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爪と目(新潮文庫)
爪と目(新潮文庫)
藤野可織/新潮社
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総合評価

53件)
3.2
4
11
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10
1
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    爪と目というシンプルなタイトルなのに、読見終わったあとにこのタイトルが恐ろしく感じました。 不気味なホラー小説でした。

    0
    投稿日: 2025.09.21
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    久しぶりの芥川賞作品。 純文学とホラーの融合ということだが私にはホラー要素は感じられなかった。 サイコパス気味の「あなた」は少々不気味だったが。 慣れない二人称と3歳児の「わたし」の語りに全く馴染めず、読むのに酷く苦労した。芥川賞はこういう実験小説的なところがないと取れないんですかね。 それでも、いかにもいそうと感じさせる「あなた」と、少々自分に似たところもある「父」に少しの感情移入をしながらなんとか読了はしたが。 併録されている他の二編も「ちびっ子広場」は割と普通で理解の範疇だが、「しょう子さんが忘れていること」は理解し難いお話で、私にはいわゆる純文は向いてないと感じた次第です。 その割に芥川賞受賞作品たくさん登録してあるが笑笑

    17
    投稿日: 2025.09.07
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    作品紹介・あらすじ あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて――三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させる恐怖作(ホラー)。芥川賞受賞。

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    「ピエタとトランジ」の躍動感とは対照的,不穏な空気。母死後,感受性が強く幼い私は爪を噛み続ける。目を瞑れば酷事も消え去ると父の愛人は言う。不都合に目を背ける狡さ鈍感さ(父・愛人)も生きる上で必要。

    11
    投稿日: 2025.05.15
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    あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて――三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させる恐怖作(ホラー)。芥川賞受賞。 * 薄いから読み終わるのはさっくり。 書かれてることはわかるけど、よくわかんない。 衝撃的な恐さはないけど、不安定でずっとゾワゾワするような気持ち悪さだけ残る。 よくわかんないから、よけいに気持ち悪い。 今の私が楽しむのは難しいな…

    0
    投稿日: 2024.12.14
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    日常感のある出来事と二人称のお陰で読んでいるうちに、あなたが私自身であるような、わたしが私自身であるような、境界線が曖昧になって行く不安定さと緩い不気味さに包まれました

    1
    投稿日: 2024.10.06
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    過去の芥川受賞作品、ってだけでは読む対象にしないから、プラスどこかの書評で扱われていたものと思われる。積読状態にはあったんだけど、今回、夏のホラー特集の一環として手に取ったもの。芥川賞なのにホラー⁉ってのもちょっと興味深かったし。読み方によるのかもしれないけど、ホラーは”風味”っていうくらいで、読み応えは文学のもの。でもおかげで、エンタメ的にそれなりに楽しめました。ちなみに、表題作の中編と、短編2作品を収めたもの。

    0
    投稿日: 2024.09.20
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    じわじわと迫ってくるような怖さがある本。日常に潜む人間の悪さ暗さこそ一番のホラーかもと思わされます。

    0
    投稿日: 2024.09.10
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    文学的な作品だということは、重々感じ取れる。読ませられる作品。だが、読後に残る感じはあまりなく、私にはそんなにはまらなかった。

    0
    投稿日: 2024.08.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3歳児の「わたし」が明らかに乳幼児を超えている違和感は強烈なのに、飲み込まれるようにして読み終えてしまった。 何が起きているのか明確に分かるような作風ではないのだけれど、随所に気味の悪さと不快感がある。嫌な音を耳元で鳴らされ続けているような、胸の内を爪でカリカリされているような。 なんでこんなに自分のこと以外興味関心が特にない人達のふるまい、様子に解像度が高いのだろう。 ただ図太さというのは、誰しも多かれ少なかれ持っていて、自分にもあるかもしれない無神経さを拡大して見せられている気分になるからこそ、不快感を持つのかもしれない。 「わたし」の元々の母親もその類で、ブログに出す部屋をお洒落にするため度々「わたし」をベランダに閉じ込めており、「わたし」がやり返した結果がベランダでの凍死なのではという考察を見かけたのがしっくりきた。 もっと知りたい気がして、久しぶりに読み終わったあと他の人の考察や作者インタビューを見漁ってしまった。

