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祖国とは国語(新潮文庫)
祖国とは国語(新潮文庫)
藤原正彦/新潮社
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総合評価

78件)
3.9
18
33
21
1
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    gugugu
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    面白かった。数学者のエッセイ。表題のエッセイが読みたくて購入した。作者のように考えることはできないかもしれないが、しっかりとした日本語を使っていきたい。

    0
    投稿日: 2025.04.08
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    ほんのむし100
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    国語教育と情緒の重要性! すっきりした文体と 家族間でのやりとりが いたずらっ子のような お茶目さのあるエッセイ 安部公房 に続き 満州に縁がある方で 後半の「満州再訪記」は 興味深かった

    8
    投稿日: 2024.12.21
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    bishop-ms
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    ・現実世界の論理とは、普遍性のない前提から出発し、灰色の道をたどる頼りないもの  思考の正当性より説得力のある表現が重要  すなわち、論理を育てるには、数学よりも筋道を立てて表現する技術の習得が大切 ・愛国心にあたる英語にはナショナリズムとパトリオティズムの二語がある  前者は国益を追求する姿勢、後者は祖国愛に相当する  日本語では愛国心という言葉にその二語が括られてしまうため戦時中に不幸な結果となった  そのため戦後には愛国心=軍国主義の印象が生まれ、祖国愛自体も軽視されるようになったと考えられる  

    0
    投稿日: 2024.12.11
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    もっさん
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    前半は日本の教育について少し堅めに力強く書かれていた。幼少期から限られた授業時間のうちの大部分を使ってパソコンや英語を学ぶ必要があるのか。基礎となり、全ての教科や自身のルーツにつながる国語をひたすら学ぶことが大切だという。私は英語は子供の世界を広げるために必要且つ、早めの教育が効果的だと考えるが、なるほど国語力は現在の日本教育であまりにも軽視されてることに気付かされた。ディベート力や要約力、読解力など基礎的かつ非常に重要な科目がないがしろになっている危機感を教わった。後半は正彦さんの息子さん3人の憎たらしくも聡明な日常と会話が面白おかしく書かれていて、飾らない正彦さんの魅力が詰まっていると感じた

    0
    投稿日: 2023.09.22
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    もちこ
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    お父さんに勧められて読んだらおもしろかった。 授業で母国語をもたない在日外国人の子が、言語化できない障害をもってしまうというビデオを見たからなおさら興味深い。 「好き」という言葉にも色んな言い方があって、それを知ってるのと知らないのとでは感情の幅にも差が出る、ということが書いてあって、なるほどと思った。 短絡的ではなく、何かをふまえた上での考えをしっかりもつためにも、国語教育って大事なんだなぁ。

    3
    投稿日: 2023.08.05
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    まる
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    「小学校における教科間の重要度は、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下」の有名なフレーズが全てを物語っている。国語学者ではない、数学者の言葉であることに説得力がある。この本が世に出て20年近くなる現在においても何ら状況が変わっていないことに強い危機感というか、絶望感に近いものを覚える。 他のエッセイも面白い。他の著書も一通り読もうと思う。

    0
    投稿日: 2022.12.15
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    まこ
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    「国語教育絶対論」では染まりきった欧米の思想にはっとさせられる。自由と便利を追求した先に待っていることの恐ろしさを想像させられる。時折それはあまりにも極論すぎやしないかと思う節もあったが。 「いじわるにも程がある」では気楽に読める短いエッセイ集だが時に大切な教訓に目が止まる。 「満州再訪記」では恥ずかしながら歴史にあまりにも無知なことを思い知らされる。各国、各人物がどのような経緯で歴史が紡いでいったのかを学ぶことができる。第二次世界大戦が教科書に載っている出来事の一つとしか認識することが出来なかった世代の人に読んでほしい。

    1
    投稿日: 2021.12.30
  • おたまのアイコン
    おたま
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    「一に国語、二に国語、三四がなくて五に算数」の言葉は知っていましてが、それを提唱したのが「品格ブーム」の立役者でもある筆者だとは知りませんでした。「英語は5%ほどのエリートが流暢に操れれば充分」等、かなり強気な持論をお持ちで(本人は米ミシガン、英ケンブリッジで研究)、逆に新鮮だと感じました。

    0
    投稿日: 2021.11.11
  • 1439796番目の読書家のアイコン
    1439796番目の読書家
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    私はもういつ死んでもいいのである。それは覚悟なんてものではない。いっそ自然なのである。その日まで私のすることといえば、一種の暇つぶしである。 私は喜んで生きてきたわけではない。それは絶望というような大袈裟なものではない。むしろ静かなものである。 生きている限り元気なふりをする義理があるのである

    0
    投稿日: 2021.09.04
  • 1502015番目の読書家のアイコン
    1502015番目の読書家
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    ところどころ笑いつつ、藤原氏の語彙力に驚いた。 初めて出合った四字熟語も多いので、今度使ってみようかな。

    0
    投稿日: 2021.02.13
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    yyy333
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    確かに国を成り立たせる要件として言葉は一番大切だと思う。経済より大切なものがあるということだが、世の中そのようには動かないのはなぜか?

    0
    投稿日: 2019.10.22
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    teftef66
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    この本は三部構成でなっており、著者が様々な本で展開している持論がメインである”国語教育絶対論”、ショートエッセイ集の”いじわるにも程がある”、母親でもある藤原ていさんと家族で中国を訪れた際の”満州再訪記”からなる。 どの文章にも時折ユーモアが含まれていて、小気味よく読み進めていくことができる。 ””藤原正彦いわく、ユーモアは”理屈一本ではないことを示すため、または進まないための自己抑制のため”に必要なこと”” 国語教育絶対論では、期待していた国語の必要性のさらなる理解をまた一歩進めることができたとは思うが、再度頭の中で整理はしていきたい。人に説明できるくらいには。 満州再訪記も読みごたえがある。家族での道中記も楽しいが、なんといっても最初の15ページほどの満州建国に至るまでの歴史の説明がわかりやすくて素晴らしいなと思った。無駄がなく、簡潔明瞭でわかりやすい。

    0
    投稿日: 2019.10.13
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    cinejazz0906
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    論理的思考力の低下、情緒の欠如こそは、国語力の低下にあると指摘し、日本の教育のあり方を憂いで「国語教育絶対論」を展開した格調高い【藤原正彦】の名エッセイである。 著者の出生地(満州)と、ソ連軍侵攻により藤原一家が本土に引き揚げたに至った状況は、「満州再訪記」で詳細に語られている。関東軍が開拓団を見殺しにし、我先に逃げ帰ったという叙述は、はらわたが煮えくり返る恥辱の戦争犯罪としか例えようがない。

