次脳機能の障害はcool-systemの障害。 良いタイミングで読めた。
0投稿日: 2016.12.16
powered by ブクログ社会の弱者を取材することの多い記者が脳梗塞で高次脳機能障害になった話。 リハビリをサポートする医療従事者の凄さと薄給を嘆き、脳梗塞による後遺症と訓練による回復が発達障害や鬱の人に見られる挙動の不審さと適切な環境での緩やかな回復に似ていること、リハビリ現場の大半の対象が老年層であることから、もっと若者やシングルマザーなど社会的弱者のサポートにリハビリを応用できるのではないかという提言も書いている。なるほどと思った。
0投稿日: 2016.12.10
powered by ブクログ熱い。著者は圧倒的な熱量に満ちている。もともと熱い気質の持ち主なのだろうけれど、その熱量は高次脳機能障害になった後も冷めることはない。いやむしろ更にその熱量は高まったのかもしれない。それは高次脳機能障害になったことは著者にとって僥倖だから。と自身は語っているけれど、自分が逆の立場だったら果たして障害を抱えてしまった無様な様を本にしようなんて思っただろうか。それは著者がもともとライターだったからだろうか。いやそれだけではない。世にどうしても伝えたいメッセージが著者にはあったからなのだ。そのことが読んでいくうちにズンズン伝わってきた。 書きたいことの元ネタが自分自身のカラダ。取材先は自分自身のカラダにある。そんな状況下にある圧倒的熱量のあるライターが書くノンフィクションが面白くないわけがない。ライターさんに向かって「うまい」なんて、恐れ多いのだけれど、絶妙な空気感なのだ。高次脳機能障害なんて、どう考えても暗い内容しかイメージできないけど、なんというか、クスッと笑ってしまう、人間味のある文体なので親しみやすいし、どんどん読み進めたくなる。 この渾身の力作、とにかくいろんな人に読んでほしいと思います。どんな人にも必ず気づきがある一冊だと思います。
0投稿日: 2016.12.05
powered by ブクログ脳梗塞、脳内出血、アルツハイマー、脳に関する病気について、病名は聞くけど、その病気がどんな症状を発するのか、どんな治療が必要なのか、そもそも回復するのか、あまり知ることはない。症状を言いたがらない患者も多い。そんな疑問に答えるため、41歳で脳梗塞を患ったフリーライターが自身のこと、家族のこと、リハビリのことをまとめたのが本書。 著者の場合、視界が極端に狭くなる、発しているつもりの言葉がノイズになる、注意力が信じられないくらい低下する、感情がオーバーになる、といった症状。とはいえ、それは個人差がかなりあり、脳梗塞が一概に同じ症状になるとは限らない。 が、本書の読みどころは著者の症状についてではない。著者は病に対して不運だと嘆かず、自らの不摂生を反省し、家族や友人を頼り、感謝の感情を大げさに表すことで社会復帰に努める。 そうして、新たな人生を手に入れた著者だからこそ、今となって「脳が壊れた」とふざける余裕を得ることができた。感情がオーバーになることも時には悪くない。そんな、人生に前向きになれる闘病記。
1投稿日: 2016.11.29
powered by ブクログこれまで目に見えない後遺症で苦しんでいる方への配慮が欠けていたことを反省。 妻の家事を奪ってしまっていたことを反省。 良い気づきを与えていただきました。
2投稿日: 2016.11.16
powered by ブクログ機能していた→壊れた、という境界がはっきりとする経験によって得られる、もしかしたらあの人たちは、生まれつきここが壊れていて、それでもなんとか生き延びて、でも完全には上手くやれないから生きづらいのではないのだろうかという気付き。幼少時に弾かれてしまった人々や、軽度と判断されてしまう障害者や、あるいは高齢者。「キレる高齢者」なんてのも、こういう症状なのだろうと思うと、見える世界が変わる。