    1
    投稿日: 2024.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    二人称にしているのはどうしてだろう。いつ時点? 主人公の女性がサイコパスっぽいのが芥川賞っぽいなと思いながら読んだ。 うまく説明ができないが、不思議な雰囲気で着地点が気になって、面白かった。3つめの話もサラッとホラー感があってうまいなぁと思った。 他の作品も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2024.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「爪と目」こういう作品が芥川賞に求めてる地獄だなあ 「しょう子さんが忘れていること」いや怖いんだけど。37歳の娘の殴りたくなる感いいね 「ちびっこ広場」これは分かりやすいですね

    1
    投稿日: 2023.10.27
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    "純文学も楽しめる私"を作り上げたかったのに、挫折しました。こーゆう意味がわからないもの、やっぱりダメなんだなぁと。一作目が終わると同時に切り上げました。残念。自分に。他の方の感想を読んで出直します。

    1
    投稿日: 2023.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「わたし」の母→傷がある状態で、傷ひとつないぴかぴかの体と心を欲してた(綺麗な部分だけをブログで見せる) 「あなた」→目に傷があろうと気にしない。怪我もしたことがない。 透明マニキュアの膜=ギザギザの傷だらけの爪を覆うもの。 それが傷だらけの目に被せられた事で、傷ひとつないぴかぴかの体になる。 →単なる光でしかなかった平坦なものたちが途端に意味を帯びた世界に見えてくる。 まとめ: 傷だらけなのに良いところばかり見せようとする人たちは、だからこそ、この世界に喜びを見出すことができる

    0
    投稿日: 2023.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼児の「わたし」を語り手に、母の死と、父と「あなた」の(再婚を前提とした)同居が語られる。「あなた」が「わたし」に(というよりは周囲の人間すべてに)心から親密な関係を築けないことを傷のついたコンタクトレンズやほぼ見えない裸眼で表象し、「わたし」もコミュニケーション機能の不全に陥っている様を噛んで尖った爪で表す。 たしかにホラーだこりゃ怖い。 どのような話かがつかみきれない序盤からすでに相当怖い。すべての文章に「ひっかかり」を覚えるのだ。語り手の「わたし」は自分の心情を一切語らないのに、「あなたは~思った」と「あなた」の行動・心情を断定的に語る。それだけで「これは絶対に誰も幸せになれないタイプの小説だ」とわかるし、「ひっかかり」があるだけにじっくり読まされてしまう。そしてこの断定的な口調のわけが、最後の"あとはだいたい、おなじ。"で推測され、なんだか自分まで地獄におとされたような気持になったのだった。

    0
    投稿日: 2023.05.01
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    純文学ホラーという表現を予備知識に読んだ。主人公からみた、父の再婚相手をあなたと呼ぶ二人称小説で当時を振り返りながら話は進む。井戸川射子の、この世の喜びよもそうだが、二人称は苦手である。 頭の中がこんがらがってきて、誰の誰目線?ってなってしまう。終始不気味であり確かにゾッとする何かがある。

    3
    投稿日: 2023.04.07
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    芥川賞受賞作を含む3作品収録 表題作である受賞作は3歳の子供視点で描かれる 義母(予定)のお話でした ちょっと読みにくさを感じつつもホラーな内容で まぁまぁ楽しめたかなと 他2作もホラー系でした 機会があればほかの作品も読んでみたいかもです

    11
    投稿日: 2023.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「あなた」がまるで一人称のような主語になっていて、「わたし」がまるで二人称のように語られているのが面白かった。 『ちびっこ広場』面白かった。結局噂話通りになっているとは。

    0
    投稿日: 2023.01.13
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    難しい。なんとなくぼんやりだけど幸せに生きている現代人の内面と生活を描写した作品? 何も感じないような人間でも生活の中で変化のきっかけを得て変わっていく、無感情そうな人間でも他人の悪意ある行動で心が歪む? 幼い子供の心に与える親の影響は甚大。 人間は見た目ではわからない。