    0
    投稿日: 2019.09.12
  • あきまるのアイコン
    あきまる
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    2018年の読み収めの一冊。 書いてあることは、言葉が悪いけど「オヤジの愚痴」みたいな感じでした。 でもその愚痴は一理ある。だが「愚痴」という少し敵意ある言葉になるのは、「そんな問題、うまく解けねぇよ」言ってしまうような問題に対しての作者の考えがまとめられた本だったからでした。 きっと作者は、取り上げた問題が「難題」であることが分かってたから、愚痴のような攻撃的な言葉を書いていたんだと思います。 後半のエッセイ集で、そういったどうしようもならない世界に、文句(という言葉が適切ではないかもしれないけど)を垂れて立ち向かう、僕たちと何ら変わりのないおじさんの横顔が見えてきました。 2019年も、一を読んで十を感じれる本に出合いたいですね。 出会えるか出会えないかは僕の情緒自身ですけどね。

    0
    投稿日: 2018.12.31
  • キじばと。。のアイコン
    キじばと。。
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    本書は3つのパートで構成されています。第1部は、国語教育の重要性を語ったエッセイ。第2部は、著者の日常を描いた肩の凝らないエッセイ。第3部は、著者の出身地である旧満州の新京(現・長春)を訪れた際の紀行文となっています。 国語教育の重要性の指摘の背後にあるのは、祖国愛という視座を欠いたどのような言説も行為も無意味であるという強い思いといってよいでしょう。著者は、ナショナリズムを「国益主義」、パトリオティズムを「祖国愛」と訳し、前者は必要悪であり、後者はどの国の国民にとっても絶対に不可欠だとする主張を展開しています。 第2部は、『朝日新聞』に連載された科学エッセイを多く収めています。著者が3人の息子たちに「発見」の大切さを教える光景を、ユーモアたっぷりに描いています。 第3部の「満州再訪記」は、旅行の様子と日露戦争以後の日本が歩んだ歴史が、交互に語られます。著者たち3人の子どもを守り抜いた母・藤原ていに対する著者の敬愛が、文章ににじみ出ているように感じられます。

    0
    投稿日: 2018.12.21
  • strattonのアイコン
    stratton
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    2000年から2003年にかけて新聞や文芸誌に書いた エッセイをまとめた一冊。 毎回思うが、藤原さんは本当に文章がうまい。 本書は「国語教育絶対論」「いじわるにも程がある」 「満州再訪記」の三部構成。 「国語教育絶対論」は、まさにその通り!激しく 同感の内容。  "小学校における教科間の重要度は、一に国語、  二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは  十以下なのである。" この時点で藤原さんが憂慮していて事態は、さらに 悪化している気がする。 「いじわるにも程がある」は、「国語…」からガラッと 変わって家族を登場させたユーモアたっぷりのエッセイ。 それも、解説を書いている齋藤孝さんご指摘のとおり、 知的なユーモア。 家族愛も同時に感じられて、読みながらつい笑顔が出て しまった。 「満州再訪記」は、藤原さんが自分の出生の地である 満州を、母親、妻、息子達と訪ねた旅行記。 ちょうどいい間隔で史実をはさみながら綴ったこの 旅行記は秀逸。日本が満州で何をしていたのか、戦争 直後の引き揚げがどんなに過酷なものだったのかが よく分かる。敷居の高い歴史書を読むより、この旅行記 を読んだ方が間違いなくためになる。

    0
    投稿日: 2018.11.18
  • ryotasogareのアイコン
    ryotasogare
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    「祖国とは国語」藤原正彦 (3周目) 以下たそ解釈 ・国語教育は現代日本にとって緊急かつ最優先の事項である ↓ ・国語以外での他教科での思考・論理もそもそも母国語の言語をもとにしている ↓ ・その土台である国語、つまり語彙や情緒といったものが貧弱であるとそもそも全ての思考に影響を及ぼす ・いくら方法論や英語、ゆとり教育などの個性を重要視しても肝心の中味が無い。コンテンツなしのガワだけになる ・詰め込み教育は害悪ではない。子供はそもそも悪い癖のほうが多い。方向づけは大事。 ・読書は教養、教養は大局観を与える。一見無駄な教養も切り捨てるべきではない。 ・満州国建国から崩壊までの歴史がよくわかる ・当時の列強の価値観を現代の価値観からジャッジして過去の人を非難するのは間違い、振り返り、未来に活かすべき

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    投稿日: 2018.10.28
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    musclethinker
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    英語教育手日本は再興しない。英語が世界一得意なイギリスの経済が斜陽ナノを見れば、英語が競争力の重要なファクターでないのは明らかだ。という一文が強く残っている

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    投稿日: 2018.09.19
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    匿名希望
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    国家とは教育とは。論理的に思考したり、母国語よりも英語を優先する。土台となる組織に属し、教養や価値観を身に付けることで、初めて、異なる文化や価値観を考えることができる。そして、土台となるのは国語であると。日本人はあまりに平和ボケが過ぎたのかなとも思う。 後半の満州国の話は面白かった。日本の傀儡国家だったかもしれないけど、本当に民族自立や五民平等が確立していたら、今の日本の立ち位置は違ったのかもしれない。

    0
    投稿日: 2017.09.08
  • hito-kotoのアイコン
    hito-koto
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    藤原正彦 著「祖国とは国語」、2006.1発行です。国語教育絶対論、いじわるにも程がある、満州再訪記の3部構成です。国語はすべての知的活動の基礎、国家の浮沈は小学校の国語にかかっているとのことです。そして、読書は教養の土台、教養は大局観の土台だと。また、満州は著者の生地で2年3ヶ月過ごし、その後はソ連軍の怒涛のごとき満州侵攻を受け、母子4人の1年余りにわたる苦難の引揚げが始まったと。このことは、藤原ていの「流れる星は生きている」に詳しく書かれています。