0投稿日: 2016.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
モーニングで連載している『ギャングース』を読んでいて、作者はもっと強面の人かと思っていたので、至って真面目そうな印象で驚いた。真面目で真摯な文筆家でいらした。そんな作者が若くして脳梗塞をわずらい、そのリハビリを詳細に実感あふれる文章でレポートしている。体が麻痺して動けない車椅子の身障者がよく目線を空中にただよわせているのは、脳の部位の損壊によるものであったのか、子供が呼んでいるのに廊下に落ちているものに気をとられて夢中になってしまうのは脳が未発達だからなのかと、いろいろと脳の問題として捉えることができた。怒りっぽい人は自分に自身がないからすぐ感情がむき出しになるのかと思っていたのだが、決してそうではなく脳になんらかの問題が生じている可能性もある。簡単に判断するのは大間違いであると痛感した。 内容が深刻なのに、文章がとてもリズミカルで読んでいて楽しい。また作者に本来備わっている明るさやユーモア精神もにじみ出ているのだろう。
0投稿日: 2016.10.31
powered by ブクログマイノリティを取材する記者が脳梗塞を発症。マイノリティには発達障害と思わしき人も多く、自身が高次脳機能障害となったことで「当事者認識を言語化する」作業を行った本。当事者としてしかわからない認識を記者として記載されていのでリアルに理解しやすい。圧巻は後半部分。著者夫婦の歴史から始まり、著者の自伝的要素も入り、再生の物語。面白いと言ったら失礼だが読ませる文章で「深刻だけど笑える」本。
0投稿日: 2016.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
41歳で脳梗塞という、少し特殊な例のような気がしますが、だからこそ、また元々ルポライターであることにより、患者の内観が語られた本です。感情過多な病前性格が症状を修飾しているようにも思えますが、興味深く読めます。 空間無視か運動無視か麻痺か分かりませんが、「他人の身体をリモコンで遠隔操作しながら動いているような、それでいてその他人の身体の感覚は自分のものとして存在するという、結構ホラーな感触」とか、空間無視を「左方向を見てはならないという強い心理的忌避感がある状態」「左前方に親しい友人の女性が全裸で座っている感覚」など興味深い内観が書かれています。
0投稿日: 2016.10.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新聞の書評で知ったこの本。実に面白く知人に教えてあげたいくらい。41歳の若さで、多忙を極めるドキュメンタリーを主に書く記者。彼の追うテーマは、貧困家庭、DV被害者、引きこもり、ネグレクトされて育った子供達などなど。社会の弱者が対象だった。あまりに多忙でいつ倒れてもおかしくないと、自分自身感じていたが、ある日手が動かない、ろれつが回らない、左の視界が認識できないという症状に、救急車を呼んでもらう。脳梗塞だった。そして、命は取り止めたものの高次機能障害に悩まされる。絶望に突き落とされたか?そこで、彼は自分自身に起こったことをつぶさに記録に残そうと思い立つ。詳細に自分の状態を記録。一般人にもわかりやすいように、医学的からも、また自分の症状をわかりやすいように、たとえ話も入れてわかりやすい。そして、リハビリ。病院などで、高齢者が多くリハビリをしているが、高次脳機能障害という難しい症例も同じリハビリ療法士が、対応する。一月後には80代男性並みにタイプが打てるようになり、次の一ヶ月後には両手でタイプも。リハビリは2、3歳児の自分が両親からなんども教えてもらってできた時の喜びと同じだと感じる。。。
