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赤と黒(下)(新潮文庫)
赤と黒(下)(新潮文庫)
スタンダール、小林正/新潮社
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総合評価

60件)
4.0
17
18
14
1
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

     第三階級と呼ばれる貧しい家庭で育ちながらも気高い心と強い自尊心、そして熱い情熱を身にひそめたジュリヤンが或る上流階級の夫人との恋愛と、貴族の令嬢との恋愛を展開していくが、主人公や二人のヒロイン、周りの人達の深い心情を描いている点に引き込まれる作品。  実在した事件を基に社会への風刺と、恋愛に陥った人の情熱が熱く語られている。特に夫のために奔走する令嬢の姿が慎ましい。

    0
    投稿日: 2025.10.10
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    学生の頃に『パルムの僧院』を読んで以来。 (友人から「退屈だったけど読んでみる?」と言われて借りたけど、退屈だった) 退屈ではないけど、主人公達にはやや共感しにくかった。実話が元との由。

    0
    投稿日: 2025.04.13
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    スタンダール(1783-1842) この作品では19世紀前半から中頃が舞台らしい。ナポレオンも下級貴族から自分の才覚で皇帝まで成り上がったが、ジュリアンも恋愛を手段として階級上昇を狙うという感じ。本当、自分が惚れた女性のことは生涯大好きなんだなぁと。恋多きイメージのフランス人男性が意外とちゃんと一途だった。

    0
    投稿日: 2025.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    キショいほどの記憶力を発揮するジュリヤンは貴族のオッサンにその能力を買われ、パリにくる。仕事上、とあるサロンに通うようになるのだが、メッチャ美人の超ド級ツンデレ侯爵令嬢が居た! 前半はその心理的攻防を克明かつ執拗に描いていく。 確かに恋愛小説と言えるが、ハーレクイン的な甘く感傷を揺さぶられることはほぼない。描き方はクールかつドライである。間違っても湖上の妖精だとか、そういった類いのモノは出現しない。 幕切れは新約聖書に出てくるサロメや、現代で言うならば School daysを想起させる。なかなかエグい展開となるが、これも愛の成せるわざである。 レーナル夫人は旦那に始末されたのでは?と予想している。

    1
    投稿日: 2023.09.13
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     いやあ、知らなかったなあ。  19世紀パリでは、男がいつまでも変わらぬまごころを誓い、深く愛していると相手に思わせれば思わせるほど、相手の女性の心では男を下げることになったんだって。毎朝恋人を失いそうだと思うのでなければ、パリの女性は恋人を愛することが出来なかったんだって。  めんどくさー。よっぽど退屈してたんだね。 小説の後にあった、D・グルフォット・パペラさんという人による、この小説の書評に分かりやすく書いてあったりよ。ところでパペラさんて誰?ええ?フランスではスタンダールという名前のイタリアの住民?

    57
    投稿日: 2023.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    恋愛と社会階級のふたつの側面からそれぞれに注目しながら読むと楽しめるかもしれません。なんなら2回読むのもありでしょう。 筆者は「恋愛論」なんて本も書いている方であるため、解説等にもあるように恋愛を分析した描写はかなりひきつけられます。 社会階級に関しては、主人公がよく喋るためにそこまで理解し難いものでもなく、対立構造は難なく読みとけます。当時の雰囲気が伝わってくるため、世界観に入り込みやすいと思います。 私は上下巻で1ヶ月ほど時間をかけて読みました。 個人的にですが、もっと一気に読み進めればまた違った感想になったのかなと思います。 またいつか読みたいものです…。

    0
    投稿日: 2022.10.07
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    国語便覧に載るような有名な小説なので、読んでおこうと思い手にとった。平たく言うと材木屋のせがれのジュリヤン・ソレルが貴族社会で成り上がろうとして、挫折する話である。読み終わってから知ったが、実話に着想を得ているという。 赤は軍服、黒は僧服を表している(諸説あり)。本当は副題に「1830年代記」と付されているらしいが、新潮文庫版にはなかった。原書は1830年刊行なので、「1830年記では」という疑問が頭をよぎった。 文学史的には主観的リアリズム小説の先駆であり、心理小説、社会小説の傑作とされている。バルザックと比較されることも多いようだが、文学史に明るくないのでよくわからない。王政復古時代の雰囲気をよく描き出しているという定評もある。 ジュリヤン・ソレルはラスコーリニコフと並んで有名な主人公だと思う。どちらも象徴的なキャラクターである。人によって占める位置は違っても、誰の脳にもジュリヤンやラスコーリニコフらしき何かがもともと住み着いていると思っている。 『赤と黒』を読むと、自分の心中にぼんやりと渦巻くだけだった反抗心や自負心にジュリヤンと名前が付けられ、はっきりとした形を作る。「こちとら家のローンや年金問題で汲々としているというのに、代々資産家の連中は金が生んだ金で十分生活ができ、生活費の算段に頭を悩ますことがないのだからな!能力も性格もよくなるというものだ!やりきれんわい!」と騒ぎ出す。反社会性の強いラスコーリニコフと違って、ジュリヤンはルサンチマンを溜め込んで身を亡ぼすこともない地に足の着いた野心家である。彼を脳内に招けば、嫉妬や見栄に駆られて、自らの価値を下げるような真似もしなくなる気がする。 それをもって人におすすめできるかといえば、そうでもないけど、私は読んでよかったと思った。