    0
    投稿日: 2023.01.09
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    ジメッとしてる。 1話目 確かにコンタクトに似ているかも。 2話目は直接的な描写がないのが恐ろしい。 3話目は意味怖。 全話、自分の解釈が合ってるのか、誰かと話したい。笑

    0
    投稿日: 2022.09.29
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    めちゃくちゃ怖い、とTwitterで見て読んだ一冊。確かにめちゃくちゃ怖かった。おかしなことが起きているのにずっと静かで、二人称のせいで気が狂いそうだった。

    0
    投稿日: 2022.08.18
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    怖かった 初めて読んだ時目の描写に強い恐怖をおぼえて、発狂しそうになりながら読んだのを覚えている 何度か読み返そうと試みたがどんなホラー映画やホラー小説よりも怖く感じでなかなか開けていない笑

    0
    投稿日: 2022.07.23
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    「あんたもちょっと目をつぶってみればいいんだ。かんたんなことさ。どんなひどいことも、すぐに消え失せるから」 「さ、一緒にちびっこ広場に行こう」

    0
    投稿日: 2022.01.13
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    少し長めの表題作と短編が2つ.「爪と目」は、父、母、わたし とあなたと母親が出てきて、父とあなたが眼科で出会い、母が死んで最終的に父、あなた、わたしが一緒に暮らすことになる話だが、あなたの生活に対する思いが独特で違和感というより、唖然とする感じだった.わたしが爪を噛む件で題名の片方が認識でき、わたしがマニュキュアの薄片を作る場面で題名のもうひとつが分かった."しょう子さん"と川端くんの関係は謎めいており、"大樹"の甘えに的確に対応したお母さんの気持ちは、大樹とよく通じている.

    0
    投稿日: 2021.11.19
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    ちびっこ広場しか意味がわからなかった。 怖かった。 一人称とはこういう書き方もあるのだなと楽しんで読めた。

    1
    投稿日: 2021.05.25
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    3歳児のわらしが父の再婚予定者をあなたと言い、感情の起伏なく観察している。気味が悪くもあり、時がなかなか進まない感覚も。最後は戦慄もの。2020.10.29

    0
    投稿日: 2020.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    怖かった。 読みやすく好きなタイプの文だった。 結膜炎なりやすいので痛みがよく伝わってきて、その点やだった。 なぜかみなさんあまりコメントしないちびっこ広場が、最後ゾッとした。 お母さんが、何度も電話してちびっこ広場に連れ出してるから呪いは実行されてるのでは、、? 1回だけの呪いで、夜に広場に行くだけで終わるならいいけど怖い目に遭わなきゃいいな。。と変に心配になってしまった。

    0
    投稿日: 2020.05.10
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    主人公の視点が淡々としていて、その目線で読み進むのに慣れるのは案外早いが、ラスト怖い(笑) 娘が何事もなく幸せに暮らしていくことを望むと同時に、つまずき疲れ失敗することを望んでいた。 結婚式をしないのはちょっと寂しいと思った。しかし同時にあなたは挙式する自分の姿を見せたい友人などいないのだということにも気づいた。 目を瞑ればどんなひどい事もすぐ消え失せる。簡単な事。見えなければないのと一緒。 残り短編2篇含まれている。 しょう子さん〜はもう何もしなくていいのに、重荷は全て下ろしたはずなのにリハビリをしなくてはいけなかったり、ご飯を残さず食べなければいけなかったり。親世代ってこう思ってるのかなーと(受け入れたくはないけれど)感じる部分があった。

    0
    投稿日: 2020.01.19
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    芥川賞を受賞した表題作、3歳の女の子がこんなに理路整然とした語り手になれるわけないやんけ、と思いながら読んでいたのですが、ラスト近くにちゃんとからくりが書いてありました。すごく目立たないところに。この点もそうなのですが、ミスリードを誘うような書き方もされていたりして、これまで読んだ藤野さんの作品と比べてかなり技巧に凝っているなあという印象を受けました。 一方で「いやしい鳥」で描かれていたような訳の分からないエネルギー・勢いのようなものはあまり感じられず、そのあたりに魅力を感じていた自分にとってはちょっと肩透かしをくったような読後感でした。いや、もちろん上手いんですよすごく。特にラスト3行なんかはかなり印象に残る箇所ではあるのですが、これを怖いかっていうとちょっと違うような気もします。そういう意味では玄人向けの作品と言えるのかなあと。もちろん芥川賞受賞には何の文句もありません。