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    投稿日: 2017.06.19
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    つちしたのぶひと
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    満州再訪記が圧倒的な存在感があった。 著者の満州で生まれ、1歳の時にソ連が侵攻し、脱出する時を描く。 母親と家族でうまれた満州を訪問する。記憶はたぶんないはずであるが、 1歳の自分を歴史的に、客観的に描き出そうとする。 なぜ ソ連が侵攻したのか? アメリカとソ連との思惑の中で、満州と朝鮮をどうするのか?  そのせめぎ合いの中で、関東軍は 日本人をおきざりにして、 自分たちが先に逃げていく という醜態をあばく。 戦争における悲惨さは、さまざまな形で生まれるのである。 著者の原点とルーツが明らかにされる。 日本の品格を訴えた藤原氏の原点は  軍隊は日本の国民を守る存在ではない。 ということから、始まるのかもしれない。 イジメが起こる原因は 我慢ができなくなっていることと 卑怯 という言葉が なくなったことである。 教育の基礎は 国語力、日本語力にあると言う。 なぜか、〈英語〉至上主義みたいなところがあり、おかしいのである。 どこかで、コンプレックスがひっくり返ってしまっている。 『情緒』や『感情』を大切にすることが 何よりも必要である。 言われていること、ごもっともである。 息子たちとの 天才ごっこ。 愛人をもちたい願望など 私生活が露出しているのも 何となく微笑ましくもある。

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    投稿日: 2017.04.19
  • tack624のアイコン
    tack624
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    初出は13年くらい前だが、「国語教育絶対論」で筆者が嘆いていることは今も変わらない気がする。理数嫌いの原因は我慢力不足というのは、数学者が言うと重みがある。しかし、エッセイを集めたものなので仕方がないが、真ん中の「いじわるにも程がある」はない方が良かった。何だかここが異質な感じがするのが残念。

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    投稿日: 2016.01.17
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    Conano
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    数学者にして文筆家、そして新田次郎と藤原ていの息子である藤原正彦の、2000~2003年に朝日新聞、産経新聞等に掲載されたエッセイをまとめたものである。 うち約半分が、持論の「国語教育絶対論」を熱く語ったものであるが、斎藤孝があとがきに書いている「ああ、この人に、文部科学大臣になってもらいたい。これが、私の切なる願いだ。数学者にして、華麗なる文章家。学問、文化、科学を愛すること、並ぶ者なし。そして何よりも、この日本をよりよくしていこうという強い志にあふれている。その志は、火山の溶岩のように、腹の底からやむことなくわき上がってきてしまう。それがこの『祖国とは国語』から、はっきりと伝わってくる」という思いに大いに共感する。 「国家の浮沈は小学校の国語にかかっている」 「言語は思考した結果を表現する道具にととまらない。言語を用いて思考するという面がある。・・・人間はその語彙を大きく超えて考えたり感じたりすることはない、といって過言ではない。母国語の語彙は思考であり情緒なのである」 「『論理』を育てるには、数学より筋道を立てて表現する技術の習得が大切ということになる。これは国語を通して学ぶのがよい」 「脳の九割を利害得失で占められるのはやむを得ないとして、残りの一割の内容でスケールが決まる。・・・ここを美しい情緒で埋めるのである」 「祖国とは国語である。ユダヤ民族は二千年以上も流浪しながら、ユダヤ教とともにヘブライ語やイディッシュ語を失わなかったから、二十世紀になって再び建国することができた」 「小学校における教科間の重要度は、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下なのである」等 世界的な数学者である岡潔が『春宵十話』で語った「人の中心は情緒である。・・・数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである」に通じる。 世界を知る数学者の国語に対する思いが、強烈に伝わってくる。

    0
    投稿日: 2016.01.11
  • snasha777のアイコン
    snasha777
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    斎藤孝さんのおっしゃる通り、数学者とは思えぬ引き込まれるような文章をお書きになります。本来の日本国のあり方を考えさせられました。

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    投稿日: 2015.09.29
  • sekihiro0306のアイコン
    sekihiro0306
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    「1、2に国語、3、4がなくて5に算数、あとは10以下」という表現が何とも言えず良かった。途中の新聞への連載記事のようなものも面白かった。文章がうまい。

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    投稿日: 2015.06.07
  • yoshinoikuoのアイコン
    yoshinoikuo
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    「流れる星は生きている」を読んで、満州再訪記が収録されている本書を手に取る。 60年近くも経過すると、満州での暗い戦争の影もすっかり消え失せて、悄然としながらもあくまで明るい藤原家の旅行記であった。

    0
    投稿日: 2015.04.21
  • kazTのアイコン
    kazT
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    皇国の興廃、まさにこの国語をどうするかによる、といえます。これからなお一層、言葉を大切にしていきたいと考えます。

    0
    投稿日: 2014.06.02
  • jun55のアイコン
    jun55
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    藤原ていの「流れる星は生きている」に影響を受け「満州再訪記」が含まれる本著を購入。 気軽に読めるウイットに富んだエッセイも多いのだが、教育論、生きる上での価値観・考え方について示唆に富む発信が多く自分の中での整理にも役に立つ。 ウイット満載だが、留学していた英国仕込みなのだろうか。「満州再訪記」の最後もそのウイットで終わりその才能に感嘆。 以下引用~ ・日本の誇る「もののあわれ」は英国人には難しいと言う。英国にもこの情緒はもちろんあるが、日本人ほど鋭くないので言語化されていないらしい。 古典を読ませ、日本人として必須のこの情緒を育むことは、教育の一大目標と言ってよいほどのものである。 ・高次の情緒とは何か。それは生得的にある情緒ではなく、教育により育まれ磨かれる情緒と言ってもよい。たとえば自らの悲しみを悲しむのは原始的であるが、他人の悲しみを悲しむ、というのは高次の情緒である。 ・家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛も、ぜひ育てておかねばならない。これらは人間として基本であるばかりか、国際人になるためにも不可欠である。どれか一つでも欠けていては、国際社会で一人前とは見なされない。地球市民などという人間は世界で通用しない。 ・読書に得られる情緒の役割は、頼りない論理を補完したり、学問をするうえで需要というばかりでない。これにより人間としてのスケールが大きくなる。 人間としてのスケールは、この本能(利害得失ばかりを考える)からどれほど離れられるかでほぼ決まる。 脳の九割を利害得失で占められるのは止むを得ないとして、残りの一割の内容でスケールが決まる。 ・言語を損なわれた民族がいかに傷つくかは、琉球やアイヌを見れば明らかである。祖国とは国語であるのは、国語の中に祖国を祖国たらしめる文化、伝統、情緒などの大部分が包含されているからである。 ・祖国愛や郷土愛の涵養は戦争抑止のための有力な手立てでもある。自国の文化や伝統を心から愛し、故郷の山、谷、空、雲、光、そよ風、石ころ、土くれに至るまでを思い涙する人は、他国の人々の同じ思いをもよく理解することができる。 ・英語で愛国心にあたるものに、ナショナリズムとパトリオティズムがあるが、二つはまったく異なる。ナショナリズムとは通常、他国を押しのけてでも自国の国益を追求する姿勢である。私はこれを国益主義と表現する。 パトリオティズムの方は、祖国の文化、伝統、歴史、自然などに誇りをもち、またそれらをこよなく愛する精神である。私はこれを祖国愛と表現する。家族愛、郷土愛の延長にあるものである。 わが国では明治の頃から、この二つを愛国心という一つの言葉でくくってきた。これが不幸の始まりだった。愛国心の掛け声で列強と利権争奪に加わり、ついには破滅に至るまで狂奔したのだった。 戦争は一転し、愛国心こそ軍国主義の生みの親とあっさり捨てられた。かくしてその一部分である祖国愛も運命を共にしたのである。心棒をなくした国家が半世紀経つとどうなるか、が今日の日本である。言語がいかに決定的かを示す好例でもある。 ・父の価値観の筆頭は「卑怯を憎む」だった。 ・我が家では親子は、昨今流行の友達関係でなく、完全な上下関係だった。母が様々な日常の出来事に応じ善悪を示したのに対し、父はそれらを統合する価値観を教えた。それは上からの押しつけであった。私はいま押し付けられてよかったと思っている。押し付けられたものを自らの価値観としてとりこむにせよ、反発して新しいものを探すにせよ、あらかじめ何か価値観を与えない限り、子供は動きようがないからである。