0投稿日: 2016.10.06
powered by ブクログ41歳働き盛りのフリーランスライターが脳梗塞を発症し、その後のリハビリの日々を軽妙に記述。最悪自殺を考えてしまうほどの過酷な日々のはずなのに、ユーモアな文体で記載されていてついつい笑いを誘われた。脳梗塞を患うことでわかった既視感を実体験に基づいて記載していて感銘を受ける点が多々あったかな。 P9 あれ?この不自由になってしまった僕と同じような人を、僕は前に何度も見たことがあるぞ? それはうつ病や発達障害をはじめとして、パニック障害や適応障害などの精神疾患・情緒障害方面、薬物依存や認知症等々を抱えた人たち。僕がこれまでの取材で会ってきた多くの「困窮者たち」の顔が、脳裏に浮かびました。 なるほど、原因が脳梗塞だろうと何だろうと、結果として「脳が壊れた」(機能が阻害された)状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通点や類似性があるようなのです。
0投稿日: 2016.10.03
powered by ブクログ脳梗塞で高次脳機能障害になった鈴木さんのルポ。本人自身の体験から語られているので、その辛さがよく分かります。 それでも面白おかしく書かれているので、気落ちすることなく読めます。 自分自身健康だと思っていますが、気をつけなあかんなと実感しました。 #読書 #読書記録 #読書倶楽部 #脳が壊れた #鈴木大介 #2016年87冊目
0投稿日: 2016.09.25
powered by ブクログフリーランスのルポライターが 41歳にして脳梗塞をおこした。 損傷を受けたのは右の側頭葉。 左の手指がうまく動かない。 左側空間無視。 注意欠陥。 感情失禁。 さまざまな症状に見舞われるものの 幸いにして文章をつづるための 理解力や分析力は無傷だった。 そこで彼の記者魂がさく裂した。 この一連のできごとをぜんぶ記録に残そう。 …という怒涛の闘病ドキュメントである。 彼はもともと著書のなかで 若者の貧困問題などを扱っていた。 リハビリの過程で彼は 自分自身の高次脳機能障害が 取材対象者の一部にみられた発達障害に近い、と気付く。 認知症の症状の一部に重なることも。 そして 脳の損傷による障害が こんなにも不自由で でもそれをうまく言語化できなくて とてももどかしくいらだつものだと悟る。 闘病ドキュメント、と書くと 壮絶で痛々しいもののように感じるかもしれないが 彼の書く言葉はユーモラスで ときおりくすくす笑ってしまうほどだ。 そして文章に勢いがあって 一度よみだしたらとまらない。 高次脳機能障害・発達障害・認知症にかかわる人々に 一読をおすすめしたい。 症状に対する理解がすこし深まる気がする。
0投稿日: 2016.08.31
powered by ブクログ脳梗塞になった著者の当事者感覚をライトに描く。脳梗塞になってなくても年取って漠然とした体調不良が続く自分にも共感するところ大。 何より全編に渡って愛があり希望があるので読後感が最高。
0投稿日: 2016.08.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
脳梗塞の原因が性格によるものと認識して、高次機能障害の後遺症と向き合いながら性格を変えていく。 奥さんのキャラクターもなかなか強烈で面白エピソードがあり笑えた
0投稿日: 2016.08.23