    3
    投稿日: 2022.08.23
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    深く考えずタイトルで選んだ小説でしたが、読んでいくうちにどんどん引き込まれ、しまいには深く考えさせられる内容でした。特に貴族と平民の描写、自尊心の高い主人公と貴族の女性や婦人との恋愛模様の描写の細かさに感銘を受けました。重要そうに思えるところはあっさり、細かい些細な部分は?重厚に描かれているところも、新鮮に感じました。

    0
    投稿日: 2022.07.06
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    強烈なコンプレックスに支えられた野心が、ジュリアン・ソレルを高みへ押し上げると同時に、死の淵にまで追いやる。成功に指がかかった矢先の転落、敬愛するナポレオンの様に長く続かない一瞬の輝きが儚い。

    0
    投稿日: 2022.03.08
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    フランス文学は恋愛、心理、自己嫌悪、嫉妬等生々しい感情がストレートに表れると感じた。共和主義と自由主義との階級対立という背景が掴めないと分かりにくい。レーナル婦人、ジュリヤンソレル、アマンダ、マチルダ嬢、クロワズノフ伯爵、舞踏会、自殺等人間の心理的描写がよく分かった。

    0
    投稿日: 2021.12.31
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    大学生の頃読んだ時より恋愛の駆け引きがよく理解できますた。 昔の小説なのでどうしても中盤だれるが、節々に現れるエクストリームな感情描写にグッとくるor爆笑必至で、面白く読める。 後半ジュリヤンが死に向き合うシーンでは、それまで仮にジュリヤンの野心を他人事のように思っていた読者も自らの生き様とジュリヤンのそれを比べずにはいられないのではなかろうか。

    0
    投稿日: 2021.11.23
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    ナポレオン失脚後の復古王政時代のフランスを、下層階級の生まれでありナポレオン信者である主人公ジュリアンの視点から鮮明に描いた作品。 正直、多少なりともこの時代のフランスについて知識を持っていないと何が何やらさっぱりだと思われる。 実際読んでいていまいち背景が掴めない部分もあったので、ざっくりとだが勉強し直したりもした。 言ってしまえば、田舎から都会へと立身出世を夢見て上京した野心溢れる青年が、将来の成功と眼前の色恋に揺れ人生を狂わされていく物語。 個人的に恋愛要素はあまり必要としていないのでいささか強く感じられたが、当時の貴族や聖職者、ブルジョワジーや労働者などの思想や価値観などがありありと描かれていて、後の七月革命へと続く暗雲とした雰囲気が常に感じられる良い作品だった。

    0
    投稿日: 2020.12.29
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    これがなぜ教科書にも出てくるような名作なのか?が、最後の解説を読んでわかった。 当時のフランスの時代背景とか政治とか文化とか、その辺りをわかっていると何倍も楽しめるんだろうな。 実際にあった事件を題材にしてるらしく、このような現実を描き、等身大の人物が主人公の小説、というのが画期的だったために、文学的にも価値が高いのだとか。 なるほど。

    2
    投稿日: 2020.05.20
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    読書会のプレゼント企画でいただいた一冊。学生時代以来、約20年ぶりの再読になる。物語の大半はフランスの貴族階級における恋の駆け引きの描写に費やされる。ただそれも興味深いシーンが多くて、引き込まれるものがあった。ラストはあっけない印象が残るも、それが返ってよかったように思う。末尾にある訳者解説から、モデルとなる実際の事件があることがわかるけれども、それを知らなくとも十分楽しめる。

    0
    投稿日: 2019.08.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻に続き「どうやってこの話に収拾つけるんだろう」と読んでて気が気じゃなかった。 最後ジュリヤンが地下牢でレナール夫人と再会し死を運命と受け入れる場面、そこに至る心理描写は圧巻。マチルドがジュリヤンの首を持って弔う場面が好き。マチルドはレディだけど、もののふでもある。

    0
    投稿日: 2019.03.14
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    前編のレーナル夫人との関係のあとに、 後編ではマルチド・ド・ラ・モールとつきあいだすが、 マルチドとの関係がようやくうまくいきそうな調子になってきたところに、 別のルートから、レーナル夫人の手紙が二人を危機におとし、 激昂した主人公ジュリアンはレーナル夫人をピストルで撃ってしまう。 ジュリアンは捕まったが、レーナル夫人は死なず、 逆にジュリアンと仲を深めていくー・・ 最後に、綺麗に終わりたかったのか、死ぬ描写がないのはちょっと驚いた。 ラ・モール嬢を誘惑するために、わざとつれなくするという恋愛論が、当時は新鮮だったとか。