    2
    投稿日: 2019.12.18
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    不気味なはなし。 珍しい人称の使い方。 「わたし」サイコだなー 。いや みんな変だなー。 最後の話は噂なのになんだか暗くて ホラーだった。

    0
    投稿日: 2019.05.01
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    文字でしか味わえないスリリングな体験。 肝心なことは何も教えてくれないのに、過不足なくすべて書かれている感じ。

    0
    投稿日: 2019.04.06
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    再読。まず、この著者の文体が好き。そして、視点や意識の移動のさせ方にも同期しやすいので、自分にとってリーダビリティナンバーワンの著者。初読の時にも感じたように、表題作の最後のフレーズが、句読点の打ち方も含め、最高に良い。

    0
    投稿日: 2019.03.05
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    先ず"あなた"と"わたし"は誰と誰なのか理解するのに時間がかかりました。笑 読み終えた今もいまいち理解しきれていない感があるけど、最後のホラー展開は"わたし"から"あなた"への仕返しというか制裁と解釈しました。 "あなた"のような何も見ない、何も感じない、何も感じないから傷付きもしない、こんな人いないだろと少し前のわたしなら思っていたかもしれないけど、実際同じような人に最近出くわしたので言える。 "あなた"のような人間はたぶんけっこういる。笑 「これでよく見えるようになった?」 "あなた"はこれから先の人生を考えなおし、ちゃん見ようとするのだろうか。 それとも今までと同じようにただなんとなく生きるのだろうか。

    0
    投稿日: 2018.06.02
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    連れ子のわたし視点で語っているが、幼稚園にいるはずの時間帯までも把握してしまっている。。何故。怖いは怖い。それより不気味さが勝つ。眼ん玉はしっかりと見ています。  2話のしょうこさん、どういうこと?(・o・)だれ?川端くん? 3話子供の頃よくあった似たような噂話。なのにゾクゾクする。ちびっこ広場に少女の霊がいないと証明できるといいですね、お母さん。

    1
    投稿日: 2018.02.04
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    芥川賞を受賞した時から、「2人称」の小説ということで話題になっていた。私もその点に惹かれ、文庫落ちした機会に購入。 父の不倫相手で後に父と再婚する「あなた」について、当時三歳だった「わたし」が語る、という構成をとっている。 一般的に三人称でつづられている物語は神の視点に立って書かれているため、記述されている内容は物語の中の「事実」であり、疑う必要はない。これを逆手にとって仕掛けを凝らし記述内容への信頼性を揺らがせるものもありはするが、それも前述した三人称への信頼性が前提にあるから成り立つものだ。 一方で「読者」に対する「語り手」がいる場合、作中の出来事も「語り手」のフィルタを通じて読者に渡されている。素直な作品では「語り手」の内容を疑う必要はなく、そのためこういった語り手の(ひいては作者の)恣意性に注意を払うこともない。ただ「読者」の世界と作品世界を橋渡ししてくれる存在というだけだ。だが、私の好きな「信頼できない語り手」と呼ばれるジャンルでは、その名の通り「語り手」がこちらに手渡してくれた物語は果たして事実なのか、という大きな疑いを持たせる。 この作品は「わたし」は存在しているものの内容はひたすら「あなた」について語ったもので、時に「あなた」の内心まで勝手に語っている。正直物語としては「あなた」を「わたし」という言葉に置き換えて一人称で綴っても内容はそれほど差はなく思える。では何故二人称を選んだのだろう。 読者に当事者意識を持たせて作品世界に巻き込むとか複数の目的があったのことだと思うが、私は理由のひとつはこの「あなた」の人物造形にあるように思う。 「書く」ということは一度自己の内部を見つめ直し、再構成することだ。私は子供の頃、映像作品がノベライズされた場合、一人称で語られているものは苦手だった。語られている筋が原作通りであっても違和感を覚えて落ち着かなかったが、多分それは映像作品では見られない、作中人物の内面に触れたような気がしたからだと思う。 この作品の「あなた」はあまり物事を深く考えず、他人に興味が薄い、だからこそ場の空気に流されやすい。作中何度も強調される視力の悪さそのまま、物理的にだけではなく心理的にも「見えない」「見ない」人物だ。そんな彼女を描くにあたり、一人称は最もそぐわない。そんな風に内省する人物ではない。だからといって神の視点である三人称では、客観的にすぎて、この不穏な空気は生み出せなかっただろう。 そしてこの話を「わたし」が語ったと考えると、本来分かるはずのない「あなた」の感情や行動を経験したかのように当たり前のように語るという、静かな異常性も浮かび上がってくる。最後の一行に象徴されるように、「わたし」にとって「わたし」と「あなた」はの境目そのものが曖昧になっているのかもしれない。そう考えると、これも「信頼できない語り手」の1ジャンルだなと思った。 「あなた」とこちらに語りかけているように見せかけて、その実読者の感情移入を最初から拒否している作品なので、共感したとか何度も読み返したいとかいう感想は抱かなかった。ただこの人称の技巧には素直に感心させられた。他の作品ではどんな小説世界を見せてくれるのか楽しみだ。