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    投稿日: 2014.04.12
  • Masaのアイコン
    Masa
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    ■祖国 A.「個性の尊重」により子供を甘やかした結果、我慢力不足を招いた。我慢力不足は読書離れにつながり、読書離れは国民の知力崩壊を惹起し、国家を衰退させる。個性の尊重などという美辞に酔いしれている限り、この国の将来は覚束ない。 B.日本では英語の「ナショナリズム」(国益主義)、「パトリオティズム」(祖国愛)を、「愛国心」という1 つの言葉でくくってきた。その結果、愛国心の掛け声で戦争に狂奔し、戦後は一転、愛国心は軍国主義の生みの親と捨てられた。今、日本が抱える困難の大半は、祖国愛の欠如による。祖国愛と国益主義を峻別し、子供に祖国愛を育むことが国家再生の急所である。

    0
    投稿日: 2014.02.01
  • cowraのアイコン
    cowra
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    大きく分けて三章からなる一冊。 一章目は自分が読みたいと思っていた内容。 二章目は気の良い、数学者の父親としてのエッセイ。 三章目は故郷の歴史と、その地への再訪記。 「思考の大本になるのはその人の母国語。その母国語が生まれる基礎が歴史、文化であり、その人を形作る一因になっている。 母国語の違いによる考え方や生き方を比較列挙し考察する」本であろうと思い、また、それを期待して読んでみた。 自分が表面上を読んだ限りでは、昨今の二転三転する教育に対しての、単なる批判の書だと感じた。 また、一章目で書かれたことを二章目、三章目で台無しにしている印象をも受けた。 言葉を大事にする人かと思えばそういう人でもなさそうだし、何より、 一章目で力説していた情緒や奥行きが、筆者の文章からは、少なくとも自分は読み取れなかった。 唯一読んで良かったと思えたのは、 「愛国心」を一つの言葉としてではなく、 「国益主義」と「祖国愛」の二つとして捉える考え方があると知ることが出来たこと。 本職は数学者との事。 きっと数学に関する本であれば、書き方も変わってくると思う。 餅は餅屋、という言葉を考えた一冊。

    0
    投稿日: 2013.09.16
  • kazNiraのアイコン
    kazNira
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    普段は図書館で借りて本を読んでいるけど、この人は数少ない買って読む著者の1人。文章が本当に華麗。日本語で思考する重要性に共感。素読ではないけど、今回の管理職試験準備のため、過去の解答例を丸暗記したことは無駄ではなかったと思う。学問にはある程度の丸暗記も必要だと思う。最後の、「満州再訪記」も味わい深いエッセイだった。歴史書としても読み応えがあるものだと思う。

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    投稿日: 2013.07.19
  • アオ☻のアイコン
    アオ☻
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    人から借りっ放しです。買った直後に借りてそのままです。返さなきゃ。 ご自身は数学者でありながら、国語こそすべての基盤であるということを主張してゆく前半、家族や周りの人との生活を綴るエッセイとしての後半。どちらも硬すぎず柔すぎない文体で、楽しく読めます。 ところどころに出てくる息子さんたちがとても素敵です。

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    投稿日: 2013.04.24
  • kmisonouのアイコン
    kmisonou
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    「祖国とは、血でも、民族でもなく、国語である」 小学校における国語教育についての重要性をといた一冊。科学的根拠とかはなく、首をかしげるような主張もいくつかあったが、それでもこの一冊は最高。 なぜ文学や歴史に触れるのか。哲学をするのか、芸術を愛でるのか、、など深く「教養」について考えさせられた。

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    投稿日: 2013.04.19
  • ksawatariのアイコン
    ksawatari
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     国語が何故大事なのか。ということを数学者が書くからこそより説得力を持つような気がする。  日本の教育、布いては社会が疎かにしてきた国語、というものを見つめなおす本。

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    投稿日: 2013.03.17
  • 出雲一寸のアイコン
    出雲一寸
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    「祖国とは国語」5 著者 藤原正彦 出版 新潮社 p65より引用 “大学の本領は直接の応用を視野にいれない基礎研究にあり、 それこそが国家の科学技術力の基盤なのである。”  数学者である著者による、国語の大切さをとくとくと説いた一 冊。  国語教育についてから著者の生地を訪ねる旅についてまで、真 ん中に愉しいエッセイを挟んで書かれています。  上記の引用は、大学の産学協同の進み過ぎに関する一文。 目先の利益ばかり考える学問では、段々先細りしていくというこ とでしょうか。大学生活4年の内、2年近くを就職活動に使うよう な今の状況にいる人達は、この事についてどう思われているので しょうか? 職につかなければ、食べていけないというのが現実なので、難し い問題だとは思いますが。  非常に堅い内容の間に、エッセイが挟まれているので、丁度い い息抜きになっています。 ーーーーー

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    投稿日: 2013.01.02
  • shinyaの本棚のアイコン
    shinyaの本棚
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    数学者である藤原正彦氏の持論、国語こそ日本人として最も大切な勉強との主張を全面に押し出した堅い論調。いつものユーモアはわきに置いてまじめな読み物として読んでいたら、そこはやっぱりいつもの藤原氏の家族ネタなどおもしろエッセイも。最後の満州旅行記では一部歴史観としては偏りすぎている感もあるが、『流れる星は生きている』の実体験を踏まえるとそうなるのかもしれないと思いつつ、最後まで楽しく読み終えた。