powered by ブクログ高次脳機能障害を持たない読者が読んだらどんな感想を持つのだろう。 僕自身は軽度な高次脳機能障害の当事者であり、筆者の経験が自分のそれと類似点がとても多いことに驚いた。リハビリが自分自身の再構築であったことも筆者と通じる部分が多かった。今まで、普通に出来ていた動作がいかに高度な動作であったかが、この本を読んでいても感じる部分。 身体の機能だけではなく、身近にある「当たり前」の価値が大きく変化する本になっていると思う。 僕自身が脳が壊れたことで気がついたことは高次脳機能障害は「後天的な発達障害」であるということ。繰り上がりの足し算が極端に苦手だったり(失算)、物事の手順がわからなくなったり(遂行障害)、軽い言語障害や失語も大半の人は気がつかないと思うが実は今もある。 ただ、一般的な発達障害と違うのは、「できた経験があり、ゴールを知っている」ということだろう。(計算であれば、計算はできないけれど手続きはわかるとか。) だから、そのゴールを目指して試行錯誤することができる(併せて出来なくなった自分と対峙する苦行はあるが…)。 逆に言えば、見えないゴールに向かってただただ、先に進め!と、特性(手続きが理解できない)を考慮せずに進まされているのが発達障害を抱えている人たちなのかもしれない(特に学校)。だからこそ、様々な局面で挫折感に苛まれることが多いのだと思う。個に重点を置き、社会とつなぐ支援の在り方を考えたい。 様々思う部分はたくさんあるが、この「見えない障害」を世に見えるようにしてくれた筆者には敬意しかありません。医療の発達で今後も増えるであろう高次脳機能障害や、生きづらさを抱える子ども・若者たちに更に支援や理解が深まって欲しいと思うばかりです。
0投稿日: 2016.08.18
powered by ブクログルポライターの著者が41歳で脳梗塞を発症し、治療からリハビリの過程で体験したことを当事者感覚で綴っている。不自由で不思議な体の感覚や、コントロールできない感情などをうまく言語化しており、プロのジャーナリストの凄さも同時に感じる。最後に、人の縁は具体的な資産だと主張していおり、周囲にいる人の当事者への接し方についても教えてくれている。
0投稿日: 2016.08.16
powered by ブクログ衝撃のタイトル。41歳で脳梗塞を起こし、身体への後遺症は軽かったものの、「見えない障害」と言われる高次脳機能障害が残った著者の闘病ドキュメント。 持ち前の探求心で、これを「僥倖」と言い、入院中から言語化しようとする導入部分にはえ…と思うが、彼の脳自身がそれを必要としていたこと、退院後の本当の闘いの辛さも克明に記録されている。 「なぜ僕が」という問いに対して、著者が辿り着いた答えに胸が詰まる。 p.217脳梗塞を経験しなければ、死ぬまで家族との対話をせずに終わったかもしれないと思うと、脳梗塞、そして背負った高次脳機能障害は、「黒字決算」だったと思う、と言える著者の心根、強さがなんとまっすぐなことか。
0投稿日: 2016.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
僕の愛読するモーニングのギャングースってマンガに絡んでいる鈴木大介さんの脳梗塞体験記。すごく面白い。脳梗塞体験記としては白眉ってそんなにあるんだか知らないけれど。
0投稿日: 2016.08.06
powered by ブクログ久しぶりに読後感が爽快な一冊。書評でサラッと読んではいたが、書店で帯に「41歳、脳梗塞になりました」と書いてあるのを見て購入した。 ライターである著者が、あるとき脳梗塞になる。初期対応が早かったためか比較的身体の後遺症は軽かったものの、いわゆる高次脳機能障害(脳機能の障害であり、一般の人には分かりにくい、見えにくい障害らしい)が残った。脳梗塞は脳内の動脈に血栓が詰まって脳組織に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死することによって様々な脳機能障害が残る。