    0
    投稿日: 2018.12.01
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    1830年7月革命ごろのパリと地方都市を舞台にした恋愛小説 よく見聞きするフランス産小説群でも初期のもので 『ボヴァリー夫人』のような自覚的に時代を超えようとするのに対し 色濃く作者の生きる景色に寝ているので 現代世界異境の地では意味の取れないところも多い作品 それでも当時の恋愛を題材に作者から見えている枠を存分にひろげている様が 荒粗しく面白い 普遍な女性像や人間の感情という捉え方でなく 作者の位置と歪みが登場人物を極端に描いていても 達すれば通ずることを感じさせる

    0
    投稿日: 2018.10.25
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    才と野心、自尊心に溢れた百姓出の若者の最後。 最後の章、ジュリアン青年を、レーナル夫人やマチルドが思うようにいとおしく思ったよ。

    0
    投稿日: 2017.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻までの流れで我が身を滅ぼしそうな雰囲気を存分に出していた主人公のジュリアン。やはりというかなんというか、予想通りに転落人生を送ることになります。こういう悲劇的な展開はフランス文学としてはある種のお家芸という印象です。 序盤から終盤まで、とにかく一貫して各登場人物が自分の気持ちを語り尽くすというフランス文学王道の展開で、一度に読み進めるのは結構キツいです。それぞれが命を懸けてぶつけてくる想いを受け止めるには、読み手側にもそれなりの心構えが必要です。 主人公はジュリアンなのですが、この作品はジュリアンを取り巻く二人の女性、ラモール嬢とレーナル夫人の心の揺らぎとジュリアンを巡る確執なくしては成立しません。その意味で、三人の主人公が舞台を転換させながら進む戯曲であるとも言えるでしょう。 各登場人物がなぜ、このような行動を取るのか?なぜ、このような発言をするのか?なぜ、このような愛憎入り混じる人間関係になってしまうのか? このあたりは、21世紀の日本に生きる身としては理解しがたい部分があります。この作品を読んで、即「傑作だ」という感想も持てません。ただ、ナポレオンが生きた時代のフランスでは、こうした人生観を持ち、愛と恨みとの間で揺れながら生きた人たちがいたのだ、ということを知ることができるという意味で、この小説は今の時代に独特の存在感をもって生き残っているのだと思います。 読みやすいとは言いませんが、当時の愛憎を知るための教養として、読んでみるのもいいかもしれません。

    0
    投稿日: 2017.11.12
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    レーナル夫人との不貞関係は限界を迎え ジュリヤン・ソレルもいよいよ身体ひとつで社会の荒波に飛び込んでいく 神学校をドロップアウトして侯爵家の秘書になり 社交界デビューを果たした彼は 貴族社会の、とりすまして陰険な暗黙のしきたりにも順応していった ジュリヤンは頑張っていた 父親のように導きをくれる人々との出会いがあり 自由主義者たちとのつながりが生まれ さんざん虐待された実の父親にも孝行をくれてやった 最後はナポレオン同様の軍人になり、ますます躍進する人生だった しかし 昔の女の嫉妬?が、彼の足を引っ張った すべてはジュリヤンの、世界に対する憎しみから始まった 生きることに不満を抱えていた女たちにとって ジュリヤンの存在は希望の扉を開く鍵に見えていたのだと思う その扉とは、結局のところギロチンにほかならなかったが

    0
    投稿日: 2017.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんかジュリアンはサイコパスで、マチルドは予定調和のないツンデレなんだけど、みんなチャーミングだなと思った。

    0
    投稿日: 2017.03.12
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    大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心がれ異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいたその批評が、著者スタンダールの執筆意図をしっかりと言い当てています。  フランス革命の前後において、全く変わってしまったフランスの時代的情緒を描いた作品だということです。私個人としてはフランス革命を手放しで称賛することはできない立場ですから、大革命を前後したフランスの時代を描写した本作は、とても大きな印象を私に残しました。  もう一度じっくり読み返してみたいです。人間描写の巧みといいましょうか、それも含めて時代描写の傑作であると思います。 15.07.23 - 15.10.18

    0
    投稿日: 2015.10.19
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    スタンダール『赤と黒』新潮文庫 『赤と黒』は、イエズス会と亡命貴族が作り上げた社会に対する痛烈な諷刺の書である。 (解説より) ヘッセの『車輪の下』やバルザックの『ゴリオ爺さん』、ナポレオンに傾倒しているところは『罪と罰』のラスコーリニコフを思い出しました。

    0
    投稿日: 2015.06.06
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    上巻を読み終えてからだいぶ日が空いてしまったけれども漸く下巻も読了。読んでみるまではどんな話なのか全く知らないでいたけれど、これは結局は野心の塊の美貌の貧乏青年ジュリヤンの悲劇の物語。ジュリヤンが投獄されてからが一番好きかも知れない。『赤と黒』は完全なフィクションじゃなくて、当時のフランス社会で実際に起こった事件をモチーフにしているという。当時のフランス情勢に詳しければ楽しいんだろうな。個人的にはタイトルの解釈が非常に興味深い。2012/492

    0
    投稿日: 2015.04.16
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    ピカレスク青春恋愛成り上がり社会派小説。 盛りだくさんで、古典とされているが読みやすく、抑圧された時代背景も鑑みて読めば深みも感じられる。 さすが世界の十大小説。

    0
    投稿日: 2015.02.24
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    フランスの歴史などの予備知識はないのですが、大学の先生がおすすめしていたので読みました。 社会風刺的な描写についてはほぼ理解できていないのですが、ジュリヤンの何より名誉を重んじる生き方はいいなと思いました。 先生がおすすめしてたのはそういう点なのかな…?