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    投稿日: 2012.11.22
  • たかたかのアイコン
    たかたか
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    小学生の国語の授業を削って英語を教えるなんてバカバカしいと感じていたが、数学者の立場で驚くほどきっぱりと国語の重要性を唱える。お見事。 解説の最初の文「ああ、この人に、文部科学大臣になってもらいたい。」(齋藤孝明治大学教授)に全く同感だ。 一に国語、二に国語、三四がなくて、五に算数。これまたお見事。数学者がいうからますます説得力がある。 日本では昔から識字率が世界トップレベルだったという話をよく聞く。読み書きそろばんという方針は決して間違っていないんだろう。 なんでこんな単純なことが、文部科学省だか教育学者だかのいわゆる有識者といわれる人たちにはわからないんだろうか。 ほんとうに外国人とのコミュニケーションで苦労した経験があるんだろうか。 言葉は使いこなせれば便利には違いないが、自分自身の考えをしっかり持つこと、相手の考えや主張を受け止めて理解できることが大切でしょ。 小学生には英語より先に絶対国語だ。 英語は大学か就職したあとでも十分。

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    投稿日: 2012.08.26
  • treika1のアイコン
    treika1
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     この人の主張は、国語は日本人にとってきわめて大切なものだということ。  きわめて愛国心の強い人だが、ゆがんだナショナリズムでないところが共感できる。

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    投稿日: 2012.07.01
  • mason7のアイコン
    mason7
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    藤原正彦氏はまさに「現代に生きる武士」だ。 これほど日本のことを想い、豊かな情緒と深い知性で大局を見抜く目を持っている人は現代では稀だろう。 時には意固地な部分もあるが、そこがまたチャーミング。 彼のような人物に実際にお目にかかることは無理であっても、著作品を読めばその情熱は伝わってくる。 この本を読めば、日本人魂が再燃すること必至。 僕らの心の奥底に燻っている「祖国愛」よ、今一度!

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    投稿日: 2012.05.04
  • asukaのアイコン
    asuka
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    「小学校における教科間の重要度は、1に国語、2に国語、3、4がなくて5に算数、あとは10以下」なんだそうです。(笑) 著者は数学の専門家。 私も数学科を卒業してるので、算数の理解が国語力にあることは重々承知してますが。理科や社会などの即活きる知識だって必要だし、外国語を勉強しない人は外国への尊重が著しく低いのも実感するのに。 言ってることはまっすぐなのですが、すこーし扇情的なきらいがある。普段なら気にならないのですが、それに煽られてる人たちが多い事実を思うとちょっとげんなり。 後半の家族エッセイの方が楽しく読めます。 私の実家も親娘3人全員理系なので、科学ネタでの盛り上がりはよくあります。また、私の母が満州帰りなのでその哀愁もわかる。妙に共感してしまいます。

    0
    投稿日: 2012.03.31
  • 葉明のアイコン
    葉明
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    前半部分は講演で聞いたこととほぼ一緒。 後半は、家族模様が描かれていてあったかい。 3兄弟がすごくいい子に育っているのがすごいわ。

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    投稿日: 2011.11.19
  • shuhei2011のアイコン
    shuhei2011
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    数学者でありながら初等科国語の重要性にいち早く気付いた藤原さんの鼻の良さと、その論理展開には目を瞠るものがある。 これからの日本をよくするためには国語教育の比重を高くし、活字文化を復興させる以外に道はないと思う。 グローバリズムのなかで忘れられていく情緒の大切さに改めて気付かされ、目が覚まされる思いがした。やはり国語だ。

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    投稿日: 2011.10.29
  • おばのアイコン
    おば
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    このレビューはネタバレを含みます。

    複数の短編エッセイが収録されていますが、巻頭の国家教育絶対論が秀逸です。 国語教育を通じて論理的な思考を身に付けると同時に感受性を育み豊かな情緒を養う必要性を説いておられます また日本人であることを誇りに思い祖国愛をもつこととナショナリズムは峻別されるべきであり、前者は国際社会で活躍するにあたっても不可欠とも。 個人的に一番印象に残っているのは、本能的に自己の利害関係を優先してしまう人間の動物的な面を、情緒を養うことによっていかに超越できるかによって人間としてのスケールが決まるとの記述でした。 肝に銘じていきたいと思います。 文章は文中からの抜粋ではなく、自身の要約のため誤った解釈での記載になっている可能性があります。

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    投稿日: 2011.09.28
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    quelle-55
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    前半は国語(日本語)の重要性を明快に述べられている。分かり易く読んでいても楽しい内容です。後半は日本の近代史におよび現代の指導者(政治家)の不甲斐無さを嘆かれています。 とても共感できる本でした。

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    投稿日: 2011.07.14
  • 花鳥風月のアイコン
    花鳥風月
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    このレビューはネタバレを含みます。

    国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は論理をはぐくみ、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に描いたエッセイ集・ 小学校から英語教育を導入するというのは確かに近年流行りのスタイルではあるが、この考え方には自分自身も正直賛同しかねる部分がある。 その疑問について、藤原氏はこの本の中で見事に論破してくれている。 人間としてもっとも重要な時期に母国語ではない言語を学ぶことは、アイデンティティの形成にも大きな影響を与える。必ずしも、早い時期からの外国語教育が正しいわけではないのだという考え方をする人が識者にもいて、頼もしい気持ちになった。

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    投稿日: 2011.07.11
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    あほう
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    本当にその通りだと思う 多少「ちょっと過信しすぎでは…?」と思うところもないではないけれど、このくらいでいいと思う。

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    投稿日: 2011.02.23
  • さるぼぼキングのアイコン
    さるぼぼキング
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    これまでに読んだ別の著作と内容がかぶるので真新しさは無かったが、 しかし著者の長年にわたる主張である、教育において情緒と祖国愛の涵養を求める姿勢、そのために必要不可欠な国語、読書の大切さなどはブレることがない。 ホントにただただ頷いてしまう。

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    投稿日: 2010.12.06
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    black31
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    なかなか面白い。国語がどれだけ大事であるかという事を言いきっている。 この潔さを感じるだけでもこの本を読む価値あり。思考は言語で行う。ゆえに、そのもとになる国語を疎かにする事は思考そのもの減退を生む。なるほど。 エッセイは前半のみ。後半は満州再放記。

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    投稿日: 2010.11.09
  • ysk37のアイコン
    ysk37
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    国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は、論理を育み、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者たからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提供する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に書く「いじわるにも程がある」、出身地満州への老母との感動的な旅を描く「満州再訪記」を集録。 「国語教育絶対論」を積読中。 全体を通して納得させられるし、考えるきっかけにもなる。国語教育絶対論、英語第二公用語論、犯罪的な教科書、まずは我慢を、の章は特に。