一般的には脳卒中とか脳軟化症とも呼ばれる。脳細胞が壊死する部位によって機能障害が異なり、著者の場合は右側頭葉の一部がやられた。結果として左手の指が動かない機能障害、左側を見ることができないという「半側空間無視」、右側に注目するものがあると目を離せなくなる「メンチ病」が発症する。だが著者は、自分の症状が過去に取材してきた貧困女子の極端な認知判断力や集中力の低下や、人と話すときに目を合わせることができない注意欠陥の非行少年の姿と重ね合わせるのだ。つまり、脳梗塞であれ脳外傷であれ、はたまた先天的障害であれ、脳のある部位を壊した人の感覚やパーソナリティーの表出には共通性があるということだ。これは脳科学からは頷けるポイントであり、経験者が語るため説得力がある。 ただ、この本の魅力は脳が壊れてしまった実体験者が語る脳科学的な告白本ということではない。この本の魅力は、普通の人から見るとちょっと変人で、そして激しい注意欠陥の持ち主である著者の奥様(千夏さん)と、中学高校と進学校に通い、でも途中でドロップアウトして大学進学を断固拒否。家出のように親元を離れてライターになった、思い込みの激しい著者の凸凹夫婦の不思議な交流物語にある。奥様の千夏さんは、著者が入院しているときに毎日やってきてくれる。軽ワゴンの助手席に巨大なドラゴンクエストのスライムのぬいぐるみを同乗させ、大音量で変な音楽をかけながら楽し気に運転してやってくる。一方著者は、脳梗塞をきっかけに涙もろくなり、爆発的な大きな感情に翻弄される。ご両親との関係というか、確執というか、そういう話しも出てくる。何気ないプライドや思い込みが作ってきた距離感。今さら何を言うのかといって保つ距離。それが、脳梗塞をきっかけに考えさせられる。 巻末には奥様のあとがきもある。大いによろしい。読後感が爽快だ。
0投稿日: 2016.08.03
powered by ブクログいやまったく少しも笑い事じゃないのに、面白いのはどういうわけか。著者本人をはじめ、奥さんも義理のお母さんも「普通ではない」ところにインパクトがある。
0投稿日: 2016.08.02
powered by ブクログ私も脳が壊れました。 脳梗塞患者である私の何かドキュメンタリーな書物を書こうと思って早二年弱…先を越された(汗) 感情失禁にはなり辛いが、以前より涙もろくなったかなぁ 見た目は健全、ちょっと右に傾き加減、階段下りは苦手、靴を履いたり脱いだりも苦手… なんとも、言い難いことを見事表現しております。 お互いに頑張ろう、と言いたくなった。
0投稿日: 2016.08.01
powered by ブクログ脳梗塞にあった記者の実際のお話 他人ごとではないなあと思う。 そして、人生を大事に生きることってどういうことなのか 自分に取って、支えというのが 大変になったときこそ 誰が最も大事な人なのかわかるんだなあと思う。 また、いつ何時何が起きても困らないように 借金はしないとか 保険に入っておけばよかったとか そういうことも 書いてある。 そうだよね。
0投稿日: 2016.07.30
powered by ブクログ面白かった。 41歳で脳梗塞になったフリーのルポライターが書いた 闘病・リハビリ記。 46歳で脳梗塞になった発達障害の息子を持ち 多分ADHD系の奥さんを持つ自分としては 非常に興味や共感、発見が多い内容でした。 何らかの原因で脳の機能が壊れた人たちの弱さや悲しさを サポートしてあげるというか、そういうことに 理解が広がる社会になってもらいたいと思います。 脳梗塞になってからかれこれ5年半。だいぶ気が緩んでいる のが自分でも認識している最近です。気を引き締めなおして もう一度、発症したときのことを強く意識すべきだと 思っています。 ”頑張らなあかんなあ!!”