    0
    投稿日: 2017.09.08
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    意匠を凝らしていると余程のモノでないと結構辛いですが、本作まさにそれ。 何処か書き手が酔っている感じがするし、そもそも怖くないというか嫌だが目を逸らせない小説を読まされていると思えなかったなぁ。悪意がストーリーとしての悪意に昇華していないというんでしょうか?

    1
    投稿日: 2017.08.18
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    「史上最も怖い芥川賞受賞作」という触れ込み。語り手の「わたし」は幼児、「あなた」は父親の再婚相手。「あなた」は「わたし」の父親と不倫。「わたし」の母親はある日ベランダで自殺とも事故ともつかぬ不慮の死を遂げ、父親は「わたし」を連れて「あなた」と再婚します。3歳の娘がこんなふうに話せるわけもなく、その違和感が読み手の不安を誘って面白い。特に美人でもないのになぜか男性の興味を惹いて女性からは敵意を持たれる「あなた」。母性にも欠けているけれど、「わたし」を持てあまし気味だった父親は、「あなた」が来てくれて安心します。「あなた」が与えるスナック菓子をぼりぼりと食べ続けて「わたし」が太っていく様子が手に取るようで不気味。衝撃度としては高いですが、この手法は一度しか通じないと思われ、以降の作品はどうなるか。表題作以外の2編もつかみどころなく、どれも単に思わせぶりだと言えなくもありません。次も手に取るかと言われると厳しいかも。

    1
    投稿日: 2017.04.26
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    怖いというより不安になる。 中盤で自己を飾り立て顕示する日々が、「透き通る」と形容されてたことに、それまで唯一まともに見えていた主人公の母も相当病んでる(自覚あるんだ)なと思いました。 人を愛せないのは不幸だけれど、そんな人を愛してしまう人ほどは不幸ではないのかもしれない。 他の二編も不安になる。ホラーは好きだけどエンタメ要素0なので、なんでお金払ってまでこんな嫌な気持ちにならなきゃならないの…てなる。

    1
    投稿日: 2017.02.08
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    途中途中で区切りはあるけれど、なぜか続きが読みたくなる小説。 幽霊とかのホラーではなく、ごく普通の日常に潜むホラー。

    1
    投稿日: 2016.10.12
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    16/06/02 これはホラーなのだろうか。とりあえず痛い、、痛い痛い、、と顔をしかめて読んだ。 ・その文章が、ほの暗い明るさをもってまたたくのがわかった。活字が親しげに微笑み、ひょいと片手をあげて挨拶したみたいだった。(P84 爪と目)