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    投稿日: 2010.10.20
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    office4690
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     国家の品格は有名ですよね、こちらも前半の国語教育絶対論はとってもうなづける内容だった。「国語の基礎は、文法ではなく漢字である。漢字力が低いと、読書に難渋することになる。自然に本から遠のくことになる」読書は教養を獲得するための唯一の手段である。それはIT時代の現在でも変らない。  幼少からの英語教育で原文を難なく読みこなせるのであれば問題はないが、それは無理。ならば教養を得るためには、日本語で書かれた本をたくさん読むしかない。本を読むには我慢が必要である、逆をいうと我慢を幼少より覚える手段としての読書というのもありなのかも。

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    投稿日: 2010.07.21
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    039atnup
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    「国家の品格」、「若き数学者のアメリカ」などの著者。 本著では、「祖国とは国語」をテーマに、小学生の段階での国語教育絶対論を熱く語っている。 これを数学者であり、英語も達者な著者が主張するだけに説得力がある。 自分が言っても全く無いけど・・・。 他にはユーモアたっぷりのエッセイを集めた「いじわるにも程がある」、著者の生地である満州を訪ねた「満州再訪記」を収録。 ほんとにこの人の文章は読みやすく、全く新しい視点で読むことが出来る。おすすめです。

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    投稿日: 2010.07.16
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    おしゃべりライターこあら
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    国語と日本人のアイデンティティーを直接結びつけて論じている点に感動しました。 小学生の国語教育に、もっともっと力を注ぐべきという考えには、深く納得しました。

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    投稿日: 2010.06.30
  • mdndのアイコン
    mdnd
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    20100509 「若き数学者のアメリカ」のフレッシュさは見る影もないけど、数学者が訴える国語教育の重要性というのが面白い。後半のエッセイ集は正直微妙。

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    投稿日: 2010.06.13
  • 情報科教員MTのアイコン
    情報科教員MT
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    情報科教員MTのBlog(『祖国とは国語』を読了!!) https://willpwr.blog.jp/archives/50570322.html

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    投稿日: 2010.05.23
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    nakaizawa
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    (2006.04.05読了)(2006.03.24購入) 数学の先生なのに、国語論である。国語がきっちりできていなければ、何もできないと考えている。数学をやるにしても、特に文章題になると、国語力が無ければ解きようがないということです。なかには、国語力は無いけど、人に問題の意味を説明してもらえば、どんな難しい問題でも解いてしまうという人も無いわけではないけれど、これでは、いつも説明員が必要ということで、実用的ではない。 「論」としては、「国家の品格」と重なる部分も多いので、「国家の品格」を読んだ人は読む必要が無いかもしれない。ただ、「満州再訪記」があるので、新田次郎・藤原てい夫婦と藤原正彦に興味のある方には、欠かせない部分もあります。 藤原さんの妹さんの書いた本もあります。これを書きながら思い出したので、ついでにメモしておきます。まだ購入していないし、読んでもいません。 「父への恋文-新田次郎の娘に生まれて」藤原咲子(著)、山と溪谷社 「母への詫び状-新田次郎、藤原ていの娘に生まれて」藤原咲子(著)、山と渓谷社 ●読書(17頁) 読書は過去も現在もこれからも、深い知識、なかんずく教養を獲得するためのほとんど唯一の手段である。読書は教養の土台だが、教養は大局観の土台である。文学、芸術、歴史、思想、科学といった、実用に役立たぬ教養なくして、健全な大局観を持つのは至難である。 ●論理(20頁) 現実世界の「論理」とは、普遍性のない前提から出発し、灰色の道をたどる、というきわめて頼りないものである。そこでは思考の正当性より説得力のある表現が重要である。すなわち、「論理」を育てるには、数学より筋道を立てて表現する技術の修得が大切ということになる。 ●情緒(22頁) 他人の悲しみを悲しむ。他人の不幸に対する感受性。懐かしさ。これらの情緒を養うのは、文学である。 ●祖国とは国語(29頁) 祖国とは血ではない。どの民族も混じり合っていて、純粋な血などというものは存在しない。祖国とは国土でもない。祖国とは国語である。ユダヤ民族は、ヘブライ語を失わなかったから、再び建国することができた。 ●国語力低下(34頁) 国語力低下は、知的活動能力の低下、論理的思考力の低下、情緒の低下、祖国愛の低下、を同時に引き起こしている。この四つの低下は確実に国を滅ぼす。 ●英語力(48頁) 日本人の英語力はさほど低くない。TOEFLにおいてアジア21カ国中18位、という結果がよく持ち出されるが、ベストスリーのフィリピン、インド、スリランカはすべて米英の旧植民地であり英語を公用語としている。その上、一位フィリピン、三位スリランカ、五位ネパール、六位インドネシアの合計受験者数が約300名に比べ、日本は一国で10万を超えている。同列に比較できるデータではない。 著者 藤原 正彦 1943年 旧満州新京生まれ 故・新田次郎と藤原ていの次男 東京大学理学部数学科大学院修士課程修了 1978年 「若き数学者のアメリカ」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞 お茶の水女子大学理学部教授 ☆藤原正彦さんの本(既読) 「若き数学者のアメリカ」新潮社、1977.11.20 「数学者の言葉では」新潮社、1981.05.20 「父の旅 私の旅」新潮社、1987.07.05 「遥かなるケンブリッジ」新潮社、1991.10.15 「父の威厳」講談社、1994.06.27 「心は孤独な数学者」藤原正彦著、新潮社、1997.10.30 「天才の栄光と挫折」NHK人間講座、2001.08.01 「世にも美しい数学入門」小川洋子共著、ちくまプリマー新書、2005.04.10 「国家の品格」藤原正彦著、新潮新書、2005.11.20

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    投稿日: 2010.02.11
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    アヤ
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    数学者藤原氏のぶっちゃけエッセイ。 ひとりよがりの考え方を、堂々とひとりよがりのものとして書いているところが割りと好き。 日本語を大事に、というのは、結局、言語を大事に、という意味だと思う。 著者が英語に対して色々言うのは、日本の英語教育に対していっているんじゃないのかな? 日本語でも英語でも、他の外国語でも、語彙は多ければ多いほど良いと思う。