0投稿日: 2016.07.25
powered by ブクログライターという、「抽象化と具体化を言葉で表現するプロ」による病気の自覚症状と自分を取り巻く環境の変化の描写が非常に勉強になる。大切な家族や友人との関係、自己への対峙と過去の物語の新しい解釈、弱い立場の人間への共感といった、病気を患った当事者とは思えないほど客観視した記載が感動的であった。こういう状況でこういう文章が書ける、というのは並大抵にはできないことだと思う。評論家ではない、現場主義のプロのライターの圧倒的な当事者性に敬服しました。
0投稿日: 2016.07.24
powered by ブクログ脳梗塞で倒れた著者が自分自身に起きた身体や心の変化を言語化して分析していきます。 この本を読むと自分は人生をどのように生きているのか、そして生きなければならないのかというメッセージが強烈につきつけられます。 「生活習慣病ではなく性格習慣病」という言葉は名文句です。 闘病記というくくりにとらわれずにぜひ色々な人達に読んでもらいたい一冊です。 とてもおすすめ。
0投稿日: 2016.07.21
powered by ブクログ一番感動したのは、著者が病気を通じてその原因がすべて自分にあると気づいたくだり。 運動も、食事も節制してきた自分がなぜ病気になってしまったのか。 それはすべて他人に頼らず自分だけで解決しようと生きてきたイライラが原因だったと。 奥さんに頼ればいいのに家事も掃除もすべて奪って、自分の思い通りにならないとすぐにイライラして。 そんな著者の考えの変化、奥さんや周囲の人への感謝にとても感銘を受けた作品です。
0投稿日: 2016.07.18
powered by ブクログ『最貧困女子』など、社会の下層で苦しむ人々についてのルポを何冊か出してきた著者が、41歳の若さで脳梗塞に倒れて「高次脳障害」に苦しみながらも回復してきた経験を本につづったもの。 脳の機能障害を負った本人の手記としては、脳卒中に襲われた脳科学者が自身の回復過程を描いたジル・ボルトテイラーの『奇跡の脳』、New York Postの記者が抗NMDA受容体自己免疫性脳炎にかかり自身を失っていく様子を自ら描いたスザンナ・キャラハンの『脳に棲む魔物』などがある。前者は脳科学者、後者は物書きという彼らの体験をどこかで客観視して論理的に表現して本にすることができる能力と機会を持った人によるものであった。いずれも脳の高次機能が非常に高度なバランスが必要で、また同時にフレキシビリティを持っていることについてリアリティを感じさせる本である。そして、本書もフリーのライターとしてプロの表現者であり、彼らと同じようにその体験を言語化できている。最初は左手のマヒや発話障害があったが、それらが回復していく中で、身体的障害を伴わない感情や認知などに関わる高次脳機能障害の苦しみを暗くなることなくうまく表現している。左側視野にどうしても注意がいかない状況を、義母が全裸でそこにいるのと同じような感じだと表現したのは、なるほどそういう感じと思えばいいのかと、さすがと感心した。 著者の先に紹介した2冊と異なる特徴は、この高次脳機能障害をこれまで貧困にあえぐ人々が発達遅滞ではないかと感じてきた人々の様子と重ね合わせているところだろう。それは、著者が『最貧困女子』などでそのような人々に関わってきたことによる実感である。先天的な脳機能障害に加えて、DVや貧困などのストレスにより脳機能障害が発生もしくは固定化し、表には注意欠陥や集中力の欠如という形で表れ、それがゆえに貧困から抜け出せないという悪い循環に陥っているのではないかと著者は考える。そこから抜け出すためには、就業ケアなどではなく、著者が回復の過程で体験した脳機能障害からのリハビリが有効なのではと指摘する。著者のこういった考えは次のオンライン記事などでも読むことができる。 「貧困の多くは「脳のトラブル」に起因している」 http://toyokeizai.net/articles/-/127404 一部の貧困者であっても、彼らを脳機能障害=病者とするのは、一面で危うい気もするのだが、著者の取材で向き合ってきた関係と自らの病の内観によって得られた実感を伴う実感だとすると、真剣に捉えるべき示唆であるのではないかと思う。 脳梗塞を発症するに至った自らの性格への反省、妻への感謝などがつづられている。そして、脳梗塞になってよかったとまで言う。少なくとも身近な人との関係において、プラスになることも多いと。金銭的なこともそうだが、人間関係的な備えが重要だと感じさせてくれる。 自分も脳梗塞になる可能性も十分にある。そのときにはきっと参考になるのかもしれない。そういうことがないようにとは思うのだが、それはそれで。 少し不謹慎かもしれないが、こういった本が書ける人が、この若さで脳梗塞に罹り、その後遺症がその人の意志と力なりで回復可能なものであったことは読者からすればこの本を産んんだ幸運であったのかもしれない。 --- 『奇跡の脳』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4105059319 『脳に棲む魔物』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4047313971