    0
    投稿日: 2015.02.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ー」 名誉を重んじたジュリアン。名誉なんてくだらないと考える人もいるかもしれない。しかし、彼にとっては名誉を得、守ることこそが大事なのであった。 ジュリアンを好きになることで自分が他よりも高貴であると考えたマチルド。ジュリアンのために奔走する姿をあえて他人に見せつけることで、自分が英雄的であると表現した。 ジュリアンの犯した罪は、レーナル夫人に対して銃を撃ったことだ。しかし、裁判にかけられている本当の罪は、卑しい階級から抜け出し社交界に出られるまでに出世したことだ。故に、死刑。 彼は穏やかにギロチンへ向かった。 名誉ある生き方をせねば、と深く感動した。自分の名誉を傷つけられて場合には、なんとしてでも挽回しなければならない、と。

    0
    投稿日: 2014.12.21
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    赤と黒。読み終わるのになかなか苦労しましたが、面白くないことはないものの、洋書に最近触れていなくて外国人の名前がわからなくなるのが辛いです。笑。 恋愛まじりですが、フランス革命の政治が主に語られているようで、そのなかでどう恋をしいい階級についていくか。そんか恋の駆け引きと政治の駆け引きがあちらこちらで行われる一冊。 ただ、誰が誰なのかさっぱりわからなくなるあたり問題だよね。笑。 主人公とかその近しい人はわかるんだけど、他の人はさっぱり。 うーん。フランス革命時の貴族との格差などはなかなか惨く描かれております(O_O)。 二冊はきついな。

    0
    投稿日: 2014.11.18
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    解説を読んでイエズス会や亡命貴族連中への風刺として書かれたものだと理解しましたが、個人的な実感としては、社会風刺よりも恋愛小説のような印象が強いと思いました。 レーナル夫人とマチルド、対極に位置する二人の女性に求愛するジュリヤンの描写は、自然の恋と頭脳による駆け引きの恋を鮮明に対置させており、ここにこの時代のフランスに充満した空気を読み取ることができました。 実在の事件をモデルにして描いたスタンダールの写実的な人間・社会描写は当代のフランスを知る意味で非常に有意義なものでした。

    0
    投稿日: 2014.08.14
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    現代的に見てこの恋愛論に共感できるかはともかくとして、ジュリアンがその才能を発揮してのし上がっていくある種中二病的な面白さは現代に通じるものがあると思います。 個人的には7月革命前夜のフランスの空気感に触れることができたのが一番興味深かったかも。 山川教科書で得た高校世界史レベルの知識だけじゃちょっと太刀打ちできなかったのでもう少し勉強したいなと思いました。

    0
    投稿日: 2014.05.25
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    なにしろ、中身のしっかりした小説であったと言えるだろう。 時代や立場を反映した人々の内面描写が素晴らしくて、その瞬間の風俗、思想をつまびらかにするものであると同時に、それゆえに、掛け値無しの心の入った恋愛小説にもなっている。 小説的な作られたドラマの妙というよりはむしろ小説よりも奇たりえる現実の面白さ、時代の空気によって当然引き起こされるような天然のドラマの興奮、と言ったものが味わえる。良かった。

    0
    投稿日: 2013.11.16
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    赤と黒 軍服と僧衣を示す。 これが何を表すのか。 自尊心が高く、上流階級への野心に燃えるジュリヤン。 物語の中で2人の女性が登場する。 下剋上の政治小説ではなく、純恋愛小説といえるだろう。

    0
    投稿日: 2013.11.10
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    ちょい昔の欧米文学の翻訳にありがちな読みにくさあり。めげずに読めばなかなか。特に下巻の中盤あたりから面白くなる。名作として残り続ける理由をわたしは感じた。

    0
    投稿日: 2013.10.26
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    うーん、当時のフランスの社会や文化を知らないせいなのか、よく分からないところが多かったです。 主人公の性格も、印象がコロコロ変わってつかみきれなかったし、大していい男に思えなかったなぁ。 レーナル夫人も、もうちょっとしっかりしてくれないとイライラする。 パリの社交界へ出て、マチルドとの情熱的な恋からラストにかけてはまぁまぁ読めました。 けど、全体的に冗長で、心理小説の傑作といわれるほど心理描写が巧いとも思えなかった。 政治的なことや時代的なことがよく分かってなかったからでしょうかね。

    3
    投稿日: 2013.06.26
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    下巻に入るとにわかに政治性を帯びてくる。19世紀の王政復古下のフランスにて、権力者が革命の影に怯え自己保身に走る様を批判的に描き出すことでスタンダールの愛憎入り混じった故国に対する思いが透けて見える。そしてまた、ジュリアンの織り成す恋愛劇もまた政治性を帯びてきているように見えるのは気のせいではないだろう。恋愛は決して僕と君だけの世界で完結する様なものではなく、時に不条理で、時に無数のひしめき合う三人称の存在によって脅かされる。ここでは恋愛劇が、時代の風潮と政治性のメタファーとして見事に機能しているのだ。