    1
    投稿日: 2016.06.02
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    久しぶりに、何のためでもなく、「ただ活字を読む」という欲のためだけに読み終えました。時間に追われているときに読む、良質な短篇はこの上ない至福ですが。ああ怖かった。 帯の「史上最も怖い」という言葉は的を得ているからこそ、究極のネタバレというべきか、予感を促しすぎる意味で読者からすれば勿体無いような気もします。 事実、悍ましいと感じる要素が沢山詰まっています。具体的な言葉で分析し始めようものなら自分の世界にピキッとひびが入ってしまいそうな感のある、人の奥底にある不気味な禁に触れてしまっている作品です。 語ることの出来る要素で面白みを感じたのは、やはり「目」の役割です。解説にあった、動物の目の発達の過程の説明を含めて、考えさせられるところ、日頃考えることと繋がるところがありました。物事から恣意的に目を逸らせば、人はその物事を無かったことに出来て、ある種の独裁者になれるということ。でも、、、ということ。「目を閉じれば同じ」という言葉が出てくる宇多田ヒカルさんの歌をふと思い出しました。人は疲れてしまうと思考を停止して、目を閉じて、次に開く頃には状況が変わっていることを期待したりするものです。それは必ずしも現実逃避を示唆しているのではなくて、日常における睡眠も同じでしょう。でも、、、がいっぱいあります。自分の住んでいる世界に見たいものと見たくないものがあるということと、目が開いている限り物事を見続けなければならないこと、をどう理解すればよいのでしょう。自分で一生付き合って戦うしかないのでしょうけれど、戦うのに疲れてしまった人は他の存在を精神で殺してしまうのでしょう。私は目が見えることは尊いと思っていて失いたくありません。それでも、一見「できる」という良い機能に思われるものが、「できることをしない」という選択肢を危険を孕んでいるという事実は心に留めておくべきだと思っています。 久しぶりに、心の向くままに目的もなく言葉を綴った気がします。少し気持ちが休まったのでこの辺りで。

    5
    投稿日: 2016.05.27
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    純文学というものはやはりよくわからない。表題作の爪と目は人称の使い方で特徴的だったけど、それだけだった。痛みを知らないような継母に対して最後に痛みを与えるみたいな終わり方。ホラーと評してあるが、怖さよりもわからなさの方が強かった。これも純文学だからか。その他2編もよくわからなかった。単純に言ってどれも面白くない。

    1
    投稿日: 2016.05.18
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    生活系ブロガーの描写がよかった… p37 失ってもたいした痛手ではないものを残酷に奪われることを想像するのは、なんとなく楽しいものだ。 p75 あなたは、彼女たちの見せるものが、彼女たちの身を守る装備だということにまでは考えが及ばなかった。彼女たちが欲しいのは、傷ひとつない、ぴかぴかの体と心だ。あれらの記録は、彼女たちが懸命に貼り合わせてつくった特注品の体と心だ。

    0
    投稿日: 2016.02.07
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    キモっ! 短いセンテンス、会話の少なさ、そして何と言っても人称の使い方でさらに不気味さを増す仕組みは面白かったっス。

    1
    投稿日: 2016.01.30
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    第149回芥川賞受賞作。 『文学的ホラー』と言われていた。うーん、これがホラーかどうかはよく解らないが、カテゴライズするならばホラー以外に無いかな、とは思う。ただ、個人的には怖さより不気味さを強く感じた(特に登場人物の造形)。 近年の芥川賞の中では『abさんご』に続いてトリッキーな作風だという印象。今、読んでいる『パトロネ』にも同じような雰囲気があるので、恐らくある種のトリッキーさが著者の持ち味なのかな。私は好きなタイプだ……。

    0
    投稿日: 2016.01.28
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    「『純文学ホラー』の確立を記念し」たとされる第149回芥川賞を受賞した表題作をはじめとする3作品が編まれた短編集。ホラーというよりか、恐怖を覚える前後に人間に生ずる狂気みたいなのを描いていて、それがとても怖い。人称の表現力にも目を見張る注目の作家だと思った。

    0
    投稿日: 2016.01.17
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    単行本で読了済み。 文庫の顔写真にもくらっとくる。 @ 爪と目、まさにそのものの結末。 何がおそろしいといって、あなたをじーっと観察している語り手が恐ろしい。 そして観察できていない場面すらも補える(それだけあなたを見続けている)ところ。 そしてあなたも、父も、母も、どこかぼんやりと無関心なところがあり、サイコという言葉が浮かぶ(欲望の欠如)。 これは、怖い。