    0
    投稿日: 2010.02.04
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    月居遥
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    あの「国家の品格」の方の論文「国語教育絶対論」・エッセイ「いじわるにも程がある」・旅行記(+歴史)「満州再訪記」と何だか何でもありな1冊。 しかもこの3作は全く脈略がないわけでなく、順番に読んでいくと後の作品がより面白いという美味しい内容。 特に「国語~」の少しお硬い文章のあとに「いじわるにも~」の爆笑文章はかなり楽しかったです。 「国語~」では教育には「国語」のとりわけ「読む」ことにより「情緒」をはぐくむことが必要、とあります。 納得ですね。外国語も「習うより慣れろ」というのは相手の事を理解しようとするというこの「情緒」から入っていくからでしょう。 そういう意味では国語が減って英語が増えるって矛盾してる気もします。 国語も満足に出来ないうちは英語も何も、ですものね。 そして昔の歌や小説などには「情緒」が溢れている(文語は口語に比べ表現が豊かでかつストレートな表現が可能、ともあります)のでもっと古典などを「読む」ことが大切ではないか、とあります。 これと妙にリンクしていたのが「いじわるにも~」の 「私が車で戦前の歌や文部省唱歌のCDを聴こうとすると家族が皆で抗議する。嘆かわしい。」 作者様の理想とはかけ離れている皮肉な現実(苦笑)がコミカルに伝わってきて大受けしました。 ちなみにそもそも藤原先生は「数学者」であるというのが面白いですよね。 一見情緒とは無縁に思える数学の専門家の視点から見る国語の重要性。 意外と数学(算数)にも「情緒」(らしきもの)が見え隠れしているのにもビックリ。 円周率が3とか、台形の面積出しが難しいなんて、数学が大の苦手だった私にも何が難しいのか解らないものなのです。 むしろ↑で出る矛盾を先生はどう説明するか困るんでないでしょうか。 ただし1箇所だけ大きく反発したのは 「懇切丁寧なうえわき道にも踏み込む分厚い教科書があってもいい」の一節。 分厚いのはダメです。重たいし読みにくいのでちゃんと持って帰らんから。 薄いのに分冊して下さい(笑) 最後の「満州再訪記」は今中国がどうしてあんなにも日本に敵対心を抱いているかが読み取れると思います。 しかもそんな時代があったのは先生の生まれた頃であり、手の届きそうな昔なことにも驚かされますよね。

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    投稿日: 2009.10.29
  • riodejaneiroのアイコン
    riodejaneiro
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    藤原正彦氏が最初の著書より提唱していた情緒について、国語について、祖国愛について語っている。強い口調でわかりやすく主張していて面白い。こうして彼の著書を1冊1冊読んでいくと、根底にある核の部分が全くぶれていない事がよく分かる気がする。これからもバシバシ主張してもらいたいと思う。最後に乗っている満州再訪記も国語とは関係ないけど、おもしろかった。

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    投稿日: 2009.10.05
  • H.Satoのアイコン
    H.Sato
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    祖国とは国語である。ユダヤ民族は2000年以上も流浪しながらヘブライ語を失わなかったから20世紀になって再び建国できた。ユダヤ人の国語に対する覚悟に圧倒される。 我慢力扶桑は読書離れの原因でもある。読書は我慢を要する。読書離れは国民の知力崩壊を惹起し、国家の確実な衰退を意味する。 今こそ祖国愛と思う人は国防と食料だけは他国との協力態勢は当然としても、自ら確保するのが独立国家だという考えを持つべき。 マレーシアまでのフライトで読了。

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    投稿日: 2009.08.04
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    ケイ庫
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    藤原さんのエッセイが面白い。家族との話しにぷぷっ!って笑ってしまう。 家族の中での子供の育て方がとても勉強になります。 (って実践の場がまだないけど)

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    投稿日: 2009.03.21
  • ふぉれすとのアイコン
    ふぉれすと
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    彼の国語教育重視論を読んでみたくて、買った。 拾いものというとバチが当たるが、「満州再訪記」は稀に見る傑作だった。歴史的事実を延々と述べたところは冗長というか余計という気がしないでもないが、藤原家(父は新田次郎、母は藤原てい)の過去といま、満州の過去といまがくっきりと、かつ味わい深く描かれている。おすすめだ。 さて、本題の国語教育重視論。数学者が国語教育の大切さを説くのは一見逆説的だが、それには彼の研究者人生、留学経験を通じての強い確信が背景にある。ほぼ全ての文が断言調で、論旨に賛成できない人には嫌悪感を催させるかもしれない。けれど教育論、特にゆとり教育反対論としてはかなり骨太なものと思う。

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    投稿日: 2008.11.29
  • tomtomtomのアイコン
    tomtomtom
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    日本人たるもの, そのアイデンティティーも, その感情も, やはり,根底には日本語にあると思う。

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    投稿日: 2008.09.01
  • moronojapaoのアイコン
    moronojapao
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    国家の品格の藤原先生の著作。 英語を身につける前に国語を身につけることの重要性を体験を通してわかりやすく説いています。 国語がすべての思考の源であることを再確認しました。 説得力があります。

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    投稿日: 2008.08.11
  • 何苦礎魂のアイコン
    何苦礎魂
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    ベストセラー「国家の品格」の藤原正彦氏の著作。 1.家族エッセイ集「いじわるにも程がある」 2.国語こそすべての知的活動の基礎だと説く「国語教育絶対論」 3.紀行文「満州再訪記」 の3部構成。 2は「国家の品格」と重複。

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    投稿日: 2007.12.27
  • すこべえのアイコン
    すこべえ
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    店頭でビビビッッときて買った本で、なかなか読み応えがありましたが、かのベストセラー『国家の品格』の著者であることを知ったのは、読み終わったずっとあと・・。先入観を持たずに読めてよかったかもしれません。今みたいに、政治に「美しい」とか「品格」とかいう言葉を持ち出される前で、なお良かった・・・。

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    投稿日: 2007.02.10
  • 剣茸のアイコン
    剣茸
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    国の教育方針が右往左往する昨今だが、結局のところ、教えを享受するのは子供たちである。先人が体系化した学問と宇宙の神秘を学べることは、人間に与えられた特権である。真っ白な子供たちに、学校教育は限られた時間の中で、何を・どのように教えていくべきなのか・・。実に興味深い課題である。また一方で、自分たちはなぜ各々の教科を勉強するのか?する必要があるのか?学問を吸収させると同時に、このような根本的な問いを子供に投げかけ、考えさせることも意味のあることと思う。本と出会う習慣は、物事の本質を思考する上での一助となるに違いない。ひいては生きていく上での大きな糧となるだろう。読書による教養・見識を土台としたうえで、知識・技術を使いこなしていく。豊かな国家の必須要件は、このような人材を育成することではなかろうか。

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    投稿日: 2007.01.21
  • manikayoのアイコン
    manikayo
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    国語が大切だっていうことを、英語の話せるヨーロッパの人の方がよくわかってる。 もっと日本語を愛そうと思った。