    0
    投稿日: 2013.03.26
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    (1966.03.31読了)(1966.03.31購入) 内容紹介 召使の密告で職を追われたジュリヤンは、ラ・モール侯爵の秘書となり令嬢マチルドと強引に結婚し社交界に出入りする。長年の願望であった権力の獲得と高職に一歩近づいたと思われたとたん、レーナル夫人の手紙が舞いこむ……。実在の事件をモデルに、著者自身の思い出、憧憬など数多くの体験と思想を盛りこみ、恋愛心理の鋭い分析を基調とした19世紀フランス文学を代表する名作。

    0
    投稿日: 2013.03.19
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    後半が急展開でグイグイ読ませられたけど、終わり方があっけなかったかな。 裁判のシーンはカラマーゾフの兄弟を思い出した。 ジュリアンの野心描写は良かったけど、恋愛描写も強かったせいで、あまりしたたかな人間には見えなかった。

    0
    投稿日: 2013.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    巻末の解説読み応えあってやっと読了~ ジュリヤンが色々と可愛かった(笑)し、結構共感もあった 翻訳が合ってたのか読むのが楽しい小説でした

    0
    投稿日: 2013.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻はあまりよく理解できずに読み進めた感じだったけど、下巻はなんとなくフランス貴族の上流社会に生きる人達の性格的なものがつかめてきて、より面白く思った。 物語は、どういう結末を迎えるんだろう……と夢中になって読んだけど、こういう落としどころに落ち着くとは。 人生って……道を一度踏み外すと取り返しがつかなくなるような過ちもあるんだ。 けど、あえてそれに非常な魅力を感じる女性もいるんだ。きっと、恵まれすぎているんだろうなぁ。

    0
    投稿日: 2013.01.14
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    先に言っておきますが、この作品に関しては、ここから先に書く話が如何にネタバレに見えても私は「ネタバレの内容を含む」にチェックを入れるつもりありません。 以前どこかで書きましたが、赤と黒との出会いは岩崎良美の歌なので、読む前から、「これは恋愛小説として読むのだ!」という態度は決しています。そして、その態度は正しかったと今でも思っています。 田舎のウブな町長夫人がなんであんなにウブなのかは、解説を読んで納得してください。マチルドたんの性格がああなのは、どうも創作っぽいですが、それでも、現代に生きる我々には、それもアリなのではないか?と思うので、作者を責めてはいけません。故に、この小説が自然主義であることを脅かすものはありません(ヒロインの性格の話だけしているのは、恋愛小説として読むと誓ったからですよ)。 いや、まいりました。マルチヒロインでマルチエンディングがこの設定からは引き出せます。もちろん、小説として書いた以上、ストーリーは一本道なのですが、当然、あそこでこうなってなければ別の展開が、という想像はいくらでも可能だし、主人公もそういうことを考えたりしますので、アリです。そこで、読者は、これはトゥルーエンドに至ったのかどうか、という問を発することができます。スタンダールの時代にはできなかった読み方です。なにしろ、ラストはnice boatであることはもうわかっているのです(nice boatちゃう!)。もちろん、このオチは、途中マチルドたんが一人だけ喪服で歩いてるシーンでの理由説明でなんとなくわかっちゃいますが、わかったからといって偉いわけでも何でもないので勘違いしないように。それにしても、喪服のシーンだけ、えらくマチルドたんの服装の説明がエロいのですが、紳士だということですね、作者。閑話休題。なら、たとえば、イギリスに駆け落ちするエンドは?アメリカに渡っちゃうエンドは?まんまと貴族になりおおせて、騎兵連隊長に出世とかいうエンドは?マチルドたんとは別れるけれど、どっかの司教になるってエンドは?レーナルのおっさんを振り切って夫人といちゃいちゃとか思ったけど、彼女、離婚しそうにないのでそこはないか、まあ、いずれにしても、これらがどれほどのエンディングなのでしょうか。それに比較しての、このエンドです。名作ですね。 さて、一番の問題ですが、マチルドってなんであんな奇妙なツンデレなのか、という点。要するに、我々が捉えているツンデレなんてものは、ツンデレでもなんでもなく、恋していることが第三者に知られないように下手な芝居を無意識に打ってるだけなんで、心から、好きだと思った翌日にこんなヤツ大嫌いだと思えるマチルドのことは、真祖ツンデレとして崇め奉るべきものですが、どうやら、これは、「もう興味を持ってもらえない?」という緊張感を維持した状態でないと好きだと思い続けることができない、という設定にポイントがある様子。ですが、これはある種の性格異常です。つまり、病んでます。ヤンデレだったのです。ヤンデレがnice boat。ああ、どっかにありましたね。でも、こっちの方が180年早いのです。すばらしいですね。名作です。 ということで、新潮文庫さんは、せっかく、ラノベもびっくりするようなスカスカの版組で出されたんですから、ここは一つ、表紙もそんな感じで、当然、イラストとか途中に入れて、中高生向けに売ってみましょう。 この歳になるまで読まなくて損した、とも思ったけど、これくらいの軽口が叩けるようになってから読んで良かったのかもしれないね。