0投稿日: 2016.07.17
powered by ブクログ著者は丹念な取材をするルポライター。特に最下層にいる少年少女の著作が多く、読んだことがあった。脳梗塞になりながら、自分で自分を取材して、本に仕立てるというのは大変だろうと思う。また、悲惨がるのではなく、ある意味、面白おかしく書いていて、かつ、今まで取材していた人や奥様への理解を深めていて、この人は仕事が好きなのだと思った。自分が脳梗塞になったら、ここまでの思いにはならないだろう。また、最近、闘病記をよく読むのは、年をとってきて病気への予習なのかなあと(何でも書籍から入るタイプなので)。
0投稿日: 2016.07.14
powered by ブクログ脳梗塞を起こした人が本を書く、ということ自体が確かに難しいはず。ルポライターの鈴木大介さんが脳梗塞になってからの経緯を自ら書くという新書。これ、面白いと言っていいのかわかりませんが、役に立つ本です(いえ、役に立たずに済む方がいいですけど)。 感情の揺れが大きくなる、左側が見えなくなる、人を直視できないかと思えば、何かが心に触れるとどうしても凝視してしまう。確かにそんな症状の人は見たことがあります。そんな人の心の内側が感じ取れて、なかなか深い納得でした。
0投稿日: 2016.07.06
powered by ブクログこう言ってよいのかどうか分からないが、面白くて一気に読んだ。 著者はルポライターで「最貧困女子」を書いた人。あの本も入念な取材で面白かった。ただ、著者の取材対象への思い入れが強すぎて、もう少し距離感をもって書けばいいのにと思ったものだ。しかし、今回は、自らの脳梗塞発症を機に、観察者も観察対象も自分ということで、その対象に迫りすぎなところがプラスに働いている。そのくせ、自分のことだと、かえって客観的に分析できていたりして、時々ハッとさせられる。 高次脳機能障害と発達障害等が症状・現象として似ているという指摘は新鮮だった。さらに、理学療法士のリハビリ技術が発達障害やネグレクト被害者などの治療・更生に役立つ可能性を指摘したことも、なるほどと思える。 著者やその家族には申し訳ないが、なってみて初めてわかることを言語化して、未だなってない人に教えてくれるという意味で、本当に貴重で役に立つ一冊だ。
0投稿日: 2016.07.05
powered by ブクログ脳梗塞になった著者が改めて人生と向き合い真摯につづった著作と感じた。 ルポライターとしての貧困取材の中で出会った人々の挙動から脳障害を想定しているが、確かに考えられるものと思った。
0投稿日: 2016.07.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
メディア予約中 P210 様々な距離感のところに自分の応援団を持とう 一番身近な人が頼りたい人かと言うと、そうでは無いことも多い 共感。なるほど。これは著者の書いた文章ではなく、引用だけれど、心に残る。 著者は、ライターだけあり、言葉にしづらいことを、上手に文章にして訴えている。 私も外からわかりにくい障害を持つ身として、痛いほどわかる。
0投稿日: 2016.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「最貧困女子」でブレイクしたルポライター鈴木大介氏が、若干41歳にして脳梗塞を起こした。その闘病記。 養老孟司先生もおっしゃる通り、私も一気に読んだ。脳梗塞を起こした本人が、具体的にどこがどう辛いのか、どう不自由なのかを克明に自分の言葉で記録したという点で非常に貴重だと思う。 妻や仕事仲間の大切さに感謝している点は非常に好感が持てる。 リハビリの内容も詳細が語られいるが、指導する理学療法士の待遇が低いことに著者は憤りを感じ、彼らの待遇改善を訴えている。私も同感だ。 また、第4章『リハビリ医療のポテンシャル』の中で、イジメの対象となる児童に対して、リハビリスタッフにより支援の必要性を訴えている。これは非常に注目すべき、重要な主張である。世に広まってほしい。
2投稿日: 2016.06.26