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    投稿日: 2007.01.18
  • laninaのアイコン
    lanina
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    2006/11/14読了。 タイトルの「祖国とは国語」〜”国語の中に祖国を祖国たらしめる文化、伝統、情緒などの大部分が包含されている”〜というのは其の通りだと思った。自分でも日本語への感性をもっと高める必要があると思った。 家族に関するエッセイや、満州再訪期も趣きがあってよかった。

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    投稿日: 2006.11.14
  • 里紗のアイコン
    里紗
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    国語は本当に重要なものだと思わされた。やっぱり、人は言葉で気持ちを表さなくてはならない時がたくさんある。だから、生きる上でおろそかにしてはならないのだ。でも、その国語力を鍛えるための国語の授業というのはとても重要だけれども、なかなか生徒の興味・関心をひきだのは難しい。どんな授業をこれからの日本の学校でおこなっていけばいいのか問題は山積みだと思った。

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    投稿日: 2006.08.29
  • satokoのアイコン
    satoko
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    日本人という事をワザとらしいまでに一度だけでも意識しないと、日本人は自分の価値に気づきにくい。と思う。

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    投稿日: 2006.08.22
  • mic_min1021のアイコン
    mic_min1021
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    あらためて、国語は大切だと実感。 日本の教育現場の現状や、 ゆとり教育の是非について考えさせられた本。

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    投稿日: 2006.06.23
  • やーまんのアイコン
    やーまん
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    ・・・以前かいた「国家の品格」で有名な藤原正彦さんの作品。 国語(日本人にとっての国語、英米人にとっての英語)とは、いかに大事な教科であるかを 数学者が語ってみせる。 うーむ、管理人も「晴耕雨読」しなきゃー、と思った一冊です。 「満州再訪記」は、終戦間際の関東軍が何を行い、何を行わなかったかを 筆者の語り口でのべていて、秀逸でした。

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    投稿日: 2006.06.22
  • hayachinのアイコン
    hayachin
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    国語教育絶対論は現代日本の教育における問題を浮き彫りにしており、読んでいてうんうんとうなずいてしまう内容。本当に著者に文部科学大臣になってもらいたくなる。 また同所収の満州再訪記もおもしろい。近代帝国主義下における満州の歴史が簡潔にまとめられており、理解しやすい。

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    投稿日: 2006.05.10
  • ぷりっぷのアイコン
    ぷりっぷ
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    齋藤孝の「ああ,この人に文部科学大臣になってもらいたい」との帯がまず目を引いた.国家の品格が大ベストセラーとなっているが,随所に彼の思想が見て取れる一冊だ.祖国とは国語は,前半62ページであるが,まさに彼の意見はこの表現に集約されるだろう.「小学校における教科間の重要度は,一に国語,二に国語,三,四がなくて,五に算数,あとは十以下なのである.」  また,著者は早期の英語教育にも大変否定的であるが,これにはまったく賛同する.

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    投稿日: 2006.05.05
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    Will B.
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    高次な情緒を得るためには国語力は必須である、という鋭い指摘。小学校教育では1に国語、2に国語、3、4が無くて5に算数など大胆なコメントが続く抜本的教育改革提案の書。国語教育の建て直し無しに日本の再興はありえない!

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    投稿日: 2006.04.17
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    みっさ
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    学力低下や学級崩壊、その他様々な教育の場で起きている問題は国語が軽視されていることが原因ではないか? 多くの問題を抱える日本の将来を『国語』という観点から見つめる1冊。

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    投稿日: 2006.04.11
  • むとうのアイコン
    むとう
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    昔から大好きだったのに、すっかり時の人になってしまって、ちょっと複雑なんだけど、とにかく藤原正彦のエッセイ(講談社の本の文庫化)。3分の1は「国家の品格」と同じことが書いてあって、3分の1は家族が登場する普通のエッセイで(なので、テニス部時代の友人である次郎もちょこっと登場する。でも、長男太郎&三男三郎と比べると微妙にキャラがずれてる。彦次郎を知っているだけにウケる)、最後の3分の1は藤原氏の生まれ故郷の満州再訪記。同時に売ったら売れるだろうってのは分かるけど、「国家の品格」を読んだあとだと内容が繰り返しで損した気になる。でも、藤原正彦の持ち味である3種類の文章が一冊まとまっているという点で、ある意味藤原正彦入門みたいなつくりになっているかも。個人的にはサッパリと真面目に書く旅行記や、「国家の品格」のような熱さよりも、落ち着いたユーモアのあるエッセイが一番好きなんだけどなあ。でも、俺も帯で齋藤孝が言っているように「ああ、この人に文部科学大臣になってもらいたい」と思うし、「国家の品格」で語っているように、論理は万能ではなく、論理以前のものがあるというのはまさに同感で、皆に知って欲しいことでもある。最後にどうでもいいけど、僕の人生哲学を語ると、僕は「後ろめたさ」さえあれば人間はいいと思っていて、ようするに殺人を犯すにしろ、それに見合った後ろめたさが持てるならばやってもいい(と言いながら、本当に見合った後ろめたさを持っている場合は、それが重すぎて実際に殺人 はできない)という考えを持っていて、言い方は違いこそすれ、それはこの人が言っている惻隠と同じ。読書と国語がひたすら大事だっていう考えも一緒だし、俺の思想のエッセンスはほとんどここにつまっている。僕は大学で教育社会学を2年間学んできたことになっているわけで、そして統計など駆使しつつ論理的であることを徹底した社会学を学習してきたが、悪いけどそんなものはクソくらえで、俺は論理を否定するし、俺の教育道もここにある。個性をのばす教育も、早期英語教育も、ゆとり教育も全部クソくらえである。欧米の新自由主義なんかやめて、日本は日本でいいのである。そして、自殺だろうといじめだろうと、何で?とかじゃなくて、ダメなものはダメなのである。以上また熱くなっちゃった。藤原正彦を知らなかった人は「国家の品格」より、こっちのほうがいいかも。中盤の普通なエッセイに惚れた人は、昔のエッセイを読みましょう。古いけど、どれも名作です。長くなっちゃった。

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    投稿日: 2006.02.21
  • 亀のアイコン
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    「美しいか美しくないか」その判断基準は、慌しい暮らしの中ではえてして曇りがちだ。やっぱり生きてくには、お金もいるし。何か辿りつきたい場所を持ったとき、人は純粋に楽しむ心を失いがちだ。大人になってもずっと、キレイなものだけを追ってられたらいいのに。

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    投稿日: 2006.02.14