    0
    投稿日: 2012.12.20
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    都会に身を置いたジュリヤンの世界と視野が広がっていくのを感じられたので、第二部は最初から熱を持って読めました。マチルドとの恋の駆け引きは両者とも極端に感情を揺れ動かしながらそこに純真さが姿を覗かせ、自己陶酔の激しさは気になりますがふたりのキャラクターに人間臭さを与えています。初読の今回、作品からは当時のフランス社会を批判する面を強く受けました。それこそ、あらゆる階層の人々に喧嘩を売る勢いで。本作が現代でも読み継がれているのはそこに人間の本質があり、それは今も昔もそう変わってはいないという事なのでしょうね。

    0
    投稿日: 2012.11.28
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    下巻で主人公はついにパリ社交界にデビューします。そして恋のかけひきを繰り広げますが、待っていたものは・・・ ネタバレは http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120615/1339763717

    0
    投稿日: 2012.06.15
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    マルチドは可哀想だけど、あんまり同情はできない。最初の時の酷い印象があるのかもしれないけど、やっぱりレーナル夫人が好きだったからそう思うのかも。 ジュリヤンの性格を考えると、激しいマルチドよりレーナル夫人がいいですよね。 同じ極同士は反発しあうだけなんだから。

    0
    投稿日: 2012.04.05
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    外国の近代文学ほど読んでいて疲れるものはないと思う。前半はぐったり。マチルドとジュリヤンのやり取りに、ちょっとイライラする。佳境に入ってからの最後の100ページは一気読み! 結局幸せって、自分の心に素直に行動して得られる、本当の愛の中にあるんだろうな。この時代には、それがいかに難しかったかが伺える。 個人的には、神学校のあたりが結構好き。ジュリヤンの野心を深く理解するためにはジェーン・オースティンに代表される西欧の階級社会を扱った作品を読むのがいいのかも。心理描写が詳細で、これを省いたら3分の1くらいの分量になってしまうんじゃないかというほど。いまどきの作品にはない感じが新鮮だった。

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    投稿日: 2012.03.06
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    高校生のときに読みました。 衝撃的な印象が今でも強く残っています。 感受性の強い学生さんに読んで欲しい名作です。

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    投稿日: 2012.01.23
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    気分がうつの時に読むんじゃなかった。退屈な話だ、と思って読んでたけど、退屈と皮肉と猜疑心それじたいがメインテーマだって事に気付くのが遅かった。

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    投稿日: 2011.08.21
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    上巻が「田舎編」であったのに対して、下巻は「パリ編」「都会編」といったところ。田舎から出たジュリアンは最初は、都会の人々に対して「畏怖」、「反逆心」といった感情を抱いていたのだが、パリでの生活を経て自らを都会の人間として適応させていく。その過程では、卑屈と思われる程、ジュリアンの自尊心は傷付けられ、再構成されていく。 田舎編ではレーナル夫人と純粋な恋愛を描いたのに対し、都会編ではマルチドとのゲームのような恋愛を展開。「人は状況に恋をする」といったことを上手く描きだしているように思われる。 上巻、下巻を通して、ジュリアンの自意識の高さは一貫しており、なかなか読み応えがあります。

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    投稿日: 2011.03.19
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    主人公の、野心、純粋さ、情熱的なところ、 ものすごく愛おしいと思いました。 自分のもっとも好きな本の一冊です。

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    投稿日: 2011.03.02
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     長い割には面白くなく、主張もあまりなかったように思う。この作品が書かれた時の時代背景も考慮しなくてはならないのだろうが、今回はあまり考えない。  概略としては、製材小屋の息子として生まれたジュリアン・ソレルが持ち前の頭脳と強い野心で、その時代のブルジョア的、封建的社会に挑み、出世しようと足掻くというようなところだろうか。ナポレオンを信奉しており、そのような人はその時代では過激革命派と呼ばれるらしい。おそらく貴族優位の社会を転覆しようとしていたからだろう。  そして基本的な出世の方法が気に入らない。金持ちの女を口説き落とすという、所謂逆玉の輿である(そればかり狙っていたわけではないが)。ジュリアンはマチルドとレーナル夫人と云う2人の貴婦人を誘惑する。しかも一応2人ともジュリアンに惹かれるようになる。この二人に共通な点は、ジュリアンに出会うことで不幸になることである。確かに、2人ともお嬢様として純粋培養されて育てられてきたようだから、生活は退屈であったかもしれないが、平穏安泰な生活を送っていた。しかし、ジュリアンに惹かれるようになることで、レーナル夫人はすでに夫を持ちながら、ほかの男に気がひかれていることに対する良心や倫理の呵責に苦しむようになる。マチルドのほうは、たかが製材小屋の倅であるジュリアンの子供を身に宿すことにより、遅々と喧嘩になり、地位や品位を落としてしまう。  結局ジュリアンは、マチルドとの関係がうまくいきそうになり、成功をつかんだと思った矢先に、レーナル夫人の手紙によってそれが台無しにされてしまったことに腹を立て、レーナル夫人を銃で撃ってしまい、死刑判決を受け死んでしまう。  もっとも興味深く思った箇所は、「気位の高いマチルドの心には、反対に、いつも大衆とか、他人とかいう観念がひつようなのだった。」のところだ。これはジュリアンが裁判を待ち、留置所に拘留されている時期で、マチルドは所謂ヒロイズムに酔っているのだ。私は以前からヒロイズムと自己愛を関連付けて考えてきたが、そこには「他者の目」が欠けていたことに気付いた。マチルドは自分のジュリアンに対する自己犠牲的な行為を他者が見てどのように思ってくれるだろうかと考えて、喜んでいるのだ。 もうスタンダールは読まないだろうと思う。