    0
    投稿日: 2016.01.06
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    「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」「ちびっこ広場」の三編。どれも、語られないことによる不安が不気味さを匂わせるお話。それをホラーというのならホラーなのかな…個人的には、ホラーといわれて予想するような恐怖はあまりなく、ちょっと拍子抜け。 好きなのは「ちびっこ広場」。どれも女性らしい視点だけど、これは母親目線で特に共感できた。

    0
    投稿日: 2016.01.04
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    爪も眼は、人の体の一部なのに、まったく違った質感と性質を持っている。硬く、攻撃的な前者に、繊細で傷つきやすい後者、正に対極にあるような感じがする。この二つがうまくそれぞれの特徴を活かしたツールとして働き、今までにはない視点でプローブされた物語だと感じた。短い一文が、迫ってくる良表題作です。 その他、しょう子さんが忘れていること、ちびっこ広場収録。

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    投稿日: 2016.01.03
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    単純なストーリーを難解に描くことで、価値を高めているだけのようにも思う。 芥川賞受賞の表題作の他に『しょう子さんが忘れていること』、『ちびっこ広場』を収録。 きっと、二度とこの作家の作品を読むことは無いと思う。

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    投稿日: 2015.12.29
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    「爪と目」は文体が奇妙で面白かった。文体の奇妙さを示すには、小説の一文目を引用するだけで十分であるように思われる。 ーーー『はじめてあなたと関係を持った日、帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。』ーーー 初めて読んだ瞬間、どんな人が誰に語っているのかが分からず、何度も読み返してしまった。面白い。 文体同様、話の筋も難解であった。挿入される話の一つ一つは面白く、一気に読んでしまったが、全体のストーリーはあまり意味が分からなかった。 「しょう子さんが忘れていること」も表題作同様難解なストーリーであった。 冒頭からストーリーの結末について「こうであるに違いない」とある種の確信を持って読み始めてしまったが、読み進めるうちに、そうである証拠もそうでない証拠も見つかって、結局よく分からないまま終わってしまった。 「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」の二編が難解であったのに比べ、「ちびっこ広場」は分かりやすくとても面白かった。 何か特別なことが起きているわけでもないのに冒頭から謎の緊張感があって、夢中になって読んでしまった。ラストには綺麗に伏線も回収され、前二編の後味の悪さも相俟って、単に面白いと感じただけでなく、気持ち良いとさえ感じた。

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    投稿日: 2015.12.29
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    う〜む、ちょっと妊娠カレンダーを思い出した。だいぶ違うけど。割と好きな方な作風だとは思うけど、この先どういう作家になっていくのだろう? 爪と目はこの手では珍しく将来に関する記述があるから 続編?が読みたいかも

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    投稿日: 2015.12.29
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    以前、雑誌で読みました。 読んでみた感じはとても不気味というか、なんか痛そうで怖い、と思いました。 けれど、受賞者インタビューを読むと、『醜いものや怖いものも美しい』ということが書かれているので、彼女にとってはこれは美しいの部類に入るのかもしれないなと思いました。 『爪と目』というタイトルの通り、小説の中では爪をかみ続けるわたしとコンタクトレンズがないとほとんど何も見えていないあなたが淡々と描写されていきます。 突然母親が事故死してしまったわたしとわたしの父の付き合っていて一緒に暮らすことになったあなた。 あなたの見えていない状況をとにかく書いているようにも見えるのですが、見えていなかったのはあなただけではないと思います。 わたしの父もきっといろんなことが見えていなかったんだと思うし、作者は死んでしまったわたしの母も見えていなかったと思っているのかもしれない。 そう思うのは、最後の部分の爪の描写からの連想だけど、しつけの行き届いたいい子であったわたしは本当はもっと違う子だったのかもしれなくて、結末部分になるまでずっとわたしをいい子だと思い続けていた読者も見えていなかった、ということなのかもしれません。

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    投稿日: 2015.12.23