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    投稿日: 2010.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ジュリヤンとマチルドのやりとりが3行の手紙からはじまる動揺が激しすぎる。そっから今までの出世とか名誉を求める様子はなんだったんだってくらいにそっちに溺れて行くあたりがなんだか引きつけられた。 その後にとったジュリヤンの手紙戦略がドS過ぎる、駆け引きにそこまでするのかって位相手を追い込ませる辺りがフランスっぽいのかどうかはわからないけど博学をそういう方向に費やすのはいいことだとは思う。 最後はバッドエンドと言えるものだけど、上下巻含めてどちらかと言うと二人の恋人をどういう風に関係させるかを書いてた場面が一番の見せ場だったのでそんなに気にならなかった、そっちのインパクトの方が大きくて、最後は判決が出ても「ああ、やっぱり」程度の印象だった。首を持っていくのと自殺して約束を守らないのはちょっと気になるが、それがそれぞれが一番のやりたい事をしたと思えば納得も行くかな あとがきも含めた感想ではあるけど、この話は実話になった事件を元にしている、その当時の時代背景と著者の感性をリアルタイムで書いていったのが伝わった

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    投稿日: 2010.05.10
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    p194(マチルド) かわいそうに、このひとはこんなに大胆なふるまいをしたんだもの、幸福にしてあげなければならないわ p195 ジュリアンの心にはなんら愛情らしきものはなかったが、それはマチルドのジュリアンに対する態度のすべてが義務を果たすといった感じだったからである。この言葉がいかに奇妙に思われようとも、事実はそうなのである。 あたしは思い違いをしていたのかしら?あのひとに対して愛情をもっていないのだろうか、と彼女は呟いた。 p404 ジュリヤンは、自分はこんなにまでつくしてもらう価値がないと思っていた。実際は、英雄的な行為にうんざりしていたのである。単純で素直な、むしろおどおどした愛情だったら、心を打たれもしたであろう。 ところが、気位の高いマチルドの心には、反対に、いつも公衆とか、他人という観念が必要なのだった。 **** すごーくよかった。人物設定が完ぺき。作者がひとりひとりを大切にしてる感じがした。 私はマチルドがすごく好き。でも、レーナル夫人は素晴らしい。 また感想を付け足したい。カラマーゾフに続き、大切な本になりました。

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    投稿日: 2010.03.18
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    ジュリヤンは理想とする人物の一人。なんにせよ、このような情熱はうらやましい。この読後感。多くを重ね合わせると同時に、多くの異なるところに惹かれる。 ・ジュリヤンは公証人か?どうやら読む限りそのようである。ただし、だ。それは当時においてである。 21世紀の日本における公証人とウィーン体制(復古王政下)の公証人の定義は重なる部分があるとはいえ、やはり異質だろう。 公証人は当事者その他の関係人の嘱託により左の事務を行う権原を有す。 ①法律行為その他私権に関する事実につき公正証書を作成すること ②私署証書を認証すること (以下略)(公証人法1条) 他方、まず本書P361より19世紀当時のフランスの公証人は訴訟上の行為をする権原はない(これは現代日本も同じだが)。また、同P133より公証人は個人に専属する(支配従属関係)。この特質から、彼等は公的に(例えば公証人役場で)認証はしない。また、証書を作っても公正さは第三者によって担保されない(その写しは保存されない)。これらの点で公証人概念に違いがある。 具体的に、ジュリヤンがラ・モール侯爵に対してしていることといえば、公正証書作成に留まらず、侯爵の業務に関する一切の裁判外の行為である。 つまり、当時の公証人は俗に言えば秘書、聞こえよく言えば、裁判上の行為をしない弁護士といったところ、いうなればソリスタか?

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    投稿日: 2009.11.17
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     知事の妻との恋を密告され、逃げ出すジュリヤン。次いで神学校へと入学する。今までとは打って変わった環境の中、戸惑ってしまう。今までの自身のスタンスが先生でなく同期にも叩かれる対象となる中、自らの野心のために、自分のスタンスをうまく変えていく。自尊心の強さと矛盾するようだが、ジュリヤンの「自らをうまく抑える事が出来る」という長所がうまく反映されたところだ。  そして、ふとしたきっかけから、パリの社交界へと進出し、勤め先の貴族の家の娘と恋仲に落ちる。しかし、彼が過ごしたパリの貴族たち、そこで恋に落ちた相手、カトリックの人間たちの性分、過去の知事の妻との恋愛など、過去と今と未来との様々なカオスの中で、彼は悲劇のシナリオを取ってしまう。  彼の感受性の強さ、自らを律する精神の葛藤が特に描かれているのがこの下巻だと言える。マチルドを落とすために思考し続ける一方で、ますます打算的な考えを巡らせる一方で、マチルドとのふとした触れ合いで心の中で起こる感情とひたすら戦い続ける。 最後の悲劇は何を伝えたかったのか?いや、彼にとってはこれが最良のシナリオだったのかもしれない。

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    投稿日: 2009.10.13
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    83/100 No.95「長門有希の100冊」 結局、ジュリアンの野心は一歩手前で潰える。 最後の最後に自分の過去に足をすくわれる。 お天様の下を堂々と歩ける人生設計を立てましょう。 良い、教訓になりますなー 上下合わせて1週間かけてるし、本当は、そう簡単な話ではないけどね。

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    投稿日: 2009.09.04
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    レーナル夫人との関係を絶ったジュリヤンはついにパリへ。そこで侯爵令嬢の心をとらえ、権力の座への足がかりをようやくつかんだかに見えたが、過去の恋が邪魔をする。彼が本当に望んだものは何だったのか。振り返る過去の懐かしい日々がやさしい。

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    投稿日: 2009.07.30
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    上巻では、ヴェリエールの町長夫人と色恋沙汰を起こし、 職を追われた主人公ジュリヤンは、 下巻ではパリに行き、ラ・モール侯爵の秘書になる。 そして今度は侯爵の娘マチルドと 恋の駆け引きを繰り広げる。 マチルドは美人で頭も良く、 ジュリヤンの昔の恋の相手レーナル夫人より ずっとも世間を良く知っている都会育ちのお嬢様。 そんな経験豊富なはずの彼女もまた 巧妙なジュリヤンの罠によって 恋に落ち、ついに結婚までしてしまう。 ジュリヤンの恋の相手となる 二人の女性だが全くタイプが異なる。 私は、慎み深い良妻賢母のレーナル夫人より、 ただ恋愛に対して受身にならず、 愛されているだけでは気が済まない、 勝気なパリ娘のマチルドの方が好きなため、 下巻のストーリーの方が面白くて好き。 物語の主人公ジュリヤンもマチルドの事は 憎からず思っていたけれど、それでも本当に愛したのは 彼女ではなくレーナル夫人だったし、著者スタンダールも このプライドが高く、負けず嫌いのマチルドに対しては 大変辛口な描き方をし、実に皮肉たっぷりに彼女を評すが、 「貴方達男二人はわかっているようでわかってないなぁ。」 と私などは思ってしまう。 若い男との恋愛に悩み、 夫や街の人の目をいちいち気にする 中途半端なレーナル夫人より 自分の取り巻きである「つまらない」青年貴族達よりも 自分の父親の秘書、悪く言えば「召使」であるにも関わらず、 「この人は現代のダントンになるかもしれない。」と 才気溢れるジュリヤンの方に魅力を感じるマチルドの方が、 しょうもないお転婆だけど、生き生きしていて、 恋愛の相手として魅力的だと思うのだけど。 それにしてもこの物語、その凄まじいまでの愛憎劇に 間違いなくフィクションだと思ってしまうけれど、 当時フランスで実際に起こった事件を下敷きにして、 登場する女性の性格は、著者スタンダールが 交際した女性の性格を参考にしたというのだから驚きである。

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    投稿日: 2009.04.21
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    ナポレオンが失脚して王制が復活した後の1820年代を舞台に、ナポレオンに傾倒する青年ジュリヤン=ソレルが、その才気と美貌を武器に上流社会でのしあがっていく物語の下巻。 レーナル夫人と別れたジュリヤンが、大都会パリの社交界で出世して行く物語ですが、見所は、侯爵令嬢マチルドとの激しい恋の駆け引きにあります。経験豊富でプライドの高いマチルドに、恋愛経験の少ないジュリヤンは敢然と立ち向かい、どのようにして勝利を収めるかが見ものです。 (どうやら、プライドの高い女性には嫉妬させることが必要、というのが作者の結論のようです。)

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    投稿日: 2009.04.14
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    平和な、現代の日本 そして、自由や平等を好きなように叫ぶことが出来る今だからこそ、 「素敵な話」 として、読むことが出来る。 後半につれ、ますますストーリーに惹きこまれていく。 ラストにも納得。

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    投稿日: 2008.05.06
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    ジュリアン・ソレルに憧れて憧れて、映画を友人と一緒に見ました。美少年でなくてがっかりした記憶が今も深く胸に…。

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    投稿日: 2007.04.09
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    つまり思い込みが激しい、難しい年代である少年は完全なる「悪魔」にはなりきれなかったのです。人間の汚い部分とそれと表裏一体の関係にある純粋な部分を描いています。所々にフランス革命時のことが語られています。

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    投稿日: 2004.11.02